2015年3月30日月曜日

「伊達侍と世界をゆく」の催しのお知らせ

◎「伊達侍と世界をゆく」スライドとトークショーのお知らせ

 4月5日(日) 1600~1800

 ラ米文化サロン「カフェ・イ・リブロス」(CYL)=目黒駅近く=にて、会費1000円

 申し込み 電話03-6228-0234

 出演 工藤律子  篠田有史  伊高浩昭


  仙台藩主・伊達正宗が派遣した支倉常長使節団が400年前に辿った月の浦、アカプルコ、メヒコ市、ベラクルス、ハバナ、セビージャ、マドリー、バルセローナ、ローマ、帰途のマニラと往復の旅路を取材した工藤・篠田組が、興味深い写真を流しながら語り、伊高が質問します。

 花見の後にご参加ください。

ALBAが米州首脳会議でベネズエラ支援へ

 ベネスエラ外務省は3月29日、第7回米州首脳会議に臨むALBA(米州ボリバリアーナ同盟)の立場を公表した。

 先にカラカスで開かれたALBA臨時首脳会議で決まったもので、米政府の内政干渉に直面しているベネスエラ政府を支持し連帯することを謳っている。

 また2009年にALBAが署名した「クマナー宣言」を踏まえて、LAC(ラ米・カリブ)と北米(米国)との新しい関係を、政治体制を自由に選ぶ原則に立って構築することを、ALBAは米国に呼び掛ける。

 新しい関係構築に際し、ALBAは「LAC平和地域宣言」に基づき、米国に「非軍事」を求めていく。

 この米州首脳会議は4月10~11日パナマで開かれる。米州諸国機構(OEA)加盟34カ国と、非加盟のクーバの首脳が一堂に会す。

 ラウール・カストロ玖国家評議会議長は、開催国パナマに招かれ、初めて出席する。

 会議では、ラ米での覇権復活を狙うバラク・オバーマ米大統領、対米国交正常化を慎重に進めるラウール議長、米国から圧力を受けているベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領の言動が注目される。

ボリビア地方選挙で野党が健闘

 ボリビアで3月29日、統一地方選挙が実施された。9州知事、州会議員、339市長、市会議員を選出する。

 全体的には、エボ・モラレス大統領の政権党・社会主義運動(MAS)が優勢。

 だが野党勢はラパス州知事、政治首都ラパス市長、サンタクルス州知事、州都サンタクルス市長、エルアルト市長、コチャバンバ市長などを勝ち得た可能性があると伝えられる。

 大統領の地元のコチャバンバ州の知事はMASが維持したもよう。

2015年3月28日土曜日

メキシコの教員養成学校生43人失踪事件から半年

 メヒコ・ゲレロ州アヨツィナパの教員養成学校生43人が昨年9月、同州イグアラ市で強制失踪に陥れられてから3月26日で半年経った。当局は容疑者104人を逮捕したが、事件の真相は未解明で、責任者も処罰されていない。

 この日、全国各地で事件半年を記念する抗議行動が展開された。首都メヒコ市では、学生の家族、支援者ら1500人が学生たちの顔写真を掲げて中心街を行進した。

 デモ隊は「学生は生きている、闘争は続く」、「国家犯罪糾弾」などと書かれたプラカードを掲げ、政府に事件の全貌を一刻も早く解明するよう要求した。

 米州諸国機構(OEA)の米州人権委員会(CIDH)派遣団がメヒコ政府の事件解明作業に協力しているが、メヒコ検察庁は「麻薬組織の殺し屋が43人を殺し遺体を焼き川に捨てた」という結論を下している。CIDHは検察庁に捜査続行を勧告している。

 学生の家族らは、6月7日実施されるゲレロ州会議員選挙と州内での国会議員選挙が「ナルコポリティコ(麻薬に汚染された政治家)を選ぶことになる」として、選挙中止を求めてる。

 しかし事件から半年、熱く沸騰していた内外世論が覚めたのは否めず、家族や支援者は焦燥の色を隠せない。「時が経てば忘れられる」というのが、まさにエンリケ・ペニャ=ニエト大統領らの戦略だ。

 事件には、殺し屋だけでなく、イグアラ市長夫婦、イグアラ市警、イグアラ駐屯陸軍なども関与した。この点、特に陸軍関与の解明が遅れている。

2015年3月27日金曜日

欧州連合とキューバが農業投資で合意

 欧州連合(EU)外相位のフェデリカ・モゲリーニは3月26日、関係正常化のためのクーバ訪問を終えるに際し「有意義だった」と述べ、関係強化への展望を示した。

 EU・玖双方は、2020年までに玖農業部門に5000万ユーロを投入する事業をめぐる協定に調印した。

 モゲリーニは、EU・CELAC首脳会議が6月10~11日開かれると明らかにした。

 一方クーバ政府は26日、人権問題をめぐる米国との話し合いを31日開きたいと米側に提案した。政府は24~26日ハバナで、米国務省と玖米間の通信について協議している。

