2015年10月31日土曜日

アルゼンチンタンゴ演奏会のお知らせ

◎タンゴ・アルヘンティーノ演奏会のお知らせ

「タンゴ・ルネサンス」: 出演 パブロ・エスティガリビア以下「セスセート・メリディオナル」(南米6人組)

歌手 エステバン・リエラ、 踊り 亜国人3組

★2016年1月21日~3月2日、神奈川県、東京都、埼玉県、千葉県で公演。

▼問い合わせ:03-3226-9999
 



キューバが対スペイン債務返済調整で合意

 クーバとスペインは10月30日、クーバがスペインに負っている短期債務2億150万ユーロ(2億2200万ドル)の返済のための再融資で合意した。

 リカルド・カブリーサス玖副首相がマドリーでスペイン高官と会談し、決まった。両国は12月2日ハバナで、合意書に調印する。

キューバのラウール・カストロ議長がメキシコ訪問へ

 メヒコ外務省は10月29日、クーバのラウール・カストロ国家評議会議長が11月5~7日、国賓として来訪すると発表した。訪問地は首都メヒコ市ではなく、ユカタン州都メリダ。

 マヤ文化圏にあるメヒコの中心都市であり、かつて野口英世博士が黄熱病の研究などで滞在した。

 言わばクーバの最寄りの都市だが、84歳と高齢のラウール議長は、標高2300mで酸素の薄いメヒコ市を避け、クーバと気候が似ている熱帯性気候の低地メリダを選んだもよう。

 1956年11月、ラウールは兄フィデル・カストロ、チェ・ゲバラらとともにクルーザー、グランマ号でメヒコ湾岸のトゥースパン港を出航、ユカタン半島沖からカリブ海に出た。船は12月2日クーバ島東部に到着、革命戦争が始まった。メヒコは1年半近く亡命していた国として、また出撃拠点として、ラウールにとって思い出の地だ。 

 今月19日、クラウディア・ルイス=マシュー墨外相が訪玖し、ブルーノ・ロドリゲス玖外相とラウール訪墨日程を協議した。

 クーバ外交は花盛りで、米国土安全保障次官補アレハンドロ・マヨルカスが27~30日訪玖、28日にはハバナでカルロス・フェルナンデス=ゴンディーン新内相と会談した。

 同次官補はハバナに生まれ1960年に米国に移住したクーバ系米国人の2世。

 アンゴラの首都ルアンダでは29日、リカルド・カブリーサス玖副首相がジョゼ=エドゥアルド・ドサントス大統領と会談した。クーバ経済水域内での海底油田試掘などを話し合ったもよう。

2015年10月30日金曜日

ボリビア憲法裁が大統領多選の是非問う国民投票を可と判断

 ボリビア憲法裁判所は10月29日、大統領連続再選に関する改憲の是非を問う国民投票実施を合憲とする判断を下した。国会は9月29日、同国民投票実施法を可決している。

 エボ・モラレス大統領は旧憲法下で2006年1月大統領に就任、新憲法下で2選、現在は3期目(2015~20年)となる。だが2020~25年の任期を目指しており、そのためには改憲が必要。

 従来、新憲法下での2選は現行任期までとされたが、改憲法は、新憲法下での最初の当選後、「さらに2度再選が可能」と解釈を拡大する。つまり新憲法下で連続3任期務めるのを可能とする。

 政府は憲法裁の判断を受けて11月3日、国民投票を来年2月21日実施する決定を公布する。モラレスが19年の大統領で勝利し、25年まで連続19年政権を維持する公算が大きくなりつつある。

コロンビア政府とFARCが12月16日に停戦署名へ

 コロンビアのJMサントス大統領は10月29日、政府軍とFARCが12月16日に停戦合意書に署名する、というFARC提案を受け入れる、と発表した。

 大統領は28日、来年元日の停戦発効に漕ぎ着けるため、クリスマス前の相互停戦を提唱した。これに対しFARCは同日、「12月16日」を提案してきたという。

 調印場所は明らかにされていないが、和平交渉中のハバナになる可能性がある。大統領は28日、停戦発効後、国際監視団が展開し、停戦状況を検証する、との考えを明らかにしている。

 双方は来年3月23日までの和平最終合意達成で合意書を交わしており、停戦が成れば、半世紀に及んだ内戦終結の現実味が増すことになる。

2015年10月29日木曜日

コロンビア大統領が来年元日の相互停戦をFARCに呼び掛け

 コロンビアのJMサントス大統領は10月28日、2016年元日に相互停戦を実現するため、今から12月31日の間に停戦すべく努力しようではないか、とゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)に呼び掛けた。

 サントスは9月23日、半世紀余り続くコロンビア内戦の和平交渉が続けられているハバナで、FARC最高司令ティモチェンコと会談し、来年3月23日までに和平を達成するという歴史的合意に達している。

 サントスは、「ナビダー(クリスマス)の贈り物をコロンビア人に与えようではないか」と訴え、政府軍とFARCが年内に停戦に踏み切り、元日から国際監視団が展開し検証するようにすればよい、と述べた。

 停戦問題を協議する国会議員団が近々、ハバナを訪れるとも明らかにした。

2015年10月28日水曜日

リアドで近く第4回南米・アラブ諸国首脳会議開催

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は10月27日、第4回南米・アラブ諸国首脳会議(ASPA)出席のため、サウディアラビアを訪問する、と明らかにした。

 会議は11月3~5日、リアドで開かれる。ASPAは第1回会議が2005年5月ブラジリア、第2回が09年3月ドーハ、第3回が12年10月リマで開かれてきた。

 マドゥーロは、この会議で石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟産油国の首脳会議開催をあらためて呼び掛ける、と述べた。大統領は、1バレル40ドル台に低迷する国際原油価格の上昇による安定化のため、この首脳会議が不可欠だと主張してきた。

LATINA「乱反射」は「コロンビア和平合意」詳述特集

 ◎最近の伊高浩昭執筆記事

★月刊誌LATINA11月号(10月20日刊)
「ラ米乱反射」連載第115回 「半世紀超えるコロンビア内戦が16年3月終息へ  政府とゲリラFARCがハバナで歴史的合意」--5ページの詳述特集。

「書評」:『バイクとユニコーン』(ジョシュ著、見田悠子訳、東宣出版、1800円)--現代クーバ人作家の短編5作集

★NGOレコム機関冊子「そんりさ」154号(10月17日刊)
「ラ米百景」連載第57回 「ウルグアイの土になった元日本帝国海軍兵」

★週刊読書人10月23日号書評
『バイクとユニコーン』(同上)--クーバ社会に潜む「もう一つの現実」を読者は、著者が駆使する巧みなメタフォラ(隠喩)によって垣間見ることができる。

★週刊金曜日10月23日号「たとえば世界でいま」
「コロンビア和平合意から1カ月  来年3月の和平実現へ、難題は反体勢力封じ込め」

ベネズエラ国営石油会社が2016~25年戦略計画打ち出す

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は10月27日、エウロヒオ・デルピノ石油相兼国営石油会社PDVSA(ペデベサ)社長と共にスリア州都マラカイボで、「2016~25年PDVSA社会主義戦略計画」を発表した。

 9万7000人の同社労働者から寄せられた9万7472の提案から選ばれた466案も、「計画」に盛り込まれている。大統領は、労働者福利第一主義でPDVSAの効率化を推進する、と述べた。

 デルピノ石油相は「計画」の目的について、地方開発と国家経済の機動化、市場多角化強化と地域エネルギー統合、効率最大化による操業、操業に伴う環境保全、日常労働での社会主義的価値・原則の新たな推進、を挙げた。

 だが、具体的な方策や数値目標は明かさなかった。超重質油の希釈は、課題の一つ。

 大統領は、米南方軍のジョン・ケリー司令官が最近テレビ番組で、ベネスエラの「問題点」を列挙し、「国連や米州諸国機構(OEA)などからの要請があれば軍事介入行動も辞さない」旨の発言をしたことを取り上げ、糾弾した。大統領は前日、「クーデターの陰謀がある」と警鐘を鳴らしている。

 マラカイボでは27日、第3回南米石油ガス会議が開かれた。

 

国連が対キューバ経済封鎖解除要求を191カ国賛成で決議

 国連総会は10月27日、米国に対玖経済封鎖を破棄するよう勧告する決議を、加盟193カ国中、賛成191、反対2(米、イスラエル)、棄権なしで可決した。この決議可決は1992年以来、連続24回目。

 従来、南太平洋にあるキリバス、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島の米自由連合3国が反対ないし棄権に回っていたが、今回は3国そろって経済封鎖房解除に賛成し、賛成国は史上最高の191に達した。クーバは、同3国と国交樹立済み、ないし、その交渉中。

 米国は7月、クーバと54年半ぶりに国交再開に漕ぎ着けたため、初めて棄権に回るのではないかとの観測もあったが、反対した。米政府は、経済封鎖解除が米議会の決定事項であるのを念頭に、また来年の大統領選挙への影響を避けるため、反対を維持したもよう。

 ブルーノ・ロドリゲス玖外相は、決議採択前に30分演説し、クーバは経済封鎖により総額8337億5500万ドルの損害を受けたと指摘、米国に対し国交再開にふさわしい措置を講じるよう呼び掛けていた。

キューバのA・コロメー内相が健康理由に辞任

 クーバのアベラルド・コロメー内相(76)が10月26日、健康上の理由で辞任した。2013年2月の政府指導部人事前には、国家評議会副議長の再任を辞退した。共産党政治局員も退いた。

 コロメーは10代後半で革命戦争に参加、マエストラ山脈でカストロ兄弟の信頼を得た。「フリー」の愛称で親しまれ、革命後は警察畑に長く身を置いた。1989年、社会主義体制維持の要である内相に就任、26年間その地位にあった。

 1963年、チェ・ゲバラの盟友ホルヘ=リカルド・マセッティが「人民ゲリラ軍」(EGP)を率いてボリビア南部からアルヘンティーナ北部に潜入した際、これをボリビアで支援した。その後、アンゴラ戦争期には革命軍幹部としてアンゴラに駐在した。革命軍大将だったが今回退役し、国家評議会員も辞めた。

 後任の内相には、第一副内相カルロス・フェルナンデス=コンディーン中将(共産党中央委員、国家評議会員)が昇格。第一副内相にはフリオ=セサル・ガンダリージャ海軍中将(革命軍防諜局長、中央委員、同会員)が就任した。

 これで革命第1世代の中心的人物がまた一人、表舞台から去った。
  

2015年10月27日火曜日

ベネズエラ大統領が「選挙後のクーデター計画」に警鐘鳴らす

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は10月26日、国家選挙理事会(CNE、中央選管)で、12月6日実施の国会議員選挙を公明正大に実施することや、CNE発表の選挙結果を受け入れることなどを定めた選挙協約に調印した。

 大統領は政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV)党首でもある。野党連合MUDは協約に調印しなかった。

 これを受けて大統領は、野党勢力は選挙後(敗北が明らかになった段階で)、クーデターを打つ可能性があり、それを防止する対策に着手した、と明らかにした。

 一方、デルシー・ロドリゲス外相はカラカスで、トゥリニダードトバゴ(TT)のデニス・モーゼス外相と会談し、両国領海・経済水域の接する海域で天然ガス田を共同開発することについて話し合った。

メキシコ学生事件から13カ月、家族らが抗議行進

 メヒコで学生43人強制失踪事件が起きてから13カ月経った10月26日、メヒコ市中心部を犠牲者家族、支援者らが、政府に早期真相解明を求めて抗議行進した。

 別件だが、メヒコ人漫画家ホセ・エルナンデスは26日、メヒコ訪問中の米人ジャーナリスト、ジョン・リー・アンダーソンと共に、チェ・ゲバラの劇画本を11月出版する、と発表した。

