2015年2月28日土曜日

「ラ・フアン・ダリエンソ」楽団の<若きアルゼンチンタンゴ>を聴く

 東京で久々にタンゴ・アルヘンティーノ(亜国タンゴ)を味わった。来日公演中のオクテート(8人編成)楽団「ラ・フアン・ダリエンソ」を中野サンプラザで聴いたのだ。

 若手演奏者が多く、演奏法、掛け声、パフォーマンスに若い勢いと<新しさ>が顕われていた。楽団を率いるのは、第1バンドネオン奏者のファクンド・ラサリ(27)だ。

 ファクンドの祖父カルロス・ラサリ(1925)~2009)は、フアン・ダリエンソ(1900~76)楽団のバンドネオン奏者だった。その孫であることを、ファクンドは誇りにしている。

 曲目は28、アンコール用の2を合わせて30曲だった。カルロス・ラサリの演奏で歌っていた歌手フェルナンド・ロダス(53)は7曲を歌った。名曲「最後の盃」が良かった。

 踊りは、ブエノスアイレスでの世界タンゴ選手権で優勝し最初のカンペオンになったカルラとガスパル、去年のカンペオン、マヌエラとフアンら3組。男女が踊る振付には限度があり、どの踊りも似てしまう。これは仕方がない。その限界を知りつつも変化を付けようと努力しているのがうかがわれた。

 この一団は1月22日から全国で公演してきた。3月12日の福島県いわきでの公演で終わる。その後、台湾公演に移る。

 「民音」が主催、新聞社やテレビ局が部分的に共催している。制作協力はLATINA。

 2時間余り、ブエノスアイレスの場末やタンゴ酒場の雰囲気を懐かしむことができる。

コフィ・アナン氏がコロンビア和平交渉当事者と会談

 ラウール・カストロ玖国家評議会議長は2月27日ハバナで、コフィ・アナン前国連事務総長と会談した。

 アナンは、その後、ハバナで和平交渉を続けているコロンビア政府とコロンビア革命軍(FARC)の双方代表と個別に会談した。

 
 一方、クーバ国営葉巻会社クバーノスSAは27日、経済封鎖が解除されれば、米市場のクーバ葉巻の需要を満たすjことができる、と表明した。

 同社は、世界の市場で超高級品とされている27種類の銘柄の葉巻を生産している。

旧アルゼンチン軍政の人道犯罪を追及した元検事が死去

 亜国軍政期の人道犯罪責任者を起訴したフリオ・ストラッセラ元検事(81)が、高血糖症で入院していた首都の病院で死去した。

 政府は声明で哀悼の意を表明するとともに、2日間の国喪を宣言した。

 元検事はアルフォンシン民主政権下の1985年、元軍政首班を含む旧軍事評議会員ら軍部高官たちを取り調べ起訴した。21世紀になってからの人道犯罪追及の基礎を築いた。

キューハが対米交渉で国際法とウィーン条約の遵守を要求

 米玖両国は2月27日ワシントンで、国交正常化のための第2回公式交渉に臨んだ。交渉終了後、クーバ外務省は声明を発表、クーバ代表団は、国際法と、外交・領事関係に関するウィーン条約を双方が遵守し、外交官の立ち振る舞い(の限界)、国内法尊重、内政不干渉について合意を確立する必要があると主張した、と明らかにした。

 クーバのホセフィーナ・ビダル首席代表は交渉終了後の記者会見で、クーバは「テロリズム支援国家指定」解除と在米外交公館に対する米銀行の取引打ち切り解除を要求した、と述べた。これらは国交正常化の前提条件ではない、としながらも、米側は両事項で善処に向けて努力中だと表明した、と明かした。

  米国のロベルタ・ジェイコブソン首席代表は同じく会見で、米国はパナマで4月開催の米州首脳会議前の早い機会の国交再開を希望しているとクーバ側に伝えた、と語った。

 また、復交交渉と指定解除問題は別扱いだが、国務省は(善処を)検討する、と述べた。外交公館への融資についても解決を探るとした。

 両国は数週間内に、人身売買、電気通信、民間航空、人権、移民に関する書類偽造などを問題を話し合うことになった。ビダルは経済封鎖解除への進展も話し合うとし、ジェイコブソンは復交に備えて必要な法改正も話し合うと述べた。

 双方は、今交渉は「建設的だった」と評価した。 

  一方、米国務省は27日、過去半世紀に及ぶ米国の対玖戦略は失敗だった、と公式に認めた。また、対玖関係改善は米国のラ米・カリブでの影響力拡大に貢献する、と述べた。
 

2015年2月27日金曜日

エクアドールとレバノンが相互に大使館開設へ

 エクアドールのリカルド・パティニョ外相と、来訪したバシル・レバノン外相は2月25日、相互の首都に大使館を開設することで公式に合意した。

 バシル外相は、レバノンはエクアドールから南米に自国事情を伝えたい、と述べた。キトには南米諸国連合(ウナスール)の本部がある。

 バシる外相はラ米歴訪中で、メヒコとクーバを既に訪問しており、この後コロンビアとベネスエラを訪れる。

 エクアドールには、首都キトと太平洋地方の大都市グアヤキルを中心にレバノン系社会がある。

法廷がアルゼンチン大統領らへの告訴を却下

 亜国連邦法廷は2月26日、CFK大統領に対する検察の罪状認定を却下した。外相ら他の4人も同様の処分となった。

 大統領らは、メネム元政権下の1994年ブエノスアイレスで起きた亜国イスラエル相互協会(AMIA)爆破事件の真相を覆い隠したとして、告訴されていた。法廷は、有罪の根拠を認めなかった。

 この爆破事件では85人が死亡、200人が負傷した。イラン人工作員の関与が明らかになっている。

 担当検事アルベルト・ニースマンは、大統領らはイランとの経済絡みの密約を通じて犯人を追及しない方向にもっていったと、結論付けていた。

 ところが同検事は1月、首都の自宅で変死体で発見された。このため、代わりの検事が大統領らを有罪と判断していた。

ラテンアメリカ・カリブが受けた出稼ぎ送金は623億ドル

 米州対話センターのまとめによると、2014年にラ米・カリブ諸国が受けた外国への出稼ぎ者からの送金は総額623億ドルに達した。

 米国への出稼ぎ者が多いメヒコは前年比8・8%増えた。オンドゥーラスとグアテマラはそれぞれ12・5%、9%増えている。

 一方、スペインへの出稼ぎの多いボリビア、ペルー、コロンビアなど南米諸国は、スペイン経済が陰っているため、送金額は減少した。

メキシコ学生強制失踪事件から5ヶ月、抗議デモ続く

 メヒコ南部のゲレロ州イグアラ市で教員養成学校生43人が昨年9月26日強制失踪事件に遭ってから2月26日で丸5ヶ月。この日、メキシコ市をはじめ全国で抗議のデモ行進があった。

 首都では、犠牲者の家族、友人、教師、人権団体などの3000人が中心街を行進した。全国で約20人が逮捕されたと伝えられる。

 家族らは、43人全員が殺害されたとする政府の捜査結果をはねつけ、政府と世論に対し、「真の捜査」と42人の生還を訴えている。1人だけは、遺骨のDNA鑑定によって身元が判明している。

ウルグアイ大統領がベネズエラ軍部左翼の蜂起可能性を指摘

 ウルグアイのホセ・ムヒーカ大統領は2月25日地元紙によるインタビューで、ベネスエラには軍部左翼によるゴルペ(クーデター)が起きる恐れがある、と指摘した。

 だが大統領は、憲政から逸脱するのは大きな過ちだ、と警告。「愚かな政権をつくるため、ある政権を不安定にしようとする巧妙な方法がある」と述べた。

 「ニコラース・マドゥーロ合憲大統領を倒そうとしている者たちがおり、それが緊張状態を招いている」と続け、反政府勢力は政変を提唱した、と指摘した。

 ベネスエラ政府は昨年2月以来、極右・保守勢力によるゴルペの画策が続き、これを米政府やコロンビア極右などが支援してきた。だがムヒーカ大統領は、極右の陰謀を潰すため軍部左翼が蜂起する可能性に触れた。この点が新しい。

 大統領は、左右いすれの側からのゴルペをも「憲政逸脱」として否定している。

 ムヒーカは3月1日、タバレー・バスケス前大統領に政権を引き渡す。政権党・拡大戦線(FA)によるバスケス-ムヒーカ-バスケスと、3代15年間の政権が続くことになる。

 今回の発言は、いかにも一言居士ムヒーカらしい。最後まで、そのたたずまいを維持している。

2015年2月26日木曜日

大使級外交より「テロ支援国家指定」解除が先決、とキューバ

 玖米国交正常化のための第2回交渉は2月27日、ワシントンで開かれる。米国務省高官は25日、米国は4月パナマでの第7回米州首脳会議までに大使級外交を復活させたい、と述べた。