 この日明らかにされた英バークレイ銀行調査報告によると、クーバがベネスエラから供給されている原油は昨年9月以降、日量5万5000バレルに減っている。従来、「日量10万バレル」とされていた。

 ベネスエラが直面している経済危機の結果、クーバおよびカリブ石油連帯機構(ペトロカリーベ)への原油供給は半減した。 

ラヴロフ露外相が中米との関係強化を表明

 ラ米歴訪中のセルゲイ・ラヴロフ露外相は3月26日、最後の訪問国グアテマラで中米諸国外相と会合し、中米との関係を強化したいと述べ、中米統合機構(SICA)のブザーバー国になる意思を表明した。

 共同声明で中米側は、ロシアを中米経済統合銀行(BCIE)の域外加盟国になるよう要請した。

 ラヴロフは、ニカラグアにある露支援による対テロ・麻薬取引機能育成所を中米全諸国を対象とする機関に変えたいと表明した。

 露外相は24日からクーバ、コロンビア、ニカラグアを歴訪した。各訪問先で米国のベネスエラ介入政策を非難した。

 グアテマラでは、米欧が呼び掛けたウクライナをめぐる対露制裁に中米が加わらなかったことに謝意を表した。

CELACが米国とベネズエラに対話を求める

 ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC、加盟33カ国)は3月26日、バラク・オバーマ米大統領が9日発した「ベネスエラは米国の脅威であり、米国は国家非常事態を宣言する」との政令を糾弾し、取り消すよう要求した。

 CELAC(セラック)はまた、主権尊重、内政不干渉、民族自決、民主の原則に立ち対話するよう米国とベネスエラに要請した。

 さらに、ベネスエラ野党陣営に対しては、政府との間の異論を(暴力やクーデターの陰謀でなく)憲政の枠内で解決するよう求めた。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は同日、CELAC要請を受けて、対米対話の用意があると表明した。

2015年3月25日水曜日

某紙記事の史実認識に関し苦言を呈す

  某紙が3月25日、グアンタナモ米軍基地について特集記事を載せた。同基地ができた経緯について誤解を招く記述があるため、敢えて苦言を呈す。

 その記事には、「1898年の米西戦争で勝った米国がクーバ独立を助けた」という趣旨の記述がある。

 史実は、クーバが1895年開始した第2次独立戦争で、クーバがスペインに勝ちそうになりつつあった時、米国が介入し、独立戦争をクーバから奪い<米西戦争>に変質させた、ということだ。

 その結果、不本意な「独立」と引き換えにクーバは主権を大幅に制限され、事実上の属領と化し、グアンタナモを「租借」という形で奪われた。

 1959年の革命でクーバは主権を確立したが、グアンタナモは奪われたまま今日に至る。

 記者が本を読まなくなって久しい。一般論だが、不勉強ゆえの無知を「インヘヌオ」(ナイーヴ)という。記者たちには、勉強して、いい記事を書いてもらいたい。

ベネズエラ大統領が「臓器奪うため児童拉致」との偽情報を糾弾

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は3月24日、「移植のための臓器を奪う目的で児童拉致事件がベネスエラで起きている」との偽りの情報を広める悪意に満ちた運動が展開されている、と述べ、「これは汚い戦争だ」と糾弾した。

 大統領によると、このキャンペーンは、西の隣国コロンビアから繰り広げられている。マドゥーロはかねがね、コロンビアの右翼勢力が反ベネスエラの画策に関与している、と指摘してきた。

 チャベス前政権下でも、政府が児童の親権を奪っている、と偽りの情報が流されたことがある。狙いは、べネスエラを貶め、政情を不安定にするため。

 一方、ハバナで24日ラウール・カストロ議長と会談したセルゲイ・ラヴロフ露外相は、ベネスエラに対する米国の内政干渉や、ベネスエラで摘発されたゴルペ(クーデター)の陰謀を糾弾した。外相は同日、コロンビアを訪問した。

メヒコ政治家C・カルデナスが政治団体結成へ

 メヒコの政治家クアウテモク・カルデナスは3月24日、「進歩主義政治勢力」(FPP)を結成する、と発表した。

 カルデナスは、ラサロ・カルデナス元大統領の息子。野党・民主革命党(PRD)の元党首で、昨年11月、同党現執行部と理念が合わず離党した。

 FPPは選挙を目指さず、保健、教育、社会保障付きの労働の拡充を目的とする。メヒコを改革するため改憲を目指す。そのため市民団体と連携する。

 政治評論家らは、メヒコの左翼の分散化が進むと見ている。


 一方、報道への迫害を監視している団体は、エンリケ・ペニャ=ニエト現大統領政権下のメヒコで、ジャーナリスト、メディア職員ら報道関係者への侵害事件が656件発生している。うち10件は殺人、4件は強制失踪事件。

