2016年7月30日土曜日

ベネズエラで狙撃事件発生、要人暗殺未遂か

 ベネスエラで7月28日未明、要人暗殺未遂の可能性のある狙撃事件が起きた。食糧、薬品など生活必需物資を安価で配給する国営「供給・生産地区委員会」(CLAP=クラップ)の全国代表フレディ・ベルナル(政権党PSUV幹部)がカラカス市内の自宅に帰宅、息子マウリシオが家の扉を開けたところ、オートバイに乗った男女2人組が発砲、弾は息子の胸に命中した。

 だが警戒し拳銃を携行していた息子は、撃たれながら応戦、男女2人組を射殺した。ベルナルも捜査当局も、犯人を、政情不安定化を狙った極右勢力のシカリオ(殺し屋)と見ている。男の身元は「ジョン=ホセ・レジェス」と判明した。

 2人組が父と息子のどちらを狙撃する目的だったか不明。だが事件の状況から判断すれば、2人とも射殺の対象と考えても不自然ではない。CLAP代表が暗殺されれば、大混乱に陥るのは必至だった。

 保守・右翼野党連合MUDが圧倒的多数派の国会は28日、昨年12月の国会議員選挙で当選したが最高裁から「不正」を指摘され当選取り消しとなったMUDの3人を議員として承認、出席させた。

 これにより、定数167議席中、MUDは従来の109から112議席となり、3分の2の絶対多数に達した。政権党PSUVは当選した55人のうち1人が最高裁により無効とされ、現議席は54。

 この国会の措置に対し、ニコラース・マドゥーロ大統領の政権および、その影響下にある最高裁がどう出るか、注視されている。

 伯亜ウルグアイ・パラグアイVENの5カ国が加盟する南部共同市場(メルコスール)は30日、モンテビデオで外相会議を開き、輪番制議長国問題を話し合う予定だったが、伯パラグアイ両国が欠席を通告したため、会議は中止された。

 議長はアルファベット順に半年交代制で、過去半年務めたウルグイアからベネスエラに移ることになっていた。ところが伯パラグアイが「VENには政経不安定で民主の問題もある」として反対してきた。

 しかし伯は5月、「制度的クーデター」で、合憲大統領ヂウマ・ルセフを弾劾目的で停職処分にしたばかり。パラグアイは2012年の「国会クーデター」で改革派大統領フェルナンド・ルーゴ(現上院議員)を弾劾した。このような両国だけに、ベネスエラへの批判・非難には説得力がない。

 鍵を握る亜国は、マクリ政権の外相スサーナ・マルコーラが国連事務総長選挙に出馬しているため、集票への影響から「中立」を守っている。この亜国を29日、エンリケ・ペニャ=ニエト墨大統領が訪問、将来の自由貿易協定調印に向け話し合った。

 事態が暗礁に乗り上げたためウルグアイ政府は29日、議長任期終了を加盟各国に通告した。ウルグアイは議長が規定通りベネスエラに移行するのを良しとしているが、伯パラグアイの反対で「ベネスエラへの移管」を明言できない。

 デルシー・ロドリゲスVEN外相は29日、「ベネスエラが議長になれない法的理由は全くない」として、「自動的就任」を主張した。

 メルコスールは欧州連合(EU)との自由貿易協定締結に向け交渉を続けており、また太平洋同盟(AP。チレ、ペルー、コロンビア、メヒコ)とも連携を目指し話し合いを始めたばかり。メルコスールの内部対立は、こうした域外との交渉に影響を与えかねない。

 一方、VEN政権党PSUV、ウルグアイ政権党「拡大戦線」、伯前政権党「労働者党」、パラグアイ元政権党「グアスー戦線」、亜国ペロン派野党「勝利のための戦線」を含む諸党は29日、「メルコスールは右翼勢力の政争に利用されてはならない」として、ベネスエラの議長への即時就任を訴えた。

 米国務省広報官ジョン・カービーは28日、ベネスエラは大統領罷免の是非問う国民投票を早期実施すべきだと発言。これに対しデルシー・ロドリゲス外相は29日、「また米国が他国のことに口出しした」と非難、内政干渉を糾弾した。

 カラカスでは28日、国営石油PDVSAと露石油会社ロスネフト(イゴール・セチン社長)が、VENオリノコ油田への投資など計200億ドルの投資協定に調印した。

 この日は、故ウーゴ・チャベス前大統領の生誕62周年記念日で、マドゥーロ大統領は「故人への最良の贈り物ができた」と調印を讃えた。丘上の砦内にあるチャベス廟では、記念式典が催された。

 28日に報じられたウィキリークスの米外交文書暴露情報によると、ヒラリー・クリントン前国務長官(現・民主党大統領候補)は長官だった2010年、部下のアルトゥーロ・バレンスエラ米州担当国務次官補に、「チェベスに手綱をかけるにはどうすべきか」と意見を求めるなど、反VEN工作を企てていた。

 時期的には、ヒラリーが加担した2009年のオンドゥーラス大統領マヌエル・セラーヤ打倒のクーデターを国連総会が非難決議した後の時期だった。チャベスは、このクーデターを激しく非難していた。

 バレンスエラは、「公然とチャベスに立ち向かうのは注意深くあらねばらなず、関係諸国の協力を求めるのがよい」と答えた。ヒラリーはまた、「米国益に反する諸国」として、イラン、VEN、中露を挙げ、同諸国への放送予算を増やすよう、米関係当局に求めた。

 さらに、米議会ロビー活動機関などを運営するマドゥレーヌ・オルブライト元米国務長官は2010年、スペインのマリアーノ・ラホーイ右翼政権に対し、VENを含むラ米諸国に対する政策で協力を働き掛けた。ヒラリーの意向を汲んでいたか否かは不明。

 このような事実や情報により、ラ米ではヒラリーへの信頼感は高くない。ただしトランプよりはましと見られている。
 
 

2016年7月29日金曜日

ピースボートで来日のベネズエラ青年管弦楽団が演奏

 ベネスエラは7月5日、独立205周年記念日を迎えた。これに因んで28日、東京晴海で「フランシスコ・デ・ミランダ青年室内管弦楽団」による演奏会が催された。

 同楽団は、ベネスエラが誇る、楽器演奏を通じて青少年を鍛造する「エル・システマ」に所属する。団員のうち21人は、6月23日、カラカスの外港ラ・グアイラからNGOピースボート(PB)第91回航海船「オーシャン・ドゥリーム号」に乗り、ヴィレムスタート(クラサオ=キュラソー)、パナマ・コロン市サンクリストーバル港、グアテマラ・ケッツァール港、ホノルルを経由、7月26日横浜に着いた。船内と寄港地でも演奏、友好親善に尽くした。

 晴海での演奏会には外交団、日本VEN友好協会会員、PB関係者、91回船乗客ら約1000人が出席した。セイコウ・イシカワ(石川成幸)駐日VEN大使が挨拶し、90分間の演奏が始まった。

 曲目は前半、モーツァルト「交響曲第25番」、ファウレー「パバーナ」(スペイン舞曲)、ピアソーラ「リベルタンゴ」、ペレス=プラード「マンボ第8番」など7曲が、アンドゥレス・ゴンサレスの指揮で奏でられた。

