2015年4月30日木曜日

ベネズエラが不安定化工作への「米企業関与」を調査

 ベネスエラ国会のディオスダード・カベージョ議長は4月29日、極右・右翼勢力はベネスエラを不安定化させる工作を止めていない、と警告し、その工作について明らかにした。

 それによると、ベネスエラ企業ポラール社が「ガラ(鉤爪)計画」という不安定化工作を促進しようとしている。同「計画」のロゴマークは、米軍事企業ブラックウォーター(黒水)社のそれに似ている。

 このため、ベネスエラ治安当局は、ポラール社と黒水社との関係を調査している。

 議長は、黒水社について、米国務省との契約でシリア、リビア、アフガニスタン、イラクなどで不安定化工作を展開してきた、と指摘した。

 議長はまた、米政府が、刑務所で拘禁されているベネスエラの野党極右政治家らの釈放を求めていることに触れて、米国では白人警官が黒人市民を殺害する事件が続いているように人種差別状況があるが、それへの対処ぶりと外国であるベネスエラへの釈放要求と比べると、米政府は「人権問題」で二重基準ではないか、と批判した。

 一方、ニコラース・マドゥーロ大統領は29日、財政健全化のための懸案であるガソリン値上げについて、「値上げは急がない」と述べた。

 その理由として、「その前に取り組むべき案件がいろいろあり、その方が先決だからだ」と説明した。

 9月には国会議員選挙がある。ただでさえ厳しいインフレ状況にあるいま、諸物価に波及するガソリン値上げに踏み切れば、国会議席を減らす結果を招きかねない。

 大統領は、選挙前の値上げは得策でないと、あらためて判断したもようだ。

メキシコの言論の自由と人権の評価に学生事件が影響

 メヒコ内務省は4月28日、教員養成学校生43人の強制失踪事件(昨年9月26日発生)が国際社会におけるメヒコの印象悪化に影響したことを認めた。

 ボストンに本部のある米NGOフリーダムハウスはこのほど、世界190カ国の「言論の自由」と「人権状況」について調査結果を発表、メヒコは「自由がない」65か国に含まれた。

 メヒコは「マイナス63点」で、グアテマラ、リベリア、パキスタン、アフガニスタンなどと同列に置かれている。

米下院議員がキューバとの航空路開設禁止法案を提出

 米共和党下院議員マリオ・ディアスバラルトは仲間議員団と4月28日、クーバへの民間航空路開設と旅客船の玖港入港を禁止する法案を下院に提出した。

 マリオは、フィデル・カストロ前玖議長の最初の妻ミルタ・ディアスバラルト(86)の甥で、カストロ体制に頑強に反対する在米クーバ系保守・右翼社会の指導者の一人。

 バラク・オバーマ米大統領は今年1月、大統領権限で可能な範囲で対玖経済封鎖緩和を実施、航空路開設などを認めた。緩和策の一部を否定する法案は5月から審議される。

 ハバナでは28日、バティカン特使が法王の9月訪玖について、ラウール・カストロ議長と会談した。

 英主要企業30社の経営者使節団も28日ハバナ入りした。商談の可能性を探る。

 一方、コロンビアで抑留されていた中国貨物船ダダンシア号は29日、クーバのマリエル港沖に到着した。

 この船は、コンテナ15個に大量の弾薬、火薬類を積んでいる。無届だったため抑留されていたが、出港を認められ22日、カルタヘーナ港を出た。船長だけは依然、身柄を拘束されている。

岸田外相がキューバ共産党機関紙グランマで語る

 クーバ共産党機関紙グランマは4月29日、訪米中の岸田外相との電郵(Eメイル)によるインタビューの内容を掲載した。外相は30日、ハバナ入りする。

 質問は4項目で、最初の質問は、玖日関係の評価について。以下は外相の回答。

 日玖関係は古く、1614年に支倉常長がクーバに行った。去年、その400周年記念行事を両国で催した。

 両国間には立場の違いがあるが、率直に話し合ってきた。両国関係には拡大・深化させうる領域がある。日本の外相としての初の訪玖となる今回の訪問で、関係強化を図りたい。

 両国の経済関係は1970年代にとても活発だったが、その後、玖経済の悪化により停滞した。だがクーバの累積債務状況の改善や、対米対話開始が有益な要因になってきた。

 第2の質問は、日本でのクーバの評価について。

 昨年7月、海上自衛隊練習艦隊が初めてクーバを訪れた。10月には、支倉400年祭関係で日本人200人が訪玖した。

 日本人は野球、ヘミングウェイ、音楽、観光などでクーバに親しみを抱いている。

 今年3月、リカルド・カブリーサス副首相(元駐日大使)が来日し、投資セミナーを開いた。今回の私の訪問には日本の財界人が同行する。通商と投資の対象国としてのクーバの認識が高まるだろう。

 日本が政府開発援助(ODA)をクーバに適用してから昨年で60年となった。日本の協力は、クーバの経済改革に役立つものと期待する。

 日本が信頼できる相手国として受け入れられるのを願いたい。

 第3の質問は、国際社会での玖日関係の位置づけについて。

 昨年末の玖米国交正常化合意を日本は支持する。また今月パナマで開かれた(第7回)米州首脳会議にクーバが初めて参加したのを多としたい。これらの出来事は日玖関係にも有益で、日本政府だけでなく、日本財界の対玖関心を高めている。

 このような国際的枠組みの中で行われるところに私の訪玖の意味がある。

 最後の質問は、岸田外相が昨年4月29日メヒコで打ち出した新しい対LAC(ラ米・カリブ)外交政策がクーバにどう適用されるかについて。

 新政策を「LACへの新航路に向けて出港しつつ」と題した。相互補完・援助によるLACの繁栄、および平和的共生関係構築が二本柱だ。

 第一点の援助については、日本はクーバの社会経済基盤改善のため保健、医療、農業開発、環境、気候変動などの面で協力したい。合同で玖経済発展を目指したい。

 第二点については、昨年9月、日本とCELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)の外相会議を開いた。当時の議長国クーバのブルーノ・ロドリゲス外相と私は、日本とCELACの関係強化で合意した。

チリ政府が9月、新憲法起草作業開始へ

 チレのミチェル・バチェレー大統領は4月28日、民主的で市民的な新憲法の起草作業に9月着手する、と発表した。

 ピノチェー軍政期に公布された現行憲法は修正を重ねて今日に至るが、大統領は、軍政の残滓を一掃し、真に民主的な憲法を創ると述べた。

 9月から市民参加による条文策定に入る、という。

2015年4月27日月曜日

ベネズエラの石油収入は昨年500億ドル

 英ロイター通信は4月24日、ベネスエラの2014年の石油収入は500億ドルだったと伝えた。

 だが、諸外国に気前の良い石油関連融資や原油優遇販売をしているため昨年、240億ドルを失った、とも報じた。

 カリブ石油連帯機構(ペトロカリーベ)などへの融資や原油供給をせずに、その分の原油を国際価格で輸出していたとすれば、昨年の石油収入は計740億ドルになった、という意味だ。

 ベネスエラ中央銀行は24日、備蓄している金塊の一部を売り、現金10億ドルを得た。

 一方、エクアドールのラファエル・コレア大統領は24日、街頭暴力事件や金融逼迫操作で政権が揺さぶり工作を仕掛けられているとして、野党勢力はベネスエラの反政府勢力と同じ手口を用いていると非難した。