 これに対し、クーバ外務省北米局次長グスタボ・マチーンは25日、「それは米国次第だ」と反応した。局次長は、米国が「テロリズモ支援国家指定」からクーバを外すのが先決だ、と強調した。

 ラウール・カストロ議長は25日、来訪したスペインのホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテーロ前首相と、ミゲル=アンヘル・モラティーノス前外相と会談した。

 一方、反体制派25団体代表は25日、「クーバ市民社会空間」(プラタフォルマ)の初会合をハバナで開いた。

米国務長官の非難をベネズエラ外相が干渉として一蹴

 ジョン・ケリー米国務長官は2月25日、米下院外交委でベネスエラ情勢について、「間違った方向に依然進んでいる。マドゥーロ大統領に、異なる選択肢を採るよう勧めたい」と述べた。

 長官は、ベネスエラ西端のコロンビア国境に近いサンクリストーバル市で24日、反政府抗議デモのさなかに、14歳の少年が警官の撃ったプラスティック散弾が命中して死亡した事件を踏まえて「間違った方向」と指摘した。撃った警官は24日逮捕されている。

 長官発言に対し、デルシー・ロドリゲス外相は25日、「米政府による新たな内政干渉」として糾弾した。米政府は既に50を超える内政干渉をしてきた、とも述べた。

 通貨ボリーバル(bf)と米ドルとの変動相場は、25日、1ドル=172・89bf、並行市場(闇)で、202・56bfとなった。

2015年2月24日火曜日

ニカラグアが露製MIG29の買い付けを検討か

 ニカラグアがロシア製戦闘爆撃機MIG29を購入することを検討している、と伝えられる。先ごろセルゲイ・ショイグ露国防相がニカラグアを訪問したが、その後、この問題が浮上した。

 隣接するオンドゥーラスは、MIG29は麻薬取締用ではなく戦闘用だとして、中米地域の軍備の均衡が崩れると懸念を表明し、中米統合機構(SICA)に問題提起する構えを見せている。

 また、国境河川サンフアン川河口地域の領有権を巡りニカラグアと紛争を抱えているコスタ・リカも懸念している。

 MIG29は、一機2900万ドルするとされ、貧しいニカラグアがなぜ分不相応な買い物をするのか、との疑問の声も内外で出ている。何機買う方針なのか、明らかにされていない。

 ニカラグアは、領海および経済水域内での麻薬取締を目的とした露海軍艦船の展開を認めている。ロシアには、対米牽制の狙いがある。

ベネズエラ大統領が米大統領に政策正せと呼び掛ける

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月23日ラジオ・テレビ全国統一放送を通じて、バラク・オバーマ米大統領に対し、ベネスエラに対する誤った政策を正せ、ゴルペの画策を止めよ、と警告した。

 マドゥーロは、カラカスの米大使館員がベネスエラの軍人、企業家、野党政治家、ジャーナリストらに謀反に参加するよう働きかけてきたと前置きし、在米・ベネスエラ大使館は、オバーマ政権打倒のため米軍人に働きかけたりしていない、と皮肉交じりに述べた。

 大統領はさらに、ベネスエラは対米関係改善のため努力してきたが、常に米政府が妨害してきた、と指摘した。

キューバ共産党が来年4月、第7回党大会開催へ

 2016年4月、クーバ共産党(PCC)第7回大会がハバナで開かれることになった。

 同党は2月23日、第10回中央委員会総会を開き、ラウール・カストロ第一書記が発表した。

 クーバは、中央集権体制を地方分権化する政策を進めている。地方自治体は現在、15州168市あるが、今後は経済運営を含む市の自治権限を強化していくことが決まった。

 ブルーノ・ロドリゲス外相は、対米国交正常化合意および、その後の交渉について報告した。

 来年の党大会では、ラウールの後継者ミゲル・ディアスカネル政治局員が、ホセ=ラモーン・マチャードに代わって第二書記に就任する見通し。

2015年2月23日月曜日

キューバがベネズエラへの「不変の支持」を表明

 クーバのブルーノ・ロドリゲス外相は2月21日、ベネスエラが直面していたゴルペ(クーデター)の陰謀に関し、クーバ政府はベネスエラ人民、政府、ニコラース・マドゥーロ合憲大統領への不変の支持を表す、と発表した。

 外相はまた、ベネスエラ国内の謀叛を促す米政府と米州諸国機構(OEA)の声明と内政干渉を断固糾弾する、と述べた。

 マドゥーロ大統領は17日密かにハバナを訪れ、カストロ兄弟と会談した。その<成果>が玖外相発表だと言える。

 クーバによる久々の厳しい米政府糾弾は、玖米国交正常化交渉の歩みが遅いとされる状況の反映かもしれない。両国は27日ワシントンで交渉を再開する。

 クーバは21日、腐敗罪で3年前から収監していたカナダ人実業家1人(禁錮15年)を釈放した。対米交渉の場を提供したカナダへの譲歩か。

 一方、ACP(アフリカ・カリブ・太平洋)諸国グループ事務局長アルハジ・ムムニは22日ブリュッセルで、クーバのアフリカでの様々な貢献を讃え、謝意を表明した。西アフリカでのエボラ出血熱との闘いでは、クーバ医師団は患者260人を救っている。

2015年2月21日土曜日

キューバと米国が電気通信直結で合意

 クーバ国営電機通信会社(ETECSA)と米国内電気通信会社(IDT)は2月20日ハバナで、玖米両国を電気通信網で結ぶことで合意した。近く協定が調印される見通し。

 一方、米国務省は同日、米外交官バーニー・アロンソンを特使として、ハバナでのコロンビア和平交渉に派遣する、と発表した。ハバナでは2012年からコロンビア政府とゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)が和平交渉を続けている。

 アロンソンはラ米外交の経験が豊かで、エル・サルバドールとニカラグアの和平交渉にも関与した。特使は和平交渉の動きを米大統領に細かく報告することになる、という。

 米政府がハバナ交渉に特使を派遣できるのも、米玖国交正常化合意のお陰だ。米政府は、コロンビア右翼政界が和平交渉に反対していることから、サントス政権を支持する明確なメンサヘ(メッセージ)を送るのが特使派遣の狙い、とも受け取られている。
 

ベネズエラの事態打開のため南米諸国連合が3外相派遣へ

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月20日、カラカス首都圏市長アントニオ・レデスマの前日の逮捕について、これで「追及を免れる者」はいなくなり、ゴルペの陰謀はなくなった、と述べた。

 検察は同日、レデスマは民主政権に対する暴力の組織と実行を策謀した容疑で出廷することになる、と明らかにした。

 また、通信・情報相ジャクリーン・ファリーアは同日、レデスマが民主行動党員だった1989年2月に起き、死傷者多数が出たカラカソ(首都大騒乱事件)の際、弾圧側に関与した証拠があること、92年の受刑囚63人殺害事件の黒幕だったこと、2002年のチャベス追放未遂クーデターを支援したこと、昨年の街頭暴力事件に関与したことなどの過去を明らかにした。

 一方、南米諸国連合(ウナスール)のエルネスト・サンペール事務局長は20日、近くブラジル、コロンビア、エクアドール3国外相が事態打開についてマドゥーロ政権と話し合うためベネスエラを訪れる、と明らかにした。

 サンペールはまた、「経済、政治、国際関係上の撹乱要素が集中している交差地点から脱出するため、精神的武装を解除し、脱出の意思を強化すべきだ」と述べた。

 国連は同日、対話による打開をベネズエラに求めた。

2015年2月20日金曜日

米下院には封鎖解除の可能性があると、議員団が示唆

 クーバを17日から訪れていた米民主党下院議員団9人は19日、帰国した。これに先立つ記者会見で、米下院には経済封鎖解除に賛成する十分な民主・共和両党議員がいる、と述べた。

 ナンシー・ペロシ団長ら議員団は、クーバで外相、対米交渉首席代表、枢機卿(ハバナ大司教)、およびラウール・カストロ議長の後継者ミゲル・ディアスカネル第1副議長に会った。

 一方、19日公表されたギャラップ社の世論調査では、米市民の60%が対玖経済封鎖解除に賛成している。また46%がクーバに好感を持っている。 

「陰謀関与」でカラカス首都圏市長が逮捕さる

 ベネズエラの諜報機関ボリバリアーアナ国家情報局(SEBIN=セビン)は2月19日、カラカス首都圏市長アントニオ・レデスマ(59)を、ゴルペ(クーデター)陰謀に加担した、として逮捕した。

 レデスマは先週、極右の元国会議員マリーア・マチャード、刑務所にいるレオポルド・ロペスと共に、「体制移行政権」樹立を求める国民合意の形成を求める声明に署名しており、これが主要な逮捕理由。そう当局は説明している。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は同日、新たな首都圏市長を選ぶ選挙を実施することになる、と述べた。

