2015年7月1日水曜日

F・ペソーア作・ポルトガル長編詩の暗誦劇を観る

 ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソーア(1888~1935)が100年前の1915年に発表した長編詩『オードゥ・マリティマ』(邦題「海の詩歌」)を俳優ディオゴ・インファンテが一時間余に亘って熱誦する独り芝居を東京・渋谷文化村のコクーン劇場で6月30日夜、観た。

 観劇評を書くため依頼されて観たのだが、客席で在日ポルトガル人たちが話すポルトガル語の飛び交う雰囲気に久々に身を置いた。ジョアン・ジルの奏でるギターを背後にして暗誦するインファンテのポルトガル語は特に美しく、力があった。

 舞台の上方に日本語字幕が掲げられ、配布された冊子には詩の日本語訳が記載されていた。だから意味は十分に伝わる。

 この俳優は、一度の公演で1回か2回しか演じない。それだけ詩との格闘が俳優の心身の負担になるからだ。

 素晴らしい夜だった。どんな評が私に書けるのか、わからない。