ボリビアのエボ・モラレス大統領は7月29日ラパスで、1978年以来国交のない隣国チレとの大使級外交関係復活の意思を表明した。併せて、両国間にあるボリビア海岸領土回復問題の解決のためローマ法王フランシスコに仲介を要請しようと提案した。
ボリビアはチレが仕掛けた1879年の太平洋戦争に敗れ、現在チレ領となっている広大なアントファガスタ地方を奪われた。以来、内陸国に陥ったボリビアは太平洋岸領土回復を悲願としてきた。
法王フランシスコは今月ボリビアを訪問した折、両国に「分離の壁でなく平和の橋を構築するよう」呼び掛けた。これを受けてチレ政府はボリビアに、前提条件なしの国交再開案を提示した。
モラレスはこの提案に応えた形だが、ミチェル・バチェレー智大統領に「共にヴァティカンに行き、法王に仲介を要請しよう」と働きかけている。モラレスは法王仲介の下で「5年以内の解決」を探りたいとしている。
チレのエラルド・ムニョス外相はモラレス発言を受けて29日、我が方の国交再開提案は無条件であり、条件付きは受け入れられない、と拒否した。
同外相はまた、ボリビアは2013年に国際司法裁判所に「海への出口」問題で審理を要請、現在、審理中であり、これと並行して法王が仲介の労をとることはありそうもない、と述べた。
ボリビアはハーグの国際司法裁に、海岸領土問題でボリビアとの交渉に応じるようチレに命じる判断を下すべく提訴してきた。