 大統領はまた、「陰謀は今月11、12、13の3日間に決行する計画だった」と明らかにした。政府は先手を打つように空軍士官7人らを逮捕し、陰謀を潰したと公表している。

 マドゥーロはさらに、「右翼のマドリーと、極右のボゴタおよびマイアミが陰謀の枢軸だ」と指摘した。これは、ラホーイ西政権、ウリーベ前コロンビア大統領一派、マイアミのラテン系極右活動家集団を指している。

欧州議会議員団がメキシコ議会で43人事件を質す

 メヒコ国会で2月19日、欧州議会議員訪問団との合同委員会が開かれ、欧州議員たちから、教員養成学校生43人強制失踪事件について質問が相次いだ。欧州議員らは、メヒコ政府の事件収拾のやり方に疑念を抱いている。

 欧州議員団は、18日にはミゲル・オソリオ内相に会った。内相は、政府の結論は出ているが捜査は依然開かれている、と従来通りの立場を述べた。

 同議員団は、訪墨に先立ちクーバを訪問し、玖米国交正常化合意を中心に意見を交わした。

2015年2月19日木曜日

LATINA乱反射はマルティン・ゲバラへのインタビュー

 ◎最近の伊高浩昭執筆記事

★月刊LATINA誌3月号(2月20日発売、LATINA社)

▽連載企画「ラ米乱反射第107回」 「チェ・ゲバラの甥マルティン・ゲバラが日本で著書紹介  若き日に苦悶した革命キューバを批判的に描く」

▼マルティンは初めての日本を知るため、そして著書『ある神話の陰で』を紹介するため1月下旬から2月上旬にかけて来日した。この記事はインタビュー記録。写真6枚掲載(うち4枚は松枝愛撮影)

▽映画評 「皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と影」 シャウル・シュワルツ監督

▽書評  『用水路の妖精たち』 フランシスコ・ウンブラル著、坂田幸子訳、現代企画室

★月刊誌「世界」3月号(2月8日発売、岩波書店)

▽「米・キューバ国交正常化合意」解説・分析-「米州冷戦終結、同床異夢の<善隣>関係始まる」

チリ海軍スパイだったペルー海軍下士官2人起訴さる

 ペルー海軍下士官2人が軍事的競争相手国チレの海軍のスパイとして反逆罪で起訴された。2月18日、明らかになった。2人は去年10月に逮捕され、取り調べを受けていた。

 一人は電信官で、2006年からスパイ活動をしていた。ボリビア、ブラジル、アルヘンティーナ、チレにしばしば旅行するのを怪しまれ、逮捕された。もう一人は諜報情報分析官で、2011年にスペイになり、主にブラジルで情報を渡していた。

 「イタリア人実業家」を名乗る男たちから接近されスパイになったのだが、その「実業家」らはチレ諜報機関の士官だった。

 2人は金欲しさからスパイになったと言っている。また、海軍内にまだスパイがいると示唆している。死刑がないため、反逆罪の最高刑は懲役25年。

ブエノスアイレスで検事不審死解明求め40万人がデモ行進

 ブエノスアイレス中心部で2月18日、アルベルト・ニースマン検事不審死から一か月経った節目に、真相解明を求める大規模なデモ行進があった。首都警察の推計では、40万人が参加した。

 検事ニースマンは、CFK現亜国大統領らがイラン政府と密約し、イラン当局絡みのユダヤ系施設爆破事件の捜査を隠ぺいしたとして、同大統領の取り調べや逮捕の準備をしていた。

 だが検事は、国会で事件捜査に関し証言する日に自宅で変死体で発見された。まだ暗殺とは断定されていないが、他殺との見方が定着しており、元諜報機関幹部が関与した疑いが既に出ている。

 この日、同種のデモ行進は国内各地で実施された。今年10月25日には大統領選挙がある。ペロン派内非主流派や野党は、ペロン派左翼のCFK後継者つぶしの思惑を込めて、首都のデモに参加した。

2015年2月18日水曜日

米国とキューバの次回交渉は27日ワシントンで

 米国務省は2月17日、次回米玖国交正常化交渉は27日ワシントンで行なう、と発表した。

 アミー・クロバチャー民主党議員ら米上院議員3人は14日から17日までクーバを訪れ、ブルーノ・ロドリゲス外相らと会談し、ハバナ西方45kmのマリエル開発特区を訪問した。

 これと入れ替わりに17日、民主党のナンシー・ペロシ議員ら米下院議員団9人がハバナ入りした。19日まで滞在し、各界代表と会談する。

 米議員たちは、外交は我々政治家が望むようには早く進まないものだと断りながらも、向こう3~6ヶ月内に進展があるのではないか、との見通しを示した。

 一方、玖米関係の専門家でもあるハバナ大学のカルロス・アルスガライ教授は、グアンタナモ基地返還、不法移民受け入れ政策、内政干渉などの対立案件を棚上げしない限り、国交正常化交渉は進まないのではないか、との見解を明らかにしている。

パブロ・ネルーダの遺骨は墓に戻せ、と判事命ず

 チレのマリオ・カローサ判事は2月17日、ノーベル文学賞詩人パブロ・ネルーダの死因調査のため使われていた遺骨を4月8日にイズラ・ネグラの旧邸宅の墓に戻すよう命じた。

 遺骨の一部は2013年4月8日発掘され、米西両国の法医学専門機関に送付された。毒殺説が濃厚だったが、調査は毒物の痕跡を発見できなかった。

 遺族らが調査継続を求めたため、カローサ判事は14年5月5日、新たに染色体調査を命じた。その結果は近く出る見込み。それを待ったうえで、遺骨を掘り出してから丸2年経つことになる4月8日に元に戻すよう命じたもの。

反ベネズエラ運動は人民覚醒を恐れるためと、副大統領指摘

 ベネスエラのホルヘ・アレアサ副大統領は2月17日、反ベネスエラ運動を展開している諸政府やマスメディアは、自国民がベネスエラの人民大衆のように目覚めて権力を握るのを恐れているためだろう、と見解を語った。

 またデルシー・ロドリゲス外相は同日、スペイン外相がベネスエラの「言論の自由」をめぐり批判的発言をしたのを受けて、西国外相は他国に言及する前に自国内に山積する問題に目を向けよと述べ、はねつけた。

ハイチ首都でカルナヴァル死者への哀悼の行進実施

 ポルトープランスで2月17日未明、カリナヴァル行進会場で通過中の山車の高部が高圧線に接触、垂れ下った高圧線により山車に乗っていた歌手、踊り手や、山車周辺にいた参加者ら計16人が感電死し、78人が負傷した。

 政府は、カルナヴァル組織委員会、参加者代表らと協議し、祭典中止を決定した。

 同日、ミシェル・マルテリ大統領、エヴァン・スポール首相が死傷者の家族らの先頭に立って、政庁付近から事故現場まで哀悼の行進をした。大統領は、3日間の国喪を決めた。

ベネズエラ大使が、陰謀加担の士官がパナマに逃亡と発表

 ベネスエラのパナマ駐在大使ホルヘ・ドゥランは2月17日パナマ市で、クーデター計画に参加した海軍士官のなかの一人がパナマに逃亡しており、ベネスエラ諜報機関はパナマ政府の支援を得て同士官を捜索中、と発表した。

 パナマでは4月、第7回米州首脳会議が開かれ、米玖両国首脳が歴史的な顔合わせをすることになっている。ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領も参加する予定だが、逃亡士官がパナマに潜伏しているとすれば、安全上、気になるところ。

 ドゥラン大使は、今回の捜索の一件は、4月の首脳会議に影響しないと、わざわざ付けくわえた。それだけ気になっている、と受け止めることも可能だ。

 大使は、クーデターの陰謀と経過についてパナマ政府、各国際機関パナマ代表部、駐在外交団、ラ米系社会に宛てて文書で伝えた。

 一方、シリア外務省は17日、米政府の「ベネスエラ政変画策」を糾弾し、陰謀を止めるよう求める声明を出した。

 また、ラ米ジャーナリスト連盟(FELAP)は同日、クーデターの陰謀に直面しているベネスエラ政府に連帯し、陰謀を糾弾する声明を発表した。

2015年2月17日火曜日

ベネズエラ大統領が「政変の陰謀」への米参事官関与を示唆

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月15日、国軍幹部との会合で、カラカスの米大使館員の動きを監視するよう要請した。国軍士官に密かに働き掛け、ゴルペ(クーデター)参画を働きかけている、ためとしている。