 後半は、日本の合唱団「環礁(コーラル・エンレイス)」の歌が加わり、VEN第3の国歌の呼び名高い「ベネスエラ」、「花は咲く」、「故郷(ふるさと)」、VEN第2の国歌「アルマ・ジャネーラ(草原の魂)」など6曲が演奏された。何曲かは、仁階堂孝が指揮した。

 楽団員は29日二手に別れ、熊本と福島の震災被災地を慰問、8月初め帰国する。東京ではホームステイした。

 今回の演奏会は、ピースボートの協力なしにはありえなかった。世界的な平和・文化活動を30余年続けてきたPBは、新たに実力を発揮した。

★★★ベネスエラ情勢最新ルポルタージュ:伊高浩昭執筆「ラ米乱反射」第124回「軍部の支持固め危機乗り切り図るベネズエラ政権  野党勢力は大統領罷免国民投票を目指す」==月刊誌「LATINA」8月号(7月20日発売)掲載。

▼ラ米短信  ペルー独立195周年記念日の7月28日、ペドロ=パブロ・クチンスキ大統領(77)が就任した。40分間の就任演説で新大統領は、「現代的な新しいペルー建設には腐敗掃討、治安確保、貧困一掃が不可欠」とし、それらを優先政策とすると強調した。

 凶悪犯罪が激発、治安確保は有権者の70%が第一目標として新政権に望んでいる。貧困率は22%とまだまだ高い。国庫に及ぼす腐敗被害は、会計検査院によれば年間30億ドル。

 クチンスキはまた、消費税を現行18%から1%引き下げ、不正規労働を70%から40%に削減、などの政策を打ち出した。

 さらに「平和と団結を求め、対立と分裂は避ける」とし、国会で130議席中、過半数の73議席を握る「人民勢力」(FP)と融和したい本音をのぞかせた。

 FPは、6月の大統領選挙決選で僅差で敗れたケイコ・フジモリ(41)の政党。実弟のケンジ・フジモリ議員が国会内で指導権を握っている。

 FPは、服役中のアルベルト・フジモリ元大統領の赦免を政権への協力条件にするのではないか、との見方がある。

 
 

2016年7月28日木曜日

パトリシオ・グスマン監督の「チリの闘い」3部作を観る

 チレのアジェンデ社会主義政権(1970・11~73・9)期の同国の苦悩に満ちた状況を描いた本格的ドキュメンタリー「チリ(チレ)の闘い」3部作を試写会で観た。言わずと知れたパトリシオ・グスマン監督の不朽の名作だ。

 第1部「ブルジョアジーの叛乱」(1975)、第2部「クーデター」(77)、第3部「民衆の力(人民の権力」(79)で、上映時間は計4時間23分。間に15分ずつ休憩が入った。

 グスマンら撮影チームは1973・9・11のゴルペ・デ・エスタード(クーデター)直後に逮捕されるが、幸運にも難を逃れで国外に脱出。撮影した映像なども持ち出すことができた。

 グスマンらは、それをクーバ映画芸術産業庁(ICAIC=イカイク)の故アルフレド・ゲバラ長官の支援を得て、作品に仕上げた。作品は国際社会に強い衝撃を与え、世界各地の映画祭で最高級の評価を得た。

 この3部作も、クーバ革命後に始まった「新らしい映画」の作品、あるいは「流れを汲む作品」である。

 この3部作は、撮影したチレ人カメラマン、ホルヘ・ミュラーに捧げられている。ミューラーは軍政に逮捕され、恋人とともに抹殺された。

 第3部は、第1~2部の補完的詳述だが、グスマンが国外に去ったため、政変後の状況を内側から描けなかったことを示しており、胸が痛む。当時のチレファシズムの下では、「逃げて生きるか、捕まり殺されるか」だったのだ。

 この作品は、ファシズムはいつでも、どこでも、どこからでも現れる、という教訓を与える。かつて軍国主義のファシズムで国が滅び内外の夥しい数の人民庶民市民常民大衆が命を奪われた歴史を待つ日本人にも、必見の映画だ。時代が改憲の方向に動きつつある深刻な状況下にあって、この映画の発するメッセージの価値は高い。

 折から岩波書店で、アリエル・ドルフマンの『南に向かい、北を求めて』の訳書が出た。ドルフマンはクーデター当日、大統領政庁(モネーダ宮)勤務をたまたま友人に代わってもらっていたため死なずにすんだのだが、これを負い目かつエネルギーとして、死者の代弁もしつつ、数々の作品を書いてきた。

 ドルフマンは、アジェンデ政権の人民連合(UP)の一翼を担ったMAPU(マプ=統一人民行動運動)の党員だった。グスマンのこの作品にMAPUが行進したり集会を開いたりする場面が再三登場する。私は、その中に若き日のドルフマンがいないか探したが、確認できなかった。

 アジェンデ政権時代のチレを、私は拠点だったメヒコ市から何度も出張して取材した。そしてクーデター直後のサンティアゴ一帯、ランカグア、バルパライソなどを取材した。私がクーデターの首謀者の一人アウグスト・ピノチェー陸軍司令官を初めて見たのは、ランカグアでの軍政支持派集会の場だった。

 焚書がなされ、坑儒もあった。夜間外出禁止令を守らざるを得ず、その時刻に宿舎に帰れないときには、レストラン、酒場、店でも何でも飛び込んで、朝まで滞在させてもらった。

 政庁近くにあったホテルには、毎夜、機関銃掃射の音があちこちで響いていた。連夜悪夢に苛まれ、寝汗をたっぷり書いた。グスマンの映画を観て、あらためて記憶が疼き、グスマン(1941年生)、ドルフマン(1942年生)、私(1943年生)の同時代性を感じた。

 「チレの闘い」3部作は、8月24~27日、東京神田駿河台のアテネフランセでのグスマン作品上映会で公開される。

 次いで、★9月10日から、東京渋谷のユ-ロスペースで公開、全国で順次上映される。連絡先は、配給会社「アイ・ヴィー・シー」 03ー3403-5691。

 チレ学徒、ラ米学徒、歴史学徒、西語学徒、そして、あらゆる市民に観てほしい映画であると間違いなく言える。
 
 

2016年7月27日水曜日

メキシコ学生43人失踪事件から22カ月、家族らが行進

 クーバの7月26日は、革命の狼煙を上げた1953年の陸軍モンカーダ兵営襲撃を記念する輝かしい「民族蜂起の日」で、今年もまた記念式典が催された。だがメヒコでは、この日は22か月前から、若者43人の強制失踪事件の起きた日であり、最悪の人権状況を告発する日となってきた。

 2014年のこの日、ゲレロ州イグアラ市一帯で起きた警察による6人殺害および、同州アヨツィナパの教員養成学校生43人強制連行失踪事件は未解決のままだ。

 記念日の26日、学生らの家族、友人、教員、労組員らは首都メヒコ市のレフォルマ大通りを、検察庁前から43人のための「反・記念碑」ないし「対抗記念碑」まで行進した。

 事件解明の責任を負うエンリケ・ペニャ=ニエト政権は、捜査妨害までして時間を稼いできたが、時の経過とともに事件が忘却の淵に沈むのを待っている。

 家族(あるいは<遺族>)らは、無責任、忘却、無処罰と必死に闘ってきた。結果が出ず、空しいだろうが、空しさを跳ねのけて、ひそむ真実をなおも追究している。

 この事件が解明されずに終われば、メヒコの最悪の人権状況は21世紀深く、悪化の一途をたどり続けに違いない。
 

2016年7月23日土曜日

キューバ紙グランマがアサド・シリア大統領の発言を報じる

 クーバ共産党機関紙グランマは7月21日、シリアのバッシャール・アル=アサド大統領が「経済と教育をラ米と同程度にしたいと考えていたが、その取り組みは内戦で駄目になったと語った」と報じた。