 アンダーソン執筆のチェの伝記を基に、エルナンデスが重要部分を中心に描くという。チェの劇画本は約10年前に日本で刊行されている。

ハイチ大統領選挙は12月27日の決選が不可避か

 カリブ海のアイチで10月25日実施された大統領選挙は50人強の候補が乱立、12月27日の決選が不可避と見られている。暫定選挙理事会(CEP、中央選管)のピエール=ルイ・オポン議長は、「暫定的結果は10日後に判明する」と語った。

 大方の見るところ有力候補は、野党「進歩のための代替同盟・アイチ解放」(LAPEH)のジュドゥ・セレスチン、政権党「スキンヘッド・アイチ党」(PHTK)のジュヴェネル・モイス、「貧者の味方」モイス・ジャン=シャルル、ラバラス家族党(FL)のマリース・ナルシスら。

 「テトゥ・カレ(スキンヘッド)」とは、ミシェル・マルテリ現大統領の風貌を指す。FLは、ジャン=ベルトゥラン・アリスティド元大統領派の政党。セレスチンの後ろ盾は、ルネ・プレヴァル前大統領。

 次期大統領は来年2月就任、任期は5年。マルテリ大統領は本職の歌手「スウィート・ミッキー」に戻るという。



アルゼンチン大統領は11月22日、初の決選実施へ

 10月25日実施の亜国大統領選挙は、予想通り、政権党候補ダニエル・シオーリBA州知事(58、中道、勝利のための戦線FPV)と、野党連合候補マウルシオ・マクリBA市長(56、右翼・中道右翼・保守、カンビエモス)が11月22日の決選に進出することとなった。

 決選はこの国の大統領選挙史上、初めて実施されることとなる。これまでは決選前に一方の候補が降りて、投票はなかった。

 開票率96%段階で、シオーリ36・83%、マクリ34・35%と、接戦だった。落選したのは3位で経済重視のペロン派反支流派(中道右翼)のセルヒオ・マッサ(47)21・34%、および他の3候補(合計得票率7・63%。

 決選は、マッサら落選4候補の合計票が誰に付くかで決まる。事実上、「決定権」を握ったマッサは「早急に政策提案をまとめる」と表明した。

 シオーリは、あわよくば決選なしで当選することを狙っていた。だが自ら知事を8年間務めてきた、有権者の37%が固まるBA州の知事選(同時選挙)で、政権党候補アニーバル・フェルナンデスがマクリ派の女性候補マリーア・ビダルに敗れる大番狂わせが起きるなど、ペロン派支持勢力の退潮が著しく、マクリの「大躍進」を許した。

 マクリは新自由主義を採る経済・財界優先派。経済再建を願う有権者の心情をとらえた。シオーリはクリスティーナ・フェルナデス現大統領ほど「左翼的」ではなく、社会政策維持を掲げつつ、経済再建重視策を打ち出していた。言わば、現大統領とマクリの間で政策的に「どっちつかず」と見なされ、票が伸びなかった。

 シオーリもマクリも勝つためには、マッサに譲歩し連携するしかない。その場合、「ペロン派同士」のシオーリか、中道右翼・保守路線で共通するマクリか、どちらにマッサがなびくかで当落が決まることになる。

 シオーリは元自動車レーサー。1989年に事故で右腕を切断、90年代にメネム政権下で政界入りした。一方マクリは実業家出身。BA市長として今月初め、政敵の元祖であるはずのペロン将軍の銅像除幕式を市内で盛大に催すなど、したたかさでのしてきた。

2015年10月26日月曜日

グアテマラ次期大統領はJモラレス、亜国大統領選は決選へ

  グアテマラで10月25日実施された大統領選挙決選で、喜劇役者だったジミー・モラレス(保守・中道右翼)が当確を決めた。元大統領夫人サンドラ・トーレス(中道左翼)は貧困層に目覚めるよう訴えたが、及ばなかった。投票箱の78%が開票された段階で、モラレス71%、トーレス29%で、予想通りの結果となった。

 同日の亜国大統領選は、これまた予想通り、政権党所属のペロン派中道保守ダニエル・シオーリと、新自由主義派らの野党連合マウリシオ・マクリが上位1、2位を占め、11月22日の決選に進出する公算が大きい。第3位のペロン派非主流派セルヒオ・マッサは敗北を認めたが、決選で誰を支援するかは語っていない。

 混戦のハイチ大統領選挙の結果は判明していない。

 コロンビアの統一地方選挙は、最大の注目点だった首都ボゴタ市長に、無所属のエンリケ・ペニャローサが当選した。1998~2000年にボゴタ市長を務めて以来15年ぶりの返り咲きとなった。

 開票率99・6%で90万票を得て、当選した。自由党のラファエル・パルド77万票、民主軸のクララ・ロペス49万票、民主中道(CD)のフランシスコ・サントス32万票を優に上回った。

 振るわなかったサントスは、ウリーベ前政権で副大統領を務めた。アルバロ・ウリーベ前大統領は政界極右の指導者で、JMサントス大統領が9月23日ゲリラFARCと合意した来年3月の内戦終結に反対してきた。

 「ウリーベの候補」フランシスコ・サントスが惨敗したことは、有権者が和平に賛成していることを示したものと受け止められている。

2015年10月25日日曜日

ガルシア=マルケスの遺品アルバムに黒澤明との写真も

 米テキサス州都オースティンにあるテキサス大学ハリー・ランサム人文学センター文書館で、コロンビア人作家、故ガブリエル・ガルシア=マルケス(愛称ガボ)の資料の分析が進んでいる。

 10月24日公表されたところでは、1990年代初め来日した際に会った黒澤明監督との写真も見つかった。

 同センターは昨年、メヒコ市に住むガボの遺族から220万ドルで段ボール78箱分の資料を買い取った。手紙2000通、写真アルバム43冊、手書きのノート22冊、小説作品10作分のタイプ記述などである。

 アルバムには題名が付けられており、「ラ・アバーナ」(ハバナ)4冊には、革命軍最高司令官、共産党第1書記、国家評議会議長(元首)、首相を兼任していたころの元気なフィデル・カストロとのさまざまな写真が貼られている。

 「フィデル、ビラーン」には1996年に、ガボがフィデルと共に訪れたフィデルの生地、オルギン州ビラーンの復元された生家での写真が収められている。

 友人たちとの華やかな交流の記録でもある「アミーゴス」には、黒澤のほか、映画監督ルイス・ブニュエル、俳優ウッディー・アレン、作家グレアム・グリーン、同フリオ・コルタサル、同カルロス・フエンテス、詩人パブロ・ネルーダらが登場する。

 「大統領たちと共に」には、ミハイル・ゴルバチョフ、ビル・クリントンらが出てくる。ガボは革命初期からCIAに眼をつけられ、米入国が禁止されていたが、90年代に、ガボの愛読者クリントン大統領が解禁。ガボは、クーバから米国への筏難民流入事件を解決するため、クリントンの密使としてハバナを訪れ、フィデルに米政府の意志を伝えたことがある。

 ガボ゙夫妻は2008年、病気療養中だったフィデルをハバナの自邸に訪ね歓談したが、その時のことをフィデルは「楽しい時間だった」と記している。

 同センターの今後の分析で、重要な資料や事実関係が明らかにされる可能性があり、センターの分析者は「驚きがあるはずだ」と言い、そのことを示唆している。

CELACが2024年までの飢餓・貧困一掃を決議

 ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC、加盟33国)は10月23日、ベネスエラ外務省で第2回社会開発担当相会議を開き、2024年までに域内から飢餓と貧困を一掃することを決めた。

 2024年は、ラ米解放軍がスペイン軍主力を撃破したペルー・アヤクーチョでの「アヤクーチョの戦い」200周年の年。加盟諸国は、保健、栄養、教育、性差別廃止、女性進出の各分野で政策を強化する。

 一方、デルシー・ロドリゲスVEN外相は24日、ベネスエラは28日、国連人権理事会で再選を目指す、と述べた。

ラテンアメリカ4カ国で今日、大統領選挙など実施

 今日10月25日、ラ米4カ国で選挙が実施される。グアテマラでは大統領選挙決選投票があり、9月6日の第1回投票での上位得票者2人が勝敗を争う。

 アイチ(ハイチ)では、大統領選挙が実施される。候補者53人が乱立しているが多くは泡沫で、事実上、3~4人の争いとなる。過半数得票者が出ない場合、12月27日の決選に上位2候補が進出する。また8月9日実施された国会議員選挙の未確定選挙区では決選が実施される。

 アルヘンティーナでは大統領、国会議員、南部共同市場(メルコスール)議会議員を選ぶ選挙がある。大統領選挙には6候補が出馬しているが、実施的には3人の争い。得票率45%、もしくは同40%で2位に10ポイント差をつける候補が出ない場合、11月22日の決選に2人が進出する。

 コロンビアでは州知事、州議会、市長、市会の統一地方選挙がある。サントス政権とFARCは9月23日ハバナで来年3月の内戦終結で合意したが、これに対する有権者の反応が示されることになる。

 年内に残る重要選挙は、12月6日のベネスエラ国会議員選挙である。

『概説 近代スペイン文化史』を読む

 『概説 近代スペイン文化史 18世紀から現代まで』(立石博高編著、ミネルヴァ書房、3200円)を読んだ。「近現代スペインの豊かな文化と歴史を学ぶ。一面的なスペインのイメージから脱し、魅力あふれる多様な文化と歴史的背景を解説」と帯に記されている通り、総合的な記述がなされており、スペイン文化の高級な入門書だ。

 スペイン史を学ぶことは、歴史が連動したラ米の歴史を理解することにも繋がる。書評に書いたので詳しくは触れないが、読み応えのある本書をラ米学徒にお薦めしたい。

 骨組みに触れれば、第1部(1~6章)は、啓蒙思想期、自由主義とロマン主義、王政復古、内戦、フランコ独裁期、民主化。第2部(7~16章)は、言語、文学、女性像、教会、市民性、美術、映画、フラメンコ、闘牛、スポーツ。

2015年10月24日土曜日

マリオ・バルガス=ジョサがフジモリ物の新作を3月刊行へ

 作家マリオ・バルガス=ジョサ(MVLL、79)は10月23日、新作の小説『五つの曲がり角』(シンコ・エスキーナス)を来年3月3日刊行すると明らかにした。

 内容は1990年代のフジモリ政権とペルーの政治社会状況を描いたもので、当時のアルベルト・フジモリ大統領とブラディミロ・モンテシーノス大統領顧問の関係、イエロージャーナリズム、テロリズム、愛欲などが盛り込まれているという。

 MVLLは1990年の大統領選挙決選で、まさにフジモリに敗れた。その屈辱感を維持し、激しくフジモリ政治を非難したり、その娘で大統領候補のケイコ・フジモリを貶める発言を繰り返したりしてきた。

 新作刊行の翌月にはペルー大統領選挙があり、 フジモリの長女ケイコが最有力候補と目されている。作家の怨念が窺える。

 一方、MVLLとの愛人関係が今年6月暴露されたマニラ生まれのスペイン人モデル、イサベル・プレイスレル(64)はこのほど、MVLLとの結婚に関し、「マリオがパトリシア夫人と正式に離婚するのが先決」と語った。

 イサベルは、歌手フリオ・イスレシアスと70年代に結婚。離婚後、2度再婚を繰り返し、3人目の夫と昨年死別した。

 MVLLは、80歳になるのを意識し、「この年になって、かつてなかったような高揚、情熱、幻想を抱いている」と語っている。
 

2015年10月23日金曜日

ベネズエラがOPEC加盟・非加盟産油諸国に新たに提案

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は10月22日、石油輸出国機構(OPEC)加盟国および非加盟産油諸国に、原油価格安定化の方策を探る機構づくりと首脳会議開催を提案した、と明らかにした。

