2015年7月9日木曜日

ローマ法王がボリビア訪問

 南米3国歴訪中のローマ法王フランシスコ(78)は7月8日、標高4000mのアンデス大高原(アルティプラーノ)にあるエル・アルト国際空港に到着した。空港の西の彼方にティティカカ湖が拡がり、東方にはラパス盆地の上方に標高6000m級のイリマニ冠雪大山塊がそびえ立つ。酸素は薄い。

 このため、高齢のうえ片肺の法王は、エクアドールからのボリビア航空機中、コカ茶を飲んだという。エル・アルト空港では、コカ葉を入れて首や肩から下げる毛織の小さな袋チュスパを贈られた。法王がコカ葉を噛みたいと言っていたからだ。

 出迎えたエボ・モラレス大統領は、伝統的なコカ葉使用の熱心な擁護者であり、ボリビアのコカ葉栽培農民組合連合の最高指導者でもある。

 歓迎のあいさつで大統領は、「エクアドール太平洋岸のさわやかな空気を吸って活力あふれているとお見受けします。侵略され海岸を奪われた、大なる祖国(ラ米)の一部(ボリビア)にようこそ」と述べた。1879年の太平洋戦争で海岸領土を奪ったチレを念頭に置いた発言だ。両国は現在、国際司法裁判所で、この問題に決着をつけようとしている。

 法王は、海岸領土問題には触れず、雄大で美しい光景を讃えつつ、「一層平等な社会を築かれんことを。この国の社会の多くの分野の人々が社会参加している」と指摘し、個人の権利、少数者の権利、環境保全などを定めた2009年制定のボリビア憲法を讃えた。モラレス政権の政策を概ね評価した発言だ。

 法王は大統領に案内されラパス盆地を下り、標高3600mの政治首都ラパスの中心部ムリージョ広場に移動した。沿道や広場には数万人の人々が結集した。隣国チレとペルーからの巡礼者もいる。

 だが法王はラパス滞在を4時間で切り上げ、東部のアマソニア平原にあるサンタクルース市へ移る。(ボリビアの憲法上の首都はスクレ)