 玖国営通信プレンサ・ラティーナ(PL)がダマスカスでインタビューした内容で、同大統領は「その取り組みのため玖VEN亜伯のラ米4カ国を訪問した」とも語った。

 フィデル・カストロ前玖政権は1973年、第4次中東戦争が起きると、シリアに軍事顧問団を派遣した。現大統領の父、故ハフェズ・アル=アサド前大統領は1979年、ハバナでの第7回非同盟諸国首脳会議に出席。フィデルは2001年ダマスカスを訪問、現大統領と会談した。大統領は2010年に訪玖した。

 日本の黄川田仁志外務政務官は20日、ハバナでロヘリオ・シエラ玖副外相、およびリカルド・カブリーサス対外経済関係担当副首相兼経済・企画相と個別に会談した。

 6月初め、ミゲル・ディアスカネル第1副議長が来日、安倍首相、岸田外相らと会談した。政務官の今回の訪玖は副議長来日の延長線上ある。経済関係強化の話し合いでは、玖側はハバナ西方に建設中のマリエル開発特区(ZEDM)への進出を働きかけた。

 サウディアラビアとクーバは21日ハバナで、サウディがクーバに対し、サウディ産品輸入向け5000万ドル、上水道整備向け3000万ドルの計8000万ドルの借款を供与する協定に調印した。

 ブラジル保健省は22日、ヂウマ・ルセフ政権が始めた僻地医療充実化政策「マイス・メヂコス(もっと医師を)」の欠員を補うため、近く玖人医師1200人がブラジルに着任すると明らかにした。

 玖政府は玖人医師への手当を30%増額するよう要請、伯側は10%と回答。この問題が未決着のまま、医師団導入政策は継続されている。

 一方、独立電子メディアは21日、クーバ人の自殺は2014年1454人、15年1492人と報じた。生活苦によるストレスも原因の一つという。クーバでは自殺者に触れるのは依然タブー視されており、自殺者数が表に現れるのは極めて稀だ。

 プエルト・リコの刑務所に35年も収監されている独立派指導者オスカル・ロペス=リベラは21日、8月13日に90歳となるフィデル・カストロ前議長に祝電を送った。

▼ラ米短信  ベネスエラ政府と野党連合MUDの間で対話を仲介している南米諸国連合(ウナスール)のエルネスト・サンペール事務総長(元コロンビア大統領)は7月21日、ローマ法王庁が仲介に参加する、と発表した。

 ヴァティカンの参加はMUDが要請していた。法王庁は22日から参加する。MUDは、マドゥーロ大統領罷免の是非を問う国民投票の年内実施や、街頭暴力教唆罪などで服役中の自派政治家釈放などを、政府との対話の前提条件として提示している。
 

2016年7月21日木曜日

パナマ政府が米軍侵攻の真実究明のため委員会設置

 パナマ政府は7月19日、「12月20日特別委員会」設置を決め、パナマ市で20日、委員会が発足した。1989年12月20日、ブッシュ米政権による大規模軍事侵攻の犠牲者数を確認するなど、史実を明らかにするのが目的。

 フアン=マヌエル・バレーラ大統領は2014年の米軍侵攻25周年記念日に、パナマ大統領として初めて最大被害地であるパナマ市内のエル・チョリージョ地区を訪れ、犠牲者の遺族らに真相究明を約束した。

 政府は2015年1月から人権団体や国連と協議、設立に漕ぎつけた。委員会は、フアン・プラネル委員長(私立サンタマリーア・ラアンティグア大学長)ら5委員で構成される。

 委員会は、犠牲者数確認、人権蹂躙確認、国喪日制定、記念碑建立、記憶博物館建設などについて協議し、作業を進める。任期はバレーラ大統領の残る任期の2年間。必要ならば延長も可能。今年12月の記念日に最初の報告書を発表する。

 侵攻の犠牲者は、公式発表でパナマ兵314人、同市民200人、米兵23人が死亡したとされてきた。だが5000~8000人が殺されたとの非公式推計がある。委員会はまず犠牲者遺族によるの「唯一登録記録」を作成、犠牲者数を正確に割り出す。

 プラネル委員長は、「米政府にパナマ侵攻に関する機密文書の公開を求める」と述べ、パナマ外務省は外交支援を約束した。委員長は「犠牲者遺族らが侵攻時の記憶を鮮明に維持しているのに励まされた。四半世紀以上も隠されてきた史実を明らかにしよう」と語った。

 「犠牲者遺族・友人の会」のトゥリニダー・アヨーラ会長は、侵攻時にパナマ軍士官だった夫を殺された。「長い闘争の結果ここまで来た。正義を勝ち取った。さらなる闘いは痛ましいが、結論を出すまで進む。委員会が形式的なものになってはならない」と述べた。

 委員会発足の式典を主催したイサベル・サンロマン副大統領兼外相は、「真実を知らずに和解はない。パナマは傷を癒し、国民和解に向かう」と語った。

 委員会を、国連開発計画(PUND)、国連高等弁務官事務所などが支援する。

▼ラ米短信  玖米両国は7月20日、国交再開1周年を迎えた。玖外務省のホセフィーナ・ビダル米国局長は、「オバーマ大統領任期中に、後戻りできないほどの前進が必要だ。米国がクーバ支配の野望を捨てない限り、真正常化はありえない」と述べた。

 玖政府はたとえば、米国の対玖謀略マルティ放送の打ち切りを求めてきたが、米側は「玖人権状況改善のため必要な手段」とのべ、廃止に応じない。

 一方、米財務省は20日、米フェデラル・エクスプレス社に対玖貨物便運航を認可した。運航開始は来年1月15日。

▼ラ米短信  ニカラグアで7月19日、ソモサ独裁を倒したサンディニスタ革命(1979年)の37周年記念日行事が催された。ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領、エル・サルバドールのサルバドール・サンチェス=セレーン大統領、クーバのミゲル・ディアスカネル第1副議長ら外国代表団も出席した。

 この日公表された最新の次期大統領候補支持率調査結果では、ダニエル・オルテガ現大統領が44%。8%が「オルテガ以外の候補」、26%が「誰も支持しない」、22%が無回答だった。

 大統領選挙は11月6日実施される。任期は5年。オルテガは連続3選を目指している。

 一方、オルテガが推進している「ニカラグア大運河」建設工事だが、施工会社HKND(香港本社)が予定していた「2019年12月の運河試験通航」は遅れる見通しになった、と伝えられる。

2016年7月20日水曜日

グアテマラ刑務所内でヘラルディ司教暗殺犯が殺さる

 グアテマラ市にあるパボン刑務所で7月18日、集団殺人事件が起き、重要囚バイロン・リマ=オリーバおよび12人が死亡した。リマは、1998年4月26日のフアン・ヘラルディ司教暗殺事件の主犯だった。