 ベネスエラ当局は24日、昨年、国外退去させたコロンビア人は1850人と明らかにした。今年は既に2050人にのぼっている。

 退去処分に遭ったコロンビア人には、ベネスエラでの反政府行動に加担した者が含まれている。

メキシコ学生43人強制失踪事件から7ヶ月

 メヒコ・ゲレロ州イグアラ市で昨年9月26日、同州アヨツィナパの教員養成学校の学生43人が強制失踪に遭った事件から4月26日で7ヶ月経った。事件は未解決のままだ。

 この日、州都チルパンシンゴの州議会前に学生、教員、失踪学生家族らが抗議デモをかけ、学生らは小型トラックなど6台を燃やし、州議会入口を破壊した。

 警察機動隊が出動、催涙ガスで規制した。逮捕者や負傷者はなかった。

 学生は、メヒコ社会主義農民学生連盟(FECSM)に所属する。ゲレロ自治大学(UAG)の学生も抗議行動に参加した。

 首都メヒコ市、グアダラハーラ市など国内各地でも抗議行動があった。

 メヒコでは6月7日、国会議員 州会議員、州知事らを選ぶ選挙があるが、失踪学生の家族らはゲレロ州での選挙実施をボイコットする運動を続けている。このため州議会を襲撃した。

 メヒコ政府は学生失踪事件捜査で、米州諸国機構(OEA)の米州委員会(CIDH)調査団を受け入れているが、調査団は4月20日、メヒコ警察に新たに2か所の捜索を勧告した。

 一方、メヒコを訪問した米国務省人権担当次官補トーマス・マリノフスキは24日、メヒコの課題は犯罪無処罰問題と、法適用の平等化だと指摘した。

岸田外相が4月30日、日本外相としてキューバを初訪問

 日本の岸田外相が4月30日から5月3日までクーバを訪問する。1929年に日玖両国が外交関係を樹立してから外相の訪玖は初めてとなる。

 岸田はブルーノ・ロドリゲス玖外相と、クーバと関係が緊密な北朝鮮、中国について話し合う。

 また、クーバのインフラストラクチャー、石油、鉱山(ニッケル、コバルト)への日本による投資の可能性についても話し合う。

 日本側は岸田の、ラウール・カストロ国家評議会議長への表敬会談を要請している。

 近年、日本からは農相と拉致問題担当相の閣僚2人が訪玖している。

 クーバからは、フィデル・カストロ前議長が議長時代に2回、故カルロス=ラファエル・ロドリゲス元副議長が2回のほか、副首相、外相らが来日している。

 岸田外相は、昨年12月の米玖国交正常化合意を受けて訪玖を決めた。同合意以後、欧米財界の対玖接近が続いており、日本政府と財界にはバスに乗り遅れるなとの意識がある。

 4月26日にも米テキサス州企業代表団がハバナ入りしている。農業加工、航空、石油、技術、観光関係の企業家らが商談する。

 一方25日、対玖関係を巡る米国での世論調査結果が発表され、クーバを「テロリズム支援国家指定」から解除するオバーマ米政権の決定に59%が賛成していることが明らかになった。

モラレス・ボリビア大統領が後継者選出を要請

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は4月25日、コチャバンバ市でのコカ葉栽培労連の会合で演説し、後継の大統領候補を選出するよう政権党・社会主義運動(MAS)に要請する、と述べた。

 モラレスは3期目にあるが、3月の統一地方選挙でMASの党勢後退が際立ち、MASは党勢立て直しを図ろうとしている。

 次期大統領選挙は2019年10月の予定。モラレスが指導者として突出しているため、後継者選びは難航すると見られている。

 野党からは、結局はモラレスが何らかの手段を講じて4選を目指すことになるのではないか、との見方が出ている。

2015年4月24日金曜日

グアテマラが国連の無処罰監視機関の延長要請へ

 グアテマラのオットー・ペレス=モリーナ大統領は4月23日、国連の「グアテマラにおける無処罰に反対する国際委員会」(CICIG)の存続を2年間延長すよう国連に要請することを決めた。

 同委員会は2006年12月設立が決まり、07年8月グアテマラ市で活動を開始。組織犯罪の捜査、逮捕、起訴などで検察庁に協力してきた。

 活動期限は2年ごとに延長が可能。

ベネズエラに1072の「社会主義コミューン」

 ベネスエラのコムーナ・社会運動省は4月23日、1072のコムーナ(コミューン、社会主義建設基礎共同体)が同省に登録されている、と明らかにした。

 コムーナは、「コムーナ国家創設」を目指す2010年のコムーナ組織法に基づく自治共同体で、伝統的な地方自治体である州と市とは別の枠組みにあり、州・市の自治権としばしば競合する。

 故ウーゴ・チャベス大統領の「コムーナ国家」建設の理想の下でコムーナは建設されてきたが、自治権競合問題の他にも人材不足、資金繰り、運営方法の不明確さなどの問題を抱えている。


 このところラホーイ右翼政権のスペインとの関係が悪化している。同政権の度重なる内政干渉に怒ったニコラース・マドゥーロ大統領は21日、ベネスエラの今年2月のクーデター未遂事件の背後にはテロリズムを支援するラホーイ政権があった、と激しく糾弾した。

 この大統領発言を受けてスペインはベネスエラ駐在大使を召還、次いでベネスエラも同様の措置を取った。

 ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は22日、大統領の指示により、スペインに対し、しかるべき措置を取ると述べた。

 スペインのフェリーペ・ゴンサレス元首相は、街頭暴動教唆罪などで起訴されたベネスエラの反体制極右政治家の裁判での弁護を引き受けると表明している。ベネスエラ国会は21日、同元首相を「好ましからぬ人物」に指定した。これでゴンサレスの入国は難しくなった。

 ジャカルタでは22日、バンドン会議60周年を記念するアジア・アフリカ首脳会議が開かれたが、ベネスエラのホルヘ・アレアサ副大統領(チャベス前大統領の女婿)がオブザーバー出席した。

 ラ米からはただ一人。アレアサは23日、バンドンを訪れた。

 一方、米国務省の米州担当次官補ロベルタ・ジェイコブソンは21日EFE通信に、ベネスエラのワシントン駐在臨時代理大使マキシミリアン・アルベラーエスを大使として承認することを検討する用意がある、と述べた。

 今月11日パナマ市での米州首脳会議の折、マドゥーロがバラク・オバーマ米大統領と会談した際、アルベラーエスを信任するよう求めた。

 両国関係は、2010年から大使不在が続いている。  

キューバとロシアが経済協力で合意

 クーバのリカルド・カブリーサス副首相は4月23日モスクワでセルゲイ・ラブロフ露外相と会談、ロシア地方部で行われた両国政府間協議で成果があったことを確認した。

 同協議ではエネルギー、金属、航空、自動車、鉄道の各分野での協力が合意された。

 また欧州歴訪中のブルーノ・ロドリゲス玖外相は22日ブリュッセルで、欧州連合EU外相格のフェデリカ・モゲリーニと人権問題で会談、同問題を話し合う期間を設置することで合意した。

 ロドリゲスは、ローマ法王フランシスコが9月の訪米前にクーバを訪れることを確認した。法王はクーバの市民団体と司教会議から招かれている。

 過去に、1998年ヨハネ=パウロ2世、2012年ベネディクト16世がそれぞれ訪玖している。

 一方、コロンビア法廷は22日、今年2月からカルタヘーナ港で抑留されてきた中国貨物船の出港を許可した。

 この船は、大量の武器弾薬を積みながら、それを同港当局に報告せずに入港し、臨検されて積み荷が暴露された。

 このためコロンビア当局は、武器弾薬がコロンビア革命軍(FARC)などゲリラ組織に宛てたものではないかと疑い、抑留が長引いていた。

 船側は、武器弾薬は通常の交易でクーバに届けると釈明していた。だが中国人の船長は取り調べなどのため、引き続きカルタヘーナに留め置かれた。

 別件だが、ニューヨークにあるNGO「ジャーナリスト保護委員会」(CPJ)は23日、報道規制をしている10カ国の国名を挙げた。

 規制が厳しい順にエリトリア、北朝鮮、サウディアラビア、エティオピア、アゼルバイジャン、ヴェトナム、イラン、中国、ミャンマー、クーバだった。
 

2015年4月21日火曜日

ベネズエラの原油生産は日量285万バレル

 ベネスエラ国営石油会社PDVSA(ペデベサ)のエウロヒオ・デルピノ社長は4月20日、同社は現在、日量285万バレルの原油を生産、日量240~250万バレルを輸出している、と明かにした。

