2015年5月31日日曜日

千恵蔵の「7つの顔(の男)」を六十数年ぶりに観る

 私の小学生時代、男児の間で最も人気のあった映画は、片岡千恵蔵主演の「七つの顔の男・多羅尾伴内」シリーズだった。放課後、浅草や入谷の映画館に走って行って観たものだ。

 このほど、ある深夜に、「7つの顔」(1946年)と「13の眼」(1947年)を観た。いずれも松田定次監督で、大映作品。日本を占領した米軍当局から時代劇を禁止されたため、西部劇式に拳銃で派手に撃ち合う現代劇に切り替えたもので、大人から見れば荒唐無稽極まりない筋だが、子供には大いに楽しい映画だった。

 このシリーズの最初の作品「7つの顔」で、千恵蔵は奇術師、多羅尾伴内、監獄、新聞記者、占い師、片目の運転手、藤村大造に七変化(へんげ)した。「13の眼」では、犯罪研究者、奇術の得意な贋金造り、占い師、闇市場の万年筆売り、多羅尾伴内、 藤村大造に変化した。大人は、いくら変装してもみな千恵蔵だとわかってしまっている、と批判していたが、子供は問題にしなかった。

 大映は4作で終わり、東映に移って、さらにヒットした。「片目の魔王」、「曲馬団の魔王」などが生み出された。観た翌日、教室で千恵蔵の台詞の真似を競い合った。60~65年ぶりに観るシリーズ、今観ると、千恵蔵はあまり強そうに見えない。

 だが、敗戦直後の貧しかったあのころ、私たち子供は、千恵蔵の現代劇を時代劇同様に愛していた。

エクアドール大統領がCELAC・EU首脳会議出席へ

 エクアドールのラファエル・コレア大統領は5月30日、ブリュッセルで6月10~11日開かれる第2回CELAC・EU首脳会議に出席する、と発表した。コレアは、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC、加盟33カ国)の輪番制議長。

 ブリュッセル会議では、CELAC域内7100万人の貧困層救済、気候変動、移民問題などが話し合われる。

 一方、ボリビアのエボ・モラレス大統領は30日、ブリュッセル会議ではFIFA汚職・腐敗問題を取り上げるべきだ、と述べた。

 大のサッカー好きで知られ、訪問先の国でも親善試合にしばしば出場するエボだが、「ブラッターは勝ち、サッカーは敗れた」と、FIFA会長選挙の結果を酷評した。

キューバとシリアの政権党が会談

 クーバ共産党第2書記ホセ=ラモーン・マチャード(国家評議会副議長)は5月30日ハバナで、シリア政権党、社会主義アラブバース党のヒライ・アルヒライ副書記長と会談した。

 一方、スペインのイベリア航空は6月1日から、マドリー・ハバナ便を週往復5便運航する、と30日明らかにした。イベリアは2013年4月、採算が合わないとして同路線運航を打ち切っていた。

ベネズエラ経済は油価低落などで昨年3%縮小

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は5月29日、同国経済は昨年、3%縮小した、と発表した。

 国際原油価格の下落・低迷や、国内企業による「経済戦争」が原因と説明した。2013年は1・3%成長していた。

 一方、 野党支持勢力は30日カラカス中心街で、街頭暴力扇動罪などで逮捕され起訴されている者など77人の反政府派の釈放を要求する集会を開いた。起訴され収監されている極右政治家レオポルド・ロペスの獄中からの呼び掛けで実施された。

 だがエンリケ・カプリーレスら、極右と一線を画す右翼・保守派政治家らは集会参加を見送った。カプリーレスらは、以前と変わって、政治的変化は街頭からでなく投票所からもたらされると、年内実施される国会議員選挙に政治活動の的を絞っている。

2015年5月30日土曜日

チリ政府が教育改革法施行

 チレのミチェルバチェレー大統領は5月29日、教育改革の一環として、「金儲けのための私学教育」の比重を減らしていく教育改革法を施行した。

 公共教育における父兄・学生側負担を2016年から段階的に減らし、国家予算で教育を賄う制度に戻していく。ピノチェー軍政以降、新自由主義政策への急傾斜で教育も「商売」と化し、教育を享受するのに富裕層が有利となり、貧富格差固定化の重大な要因になってきた。

 新法は、教育が高価であるがゆえに富裕層に偏りがちな「学校選択の自由」を、万人に与えるのも目的とする。貧しい家庭の中等生の多くは、奨学金で大学に行くことが可能になる。

 政府は今後も教育改革の手を打っていくが、今回の改革法が不十分だとする大学生、中等生は首都サンティアゴや港街バルパライソ市などで抗議デモを続けてきた。29日にも首都で大規模な抗議行動があり、学生170人が逮捕された。
  
 

コロンビアで和平合意による地雷除去の準備整う

 コロンビア和平交渉の後見国クーバとノルウェーは5月29日、コロンビアで交渉合意に基づく最初の対人地雷除去の用意ができた、と発表した。

 コロンビアの首都ボゴタの北西にあるアンティオキア州のブリセーニョ市エルオレゴンで20~27日、地雷が最もたくさん敷設されている1万2000平方mの地域が特定された。

 この作業には、コロンビア政府軍、コロンビア革命軍(FARC)の内戦および和平交渉の両当事者が関わり、クーバ、ノルウェー、国際赤十字、アンティオキア州政府が立ち合った。

 近く、地雷除去作業に移る。

米政府がキューバを<テロ支援国家指定>から外す

 米政府は5月29日、規定方針通り、「テロリズム支援国家指定」からクーバを外した。早ければ6月の国交再開に弾みがついた。

 問題は、日本紙の報道ぶりだ。あたかもクーバがテロを積極的に支援し、それが「正義の味方米国」にとって制裁されていたかのような書きっぷりが数なくない。

 クーバにしてみれば、革命後のおびただしい回数の破壊活動、対人テロ、フィデル・カストロら要人暗殺未遂、ヒロン浜侵攻、空爆など、クーバに対しテロや破壊活動を恣にしていたのは米国だった。この点に全く触れずに書くから、記事に重みがない。

 クーバ航空旅客機空中爆破事件の主犯ルイス・ポサーダ=カリーレスをマイアミで匿っているのも米当局である。

 「テロ支援国家指定」は、レーガン米政権が1982年、スペインの「バスク国と自由」(ETA)およびコロンビア革命軍(FARC)の要員を匿ったり支援したりしているとしてクーバに適用した。

 だが当時、レーガン政権はサンディニスタ・ニカラグア政権を倒すため、隣国オンドゥーラスで反革命(コントゥラレボルシオナリア)ゲリラを編成し攻め込ませ、1980年代のニカラグアを内戦に陥れた。

 このような政府によるテロを国家テロと呼ぶが、クーバや国際社会から見れば、玖米両国を比べた場合、「テロ支援国」は明確に米国だった。

 米国による対玖経済封鎖についても、「経済制裁」と書く記者たちが多すぎる。米政府でさえ「エンバーゴ」(禁輸など)と言う用語を使い、必ずしも「サンクション」(制裁)ばかりを使っているわけではない。

 クーバは「ブロケオ」(封鎖)を使うが、「制裁」などを受けるいわれもなければ、米国に他国を「制裁」する特権があるなどと全く認めていないからだ。

 若い記者らに勉強を促したい。東西冷戦後の対米軍事同盟一辺倒の時代に育った日本人記者の多くは、日本政府同様に、対米従属に違和感を抱いていないかに見える。

 軍産複合体が戦前の日本を帝国主義に導き、日本を破滅させた。いままた同じ道を日本が歩もうとしている。記者の報道ぶりをみていると、政府の暴走にブレーキをかける役割が役不足と映り、心もとない。

 一方、ブルーノ・ロドリゲス玖外相は28日、米共和党下院議員団と会合、国交再開について話し合った。経済封鎖解除が大使級外交関係再開後の最重要課題となる。

ペルーとホンジュラスが自由貿易協定調印

 オンドゥーラスのフアン・エルナンデス大統領は5月29日、公式訪問したペルーの首都リマで、オヤンタ・ウマーラ秘大統領と、自由貿易協定(TLC)に調印した。

 両国貿易は2014年往復4700万ドルだった。これを増やしていく。

 中米諸国首脳の南米公式訪問は比較的珍しい。

2015年5月29日金曜日

詩人パブロ・ネルーダの遺骨から毒物との関係可能性疑いうるブドウ状菌発見

 詩人パブロ・ネルーダの死因調査に当たっているチレ判事マリオ・カローサは5月28日、詩人の遺骨から毒物との関連性を想定しうるブドウ状菌が発見された、と明らかにした。