 大統領は、働きかけられ憲法と祖国を裏切った少数の士官たちは自らの軍歴を駄目にした、と述べた。政府は先週、空軍士官7人を逮捕した、と発表している。

 マドゥーロはまた、陰謀の背後には米政府がいる、と指摘した。米国務省広報官が13日、ベネスエラ政府の告発に対し、「米政府は非合憲の政変は支持しない」とし、「馬鹿げている」と一蹴したのに触れて、「<政変>という言葉を用いたこと自体が米政府の関与を示している。ここには合法政府があり、<政変>などない」と反駁した。

 さらに、ゴルペ決行者が読むはずだった文書は米大使館参事官が起草したと見られる、とし、その文書を携行していた人物の逮捕は間近だ、と述べた。

 その上で大統領は、「だからオバーマ大統領、これは<馬鹿げたこと>でも、笑止千万なことでもない。あなたの名の下にゴルペが画策されていることに懸念すべきなのだ」と警告した。

2015年2月15日日曜日

ラ米・カリブ核兵器禁止機構が多地域間条約締結を訴える

 ラ米・カリブ核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)が1967年2月14日、メヒコ外務省(通称トラテロルコ、現在は別)で調印されてから48年経った。

 その記念日の2月14日、メヒコ市にあるラ米・カリブ核兵器禁止機構(OPANAL=オパナール)の連絡調整会議議長パトリシオ・ロペス(駐墨エクアドール大使)は、核兵器の開発、所有、使用、それによる脅迫を禁止する多地域間条約を結ぶ必要があるとして、その策定と締結を呼び掛けた。

 同機構のルイス・デマセード事務局長は、条約にはラ米・カリブ33カ国のすべてが加盟しており、計6億人が住む地域が非核地帯になっている、と指摘した。また、世界には核爆弾1万6000発があるとして、核軍縮を訴えた。

 トラテロルコ条約は、1962年10月のクーバ核ミサイル危機の教訓から提唱され、調印された。

2015年2月14日土曜日

国連・反強制失踪委員会がメキシコ政府に勧告

 国連・反強制失踪委員会は2月13日、メヒコ政府に勧告書を渡した。

 司法枠組みの全国統一、失踪者登録を常時更新、失踪者捜索の全国規模の実施、法医学態勢強化、犠牲者への統合的対応、連邦機関による強制失踪事件対策。この6点を勧告した。

 これに対し、メヒコ内務、外務両省は同日、我が政府の対策努力が評価されていないとして、異議を唱えた。

「カーニバル期間中の政変を策謀」と、ベネズエラ国会議長が暴く

 ベネズエラのディオスダード・カベージョ国会議長と、首都リベルタドール区のホルヘ・ロドリゲス区長は2月13日合同で、反政府勢力による「軍事クーデター計画」の細部を明らかにした。

 議長は、陰謀は2013年5月28日に摘発された「ヘルコー作戦」に始まると指摘し、近く始まるカルナバル期間中にクーデターを起こす計画だった、と述べた。

 昨年の街頭暴力活動に資金を提供し逮捕されている企業家ホセ・アローチャの自供によると、野党議員ホルヘ・ボルヘスとカラカス大首都圏市長アントニオ・レデスマは、刑務所にいる極右指導者レオポルド・ロペスの暗殺を策謀した可能性がある。議長は、そう暴露した。

 議長らはまた、カラカスの米大使館が陰謀に加担していた可能性があるとし、カナダ大使館の女性館員がカラボボ州内の空港を、非常時使用に適しているかどうかを探るため視察していた、と明らかにした。

 ロドリゲス区長は、反政府派には善悪両役があり、悪役は街頭暴力事件などを起こしていた、と述べた。また逮捕された空軍将校の多くは議員ボルヘスが陰謀に参画していたと自供した、と明らかにした。

 一方、米国務省は13日、米国には非合憲措置による政変を支持しないという政策が確立していると前置きし、マドゥーロ政権による米国加担説を「馬鹿げている」と一蹴した。

米国がキューバ民間からの製品輸入を許可

 米政府は2月13日、クーバ民間部門の製品の輸入を認可制により許可する、と発表した。輸入可能な製品は、食糧、農産品、酒・たばこ、鉱産物、化学製品、繊維、金属、機械、電器、自動車、武器弾薬以外のもの。

 米航空会社ジェットブルーは同日、タンパ・ハバナ間に週往復4チャーター便を6月5日から運行する、と発表した。12日には、クーバの新自由主義支持団体「無政府主義資本主義者クルブ」(CAC)にビットコインによる支援が届いた。

 一方、このほど訪玖したトルコのレジェプ・エルドアン大統領は、トルコとサウディアラビアがクーバ国内にモスクを建設する許可をクーバ政府に申請した、と明らかにした。クーバには4000人のイスラム教徒がいるとされる。

 

アルゼンチン検察が大統領らの有罪性を認める

 亜国検察は2月12日、CFK大統領、エクトル・ティメルマン外相ら7人には、AMIA爆破事件捜査を覆い隠した点で有罪性があると認められる、と判断した。

 事件は1994年ブエノスアイレス市内にある亜国イスラエル相互協会(AMIA)で起き、85人が死亡、多数の負傷者が出た。事件にはイラン大使館員の関与があった。

 大統領らはイラン政府と密約し、利益を受けるのと引き換えに事件の真相を隠蔽しようとした、と故アルベルト・ニースマン検事が捜査記録に残していた。

 同検事は1月、自宅で変死体で発見された。暗殺の疑いが出ている。

 だが検察は、ニースマンが生前求めていた大統領らの取り調べはせず、またニースマンが適切と判断していた大統領らの逮捕も(当面は)ない、としている。

 だが検察は、有罪性判断に基づき、事件をあらためて調査することになる。

 これに対し政府は、民主体制不安定化のための工作であり、司法クーデターの大それた画策、と非難した。
 

ベネズエラ国会議長が「クーデター計画」を暴露

 ベネスエラ国会のディオスダード・カベージョ議長は2月12日夜、国営テレビ放送を通じて、「空軍将校らによるクーデターの陰謀」を明らかにした。陰謀の存在は既にニコラース・マドゥーロ大統領が公表していた。

 それによると、元空軍司令官(退役空将)、現役空将2人、同大佐ら士官10人の計13人が関与した。うち3人は逮捕され、2人は逃亡中。他の8人がどうなっているのかは明らかにされていない。逮捕者の情報はかなり混乱している。

 議長は、右翼野党「まず正義を」(PJ)の国会議員フリオ・ボルヘス、カラカス首都圏市長アントニオ・レデスマのほか、実業家らも関与している、と述べた。

 首謀者らは、刑務所にいる極右指導者レオポルド・ロペスを暗殺し、国中を騒然とさせて政府を倒し、レデスマが野党勢力の指導者として登場する、という筋書きを描いていた。そう議長は明らかにした。

 彼らは、政庁、国家選挙理事会(CNE)、最高裁、検察庁、国防・外務・内務・司法・教育各省、国軍情報部(DIM)、テレスール放送局、首都中心街のリベルタドール区役所などを空爆するなどして制圧する計画を立てていた。

 議長によると、パソコン、武器類、戦闘服などが押収されており、パソコンにはクーデター計画の陰謀の細部が記載されている。議長は、米国の関与を示唆した。

 国軍はこの日、マドゥーロ大統領と憲法に忠誠を誓う、と表明した。一方、PJ党は、ボルヘス議員の関与を否定した。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は、マドゥーロ大統領と政府への連帯を表明した。

2015年2月13日金曜日

ベネズエラ空軍士官7人がクーデターを陰謀し逮捕さる

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月12日、軍事クーデターを画策した将校7人を11日逮捕した、と発表した。いずれも空軍所属。去年3月にも空軍の将軍3人が逮捕され、士官約50人が取り調べを受けた。

 発表によると、反乱者集団はブラジル製のスペル・トゥカーノ機でカラカス市内にある大統領政庁、国防省、外務省、テレスール(南テレビ放送)などを空爆する計画だった。トゥカーノ機はコロンビアから発信することになっていたとされ、外務省がコロンビア政府に説明を求めることになると伝えられる。

 大統領は、一味は2月3日カラカスの米大使館で米入国査証を与えられていたと暴露し、陰謀の背後に米国がいることを示唆した。さらにベネスエラの右翼政治家らと士官らは連携していたと明かし、当該政治家らは追及されることになると述べた。

 12日は、極右に影響された反政府勢力による街頭暴力開始1周年を記念する行進が各地で実施された。反政府派はコロンビア国境に近いサンクリストーバル市などで投石、棍棒による殴打などで治安部隊に対抗した。負傷者と逮捕者が出ている。

 一方、導入されたばかりの通貨ボリーバル(bf)の自由変動相場は、1米ドル=170bfとなった。bf安は、闇市場の187bfを下回った。

イタリアで南米軍政期の人道犯罪裁く公判始まる

 ローマ近郊のレビッビアで2月12日、1970年代の南米南部諸国軍政期に軍政同士が連携して左翼ら批判者を殺す「コンドル作戦」に基づく人道犯罪を裁く公判が始まった。イタリア検察は、イタリア系市民ら43人を殺害した南米4カ国の元軍政高官ら32人を起訴している。