 また、年内に外資と合わせて150億ドルを石油生産部門に投下する、と述べた。

 ニコラース・マドウーロ大統領は19日、中国政府から50億ドルの援助資金を受取ったと公表した。ベネスエラは日量64万バレルの原油を中国に送って、借款を返済している。

 これまでに中国から借りていた420億ドルのうち、240億ドルを原油で返済している。

 ベネスエラにとって、国際原油価格の低迷を打破するのが至上命令だが、デルシー・ロドリゲス外相は20日、アスドゥルーバル・チャベス石油相(前大統領の実弟)を伴い、テヘランでイランの外相、石油相と原油価格問題を中心に会談した。

 その後、ロドリゲス外相は、ハッサン・ロウハーニー大統領と会談した。

 一方、ベネスエラ独立宣言205周年記念日の19日は、「世界ベネスエラ連帯日」。ベネスエラ共産党(PCV)は20日、世界127カ国で連帯行事が催されたと発表した。

 この日、クーバのミゲル・ディアスカネル第1副議長はハバナで、バラク・オバーマ米大統領が3月9日にベネスエラを「米国にとって脅威」と宣言したことにより「玖米国交正常化交渉は希薄になった」と語った。

 同副議長はまた、対米交渉はしていてもクーバが「ベネスエラを孤立させることはありえない」と強調した。

 エクアドールのラファエル・コレア大統領も18日、このほどパナマ市で開かれた第7回米州首脳会議で「ラ米・カリブ諸国は一致して、米国がベネスエラに内政干渉するのを阻止した」と指摘した。

メキシコの犯罪者無処罰は世界で次悪

 メヒコ・プエブラ州チョルーラ市にある私立プエブラ米州大学(UDLAP=ウデラップ)は4月20日、世界各国の「犯罪者無処罰指数」を発表。最悪は比国の80、メヒコは次悪で75・7だった。

 第3悪はコロンビアで75・6。ニカラグア、オンドゥーラス、エル・サルバドールも悪い上位を占めた。

 一方、メヒコ検察庁は20日、2008年以来、国軍に拷問されたという告発が計1177件寄せられた、と明らかにした。うち約700件は2014年だった。

キューバ市会選挙の投票率は88%

 社会主義クーバで4月19日実施された人民権力ムニシピオ(市)会議(市会)議員選挙の結果が20日公表された。

 有権者は16歳以上の800万人強で、投票率は88・36%(約770万人)だった。有効投票は90・52%、白票4・54%、無効票4・92%だった。

 選ばれる市会議員は1万2589人で、候補者は2万7379人だった。うち2人は反体制派で、反体制派初の出馬となった。

 弁護士でウェブジャーナリストのイルデブランド・チャビアーノ(65)と、非合法政党、独立・民主クーバ党(CID)のジュニエル・ロペス(26)。2人ともハバナの異なる選挙区から出馬、チャビアーノ138票、ロペス233票で、落選した。

 1万1425人が当選。1164選挙区では当選者が出なかったため、26日に決選が実施される。

 当選者の59%は共産党員、6・5%は共産主義青年同盟所属だった。今選挙では、各投票所で小学生のピオネロス(ピオニール)が投票箱の監視役を務めた。

 市会議員総数の半数は、人民権力地方会議(州会)議員となる。州会議員の半数は、人民権力全国会議(国会)議員候補となる。2013年初めの国会議員選挙の投票率は90%強だった。

 国会で、最高決定機関である国家評議会会員が選ばれ、同会員が国家元首である国家評議会議長を選ぶ。議長は閣僚評議会議長(首相)、革命軍最高司令官、共産党第1書記を兼任する。

 フィデル・カストロ前国家評議会議長(88)は今選挙で、ハバナ市の革命広場選挙区で投票した。

 一方、ブルーノ・ロドリゲス玖外相は20日、フランス、ベルギー、ルクセンブルク、オランダの欧州連合(EU)4か国歴訪を開始した。

 外相は22日にはブリュッセルで、第6回玖・EU高級政治対話に出席する。この会合では、6月10~11日にブリュッセルで開かれるEUとラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)の首脳会議も議題となる。

 20日は、ニューヨーク州知事アンドゥルー・クオモがハバナ入りした。州内の保健、農業加工、航空、技術、金融界の企業人集団を伴っている。

 米国の知識人ノーム・チョムスキーは19日、ロシアメディアとの会見で、(米玖国交正常化合意以後、米州での米国の孤立状態が際立ったが)、「米メディアはクーバが孤立していたかのような宣伝報道をしている」と、米メディアの意図的誤報を批判した。
  

チリの「キラパジュン」が結成50周年迎え演奏会

 チレの革命的民俗歌謡集団「キラパジュン」が4月25日、首都サンティアゴの憲法広場で結成50周年記念演奏会を催す。

 1959年のクーバ革命後にラ米で生まれた「新しい歌」運動から65年躍り出たキラパジュンは、チレ、南米、欧米で一世を風靡した。

 ピノチェー軍政下で亡命を強いられた後、帰国し、メンバーを入れ替えつつ健在。

 創設者のエドゥアルド・カラスコは記念演奏会を前に20日、「サルバドール・アジェンデ大統領が聴きに来てくれた。大統領のすぐ近くで活動していた」と回想し、「ピノチェーさえも聴衆の中に居た」と述べた。

ブラジルで昨年、環境・土地活動家29人が殺される

 英NGO「グローヴァル・ウィットゥネス」は4月20日、昨年殺害された環境活動家および土地闘争活動家の数が最も多かったのはブラジルで、先住民4人を含む29人が殺された、と発表した。

 2位はコロンビアで25人、3位は比国15人、4位はオンドゥーラス12人、5位はペルー9人だった。

 大土地所有制度が存続し、新興地主らによる土地奪取が盛んなブラジルでは、正当な土地所有権獲得を目指す「土地無き者の運動」(MST)が長らく続いている。

 また、アマゾニア(アマゾン川流域)で森林乱伐を恣にしている成金地主や木材業者らと先住民らとの間で対立抗争が続いている。

 犠牲者は、権力と結びつくことの多い地主や業者の殺し屋から殺される場合がほとんどだ。
 

2015年4月17日金曜日

LATINA「乱反射」は米州首脳会議での米国とラ米の亀裂を解説

◎最近の伊高浩昭執筆・関連記事

★月刊誌LATINA5月号(4月20日発売) 「ラ米乱反射 連載第109回」

「米州首脳会議で米国とラ米の亀裂鮮明に  キューバ議長出席で救われた米大統領」

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領が、パナマ市内のチョリージョ地区を訪れ、1989年末の米軍によるパナマ大規模侵攻で殺された人々の遺族らと会合した重要な出来事と写真も載っています。

▼書評:『理想の村マリナレダ』 (ダン・ハンコックス著 プレシ南日子訳、太田出版)