 被害メディアは、活字メディア48%、電子メディア21%、放送16%など。加害者は警察など公務員が半数近くを占めている。

 事件は、首都メヒコ連邦地区(DF)、キンタナロー州、ベラクルス州、ゲレロ州、オアハーカ州の順に多い。

米政府がキューバ企業などを「テロ支援制裁対象」から除外

 米財務省は3月24日、「テロリズム支援を理由とした制裁」対象だったクーバの企業28社、船舶11隻、およびクーバ人6人を対象から外した。

 クーバは、対米国交正常化合意後、1982年以来の「テロ支援国家」指定からクーバを外すよう要求しており、今回の措置は指定解除に向けた第一歩となった。

 28企業の多くは観光、漁業、海運関係で、パナマに拠点を置いている。また、6人の中には1989年7月処刑された人物も含まれている。

2015年3月24日火曜日

世に出た『方丈記』対訳書の訳者・伊藤昌輝さんが語る

 鴨長明(1155~1216)が鎌倉時代の1212年ごろ著した随筆集『方丈記』の日西対訳書が3月23日、神戸市の大盛堂書房(電話078-861-3436)から発売された。本体1700円。

 翻訳者は、オンドゥーラス駐在大使、ベネスエラ駐在大使などを務めた元外交官、伊藤昌輝氏。
伊藤さんは対訳書が世に出るのに際し、本ブログに、翻訳時の工夫や苦労を語ってくれた。


 苦労、工夫した点ですが、『方丈記』は散文形式で書かれています。そして日本の古典文学における三大随筆の一つとされています。

 この作品の魅力は、言葉の力にあると言われています。当時の日本には歌はありましたが、西洋的な詩はありませんでした。

 そのため鴨長明は散文形式にせざるを得ませんでした。ですが本質的には詩であると私は思います。

 そこで、詩形式にして訳してみました。もちろん、韻を踏む本格的な詩ではありません。言わば、散文詩です。そこが一番の工夫だと言えるかもしれません。

 苦労といえば、どの翻訳にも共通しますが、原文の字面にとらわれず、いかにその心、真意を捉えるか、それをいかにしてスペイン語らしいスペイン語で表現するか、ですね。

 原文からあまり離れてもいけないし、原文にこだわって、スペイン語がぎこちなくなってもいけません。その究極のバランスですね。

 その点では、ベネスエラの女流詩人ヨランダ・デル・ノガルさんの献身的な協力が得られたのは大きかったと思います。

 彼女は現地のラジオで自分の番組を持ち、私も何度か出演し、俳句などについて話したことがあります。彼女は、そのラジオ局の設備を使って『方丈記』全文を朗読しCDにして、私の大使離任の際の餞別としてくれました。

 このCDが付いているのも、本対訳書の魅力の一つかと思います。

欧州連合がキューバと関係正常化で交渉

 欧州連合(EU)外相の立場にあるフェデリカ・モゲリーニが3月23日ハバナ入りした。EUとクーバの関係正常化交渉のため。

 5月11日にはフランソワ・オランド仏大統領の訪玖が予定されるなど、このところEU諸国要人のクーバ訪問が目立っている。

 EUは2013年、クーバに26億ユーロを投資している。

 米国務省は23日、「国際麻薬取締戦略」の年次報告を発表。クーバについて、麻薬生産、消費共に依然低水準で、これは監視、厳しい刑罰、予防計画などの賜物と評価した。

 またクーバ政府は、クーバを麻薬密輸の中継点にしないよう監視を強めている、とも指摘した。

 24日には、セルゲイ・ラヴロフ露外相がクーバを訪れる。同外相は26日にかけてコロンビア、ニカラグア、グアテマラも訪問する。

「ベネズエラは米国の脅威でない」と大多数が認識

 ベネスエラ政府は3月23日、全国で民兵3万人が「戦闘グループ」を結成した、と明らかにした。またバラク・オバーマ米大統領に、「ベネスエラは米国の安全にとり脅威」とした9日の政令を撤回するよう求める呼び掛けに230万人が既に賛同した、と発表した。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は、この撤回を求める1000万人署名運動を展開している。日本でもベネスエラ大使館が中心となって署名運動をしており、NGOなどに協力を求めている。

 ベネスエラ政府は4月10日開始の第7回米州首脳会議まで署名運動を展開し、同会議に出席するオバーマに手渡すことにしている。全国1万4000か所にあるボリーバル広場が署名場になっている。

 国営テレスール放送が22日伝えた国内世論調査結果は、ベネスエラ人有権者の86%は、ベネスエラは米国の脅威になりえない、との認識だ。脅威だと米側主張に同意したのは11%だった。

 94%はマドゥーロ政権を倒すための米軍侵略に反対。5%だけは賛成した。

 マドゥーロは、米政府の政令を「軍事介入の前兆」と捉え、安全保障関係の政令を自由に発動できる「反帝国主義授権法」の制定を国会に要請し、9か月間認められた。これに58%が賛成した。