 調査したスペインのムルシア大学法医学局のアウレリオ・ルーナ=マルドナード医師は、ネルーダの遺骨から3種類のバクテリアを発見。うち2種類は、詩人が晩年患っていた前立腺癌と関連しうるものだったが、第3のバクテリアはブドウ状菌で、癌とは関連付けができない。

 現時点では、詩人が死の直前に何らかの致死性物質を投入された可能性を証明するまでに至っていないが、同可能性を完全に否定することもできなくなった。

 このような調査結果が出たため、カローサ判事は、遺骨をイスラ・ネグラの旧ネルーダ邸の庭にある墓に戻す許可を与えていない。

 ネルーダは、1973年9月1日のピノチェーらによる軍事クーデターでアジェンデ社会主義政権が崩壊して間もなく、軍政に身柄を首都サンティアゴのサンタマリーア診療所に移され、23日、容体が急変し死亡した。翌24日には、メヒコに亡命することになっていた。

 ネルーダ晩年の側近だった運転手マヌエル・アラヤの告発を受け、遺族と詩人が所属していたチレ共産党(PCCH)は遺骨の調査を求めて提訴。カローサ判事は遺骨の発掘を命じ、2013年4月、遺骨は発掘され、米国とスペインで調査されていた。

 先ごろ、ネルーダの遺産を管理する財団が遺骨を返還するよう要請したが、判事は「新事実」を公表し、当面、遺骨返還がないことを示した。  

国連安保理がジャーナリスト殺害犯の捜査を加盟国に要請

 国連安保理は5月27日、武力紛争地域におけるジャーナリストが紛争犠牲者を守るために果たしている役割の重要性を認め、ジャーナリストを殺傷した犯人の無処罰を許さず徹底捜査するよう全国連加盟国に要請した。

 ジャーナリスト殺害事件の95%は未解明かつ無処罰。残る5%も部分的にしか解明・処罰されていない。

 安保理は、ジャーナリストを拉致したり斬首したりする武装組織による脅威への強い憂慮を表明した。スペインは、「武力紛争地域におけるジャーナリスト殺害は戦争犯罪と規定すべきだ」と提起した。

 過去10年間に世界で700人を超えるジャーナリストおよび関連職が殺されている。シリアでは2011年の内戦開始以来、80人以上が殺されてきた。

 殺されたジャーナリストらの95%は地元メディアに所属していた。外国人記者らの拉致や殺害は華々しく報じられるが、地元記者の犠牲にはあまり注意が払われていない、という現状も指摘された。

ブラジル下院が大統領再選を禁止する改憲法案を可決

 ブラジル国会下院は5月27日、大統領、州知事、市長の再選を禁止する改憲案を賛成452、反対19、棄権1で可決した。

下院は次いで、これらの職位の任期を現行の4年から、一回限りの5年とする改憲案、18~70歳の有権者に対する義務投票制を廃止する改憲案などを採決する。

 それらが済むと、改憲案は上院に回される。

 大統領らの再選は、90年代に政権党だったブラジル民主社会党(PSDB)の発案で憲法に盛り込まれた。

 今回の改憲が成れば、去年連続再選されたヂウマ・ルセフ現大統領(労働者党=PT)が最後の再選大統領となる。
 

2015年5月28日木曜日

米議員がキューバで、数週間内に国交正常化と語る

 クーバを訪問した米民主党議員団の団長トーマス・ウダル上院議員は5月27日ハバナで、数週間以内に国交正常化(大使館開設)が成る、との見通しを明らかにした。

 また、米議会内には対玖経済封鎖解除に賛成する超党派の合意が形成されつつあり、少なくとも米市民の対玖自由渡航を認めるためなど部分的な封鎖解除が期待されると述べた。

 26日ハバナ入りしたエル・サルバドールのサルバドール・サンチェス=セレーン大統領は27日、ラウール・カストロ議長と会談した。クーバとベネスエラが組み、白内障、緑内障など目の病気を治す「奇蹟のミシオン」計画をエル・サルバドールでも実施することが決まった。

 一方、ハバナで行われているコロンビア和平交渉の後見国クーバおよびノルウェーは27日、交渉が進展しているさなかのコロンビアでの戦闘激化は嘆かわしい、と憂慮を表明した。

 最近の政府軍による空爆で、ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)側のハバナ交渉代表の一人も死亡している。
 

メキシコ学生43人強制失踪事件から8カ月経過

 メヒコの教員養成学校生43人が強制失踪させられた事件の発生から5月26日で8カ月経った。学生1人の遺骨の身元が判明しただけで、42人は「行方不明」のままだ。だが政府は、43人全員が殺害され遺体が焼かれた、と断定している。

 発生8カ月に際し、遺族、被害者家族、学生、教員らは全国で連帯と政府糾弾のため行進した。メヒコ市では、レフォルマ大通りからベニート・フアレス碑にかけて抗議行進があった。警察機動隊が出動、中心部の憲法広場(ソカロ)に進むの催涙ガスでを阻んだ。

 憲法広場に面した大統領政庁では国賓ブラジル大統領歓迎の晩餐会が予定されていたことななどから、抗議行進は前進を阻止された。

 グアテマラ人ノーベル平和賞受賞者リゴベルタ・メンチューはこの日、メヒコ市での犠牲者家族らとの会合で連帯し、真実を語るよう呼び掛けた。

 犠牲者家族会の代表は、政府が家族会分断のため、住宅や現金と引き換えに「悲しみを忘れるよう」働きかけてきている、と暴露した。

 一方、事件未解決で批判の矢面に立たされているエンリケ・ペニャ=ニエト大統領は27日、「国家腐敗取締機構」を設置する改憲条項を公布した。向こう1年内に関連法を整備するという。

 この日、メヒコペソは1米ドル=15・65ペソとなった。 

ベネズエラとロシアが原油増産に140億ドル投入へ

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は5月27日、ミラフローレス政庁で、ロシア国営石油ロスネフチのイゴル・セチン社長と会談し、ベネスエラ原油の増産計画への投資協力で合意した。

 ベネスエラ国営石油会社PDVSA(ペデベサ)とロスネフチ社は、向こう数年間にオリノコ油田を含む油田とガス田に140億ドルを投下する。

 一方、デルシー・ロドリゲス外相は27日モスクワで、セルゲイ・ラブロフ露外相と会談した。双方は、メディア宣伝、経済、金融面での「非通常型戦争」を仕掛けられているとして、防衛協力で合意した。

 米政府はこのほど、国務省顧問トーマス・シャノンをベネスエラとの関係改善の対話役に任命したが、ロドリゲス外相は25日、好ましいと表明した。シャンンは今年2回カラカスを訪れ、マドゥーロ大統領、ロドリゲス外相と会談している。

 マドゥーロは20日、コロンビア和平交渉への米政府参与バーナード・アロンソンとカラカスで会談し、そこからシャノン人事が浮かび上がったもよう。

2015年5月27日水曜日

ブラジル大統領がメキシコを訪問

 ブラジルのヂウマ・ルセフ大統領は5月26日、国家元首公式訪問としてメヒコを訪れ、エンリケ・ペニャ=ニエト(EPN)大統領と会談した。

 ラ米の1、2位の経済力を誇る両首脳は、経済関係のさらなる拡大強化で合意した。

 ルセフ大統領はメヒコ財界人との会合で演説し、メヒコと南米のチレ、ペルー、コロンビアが加盟する太平洋同盟(AP)と、ブラジルが盟主の南部共同市場(メルコスール)および南米諸国連合(ウナスール)の関係について、「代替でなく相互補完の関係でなければならない」と訴えた。

 EPN墨大統領は、米加両国と組む北米自由貿易協定(地域、TLCAN・NAFTA)の重すぎる関係をできるだけ「中和化」するためラ米との関係を重視しており、既にブラジルを公式訪問している。