 同刑務所ではリマ派と、麻薬組織と繋がるマルビーン・モンティエル=マリーン派が勢力争いをしていた。刑務所当局と通じるリマは「刑務所内の王」と呼ばれていたが、最近、刑務所内での麻薬販売を禁止した。怒ったモンティエルは部下25人と共にリマらを襲撃した。モンティエルは2008年にニカラグア人15人、オランダ人1人の計16人の観光客を殺害、禁錮820年の刑に服していた。

 この日は家族訪問日だったが、これに紛れて外部から武器類が持ち込まれた。リマは手榴弾で負傷した後、射殺された。他の12人のうち4人は首を切り落とされた。またアルゼンチン人モデルで、刑務所外での事業でリマと協力関係にあったとされるヨアンア・ビリエル(24)も巻き添えになり殺された。彼女は打ち合わせなどで訪問、リマと会っていた。

 リマは元陸軍大尉。ヘラルディィ司教は、グアテマラ内戦(1960~96)中に起きた人道犯罪5万4000件の調査報告文書「歴史的記憶の回復-グアテマラ、二度と再び」を発表した二日後に殺害された。その人道犯罪の9割は軍・警察など当局絡みだった。

 司教暗殺を命じたのは大統領親衛隊司令部。リマ、その父親の元陸軍大佐バイロン・リマ=エストラーダ、元司祭マリオ・オランテス、元軍曹オブドゥリオ・ビジャヌエバらが逮捕され、2001年から収監されていた。元大尉リマの刑期は20年だった。

 ビジャヌエバは2003年、刑務所内で首を切り落とされ殺された。リマの父親と元司祭は減刑措置で釈放されている。元大尉は、刑務所当局と組んで、囚人の収監先刑務所の選択に関与、現金10万ドルを得ていたとされる。

 また囚人に作らせた下着類を、愛国党に貢いでいた。同党は、昨年9月、大規模汚職で弾劾される直前に辞職、起訴・収監されたオットー・ペレス=モリーナ元軍人大統領の政党だった。

 モンティエル派は事件後、他の刑務所に移された。メヒコや中米諸国では、囚人と刑務所当局の絡む腐敗事件が絶えない。
  

2016年7月18日月曜日

キューバと米国が不法移民問題で話し合う

 玖米両国は7月14日ハバナで外務省局長級会議を開き、両国間の移民問題を話し合った。

 ホセフィーナ・ビダル米国局長らクーバ側は、不法出国を促進する1966年制定の米「キューバ調整法」、不法出国を煽るため同法に1995年に加えられた「乾いた足・湿った足」規定、および、在外勤務のクーバ人医師に亡命を促す「クーバ医師臨時入国許可計画」が正規の移民を阻害、クーバ人の不法出国、人身取引、第三国への玖経済難民流入を招いている、と糾弾した。

 両国は昨年7月20日、54年半ぶりに国交を再開したが、玖側は、関係正常化深化の条件の一部としてとして、これら米国の悪法・規定の廃棄を求めてきた。ジョン・クリーマー米州担当国務次官補ら米側は、具体的な回答を避けた。

 双方は、2月マイアミ開催の不法移民取締り会合と、6月同地開催の玖国境警備隊と米沿岸警備隊との会合については有意義だったと評価した。

 玖経済難民は、エクアドール(赤道国)、コロンビア、ガイアナ、ブラジルなど南米諸国を経由し、パナマ、コスタ・リカなど中米諸国からメヒコを経て米国入りするのが盛んになっている。赤外務省は15日、玖難民殺到に困っている諸国に連携して対処しようと呼び掛けた。

  赤内務省は12日、同国滞在中の玖難民171人のうち75人をクーバに送還した。キトのメヒコ大使館は、同75人へのメヒコ通過査証発給を拒否していた。75人は送還後、「人権が犯された」などと赤玖両国を非難しているが、赤外務省は、同難民やメディアは意図的誤報をしている、と批判した。

 一方、クーバでは16日、マタンサス大学の卒業式が挙行され、工学部を卒業、工業技師になったエリアーン・ゴンサレス青年(22)が、卒業生355人の総代として、革命指導者フィデル・カストロ(89)への書簡を読み上げ、取得した学位をフィデルに捧げると表明した。

 エリアーンは少年時代の1999年11月、母親らに連れれて小舟で米国を目指したが難破、一人だけ救助された。その後、マイアミの親戚が少年を引き取ると主張。「少年奪回」を求める父親、フィデルらと激しく対立した。

 当時のクリントン米政権はクーバ側主張を容れ、少年を2000年6月、帰国させた。エリアーンは「対米抵抗」の象徴として、大切に育成されてきた。

 エリアーンはフィデルへの書簡の中で、「私たち専門職は、革命が必要とすれば、いかなる塹壕からでも戦う」と述べた。

2016年7月17日日曜日

クチンスキ・ペルー次期政権の閣僚決まる

 7月28日(ペルー独立記念日)に就任するぺドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)次期大統領(77)は15日、閣僚を発表した。政権党となる「変革のためのペルー人党」(PPK)は国会で少数派であり、過半数を握るフジモリ派の「人民勢力」(FP)に対抗しうる専門職やテクノクラートが中心の顔ぶれとなった。首相を含む19人中14人は公務経験者で、手堅い布陣。

 だが、大統領、首相以下、経済畑出身者が目立っため、大きな政治判断が求められた時、大丈夫かなど、疑問を呈する声も出ている。

 首相は34歳のエコノミスト、フェルナンド・サバーラ。トレード政権で経済相を務めたPPKの下で副経済相だった側近。サバーラは、PPKの横に座り、「ペルーを現代的で平等な社会にするのにふさわしい閣僚を選んだ」と前置きし、名簿を読み上げた。

外相 リカルド・ルナ 外交官 元駐米大使、元国連駐在大使
内相 カルロス・バソンブリーオ 社会学者
法務・人権相 マリソル・ペレス 弁護士 (女性)
国防相 マリアーノ・ゴンサレス 政治家

経済・財務相 アルフレド・トルネ エコノミスト
労働・雇用省 アルフォンソ・グラードス エコノミスト 
エネルギー・鉱業相 ゴンサロ・タマヨ エコノミスト
生産相 ブルーノ・ジウフラ エコノミスト
農業・灌漑相 ホセ・エルナンデス 農業技師
貿易・観光相 エドゥアルド・フェレイロス 経営学者 ガルシア政権で同職
運輸・通信相 マルティン・ビスカーラ 次期副大統領
住宅・建設・下水相 エドゥメル・トゥルヒージョ 衛生技師

教育相 ハイメ・サアベドゥラ エコノミスト ウマーラ現政権で同職(留任)
文化相 ホルヘ・ニエト 社会学者
保健相 パトゥリシア・ガルシア 医師 (女性)
女性・弱者相 アナマリーア・ロメーロ 社会学者 トレード政権で女性相 (女性)
開発・社会参加相 カエターナ・アリョビン 弁護士 (女性)
環境相 エルサ・ガラルサ エコノミスト (女性)

 



 

