2015年3月10日火曜日

ベネズエラ大統領がオバーマの措置を「史上最大の侵害」と糾弾

 バラク・オバーマ米大統領は3月9日、ベネスエラが「米国の安全保障と外交政策にとって脅威となった」として「国家非常事態」を宣言し、べネスエラの諜報・治安機関関係の要人7人に米入国査証発給を禁止するなどの法的措置を取った。

 これは右翼・保守勢力を除くラ米世論から、「常軌を逸した決定」と受け止められている。ノーベル平和賞受賞者オバーマの評価は一変し、忠実なモンロー教義主義者とみなされるようになってしまった。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は9日夜、オバーマ大統領が施行した法は「フランケンシュタインのようだ」と指摘し、「米国がベネスエラに対してとった史上最大の侵害、不公正、忌まわしい一歩だ」と糾弾した。

 さらに、「オバーマ大統領はこれまで注意して越えないようにしていた一線を越えてしまった。ゴルペ(クーデター)の画策に失敗したため、大統領個人として私の政権を倒そうと乗り出した」と非難した。

 続けて、「米国は革命、社会主義、チャベス路線のベネスエラを理解しようとせず、絶望と無力感に駆られて法をつくった」と述べた。

 また、「米国のような大国による脅威は不均衡、唐突、粗野であるばかりか、非合法だ。法は倒錯であり馬鹿げている。オバーマ大統領は大きな過ちを犯した」と語った。

 「米帝国政府は、シモン・ボリーバルの祖国を侵害し、脅威となった」としながらも、「この(闘いの)過程では帝国は敗れ、ベネスエラは社会主義建設の道を歩み続ける」と決意を示した。

 マドゥーロ大統領は、米査証を禁じられた7人を従え、その一人、国家情報局(SEBIN)長官グスタボ・ゴンサレスをこの日、内相に任命した。ベネスエラ国内は、米国のあまりにも意外で愚かな決定によって、いつになく団結機運にある。

 一方、クーバ政府は10日付共産党機関紙グランマの1面左側で、ベネスエラ支持を表明。同右側にフィデル・カストロ前議長のマドゥーロ全面支持のメンサヘ(メッセージ)を載せた。

 クーバ政府声明は、「米政府と米議会による内政干渉に対し主権を守る措置を取ったベネスエラに、米政府は報復した」と捉え、「米本土から何千キロも離れ、戦略兵器も持たず、対米陰謀もしていないベネスエラがなぜ、米安全保障上の脅威になるのか」と、オバーマ政権を厳しく糾弾した。

 その上で、「クーバ革命政府はニコラース・マドゥーロ大統領の合憲政府を無条件で支持する」と表明。「いかなる国にも他国の内政に干渉する権限はない。根拠なしに安全保障の脅威などと言うことはできない」と批判した。

 
 また、今年9月ベネスエラで国会議員選挙があるのを踏まえ、「選挙の年に新たな内政干渉に出た」と指摘した。

 クーバ政府は、「昨年1月ハバナで開かれた第2回CELAC首脳会議は、ラ米・カリブ地域を<平和地域>と宣言した」と、注意を喚起した。