 だがほとんどの被告は直接、間接の証言を拒否し、この日出廷したのはイタリア在住ウルグアイ系市民で、元ウルグアイ海軍大佐ネストル・フェルナンデス=トロッコリ被告だけだった。

 元大佐は、ウルグアイでの人道犯罪裁判で裁かれる恐れが出た2007年、イタリアに亡命し、サレルノに住んでいる。イタリア系ウルグアイ人6人の強制失踪事件に関与した罪で起訴された。

 被害者43人は、ウルグアイ人20、伊系ウルグアイ人13、伊系亜国人6、伊系チレ人4。被告はボリビア人1(ルイス・アルセ元内相)、ペルー人4(フランシスコ・モラレス=ベルムーデス元軍政大統領ら)、チレ人11(マヌエル・コントレラス元秘密警察長官ら)、ウルグアイ人16。 32人はすべて軍人で、市民の生殺与奪権を握っていた、それぞれの国の軍事評議会員だった。

 イタリア検察は、欧州で「コンドル作戦」が裁かれる歴史的裁判と自負している。次回公判は3月12日。検察は証人150人をそろえている。 

米上院に対キューバ禁輸解除法案が提出さる

 米議会上院に2月12日、「対玖輸出自由法」案が提出された。経済封鎖の根幹をなす禁輸解除を目指す法案。

 提出したのは、ミネソタ州選出の民主党議員アミー・クロバチャアーら民主、共和両党議員たち。

米州人権委員会がメキシコ学生失踪事件を3月から調査

 米州諸国機構(OEA)の米州人権委員会(CIDH)はワシントンの本部で2月12日、メヒコの教員養成学校生43人強制失踪事件の調査のため3月1日調査団がメヒコ入りする、と発表した。

 CIDHは昨年11月18日のメヒコ政府との合意に基づき3月から半年、毎月3週間ずつ調査する。CIDHは、メヒコ検察庁発表の捜査結果を認めていない。

 調査団は、スペイン人医師1、グアテマラ人元検事総長1、コロンビア人弁護士2、チレ人弁護士1の計5人。

 事件は昨年9月下旬、ゲレロ州イグアラ市で発生、全貌はいまだに解明されていない。

2015年2月12日木曜日

キューバ議長がトルコ大統領と会談

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は2月11日ハバナで、トルコのレジェプ・エルドアン大統領と会談した。大統領はコロンビアを訪問した後、訪玖したもので、次はメヒコに行く。

 1962年10月のクーバ核ミサイル危機の収拾時、米ソが、クーバに持ち込まれたソ連ミサイルとトルコに配備されていた米ミサイルを交換条件で相互に撤去した経緯がある。

 一方、マイアミ市長ら米国人50人は11日ワシントンポスト紙上で、オバマ政権が踏み切った対玖国交正常化合意に反対する抗議の書簡を公開した。「合意はクーバ民主化に貢献しない」、「反体制派の犠牲を無視するものだ」、「民主化促進のため圧力をかけるべきだ」などと主張している。

ベネズエラ大統領がロシア国防相と会談

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月11日、来訪したロシアのセルゲイ・ショイグ国防相と会談した。これに先立ち同国防相は、ベネズエラのブラディーミル・パドゥリーノ国防相とチャベス廟で会談した。

 ベネスエラは米国の兵器禁輸に遭った2001年から13年までに、ロシア製兵器110億ドルを輸入している。

 今回のショイグ来訪は、米政府による政治的、外交的圧力に晒されているベネスエラと連帯するロシアの姿勢の表れでもある。マドゥーロは1月半ばモスクワで、プーチン大統領と会談している。

 ショイグはこの後、ニカラグアとクーバを訪問する。ベネスエラを含むこのカリブ3国は、ロシア海軍艦船入港と空軍機着陸の重要拠点となっている。

パラグアイ農民がカルテス大統領の辞任要求

 パラグアイ全農連(FNC)と農民党は2月10日、アスンシオンの国会前広場でオラシオ・カルテス大統領の辞任を求めて1万人集会を開いた。全国各地から4日間、徒歩や自動車で行進し、首都にこの日、到着した。

 パラグアイ人権連絡調整会議の統計では、ストロエスネル独裁が崩壊した1989年2月からカルテス現政権が発足し2013年8月までの間に農民運動の指導者および活動家が115人殺害されている。ほとんどの事件が解明されておらす、無処罰のまま終わっている。

 農民は、農民幹部殺害への無対処、大土地所有者優遇、大統領個人の統治者としての適性の問題から、大統領に辞任を求めた。

 一方、パラグアイ南部アルゼンチン国境のニェエンブクー県内で11日、パラグアイと亜国の遺骨調査団が会合した。亜国軍政時代に殺害され遺体を密かに埋葬された犠牲者の遺骨である可能性があるためだ。遺骨は同県内の工事現場で1月6日、工事関係者によって偶然発見された。

 亜国では3万2000人が殺害されたが、ストロエスネル独裁下でも425人が殺害もしくは強制失踪(抹殺)され、2万人以上が逮捕拷問され、2万814人が亡命を余儀なくされた。

 今回発見された遺骨は、亜国内で殺されたか、もしくはパラグアイで殺された亜国人のものである可能性があるとされている。軍政期には、「コンドル作戦」に基づき軍人同士が相互に国境線をまたいで暗殺、、強制失踪、遺体埋葬などを実行していた。
 

2015年2月11日水曜日

CELACがベネズエラと米国の対話を仲介か

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月10日、米国のベネスエラへの内政干渉政策は失敗しつつある、と述べた。ALABA、CELAC、ウナスール、非同盟運動などがベネスエラを一斉に支持していることを理由として挙げた。

 またデルシー・ロドリゲス外相は同日、CELACがベネスエラと米国の対話回路を確立するため外交努力をする、と述べた。ブラジルがその任に当たると予想されている。

 一方、財務省と中央銀行は10日、米ドルを市場での実勢で交換する「枠外外貨制度」(SIMADI)を11日発効させる、と発表した。1米ドルは、125ないし140ボリーバル(bf)の幅で推移すると予想されている。9日の並行市場(闇市場)は1ドル=187bfだった。

 だが政府は、食糧、薬品など必需物資輸入には、従来通り1ドル=6・7bfの優遇交換率を適用することにしている。

韓国がキューバと貿易開始、年内にも国交樹立か

 韓国の貿易保険会社Kシュアは2月9日ハバナで、クーバ中央銀行および対外銀行との間で、両国間貿易を保障する貿易保険6000万ユーロを提供する趣意書に調印した。これにより両国間で貿易が正式に開始されることになる。

 クーバは革命後、北朝鮮と国交を樹立し、韓国と非公式の限定的な交流しかしていなかった。韓玖接近は、米玖国交正常化合意の副産物として位置づけられる。

 ★また韓国外務省は10日、米玖合意に鑑み韓国は年内にハバナに大使館を開設する方針だ、と明らかにした。

 フィデル・カストロ前国家評議会議長は1995年と2003年の2度、中越両国を歴訪した際、北朝鮮の招待を受けながら日本に立ち寄った。

 市場原理を導入して経済活性化を図っているラウール現議長にとって、資金と技術のある韓国がイデオロギーの同志・北朝鮮よりも魅力的に映っているとしても不思議はない。

2015年2月10日火曜日

ウナスール外相委員会がベネズエラを支持

 南米諸国連合(ウナスール)は2月9日モンテビデオで、ベネスエラへの米国による干渉の問題を話し合う外相委員会を開いた。閉会後、記者会見に臨んだエクアドールのリカルド・パティーニョ外相は、米国による内政干渉を非難しているベネスエラの立場を支持する、と述べた。

 委員会にはベネスエラ、ブラジルの外相と、ウナスールのエルネスト・サンペール事務局長も出席した。パティーニョは、米政府がベネスエラ政府に対し手段を講じた後、ウナスールが直ちに反応したのが重要だと述べ、素早く委員会を開いたことを評価した。

 委員会はまた、事態を打開するため「対話の回路」を探ることを決めた。ウナスールは週内にもキトで、ベネスエラ・米国問題をめぐり特別外相会議を開く見通しだ。

2015年2月9日月曜日

メキシコ学生失踪事件で亜国チームが検察に異議表明

 メヒコの教員養成学校生43人強失踪事件を捜査している亜国の法人類学チーム(10人)は2月8日メヒコ市で、発見されたとされる遺骨類を学生たちのものと特定するのに十分な科学的根拠はなく、捜査を打ち切ることはできない、と表明した。