 米国による内政干渉には81%が反対、16%が賛成した。米国に好意を持つ者は27%で、
60%は持っていない。

 64%は、米国による脅威に対抗しているマドウーロ政権を支持。27%は支持していない。

 オバーマは、ベネズエラでの「人権侵害」を理由に「米国の安全にとり脅威」とし、あまりに唐突で理不尽なため、理解を得られないでいる。

 黒人を射殺した白人警官たちが起訴されないことや、クーバにあるグアンタナモ米軍基地内での政治囚への拷問など、米国の人権侵害はおびただしい。これをもってベネスエラ政府が、「米国はベネスエラの安全にとって脅威」だと宣言したら、誰もが首をかしげるだろう。

 そこで、なぜオバーマが強引すぎる「脅威」を打ち出したか、色々な分析が出ている。その一つは、チャベス前政権以来の「イランとの繋がり」を指摘する。

 一方モンテビデオでは23日、政権党・拡大戦線(FA)と労組によるベネスエラ連帯行進があり、ホセ・ムヒーカ前大統領、ラウール・センディッチ副大統領らが先頭に立った。

エボラ出血熱と闘ったキューバ医師団が帰国

 昨年10月から西アフリカ3国でエボラ出血熱と闘っていたクーバ人医師団256人のうち150人が3月23日、バラデーロ空港に到着、5か月ぶりに帰国した。

 一行は、クーバが誇るヘンリー・リーヴ国際医師派遣団に所属。ギネア、シエラレオネ、リベリアで活動、患者400人の命を救った。

 残る医師たちは4月1日帰国する予定。


「伊達侍と世界をゆく」=写真と話の集い=のお知らせ

◎支倉常長の旅路を辿る映像写真と話の催し

4月5日(日曜日)1600~1800

 ラ米文化サロン「カフェ・イ・リブロス」(CYL)で=JR目黒駅近く=電話6228-0234=申し込んでください。

会費 1000円(一口、一杯付き)

★出演 工藤律子、篠田有史、伊高浩昭

 展示販売書籍:工藤・篠田著『伊達侍と世界をゆく』(2014年、河北新報社)

★お昼は花見、夕方からどうぞ御来場を 

2015年3月20日金曜日

ベネズエラ外相が米国による経済封鎖の可能性を指摘

 米州諸国機構(OEA)は3月19日、ワシントンの本部で定例の大使級会議を開き、オバーマ米政権がベネスエラに圧力をかけてている問題について討議した。両国がOEAを舞台に正面からやり合った。

 出席したベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は、米国はベネスエラの石油を狙っており、そのためにマドゥーロ政権を倒そうと画策している、と主張した。

 また、米政府はベネスエラに対し軍事介入だけでなく経済封鎖を意図しているとして、在米ベネスエラ外交公館の銀行口座が凍結されている、と指摘した。

 これに対し、米国のマイケル・フィッツパトリックOEA大使は、米国は軍事介入の意図も、経済を害する意図もない、と否定した。

 米国務省米州担当国務次官補ロベルタ・ジェイコブソンも別途、ベネスエラが繁栄し「真正な民主」の道に戻るのを望んでおり、ベネスエラとの誠意ある対話を希望する、と表明した。

 ジュネーブの国連人権理事会は20日、「南」の主要組織が、米国に威圧されているベネスエラについてフォロ(フォーラム)を開く。
米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)が主唱、フォロは「一方的威圧手段と、人権全面享受への打撃」と名付けられている。

 ALBAのほか、非同盟、G77、アフリカグループ、CELAC、ウナスール、メルコスールなどが参加する。

 一方、ベネスエラ政府が国営石油会社PDVSA向けに100億ドルの融資を受けるため中国開発銀行と交渉中であることが19日明らかにされた。

 また、チャベス石油相は、ベネスエラは価格安定化のため原油生産削減を産油諸国に働きかける政策を維持していく、と述べた。 

エクアドールで先住民労働者らが抗議行動展開

 キトで3月19日、先住民を主体とする労働者4500人が、コレア政権の政策に反対するデモ行進を雨中展開した。「労働者統一戦線」(FUT)が組織し、先住民連盟(CONAIE=コナイエ)や教員労組が参加した。

 彼らは、労組内選挙の「民主化」を要求する政府を「労働運動規制」として反発し、労組の権利を尊重する新しい労組法制定を要求している。

 また油田や鉱山の開発を進めたい政府の「土地法」案にも、先住民共有地が侵害され自然環境が破壊されるとして、反対してきた。

 ラファエル・コレア大統領が意図する、大統領無制限再選制の導入にも反対している。世論調査によると、有権者の81%は、同制度導入の是非は国民投票で決めるべきだ、と考えている。