米州諸国機構(OEA・OAS)の新事務総長が就任

 米州諸国機構(OEA)の事務総長に5月26日、ルイス・アルマグロ前ウルグアイ外相が就任した。任期は5年。

 新総長は、3月18日に選出されていた。前総長ホセ=ミゲル・インスルサ元チレ外相は米国寄りの姿勢が目立った。

 新総長は、1962年に事実上、米国の圧力でOEAを追われたクーバの復帰を最大の課題としている。

2015年5月26日火曜日

中国首相の南米4カ国歴訪終わる

 チレのミチェル・バチェレー大統領と中国の李克強首相は5月25日サンティアゴで会談し、広範な経済協力で合意した。

 李首相は記者会見で、1970年末、アジェンデ社会主義政権のチレが中国にとって国交を樹立した最初のラ米の国だったことを念頭に、「両国関係は中国とLAC(ラ米・カリブ)との関係において常に前衛だった」と述べた。

 中国人民銀行はチレ中銀に向こう3年間に220億人民元(約3600万ドル)を融資することになった。また500億元をチレでの投資に充てることも決まった。

 またチレに元建ての中国建設銀行を設置することも決まった。両国貿易は年間340億ドルだが、経済関係は貿易中心から投資強化に移行しつつある。

 李首相は、亜国とパラグアイ経由でブラジルとチレを結ぶ南米南部回廊構想への中国の関心を表明した。

 首相は、中国経済が今年第1四半期に7%成長したこと、および4~5月も復調傾向にあることを明らかにした。
 
 同首相のブラジル、コロンビア、ペルー、チレの南米4カ国歴訪は終わった。
 

エクアドール大統領が北米除く人権機構を設けようと提唱

 エクアドールのラファエル・コレア大統領は5月24日、国会で年次施政報告演説をし、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC、加盟33カ国)は独自の「ラ米人権機構」を持つべきだ、と提唱した。

 その制度には、米州人権条約(サンホセ条約)を批准した国だけが参加できるとし、批准していない米国が、批准しない限り排除される可能性を示唆した。

 米国は、米州諸国機構(OEA)の機関である米州人権委員会(CIDH)を通じ、ワシントンの意向に従わないラ米諸国の「人権状況」を批判しているが、サンホセにある米州人権裁判所には加盟していない。

 コレア大統領は、CIDHは不要だと述べた。

 大統領はさらに、CELACは外国の庇護を受けるという古い米州の在り方から解放され、独自に議論し合うべきだ、と強調した。

 ワシントンに本部のあるOEAについて、「現在まで北米(米国)の利害と考え方に囚われてきたが、これは新時代にあるLAC(ラ米・カリブ)にそぐわない」と前置きし、「OEAは今後、CELACと北米が一致点と対立点を明確にする場になるべきだ」と訴えた。

 コレアは、CELACが独自の人権機構を設けるべきだとの考え方を、パナマで4月開かれた第7回米州相会議でも表明している。

 大統領は演説で、国際原油価格低迷により国庫は昨年9月から今年4月までの期間に22億4100万ドルの収益を失った、と明らかにした。価格は3月、1バレル=34・7ドルまで落ち、「最も苦しい時期だった」と振り返った。

 コレアはさらに、34年前の1981年5月24日に「飛行機事故」で死んだとされるハイメ・ロスドース大統領の「事故死」が極めて疑わしいと述べた。この発言は、以前から根強くある暗殺説を踏まえている。

 大統領は2013年の施政報告演説時に、ロルドースの遺族に再調査を約束、以来、検察が調査してきた。

 今月22日、フェルナンド・コルデロ国防相は、同省の解禁文書をガロ・チリボーガ検事総長に提出したが、そこには、ロルドース大統領の専用機は「ブラックボックスがないまま購入された」旨を記す文書が含まれていた、という。

 検事総長は、故大統領の「事故」に関する重要文書が破棄されてしまっていることを明らかにした。CIAの解禁文書には、当時の
エクアドール軍部も「コンドル作戦」に加担していた事実が記されており、チリボーガはこの点にも触れた。

 「コンドル作戦」は、コノスール(南米中南部)のブラジル、亜国、ウルグアイ、パラグアイ、チレ、ボリビアの軍政がCIAの肝煎りで結成、相互に協力して反政府勢力を殺害していた。

 コレア大統領も演説で、当時の軍部が「コンドル作戦」に加担していたことに触れた。

 一方、エクアドール海軍練習帆船グアヤス号は25日、ハバナ港に入港した。 

 


2015年5月25日月曜日

映画「イル・ポスティーノ」の原作、スカールメタの小説をどうぞ

 詩人パブロ・ネルーダ(1904~73)とカルテーロ(郵便配達夫)との交流を描いたチレ人作家アントニオ・スカールメタの小説『燃えたぎるような忍耐』(別名「ネルーダの郵便配達夫」)がある。

 1985年の作品で、これを翻案して制作されたのが94年の映画「イル・ポスティーノ(郵便配達夫)」だ。主演マッシモ・トロイージの名演技と、この映画の完成直後にトロイージが急死したこともあって、映画は世界的に大ヒットした。

 映画の当たりを受けて日本では96年に訳書が徳間文庫(鈴木玲子訳)として刊行された。題名な何と、映画の題名と同じ! 違和感が否めない。

 小説の舞台となったのは、チレ中部太平洋岸のイスラ・ネグラ(直訳すれば「黒島」)。この地にある邸宅にネルーダ夫妻は晩年住んでいた。夫妻の墓も庭にある。

 映画は、舞台をイスラ・ネグラから地中海のイタリア・カプリ島に移し、筋をかなり変えている。ネルーダが祖国で迫害されカプリ島で亡命生活を送っていた時期に筋を上手に合わせたのだ。

 訳書の巻末で解説者は、イスラ・ネグラを「島」と誤解して書いている。読者は、それが島ではなく陸地の一部の地名であることを認識してほしい。

 海と船が大好きだったネルーダは、海岸地帯の低い丘の上の邸宅を船のように造り、海岸まで続く庭は太平洋の大海原を借景にしている。邸宅は今は有料のムセオ(博物館)になっている。

 映画を観て感動した人々に、是非スカールメタの原作を読むよう勧めたい。

 因みに、イスラ・ネグラの北方100kmの太平洋岸にあるバルパライソの旧ネルーダ邸も、バルパライソの東方120kmの首都サンティアゴにある旧ネルーダ邸も、内部が船のような構造になっている。これらの邸宅もムセオで、観覧できる。

 

反ベネズエラ報道が無処罰のまま罷り通っている、と外相非難

 ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は5月24日、反ベネスエラの意図的誤報キャンペーンを張っている諸国メディアが無処罰のまま放置されている、と指摘した。

 たとえば、街頭暴力教唆罪や政変画策容疑で逮捕されている極右政治家らの釈放を求めるキャンペーンが続いており、日本の一部メディアもそれに乗せられている。逮捕の原因に触れずに「政治囚釈放」を訴える手法が罷り通っているわけで、外相は、そのような状況を非難した。

 外相はまた、ベネスエラ東隣のガイアナ西部沖の経済水域での海底油田開発を中止するよう、米エクソン・モビル社に通告した。

 ベネスエラとガイアナは、ガイアナ西部のエセキーボ地方の領有権をめぐって長らく紛争状態にある。ベネスエラにとっては、同地方沖での油田開発は自国主権の侵害に当たるため、開発停止を申し入れた。

 エクソンは今月8日、油井から原油が出たことを明らかにしている。

 ロドリゲス外相は、ホセ=ビセンテ・ランヘール元副大統領がキャスターを務める民放報道番組で発言した。

2015年5月24日日曜日

エル・サルバドールの故オスカル・ロメーロ大司教が福者に

 サンサルバドールで5月23日、故オスカル・ロメーロ大司教を福者に認定する式典が催された。会場の市内「世界救世主広場」にはカトリックの信者30万人が集まった。米加州など国外から駆けつけたサルバドール人たちもいた。

 ロメーロは1980年3月24日、市内の病院礼拝所でミサをしていたさなか、凶弾に倒れた。

 大司教は、軍民の極右勢力が政権を牛耳り市民を弾圧していた状況を批判し、貧者の味方であることを明確にしていたため、暗殺された。後の調査で、極右勢力を率いていた故ロベルト・ダウビソンが事件の黒幕と判明した。

 法王フランシスコの代理アンジェロ・アマト枢機卿は、「アメリカ(米州)の健全性を象徴する輝く星」と故大司教を讃えた。「不可能を可能にした殉教者」などの称賛する言葉も聞かれた。