 それによると、同国のエウロヒオ・デルピノ石油相は、ビエンナ(ウィーン)で21~22日開かれたOPEC技術会合でマドゥーロ大統領が書いた書簡を各国代表に手渡した。この会合には幾つかの非加盟国も出席した。

 書簡には、原油の国際価格安定化のため、「生産・価格・世界経済均衡のためのOPEC加盟・非加盟諸国技術委員会」を設置し、定期的に価格、生産、投資などを調整することや、OPEC加盟・非加盟諸国首脳会議開催の提案が盛り込まれている。

 マドゥーロ大統領は、11月に開かれる次回OPEC技術会合の日程、場所決定と、その会合で「技術委員会」設置および「首脳会議開催」を決議してほしい旨を記している。

 大統領はこれまで何度か、この種の首脳会議開催を提案してきたが、賛同が得られなかった。

キューバ共産党青年部の機関紙が創刊50周年迎える

 キューバ共産主義青年同盟(UJC)の機関紙「フベントゥー・レベルデ」(反逆青年、JR)が10月21日、創刊50周年を迎えた。1965年のこの日、タルデ紙とメージャ誌が合体して創刊されたJRは当初、タブロイド版で、発行部数は6万5000部だった。

 66年1月、4万5000分に減ったが、翌月、大型版になり、8万部に増えた。第1版は首都ハバナ以外の国内各地で朝刊として配布され、第2版はハバナで夕刊として発行された。

 共産党機関紙「グランマ」の弟分の新聞として親しまれてきた。現編集長はマリーナ・メネンデス。第7代編集長は、ブルーノ・ロドリゲス現外相が務めた。

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 国営クーバ石油会社(CUPET)は10月21日、クーバ島北西のメヒコ湾にあるクーバ経済水域で2016年末か17年初めに海底油田の採掘を始める計画だ、と明らかにした。

 国営ベネスエラ石油(PDVSA)、およびアンゴラ石油(SONANGOL)と組んで、7000mの深海で1カ所ずつ計2カ所掘る計画だが、3か所になる可能性もある。

 同海域海底油田の埋蔵量は豊かと判断されてきたが、これまでCUPETと合弁で採掘してきた諸外国の石油会社は油田を掘り当てていない。

 クーバ海域での採掘は長年、米国による経済封鎖に影響されてきたが、昨年来、国際原油価格の低迷が石油会社の新たな開発投資意欲を殺いでいる。

 現時点では、米石油会社からの採掘・生産をめぐる商議はない。法的問題もあって、米企業が採掘分野で殺到してくることはないもよう。

 クーバは日量10万バレルの原油を陸地で生産し、日量数万バレルをベネスエラから供給されている。ベネスエラからの供給量は、かつては日量10万バレルだったが、昨年来、6~7万バレルに減っているとの情報がある。
                         

2015年10月22日木曜日

エボ・モラレスがボリビア最長政権を記録

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は10月21日、1825年に独立した同国史上、最長の政権首班となった。モラレスは2006年1月22日、大統領に就任、3選して、この日、9年8ヶ月27日を記録。これまで最長政権だった1829~30年のアンデレス・デサンタクルース元帥を1日上回った。

 モラレスはこの日、政治首都ラパス西方郊外のティティカカ湖畔にあるティワナク遺跡で、先住民族アイマラ人の伝統儀式に臨んだ。「祖先から活力を受け継ぐため」である。

 大統領は記念演説で、「ボリビアでは長らくインディオは政治ができないと誹謗され排除されていた。06年以来、このインディオ(モラレス自身)は政権にある。何かしなければならないと常に考え、きょうまでやってきた」と述懐した。

 また、フィデル・カストロ前クーバ国家評議会議長、故ウーゴ・チャベスVEN大統領、ルーラ前ブラジル大統領、故ネストル・キルチネル前アルヘンティーナ大統領の名を挙げて、謝意を表明した。

 モラエスの現任期は2019年まで続くが、改憲により18年の大統領選挙に4選出馬し、19~25年の新たな任期に挑む意欲を示している。モラレスは今月26日、56歳になる。
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2015年10月21日水曜日

ロシアがキューバに電力用借款を供与

 ロシア政府は10月20日、クーバに対し、火力発電機4基建設用資金として12億ユーロの借款を16~24年に供与する、と発表した。返済期間10年、利率は4・5%。また、製鉄所現代化用資金1億ドルを無償供与するとも発表した。

 モスクワ訪問中のリカルド・カブリーサス副首相(対外経済関係担当)とロシア関係閣僚との話し合いで決まった。

 同副首相は、ウラディーミル・プーチン露大統領の顧問セルゲイ・グラゼフとも会い、欧亜経済同盟(UEE)へのクーバのオブザーバー参加の可能性について話し合った。

 UEEは今年元日発足、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスタンが加盟している。クーバは1972~89年、旧「経済相互援助会議」(コメコン)の加盟国だった。 

フィデル・カストロの息子がキューバの改革政策で発言

 フィデル・カストロ前玖国家評議会議長の息子の一人アレックス・カストロは10月20日ハバナで、チレTV「24時間」のインタューに応じ、「現在クーバで多くの変化が見られる。自営業者が増えていることなどがそうだ。クーバ人民は民営化が増えるのを歓迎している」と述べた。

 アレックスは、父フィデルの公式写真家であり、フィデルの側近でもある。「父は自営業などで人民が生産し潤うことに賛成している。だが父があらゆる変化(改革)に賛成しているかどうかはわからない」と指摘した。

 「対米国交再開で体制変換を展望する人々がいるが、社会主義体制は不変であり、その枠内で改革が進められる」とし、共産党一党体制も変わらないと述べた。

 また、「多くを改善・改革せねばならなが、人民生活に悪影響を及ぼさないようにするため、衝撃的措置はとらない。改革は急がず慎重に進められている」と語った。しかし個人的には改革の進展が遅すぎるとし、「もっと早い方がいい」と述べた。

 進展が遅い理由として、改革より保身を重視する官僚機構の存在を挙げ、「あらゆる部門に保守派がいる」と批判。「たとえば外資導入やマリエル開発特区などで規制が多すぎ、緩和が必要だ」と述べた。「重要な地位にいる者が、見返りがないと動かない」と、腐敗の存在を認めた。

 さらに、「(社会主義市場経済をとる)ヴェトナムの経済水準にクーバが達するには30~40年かかるだろう」と展望した。

 因みにクーバ政府は外資導入策として、246事業計画・総額710億ドルの受け入れを想定している。教育、保健、軍事部門への外資参入は禁止されている。
 
 
 

ブラジルがベネズエラへの選挙監視団派遣を拒否

 ブラジル選挙最高裁判所は10月20日、ブラジルは12月6日のベネスエラ国会議員選挙に監視団を派遣しない、と発表した。

 南米全12カ国が加盟する南米諸国連合(ウナスール)の選挙監視団の団長に、ブラジル最高裁元長官ネルソン・ジョビンを指名したところ、ベネスエラ政府が反対した、というのが理由。事実上の派遣拒否だ。

 ウナスールのエルネスト・サンペール事務局長(元コロンビア大統領)は最近訪伯し、アルヘンティーナ元外相ホルヘ・タイアーナを団長にしてはどうかと提案したが、これもブラジル側の心証を悪くした。

 ニコラース・マドゥーロVEN大統領にとりブラジルは極めて重要な盟友国であり、選挙監視団問題でブラジルを怒らせたのは外交上の大きな痛手となる。

 マドゥーロは、米政府が望む米州諸国機構(OEA)の監視団派遣を拒否してきたが、頼みのウナスール監視団からブラジルが抜けたのでは監視団の存在感が薄れ、結果的にベネスエラ政府の選挙制度が批判を受けることになりかねない。

 一方、ベネスエラ政府は20日国会に、歳出を1兆5485億ボリーバルとする2016年度予算法案を提出した。歳入を支える原油の国際価格を1b=40ドルで計算して組んだ歳出額だ。今年度は1b=60ドルで歳出を組み、中途で歳出削減を余儀なくされた。 

コロンビア停戦は概ね守られていると、オンブズマン発表

 コロンビアのオンブズマン、ホルヘ・オターロラは10月20日、コロンビア革命軍(FARC)の一方的停戦に7月20日、政府軍が応じて以来3カ月経ったが、停戦は概ね守られてきた、と語った。

 FARCと、政府軍の補完部隊である極右準軍部隊の戦闘は散発的に起きているが、9月20日からの1ヶ月間に軍の戦闘行動は探知されていない、と述べた。

 だが、FARCの最高司令ティモチェンコは16日、メタ州内で9日政府軍による空爆があったと非難しており、オンブズマン発言と食い違っている。

 一方、JMサントス大統領は20日、コロンビア財界代表と19日会合したが、財界は内戦終結に賛意を示している、と述べた。

メキシコ検察庁人権部が学生失踪事件捜査を担当へ

 米州諸国機構(OEA)の米州人権委員会(CIDH)は10月20日ワシントンの本部で、メヒコの教諭養成学校生43人強制失踪事件の捜査協力任期は31日切れることになっていたが、半年間延長する、と発表した。

 CIDHが昨年11月結成した「独立系専門家学際集団」(GIEI)とメヒコ政府が19日話し合った結果、延長が決まった。

 またこの話し合いにより、同事件の捜査は今月22日から検察庁人権部が担当することになった。これまでは検察庁組織犯罪特捜部(SEIDO)が担当してきたが、その捜査結果はメヒコ世論やCIDHからの承認を得られなかった。

 ペニャ=ニエト墨政権は、昨年9月同事件が起きたゲレロ州イグアラ市に駐屯する陸軍第27大隊への事情聴取をCIDHに認めないなど、真相解明意欲の欠如が際立ち、メヒコ政府の威信は国際社会で深く傷ついた。


 

2015年10月20日火曜日

ベネズエラで電力網への破壊活動が13件続発

 ベネスエラのルイス・モッタ電力相は10月19日記者会見し、10月に入ってから電力システムへの破壊活動が国内各地で計13件起きている、と明らかにした。特にコロンビア国境沿いのタチラ州と、産油中心地のスリア州で目立っている、という。

 モッタ電力相は、送電線切断、変電所破壊などが組織的に行なわれているとして、12月6日の国会議員選挙を前に停電によって社会不安を煽る陰謀だ、と指摘した。

ロシア国防相がキューバに海軍協力関係強化を求める

 訪露中のリカルド・カブリーサス玖副首相は10月20日、モスクワでセルゲイ・ショイグ国防相と会談した。ハバナ放送がノーヴォスティ通信電を基に報じたところでは、国防相はクーバとの海軍同士の協力関係を促進したいと副首相に伝えた。

 露国防相は、「両国の軍事協力関係は極めて良好だ。ロシアは(ソ連時代から)クーバに協力してきたが、引き続き協力してゆきたい。その展望は開けている」と語った。同国防相はまた、露海軍艦船がクーバに入港する際の支援に謝意を表した。
                                     
                                     ☆         

 ロシアは、ウクライナへの侵略、シリア内戦への軍事介入の仕方などをめぐって米欧と厳しい対立関係にある。米国と7月国交を再開したばかりのクーバに敢えて軍事協力強化を持ちかけたのは、米国を意識してのことだ。

ブラジル下院の汚職調査委員会が大統領の関与責任を排除

 ブラジル国営石油会社ペトロブラス関連の汚職事件を2月から調査してきたブラジル国会下院の委員会(ルイス・ヂオルヴェイラ委員長)は10月19日、最終報告を発表、政府や政党による制度的な関与を示す証拠はないと結論づけた。

 これにより、ヂウマ・ルセフ大統領、ルーラ前大統領、ペトロブラス元社長2人らの事件責任は排除された。報告書は、国営企業管理強化、腐敗取締法改正、内部告発奨励など14措置を提案している。