 ゲレロ州イグアラ市で昨年9月下旬発生した事件は、4カ月半経った今も解明されていない。同市近隣のコクーラ市のごみ捨て場で発見されたとされる遺骨類を基に、ヘスース・ムリージョ検事総長は1月27日、43人が殺害され焼かれて捨てられたことが証明されたとして、捜査打ち切りを示唆している。

 亜国チームは検察が遺骨類を発見したとしている日、連絡を受けておらず現場にいなかったとし、現場は一定期間保存されておらず、立ち入り自由の状態になっていた、と捜査に問題があったことを提起した。

 遺骨類の一部はウィーンに送られ、学生一人の身元が判明したと公表されている。だが他の42人の遺骨は依然不明のままであり、被害者の家族や人権団体は政府に捜査続行と事件の全貌解明を強く要求している。

 一方、検察庁は9日、我々の捜査結果に疑念を醸すもので到底受け入れられないと、亜国チームに抗議する声明を発表した。  

南米諸国連合が米国のベネズエラへの干渉で対策へ

 エクアドールのリカルド・パティーニョ外相は2月8日、米国によるベネスエラへの内政干渉問題を討議するためモンテビデオで9日、同外相および、ブラジル、ベネスエラの外相と南米諸国連合(ウナスール)のエルネスト・サンペール事務局長が会合する、と発表した。

 サンペール事務局長は7日、「ベネスエラは脅かされている。サーベルの音さえ聞こえる。ウナスール加盟諸国はベネスエラの民主維持のため闘う」と強調した。

 サンペールはまた、「米国による干渉は地域に不安と分極化を招く。米国はクーバと対話しながらベネスエラに一方的に圧力をかけているが、矛盾している」と批判した。

 一方、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は7日、ウナスール輪番制議長でウルグアイ大統領のホセ・ムヒーカ、サンペール事務局長、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)輪番制議長でエクアドール大統領のラファエル・コレアに招集をかけた、と明らかにした。

 マドゥーロ大統領は、「米国は我々を新たに分断しようとしている。侵略が起こる前に間に合うよう招集をかけた」と述べた。ウナスールは9日の会合を踏まえて週内に外相会議をキトで開く予定。

ラウール・キューバ議長が年内に訪露か

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長(83)が年内に訪露する見通しとなった。ロシアの副外相が2月7日、ハバナで明らかにした。ラウールが最後に訪露したのは2009年で、当時のメドゥヴェージェフ大統領の招待によるものだった。

 ロシアは、米玖国交正常化合意に伴い、クーバへの関係強化の働き掛けを強めている。ラウールにとっても、ロシアの存在は、平和裡の体制転換を狙う米国を牽制するカードとなる。

2015年2月8日日曜日

コロンビア革命軍(FARC)が将来の政党化を表明

 ハバナで和平交渉中のコロンビア革命軍(FARC)は2月7日、和平後は政治組織になる、と表明した。また交渉相手のコロンビア政府に対し、国軍、警察、諜報機関の改革を要求した。

 さらに、極右殺害部隊(パラミリタレス)を解明する委員会の設置を提案し、同委を通じてFARCと政府は同部隊解体のため共同作業が可能になる、と述べた。

 パラミリタレスは、主として大地主や麻薬マフィアが1980年代に結成。その後、国軍の補完部隊として育成された。内戦でゲリラと戦う一方、市民虐殺、農地奪取、麻薬取引で危険な存在となってきた。 

ベネズエラ大統領が「米国による政変画策」を糾弾

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月7日、オバーマ米政権がロビーの意見を取り入れて作成したとされる「国家安全保障戦略 2015年2月」という文書を手にして、「この文書には、<ベネスエラでは米政府の全機関に支援されたクーデターが起きる>と書かれている」と指摘して、米政府の介入政策を糾弾した。

 大統領は、文書には「我々は、民主実践が危険に晒されているベネスエラのような国の市民を支援する」とも書かれており、米州諸国機構(OEA)の憲章を介入の道具にしようとしている、と非難した。

 その上で、「ベネスエラと米国のどちらに民主があるか。人民の権力と自由はどちらにあるか。多国籍企業でなく人民の政府はどりらか」と問い掛け、「オバーマ大統領よ、ベネスエラで2002年、(前任者)ブッシュが公然と支援したクーデターが失敗した。ボリバリアーナ革命に対する政策の誤りを認めるべきだ」と諭した。

 さらに、「このような偽りの文書を作成したロビーは、イラクに大量破壊兵器があると偽りの情報を主張し、米国をイラク侵攻に駆り立てた」と述べ、「あなたは全LAC(ラ米・カリブ)諸国との関係を改善させた大統領として歴史に名を残すか、それともレーガン、ブッシュと同じ過ちを犯した大統領として残るかだ」と警告した。

 また「オバマ大統領よ、我々LACとあなたたちは別々の世界にいるのだ。LACはもはや米国の<裏庭>でなく、ベネスエラは米国の<石油植民地>ではない」と強調した。

 大統領は、米国の脅威があるため、ウナスールとCELACに連帯を要請したと述べ、最後に「ベネスエラは尊厳ある国だ。敬意を払うよう要求する」と表明した。

 今年ベネスエラは、非同盟運動の輪番制議長国になる。非同盟執行部は7日、米政府によるベネスエラ主権の侵害を糾弾した。

米国による対キューバ経済封鎖制度化53周年

 米国の旅行会社「キューバ旅行サービス」(CTS)は2月7日、3月17日からNY・ハバナ間に週往復1便のチャーター便を運航する、と発表した。

 料金は往復848ドル、ビジネス級は1334ドル。チャーター便は既にクーバ系住民の多いフロリダ州から多数運航されており、料金は往復400~450ドルと安い。

 この日クーバは、米国による経済封鎖制度化53周年を迎えた。封鎖はアイゼンハワー政権が1959年に始め、ケネディ政権が1962年に制度化した。

 ラウール・カストロ玖政権は、対米国交正常化に主に経済封鎖完全解除を求め、一方の米国はクーバ社会主義体制の「資本制民主主義化」を狙っている。米国は玖体制変換という戦略は変えておらず、戦術を強硬策から穏健策に変えただけだ。

 このためクーバ指導部内では、国交正常化に名を借りた内政干渉は許さないとの声が高まっている。

【参考:本日2月8日発売の月刊誌「世界」3月号(岩波書店)掲載の伊高浩昭執筆「米・キューバ国交正常化合意 米州冷戦終結、同床異夢の<善隣>関係始まる」】 

2015年2月7日土曜日

チリで1973年に農民を殺した元将軍が逮捕さる

 チレ警察は2月5日、元陸軍副司令官、元軍事評議会員、元任命上院議員のサンティアゴ・シンクレア退役将軍(87)を殺人命令容疑で逮捕した。軍事クーデター直後の1973年10月、バルディビアで農民12人が軍政当局に殺害された事件の主犯とされている。

 併せて、この事件の実行犯の元軍人3人も逮捕された。チレ政府は、軍政下で起きた人道犯罪を追及し続けている。

 ピノチェー軍政は、全国各地で捕えた左翼、労働者、知識人、芸術家、農民らを選別的に殺害する「移動殺害部隊」を展開、この事件の農民12人も殺害された。12人は森林保護局で働いていたが、「革命的左翼運動」(MIR)に所属していた。

 クーデター翌日の9月12日、バルディビアの治安警備隊(カラビネロス)駐屯地に赴き、クーデターに加担しないよう訴え、戦うため武器を渡してほしいと要求、逮捕され、10月始め殺害された。陸軍バルディビア連帯司令官だったシンクレアらが殺害を命じた。

 シンクレアの他に共犯者2人がいた。いずれも退役将軍だが、一人は既に死亡、他の一人は精神障害のため不逮捕処分となっている。

[高裁判断により、高齢のシンクレアら4人は2月7日、一人20万ペソ(約320ドル)を支払って保釈された。]

2015年2月6日金曜日

月刊「世界」3月号が米・キューバ復交合意解説記事を掲載

◎最近の伊高浩昭執筆記事

★月刊誌「世界」3月号(岩波書店、2月8日刊)

「米・キューバ国交正常化合意  米州冷戦終結、同床異夢の<善隣>関係始まる」

内容:狙いは「和平演変」  市場原理導入  対米対決路線を葬る  封鎖完全解除は難航  ラ米で失地回復狙う米国


  

米国が4月初めまでの復交目指しキューバに圧力

 米政府はクーバ政府に対し、4月10~11日パナマで開かれる第7回米州首脳会議前までに国交を再開すべく圧力をかけている。英通信社ロイターが、米国務省の政策に通じた2人の米当局者筋情報として2月5日伝えた。