 エル・サルバドール内戦は、ロメーロ暗殺によって始まり、92年末まで続いた。

 式典には、サルバドール・サンチェス=セレーン大統領のほか、エクアドール大統領ラファエル・コレア、パナマ大統領JCバレラ、玖第一副議長ミゲル・ディアスカネルら来賓多数が出席した。黒幕ダウビソンの長男や、姉妹も出席した。亜国大統領、米大統領ら各国首脳からのメンサヘ(メッセージ)も届いた。

 殉教者ロメーロの福者認定は、国内和解の新しい象徴と位置付けられている。

ベネズエラ原油は1バレル=56ドル

 ベネスエラ原油の国際相場は5月23日、1バレル=56・28米ドルとなった。

 通貨ボリーバル・フエルテ(bf)は、必需物資輸入用の公定交換率が1ドル=6・3bfのところ、並行交換率(闇市場)では23日、1ドル=400bfに達した。

 激しいインフレが昂進しており、政府が賃上げを繰り返しても物価上昇に追いつかない状態だ。

チリ元政治囚組織と政府が合意

 チレ政府と、ピノチェー軍政期(1973~90)に迫害された元政治囚とその遺族の協会は5月23日、政府が賠償措置を盛り込んだ法案を一カ月以内に国会に提出することで合意した。

 軍政に逮捕され拷問された者は20万人に及ぶ。賠償の対象者は、元政治囚として認定された者および、その遺族。

 元政治囚らは、政府に年金増額などを求めて飢餓ストライキを続けていた。ストは合意を受けて打ち切られた。

メキシコで銃撃戦、麻薬マフィア要員42人が死亡

 メヒコ・ミチョアカン州当局は5月23日、同州タヌアト市ティナガデバルカス地区の農場で22日白昼3時間に亘って銃撃戦が展開され、43人が死亡、負傷者、逮捕者も出ていると明らかにした。

 死亡者は42人が、麻薬マフィア「ハリスコ・新世代」(JNG)などに所属する殺し屋ら。現場は、ハリスコ州境に近い。残る一人は治安部隊要員だった。遺体は、検視のため州都モレリアに搬送された。

 両州境界地帯は「熱い地」(ティエラ・カリエンテ)と呼ばれるが、十数年来、麻薬暴力事件が激発している。
 

中国と伯秘両国が南米横断鉄道建設で実現可能性調査へ

 ペルーのオヤンタ・ウマーラ大統領は5月22日、リマで李克強首相と会談、その後の記者会見で、「南米大陸縦断鉄道は、太平洋岸の自然の出入り口であるペルーの立場を強化することになる」と述べた。

 李首相は、「伯秘中3国は南米横断鉄道建設の実現可能性調査をすることになるが、それは環境保全にも配慮するものとなる」と指摘した。

 双方は、工業、技術、運輸、エネルギー、教育、保健、人道支援など10項目の協力協定に調印した。両国貿易は自由貿易協定が2010年に発効したことにより、年間160億ドルになっている。中国はペルー鉱山への最大投資国であり、鉱物を中心に輸入している。
 

2015年5月23日土曜日

米国とキューバが国交正常化交渉続開へ

 玖米両国は5月21、22両日ワシントンで、第4回国交正常化交渉をした。玖外務省は、双方は引き続き話し合いを続けることで合意した、と発表した。向こう数週間内に第5回交渉がハバナで行われる見通し。

 今交渉の焦点は、ハバナ駐在の米外交官の行動範囲、および米大使館の役割についてだった。米側の「平和裡の体制打倒」への工作を警戒するクーバは、体制転覆工作を大使館の役割に含んではならないとの立場であり、米外交官がハバナ域外で反体制派と接触するのを規制しようとしてきた。

 「平和裡の体制変換」を狙う米側は、強く反対してきた。

 一方、玖政府は22日、マリエル開発特区(ZEDM)への6社の進出が認可された、と明らかにした。うち5社は100%外資の外国企業で1社は合弁。6社の業種は、農業加工、電子、軽工業、化学、輸送など。

 クーバのミゲル・ディアスカネル第一副議長は22日、サンサルバドール入りした。23日に催される同市の故オスカル・ロメーロ大司教の福者認定式に出席するため。

 大司教は1980年3月、市内の病院内の礼拝堂でミサをしていたさなか、エル・サルバドールの極右勢力に暗殺された。これにより同国内戦は始まった。 

2015年5月22日金曜日

ベネズエラ政府が「麻薬取引疑惑」指摘された国会議長らの防衛運動展開へ

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は5月19日、米WSJ紙などによる、ディオスダード・カベージョ国会議長らの「麻薬疑惑」報道に対抗し、同議長らを守るため国策として内外で情宣活動を展開すると述べた。

 同議長や、タレク・エルアイサミ元内相(現アラグア州知事)ら高官が疑惑を指摘されている。

 マドゥーロ大統領は21日、国営電気通信会社(CANTV)は策定中の2025年までの「社会主義開発計画」を6月5日発表する、と明らかにした。

李克強中国首相がコロンビア訪問

 コロンビアのJMサントス大統領は5月21日ボゴタで李克強中国首相と会談、両国貿易など経済関係強化や、アンデス諸国の社会基盤整備に中国が協力することを話し合った。

 李首相は22日ペルーを、次いでチレを訪問する。

 ペルーは、中国が建設することにしている、ブラジル大西洋岸に発する南米大陸縦断鉄道の太平洋側ターミナルであり、秘中首脳会談では同鉄道建設計画が中心議題になるもようだ。

グアテマラ大統領が主要閣僚を更迭

 大規模な腐敗・汚職事件で揺れているグアテマラのオットー・ペレス=モリーナ大統領は5月21日、内相、環境相、エネルギー・鉱山相、国家情報局長官を更迭した。

 同事件が明るみに出た4月以来、大統領辞任を求める世論が沸騰し、大規模な抗議行動が続いている。渦中の人物だった副大統領が既に辞任し、検察の取り調べを受けている。

 また21日、中央銀行総裁と社会保障庁長官が汚職容疑で逮捕された。大統領はさらなる辞任圧力を受け、閣僚らの更迭に踏み切った。だが自身は来年1月までの任期を全うすると、辞任要求を突っぱねた。

 更迭された内相は弾圧の責任者だった。環境相とエネルギー・鉱山相は、大規模な資源開発の推進者で、環境破壊に苦しむ農民らから長年敵視されてきた。

 グアテマラでは9月6日に次期大統領選挙が予定されている。

ブラジルとウルグアイが域外との自由貿易協定締結に意欲

 ヂウマ・ルセフ伯大統領とウルグアイのタバレー・バスケス大統領は5月21日ブラジリアで会談し、両国が加盟する南部共同市場(メルコスール)が域外諸国・地域との自由貿易協定(TLC)を結びやすくなるようにするためメルコスール条約規定を改正する必要があるという認識で一致した。

 両国はアルヘンティーナとベネスエラに改正を働き掛けてゆく。残る加盟国パラグアイは改正を以前から主張してきた。

 ブラジルは従来、域外とのTLC締結には慎重だったが、経済不況を受けて政策を転換した。

 伯、ウルグアイ、パラグアイ3国は当面、欧州連合(EU)とTLCを結びたい考えだが、亜国とベネスエラを説得しなければならない。

米国とキューバが22日も国交正常化交渉続ける

 米玖国交正常化交渉代表団は5月21日、ワシントンの国務省で第4回交渉をし、22日も交渉を続けることで合意した。

 この日、玖利益代表部は、「米市銀に口座開設が成り、領事業務などが正常に運営できるようになった」と発表した。

 取引銀行はフロリダ州に本部のあるストーンゲイト銀行。同行は、国務省の申し入れを受けて口座開設が成った、と明かにした。

 2013年11月、財務省の経済封鎖政策によって米市銀内の玖口座が閉鎖され、玖公館は経費を現金で遣り取りしていた。

 ホワイトハウスは、交渉取材でワシントンに来ている玖記者団を記者会見の場に招き入れ、広報官は、バラク・オバーマ大統領が任期中に訪玖したいと望んでいる、と述べた。

2015年5月21日木曜日

ガルシア=マルケスのドキュメンタリー映画「ガボ、真実の境界で」の試写会続く

 コロンビア人作家、故ガブリエル・ガルシア=マルケス(愛称ガボ)のジャーナリストと政治的活動の側面に焦点を当てたドキュメンタリー映画「ガボ、真実の境界で」(ジャスティン・ウェブスター監督=英人、90分)の試写会が欧米各都市で催されている。