2016年7月16日土曜日

コロンビア和平最終合意は8月実現、9月国民投票か

 コロンビア政府の「紛争終結後高等顧問」(閣僚級)ラファエル・パルドは7月15日、訪問先のワシントンで、最高裁が18日、内戦和平最終合意承認の是非を問う国民投票を合憲と判断すれば、同最終合意は8月半ばないし後半に調印され、9月25日にも国民投票が実施される、と明らかにした。

 政府とゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)は6月23日ハバナで停戦、ゲリラの安全保障、国民投票の3点で合意した。これにより、2012年11月ハバナで始まった和平交渉は、農地改革、麻薬、内戦被害者賠償、停戦と4項目で合意が成立、残るは「最終合意、和平実施・検証」だけとなった。

 6月の停戦合意調印式には、JMサントス大統領、ティモチェンコFARC最高司令、ラウール・カストロ玖国家評議会議長、ニコラース・マドゥーロVEN大統領、ミチェル・バチェレー智大統領、ボルゲ・ブレンデ・ノルウェー首相、パンギムン国連事務総長、ダニーロ・メディーナRD大統領(CELAC輪番制議長)、サルバドール・サンチェス=セレーンES大統領、エンリケ・ペニャ=ニエト墨大統領らが出席した。

 サントス大統領は、8月の最終合意調印式はボゴタで催すと表明した。これにはフランシスコ法王、バラク・オバーマ米大統領も出席する公算がある。

 一方、パルドはワシントンで米政財界に和平間近な状況を説明、財政支援を求めた。また米州諸国機構(OEA)本部を訪ね、和平実施過程での協力を要請した。

 OEAは2004年1月、コロンビア政府と「和平過程支援任務」(MAPP)協定を結び、コロンビアで地雷除去活動を支援してきた。パルドは、FARCが和平実施後、放棄する約100市での展開および、52市での地雷除去検証に携わるよう、OEAに要請した。数週間内に新たな協力協定が結ばれるもよう。

 停戦および、ゲリラ集結・武装解除・復員などの監視、検証は、国連安保理に委託されたラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)の監視団が担う。

 サントス大統領は15日ボゴタで、来訪したドイツ使節団に、和平への協力への謝意を表した。カナダは和平実施過程に4400万ドルの援助を決めている。

▼ラ米短信  亜国法廷は7月15日、検察を要請を受けて、クリスティーナ・フェルナンデス前大統領の娘フロレンシア・キルチネル(26)の所有する現金460万ドルを差し押さえた。現金は銀行の貸金庫に保管されていた。

 検察は前大統領を不正蓄財、資金洗浄で起訴している。娘の資金も不正蓄財の可能性があるとにらんでいる。娘は他に、銀行預金103万ドルがあり、これも差し押さえられた。

 フロレンシアは巨額の現金について、父(故ネストル・キルチネル元大統領)から相続した遺産だ、と申し立てている。


 

2016年7月15日金曜日

エル・サルバドール最高裁が「恩赦法」に違憲判断

  エル・サルバドール(ES)最高裁判所憲法法廷は7月13日、1993年3月20日成立の恩赦法を違憲と判断した。判事5人のうち4人が違憲と判断、1人が反対した。

 同法廷は、「正義に反し、人道犯罪および戦争犯罪の犠牲者を償う立場に反する」として恩赦法を違憲と判断した。

 同国では1980~92年、寡頭支配体制を維持したい保守・右翼勢力の命令下にあった政府軍と、社会主義革命を目指すゲリラ連合「ファラブンド・マルティ民族解放戦線」(FMLN)が内戦を展開。死者7万5000人、不明者8000人、身体障害者1万2000人と厖大な損失を出した。

 極右政党ARENA(国家共和同盟)が多数を占めていた国会は恩赦法を成立させ、内戦中の人道犯罪、戦争犯罪を無処罰とした。加害者の大多数は米国に支援された政府軍、警察、民兵隊だった。被害者は、同法施行以来、違憲を訴えてきた。

 2014年6月就任したサルバドール・サンチェス=セレーン現大統領は、内戦を戦ったFMLN司令の一人だった。サンチェスは昨年、内戦和平時の「真実委員会」の報告書「狂気から希望へ: ESの12年戦争」を初めて公表、世論に恩赦法について再考を促した。

 最高裁判断について、ドゥグラス・メレンデス検事総長は、「判断を尊重する。検察は法に則り対処する」と述べた。国会は14日の本会議を休会とし、各政党は恩赦法違憲判断について対応策を練った。

 違憲判断を受け、賛否両論が渦巻いている。保守派は「過去の傷跡を暴けば再び国内対立を招く」と警告。進歩派は「和平合意には内戦被害者の意見が反映されなかった。今後、恩赦法見直しを契機として、新らしい和平合意が生まれる」と評価する。

 内戦開始のきっかけとなったオスカル・ロメーロ大司教暗殺(1980)、エル・モソーテ大虐殺(1981)、スペイン人イエズス会士殺害(1989)など大事件のほとんどは未解決のままだ。これらの事件に光が当てられる可能性が出ている。

 イエズス会士事件では、関与した元軍人4人が収監されており、スペイン政府は身柄引き渡しを要求している。この問題の決着に関心が集まっている。

 山中の農村で村人約1000人が政府軍に虐殺されたエル・モソーテ事件では、フネス前大統領が正式に謝罪している。アムネスティー・インターナショナルは、違憲判断を讃え、人道犯罪責任者を早期に裁くよう呼び掛けた。

 ESオンブズマンのダビー・モラレスは、「ラ米諸国でこれまでに人道犯罪が裁かれてきた。恩赦法違憲判断で民主体制はかえって強化される」と指摘した。

 従来、法廷と検察は内戦中の事件が問題になった場合、加害者に有利な姿勢をとっていた。無処罰・免罪の見直しや、被害者の立場を十分尊重する裁判が行われるかどうかが焦点だ。

 

2016年7月14日木曜日

キューバ経済相にリカルド・カブリーサス副首相就任

 クーバの経済政策を指揮する経済・企画相が7月13日、マリーノ・ムリージョからリカルド・カブリーサスに交代した。カブリーサスは元駐日大使で、長らく貿易相を務め、現在は対外経済関係担当副首相。今後は経済・企画相を兼務する。

 ムリージョは、ラウール・カストロ国家評議会議長が市場原理導入を公式に打ち出した2011年から、経済改革委員会の委員長を務め、14年から経済・企画相を兼務してきた。今後は委員長職に集中する。

 今回の人事は、ラウール議長が8日、国会で経済状況について演説したことと無関係ではない。ラウールは演説で、今年下半期は輸出収入減少により資金難となるため緊縮措置を講じると表明した。

 <経済戦争>を仕掛けられているベネスエラからの原油輸入量減少も影響している。政府は電力および石油の消費を抑制してゆく。シエンフエゴスにある玖VEN合弁製油所が120日間、操業を縮小することが12日公表されている。貿易収入源は、ニッケル、砂糖など一次産品の国際価格低迷によるという。

 ラウールは、バラク・オバーマ米大統領が米ドルでの決済をクーバに認めると表明してから3カ月も経つのに、依然許可されていないと明らかにした。国内的には通貨ペソの購買力を増やすため、生活必需品の生産コストと低下の低減を図る。