 この調査委員会は下院議員27人で構成され、22日に報告書承認の可否を採決する。修正があるもよう。

 事件は、ルーラ、ルセフ両労働者党(PT)政権下の2004~14年の間に、事業入落札に際し建設業者、政治家、同社職員らが絡んで総額20億ドルの収賄がなされたというもの。

 野党は、資金がPTの選挙資金や国会多数派工作に用いられたと非難し、ルセフ大統領の国会での弾劾を求めてきた。大統領選挙で連続4回勝てないままの保守・右翼諸党は、弾劾後の選挙で政権奪取を狙う戦略を描いている。

 これまでにPT会計担当者が収賄により禁錮15年の実刑判決を受けたのをはじめ、44人が断罪された。また123人が起訴されている。上下両院議員約50人が捜査され、現下院議長にも500万ドル収賄の嫌疑がかかっている。 

2015年10月19日月曜日

ハイチでも10月25日、大統領選挙実施

 アイチで10月25日大統領選挙が実施される。候補者53人が乱立している。過半数得票による当選者がいない場合は、12月27日の決選に上位2候補が進出する。

 主張は、2010年の大震災からの復興促進で一致している。有力候補と目されているのは次の3人。

 野党勢力の「アイチ進歩・解放のための代替同盟」(LAPEH)のジュドゥ・セレスティン。

 ミシェル・マルテリ現大統領の後継候補である「テトゥカレ・アイチ党」(PHTK)のジョヴェネル・モイス。

 ジャン=ベルトゥラン・アリスティド元大統領の政党「ラバラス家族党」の女性候補アリース・ナルシス。

「キューバ軍がシリア展開」の情報をキューバが断固否定

 クーバ外務省は10月18日、「クーバ軍部隊がアサド政権支援のためシリアに展開している」との情報や報道を、「無責任で根拠がない」として、断固否定した。

 今週初め、マイアミ大学クーバ・クーバ系米国人研究所が「未確認情報」として情報を流した。これを受けて米フォックスTVは14日、「ペンタゴン(米国防省)情報」として「200~300人のクーバ人部隊がシリアで展開している」と伝えた。

 だが米国務省は15日、「情報の信憑性を裏付ける証拠はない」と表明した。

アルゼンチン大統領はDシオーリ候補優勢

 アルヘンティーナで10月25日、大統領選挙が実施される。得票率45%強、もしくは40%強で2位候補に10ポイント差をつければ当選する。当選者がいない場合は、得票上位2候補が11月22日の決選に進出する。

 最有力候補は、ブエノスイアレス(BA)州知事で「勝利のための戦線」のダニエル・シオーリ。支持率調査で40%に達している。ペロン派左翼キルチネる派のクリスティーナ・フェルナデス現大統領の後継候補と位置付けられている。

 2番手は、首都ブエノスイアレス(BA)前市長で、「カンビエモス(変革しよう)連合」のマウリシオ・マクリ。同30%。新自由主義経済路線をとるため、財界の期待が大きい。

 これに続くのが、元フェルナンデス政権官房長官で、「新アルヘンティーナ団結戦線」(UNA)のセルヒオ・マッサ。同20%。残る10%は、他の3候補および浮動票。

 有権者は3200万人で、その3分の1を上回る1180人を持つBA州の知事シオーリが優勢なわけだ。マクリの首都BA市は250万人でしかない。

 決選へのシオーリ進出は確定的だが、もう一人はマクリかマッサになる公算が大きい。その場合、3位以下の落選候補の票が決選を左右することになる。シオーリはマクリ相手を意識しつつ、現政権とは異なる経済改革路線をとる可能性を示唆している。
 

メキシコで学生43人失踪事件描いた映画が物議醸す

 メヒコ・ゲレロ州イグアラ市一帯で昨年9月26~27日起きた教諭養成学校生43人強制失踪事件を描いたメヒコ映画「イグアラの夜」(ラウール・キンタニージャ監督、80分)が10月16日、首都など30映画館で公開され、物議を醸している。

 ウェブサイトで2分間の予告編が流された数日前から犠牲者の遺族・家族、支援者らから抗議が巻き起こり、上映中止を求める署名運動が展開されている。

 支援団体は、このドキュドラマは事件に関する政府の主張に沿っていると批判している。だが脚本を書いたジャーナリスト、ホルヘ・フェルナンデス=メネンデスは、「ドラマ部分は30分足らずであり、あとは実録だ」と反論している。

 この映画の題名は、1964年の米映画「イグアナの夜」(ジョン・ヒューストン監督)をもじったもの。この映画も、物語の舞台はメヒコだった。
 
 

グアテマラ大統領選挙決選まで1週間、必死のSトーレス候補

 グアテマラ大統領選挙(9月6日実施)は10月25日の決選投票で決着がつくが、1週間と迫った18日、劣勢を伝えられるサンドラ・トーレス候補(希望国民連合UNE)は遊説で、当選が確実視されている相手候補ジミー・モラレス(国民結集戦線FCN)との違いを強調した。この国初の女性大統領を目指す。

 トーレスはアルバロ・コロム元大統領(2008~12年)の元夫人で、大統領夫人として政治に関与した。相手のモラレスは喜劇俳優出身で、政治経験はない。体質的に保守で、軍部、富裕層ら旧体制に支配されるとの見方が広く為されている。

 モラレスを皮肉って「グアテマラは喜劇ではない。真の悲劇なのだ」とぶち上げたトーレスは、対立候補に政治経験がないことも指摘した。トーレスは「国が必要としている団結と平和のメンサヘ(メッセージ)を発するため投票しよう。団結は力だ。貧者の力を示そう」と群衆に呼び掛けた。

 コロム政権が設立し、後継のペレス=モリーナ前政権が廃止した「連帯資金」など貧困対策の復活を約束している。トーレスは、経済面の経験不足を補うため、実業家マリオ・レアルを副大統領候補にしている。また、一日平均16人が殺される極悪の治安の対策として、国軍の治安出動を維持する方針だ。

 一方モラレスは、大規模な税関汚職事件の主犯として9月初め政権を追われたペレスモリーナ前大統領の腐敗追及で支持率を挙げてきた。見識不足を攻撃されていることもあって、副大統領候補に国立サンカルロス大学(USAC)の元学長ハフェス・カブレラを据えている。

 有権者は754万人。当選者は来年1月14日、政権に就く。任期は4年。

 
 
 

2015年10月18日日曜日

コロンビア政府とFARCが「失踪者捜索」で合意

 ハバナで和平交渉中のコロンビア政府とゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)は10月17日、内戦中に出た強制失踪者の捜索などについて合意に達した。同失踪者は4万5000人~6万9000人と推計されている。

 双方は、失踪者について捜索、遺体位置特定、身元確認、遺族への遺骨・遺品返還を図る。そのための計画を双方は向こう4ヶ月間に「失踪者捜索委員会」(CBPD)に提出する。来年3月の「和平最終合意」調印後、「失踪者捜索部隊」(UBPD)を創設し、活動を開始する。

 UBPDは、「真実究明・共生・繰り返すまじ委員会」の規定に沿う。活動には、赤十字国際委員会、コロンビア法医学研究所、同検察庁、関係諸組織が関与する。

 双方は「和平特別法廷」の判事25人(うち外国人5人)を選出する。

 双方は9月23日、来年3月23日までに「和平最終合意」を達成する旨を記した合意書に調印している。

ベネズエラ大統領がカリブ地域4カ国を歴訪

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は10月16、17両日、スリナム、アンティグア・バーブーダ(AB)、セントルシーア、グレナダの4カ国を歴訪した。いすれもベネスエラが主導するカリブ石油連帯機構(ペトロカリーベ)加盟国。

 大統領は16日訪れたABの首都セントジョージズではガストン・ブラウン首相と会談、同首相は「大胆な社会主義」実施を提唱した。マドゥーロは賛意を示し、「ベネスエラは、カリブ地域を強力な経済地域にするため燃料を提供してきた」と述べた。

 大統領は訪問した4カ国で、ペトロカリーベ資金で建設されたエネルギー施設の開所式などに出席した。

 その後、明らかにされたところによると、ベネスエラ国有石油会社(PDVSA)が、 AB国有の西インド諸島石油会社(WIOC)の株の25%を買収することが決まった。これで同社の株は、AB政府51%、PDVSA25%、中国ファンシーブリッヂ社24%となる。
 

2015年10月17日土曜日

経済封鎖解除後も市場多角化図るとキューバ貿易相強調

 クーバのロドリゴ・マルミエルカ貿易・外資相は10月16日ベイルートで、「米国による経済封鎖が解除されても、クーバが米市場だけに頼ることは決してない」と強調した。

 マルミエルカは、クーバ・レバノン経済フォロ(フォーラム)で発言、「クーバの優先政策は、中東諸国を含む世界の国々と経済・通商関係を築き、市場の多様化を図ることだ」と述べた。同相はクーバへの投資条件も説明、レバノンからの投資を仰いだ。

 クーバは、スペイン植民地400年、米国の事実上の属国60年、ソ連圏30年を経て、1990年代以降はベネスエラ、中国、ブラジル、ロシアなどとの関係を深めてきた。

 こうした歴史的経験からクーバは、一国だけの市場に頼れば従属を余儀なくされる、ということを学んだ。

伊藤昌輝訳『スペイン語で奏でる方丈記』が受賞

 鴨長明の『方丈記』をスペイン語に訳した『スペイン語で奏でる方丈記』(大盛堂書房)が、日本翻訳家協会(平野裕理事長)の「翻訳特別賞」となり、訳者の元外交官、伊藤昌輝ラテンアメリカ協会理事長が受賞した。

 「異文化間の相互理解と日本文化の向上に貢献する優れた翻訳作品」と評価された。表彰式は10月16日、学士会館で催された。

 対訳形式になっており、ラ米学徒、スペイン語学徒には教本ともなる。今年3月、出版された。

ペルー法廷がフジモリ元大統領のきょうだいを指名手配

 ペルー法廷は10月15日、アルベルト・フジモリ元大統領の姉フアーナ、弟ペドロ、妹ロサおよび、ロサの夫ビクトル・アリトミ元駐日大使を、フジモリ政権期の1990年代に日本から東京銀行経由で届いた寄付金を横領した容疑で内外に指名手配した、と明らかにした。

 法廷は同日、元大統領政庁官房長官ホセ・カミヤに、同横領事件共犯として禁錮4年、執行猶予3年、罰金40万ソル支払いを命じる判決を下した。

 ペルーは来年4月の次期大統領選挙に向けて政治の季節に入っており、元大統領の娘ケイコ・フジモリが支持率調査で1位の座に居続けている。

 反フジモリ派はメディアや知識人発言を通じて反対運動を展開している。裁判所がこの時期に、元大統領のきょうだい追及を表明したのには、ケイコに打撃を与える狙いが込められている。  

ベネズエラ外相がヒラリー・C発言をはねつける

 米大統領選挙に民主党候補として出馬しようとしているヒラリー・クリントン前国務長官は10月16日、遊説先のテキサス州サナントニオ市でスペイン通信EFEのインタビューに応じ、「ベネスエラではチャベス前政権以降、民主が後退している」と述べた。

 これに対し、ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は、「ヒラリー・クリントンは意図的誤報に影響されているようだ」と指摘し、ヒラリー発言をはねつけた。

 一方、ホワイトハウスでは15日、クーバの伝説的楽団ブエナビスタ・ソシアルクルブが「チャン・チャン」など、おなじみの曲を生演奏し、84歳のオマーラ・ポルトゥオンドが声の衰えを感じさせず歌った。

 バラク・オバーマ大統領と、駐米クーバ大使ら来賓400人が、クーバ調をしばし楽しんだ。 

エクアドル大統領がコロンビア政府とELNの極秘交渉明かす

 エクアドール(赤道国)のラファエル・コレア大統領は10月16日、北部のコロンビア国境地帯で記者会見し、「コロンビア政府と民族解放軍(ELN)はこれまでエクアドール国内で極秘裡に6回話し合ってきたが成功裡に進んでおり、コロンビア政府は喜んでいる」と明らかにした。