 歳入の多くを原油に依存する産油国エクアドールは、昨年末以来の国際原油価格の低迷で、経済は苦境にある。これが民衆の不満の背景にある。

 コレア大統領は歳出を14億ドル余り削減し、高級公務員の給与を10%引き下げた。また輸入品目の3分の1に輸入税45%をかけた。

 デモ隊はこの日、キトで今週2度目の抗議行動に出たもので、大統領政庁(カロンデレー宮)に隣接するサンフランシスコ広場で火炎瓶を投げるなどして気勢を挙げ、警察機動隊と対峙した。警察は騎馬警察部隊を出動させ、政庁付近からデモ隊を遠ざけた。3人が負傷し、13人が逮捕された。

 コレア大統領はキト南方160kmのリオバンバ市を訪問していたが、大統領の車列に投石があり、2人が負傷し、11人が逮捕された。

 反政府行動は昨年9月から断続的に続いてきた。その9月には警官34人が負傷し、53人が逮捕されている。

LATINA誌4月号「乱反射」は「ベネズエラ・米国抗争」分析

◎最近の伊高浩昭執筆記事

★月刊誌LATINA 4月号(3月20日=本日発売)

「ラ米乱反射」連載第108回 「ベネズエラがまたも米絡みのクーデター陰謀を摘発  南米諸国連合が民主体制支持打ち出し窮地救う」---最近の米政府によるマドゥーロ政権打倒工作の真相を暴く。【この連載も9年を経ました。12回×9年=108回】

書評:フィデル・カストロ著『キューバ革命勝利への道』 (工藤多香子ら共訳、明石書店、4800円)--原題「マエストラ山脈からサンティゴアゴデクーバへ-戦略的逆襲」(カストロのキューバ革命戦略・戦術理論書の下巻)

★週刊金曜日 3月20日号(本日発売)

書評:奥武則著『ジョン・レディ・ブラック』(岩波書店、6800円)ー-幕末から明治初期にかけて日本で活躍し、日本のジャーナリズム創成期に多大な影響を与えた英国人新聞人の生涯を描く労作。

2015年3月19日木曜日

伊藤昌輝スペイン語訳『方丈記』が世に出ます!

 伊藤昌輝(元外交官)は、日本の古典文学をスペイン語に訳す貴重な仕事を重ねてきた。そして3月23日、『方丈記』の訳書を世に出す!

 出版社は、神戸市の大盛堂書房(電話078-861-3436)。定価は1700円。

 「ゆく河の流れは絶えずして」=La corriente dei rio jamas se detiene。

 スペイン語学徒の皆さん、読んでみませんか。私は既に手にしています。
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エクアドール外相が米・ベネズエラ問題仲介でラ米カリブ代表に

 エクアドールのリカルド・パティーニョ外相は3月18日ワシントンで、ラ米側首席代表としてベネスエラと米国の対話を仲介したい、と述べた。

 ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は同地で、ニコラース・マドィウーロ大統領がパティーニョに代表を依頼した、と明らかにした。

 ロドリゲス外相は18日の米州諸国機構(OEA)次期事務総長を選出した外相会議で、OEAの某加盟国からベネスエラは脅迫されていると前置きし、OEAの機構と行動に変革を求める、と強調した。

 ワシントンでは19日、OEA大使会議が開かれ、米・ベネスエ問題を取り上げるが、ロドリゲス外相は、この会議に出席する。

 カラカスで17日開かれた米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)首脳会議は、ALBA、CELAC、ウナスール、カリコムのラ米域内4機構の連絡機関をつくり、これをラ米・米国間の問題解決に当たらせることを決めた。

 現在最大の問題は、米政府によるベネスエラへの攻撃的な内政干渉であり、連絡機関はまずはこの問題で仲介の労を取りたい構えだ。パティーニョは連絡機関の代表となる。

 カラカスでは18日、バラク・オバーマ米大統領に「ベネスエラは米国の安全にとり脅威」とした9日の宣言を破棄するよう求める1000万人署名運動が始まり、マドゥーロ大統領がオバーマ宛て書簡に最初の署名をした。

 一方、アスドゥルードル・チャベス石油相(故チャベス大統領の実弟)は同日、米国がベネスエラの石油部門に対し何かを仕掛けてくるのを警戒しているとし、新たな原油輸出市場を探すと明らかにした。

 ベネスエラは現在、日量87万バレルの原油を米国に輸出している。

米州諸国機構の次期事務総長にウルグアイのルイス・アルマグロ選出

 米州諸国機構(OEA)は3月18日、ワシントンの本部で外相会議を開き、次期事務総長に、ムヒーカ前ウルグアイ政権の外相だったルイス・アルマグロ(51)を選出した。

 5月26日、2期10年務めてきた現事務総長ホセミゲル・インスルサ(元チレ外相)に代わって就任する。

 アルマグロは、加盟34カ国の秘密投票で、賛成33、棄権1で当選した。他に候補はいなかった。副事務総長にはベリーズのネストル・メンデスが選ばれた。

 アルマグロは当選後の挨拶で、米州で唯一OEAに加盟していないクーバの復帰に尽力すると述べた。クーバは米国の圧力で1962年追放された。

 今世紀になってから、その追放決議は破棄されたが、クーバは復帰していない。だが、パナマで4月開かれるOEAの第7回米州首脳会議には、初めて招かれてラウール・カストロ議長が出席を予定している。