 議長はまた、改革の速度は諸問題への対応能力に懸かっている、と述べた。今月26日は「民族蜂起の日」(モンカーダ兵営襲撃記念日)だが、ラウールは「敗北主義を排し、革命を信頼しつつ、困難に立ち向かっていこう」と呼び掛けた。

 8日にはまだ経済・企画相だったムリージョは国会で、歳入増大、輸入代替、食糧生産・輸入優先、小売商品供給、建築資材生産などを重点政策に掲げた。

 観光産業は隆盛で、外国人は昨年350万人が来訪、今年は380万人と予測されている。米国人は昨年45万人だったが、今年上半期は前年同期比26%増の30万4000人だった。今や米国人はカナダ人に次いで多くなっている。米政府は6月、米航空会社6社にクーバ9路線就航を認可したが、今月7日には同8社に一日20路線を認可した。

 ラウール議長は観光隆盛に触れながら、「にも拘わらず経済成長は今年上半期1%にすぎない」とこぼした。

 一方ハバナで13日、米植民地プエルト・リコ(PR)の「ミシオン」(民間交流代表部)設立50周年の記念行事が、クーバ人民友好庁(ICAP)によって催された。出席者は、収監されて35年も経つPR独立派オスカル・ロペス=リベラ受刑囚の釈放を訴えた。

 クーバ五輪関係者は12日、リオ五輪ではクーバ人選手120人が18競技に出場する、と明らかにした。メダル獲得数で上位20カ国に入るのが目標という。
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2016年7月13日水曜日

米シティバンクがベネズエラ中央銀行口座を閉鎖

 米シティバンクは7月11日、ベネスエラ中央銀行の支払い用口座を閉鎖すると発表した。「ベネスエラ経済の危機によるリスク増大」を理由にしている。ニコラース・マドゥーロVEN大統領は、「金融封鎖だ」とシティバンクを非難した。

 ベネスエラは、閉鎖された口座を通じて米国をはじめ在外の債務や代金の支払いを遂行していた。VEN政府は急遽、別の銀行を探して新たな支払口座を開設せねばならなくなった。

 VENに進出している米企業のうち、コカコーラ、アメリカン航空、クラフトハインツ&クロロクスなどが既に営業や操業を停止している。政府は11日、生産を停止した米衛生用品製造会社キンバリークラークの工場を労働者管理に委ねた。

 マドゥーロ大統領は11日、食糧、薬品など生活必需物資の物流・供給を軌道に乗せるため、「主権的補給大任務」遂行を国軍に託した。命じられたブラディミロ・パドゥリーノ国防相は、「私は軍人であり文民事項に介入するのを良しとしないが、この任務は国の安全保障、防衛、規律の問題であるため、遂行する」と述べた。

 国軍は12日、主要港のうち、バルガス州ラ・グアイラ港、カラボボ州カベージョ港、ヌエバ・エスパーニャ州グアマチェ港、スリア州マラカイボ港、アンソアテギ州グアンタ港の5港を管理下に置いた。カベージョ港からは早速、大量の食料品や薬品が供給に回された。

 国軍はまた、主要空港、民間輸入企業、その倉庫なども管理下に置いている。生活必需物資の9割は民間企業が支配しており、物流阻止、物資隠匿などが横行してきた。

 反政府野党の代表格ヘンリー・ラモス国会議長は、国軍出動を「プレトリアニズモ(軍部専横支配)」と非難した。一方、フェデカマラス(経団連)は、「石油経済時代が終焉するならば、財界は生産部門を活性化させねばならない」と表明した。

 マドゥーロ大統領は12日、新たに野党連合MUDに「無条件対話」を呼び掛けた。だがMUDは応じていない。政府とMUDの間で対話を仲介しているJLロドリゲス=サパテーロ前スペイン首相は11日、カラカスでディオスダード・カベージョ政権党副総裁(前国会議長)、MUD議員団と別個に会談している。

 同議員団は、政府との対話開始の前提として、大統領罷免国民投票の年内実施、MUD所属の囚人の釈放をサパテーロに伝えた。

 一方、ベネスエラの左翼知識人らは12日カラカスで「何がベネスエラで起きているのか」と題したシンポジウムを開催。マスメディアを、「ベネスエラがあたかも混沌の極みにあるような情報を内外で売りまくっている」と糾弾した。

▼ラ米短信  米連邦下院は7月12日、予算歳出法案に対玖経済封鎖強化策を盛り込むことを決めた。教育交流のための渡玖の一部、玖政府に接収された米企業施設で生産された物資の輸入、玖革命軍関連の送金・融資の3項目を禁止する。

 クーバ系極右議員らのロビー活動により、この禁止条件が決まった。

 
 
 
 

 

2016年7月12日火曜日

「東京タンゴ祭2016」のお知らせ

★★★東京タンゴ祭2016★★★

2016年10月2日(日曜日) 浅草公会堂 1600開場、1630開演 入場料 4500円
 
ラティーナ社、日本アルゼンチンタンゴ連盟 共催、 日本タンゴアカデミー後援

出演:キンテート・ビルトゥス、コー・サンジ(韓国)、 京谷弘司クアルテートタンゴ、 ハヤカワ=テルージ・トリオ(仏人レオナルド・テルージ参加)、 オルケスタ・アウロラ、 ウー・ヤンラン(台湾)など

問い合わせ:ラティーナ社 電話03-5768-5588 


2016年7月10日日曜日

故アジェンデ大統領の娘イサベルが大統領選出馬を表明

 チレの故サルバドール・アジェンデ大統領の3女、イサベル・アジェンデ=ブッシ社会党首(71)は7月8日、来年の次期大統領選挙に出馬する意志を表明した。

 イサベルは社会学者で、1994~2010年下院議員、その後、上院議員で、チレ上院初の女性議長も務めた。

 社会党からは、リカルド・ラゴス元大統領も7日出馬を表明。いずれ同党および政権党連合内での予備選を戦うことになる。一方、保守・右翼連合では、セバスティアン・ピニェーラ前大統領が出馬意志を打ち出している。

 ラゴス政権期の2002~06年、陸軍司令官を務めたフアン=エミリオ・チェイレ退役将軍は7日、アジェンデ社会主義政権を打倒した1973年9月の故アウグスト・ピノチェー将軍らによる軍事クーデターの翌10月16日、軍政処刑部隊「死のカラバーナ(キャラバン)」による政治囚15人の殺害に関与した容疑で逮捕、起訴された。

 人道犯罪裁判担当のマリオ・カローサ判事は、中部のコキンボ州都ラ・セレーナの陸軍連隊で中尉だったチェイレは連隊副司令官を務めており、15人殺害と無関係ではなかった、と説明した。

 チェイレは陸軍司令官として、「人道犯罪を2度と再び起こさない」と誓ったことで知られる。退役後、選管理事、カトリック大学国際研究所長を務めてきた。

▼ラ米短信  アルヘンティーナは7月9日、独立200周年を迎えた。マウリシオ・マクリ大統領は8日、独立縁の地、北部のフフイ州ウマウアーカ市で前夜祭に出席。ここは「ラ・ウマウアケーニャ(ウマウアーカ女=邦題「花祭)」の歌で知られる。