 同会議には、米州諸国機構(OEA)非加盟国クーバのラウール・カストロ国家評議会議長も招待出席し、初の米玖首脳会談も見込まれている。

 クーバ側は、国交正常化前にクーバへの一方的な「テロリズム支援国家指定」を解除すべきだと米国に要求している、という。

 同筋はまた、米政府は指定解除を関係当局に急がせているが、解除は早くとも6月以降になる見込み、と述べた。

 「オバーマが急ぎ、ラウールは急がない」という、国交正常化交渉過程での両国の姿勢の隔たりが浮き彫りになった。

メキシコ学生事件の家族が欧州議会で協力要請

 メヒコの学生43人強制失踪事件の被害者家族代表2人は2月5日、ブリュッセルの欧州議会人権小委員会で、メヒコ政府にこの事件で正義を果たすよう働きかけてほしい、と訴えた。

 2人は、「メヒコ政府を信用しない。欧州議会に独自の事件調査を求めたい」とも語った。「メヒコ政府が実質的な捜査をせずに事件の幕引きを図るのは許さない」とする議員たちからは、100万ユーロを事件の捜査費としてメヒコ政府に送るという提案がなされれた。

 ベルギー駐在のメヒコ大使も駆けつけ、政府は費用を惜しまず事件の捜査を完遂する、と述べた。

 ある欧州議員は、メヒコから失踪事件が持ち込まれたのは初めてではない、と嘆いた。別の議員からは、メヒコとの通商協定に人権条項を設けてはどうかとの意見が出された。
  

米航空5社がハバナ乗り入れを計画

 米国の航空会社は、米玖国交正常化に備えてハバナへの直行便開設を計画している。2月5日現在、アメリカン、ユナイテッド、デルタ、サウスウェスト、ジェットブルーの5社の名前が挙がっている。

 だが複雑な経済封鎖法体系があり、議会の法改正や廃止の動きと関係するため、事業認可が下りるまでには最低1年以上かかる見通し、とされている。

 米議会下院には既に「訪玖旅行自由法」案が提出されている。この新法が上下両院で成立すれば、米国人の訪玖が自由化される。米航空会社機の乗り入れは、その動きと絡んでいる。

2015年2月5日木曜日

ベネズエラ大統領が南米諸国連合に支援要請

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月4日カラカスで、南米諸国連合(ウナスール)のエルネスト・サンペール事務局長(元コロンビア大統領)と会談し、オバーマ米政権によるベネスエラへの攻撃、脅迫をやめさせるべく、またそのための防衛策として、ウナスールおよびラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)に「装甲」支援を要請する、と述べた。

 これを受けてサンペールは、ベネスエラ政府と野党勢力の話し合い再開の条件は整いうるとして、コロンビア、ブラジル、エクアドール3国外相に仲介役を要請する可能性を示唆した。

 事務局長はまた、マドゥーロから手渡された「米国による脅迫の証拠」はウナスール加盟国外相に提示し、意見を求めると述べた。ウナスール本部のあるキトで来週、加盟国外相会議が開かれる。

 一方、米国務省は4日、マドゥーロがサンペールとの会談に先立ち、ベネスエラと米国の話し合いの仲介をサンペールに求めたいと語ったのに応えて、サンぺールが事務局長を務めるウナスールとは連絡を取らない、と述べた。米政府は1996年、当時のサンペール大統領が、大統領選挙戦時にカリ麻薬マフィアから巨額の資金を受け取った事実を踏まえて、米入国査証発給を禁止している。

 国務省はまた、ベネスエラとの外交関係は維持し、マドウーロとは対話する、と表明した。

 
 
 ベネスエラ第二の実力者ディオスダード・カベージョ国会議長は4日、米国防省情報局長ヴィンセント・スティワートがベネスエラでは国会議員選挙前の数ヶ月間、大衆抗議行動があると予測したと前置きし、「野党勢力は選挙で勝てないことを自覚しているため、米国から支援されて暴力を起こそうとしている」と糾弾した。

 
 4日は、故ウーゴ・チャベス前大統領が陸軍中佐だった1992年にクーデター未遂事件を起こした23周年記念日。マドゥーロは、ボリバリアーナ軍事大学で催された式典で、「偉大な巨人チャベスは、士官学校少尉から始まった」と指摘した。

 全国140の会議所を束ねる経団連は4日、内政の諸問題を解決するため政府と対話したい、と意思表示した。

アルゼンチンと中国が「統合的戦略関係」結ぶ

 アルヘンティーナのCFK大統領は2月4日北京で習近平主席と会談、「統合的戦略関係」樹立で合意した。大統領は、中国は欧米に代わって最大の同盟国になった、と讃えた。

 双方は、観光、刑務、文化、保健、科学、鉱業、原子力、通信、情報、宇宙、金融など15項目の協力協定に調印した。

 CFK大統領は、特に鉱山、石油、カリウム、リティウムへの投資を中国企業に働きかけた。

2015年2月4日水曜日

キューバが「主権と秩序は交渉対象外」と強調

 クーバ外務省のホセフィーナ・ビダル米国局長は2月3日、「クーバの主権と国内秩序が対米国交正常化交渉の議題になることはあり得ない」と強調した。ビダルは対米交渉の首席代表を務めている。

 これは同日、米側首席代表ロベルタ・ジェイコブソン国務省米州担当次官補が米上院外交小委員会の聴聞会で、「正常化合意はカストロ兄弟体制への無償の譲歩ではなく、クーバ人民が自らの将来を築けるようにするための最も効果的な措置」などと述べ、クーバ体制の「民主化」を図る狙いを改めて示したのを受けての発言。

 この聴聞会ではクーバから招かれた反体制派指導者4人も証言することになっている。

 現在、玖米両国はワシントンでの次回正常化交渉の日程や議題を調整中。

ベネズエラ大統領がペトロカリーベ強化を言明

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月3日、同国が運営しているカリブ石油連帯機構(ペトロカリーベ、受益加盟国19)を米政府が分裂させようと画策しているとして、ペトロカリーベ強化に乗り出すと述べた。

 大統領はまた、南米諸国連合(ウナスール)のエルネスト・サンペール事務局長と同日カラカスで会談し、米政府がベネスエラ政府不安定化を謀っている証拠を渡す、と明らかにした。

 大統領は、「米政府はカラカスの大使館を通じてクーデターを画策している。だが共通の議題で話し合う可能性も残されている」と前置きし、サンペールは米国が迷路にはまりこまないようにするため共通の議題を探るべく外交提案をしようとしている、と語った。

 一方、デルシー・ロドリゲス外相は同日カラカスでクーバのロヘリオ・ポランコ大使と会談し、緊密な両国関係を維持していくことを確認した。これは玖米国交正常化合意によってもクーバの立場は変わらない、ということを示したものだ。
 

マルティン・ゲバラが離日

 スペイン在住の亜国人作家マルティン・ゲバラ(51)=故エルネスト・チェ・ゲバラの甥=は2月3日、羽田空港から離日し、北京経由マドリーに向かった。

 1月26日に来日し、東京、京都、広島に滞在した。メディアとのインタビューをこなし、会合で発言した。毎日食べた和食では、お好み焼きと(回転式でない)寿司がうまかった、という。

 「異国情緒の国」だと想像していたが、誰もが心を開いて自由に対話できる「友愛に満ちた国」だとわかった-これが「発見」だったらしい。

ノルウェー外相がキューバを初訪問

 ノルウェーのヨルゲ・ブレンデ外相は2月2日ハバナで、クーバのブルーノ・ロドリゲス外相と会談した。ノルウェー外相の訪玖は初めて。

 ノルウェーは、ハバナで続けられているコロンビア内戦和平交渉の、コロンビア政府側支援国をチレとともに務めている。ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)の支援国はベネスエラとクーバである。

 和平交渉は2日、内戦被害者への賠償問題についての話し合いが再開した。ブレンデ外相は、コロンビア政府とFARCのそれぞれの交渉代表と1時間ずつ話し合った。

アルゼンチン大統領が中国をまた訪問

 アルヘンティーナのクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル(CFK)大統領は2月3日、3度目の中国訪問を開始した。この日、北京で中国の国策企業や銀行の代表者と会合した。

 4日には、習近平首席との首脳会談に臨む。亜国100人、中国300人の亜中企業家会合も開かれる。習主席は去年7月、亜国を訪ずれている。

 亜国は、債務不履行に陥れられるなどして米欧金融機関から締め出されており、中国が資金融資の頼みの綱となっている。

 一方、亜国内ではニースマン検事暗殺事件が依然、最大の問題となっている。同検事は「イランとの密約」の容疑でCFK大統領を逮捕する方針だった、とする報道もあり、世論は事件の真相解明を求めている。

法王がオスカル・ロメーロ大司教を「殉教者」と認定

 ヴァティカンは2月3日、法王フランシスコがエル・サルバドール(ES)の故オスカル・ロメーロ大司教を「殉教者」と認めた、と発表した。首都サンサルバドールの大司教だったロメーロは1980年3月24日、病院内の礼拝堂で癌患者らへのミサを遂行中に狙撃手によって暗殺された。