2015年3月18日水曜日

米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)がパナマ会議に向け議題を協議

 米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)は3月17日カラカスで臨時首脳会議を開き、パナマで4月開催される第7回米州首脳会議でALBAが提起する議題策定について協議した。

 主催国ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は、米政府はベネスエラが威厳と反帝国主義の姿勢を維持しているがゆえに米国にとって脅威だと感じていると指摘。米国はベネスエラの石油を我が物にしようと狙っている、とも批判した。

 マドゥーロはまた、17日付NYT紙に掲載された自身の公開書簡で、ベネスエラと米市民の友好関係がオバーマ大統領の根拠のない馬鹿げた脅迫によって影響されてはならない、と訴えたことにも触れた。

 ラウール・カストロ玖国家評議会議長は、一方的で攻撃的で根拠のないベネスエラ指弾と、同国への孤立化策謀と脅迫を即時やめるべきだ、と述べた。

 さらにラウールは、米国はクーバを誘惑したり買ったり、ベネスエラを脅迫したりすることが不可能なことを悟るべきだ、と前置きし、クーバとベネスエラの団結は破壊不可能だ、と強調した。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は、ボリビアは米国の攻撃があれば戦う用意がある、と語るとともに、米国は軍事覇権者でなく世界平和の防護者になってほしい、と呼び掛けた。

 ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は、パナマ会議で「米国は世界安全保障の脅威だ」と宣言すべきだ、と提案した。また、米国による過去のラ米での軍事クーデターの画策を指摘し、「ベネスエラは米国にとって脅威」とした宣言を撤回するようオバーマに求めた。

 ALBAは、ラ米域内のCELAC、ウナスール、カリコムとともに「協力グループ」を結成し、米国による脅迫などの諸問題に対応していくことを決めた。
 

2015年3月17日火曜日

オバーマ政権のキューバ・ベネズエラ分断工作が失敗

 玖米両国は3月16日ハバナで第3回国交正常化交渉を実施した。大使館開設が中心議題だったが、前2回と異なり、終了後の記者発表はなかった。ベネスエラ問題をめぐり対立したのが理由と見られている。

 オバーマ政権によるクーバとベネスエラを分断させる工作は失敗した、と言える。

 玖共産党機関紙グランマと共産主義青年同盟(UJC)機関紙「反逆青年」は16日、1面で「ベネスエラ・トドス・ソモス」(我々はみなベネスエラだ)という大見出しを掲げ、ベネスエラへの連帯を表明。オバーマ米政権のベネスエラへの敵対圧力を糾弾する玖政権党の意思を示した。

 ブルーノ・ロドリゲス玖外相も15日にカラカスを訪れ、ベネスエラに対するクーバの「絶対的支持」を打ち出している。

 玖女性連盟(FMC)も、オバーマ声明を、ラ米への干渉の新しい手口と非難。ハバナ市内にあるウーゴ・チャべス小学校ピオニールもベネスエラへの児童同士の連帯を表明した。

 対玖交渉に臨んだ米代表団からは、同盟国ベネスエラをめぐるクーバの厳しい対米態度に失望したとの声も出ているが、同時に、ベネスエラ問題は米玖交渉を左右するほどには影響しないとの判断も聞かれる。月末にも次回交渉がワシントンで開かれる見込み。

 一方、非同盟運動120カ国は16日国連で、オバーマ声明を糾弾した。ウルグアイ政権党・拡大戦線(FA)も同日、ラ米のいかなる国も米国にとって安保上の脅威にならないと反駁し、ベネスエラとの連帯を表した。

 この日、ラウール・カストロ玖国家評議会議長はハバナで、来訪した北朝鮮の李スヨン外相と会談した。年頭から韓国が国交樹立を求めて対玖接近している。それを横目に李外相は、朝玖関係強化を図るもようだ。

 ラウールの後継者ミゲル・ディアスカネル第1副議長は16日、ヨハネスブルクのANC本部で、ジェイコブ・ズマ南ア大統領と会談した。 

2015年3月16日月曜日

ベネズエラ国会がマドゥーロ大統領に安保政令発動権を授与

 ベネスエラ国会は3月15日、ニコラース・マドゥーロ大統領に安全保障関係の政令を12月31日まで国会審議なしに発動できる権限を与えた。「反帝国主義授権法」と名付けられた。

 バラク・オバーマ米大統領が9日、ベネスエラが米国の安保にとって脅威となったとして「国家非常事態」を宣言したのを受け、ベネスエラは米軍侵攻もありうるとして、授権法を大統領に認めた。