 9日には、同じく北部のトゥクマン州都トゥクマンで200周年式典に臨んだ。首都ブエノスアイレスでも8日、目抜きの「7月9日大通り」を中心に、前夜祭の歌と踊りが繰り広げられ、9日には式典があった。

 バラク・オバーマ米大統領は9日、ジョン・ケリー国務長官を通じ、マクリ大統領を祝福。「米亜両国は米州地域の指導国であり、長年の友邦同士だ」と述べた。

 一方、不正蓄財などでこのほど起訴されたクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル前大統領は8日、法廷出廷のため滞在していたブエノスアイレスで支持者たちを祝福した。

2016年7月7日木曜日

アルゼンチン法廷がフェルナンデス前大統領の資産差押さえ

 アルゼンチン法廷は7月6日、出廷したクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル(CFK)前大統領に対し、CFK所有の1500万ペソ(約130万米ドル)相当の不動産を差し押さえる、と伝えた。CFKは起訴されている。

 CFKは「迫害だ」と反駁している。これに対し、欧州歴訪中のマウリシオ・マクリ大統領は7日ドイツで、「迫害ではない。亜国を法治国家にするという公約を遵守しているだけ」と交わし、「亜国にはもはや無処罰はない。判事、企業家、政治家、ジャーナリストであろうが誰であろうが、無処罰はない」と強調した。

 CFKには以前から不正蓄財疑惑が渦巻いていたが、先月、CFK政権時代の公共事業政策担当者ホセ・ロペスが、ブエノスアイレス郊外の修道院に現金900万ドルを隠そうとして逮捕、起訴され、この事件を契機に、司直の手が前大統領に及んだ。

 CFKは既に、3カ所に分散して隠し持っていた未申告の現金600万ドルを摘発されており、今度、不動産を差し押さえられた。法廷は当面、CFKが大統領時代、中銀にドル先物取引で相場より安くドルを売るよう命じ、国庫に損失を及ぼした責任を追及している。

 だが追及の的は、公共事業に絡む不正蓄財。ロペスが隠そうとした900万ドルも、その一部と見られている。

  CFKのキルチネル派はペロン派左翼。ペロン派は左翼、伝統保守、右翼に分裂しており、昨年の大統領選挙では右翼が離反。その右翼の支持を得た財界候補の右翼マクリが当選した。

 マクリは「法治国家化」を大義名分として、ペロン派左翼潰しに乗り出している、と見ることができる。

▼ラ米短信  ブラジル国会下院のエドゥアルド・クーニャ議長は7月7日、辞任した。巨額の収賄事件で起訴されており、5月から議長と下院議員の資格停止処分に遭い、事実上「前議長」となっていた。議員は辞職しないとしている。

 下院議長はワルテル・マラニャン議員が代行を務めてきたが、同代行の議長昇格はなく、近く議長選挙が実施されるもよう。

 クーニャは、ブラジル民主運動党(PMDB)の実力者で、同党のミシェル・テメル大統領代行と共に、ヂウマ・ルセフ大統領を弾劾する「制度的クーデター」の陰謀の中心人物だった。

2016年7月6日水曜日

エクアドルでキューバ経済難民が米国行き求めデモ

  エクアドール(赤道国)のギヨーム・ロング外相は7月5日記者会見し、キト市内の公園に野営し、米国行きを求めているクーバ人経済難民約300人について、「彼らの移動に関与すれば不法人身取引に関わることとなり、要求は到底受け入れられない」と述べた。

 赤道国は 2008年、クーバ人に対し入国査証を免除したが、難民が殺到したため昨年12月、有効期間90日の観光査証取得を義務付けた。そでれも観光査証を持たない不法入国者が絶えない。

 今年1~4月、赤道国からパナマ、コスタ・リカに移動したクーバ経済難民約3万人が大騒動の末、メヒコ北部国境に移動、米国に移住した。

 今回の300人もキトのメヒコ大使館に通行査証発給を求め、赤政府にはメヒコ北部国境までの航空機提供を要求している。だがメヒコ大使館は、政治亡命者でない者に簡単には査証は出せないとの立場だ。赤政府は、いったん航空機を提供すればきりがなくなるとして、拒否している。

 ロング外相は、問題の根底には米政府が、社会主義クーバから人材を流出させ、クーバを弱体化させるため1966年に施行した悪法「キューバ調整法」があると指摘。米玖国交が再開された今、同法を廃止すべきだと米国に訴えている。

 この法律は、米領土内に辿り着いたクーバ人に定住権や市民権を与えるとしている。本国のクーバ人には、同法廃止前に米国に行き着きたいと願う者が少なくない。クーバ人に対して査証が緩いエクアドールは、人身取引業者にとって格好の通過地点とされている。

 同300人の経済難民はキト市内をデモ行進し、クーバ大使館前に押し掛け、「フィデル、倒れろ」、「ラウールは殺人者」などと叫び、「自分たちは政治亡命者だ」と主張した。だがクーバ大使館は、これを否定、帰国したい者には便宜を図ると伝えた。

 赤道国には、クーバ人定住者7000~1万人がいるが、難民集団は、在赤同胞の署名を集めて米国行きを実現させたい、としている。

▼ラ米短信   ガイアナ首都ジョージタウンで7月5日、第7回カリコム(カリブ共同体・共同市場)首脳会議が2日間の日程で始まった。アーウィン・ラロケ事務総長は、域内統合問題が主要議題だと述べた。

 カリコムとクーバの関係強化、ベネスエラ・ガイアナ間の領土紛争、グアテマラ・ベリーズ間の領土問題も議題になる見込み。

 スリナムのデジ・ボーターセ大統領は初日の全体会議で、「域内産油国は国際原油価格にとらわれない価格で域内非産油国に原油を提供し、域内の工業化に寄与し、一次産品輸出国から脱するのを支援すべきだ」と訴えた。

 米エクソン・モービル社は最近、ガイアナ沖で埋蔵量14億バレルの海底油田を発見したと発表している。トリニダ-ドトバゴ(TT)、バルバドス、スリナムに次ぐ域内産油国になる道が開けつつある。ガイアナとスリナムは金やボーキサイトの輸出国でもある。

 ラ米「太平洋同盟」(AP)加盟国チレのミチェル・バチェレー大統領も特別出席し、チレとカリコムの自由貿易推進、および、カリコムがAPの協賛地域になることへの希望を表明した。
 

2016年7月5日火曜日

停職中のルセフ大統領もリオ五輪開会式に招待さる

 リオデジャネイロ五輪組織委員会は7月4日、停職中のヂウマ・ルセフ大統領を8月5日の開会式に招待することを決めた。主賓席の、ミシェル・テメル大統領代行と離れた席に座ることになる。

 この措置は、テメル代行の正統性に納得しない各国首脳が開会式を欠席するのを防ぐため、と解釈されている。テメルには収賄疑惑が浮上している。

 ルセフ大統領はこの日、ラジオ会見で、副大統領だったテメル代行を「裏切り者で権力奪取者」と糾弾した。また、「そのような人物が幹部であるブラジル民主運動党(PMDB)と連立したのが大きな間違いだった」と述べた。同党は3月連立を離脱、ルセフ弾劾を推進した。