 一連の話し合いは昨年1月に始まり、正式な和平交渉開始に向けての予備交渉として行なわれてきた。コレア大統領は、赤国家情報庁(SNIE)が仲介した、と明かした。

 コレアはまた、「いずれ公開交渉(本交渉)になるはずだが、その場所や時期は未定だ。もし我が国が望まれれば、全面的に受け入れる用意がある」と強調した。

 大統領は、ハバナで交渉してきたコロンビア政府とコロンビア革命軍(FARC)が来年3月の和平実現で合意に達した今年9月にも、同政府とELNによる和平交渉の場になる用意があると表明していた。

 同じ9月、ELNのニコラース・ロドリゲス=バウティスタ最高司令は、「近く良いニュースがあるだろう。足りなのは3%だけだ」と語っている。「3%」とは、正式な和平交渉の開始を指す。

 コロンビア政府は、ELNの兵力を2500人程度を推定している。

2015年10月16日金曜日

コロンビア最高裁がウリーベ前大統領捜査を検察に許可

 アンティオキア首都メデジンのコロンビア最高裁支部は10月15日、陸軍の補完勢力として殺戮や土地奪取を恣(ほしいまま)にしてきた極右の準軍部隊(パタミリタレス)と、政界極右勢力の筆頭アルバロ・ウリーベ前大統領との関係を検察が捜査するのを認めた。

 アレハンドロ・オルドニェース検事総長は6日、1997年に起きた「エル・アロ村虐殺事件」に、当時アンティオキア州知事だったウリーベが関与したか否かについての捜査許可を最高裁に要請していた。

 コロンビア革命軍(FARC)との和平を来年3月達成しようと目指すJMサントス大統領も、FARC指導部も、和平合意の最大の撹乱要因は準軍部隊とみている。最高裁のウリーベ捜査許可は、サントスの意向に沿っている。ウリーベはこの日、激しくサントスを非難した。

 一方サントスは15日、財界人と会合し、和平特別法制によって財界人が裁かれることはない、と保証した。財界人の一部は、準軍部隊に軍資金を送っていた。

ベネズエラの今年のインフレは80%と大統領が予測

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は10月15日、労働者代表と会合し、ことしのインフレは80%に達する見込みと述べ、最低賃金を11月1日から30%引き上げて1万6339b(ボリーバレス)にすると発表した。

 大統領はまた、国家公務員給与を30日以内に引き上げ調整するが、その引き上げは年率にして137%に上る、と明らかにした。

 財界は、今年のインフレが180%に及ぶと見ており、大統領の80%に疑念を示している。去年のインフレは68・5%だった。

 ベネスエラは12月6日の国会議員選挙に向けて、選挙の季節が深まっている。政府の賃上げ策は恒例とはいえ選挙対策の柱であるのは間違いない。

 ベネスエラ統一社会党(PSUV)を中心とする政権党選挙連合「大愛国軸」(GPP)加盟32党は15日、国家選挙理事会(CNE)で、国会議員選挙を公明正大な選挙とするための合意書に署名した。

 合意書には、「民主・安寧・憲法尊重」、「選挙結果への異議表明は暴力でなく法廷で」などが明記されている。野党連合MUDをはじめとする野党勢力は署名式に現れなかった。

 一方、15日帰国したマヌエル・スアレス元スリア州知事は、アルバから到着したマラカイボ空港で逮捕された。身柄をカラカスに送られ、国家情報局(SEBIN)本部に連行された。グスタボ・ゴンサレス内相は、スアレス容疑者は腐敗、不正蓄財、公金横領など11件で取り調べられる、と明らかにした。

 スアレスは「新時代」(UNT)党首で、かつて故ウーゴ・チャベス大統領に対抗し大統領選挙に出馬したことがある。09年逮捕状が出たため国外に逃れた。以来6年ぶりの帰国で、逮捕されるのを覚悟していた。

 国連は15日、ベネスエラとガイアナが領有権をめぐって歴史的に対立しているエセキーボ地方の問題で、両国が話し合い解決の道を進んでいると評価した。バン・ギムン事務総長の特使がこのほど両国を訪れ、首脳らから意見聴取した。

ベネズエラ交響楽団演奏会のお知らせ

◎ベネスエラ「テレサ・カレーニョ青年オーケストラ」公演=東京芸術劇場(池袋)で=

☆クリスティアン・バスケス指揮 演奏家160人強

★11月17日(火)1800開場、1900開演
交響曲「ドン・フアン」
パガニーニの主題による狂詩曲(ピアノ:小曽根真)
交響詩「英雄の生涯」

★11月21日(土)1400開場、1500開演
キャンディード序曲
バレエ「エスタンシア」舞曲
シンフォニア・インディア
幻想交響曲

▼入場券 1500円~6000円まで5種類
チケットぴあ 0570-02-9999
ローソンチケット 0570-084-003

2015年10月15日木曜日

キューバ第1副議長が「精神的豊かさ」の重要性強調

 クーバ国家評議会のミゲル・ディアスカネル第1副議長は10月14日、ハバナで開かれた「クーバ革命、由来、歴史的発展」国際シンポジウムで、「クーバの未来は思想に懸っている。つまり歴史と我々の文化に懸っている」と述べた。

 副議長は、「クーバはまずまずの物質的豊かさを提供できる経済によって際立つのではなく、その豊かさを公平に、かつ社会正義を伴って分配する点において際立ちたい」と強調した。

 「それは、解放と連帯する文化を通じて、換言すれば、市場を埋めている似非文化と正反対の思想の解放的基盤に立ってのみ可能となる」と指摘した。

 さらに副議長は、「クーバは精神的視座をもって知識や独自文化を通じて貢献できる点で際立ちたい」と語った。

 ラウール・カストロ議長の後継者である第1副議長のこの発言は、対米国交再開に伴う経済面の向上に傾斜しがちな社会状況に警鐘を鳴らしたものと言える。
  

2015年10月14日水曜日

ボリビアとベネズエラが「2015~25年開発計画」策定へ

 ボリビアのエボ・モラレス、ベネスエラのニコラース・マドゥ-ロの両大統領は10月13日、コチャバンバ郊外のティキパヤで会談し、両国が協力し合い共同開発するための「2015~25年特別計画」を来年1月結ぶと発表した。協力分野は経済、通商、エネルギー、科学調査、軍事などで、1月に関係閣僚会議が開かれる。

 マドゥーロは先週ハバナで、ラウール・カストロ玖国家評議会議長と「2015~30年特別計画」を結んでいる。両計画とも、米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)の枠内で遂行される。

 マドゥーロは記者会見で、ボリビアの民主・文化革命とベネスエラのボリバリアーナ革命という二つの「共同体革命」は、資本主義後、新自由主義後の開発モデルだ、と指摘した。

 両首脳は、09年にボリビア・サンタクルース市郊外の5000m2の敷地に180万ドルで校舎などが建設された「ALBA軍事学校」を軌道に乗せることで合意した。同校はALBA加盟国軍人に反帝国主義教義を植え付けるための教育が目的で、当時のウーゴ・チャベスVEN大統領が創設を決めた。だが機能していない。

 両首脳はまた、ブラジルのヂウマ・ルセフ大統領が「ブラジルにクーデターの陰謀がうごめいている」と警鐘を鳴らしたのを受けて、ルセフ大統領に支持と連帯を表明した。

チリ大統領が新憲法制定手順を発表

 チレのミチェル・バチェレー大統領は10月13日、現行憲法はピノチェー軍事独裁下で制定されたもので現代と民主にそぐわないばかりか、少数者が押しつけたもので正統性がないと前置きし、懸案の新憲法制定手順を発表した。

 第1段階は「新憲法計画」で、近日中に発足する作業機関が同計画を策定し、来年3月まで市民に情宣教育する。次いで、居住地域(市、共同体など)、地方、州の各段階順に新憲法に盛り込む条項を話し合い、その結果は2016年10月、大統領に提出される。

 この過程を、「市民オブザーバー理事会」(CCO)が監視する。大統領に提出された市民提案は、新憲法起草の基になる。
 
 16年末から国会で改憲法案を審議し、上下両院はそれぞれ議席の5分の3の多数をもって可決できる。可決されれば、第2段階の新憲法起草作業に入る。

 新憲法草案は、①国会両院合同委員会②両院・市民合同制憲会議③制憲議会④以上の3通りから国民投票で選択された一つ-のいずれかが起草する。

 草案は国会で17年から審議される。同年の国会議員選挙の結果発足する新国会が新憲法草案を可決すれば、国民投票で承認の是非を問うことになる。

 バチェレー大統領の任期は17年3月で切れるため、新憲法は次期政権下で制定されることになる。
  

グアテマラ山崩れ不明者の捜索打ち切り

 グアテマラ政府は10月13日、首都グアテマラ市郊外のサンタカタリーナ・ピヌーラ市エル・カンブライⅡ地区で1日発生した山崩れでの行方不明者の捜索活動を打ち切った。

 これまで土砂の下から38人が救出され、280人の遺体が収容されたが、依然約70人の所在が分からないままだ。

 政府は捜索活動打ち切りに合わせ、住宅建設、住民の臨時就職などの活動を開始した。

ペルー次期大統領最有力候補は依然ケイコ・フジモリ

 ペルー次期大統領選挙(来年4月実施)の支持率調査結果が10月13日発表され、ケイコ・フジモリ元国会議員が32%で、従来通り首位の座を守った。

 2位は、ケイコとともに決選投票に進出すると予測されているペドロ=パブロ・クチンスキ元経済相で、15%。3位はアラン・ガルシア前大統領7%、4位はアレハンドロ・トレード元大統領5%だった。他の6候補は計13%。浮動票は28%前後。
 
 首位を維持するケイコに対しては各勢力からの攻撃が激化しており、政治的には右翼のノーベル賞作家マリオ・バルガス=ジョサ(MVLL)はクチンスキ支持を喧伝している。

 MVLLは2011年の前回選挙で決選に進出したオヤンタ・ウマーラ(現大統領)とケイコについて「癌かエイズかの選択だ」と品性を疑われる発言をして物議をかもしながらウマーラを支持した。1990年選挙でケイコの父親アルベルト・フジモリに敗れた屈辱感から依然抜け出せないでいる、と見られている。
 

米9州知事が議会に対キューバ経済封鎖解除を要請

 クーバ共産党機関紙グランマは10月13日、米9州知事が9日、米議会に対玖経済封鎖を解除し対玖貿易を自由化すべきだとする意見書を提出した、と報じた。

 9州はヴァージニア、ワシントン、ペンシルヴァニア、モンターナ、ミネソタ、アイダホ、アラバマ、カリフォルニア、ヴァーモントで、いずれも農業が盛ん。

 一方、米議会の民主、共和両党議員4人がハバナで12、13日、クーバ外務省高官と会談した。

ブラジル最高裁が大統領弾劾裁判申請を不可とする

 ブラジル最高裁は10月13日、大統領弾劾裁判開始には下院定数の5分の3の賛成による発議が不可欠だとして、この条件を満たさない野党議員らによる一連の弾劾裁判申請を不可とした。

 一方、下院のエドゥアルド・クーニャ議長も同日、野党議員らから出されていた申請のうち審査済みの5件を却下した。これで却下された同様の申請は11件となった。だが依然、3通りの弾劾裁判申請が残っている。

 ヂウマ・ルセフ大統領は、財政均衡化のための赤字削減操作や、昨年の大統領選挙時の選挙資金の出所をめぐって疑惑がもたれている。これで勢いづいた野党は、相次いで弾劾裁判を求めて動き出した。