 この映画は3月、カルタヘーナ映画祭に参加した。資料、関係者の証言などで構成されている。

 ガボが1950年代、エル・エスペクタドール通信人としてパリに滞在していたころの恋人だったスペイン人女優タチラ・キンターナ(86)も登場。「彼が後年あれほどまで世界的に成功するとはね! 貧しい鼠が宝籤で大当たりしたようなものね」と語っている。

 タチラとガボの友情は長く続き、1982年のノーベル文学賞受賞式にタチラも招かれ出席した。

 ビル・クリントン元米大統領は1994年、大量のクーバ人がマイアミに押し寄せた「筏難民」事件の後、フィデル・カストロ玖議長(当時)の密使として訪米したガボと会談した。クリントンは会談内容を明かしている。

 それによると、ガボは「フィデルは2点しか望んでいない。一つは経済封鎖を解除せよということ。保険と教育という革命の成果を誰にも壊させないために。もう一点は、麻薬取締政策を在米・玖系人に妨害させるなということ」と語った。

 クリントンは経済封鎖解除に賛意を示した。2期目の任期で実現させたい考えだったという。 

キューバとの第4回交渉前に米側が注文

 対玖国交正常化交渉の米側首席代表ロベルタ・ジェイコブソン(国務省米州担当次官補)は5月20日、ハバナ駐在の米外交官がハバナ域外に出られないのならば大使館開設はありえない、と述べた。

 同代表は、21日にワシントンで開かれる第4回正常化交渉を前に、米側の主張を強調するため発言した。

 ジェイコブソンはまた、クーバ人が自由に大使館を訪問できないならば大使館開設はない、とも述べた。さらに、ハバナ駐在の外交官数を増やしたい、とも語った。

コロンビアが対FARC和平交渉に外相を投入

 JMサントス・コロンビア大統領は5月20日、ハバナでのコロンビア革命軍(FARC)との和平交渉政府代表団にマリーア・オルギン外相と実業家ゴンサロ・レストレポを加えると発表した。

 外相の参加には、FARCに対し「コロンビア和平交渉への国際社会の関心はいつまでも続かない」ことを知らしめ、交渉を急がせる狙いがあるとされる。

 大統領はまた、FARCに厳しい鷹派のJCピンソン国防相を駐米大使に起用、前駐米大使でハバナ交渉に関与してきたルイス・ビジェガスを国防相に据えた。これはFARCの心証をよくするための一策。

中国がブラジルとペルー結ぶ南米横断鉄道建設へ

 ブラジルのヂウマ・ルセフ大統領と李克強中国首相は5月19日ブラジリアで会談、サントス港など大西洋岸のブラジルの港と、太平洋岸のペルーの港を結ぶ南米大陸横断鉄道を中国が建設することが決まった。

 中国はまた、ブラジル国営石油ペトロブラスへの62億9000万ドル、鉱山会社ヴァレへの40億ドルなど借款を供与する。さらに11億ドルで、ブラジルの鉄鉱石を中国に運ぶ運搬船8隻および、伯エンブラエル社機22機を買い付けることを決めた。

 伯中両国はBRICSの仲間であり、去年7月、習近平主席が訪伯している。

ボリビア大統領エボ・モラレスが4選目指す

 ボリビア政権党「社会主義運動」(MAS)は5月19日、エボ・モラレス大統領の4選を目指す方針を決めた。エボは今年1月22日に3期目に入ったばかり。2019年の次期大統領選挙出馬を可能にする改憲準備を始めたことになる。

 エボが自ら公布した現行憲法は、大統領連続再選は1回だけと定めている。エボの最初の任期は旧憲法下で始まり、2、3期目は新憲法下にある。だが4期目となると、新憲法下で連続2回の再選となる。

 検事総長エクトル・アルセは19日、エボ4選出馬には改憲が必要で、国民投票による承認が不可欠となる、と述べた。
 

ペルー次期大統領選挙の最有力候補はケイコ・フジモリ

 来年4月実施されるペルー次期大統領選挙の候補者支持率の調査結果が5月20日公表され、野党「人民の力」(FP)のケイコ・フジモリ元国会議員が33・1%で1位になった。

 2位は「一層ペルーを」(PM)のぺドロ・クチンスキ元経済相14・2%、3位はAPRA党(PAP)のアラン・ガリシア前大統領10・5%。4位は出馬が予想される政権党「ペルーは勝つ」(GP)のダニエル・ウレスティ元内相5・8%。元大統領アレハンドロ・トレードは5・5%で6位に留まった。

 ケイコおよび、クチンスキとガルシアのいずれかが決選に進出すると予測される。決選ではケイコ46・6%、ガルシア20%。ケイコ
45・3%、クチンスキ31・3%。いずれの場合もケイコ当選。

 ケイコは2011年の前回選挙で決選に進出したが、オヤンタ・ウマーラ現大統領に敗れた。ケイコの父で服役中のアルベルト・フジモリ元大統領へのアレルギーは依然ペルー社会にあるが、4年前より弱まっていることが今調査結果に表れている。

 ガルシアは1980年代後半と2001~10年期の2回大統領を務めた。新鮮味がないうえ腐敗体質が指摘され、3度目の政権は難しくなりつある。

チリ法廷が故Eフレイ大統領毒殺事件の捜査再開決める

 チレのサンティアゴ高裁は5月19日、故エドゥアルド・フレイ元大統領の毒物による暗殺事件の真相解明のための再捜査開始を決めた。

 キリスト教民主党(DC)の中道保守派の政治家フレイは1960年代に大統領を務め、70年11月、人民連合のサルバドール・アジェンデに政権を渡した。社会主義政権を率いたアジェンデは73年9月11日、ピノチェーらによる軍事クーデターに遭い、自殺した。フレイは当初クーデターを支持していたが、退陣しないピノチェー軍政を批判するようになった。

 1980年1月22日、フレイは、ヘルニア手術のため入院していたサンティアゴ市内のサンタマリーア診療所で軍政の手の者によって毒殺された。

 法廷は昨年10月、事件の捜査を終え、11月、6人を起訴した。うち殺人罪3人、1人共犯、2人隠滅。

 フレイの娘カルメン・フレイ元上院議員らは、さらなる真相解明を求めて控訴していた。

 サンタマリーア診療所は、73年のクーデター直後、詩人パブロ・ネルーダが毒殺されたとされる場所としても悪名高い。

2015年5月20日水曜日

キューバ政府が米市銀に口座を開設

 在ワシントン玖利益代表部は5月19日、米市銀に口座を開設した。これによりクーバの在米公館の運営が可能になる。利益代表部を大使館に格上げするための措置。

 銀行名は発表されていないが、クーバはフロリダ州内にあるストーンゲイト 銀行と交渉していた。

 米政府は、29日にクーバが「テロリズム支援諸国名簿」から外されるため、玖公館との銀行業務契約を認めた。

 これを受けた玖外務省米国局のグスタボ・マチーン次長は19日、大使館再開のため残る課題は、「大使館の役割および外交官の在り方」だと指摘した。

 玖側は、米外交官が玖国内で反体制派と接触し、玖社会主義体制(共産党一党支配体制)転覆工作をするのを強く懸念しており、首都ハバナからの行動範囲と行動を規制するのを主張している。館員数についても「均衡するのが望ましい」との立場だ。

 米政府高官は19日、玖副外相がリスボアで、21日ワシントンで開かれる第4回国交正常化交渉でグアンタナモ基地閉鎖・返還問題も議題になると述べたのを受けて、「それは議題にない。オバーマ大統領は大使級外交関係復活前に、それを議題にしたいとは思っていない」と述べた。

 ラウール・カストロ議長は19日ハバナで、来訪中のセルビア大統領トミスラフ・ニコリッチと会談した。二人は9日モスクワで会っている。

 エル・サルバドールのサルバドール・サンチェス大統領は25日からクーバを訪問、26日ラウールと会談する。

 15年前、6歳だったエリアン・ゴンサレス少年が米玖いずれかで生きるかが大問題になったが、21歳になったエリアンはこのほど、米テレビに対し、訪米したいと語った。

 エリアンはマタンサス大学工学部で技師になる過程を専攻しており、クーバ人婚約者もいる。

 玖テレビは19日、密出国したクーバ人選手が出場する米大リーグの試合を初めて放映した。13日のカンザスシティー・ロイヤルズ対テキサス・レンジャーズの試合で、野手ケンドゥリス・モラレスが出場した。