 スペイン・アンダルシーア州のマリナレーダで展開されてきた反新自由主義・反封建の闘争と変化を描いた好著の評。

★毎日新聞4月13日(月)付朝刊第2面 

 パナマ市での米玖首脳会談に関する伊高の談話。

★週刊金曜日誌 4月3日号

 「米国がベネズエラに干渉、キューバは猛反発」=玖米ベネスエラの三角関係解説=

イシカワ駐日ベネズエラ大使が対米関係について講演

 セイコー・イシカワ(石川成幸)駐日ベネスエラ大使は4月16日、東京・日比谷の日本プレスセンターで講演し、バラク・オバーマ米大統領が3月9日発動した、ベネスエラを「米国安全保障上の尋常でない脅威」とした政令に関するベネスエラ政府の立場を詳しく説明し、「ベネスエラは米国を含む、いかなる国にとっても脅威ではない」と強調した。

 大使は、今月10~11両日パナマ市で開かれた第7回米州首脳会議で、クーバを含むラ米・カリブ全33か国が同政令撤回を求めたのに対し、米加北米両国だけが反対したことに触れ、一部日本紙が報じたような「ベネスエラ孤立」は事実誤認だと指摘した。

 イシカワ大使はまた、同政令撤回を求める署名がベネスエラ内外で計1300万人に達したことを明らかにした。署名簿は外交ルートで米政府に渡されるという。

 大使はパナマ市で11日、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領とオバーマが10分間会談したことについて、相互に敬意を払い内政干渉しない主権尊重の合意の下で話し合いによる関係改善を求めるというベネスエラ政府の立場を表明した。

 会場にはメディア記者、大学教授、NGO代表ら約50人が詰めかけた。講演後の質疑応答では、週刊金曜日誌、朝日新聞、読売新聞などからの質問が相次ぎ、大使は細かく答えた。

 クーバのマルコス・ロドリゲス大使、ニカラグアのサウール・アラーナ大使、ブラジル大使館員、米国大使館員ら外交官や分析官も参加した。

 この会合の司会進行役は伊高浩昭が務めた。

 次いで、オリヴァー・ストーン監督の米ドキュメンタリー映画「我が友ウーゴ」が上映された。続くレセプションでも、大使への質問が続いた。

  ×                          ×                       ×    
 
 ニカラグア中銀は4月16日、ベネスエラからの石油援助は2013年の5億5900万ドルから、14年の4億3500万ドルに減った、と明かにした。

 一方、フランスの貿易保険会社COFACEは、国際原油価格低迷で財政上の打撃を最も受けたラ米の国はベネスエラで、次いでコロンビア、エクアドールだと発表した。

キューバとアイルランドが政治対話で合意

 クーバとアイルランドは4月16日ハバナで、外務省高官級の政治対話を確立することで合意した。

 また両国は、アイルランドがクーバの航空、電気通信、保健、食糧安保などの分野に投資することについて話し合った。

 別件だが、このほど公表された世界全諸国の平均月給額に関する調査によると、最高額はスイスの6300ドル、最低はクーバの25ドル。米国は3258ドルで12位だった。

 ただし社会主義国クーバにはさまざまな恩典がある。その換算額はこの調査では対象にされていない。

 ローマ法王フランシスコは7月にパラグアイ、ボリビア、エクアドール、9月に米国をそれぞれ訪問するが、訪米の際、クーバに立ち寄る可能性が出ている。このほどWSJ(ウォールストゥリートジャーナル)紙が報じた。

 一方、米国務省は15日、クーバ政府は、クーバに匿われてきたスペインの旧地下結社「バスク国と自由」の要員は「クーバ国内で反スペイン言動をしない」と、文書で米政府に伝えた、と明かにした。スペイン政府は、在玖ETA要員の身柄引き渡しを求めている。

 国務省はまた、クーバ政府が米国人の在玖逃亡犯の身柄引き渡し問題で協議に応じることを米側に伝えた、と述べた。

 さらに、「在玖大使館が再開されれば、このような問題でクーバに対し圧力を一層かけやすくなる」と付け加えた。

 クーバ政府も、米政府が匿ってきた、クーバ航空旅客機空中爆破事件の主犯ルイス・ポサーダ=カリーレスらテロ実行者の身柄引き渡しを要求してきた。国務省は、この点には触れていない。  

ボリビア大統領が米国によるALBA分断策に警鐘鳴らす

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は4月15日ラパスで記者会見し、「米国はクーバに人参、ベネスエラに棍棒を与えてALBA(米州ボリバリアーナ同盟)を分断しようと画策しているのかどうか知らないが、クーバはALBAの団結を維持し続けるはずだ」と述べた。

 大統領はまた、米政府がクーバを「テロリズム支援国家指定」から外すことを決めたことについて、「クーバは平和国家であって<テロ支援国家>だったことは一度もない」と前置きし、「私から見れば、唯一のテロ支援国家は軍事攻撃で脅している米国だ」と強調した。

2015年4月15日水曜日

マドゥーロ・ベネズエラ大統領がオバマ米大統領に大使信任を要請

 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は就任2周年の4月14日、パナマ市で11日実現したバラク・オバーマ米大統領との約10分間の会談内容に関し、駐米大使に任命しているマキシミリアン・アルベライスを信任するようオバーマ大統領に要請した、と明らかにした。

 また8日カラカスで会談した米国務省顧問トーマス・シャノンに対し、対米外交の選択肢は断交か関係修復か二者択一だと伝えた、とも明らかにした。

 マドゥーロは第7回米州首脳会議が開かれたパナマ市からの帰途、12日にハバナに立ち寄り、フィデル・カストロ前議長と4時間会談し、首脳会議や対米関係について話し合った。

 大統領は、ウーゴ・チャベス前大統領が2002年4月のクーデター事件で窮地に陥りながら政権に復帰した13周年記念日の13日、カラカス市内のティウーナ要塞で催された軍事式典で、フィデルと会談したことを明らかにした。
 

オバマ米大統領がキューバの「テロ支援国家指定」解除勧告を議会に通告

 バラク・オバーマ米大統領は4月14日、クーバを「テロリズム支援国家指定」から解除することを勧告し、これを米議会に通告した。議会審議を経て45日後に発効する。

 クーバ外務省は「正しい決定だ」と評価したが、「そもそもクーバが指定されるべきではなかった」と強調した。

 外務省は、1959年の革命後、米政府による一連の対人テロ・破壊活動で、クーバ人3478人が殺され、2099人が障害者になった事実をあらためて指摘し、「指定」されるべきは米国だとのクーバの立場を暗に示した。

 クーバ政府によると、フィデル・カストロ前議長も600回を超える暗殺未遂事件に遭っている。

 この「指定」は、サンディニスタ革命政権のニカラグアに、反革命(コントラ)ゲリラを組織して攻め込ませていたレーガン米政権が1982年、クーバ揺さぶりのため、クーバのコロンビア革命軍(FARC)支援や、スペインの「バスク国と自由」(ETA)ゲリラを匿ったことなどを理由に指定、以来、更新されてきた。

 オバーマの指定解除勧告によって、米玖間で大使級外交関係が再開する可能性が従来より高まってきた。だが、経済封鎖により米市銀が在米・クーバ公館の口座開設を拒否している問題が依然未解決だ。

 また、米外交官が大使館開設後にクーバ国内で反革命勢力と接触し体制転換を画策する可能性を封じ込めるため、クーバが米外交官の移動を制限することを主張しているという問題もある。

 「指定」解除が発効し、それまでに銀行口座と移動制限の問題が決着すれば、6月にも大使級外交関係が再開される可能性があるとの観測がある。


  

ウルグアイの知識人エドゥアルド・ガレアーノ死去

 ウルグアイ人ジャーナリスト・作家のエドゥアルド・ガレアーノ(74)が4月13日、モンテビデオの病院で死去した。肺癌で闘病中だった。

 1960年、若くして『マルチャ(行進)』誌の編集者になり、前年のクーバ革命後の新しいラ米の状況をめぐって健筆をふるう。

 同紙は65年、チェ・ゲバラの『社会主義における新しい人間』を掲載した。

 1971年に代表作『ラ米の切り開かれた血管』を著し、これがベストセラーになって、一躍有名な作家となる。この本は『収奪された大地-ラ米500年』(大久保光夫訳、1986年、新評論)として日本でも出版されている。