 大統領は授権法有効期間を半年としていたが、国会は9ヶ月間とした。

 国軍と民兵部隊は既に全国の要所要所で防衛演習を展開している。ブラディーミル・パドリーノ国防相は、米軍による侵攻の可能性を否定していない。

 マドゥーロは15日、政庁前で支持者の大群衆を前に演説し、米大統領に反ベネスエラ宣言を取り消すよう求める書簡への1000万人の署名を月末までに集めよう、と呼び掛けた。

 大統領は、「米国には殺人軍があるだろうが、ベネスエラには彼らが持つことのできない勇気がある」と強調した。

 反政府野党連合MUDも声明で、ベネスエラはいかなる国にとっても脅威にもならない、と表明し、米大統領に珍しく異議を唱えている。常軌を逸したオバーマの「国家非常事態」が米軍侵攻の予兆と受け止められているからだ。

 一方、米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)は17日カラカスで首脳会議を開き、4月10~11日パナマで開かれる第7回米州首脳会議に向けて、共同戦略を練る。

 ALBAに加盟するボリビアのエボ・モラレス大統領は既に、パナマ会議でオバーマが「反帝国主義攻勢」に遭う可能性を示唆している。

 15日ハバナでは、「ベネスエラ・ボリバリアーナ革命に連帯する音楽会」が開かれ、大勢の若者がベネスエラを支持し、米政府の強圧政策を非難した。

ペルー次期大統領選挙:ケイコ・フジモリが支持率で1位

 来年4月に予定されるペルー大統領選挙の出馬予定者の支持率調査が3月15日発表された。ケイコ・フジモリが支持率40%で1位だった。だが第1回投票での当選に必要な50%には10pも開きがある。

 2位は、ペドロ・クチンスキで36%。3位はアラン・ガルシア前大統領の24%。4位はアレハンドロ・トレード元大統領の19%だった。

 ケイコは決選投票進出が有望で、クチンスキとガルシアのいずれかと対決することになる、と予想する向きが多い。

ブラジルで中産・富裕層が反政府デモ展開

 ブラジル16州および首都ブラジリアで3月15日、反政府抗議行動が展開された。各種の集計で計150万人が参加した、と伝えられる。

 ヂウマ・ルセフ大統領退陣、新自由主義に社会政策を加味したポストネオリベラリズモ(新自由主義後の経済政策)反対、腐敗・汚職反対などを訴えた。

 参加者の多くは、中産層と富裕層。インターネットで動員した。昨年の大統領選挙で、富裕層と大企業優先の新自由主義を採る伯民社党(PSDB)候補を支持して、労働者党(PT)のルセフに敗れた有権者層だ。

 デモ行進に参加した極右勢力は、ルセフ政権打倒のため軍部に蜂起を求めた。これはベネスエラ情勢とも通底する極右戦略だ。

 政府は、「大統領は常に街頭の声に耳を傾ける。近く、腐敗取締り政策を打ち出す」と応じた。
 
 

2015年3月15日日曜日

南米諸国連合が米政府の威嚇政策に反対

 南米諸国連合(ウナスール)は3月14日、キトの本部で加盟12カ国の臨時外相会議を開き、「ベネスエラの内政問題は一方的強圧手段でなく、憲法規定に従って民主的に解決すべきだ」と決議し、オバーマ米政権のベネスエラへの介入政策を糾弾。米政府に、「ベネスエラは米国安保にとって脅威であり国家非常事態を宣言する」という趣旨の政令を取り消すよう求めた。

 エルネスト・サンペール事務局長は、「ウナスールは民主制度、人権尊重、法治国家の枠内でベネスエラ全政治勢力の対話に同伴する用意がある」と述べた。また、出席したベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は、国際法、紛争の平和的解決、内政不干渉の諸原則は健在だ、と強調した。

 会議には外相12人全員が出席した。チレだけは当初、副外相が出席する予定だった。ブラジル、コロンビア、エクアドールの3国外相が引き続き特別使節団を組んで、ベネスエラ情勢に関与することも決まった。ニコラース・マドゥーロ大統領と、ロドリゲス外相はウナスールに謝意を表明した。

 マドゥーロ大統領は14日カラカスで、国軍8万人、民兵2万人を動員しての国防演習「ボリーバルの盾」を指揮した。演習は全国の要所で10日間実施される。

 大統領は14日、ベネスエラに冷淡なスペイン右翼政権のマリアーノ・ラホーイ首相を「フランコ主義の首相」、「新自由主義右翼の売国奴」と呼んで扱き下ろした。ラホーイは、ベネスエラ反政府勢力指導者の夫人らに会うなどしてきた。

 マドゥーロは13日夜マナグアで開かれたベネスエラ連帯会合に出席し、各国の若者たちに、バラク・オバーマ米大統領に手紙を書き、政令取り消しを促すよう呼び掛けた。大統領はまた、米政府を糾弾し、平和と主権を防衛するベネスエラを支持する、フィデル・カストロ前玖議長の書簡を読み上げた。