 密出国した玖人選手約20人が大リーグでプレーしているが、クーバでは「裏切り者」呼ばわりされてきた。米玖国交正常化合意後の政策変化がこんなところにも表れている。

 クーバ人選手十数人は日本、メヒコ、カナダの野球リーグで合法的にプレーしている。
 

LATINA誌「乱反射」は「断交から正常化までの米玖関係」

◎最近の伊高浩昭執筆記事

★月刊誌「LATINA」6月号(本日5月20日発売)

「ラ米乱反射 連載第110回」
「レーガンは軍事侵攻示唆、ブッシュ父子は政権崩壊画策  揺れ動いた歴代米政権とカストロ・キューバ体制の半世紀」

 1961年1月の米玖断交から2014年12月の国交正常化合意に至る半世紀の米玖関係の推移のまとめ。アイゼンハワーからオバーマまでの歴代大統領11人、フルシチョフ、ブレジネフ、ゴルバチョフのソ連3首脳、およびカストロ兄弟の、計16人の顔写真が並ぶ。

「書評」 エドウィージ・ダンティカ著『地震以前の私たち、地震以後の私たち』(佐川愛子訳、作品社)=要一読=

★週刊金曜日5月15日号国際欄

「ラ米の動き  鍵握るのは米露中との関係」

2015年5月19日火曜日

ベネズエラ野党連合の予備選結果判明

 ベネスエラの保守・右翼野党22党が結成している「民主連合会議」(MUD=ムドゥ)は5月18日、前日実施した国会議員候補42人指名のための予備選挙の結果を発表した。

 ミランダ州知事エンリケ・カプリーレス(元大統領候補)の率いる右翼「まず正義を」党(PJ)が42人中13人を確保した。次いで、街頭暴力扇動罪などで起訴され係争中の極右レオポルド・ロペスの政党「国民意志」(VP)が8人、中道保守の伝統政党「民主行動党」(AD)が7人を、それぞれ確保した。残る14人は弱小政党が分け合った。

 MUD執行書記ヘスース・トレアルバは、MUDの前回予備選挙(2010年)に参加した有権者は31万人強だったが、今回は64万人に達した、と明らかにした。

 これに対し、政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV=ペスーブ)は、実際は54万人なのに10万人を上乗せして発表した、と非難している。PSUVは6月28日に予備選挙を実施する。

 一方、米紙WSJが18日報じたところでは、ニューヨークとマイアミの検察および麻薬捜査局(DEA)は、ディオスダード・カベージョ国会議長、タレク・エルアイサミ元内相(現アラグア州知事)らベネスエラの高官12人を麻薬取引容疑で捜査中。

 米当局は昨年末、米国に亡命したカベージョの元側近レムジー・サラサールの証言などを基に捜査してきた。カラカスの米大使館要員はベネスエラ軍将校らの脱走亡命を働きかけており、サラサールはその結果亡命した一人。

 米政府は昨年来、ベネスエラの反体制派を使って軍事クーデターを誘発しマドゥーロ政権を倒す工作に失敗してきた。このため、麻薬問題でベネスエラ政府に揺さぶりをかけている。

 スペインの極右紙ABCはこれまで、サラサールとのインタビューを含め、ベネスエラ高官らの「麻薬疑惑」を伝えてきた。これを転載したベネスエラの3メディア、タルクアル紙、エル・ナシオナル紙、電子紙ラ・パティージャをカベージョ議長は4月21日、名誉棄損で告訴している。 
  

キューバ副外相がグアンタナモ基地問題も話し合うと表明

 クーバのマルセリーノ・メディーナ副外相は5月18日、訪問先のリスボアで、21日にワシントンで開かれる第4回玖米国交正常化交渉では、大使館開設問題の他、米軍が110年以上、軍事基地として占拠してきたクーバ島東部のグアンタナモの返還問題も話し合われる、と述べた。

 玖米両国は、国交正常化の第一段階で大使館開設を実現、第二段階で経済封鎖解除で合意している。だが米側は従来、グアンタナモ基地問題は議題に含まないとの立場を示してきた。それだけに副外相の発言に関心がもたれている。

 セルビアのトミスラフ・ニコリッチ大統領が18日、ユーゴスラヴィア解体後初めて訪玖した。大統領はハバナ空港で、クーバが独立を堅持してきたことを称賛する、と述べた。

 この日、アンゴラのマヌエル・ヴィセンテ副大統領はハバナで、ミゲル・ディアスカネル玖第一副議長と会談した。
 

2015年5月18日月曜日

米軍顧問団がパラグアイで軍事訓練へ

 パラグアイ軍部は5月16日、6月一か月間、米・北カロライナ州兵の特殊部隊顧問16人が来訪し、パラグアイ軍の訓練に当たる、と明らかにした。

 11日からはコロンビアで、パラグアイ軍の下士官80人が3ヶ月の軍事訓練過程に参加している。

 コロンビア軍は米軍特殊部隊から対ゲリラ戦の訓練を受けてきたが、これをラ米諸国の軍隊に伝授しようとしている。

 パラグアイ中北部では、農村ゲリラとされる小規模の「パラグアイ人民軍」(EPP)が活動している。

ガイアナ新大統領が就任

 ガイアナで5月16日、デイヴィッド・グランジャー新大統領(69)が就任した。

 変化のための同盟(AFC)と国民団結同盟(APNU)の統一候補として11日の選挙で、現職だったドナルド・ラモター前大統領に僅差で勝った。

 両党はアフリカ系政党で、ラモターのインド系政党、人民進歩党(PPP)に、20万7200票対20万2600票の超僅差で上回った。

 PPPは23年間連続して政権を担ってきたが、久々にアフリカ系政権が生まれた。

ベネズエラ野党連合が国会議員候補を決める予備選実施

 ベネスエラ野党連合MUDは5月17日、国会議員候補者を選ぶ予備選を実施した。国会議員選挙は9月から12月の間に実施されると見られている。

 一院制国会の定数は167で、うち3は先住民指定議席。選挙区は87区あるが、MUDはうち勝てる可能性のある33区で、計42議席を狙う。全国24州のうち半分の12州(カラカス首都圏含む)でしか候補を立てない。

 42候補に対し110人が予備選に出馬した。うち女性はわずか11人。また87%は50歳以上。

 これに対し、政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV=ペスーブ)は、候補者の半数を女性と定め、候補者の半数は男女を問わず30歳以下と決めている。
 
 米民主党下院議員16人は15日、バラク・オバーマ大統領に対し、同大統領によるベネスエラ締め付け政策を、ラ米政策上、否定的効果を及ぼすと批判した。

 議員たちは、4月パナマでの第7回米州首脳会議で、ラ米・カリブ33か国が一致して反対した事実を挙げて、オバーマ政策を批判した。

 一方、パレスティーナのリアド・アルマルキ外相が18日、カラカス入りする。大使を召還するなど冷却しているベネスエラとスペインの会計改善のため、仲介の労をとる。

 ベネスエラ政府は4月、国際通貨基金(IMF)への拠出基金の中から3億8000万ドルを引き出した。悪化している国際収支の補填のため。

 外貨備蓄は、178億7500万ドルに落ちている。

グアテマラで9月6日、大統領選挙実施

 グアテマラ大統領選挙は9月6日実施される。

 10人前後となるもようの候補者のうち、最有力者は前回選挙決選で敗れた実業家で右翼のマヌエル・バルディソーン(44)。改新民主自由党(LIDER)から出馬する。

 オットー・ペレス=モリーナ大統領の愛国党(PP)からは、ラジオニュースキャスター、マリオ・ガルシア(68)が出馬する。

 またコロム前政権の与党だった希望国民連合(UNE)からは、アルバロ・コロム前大統領の夫人だったサンドラ・トーレス(59)が立候補する。

 愛国党は危機に陥っている。税関汚職・密貿易事件で関与していた疑いが濃厚と見られているロサーナ・バルデッティは8日、副大統領を辞任、検察の取り調べを受ける。

 国内では約20団体が「反腐敗市民運動」を結成、グアテマラ市をはじめ主要都市で抗議行動を続けてきた。副大統領を辞任に追い込んだ今、ペレス=モリーナ大統領の辞任を要求しており、16日には首都で2万人を動員して抗議集会を開いた。