 マドリーで亡命生活を送っていた亜国元大統領フアン=ドミンゴ・ペロンは、この本を読みガレアーノに興味を抱く。ガレアーノはマドリーに行き、ペロンに長時間インタビューした。

 73年6月ウルグウアイで軍事クーデターが起き、軍政から投獄され、出国を強制されて、ブエノスアイレスに出た。その後、ラ米や欧州を移動し、85年に帰国した。

 82年には三部作『火の記憶』を著す。この3巻は、飯島みどり訳でみすず書房から刊行されている。
 
 東西冷戦期と重なったラ米軍政の暗黒時代の証人と言うべき知識人が、また一人消えた。 

2015年4月13日月曜日

米州人民サミットが最終宣言で「ラ米・カリブ平和地域」支持

 第7回米州首脳会議が開かれたパナマ市で4月9~11日、第5回アブラヤラ(ラ米)先住民クンブレ(サミット)および、米州「人民・労組・社会運動サミット」が並行して開かれ、3500人が熱心に議論した。

 10日にはボリビアのエボ・モラレス大統領が出席、講演した。11日の閉会式にはベネスエラのニコラース・マドゥーロ、エクアドールのラファエル・コレアの両大統領および、ラウール・カストロ玖議長代理のミゲル・バルネー(玖作家・芸術家連盟=UNEAC=会長)が出席し、演説した。

 11日に発表された「人民クンブレ」最終宣言は、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)が2014年1月ハバナ開催の第2回首脳会議で採択した「ラ米・カリブ平和地域宣言」を支持、確認した。

 宣言は、「過去4年間に米軍のラ米・カリブ拠点は21から76か所に増えた」と指摘し、米国および同盟国による軍事侵攻・脅迫を糾弾した。

 ベネスエラに対するオバーマ米政権の強圧政策については、内政干渉として糾弾し、「ラ米・カリブ全域にとって脅威」と位置づけた。

 宣言は、在玖グアンタナモ米軍基地即時閉鎖(玖への返還)、コロンビア和平交渉支持、亜国のマルビーナス諸島領有権主張支持、ボリビアの「海への出口」要求支持、アイチ(ハイチ)からの国連軍部隊撤退要求、環境・地下資源・先住民権利・「母なる大地」防衛・尊重などを謳っている。

米州首脳会議でベネズエラ問題めぐり米・ラ米間に亀裂

 第7回米州首脳会議は4月10~11両日パナマ市のアトゥウラパ(大西洋・太平洋)会議場で開かれた。オバーマ米政権が3月9日発動したベネスエラを「安保上の脅威」とした政令糾弾を巡って議論が分裂、最終宣言無しで会議は終わった。次回首脳会議は2018年、リマで開かれる。

 この首脳会議の宣言作成は全会一致制。9日の米州外相会議で、ベネスエラやニカラグアが最終宣言の序文に「域内諸国による一方的脅迫禁止」などを盛り込み、問題の政令を糾弾する文言を決議に加えよう提案した。

 だが米加の北米両国が反対。また他の決議案でも全会一致が成立せず、結局、最終宣言はできなかった。代わりに主催国パナマが、会議の議事録とともに宣言のうち全会一致が得られた42項目について追って報告することになった。

 首脳会議では、ベネスエラ締め付けの政令を出したバラク・オバーマ米大統領が非難・批判の的になった。南米、カリブ、中米の多くの首脳から政令批判や撤回を求める発言があった。半面、ペルー、コロンビア、メヒコ、グアテマラなどの首脳は、この問題に触れなかった。

 日本では、米玖首脳会談があたかも今首脳会議のすべてであったかのような報道が目立つが、ラ米では様々な角度から広範な報道がなされている。この点で日本人読者は不幸だと言えるだろう。

 この首脳会議は、米州諸国機構(OEA)主催の会議なのだが、この点さえ押さえない報道が多かった。クーバの参加は、OEA非加盟国であるがゆえに際立った。

 1962年にケネディ米政権にOEAから追放されたクーバは、2009年のOEA外相会議で追放決議が廃棄された後も、OEA復帰の意思を示していない。

 オバーマ大統領はラウール・カストロ議長との<にわか蜜月>を演出し、首脳会議での気まずい思いから救われた。

 だがラウールも、首脳会議でベネスエラを痛めつける政令を批判するのことも忘れなかった。

 ラウールはまた、首脳会議の合間に、ジャマイカ首相、カナダ首相、コロンビア大統領、カリブ海に仏領諸島を持つオランダの首相特使らと会談した。

 クーバにとって実り多い首脳会議であったことは疑いない。

 またベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領も11日、オバーマとごく短時間だが会談している。内容は明らかにされていないが、これも重要な出来事だった。

2015年4月11日土曜日

ボリビアのエボ・モラレス大統領が米国を糾弾

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は4月10日、パナマ市での第7回米州首脳会議出席に先立ち、「人民会合」に出席し、米国はラ米でかつてのような軍事攻撃ができなくなったため経済手段でベネスエラ政権を倒そうとしている、と糾弾した。

 また、首脳会議議長を務めるパナマ大統領に向けて「誠実で広範な議論が出来るように計らってほしい」と述べた。
 
 エボは記者団にバラク・オバーマ米大統領との会談の可能性について訊かれ、予定はないし会談したくもない、と答えた。

 会合後、エボはボリビアチームとパナマチームとのサッカー試合に「背番号10」のユニフォームを着て出場、ゴールを挙げた。

ベネズエラ大統領がパナマ市内の米軍侵攻跡地を訪問

 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は4月10日、パナマ市到着直後に、市内のチョリージョ地区を訪れ、慰霊碑に参った。この碑は、1989年12月の米軍侵攻によって破壊された跡地に建てられている。

 マドゥーロは、「立ち上がり尊厳を持つパナマにベネスエラが今来ている」と述べた。大統領は、侵攻の被害者遺族ら関係者と大勢の住民から歓迎された。

 89年の軍事侵攻で、パナマ人が最大8000人殺害されたとされている。殺傷された人数など事件の真相は米巴両政府によって隠されてきた。

 大統領は、この事件でオバーマはパナマに謝罪すべきだと述べた。

 一方、ベネスエラ政府は、第7回米州首脳会議が11日採択する最終宣言に、オバーマ米大統領によるベネスエラへの内政干渉圧力を糾弾する一項を盛り込もうとしたが、米加両国に阻まれた。全会一致制のためだ。

 マドゥーロはこの件について、LAC(ラ米・カリブ)33国が合意したが北米2国に阻止された、と指摘した。

ラウール・カストロ議長とオバーマ大統領が笑顔で握手

 ラウール・カストロ玖議長とバラク・オバーマ米大統領は4月10日、米州首脳会議の会場で笑顔で握手し、談笑した。2013年12月のネルソン・マンデーラ南ア大統領の国葬で握手して以来の再会で、国交正常化交渉が進展しつつあるため、穏やかな対面となった。

 米当局者は、両首脳の談笑について、「東西冷戦期の敵同士が接近した象徴」と述べた。

 ラウールとオバーマは8日、電話で会談し、9日にはパナマ市で玖米外相会談が開かれている。残るは両首脳の会談だけとなった。

 この日、ラウールは首脳会議に先立ち、米商業会議所のトム・ドノウエ会頭と会談した。

 一方オバーマは同じく、中米統合機構(SICA)加盟8カ国首脳と会合した。オバーマは、中米北部3か国(グアテマラ、エル・サルバドール、オンドウーラス)の生活向上支援資金として2016年に10億ドルを供与する予算を議会に申請する、と述べた。