 この事件を契機に事実上、ES内戦が始まった。内戦終結後の「真実委員会」の調査で、暗殺を指揮したのは故ロベルト・ダウブイソン陸軍諜報担当少佐だったことが明らかになった。

 ダウブイソンは、1980年代末から20年間、政権を支配した極右政党「国家主義共和同盟」(ARENA)の創設者だった。ロメーロ大司教は、軍部による人道犯罪を厳しく批判していた。このため暗殺された。

 「殉教者」になると、次に「福者」、さらに「聖人」の認定に進む道が開ける。

 法王はまた、ペルーで1991年8月25日、極左武闘組織「センデロ・ルミノソ」(輝く道)に殺害された修道士2人をも「殉教者」とした。

2015年2月3日火曜日

フィデル・カストロの写真が久々に公開さる

 クーバ革命の指導者フィデル・カストロ前国家評議会議長(88)の最新の写真が2月2日、久々に共産党機関紙グランマなどに掲載された。1月23日、ハバナ市内の自宅に大学生連盟(FEU)会長ランディー・ペルドモを招いて話し合った時のもので、珍しく同席したダリア夫人も写っている。

 今年9月、フィデルのハバナ大学入学70周年となる。これに因む特別行事をFEUが1月に催したのを受けて同月22日、フィデルは、ペルドモに電話をかけ50分間話し合った後、自宅に翌日来るよう招いたもの。

 フィデルは1月27日にも自宅にブラジル人神学者フレイ・ベトを招いて話し合った。だが写真は公開されておらず、数年前にベトを迎えた時のフィデルの写真が報道に使われた。

 フィデルは既に実権を行使しなくなって久しい。ラウール政権には、「国父フィデル」の健在ぶりを示すことで、対米国交正常化や経済改革に反対する国内の守旧派、および、クーバ体制の平和的打倒を目指す米政府を牽制する意味がある。

チリでの42年前の米人ジャーナリスト殺害事件で判決下る

 チレ法廷は2月2日、故アウグスト・ピノチェーらによる軍事クーデターが起きた1973年9月、米人ジャーナリスト、チャールズ・ホーマン、フランク・テレッギを殺害した犯人である元陸軍少将ペドロ・エスピノーサに禁錮7年の実刑を言い渡した。

 また同元少将と、元空軍軍属一人、および国庫に、殺された2人に一人当たり32万ドルの賠償金を支払うよう命じた。

 この事件を基に1982年、映画「ミシング(失踪)」が製作された。

ベネズエラ大統領が米政府による内政干渉を糾弾

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月2日、政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV=ペスーベ)の臨時党大会で演説し、米国による内政干渉を断固はねつける意志を表明した。

 これは同日、米政府が発表した、「人権、腐敗などに関わった」ベネスエラ政府の現職および元職の公職者とその家族への米入国査証を発給しないとの決定を受けての発言。米政府は昨年12月19日にも、同種の決定をしている。

 大統領は、「黒人を殺した白人警官が罰せられない米国、中米の未成年者を米墨国境沿いの強制収容所に入れる米国、世界各地から司法手続き無しに人々を強制連行し(クーバ国内にある)グアンタナモ基地の収容所に入れている米国に、他国の人権を口にする道徳的資格はあるのか」と、米政府を厳しく指弾した。

 そのうえでボリバリアーナ憲法を掲げて、「チャベス前政権以後、ベネスエラ史上初めて自由と人権が保障され実現した」と強調した。

 マドゥーロはまた、経済戦争と、右翼勢力による流血騒動を起こす陰謀に対峙するよう、呼び掛けた。

 議会に対しては、野党連合MUDがマイアミでベネスエラへの介入を米国に求める声明を出したとして、そのような勢力を取り締まるよう要請した。

 大統領はさらに、食糧安保法に基づき、食糧を大量に隠匿していた商店グループの店や倉庫を家宅捜査し、食糧を押収したことを明らかにした。

 マドゥーロは、米政府内ではジョセフ・バイデン副大統領が中心になって、ベネスエラでの軍事クーデターを画策している、と非難している。

 反政府勢力、米政府などは、ベネスエラ社会を混乱に陥れて軍部を分断、クーデターに導く戦略を立てている、と指摘されてきた。

2015年2月2日月曜日

ベネズエラ人の71%が国営石油会社民営化に反対

 ベネスエラで1月実施され2月1日公表された世論調査結果によると、国営ベネスエラ石油会社(PDVSA=ペデベサ)の民営化に賛成する者は24%、反対は71%だった。石油はベネスエラ経済の命綱であり、石油産業を司るPDVSAの国有維持を良しとする者が圧倒的に多い現実を明るみに出した。

 電力民営化についても賛成31%、反対67%だった。厖大な補助金支出を削減するのに不可欠なガソリン値上げには、62%が賛成、反対は35%だった。

 通貨ボリーバル(bf)の切り下げには12%が賛成、86%が反対した。国外旅行者向け米ドル割り当て制度の廃止反対は81%だったが、同制度維持への賛成は12%だった。

 社会政策廃止賛成は19%、反対は79%。暴力事件に発展しかねない街頭抗議運動への賛成は31%、反対は67%だった。

 賃上げは賛成82%、反対17%だった。最低賃金は1日、5634bf(約400ドル)に引き上げられた。労働者は150~200ドル分の食糧引換券ももらえる。

 以上の賛否の数字から、大まかに言えば、政府支持派が3分の2、反対派が3分の1であることがわかる。

 一方、警察再編大統領委員会のフレディー・ベルナル委員長は1日、市警、州警から国警、科学・刑事・犯罪捜査隊に至るあらゆる警察組織に腐敗が拡がっており、脅迫、誘拐、殺害に関与する者が潜入している、と語った。

 この委員会はニコラース・マドゥーロ大統領が昨年10月設置、半年後の今年4月までに再編案を大統領に提出する。

 ベネスエラは4日の故ウーゴ・チャベス陸軍中佐(前大統領)による軍事クーデター未遂23周年記念日、6日の反政府勢力によるグアリンバ(街頭暴力事件)勃発1周年を控えて緊張しつつある。
 

国連強制失踪委員会がメキシコの人権問題を検証

 メヒコの極悪の人権状況を検証する国連強制失踪委員会が2月2、3両日、ジュネーブで開かれる。メヒコ政府当局は1月半ば現在、2万3271人が行方不明で、うち621人を捜索中と明らかにしたが、不明者のうち何人が強制失踪者に該当するかなど細部を明確にしていない。国内あちこちで地中から他殺体が絶えず見つかっている。

 メヒコ国家人権委員会(CNDH)はジュネーブで2日、人権報告書を提出する。そこには、メヒコ政府は人権に関する国際規約を順守しておらず、報告などに透明性が欠けている、などと指摘する文言が盛り込まれているという。

 2日間のジュネーブの委員会会合には、イグアラ市で昨年9月下旬起きた教員養成学校生43人の強制失踪事件被害者の家族代表2人と法的支援団代表も出席する。

 強制失踪委員会はメヒコ政府に対し、いまだに未解明の43人事件の捜査活動を打ち切らず継続するよう要求している。
 

作家マルティン・ゲバラが自らのキューバ時代を語る

 スペイン在住の亜国人作家マルティン・ゲバラ(51)=故エルネスト・チェ・ゲバラの甥=は2月1日夕刻、目黒駅に近いサロン「カフェ・イ・リブロス」で2時間に亘り、少年期と青年期の一部を過ごした革命クーバ、伯父エルネスト、カストロ体制などについて、自己批判を基に批判的に語り、質疑応答をした。玖米国交正常化合意、「革命と自由」など幅広いテーマについて意見を述べた。

 クーバ時代を省みる自伝『ある神話の陰で』の紹介を兼ねた会合だったが、ジャーナリスト、出版社編集者、ラ米学徒、NGO職員ら50人がサロンを埋めた。

 マルティンは最初の発言に際し、今朝、シリアでの死が伝えられたジャーナリスト後藤健二さんのために一分間の黙祷をすべく提唱、一同、黙祷を捧げた。

 1月26日に初来日を果たしたマルティンは、その日、雨の中、新宿界隈を散策。27日は雑誌インタビューに応じてから浅草を楽しんだ。28、29日は京都で友人と過ごし、30日は広島を訪れた。

 伯父エルネストが1959年7月の来日時、日程を変更して訪れた広島を、55年半後に甥も予定を変えて訪ねた。被爆地跡の情景、記念館を観て「体が宙に浮いたような気持」になり、ただ無言でたたずみ、ひたすら平和を考えたという。

 30日帰京し、31日は別の雑誌のインタビューを受け、石神井で寿司を味わった。2月1日は新聞のインタビューを受けたが、2日にも雑誌と通信社の取材が待っている。

 3日離日するが、遠くない将来、再来日する計画だ。