 この日サンパウロで開かれた労連会合でルセフは、「野党はクーデター(弾劾)で政権を奪取しようと画策している」と糾弾した。ルセフの指南役であるルーラ前大統領も同じ会合で、野党は選挙での敗北に従うべきだと述べ、ルーラ、ルセフ2代連続4期続く労働者党(PT)政権を選挙で倒せない野党勢力を批判した。

 ラ米では、新自由主義派財界、保守・右翼勢力、マスメディアなどが国境を越えて連携し、選挙で選ばれた改革政権や進歩主義政権を打倒しようと狙う陰謀が渦巻いている。その中心はマイアミにあり、日本の一部<ネット右翼>とも繋がっている。

 セラヤ・オンドゥーラス政権、ルーゴ・パラグアイ政権が倒され、ボリビア、エクアドール、ベネスエラ、そしてブラジルの合法政権が揺さぶりをかけられてきた。

2015年10月13日火曜日

チリ先住民族マプーチェが土地回復求め抗議行進

 クリストーバル・コロン(コロンブス)がカリブ海に到着した523周年記念日の10月12日、チレの首都サンティアゴで、先住民族マプーチェ1万5000人が抗議行進し、植民地状態打破を訴えた。

 マプーチェは人口1700万人のチレに70万人いる少数民族だが、スペイン人入植前はチレ中南部を統治していた。国境線で分断された隣国アルヘンティーナにも住む。

 この日、行進は大統領政庁前まで進んだ。マプーチェの指導者たちは、奪われた土地の回復、民族自決権確立、マプーチェが多く住むラ・アラウカニーア地方の軍事化終焉を訴えた。

 指導者らは、政府は今も土地を奪い続け、大森林業者に味方し、マプーチェの正当な闘争を弾圧し断罪している、と非難した。また、地域の軍事化はピノチェー軍事独裁期の政策であり、それがまだ続いている、と糾弾した。

 この抗議行進の目的については、民族の政治囚と死者たちのために闘い続ける意志と、その闘争が存在し継続されていることをチレと国際社会に示すため、と述べた。マプーチェ政治囚は少なくとも16人いるとされる。

 この日、ラ米各地で行事が催されたが、最も保守的な行事はドミニカ共和国首都サントドミンゴのコロン廟で催された「米州発見とイスパニダー(スペイン性)の日」の式典。

 だが「人種の日」(混血が始まった日)と捉えるものや、「民族出会いの日」とするものが少なくない。ハバナ放送は「米州先住民7000万人の虐殺が始まった日」と報じた。このように「侵略開始の日」と解釈するものも拡がりつつある。
 

国連ミレニアム目標達成へキューバとベネズエラが15年計画策定

 ボリビアで開催された国際気候変動人民会議最終日の10月12日、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領が演説、このほどハバナでラウール・カストロ国家評議会議長と6時間会談し、国連ミレニアム目標達成のため「2015~30年クーバ・ベネスエラ特別計画」を策定した、と発表した。

 大統領は、その成果は、米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)にもたらされると述べた。ハバナではフィデル・カストロ前議長とも会談したが、フィデルはすこぶる気だった、と披露した。

 今会議には42カ国から環境問題専門家ら7600人の代表が参加。ボリビアはチレに要求している「太平洋岸領土回復」の主張を強調した。アルヘンティーナは、「主権に基づく対外債務返済再編」を訴えた。「世界人民銀行」創設案も出された。

 会議には、エクアドールのラファエル・コレア大統領、クーバのブルーノ・ロドリゲス外相、ボゴタ市長グスタボ・ペトロ、亜国人ノーベル平和賞受賞者で人権活動家のアドルフォ・ペレス=エスキベルらも出席した。開会段階では、バン・ギムン国連事務総長、ローラン・ファビウス仏外相も出席した。

ボリビア気候会議がパリCOP21への提言を採択

 ボリビア・コチャバンバ市郊外のティキパヤで10月10日から開かれていた第2回国際気候変動・生命生活人民会議は12日、最終宣言を採択して閉会した。この「ティキパヤ宣言」は12項目からなり、11月末からパリで開かれる国連気候首脳会議(COP21)に提案される。

 宣言内容は以下の通り。

1、生命生活に反する資本主義的利益に反対する行動:「母なる大地」(MT)を害する他国籍企業追放、「ビビール・ビエン(善く生きる)」(VB)主義を資本主義の代替思想とする

2、諸帝国の醸す戦争・地政学的脅威に反対する行動:植民地主義に依然苦しむ人民への支援、人民の水利権の保障

3、「善く生きる」(VB)主義強化:人類の地平線として強化すること、「母なる大地」(MT)の権利強化

4、MT権利の国際的承認:MTのために闘う国際的綱領策定、国連決議による「世界MT権利宣言」実現

5、気候変動に関する実践的・技術的知識化強化:人民教育強化、「大なる祖国多民族大学」創設

6、我々の共有資産防衛のための行動:「環境・気候・生命生活司法裁判所」設立、環境汚染防止強化

7、生命生活のための「気候科学」創設:資本主義でなく人類とMTに寄与する科学、そのためのマスメディアでの情宣

8、「国際気候・MT司法裁判所」開設の促進:国際決定事項を守らない国を裁く、VBの見地からMTとの調和ある在り方のため

9、自然の商業化反対強化:天然資源防衛・保護、気候変動に伴う商業化反対

10、資本主義・気候・社会・環境の各債務返済のための行動:先進工業諸国に要求する、気候債務の責任を認めるよう要求

11、宗教間対話によるMT救済:倫理道徳強化、「MTの日」記念行事を世界中で催すこと

12、パリCOP21首脳会議に向けての提言:資本主義モデルを強化するものであってはならない、拘束力なく民間部門や新自由主義に利するものであってはならない ☆気温上昇は2度でなく1・5未満に抑えること

2015年10月12日月曜日

メキシコ政府が学生失踪など「イグアラ事件」の捜査資料公開

 メヒコ検察庁は10月11日、ゲレロ州イグアラ市で昨年9月26~27日起きた教諭養成学校生43人強制失踪および6人殺害など「イグアラ事件」の捜査資料をインターネットで公開した。

 5万4000枚の大部で、85巻、13付属文書に分かれている。この事件は、陸軍駐屯部隊、州・市警察、州・市政府、麻薬組織などの関与があったり疑われたりし、1年以上たっても未解明のため、政府は内外から厳しく批判されてきた。

 捜査資料は事件に関する政府の判断を打ち出したものだが、政府は世論の圧力を受けて、厖大な資料の公開に踏み切らざるを得なかったと言える。

 だが犠牲者家族や人権団体は、これまで政府判断に異議を唱えてきており、資料公開で納得するとは考えられない。 

ハバナ市内にエバ・ペロン像が登場

 クーバを10月7日から訪問していたエクトル・ティメルマン亜国外相は最終日の9日、ハバナ市内ベダード地区にあるビジャローン公園で、エバ・ペロンの胸像の除幕式を挙行した。

 外相は、「亜国をこよなく愛するクーバで像ができて幸せなことだろう」と述べ、「エバは<必要のあるところに権利がある>と言った。1944年に政界に現れ52年に死ぬまで短い期間に、貧しい人々のために闘う時代の先駆者として国際的に評価された彼女の人生は嵐のようだった」と指摘した。

 フアン=ドミンゴ・ペロン大統領の夫人だったエバは52年7月26日、33歳の若さで癌で死去した。その日、亜国人医学生エルネスト・ゲバラは南米旅行を終えてカラカスからマイアミに着いた。その1年後のこの日、フィデル・カストロらがサンティアゴ市の陸軍モンカーダ兵営を襲撃し、革命の狼煙を上げた。

 エルネストは55年7月、メキシコ市でフィデルと邂逅し、チェ・ゲバラとして56年12月、グランマ号でクーバ島東部に上陸し、革命戦争に従軍医師として参戦した。チェはその後、ボリビアで革命戦争を率い、39歳で人生を終える。

 エバとチェは、疾風の如く通り過ぎた亜国人として、ラ米でしばしば並べられ比較される。エバ像除幕式はまさに、チェの歿後48周年記念日に挙行された。

2015年10月11日日曜日

ボリビア大統領が「資本主義は大地を破壊する癌」と糾弾

 ボリビアのコチャバンバ州ティキパヤ市で10月10日、第2回世界気候変動・生命生活防衛人民会議が開かれた。エボ・モラレス大統領は開会演説で、資本主義を厳しく批判した。

 大統領は、「資本主義にとって気候危機は二酸化炭素を取引する市場にすぎない。それは巨額の資金を動かすが効果はなく、地球を痛めつけるばかりだ」と前置きし、「資本主義は、パチャ・ママ(母なる大地)を徐々に破壊する癌だ」と扱き下ろした。

 モラレスはまた、「先進工業諸国は南の国々に二酸化炭素排出を抑え込むよう求めているが、我々南は決して資本制のための森林保護官にはならない」と述べた。

 この会議は12日まで続き、その決議は、11月30日~12月11日パリで開かれる世界気候変動首脳会議に提出される。

 パン・ギムン国連事務総長は10日現地入りした。ベネスエラ、エクアドール両国大統領、クーバ、フランス両国外相らの出席が予定されている。
 

コロンビアゲリラFARCが要員補充打ち切りを検討

 ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)のティモチェンコ最高司令は10月10日、新たなゲリラ要員補充を打ち切ることを検討中、と表明した。FARCは9月23日ハバナで、コロンビア政府と「来年3月までに和平を実現する」という歴史的合意書に調印している。

 同司令はハバナ合意後、FARC全要員に対し、和平後の政治参加に備え、武闘でなく政治の勉強をするよう命じた。これに続く要員補充打ち切り検討であり、FARCが和平に向かって具体的に動き始めたことを示すものと受け止められている。

 ティモチェンコは今年2月、17歳以下のゲリラ要員はもはや隊列に加えないと発表している。

 ハバナでの和平交渉は8日、42回目の交渉が終了、小休止に入っている。ボゴタでは17日、ハナバ合意で決まった「和平特別法制」の効力の解釈が政府とFARCで異なる点を調整する法律家会合が開かれる。

ハバナでキューバ議長とベネズエラ大統領が会談

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は10月9日ハバナで、来訪したベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領と会談した。クーバのブルーノ・ロドリゲス外相が同席した。両国関係および国際情勢について話し合われた。

 マドゥーロ大統領は、フィデル・カストロ前議長とも会談した。

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2015年10月10日土曜日

ブラジル大統領が「パラグアイ型の国会クーデター」を警戒

 ブラジルのヂウマ・ルセフ大統領は10月8日、新たに就任した閣僚たちとの会合で「野党はパラグアイ型のクーデターを狙っている。ブラジルは制度がしっかりしており、パラグアイとは違う」と述べた-そう報じられた。

 パラグアイの進歩主義の大統領フェルナンド・ルーゴは2012年6月、国会で多数派だった守旧派と右翼の議員らの陰謀で弾劾され、追放された。この「国会クーデター」を念頭に置いた発言だった。

 ブラジル国会には、ルセフ弾劾を推進する動きが進行し、激しい鬩ぎ合いが続いている。大規模な汚職事件を契機に表面化したさまざまな要因から、ルセフを追い落とし権力を奪回したいと目論む新自由主義勢力の声が大きくなっているのだ。

 だがパラグアイ政府はルセフ発言に怒った。エラディオ・ロイサガ外相はブラジル大使を外務省に呼び、「驚きと不快感」を表明、ルセフ発言の説明を求めた。ブラジリアでもパラグアイ大使が伯外務省に説明を求めた。

 当のルセフは9日コロンビアを初訪問し、JMサントス大統領と会談、共有する1645kmの国境一帯のアマゾニア(アマゾン川流域)での先住民保護、生物多様性について話し合い、投資、農業開発、小規模農家支援を含め協力協定と合意を結んだ。