 オバーマは、クーバとベネスエラの反政府派も参加した「市民会合」で、「米国が米州で介入しながら無処罰に終わる日々は過ぎ去った」と強調した。ブッシュ父親政権による1989年12月のパナマへの軍事侵攻を特に念頭に置いた発言だ。

 さらにオバーマは企業家会合にブラジル、メヒコ、パナマの各大統領と共に参加した。

 オバーマは、パナマ運河と、運河第3水路建設現場を視察する余裕を見せた。

 一方、国連と米州諸国機構(OEA)の両事務総長は10日、クーバのOEA復帰問題について意見を交換した。米国の圧力で1962年にOEAを追放されたクーバは、復帰への関心を示していない。

第7回米州首脳会議が開催

 ラス・アメリカス(米州)の全35か国が史上初めて一堂に会する第7回米州首脳会議が4月10日、パナマ市で始まった。

 米州諸国機構(OEA)加盟34カ国のうちチレのミチェル・バチェレー大統領およびドミニカのルーズヴェルト・スケリット首相を除く32首脳と、クーバのラウール・カストロ議長が出席している。
 
 会議では最初にローマ法王フランシスコからの「地球的連帯」と「新しい社会秩序建設」を求めるメンサヘ(メッセージ)が代読された。

 次いで、パン・ギブン国連事務総長とホセ=ミゲル・インスルサOEA事務総長が挨拶した。任期終了間際のインスルサは、ラ米・カリブの状況を鳥瞰し、コロンビア和平交渉進展や米玖国交正常化合意を讃えた。

 この後、会議議長を務めるパナマのフアン=カルロス・バレーラ大統領による開会演説で、開会した。

 続いて首脳陣は、パナマ市旧市街での晩餐会に臨んだ。

 会議は11日、共同声明を採択して閉会する。

2015年4月10日金曜日

韓国大統領が南米4か国歴訪へ

 韓国の朴クネ大統領は4月16~26日、コロンビア、ペルー、チレ、ブラジルを歴訪し、27日帰国する。

 ペルーには20~21両日訪れ、秘韓商取引会合の開会式に出席。また2012年協定に基づく両国共同開発の航空機KT-1Pの最初の1機の発表会に立ち会う。

ベネズエラ大統領が新しい対米関係を樹立したいと語る

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は4月9日、「ベネスエラおよびラ米は自由と主権尊重の下で、米帝国との新しい時代への扉を開くことを希望し準備する」と述べた。

 バラク・オバーマ米大統領が8日、EFE(エフェ=スペイン通信)に対し、「ベネスエラが米国の脅威だとは思わないし、米国はベネスエラ政府の脅威ではない」と述べたのを受けて語った。

 マドゥーロは、オバーマ発言を評価し、「ボリバリアーナ社会主義国家ベネスエラを支援した人民と国際連帯の勝利だ」と讃えた。

 大統領は、カラカスで実施された「人民行進」が大統領政庁(ミラフローレス宮)に到着し、1034万人余りの署名簿を人民から受取る式典で語った。

 式典にはボリビアのエボ・モラエス大統領も出席し、署名した。ボリビアのアルバロ・ガルシア副大統領が13~15日訪日することが、この日明らかにされた。

 この署名は、オバーマが3月9日、政令で「ベネスエラは米国の脅威」と規定したのを撤回させるための「1000万人署名」運動の成果。

 オバーマはEFEへの発言で事実上撤回したが、マドゥーロはパナマ市での米州首脳会議の場で署名簿をオバーマに手渡すことにしている。

 マドゥーロは8日夜、カラカスで米国務省顧問トーマス・シャノンと3時間余り会談し、「我々は反米ではなく、反帝国主義なのだ」と述べ、両国の新しい関係を開こうと提唱している。

 大統領は会談後、シャノンに対し、カラカスの米国大使館内にある<戦争装置>を撤去するよう要求したと明らかにした。米大使館がベネスエラに対し「経済、政治、心理各戦争」を仕掛けてきたことを指している。

 マドゥーロはまた、「ベネスエラでクーデターの陰謀に加担しマイアミに逃亡している腐敗したベネスエラ人たち」の調書を米当局に渡すとシャノンに約束したことも明らかにした。

 ベネスエラと米国との政府間対話と関係改善の兆しに、野党連合MUDをはじめとする反政府勢力は打撃を受けた。
 
 

キューバのラウール・カストロ議長がパナマ入り

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は4月9日、米州諸国機構(OEA、加盟34カ国)の第7回首脳会議(10~11日)に出席するためパナマ市に到着した。

 クーバはケネディ米政権期にOEAから追放されて以来、OEAとの公式接触はなかった。今回、主催国パナマのフアン=カルロス・バレーラ大統領に招待され、OEA首脳会議に初めて出席する。

 かつてケベックで開かれた第3回首脳会議時にベネスエラのウーゴ・チャベス大統領(故人)がクーバ首脳の出席が必要と訴えた。

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ現大統領は9日、チャベスの提起を回想し、ラウール議長の出席を「ラ米カリブ人民の勝利」と讃え、「クーバ首脳の席には尊厳が座っている」と述べた。

 パナマ市では9日、首脳会議に先立ち米州外相会議が開かれ、「均衡ある繁栄」を標語として開かれる首脳会議の議題を、教育、保健、移民、エネルギー、安全保障、環境、参加(疎外防止)、民主制度と確認した。

  ブルーノ・ロドリゲス玖外相とジョン・ケリー米国務長官は同日、玖米首脳会談や両国国交正常化交渉について会談した。玖米外相会談は1961年1月の断交後初めて。

 同市で9日日開かれた米州企業家会合では、ロドリゴ・マルミエルカ玖貿易・外資相がクーバへの投資を呼びかけた。クーバは当面、農業、砂糖産業、ニッケル開発、住宅建設などに年間計25億ドルの投資が必要と明らかにしている。

 パナマ市では同日、「米州市民社会」の会合も開かれた。クーバ、ベネスエラなどALBA加盟諸国は、「米国から来たテロリストらや、人民の正しい代表でない者たちが参加している」と抗議し、会議を中止すべきだと動議を出した後、独自の会合を開いた。

 パナマ市で2000年にイベロアメリカ首脳会議が開かれた際、当時のフィデル・カストロ玖議長が演説を予定していたパナマ大学内の会場を爆破する陰謀が発覚し、在米テトリストらが逮捕された事件があった。

 このためクーバやベネスエラの代表団は今回も警戒を強めている。

 一方、米国務省は8日、バラク・オバーマ大統領に、クーバを「テロ支援国家指定」から外すよう進言した。オバーマは9日、ジャマイカで、指定を近々外すと述べた。

 ブラジルの神学者フレイ・べトは過去にしばしばフィデル・カストロと会談してきたが、6日にもハバナでフィデルと会ったことを9日明らかにした。べトが『フィデルと宗教』を出版して30年になるのを記念しての会合だった。この本は130万部が売れるヒット作となった。

オバマ米大統領がカリブ共同体首脳と会合

 バラク・オバーマ米大統領は4月9日、キングストンでジャマイカ首相パーシア・シンプソンミラーと会談した。会談後、大統領は、「クーバを<テロリズム支援国家指定>から近々外す」と述べた。