米国とキューバの第4回国交正常化交渉は21日ワシントンで

 玖米両国は5月21日ワシントンで、第4回国交正常化交渉を行なう。大使館再開が中心議題になる。

 マリーノ・ムリージョ副首相兼経済相は16日、2008年以来、国有地170万hrが耕作希望者20万人に貸与された、と発表した。他の4万3000人は不適格者として貸与契約が取り消された。

 この制度は食糧増産のため。クーバは年間20億ドルもの食糧を輸入しているが、国内に可耕地が十分にありながら耕作者がいないため、輸入依存が重くなっている。

 ラウール・カストロ議長は、外貨節約のため食糧自給化を急いでいる。

 米ミネソタ管弦楽団が15日ハバナで、1930年以来85年ぶりに演奏し、大きな拍手を浴びた。国交再開に伴う文化交流の一環。

 18日、セルビア大統領トミスラフ・ニコリッチが訪玖する。

 25~30日には、米フロリダ半島西南端のキーウェストからハバナまで170kmのフロリダ海峡越えヨットレースが実施される。この海域での本格的なレースは約50年ぶり。

チリ社会党首にイサベル・アジェンデ上院議長就任

 チレ社会党(PSCH)の党首に5月17日、イサベル・アジェンデ上院議長(70)が就任した。故サルバドール・アジェンデ大統領の娘で、女性党首は結党以来初めて。

 アジェンデ新党首は中央委員会(112人)で演説、「政治が終われば人民が苦しむ。社会変革の唯一の手段が失われるからだ。我々は民主のない独裁を経験済みだ」と述べた。

 社会党は、ミチェル・バチェレー大統領の所属政党で、政権党連合「新多数派」の中核。アジェンデは、政権を引き続き支えていくと強調した。

2015年5月17日日曜日

コロンビアの極右準軍部隊の武装解除遅れる

 コロンビアと日本は5月18~22日東京で、経済連携協定(EPA)交渉を続開する。

 両国貿易は昨年、総額18億6000万ドル。日本のコロンビアへの投資は02~03年度2億6000万ドルで、アジアの国として1位。

 コロンビアで和平支援活動をしている国連反拷問委員会は16日、極右準軍部隊「統一自衛軍」(AUC)の武装解除と復員が遅れている、と述べた。

 AUCは政府軍と連携し、ゲリラ掃討戦に参加したが、一方で麻薬取引に関与。また農民らの大量虐殺をほしいままにし、多くの土地を奪った。これにより避難民多数が出ている。

 同委員会はまた、AUC幹部たちの身柄が米国に引き渡されたため、AUCの犯罪調査に支障が出ていると明らかにした。AUCに対する告発は26万5000件に上るが、うち調査されたのは1万6000件にすぎない。

 一方、JCピンソン国防相は14日、麻薬コカインの押収量が増えており、その生産量が増えていることが推定される、と述べた。コロンビアのコカの葉の作付面積は4万8000hr。

 国営石油の14日の発表によると、コロンビアの原油生産は4月、日量102万バーレルで、100万バーレルに達した。  

アルゼンチンがチリと国境統合で話し合い

 チレの首都サンティアゴで5月16日、亜智閣僚合同委員会が開かれ、国境地帯統合のための計画を話し合った。外相、内相、公共事業相ら、および国境沿いの諸州知事が出席、アンデス山脈などに開かれている13カ所の国境通過地点の現代化計画も決まった。

 一方、4月23日モスクワで亜露首脳会談が開かれ、防衛・安全保障協定、機密情報相互保護協定などが調印された。近い将来、初の亜露合同軍事演習が実施される見込み。

 亜国海軍は昨年、露製巡視船4隻を購入、近く亜国に配備される。亜国空軍は露製ヘリコプター2機を購入済みだが、新たに3機購入する交渉をしている。

 亜国国防省当局者は、対露軍事協力をしても、伝統的な対米軍事関係は損なわれない、と述べた。

 両国はまた、原発建設に関する覚書に調印した。亜国6基目の原発をロシアが建設する計画だ。 

旧チリ秘密警察長官の禁錮年数が400年に近づく

 チレの首都サンティアゴの高裁は5月15日、ピノチェー軍政期の秘密警察、国家情報局(DINA)の長官だったマヌエル・コントレラスら4人に禁錮5年の実刑を言い渡した。1976年2月24日に軍政反対派2人を殺害した罪で。

 コントレラスは14日にも、74年9月14日にアジェンデ社会主義政権時代に人民連合に参加していた「統一人民行動運動」(MAPU)の活動家で大学生のルイス・ドゥランを殺害した罪で、禁錮13年を言い渡された。既に終身刑に服しているコントレラスの累積禁錮年数は400年近い。

 ミチェル・バチェレー大統領は4月27日、ピノチェー軍政末期に制定された「ビノミナル(1会派1選挙区2候補擁立制度)制度」を廃止した新しい選挙法を施行した。同制度は2大政党のうちの少数党に有利に作用し、1990年3月の民政移管後、軍政の流れを組む右翼政党が有利になっていた。

 一方、5月14日バルパライソで行われた、政府の教育政策決定への学生参加拡大を求めるデモ行進のさなか、学生2人が右翼青年に射殺された。殺された学生は、共産党青年部に所属していた。

 16日には首都で、性的少数派が「平等のための行進」を実施、主催者発表で5万人が参加した。ここでは事件事故はなかった。

2015年5月13日水曜日

浅草で「東京タンゴ祭」催さる

 浅草公会堂で5月9日、LATINA主催「2015年 東京タンゴ祭」が催され、750人が観賞した。

 第一部には、オルケスタ・デ・タンゴ・ワセダ、KBRタンゴアンサンブル(慶大OB)、ロス・ポジートス(早大OB)、チコス・デ・パンパ、イエロータンゴクアルテットが出演。

 第2部では、小松真知子とタンゴクリスタル、オルケスタ・アウロラ、京谷弘司クアルテートタンゴが演奏した。

 バンドネオン京谷、ピアノ淡路七穂子、バイオリン会田桃子、コントラバス田辺和弘の、「タンゴの4つの心」(同4楽器)によるクアルテートは圧巻だった。

 一昨年の前回の祭に比べ、全体的に聴き応えがあった。

 浅草は夏祭り間近。その雰囲気漂う街にタンゴの薫風が興を添えた。 

パナマ中等教育で「対米関係史」が必須科目に

 パナマ政府官報は5月12日、「パナマ・米国関係史」を公立・私立ともに中等学校の必須科目とすることを定めた新法を記載した。

 教師は、歴史学を修めた者に限られる。

米国務省顧問がベネズエラ大統領と関係改善で会談

 米国務省顧問トーマス・シャノン(元米州担当次官補)は、ベネスエラ政府の招きで5月10~12日カラカスに滞在、両国関係改善の道を探るため、ニコラース・マドゥーロ大統領およびデルシー・ロドリゲス外相と個別に会談した。

 シャノンは4月7~9日、同様の訪問をしている。

 石油輸出国機構(OPEC、西語でOPEP)は12日、ベネスエラの4月の原油生産は日量272万9000バレルだった、と月例報告で明かにした。

 12加盟国中6位。OPEC全体の4月の原油生産は日量3080万バレル。ベネスエラは、その8・86%を占めた。

 報告はまた、2015年の世界の原油需要を日量9550万バレルと予測。今年第一4半期の平均国際価格は1b=52・46ドルだった。

 11日の発表によると、ベネスエラと米国の貿易額は、第一4半期62億5900万ドルで、前年同期比36%減。

 ベネスエラの公共・民間両部門の最低月額賃金は7421ボリーバル。闇市場換算では、100米ドルに及ばない。
 
 マドゥーロ大統領は9日、モスクワの赤の広場で実施されたロシアの対独戦勝70周年記念の軍事行進を、ウラディーミル・プーチン露大統領、ラウール・カストロ玖議長、習近平中国主席らと観閲した。
 
 ブラジルのマウロ・ヴィエイラ外相は7日ブラジリアでベネスエラ当局者と会談し、年内実施予定のベネスエラ国会議員選挙の投票日を公表するよう求めた。9月実施とされているが、日付は明らかにされていない。

 ブラディーミル・パドゥリーノ国防相は6日、軍事法廷は、今年2月のマドゥーロ政権打倒を狙ったクーデターの陰謀に加担し逮捕、起訴されていた軍人9人に実刑判決を下した、と発表した。

