メヒコ・ゲレロ州イグアラ市で教員養成学校生43人が強制失踪させられた事件発生から7月26日で10カ月経った。遺族、学生、人権団体、一般市民ら2000人はこの日、メヒコ市中心街で抗議デモを展開した。
遺族らは、エンリケ・ペーニャ=ニエト大統領に「43人を生きて返せ。さもなければ辞任せよ」と迫っている。だが既に10カ月が過ぎ、犯罪の真の責任者が明確にされず無処罰のまま、事件は迷宮入りの様相が濃くなっている。
失踪にはイグアラ市長、市警、麻薬マフィアの殺し屋などの関与が明らかになっているが、州政府や陸軍イグアラ駐屯部隊も関与したとの見方もある。だから真相を暴けない、と観るのだ。陸軍は大統領の指揮下にある。
遺族と支援団体はこの日、月末から8月半ばにかけて北部と南部に分かれ、自動車を連ね真相究明のための運動を繰り広げることを決めた。
一方、AP通信がメヒコ検察庁から入手した情報によると、昨年10月から今年5月までにイグアラ市一帯でフォサ(秘密墓)60カ所が発見され、計129遺体が収容された。これらの遺体は、失踪生のものではないという。