 オバーマは首相との会談後、カリブ共同体(カリコム)首脳陣と会合し、「カリブエネルギー安保」構想を説明し、参加するよう呼びかけた。

 また、「公害をもたらさないエネルギー」開発用に米政府が2000万ドルを出し、民間企業と公共団体に投資を促す計画も打ち出した。

 大統領は9日、第7回米州首脳会議が開かれるパナマ市に到着した。同市には既にラウール・カストロ玖国家評議会議長、エンリケ・ペニャ=ニエト墨大統領が到着済みだった。

2015年4月9日木曜日

米国務省高官がベネズエラで会談

 米国務省顧問トーマス・シャノン(元国務省米州担当次官補)は4月7日、ベネスエラ政府の招きでカラカス入りし、8日、デルシー・ロドリゲス外相と両国関係を巡り会談した。

 シャノンは、米政府の親書を携行しており、8日に予想されるニコラース・マドゥーロ大統領との会談の際に手渡すもよう。

 米国家安全保障会議(NSC)のベン・ローズは7日、「ベネスエラは米国の安全保障にとり脅威ではない」と表明。バラク・オバーマ大統領が3月9日政令で規定した「ベネスエラは脅威」の表現を事実上否定した。

 マドゥーロはローズ発言について「とても興味深い」と述べた。だがロドリゲス外相はシャノンとの会談後、ベネスエラはオバーマ政令の「脅威」撤回を求めた、と明らかにした。

 ベネスエラでは、300万人を上回るクーバ人の署名を含む「1000万人署名」をマドゥーロ大統領に渡すための「人民行進」が9日カラカスで実施される。

 マドゥーロは、この署名簿を10日、パナマでの米州首脳会議の際、オバーマに手渡すことにしている。そうなれば、オバーマにとっては屈辱となるため、米側は「脅威」の文言否定やシャノンのカラカス派遣を通じ善後策を講じている。

 一方、ベネスエラと米国の貿易は、今年第1四半期40億ドルで、前年同期比で40%減少した。

米国による経済封鎖解除は交渉第2段階で、とキューバ首脳語る

 ラウール・カストロ玖議長の後継者と目されるミゲル・ディアスカネル第1副議長は4月8日、記者団に対し、対米国交正常化過程について、現在の交渉第1段階では正常化合意から大使館開設による国交公式化までを図り、第2段階で経済封鎖解除を実現することで合意している、と述べた。

 ディアスカネルはまた、これまでの交渉は有益だったが、複雑で時間を要すると述べ、経済封鎖解除なしに正常化はありえない、と強調した。

 第1副議長は、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領が展開している「1000万人署名」運動に協力したクーバ人303万9000人の署名名簿を引き渡す式典で語った。

 この署名運動は、バラク・オバーマ米大統領が3月9日政令で「ベネスエラは米国の安全保障にとり著しい脅威」と規定したのを撤回するよう求めるため。

 引き渡し式では、署名運動組織委員長ホルヘ・ロドリゲス(カラカス市リベルタドール区長)が出席し、名簿を受取った。

 一方、第7回米州首脳会議が10~11日開かれるパナマ市に、市民会合参加のため滞在中のアベル・プリエト前玖文化相は、CIAと繋がるテロリストらが同会合参加のためパナマ市に滞在しているが、彼らの滞在は惨めな結果に終わるだろうと述べた。

 また同じくパナマ市にいる「学生ラ米カリブ大陸機構」(OCLAE=オクラエ)議長リカルド・グアルディア(玖人)も、チェ・ゲバラ殺害に関与したフェリックス・ロドリゲス(玖系米人、元CIA要員)がテロリスト同士の会合のためパナマに滞在していると糾弾した。

 パナマ市での首脳会議に出席するオバーマ米大統領は8日夜、ジャマイカのキングストンに到着し、市内の高台にあるボブ・マーリー博物館を訪れた。オバーマは10日からのパナマ会議で、クーバの「テロリズム支援国家指定」を解除する可能性が出ている。

 クーバにとっては、さまざまな破壊活動をクーバに仕掛け、フィデル・カストロ暗殺に失敗してきたのは米国であり、クーバ航空空中爆破事件の主犯ルイス・ポサーダ=カリーレスを匿っているのも米国だとして、「テロ支援国家は米国だ」との立場だ。

 だが米国が同指定を解除すれば、大使級外交再開に応じる構えだ。
 

2015年4月7日火曜日

米軍がホンジュラスに特殊部隊配置を希望

 オンドゥーラス国防省は同国紙上で4月6日、同国中央部にあるパルメローラ米軍基地内に、ラ米での緊急事態に即応する米海兵隊250人で構成する特殊部隊を配置したいとの申し入れが米側からあったことを明らかにした。

 米軍は今年後半の展開を予定しているという。部隊の任務は人道、自然災害、組織犯罪、麻薬取引などに対応することとされる。

 新軍の配置には、オンドゥーラス国会の審議と承認が必要で、現時点で決定はないという。

 この計画には、ラ米での影響力回復を狙うオバーマ政権および米軍の意図が反映されている。

オバマ米大統領がカリブ・中米でベネズエラ疎外工作

 バラク・オバーマ米大統領は4月8日夜ジャマイカ入りし、 9日、同国のポーシア・シンプソンミラー首相と会談する。次いで、キングストンに終結するカリブ共同体(カリコム)加盟校首脳陣と会合する。

 この会合でオバーマは、原油供給を現在ベネスエラを盟主とするカリブ石油連帯機構(ペトロカリーベ)に依存しているカリブ諸国に、米国が主導し米加墨(TLCAN・NAFTA)と民間企業が原油などを供給する「カリブエネルギー安保」の枠組みに移るよう勧誘するもよう。

 オバーマは9日にはパナマで、中米統合機構(SICA)加盟国首脳陣と会合し、同様の働き掛けをする。

 パナマ市では10、11日、第7回米州首脳会議が開かれる。オバーマが3月9日ベネスエラを「米国にとって脅威」と位置づけ、外交的圧力をかけたことから、南米諸国を中心に内政干渉として糾弾する反オバーマ機運が高まり、米政府は首脳会議がオバーマ糾弾の場になること警戒してきた。

 オバーマには、米州首脳会議に先立ち、米国に近く米国の影響力が依然残っているカリブと中米の国々の首脳陣と会合し、パナマ会議を米国に有利な場に変えたい思惑がある。

 米国としては、ベネスエラが盟主の政経連帯機構「米州ボリバリアーナ同盟」(ALBA)を、ペトロカリーベと併せて弱体化させたいところだ。

 オバーマのベネスエラへの「3月圧力」は、対玖国交正常化で大量得点を稼いだオバーマが調子に乗って犯したラ米外交上の大きな失点、と国際社会で見なされている。

 一方、ベネスエラのエクトル・ロドリゲス教育相は6日、ベネスエラ人民は平等・公正・独立の祖国を建国する決意を固めていると述べ、米国の帝国主義的意図に対し結束しなければならないと強調した。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は、オバーマに「3月圧力」を撤回させるための「1000万人署名」
運動を展開中。署名はパナマでの米州首脳会議でオバーマに直接手渡すとしている。

支倉常長訪欧大航海の意味探る会合開かる

 目黒駅に近いラ米文化サロン「カフェ・イ・リブロス」(CYL)で4月5日、支倉常長が400年前に決行した訪欧の旅路を辿る写真と話の会合が開かれた。

 常長は400年前にヌエバ・エスパーニャ(メヒコ)、クーバ、エスパーニャ、イタリアを訪れ、帰途、メヒコからマニラ(比国)に渡って帰国した。7年に亘る大航海だった。

 主君伊達正宗の命令で旅立った常長だったが、スペイン国王の前で洗礼を受けてカトリコとなり、ローマでは法王に謁見した。

 終始、スペイン人修道士とともにいた常長は、カトリコとして世界観が激変したはずだ。

 会合では、常長の足跡を辿る取材を積み重ねて去年『伊達侍と世界をゆく』を河北新報社から出した工藤律子・篠田有史組が、常長の旅の意味について数多くの写真を基に2時間に亘り語った。