 ルセフは別の会見で、「復権したら政治改革し、選挙で選ばれながら不当に失権した者を救済する」と語った。さらに、「非合法のテメル代行政権が廃棄した社会政策を復活させる」と強調した。

 また仏誌レクスプレスとの会見では、「次期大統領選挙の我々の候補はルーラ(前大統領)だ」と述べ、「今回のクーデターは人気の高いルーラの失権が狙いだった」と指摘した。

 ルセフ弾劾審理中の上院の調査委員会は6月半ば、弾劾理由となっている「粉飾決算」にルセフが関与した証拠はない、との結論に達している。7月4日には、ルセフ弁護団が無罪を主張する弁論を展開した。

 ★上院議長レナーン・カリェイロスは6月末、ルセフ弾劾判決は、8月21日に閉会するリオ五輪後の同月25~27日になると明らかにした。カリェイロスにも収賄の疑いがかけられている。

 テメル政権は6月半ば、ルセフが国内移動に空軍機を使用する権限を、首都ブラジリアと自宅のあるポルトアレーグレ市間に限定した。これに対しルセフ支持者は一日で10万ドルを集め、ルセフの移動費とした。

2016年7月3日日曜日

ベネズエラ国軍がマドゥーロ大統領に忠誠誓う

 ベネスエラ原油の6月の国際価格は平均39米ドルだった。リカルド・メネンデス企画相は6月29日、石油収益の64%は社会投資に回していると明らかにした。

 オタワで29日開かれた北米首脳会議後の記者会見で、バラク・オバーマ米大統領はベネスエラ情勢に触れて、「政府と野党は実のある対話をすべきだ。憲法に盛り込まれている大統領罷免の是非問う国民投票を実施すべきだ」と述べた。

 これに対し、デルシー・ロドリゲスVEN外相は同日カラカスで、内政干渉だとして糾弾した。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は30日、2011年以降、「ベネスエラ住宅大計画」(GMVV)に基づき、計106万2000戸が建設された、と明らかにした。これらの住宅は、庶民に無料もしくは安価で引き渡されてきた。

 同日、ベネスエラ国防省で同国とコロンビアの国防相会談が開かれ、両国国境での警備協力再開で合意した。ベネスエラは国境を昨年8月から閉鎖してきたが、近い将来、閉鎖が解除される可能性があるとの見方が為されている。

 7月1日、ベネスエラは南部共同市場(メルコスール)の輪番制議長国に就任。近く加盟国外相会議で就任式が催される見込み。パラグアイは、この就任に強く反対している。ブラジルは態度を明らかにしていない。

 同日報じられた世論調査結果によると、マドゥーロ大統領の支持率は23%。野党連合MUDは罷免国民投票実施を求めて署名を国家選挙理事会(CNE=選管)に提出しているが、選管は7月26日までに署名の検証結果と今後の手続きについて発表することになっている。

 マドゥーロ大統領は2日、パンテオン(偉人霊廟)と、故ウーゴ・チャベス前大統領の霊廟のある丘上兵営での将官昇進・士官表彰式典に臨み、国軍に「チャベス思想とボリバリアーナ革命政府」への絶対的忠誠を求めた。国軍は忠誠を誓った。

 大統領は、「国軍が米帝国主義に屈従し、寡頭支配勢力の下部(しもべ)であった時代には決して戻らない」と強調した。
 

2016年7月2日土曜日

ラ米の太平洋同盟と南部共同市場が統合努力開始へ

 ラ米太平洋岸4カ国(墨コロンビア秘智)による太平洋同盟(AP=アリアンサ・デル・パシフィコ、2011年結成)の第11回首脳会議が7月1日、チレ南部のプエルト・バラスで開かれ、APと南部共同市場(メルコスール)の統合について検討を開始することを決めた。

 首脳らは、「英国の欧州連合(EU)離脱決定に鑑み、分裂主義を回避するためにも」として、統合を目指す立場を表明した。APはラ米新自由主義路線の代表で、域内製品92%の域内貿易関税を撤廃するなど、進展が著しい。

 前日の6月30日に同地で開かれたAP諸国企業家会合には、メルコスール加盟国アルヘンティーナのマウリシオ・マクリ大統領が出席、統合の必要性を強調した。またAPの次期加盟国候補コスタ・リカのルイス・ソリース大統領も同会合に出席した。

 AP首脳会議は、ハバナで6月23日内戦停戦合意書署名に至ったコロンビアを祝福した。会議には、ペルー次期大統領PPカチンスキも出席、外交デビューした。

 一方、メルコスール(亜伯ウルグアイ・パラグアイ・ヘネスエラ)への加盟手続き中のボリビアは6月末、パラグアイ国会がその加盟を批准したため、残るブラジル国会の批准を待つばかりとなった。

 だがエボ・モラレス大統領が、ミシェル・テメル伯大統領代行の政権を厳しく批判してきたため、批准には時間がかかるとの見方が出ている。

 メルコス-ルの輪番制議長国は7月1日、パラグアイからベネスエラに移った。マドゥーロVEN政権を嫌うカルテス・パラグアイ政権は議長国を渡すのに反対したが、亜国とウルグアイが渡すのを推進した。

 モンテビデオのメルコスール本部では加盟国社会問題会合が30日から開かれているが、社会運動家たちは1日、メルコスールに対し、テメル伯代行政権を認めないよう要請した。

▼ラ米短信  コロンビア内戦停戦・和平達成を推進する国連監視団の団長に7月1日、亜国陸軍のハビエル・ペレス少将が決まった。軍歴35年、1993年には国連イラク・クウェート監視団(UNIKOM)に参加している。

 コロンビア監視団は国連が、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)に委託。CELAC加盟35カ国のうちのスペイン語国19カ国の中から、当事国コロンビア、コロンビア和平関係国(クーバ、ベネスエラ、チレ)、隣接国(ベネスエラ、<ブラジル=葡語国>、ペルー、エクアドール、パナマ)を除く諸国から選ばれた。

 亜国、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビア、エル・サルバドール(ES)、グアテマラ、メヒコの7カ国が参加する。ESとグアテマラは内戦と和平を経験している。監視団は、7カ国の丸腰軍人350人と、文民150人で構成される。

 コロンビア政府と停戦合意したコロンビア革命軍(FARC)ゲリラは、国内23地域と8野営地に集結、武装解除される。 
 




 

2016年7月1日金曜日

6月の主な伊高浩昭執筆記事

◎最近の主な伊高浩昭執筆記事(6月)

★「週刊金曜日」6月3日号書評 『新版 現代ブラジル事典』(新評論、3500円)--「ルセフ大統領をお払い箱にした真相」

★「世界」7月号(6月8日) 論評「<バナナ共和国>に成り下がったブラジル  事実上のクーデターでルセフ大統領弾劾へ」

★「LATINA」7月号(6月20日) 「ラ米乱反射 連載第123回: <バナナ共和国>に成り下がったブラジル  <制度的クーデター>で大統領を窮地に追い込む」

☆同誌書評 『マヤ文明を知る事典』(青山和夫著、東京堂出版、2800円)

★「週刊読書人」(6月24日号) 書評:『教皇フランシスコ』(オースティン・アイヴァリー著、宮崎修二訳、明石書店)--「カトリック教会の<救世主>  異教間に理解の橋を懸け、国際情勢に積極関与」