 オスワルド・エルナンデス空将および空軍士官5人に禁錮8年7ヶ月、退役陸軍大佐と空軍中佐計2人に禁固7年、国家警備隊退役大尉に禁錮5年6か月だった。
 

キューバが月末以降、駐米大使任命へ

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は5月12日、対米国交正常化交渉は進展しつつあり、29日に「テロリズム支援国家指定国名簿」からクーバが削除されるため、駐米大使を任命することになろう、と語った。

 米国務省はこれを受けて、大使級外交関係開始に期限は設けられておらず、引き続き交渉していく、と述べた。

 ワシントンの玖利益代表部のホセ=ラモーン・カバーニャス代表は12日、米ラ・フロリーダ銀行と取引について交渉中と明かにした。クーバの在米公館用口座開設が目的。

 フランソワ・オランド仏大統領は11~12日、同国大統領として初訪玖し、11日、フィデル・カストロ前議長とその私邸で40分間会談した。その後、ラウール議長と会談した。

 オランドはまたハバナ大学で講演し、フランスは常に米国による対玖経済封鎖解除に賛成してきたと前置きし、経済封鎖が第三国にまで影響を及ぼすことに苛立ってきた、と強調した。

 大統領に同行した仏CMA-CGM社は、玖側との合弁で、マリエル経済特区に倉庫・冷凍庫設備を建設・管理する契約を結んだ。

 米大統領政庁ホワイトハウスの広報官は11日、バラク・オバーマ大統領が任期の切れる2017年1月20日前、おそらく2016年に訪玖する可能性があると述べた。

 ラウールは訪露後の10日ローマでフランシスコ法王と会談。会談後、法王がフランシスコ法王のような人であるならば私は教会で礼拝するのを厭わない、と述べた。

 法王は9月19~22日ハバナ、オルギン、サンティアゴ、聖母コブレ教会(サンティアゴ郊外)を訪問し、米国に向かう。法王は米玖国交正常化交渉を支えた功労者だ。

 米植民地プエルト・リコの首都サンフアンとドミニカ共和国の首都サントドミンゴを結ぶフェリー運営会社は6日、クーバ便を就航させる認可を得たと明らかにした。年末から来年初めにかけて運航を開始するという。

 クーバの人民権力市会は13日、全国168市で新しい議会となった。4月の選挙で計1万2589人の新議員が決まっていた。
 

コロンビア両ゲリラ組織の最高指導者がキューバで会談

 コロンビアの両ゲリラ組織、コロンビア革命軍(FARC)、民族解放軍(ELN)のそれぞれの最高指導者ロドリゴ・ロンドーニョとニコラース・ロドリゲスが4月末クーバで会談した。

 5月11日、ボゴタで公表された。フアン=マヌエル・サントス大統領は、和平達成のため両人の出国を許可した、と述べた。

 サントス政権はFARCとは2012年からハバナで和平交渉を続けているが、ELNとは13年から和平交渉のための予備交渉をしてきた。

 だが予備交渉に進展がなく、大統領はロドリゲスにロンドーニョと話し合わせ、和平交渉に入るよう促すことにしたと見られている。 

フランス大統領がハイチを訪問し、カリブ歴訪終える

 フランスのフランソワ・オランド大統領は5月12日、ポルトープランスでアイチのミシェル・マルテリ大統領と会談、アイチの教育向上のため5000万ユーロ(5600万ドル)を援助することを表明した。

 アイチの対外債務は170億ユーロ(190億ドル)に上るが、オランドはこの件については記者会見で触れなかった。

 オランドは「歴史は変えられないが、未来は変えられる」と述べ、未来の鍵を握る教育への援助を発表した。

 仏大統領は、カリブ海の仏領サンバルトロメー、サンマルタン、マルチニク、グアダループ、およびクーバ、とアイチを5日間で歴訪、12日帰国の途に就いた。

 アイチは激しい独立戦争を経て1804年、フランスから独立したが、長らく承認されず、巨額の「賠償金」をフランスに支払った後、承認された。

 「変えられない歴史」とは、過酷な植民地支配や賠償金を指している。

2015年5月7日木曜日

浅草公会堂で9日、東京タンゴ祭開催

 ◎第4回東京タンゴ祭のお知らせ

5月9日(㈯) 浅草公会堂で 会場1600、開演1630、終了予定2000ごろ。

切符5000円。

日本人バンド8組出演

LATINA主催 日本タンゴ協会及び亜国大使館協賛

グアテマラ最高裁が副大統領の汚職容疑捜査を決める

 グアテマラ最高裁は5月6日、ロサーナ・バルデッティ副大統領を税関汚職事件関与の疑いで捜査するための予審を開くことを決めた。

 これを受けて国会は、副大統領の不逮捕特権剥奪の是非を審議する。

 4月の副大統領の訪韓中、税関汚職の中心人物と目される副大統領私設秘書JCモンソンが逃亡。一大醜聞事件となり、税務のトップら24人が逮捕されてきた。モンソンは国際手配されている。

 国内では副大統領辞任を求める抗議行動が続いており、オットー・ペレス=モリーナ大統領の辞任要求にまで波及している。

 国連の「グアテマラにおける無処罰に反対する国際員会」(CICIG)が既にこの事件を捜査、グアテマラ司法機関に事件解明を勧告している。

CELAC外相会議が5か年目標を決める

 ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)の第8回外相会議が5月5日キトで開かれ、2020年までの5ヶ年の課題として、域内の極貧・不平等削減、教育・科学・技術・技術革新、環境・気候変動、社会基盤・接続性、開発融資の5項目を選び、優先的に取り組むことを決めた。

 会議はまた、CELACと欧州連合、中国、ロシア、インド、トルコ、日本などとの関係の在り方を話し合った。

 CELACには米州35カ国のうち、北米の米加両国を除く33カ国が加盟。第4回首脳会議が来年エクアドールで開催される。

キューバのラウール・カストロ議長が訪露

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は5月5日訪露し、6日モスクワでメドゥヴェージェフ首相と会談した。首相は、上海協力機構へのクーバのオブザーバー加盟を求めた。

 7日にはプーチン大統領と会談する。

 さらに8日、玖露国交回復55周年式典に出席。9日、対独戦勝70周年記念の軍事行進を観閲する。

 議長には、カブリーサス副首相、ロドリゲス外相、レオポルド・シントゥラ革命軍相が同行している。

 玖露両国は1902年国交を樹立。52年、当時のバティスタ玖政権がソ連の外交郵便物を検査したことから断交、革命後の60年5月8日復興した。
 
 ラウールは10日、ローマでフランシスコ法王と会談する。法王は9月訪玖する。

 クーバ政府は6日、大震災に見舞われたネパールに48人の医師団を派遣することを決めた。

 国営石油会社CUPETは6日、米企業にメキシコ湾海底油田開発への参加を公式に打診した。

 メキシコ湾の玖経済水域は11万2000km2で、59の油田試掘・採掘区がある。うち22区でノルウェー、スペイン、インド、ベネスエラ、ヴェトナム、マレーシア、アンゴラ、ロシアが試掘作業を続けてきた。

 米政府は5日、フロリダ半島とクーバを結ぶフェリー便就航を米4社に認可した。7月3日から運航開始の見込み。往復料金は250~300ドルで、航空便の400~500ドルより安い。

 ラウール議長は4日ハバナで、アルジェリアのアブデラジス・ブーテフリカ大統領と会談した。同国にはクーバ人専門家800人がいる。

 ハバナの革命広場でのメイデーには、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領を含む、68カ国から2000人が招待出席し、労働者の行進を観閲した。

 岸田文雄外相は4月30日から3日まで訪玖、カブリーサス副首相との会談で、両国経済関係推進のため官民合同委員会を設置することで合意した。

 同外相は2日、ラウール議長と会談。フィデル前議長には私邸に招かれ45分間会談した。フィデルは大統領・首相級の大物や進歩的文化人の友人らとしばしば会ってきた。

 日本の外相を迎えたのは特別待遇で、前議長の対日好感と、クーバ側の対日経済関係強化への期待の表れだ。
 

チリ大統領が支持率低迷で閣僚人事に着手

 チレのミチェル・バチェレー大統領は5月6日、全閣僚に辞表提出を要請した。72時間以内に新しい閣僚の顔ぶれを発表する。

 大統領は昨年3月11日、2度目の任期に就任したが、最近の世論調査で支持率が31%だったのに対し、非支持率が64%に達し、刷新が求められていた。