 雨中、花見の誘惑を振り切って集まった30人の聴衆からは、熱心な質問が続いた。伊高が計時係を務め、2時間余りの会合に辛くも収まった。

メキシコ政府が「国連拷問調査報告」問題で声明

 メヒコ外務省は4月5日声明を発表、政府は人権問題で改善努力を続けてきたと述べた。

 これは3月、国連拷問問題特別調査官フアン・メンデス(亜国人)が昨年メヒコで刑務所などを調査した結果を報告し、「メヒコでは拷問が広範に行なわれている」と指摘したのを受けた声明。

 この報告がなされてからメヒコでは異論や反論が渦巻き、メンデス非難の空気も高まっていた。

 外務省は、声明で「今後も調査に協力する」と述べ、メンデスとの対立に決着をつけた。

 一方メンデスは、反論を証明する証拠が提示されない限り、調査結果を変更することはありえない、と表明している。

キューバ貿易・外資相が、米政府の規制緩和は不十分と指摘

 クーバのロドリゴ・マルミエルカ貿易・外資相は4月6日、玖共産党機関紙グランマで、バラク・オバーマ米大統領が1月に決めた対玖経済緩和措置は好ましいものではあるが、さらなる両国関係改善の基盤にするには不完全かつ不十分だ、と述べた。

 パナマ市で10~11両日開催される米州諸国機構(OEA)加盟国の第7回米州首脳会議に、ラウール・カストロ玖国家評議会議長が招待出席することから、パナマ市で8~9両日開かれる米州経営者会合など「並行サミット」にクーバも参加することになっており、米州財界の対玖投資関心も高まっている。

 マルミエルカは、米企業はクーバと商取引や投資ができるが他国企業と同等の条件に基づいて行なわれ、米企業が優先されることはない、とも語った。

 最近ニューヨークで開かれた対玖投資説明会は、米企業240社が参加し、熱気を帯びていた。

 マルミエルカはまた、米政府はクーバが国際取引に米ドルを使用するのを認めていないと指摘し、両国間の経済環境改善が望ましいと強調した。
 

2015年4月3日金曜日

「週刊金曜日」誌が米キューバ交渉解説記事掲載

◎「週刊金曜日」誌4月3日号(本日発売)掲載
 
 伊高浩昭執筆の解説記事:

 <米・キューバ国交正常化>交渉は足踏み>
 「米がベネズエラに干渉、キューバは猛反発」

 米国・クーバ・ベネスエラの「三角関係」を分析しています。

アルゼンチン大統領が国軍にM戦争機密文書公開を命令

 亜英マルビーナス(フォークランド)戦争開戦33周年記念日の4月2日、クリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル(CFK)大統領は南端のウスアイア市で記念演説し、亜国軍に対し30日以内に同戦争に関する機密情報をすべて開陳するよう命じる政令に1日署名した、と明かにした。

 大統領はまた、同戦争出兵経験者らから聞き取った証言を集めた「聞き取り証言記録保管所」を開設する事業計画を発表した。

 CFKはさらに、英政府に対し、マルビーナス諸島領有権問題で対話するよう呼び掛けた。

 亜国ではM諸島をはじめとする「南大西洋領土」は、ウスアイアを州都とするティエラデルフエゴ州に属している。このため同市で戦争の記念行事が毎年開かれる。 

国連で「ベネズエラ連帯の日」開催

 国連で4月1日、「ベネスエラ連帯の日」が催され、同国のラファエル・ラミーレス国連大使は、バラク・オバーマ米大統領によるベネスエラ政権への強圧政策を糾弾した。

 また、国連発展途上77か国グループ(G77)、非同盟諸国、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)、南米諸国連合(ウナスール)、米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)の各代表が、ベネスエラを支持し連帯する意思を表明した。

キューバ・マリエル特区に投資申請300件

 クーバZEDM(マリエル開発特区)当局者は4月2日、同特区への投資申請が約30カ国から計300件余り届いている、と明かにした。うち120件は認可済みという。国別では、西伊中露仏越伯墨蘭加が多い。

 パナマ市で10~11日開かれる第7回米州首脳会議と並行して同市で「米州企業家サミット」が開催されるが、クーバからは18企業代表が出席する予定。この場でもZEDM投資計画が紹介される。

 米オンラインAiebnb社は1日、クーバ全国1000軒の民宿など宿泊所を米国人旅行者に斡旋するサービスを始めると発表した。

 1日公表された世論調査結果によると、玖系米国人の51%が米玖国交正常化に賛成している。またフロリダ州以外の地域に住む玖系米国人では69%が支持している。

 玖系の民主党上院議員ボブ・メネンデスは頑迷な反カストロ派だが、米法廷から1日、腐敗容疑で捜査対象になることを言い渡された。
  

2015年4月1日水曜日

キューバと米国が相互の人権問題を話し合う

 玖米両政府代表団は3月31日ワシントンで、人権問題について初めて公式に話し合った。国交正常化合意後の一連の交渉の一環だが、大使級外交再開を目指す外交交渉とは別枠。

 話し合いの後、記者発表はなかった。クーバ側は、「相違点があらためて明確になった。話し合いは理性的だった」と述べた。

 米側はクーバの反体制勢力取締など、玖側は米警察による黒人差別、玖国東部にあるグアンタナモ米軍基地にある収容所での拷問などを取り上げたもよう。

 一方、外交交渉はこれまで3回実施されたが、第4回交渉の日程は未定。米側は4月10~11日パナマ開催の第7回」米州首脳会議前の大使館再開を望んでいるが、現時点では実現は難しそうだ。

 クーバ側は、米国が対玖「テロ支援国家指定」を解除していないことに異議を唱え、バラク・オバーマ大統領による3月9日のベネスエラへの外交的脅迫に猛反発している。

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領はパナマ会議までに、「ベネスエラは米国によって脅威」と宣言した9日の政令撤回をオバーマに求める「1000万人署名」運動を展開中で、既に500万人分を集めたと発表している。

 クーバもこの署名運動に賛同、全国各地からハバナに署名が集まりつつある。
 

ボリビア地方選挙で野党勢力が躍進

 ボリビアで3月28日実施された統一地方選挙の結果が31日ほぼ判明した。エボ・モラレス大統領の政権党・社会主義運動(MAS)は、9州中、コチャバンバ、ポトシー、パンド、オルーロ4州知事、野党勢力はラパス、サンタクルス、タリーハ3州知事をそれぞれ獲得。チュキサカ、ベニ両州知事は決選に持ち込まれた。

 339市長のうちMASは約270市長を獲得した。だが主要都市では、野党がラパス、エルアルト、サンタクルス、コチャバンバ、オルーロ、タリーハ、トゥリニダー、コビーハを制した。MASはポトシー、スクレ、パンドなどに留まった。

 この結果について、モラエス政権長期化で有権者の代替政権希求が強まったため、との見方が出ている。

 一方、モラレス大統領は31日、ホルヘ・レデスマ国防相を更迭した。これは集中豪雨に見舞われ飲料水不足に陥ったチレ北部のコピアポに同日、飲料水1万2000リットルを運んだレデスマが、「海はボリビアのもの」と書かれたジャンパーを着ていたため。

 チレ外務省は、人道援助を政治的宣伝に使ったと非難。モラレス大統領は外務省を通じて謝罪し、国防相を更迭した。

 チレ北部の太平洋に面したアントファガスタ州は、1879年の「太平洋戦争」でチレに奪われるまではボリビア領だった。モラレス政権は、海岸領土奪回の悲願達成をかけてこくさい司法裁判所に裁定を仰いでいる。