 ルセフはサントスに、コロンビア内戦が終結に向かい始めた9月23日のハバナ合意を讃え、和平への支援を確認した。

冴木杏奈の歌を4半世紀ぶりに聴く

 東京・大手町の日経ホールで10月9日、冴木杏奈の歌を聴いた。ハバナで9月23日合意された「半年後のコロンビア和平達成」について長い記事を書き、その編集作業を終えたところに突然、招待が舞い込んだのだ。頭の疲れを休めるのに音楽は良い。

 彼女は美貌と声量が売り物の歌手で、「デビューし28年経った」と言った。4半世紀前のことだが、歌手になって間もないころ、彼女はピアニストの故羽田健太郎やタイム・ファイブとともにテレビの音楽番組出ていた。この番組や他の番組で、「愚かなりし我が心」、「小雨降る路」など、ゆっくりした歌をよく歌っていた。とてもよかった。以来初めて、そして生で初めて彼女の歌を聴いた。

 テレビで観ていた若いころの面影はない。別の型の美貌を築いている。亜国から来たキンテート(5人組)の演奏で歌い、かつ語る2時間の舞台は、まるで宝塚スターと追っかけファン集団の掛け合いの場のようだった。言わば「身内のショー」なのだ。歌を味わいたい一見の客は閉口する。

 私は、25年前のあの声の名残を探し、ところどころで確認した。そしてフアン集団の居ない場所で、「歌手個人」としての彼女の歌を聴いてみたいと思った。「山あり谷ありでした」と彼女は言った。その味が出るのはサロンで歌う時だろう。

 タンゴも数曲歌ったが、歌詞はほとんどが日本語だった。スペイン語で歌うと、どのような感じになるのか、これも聴いてみたい。ブエノスアイレスで故メルセデス・ソサから「アニータ」と呼ばれて可愛がられたと言った。私もインタビュー取材で訪れたソサの自宅や劇場を、彼女も訪れたに違いない。そして共演したのだろう。

 歌の合間に、実はノーベル平和賞の受賞者が誰になるのか、気になっていた。それが「憲法9条」でなかったことを後で知った。

2015年10月9日金曜日

ピノチェーは元外相暗殺を命じ、暗殺実行指揮者殺害も検討

 チリ社会党のフアン=パブロ・レテリエル上院議員は10月8日、父オルランド・レテリエル元外相の暗殺を命じたのは独裁者アウグスト・ピノチェー(故人)だった、と述べた。

 同上院議員は5日、この事件の真相をめぐる米政府極秘解禁文書を、チレ訪問中のジョン・ケリー米国務長官から渡されていた。

 上院議員はまた、ピノチェーは自身の関与を隠すため、暗殺の指揮を執った当時の国家情報局(DINA)長官マヌエル・コントレラスの殺害を検討していた、と指摘した。

 ピノチェーが1973年9月の軍事クーデターで倒したアジェンデ社会主義政権の外相だったオルランド・レテリエルは1976年9月ワシントンで、秘書の米国人女性ロニー・モフィットとともに自動車内で爆殺された。

 73年当時のニクソン米政権は、アジェンデ政権打倒を支援した。ニクソン大統領を補佐していたのはヘンリー・キッシンジャー(大統領補佐官-国務長官)だった。

2015年10月8日木曜日

アルゼンチン陸軍初の女性の将軍が誕生

 アルヘンティーナ陸軍史上初の女性の将軍が誕生する。クリスティーナ・フェルナンデス大統領が国会に9月、この人事法案を提出、国会は10月7日、この人事を承認した。

 将軍に昇進するのは、2007年から大統領付き陸軍武官を務めてきたマリーア=イサベル・パンサ大佐(54)。1982年、対英マルビーナス(フォークランド)戦争のさなか、陸軍女性部隊に入隊した。

 その後33年の勤務過程で2つの大学に学び、異なる2つの学位を取得、将軍への昇進資格を得ていた。 

2015年10月7日水曜日

米商務長官がクーバを訪問

 ペニー・プリツカー米商務長官は10月6日クーバを訪問し、ハバナ西方45kmのマリエル港地域に建設中のマリエル経済特区(ZEDM)を視察した。

 長官は7日にはハバナで、米財務、商務、国務3省当局者とクーバ側との会合に出席した。この会合は、オバーマ政権が今年実施した対玖経済封鎖緩和策の実効など影響を検証するため開かれた。

 プリツカーはまた、クーバのロドリゴ・マルミエルカ貿易・外資相、ブルーノ・ロドリゲス外相、リカルド・カブリーサス副首相と会談した。

 玖米国交再開後、訪玖した米閣僚は、8月のジョン・ケリー国務長官に次いで2人目。
 

ベネズエラがガイアナ・エセキーボ問題めぐり米国に抗議

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は10月6日、同国とガイアナが領有権問題を抱えているガイアナ西部のエセキーボ地方をめぐり米国がガイアナに肩入れする立場をとったとして、2国間問題への干渉だとして米政府に抗議したことを明らかにした。

 ガイアナのデイヴィド・グランジャー大統領は2日、新しい米国大使ペリー・ハロウェイから信任状を受け取ったが、その際、同大使にガイアナの平和を守るため米国の影響力を行使してほしい、と要請した。

 ハロウェイ大使はこれを受けて、治安に必要な機材などを提供する約束を再確認した、と伝えられる。ベネスエラは、これを「軍事支援の可能性がある」と受け止めている。

2015年10月6日火曜日

キューバ民主化より経済封鎖解除が先、とケリー長官発言

 ジョン・ケリー米国務長官は10月4日、チレの首都サンティアゴ入りし、国営TVによる会見で、「クーバの民主化実現より先に、米国による対玖経済封鎖が解除される」との見通しを示した。

 長官は、「個人的には経済封鎖解除に賛成だ。解除がクーバ人民を助けることに繋がるからだ」と述べた。また、「クーバ民主化には時間がかかるが、進展しつつある」と指摘した。

 オバーマ米政権は、対玖国交再開の最大の狙いが「平和裡の社会主義体制転換」にあることを明確にしてきた。クーバは、それと知りながらも、社会主義体制延命と強化のため、対米復交に踏み切った。

 ケリーは、ベネスエラについても発言、「民主主義に問題がある」と批判した。

 これを受けて同国のデルシー・ロドリゲス外相は5日、ケリー発言をはねつけ、「米国には大統領を選挙民が直接選ぶ制度がない。他国の民主制度を批判するなど道徳的見地からおこがましい」と述べた。

 ケリー長官は、太平洋岸のビニャデルマル市で5日開会した第2回「われらの海洋」会議出席のためチレを訪れた。長官は同日、ミチェル・バチェレー智大統領と会談し、1976年9月ワシントンで爆殺されたオルランド・レテリエル元チレ外相の事件に関する約1000種類の極秘解除文書のメモリーを渡した。

 同メモリーは次いで、元外書の息子フアン=パブロ・レテリエル上院議員に渡された。内容は8日、智米両国で同時公開される。ピノチェー軍政期の国家情報局(DINA)の犯行として知られている。
 

グアテマラ税関汚職事件の鍵握る人物が法廷証言

 大規模なグアテマラ税関汚職事件解明の鍵を握る人物が10月5日出頭、首都グアテマラ市の予審法廷で証言した。ロクサーナ・バルデッティ被告(元副大統領)の秘書だったフアン=カルロス・モンソン(47)で、逃亡していた。

 モンソンは、「オットー・ペレス=モリーナ被告(前大統領)とバルデッティ被告の2人がすべてを決めていた。前大統領は、収賄した人々から、その金額の半分を受け取っていた」と述べた。

 「身の安全が保障された今、証言する」とモンソンは口にしており、司法取引があったと見られている。税関絡みの贈収賄網を動かしていたモンソンは、4月の事件発覚後、暗殺される危険を察知して身を隠していたようだ。

 モンソンは、税関汚職事件に関わる金額は、伝えられてきたような370万ドルでなく19億4800万ドルに上る、と暴露した。

2015年10月5日月曜日

アルゼンチンで史上初の大統領候補公開討論会実施

 アルヘンティーナ大統領選挙は10月25日実施されるが、4日、主要6候補のうち5候補による公開討論会が催された。討論会は亜国大統領選挙史上初めて。だが「本命」のダニエル・シオーリ候補(ブエノスアイレス州知事)は欠席した。

 出席した5候補は次の通り。マウリシオ・マクリ:「共和国綱領」(PRO)党首。選挙運動「変革しよう」候補。ブエノスアイレス市長。中道・中道右翼・保守。新自由主義経済政策支持。老舗政党・急進市民同盟(UCR)も同選挙運動に参加。

 セルヒオ・マッサ:クリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル現大統領の政権党・ペロン主義キルチネル派(キルチニズモ)から分派。「新代替連合」(UNA)候補。

 アドルフォロ・ドリゲス=サア:元暫定大統領。ペロン主義保守。「連邦公約」候補。
 マルガリータ・ストルビセル:「進歩主義者」候補。
 ニコラース・デルカノ:「左翼・労働者戦線」候補。

 「キルチニズモ」のシオーリは、この日、支持者食事会を開き、公開討論会への懐疑的立場を表明した。

 選挙での当選条件は、得票率45%以上、もしくは得票率40%で2位得票者に10ポイント差をつけること。これを満たす候補がいない場合は、11月22日実施の決選に得票上位2候補が進出する。 

 

ビオレタ・パラ博物館がサンティアゴ市内に開館

 チレのカンタウトーラ(シンガー・ソングライター)ビオレタ・パラ(1917~67)の人生や業績を展示する「ビオレタ・パラ博物館」が10月4日、首都サンティアゴ市内のビクーニャ・マケナ大通り37番地に開館した。

 開所式には、パラの娘イサベル、息子アンヘル、ミチェル・バチェレー大統領、エルネスト・オトーネ文化相、カロリーナ・トア首都市長、セシラ・ガルシアウイドブロVP博物館財団理事長らが出席した。

 パラは、「人生よ、ありがとう」、「何という胸の痛みだろうか」など数々の作品で知られる。博物館は月曜休館、火~日曜0930~1800開館。 

マドゥーロ・ベネズエラ大統領が米外交官らを非難

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は10月4日、国会議員選挙に向けて「ボリーバル-チャベス」選対本部の開所式を挙行、12月6日実施の選挙はボリバリアーナ革命体制が直面する最も難しい選挙になるだろうが勝利する、と述べた。

 選対本部は、政権党・ベネスエラ統一社会党(PSUV=ペスーブ)と連立諸党が構成する「大愛国軸」(GPP=ヘペペ)の選挙拠点。

 大統領は開所式で、米政府に向け「ベネスエラはクーバが得たような相互尊敬、平等、主権に立った対米関係構築を望む」と述べ、関係改善への合図を送った。

  だが大統領は、ベネスエラが任命した駐米大使を米政府が依然承認していないことに触れ、バラク・オバーマ大統領は関係改善を口にしながら、なぜ大使承認がこれほど遅れているのか、と強い不満と疑念を表した。

 マドゥーロはさらに、6月に交代したカラカスの米大使館駐在外交官らは前任者らに増して悪く、その陰謀ぶりは常軌を逸している、と非難した。大統領は6月、米政府特使トーマス・シャノンに「陰謀」事実を伝えたが、その結果、悪い外交官らを派遣してきた、と指摘した。

 大統領はまた、新任の外交官たちは米南方軍で訓練を受けており、米大使館員らがチャベス前政権に対し2003~05年に使っていた陰謀網を復活させている、と暴露した。


2015年10月4日日曜日

グアテマラ大統領選挙決選はジミー・モラレスに圧勝の勢い

 グアテマラ大統領選挙(9月6日実施)の決選投票は10月25日実施され、右翼・保守の国民結集戦線(FCN)候補ジミー・モラレス(46、喜劇俳優)と、中道・中道左翼の希望国民連合(UNE)候補サンドラ・トーレス(59、元大統領夫人)が進出しているが、世論調査によると、モラレスが圧勝する勢いを示している。

 9月下旬実施の調査の結果が10月2日公表され、モラレス64%、トーレス20・6%、未定(浮動票)15・4%だった。仮に浮動票全部がトーレスに投じられたとしても、モラレスの優位は動かない。

 一方、首都グアテマラ市南方15kmのサンタカタリーナ・ピヌーラ市カンブライ・ドス地区で1日発生した山崩れによる犠牲者は4日現在86人に達した。約350人が土砂に埋まったままになっている。救出されたのは34人だけだ。

 同地区は山間の谷にあり、豪雨により山の斜面の地盤が緩み、崩れ落ちた。政府当局は以前から、居住に適さない危険地域に指定していたという。

コロンビア軍がゲリラEPL残党司令ナバーロを倒す

 コロンビア政府は10月2日、同国のゲリラ組織「解放人民軍」(EPL)の最高司令ビクトル=ラモーン・ナバーロ(39)を1日の戦闘で殺害した、と発表した。ナバーロは、「メガテオ」の渾名で知られていた。

 政府軍は、ベネスエラとの北部国境沿いのノルテ・デ・サンタンデル州カタトゥンボ地方の山岳地帯でEPLを爆撃、用心棒役のゲリラ幹部4人とともにナバーロを倒した。

 ナバーロは軍資金をコロンビア産コカインの密輸に頼り、それをベネスエラ経由で欧米に送って巨額の資金を稼いでいた。米政府はナバーロに懸賞金500万ドル、コロンビア政府は2000万ペソ(約67万ドル)をそれぞれかけていた。

 EPLは東西冷戦期には毛沢東路線のゲリラ組織だったが、1991年に政府との和平合意により解体、社会復帰した。だが、これに従わない分派が武闘を継続。ナバーロは100人程度に減った残党を率いていた。 

2015年10月3日土曜日

キューバ共産党が結党半世紀を迎える

 クーバ共産党(PCC)は10月3日、結党50周年を迎えた。その記念行事が2日、ホセ=ラモーン・マチャード第2書記(国家評議会副議長)によって執り行われた。ミゲル・ディアスカネル政治局員(同第1副議長)、ラミーロ・バルデス政治局員(同副議長、革命司令官)、ギジェルモ・ガルシア中央委員(革命司令官)ら、党と政府の幹部が出席した。

  マチャードは、「革命の英雄的業績はすべて中央委員会に集積されている」とのフィデル・カストロ前第1書記の祝辞を読み上げた。

 1959年元日の革命戦争勝利後、権力闘争を経て、フィデルの率いる「7月26日運動」(M-26-7)、人民社会党(PSP=旧共産党)、革命幹部会(DR、ハバナ大学生らの組織)は1961年7月26日、新しい共産党結成に向けて「革命統一機構」(0RI)を組織。ORIは63年2月、「社会主義革命統一党」(PURS)に再組織された。

 PURS内部では、M-26-7系とPSP系がさらなる権力闘争を展開、最終的に65年10月3日、フィデルが中央委員会名簿を発表、新生共産党が成った。フィデルが第1書記、実弟ラウールが第2書記(現・第1書記)に就任した。

 この名簿発表の際、フィデルは「ここにいるべき人物がいない」として、チェ・ゲバラの不在に触れ、チェがその年4月1日フィデルに渡した「別れの手紙」を読み上げた。チェはクーバを去り、ルムンバ派ゲリラを支援するためコンゴで戦っていた。

 フィデルは手紙の末尾を改竄し、「アスタ・ラ・ビクトリア、シエンプレ」(勝利まで、必ず)という「チェの革命標語」を仕立てた。[伊高浩昭著『チェ・ゲバラ 旅、キューバ革命、ボリビア』(中公新書2015年)参照]

 PCC中央委員会発足と同時に、M-26-7機関紙レボルシオンとPSP機関紙オイは統合されて、今日に続くPCC機関紙グランマとなった。「グランマ」は1956年末、フィデル、ラウール、チェら82人の青年が革命戦争開始のためメヒコを出航、クーバ島東部に乗り着けたクルーザーの名前だ。

 記念式典にラウール第1書記が出席しなかった理由は、来年4月の第7回党大会で退任が予想されるマチャード第2書記に花を持たせるためか、ラウールが国連総会訪問や相次ぐ来賓への対応などで疲労がたまっているためか、過去の「偉業」に拘泥しないラウールが対米関係深化過程にあるため敢えて共産党式典への出席を避けたのか、これらの「理由」が重なったためか、定かでない。

ブラジル大統領が閣僚を39人から31人に減らす

 ブラジルのヂウマ・ルセフ大統領は10月2日、これまで39人いた閣僚を31人に減らすなど省庁を統廃合し、政府経費削減のための改革を断行した。官房長官、国防相などは交代した。

 併せて次官級30職位を廃止。合計3000幹部職位を減らした。閣僚の月給も10%削減。今回の措置で、政府経費は20%減ることになった。統廃合で、「女性・人種平等・人権省」が創設された。

 ブラジル経済は、中国経済の減速などにより勢いが止まり景気は低迷。財政赤字に苦しみ、大規模な汚職事件と相俟って、選挙民のルセフ支持は急速に落ちている。

 ルセフは、前任者で後見役のルーラの意見に沿って今回の人事を決行した。政権党PT(労働者党)の閣僚は減り、連立する保守政党・ブラジル民主運動党(PMDB)の閣僚が増えた。

 大統領は一方で、庶民用住宅建設、保健拡充などで成果を挙げてきたことを強調した。 

2015年10月2日金曜日

ウルグアイで来年から大麻を薬局で販売へ

 ウルグアイ政府は10月1日、来年5月にも大麻を国内の薬局で販売する、と発表した。国内の2社が生産認可を受けた。

 この国ではホセ・ムヒーカ前大統領の政権が個人消費用の大麻栽培を合法化した。これを発展させたのが、タバレー・バスケス大統領の現政権の決定だ。

 2社は年間、それぞれ2トンまで大麻を生産することができる。ウルグアイの闇市場では、大麻1g=1米ドルで売られている。

ペルー次期大統領候補ケイコ・フジモリが父親と距離置く

 ペルーの次期大統領最有力候補ケイコ・フジモリ(人民勢力党首)は9月30日、ハーヴァード大学ラ米研究所で講演、質疑応答で、父アルベルト・フジモリ元大統領政権期の人道犯罪を調査した「真実・和解委員会」(CVR)の活動について「国にとって有益だった」と初めて評価した。

 CVRは、フジモリ政権による1992年4月5日のお手盛りクーデターで法治国家が崩壊したと捉え、諜報機関や軍・警察を動員しての暗殺など国家テロリズムを糾弾した。

 従来、CVRに批判的だったケイコが態度を一変させたのは来年4月の大統領選挙と、これに続く上位2候補による決選投票を突破するための選挙戦略と受け止められているが、ペルー国内では物議を醸している。

 ケイコは前回2011年の選挙では決選に進出しながら、父親との繋がりを攻撃され落選した。このため今回、早い機会に父親から身を切り離しておくのが得策と判断したものと見られている。

 ケイコはまた、強制不妊手術反対、臨床的堕胎手術賛成、同性愛者結婚容認などを表明、大統領再選制度については民主制度を弱めてきたと指摘した。これは連続3選の父親だけでなく、既に2期務め来年の選挙で3期目を狙うアラン・ガルシア前大統領、同じく2期目を目指すアレハンドロ・トレード元大統領を批判したものだ。[連続再選制度はフジモリ政権崩壊後に廃棄され、その後、連続でない再選が認められている。]

 ケイコ同性愛結婚容認発言を受けて10月1日、フリオ・ロサス議員は人民勢力を離党した。

政権交代の懸かるスペイン総選挙は12月20日実施へ

 スペインのマリアーノ・ラホーイ首相は10月1日、総選挙を12月20日実施する、と明らかにした。政権党PP(国民党、右翼・保守)は今年の地方選挙で後退、総選挙で政権が交代する可能性も指摘されている。

 それというのも、フランコ独裁後の民主時代に政権を担ってきたエスパーニャ労働社会党(PSOE=ペソエ、中道・中道左翼)およびPPに次ぐ第3勢力として新興のポデモス(中道左翼・左翼)が同地方選で台頭。ポデモスとPSOEが連立すれば、国会で過半数を制することになりうるからだ。

 ラホーイは先月のカタルーニャ州議会選挙で独立派が過半数を握ったことにより、国内他州に動揺が拡がっていることや、同州選挙で独立派が得票率では48%未満だった事実を踏まえ、総選挙期日発表に踏み切った。

ベネズエラ経済は原油価格低迷で昨年、4%縮小

 ベネスエラ政府は10月1日、同国経済が昨年4%縮小した、と明らかにした。国際原油価格の低迷で前年比210億ドルの減収となったことや、超インフレが響いた。

 外交面では1日、ベネスエラは米州諸国機構(OEA)の輪番制議長国になった。12月末まで3カ月務める。デルシー・ロドリゲス外相は、OEAを米州人民のためになるよう改革すべき好機だ、と述べた。

 外相は、帝国主義(米国)は覇権主義的利益のために人権問題を二重基準で政治的に利用してきたが、この悪しき習慣を打破すべき時だ、と強調した。

 一方、国境の治安問題を話し合うため、コロンビア・カリブ海岸のサンタマルタ市で2日、同国とベネスエラの国防相会談が開かれることになった。これは、9月キトで開かれた両国首脳会談で合意されていた。

2015年10月1日木曜日

国連記録官がチリ警察の過剰警備を止めさせるよう要請

 各国の集会・結社の自由について調査している国連特別記録官マイナ・キアイ(ケニア人)はチレでの調査を終えた9月30日サンティアゴで記者会見し、チレ政府に対し、ピノチェー軍事独裁政権の遺制をなくすよう要請したことを明らかにした。

 キアイ記録官は来年6月、ジュネーブの国連人権理事会で今回のチレ調査の結果を報告するが、30日、報告内容の概要をミチェル・バチェレー大統領に伝えた。

 記録官は記者会見で、治安警備隊(カラビネロス)は労働者、学生、先住民族マプーチェらの抗議行動に対し「過剰な実力行使と粗暴な弾圧」をしていると指摘、これを止めるよう訴えた。

 チレ北部のエル・サルバドール銅山で7月、鉱夫ネルソン・キチジャオがカラビネロスに撃たれて死亡する事件が起きた。現場を訪れ調査した記録官は、これを弾圧の実例として挙げた。

 抗議行動では一部勢力が暴力行為に出、これをカラビネロスが弾圧するが、一般市民は、この種の弾圧を我慢し黙認する。こうした事態について記録官は、「不適切だ。なぜなら市民が抗議行動に敵意を抱くことになりうるからだ」と批判した。

 記録官はさらに、軍政期1983年の政令でカラビネロスに無許可デモを規制する任務が与えられたことに関し、カラビネロスが市民の抗議行動の許可・不許可を恣意的に決める自由裁量権を握っているため、それが事実上、法制化されているような状態になる危険性を秘めている、と懸念を表明。同政令の廃止を求めた。

 記録官は調査過程で、カラビネロスのブルーノ・ビジャロボス長官とも会談した。カラビネロスは内務省管轄下にあるが、軍政期には国防省に編入され、陸海空軍と共に「4軍」とされ、ピノチェー独裁を支えた。
 

 

ウルグアイにパレスティーナ大使館開館

 ウルグアイ首都モンテビデオのカラスコ地区に9月30日、パレスティーナ大使館が開館した。ワリド・アブデルラヒム大使は開館式で、「パレスティーナ独立国家実現の日が近づいている。この民族の夢を誰も壊せない」と述べた。

 来賓のホセ・ムヒーカ前大統領(現上院議員)は、「共生のためパレスティーナを承認した」と語った。