 大統領は、ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領からアウグスト・サンディーノ最高勲章を贈られた。

 メヒコ市では14日、メヒコ労働党主催の「新しい社会の政党」国際セミナリオ(セミナー) が開かれ、40カ国から132政党が参加した。参加政党は、ベネスエラを支援し、「米政府の脅迫」を糾弾することを決めた。
  

2015年3月14日土曜日

29日に日本最大の「ミロンガの祭典」開催

 タンゴに近いミロンガ(音楽と踊り)の祭典「ラ・ミロンガ」が3月29日(日)、有明TFT東京ファッションタウンで催される。

 日本・亜国タンゴ連盟(FJTA)主催。1500開場、1600開始、2000終了。

 入場料は前売り6000円、当日7000円。

 問い合わせは、会場TFTビル2階 電話03-5530-5010、 FJTA事務局 電話03-6303-0160。

スウェーデンがアサンジ氏をエクアドール大使館内で尋問か

 スウェーデン検察庁は3月13日、ロンドンに検事を派遣し、エクアドール大使館に亡命滞在している、ウィキリークス創設者ジュリアン・アンサジ氏に同大使館内で尋問する意思を表明した。

 スウェーデンは、女性2人の強姦事件関与の疑いで告訴されている豪州人アサンジ氏の身柄引き渡しを求めてきた。アサンジは、事件を陰謀として、関与を否定している。

 アサンジは2012年6月から同大使館内に匿われている。間もなく1000日に達しようとしており、エクアドール政府は、スウェーデン政府に検事派遣を求めてきたが1000日も待たされようとしている、と同国を批判していた。

 アサンジは6月20日、弁護士を通じてスェーデン最高裁に逮捕状取り消しを求めて提訴している。アサンジはスウェーデンに行けば、逮捕され身柄を米国に引き渡されるとして、スウェーデン行きを拒んできた。

南米諸国連合がベネズエラ問題で14日、外相会議開催へ

 南米諸国連合(ウナスール)は3月13日、米国がベネスエラに圧力をかけている問題について14日、キトの本部で外相会議を開くことを決めた。加盟12カ国のうち11カ国外相が出席を表明、チレは副外相が出席する。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は13日記者会見し、バラク・オバーマ米大統領が9日、ベネスエラが米国の安全保障と外交政策にとって特別に危険になったとして「国家非常事態」を宣言したことを取り上げて、オバーマはパナマでの米州首脳会議で反帝国主義の攻勢に遭いたくなかったら、ベネスエラに謝罪すべきだ、と述べた。

 亜国外務省も声明で、オバーマ決定は米国務省の情勢分析がいかにお粗末であるかを示した、と批判した。

 当のニコラース・マドゥーロ大統領は12日、ワシントンのロビーがオバーマに猿轡をはめ足枷をし拉致しているとし、オバーマは偽りの情報に基づいてベネスエラ政策を決めている、と指摘している。

 マドゥーロはまた、駐米臨時代理大使に対し、ワシントンで「ベネスエラの真実展」を開く準備に取り掛かるよう命じた、と明らかにした。ベネスエラは最近、この催しを、反ベネスエラ世論の強い右翼政権のスペインで意図的な偽りの情報に基づく誤解を解く目的で開いた。

 大統領は「祖国のために敢然と立ち向かっていく」として、ワシントンでの「真実展」開会式に出席する可能性を示唆した。

 また、オバーマは誤った決定を点検し破棄すべきだと述べるとともに、「真実展」はオバーマに光を与え、シカゴでの青年時代のような感覚をオバーマに取り戻させるだろう、と語った。

 だが12日、米南方軍司令官ジョン・ケリーが、ベネスエラが近く経済危機により内部から崩壊する、との異例の発言をするなど、高官による反ベネスエラ発言が止まない。

 世銀の「投資関連紛争調停国際センター」は12日、ベネスエラ政府に対し、2010年にチェベス政権が国有化した米ガラス容器製造会社OIに対し、賠償金4億5500万ドルを支払うよう命じた。応じなければ、世界中でベネスエラ資産を差し押さえるなどの措置をとる構えだ。

 この動きは明らかに米政府と連動していると受け止められている。外貨逼迫で対外債務返済がままならない時期に、新たな追い討ちをかける措置となった。

 一方、欧州議会は12日、「抑圧と自由侵害」でベネスエラ政府を非難し、「政治囚」釈放を求める決議案を、3分の2を超える賛成多数で採択した。

 スペインの新政治勢力「ポデモス」と、伝統政党・統一左翼などは反対票を投じた。ポデモスはベネスエラと友好関係を築いている。スペインでは年内に総選挙が予定され、ポデモスの躍進が予想されている。

 右翼の政権党・国民党PPと、野党スペイン労働社会党(PSOE=ペソエ)は、第3勢力ポデモスの進出に怯えている。

 ベネスエラでは13日、国家情報局(SEBIN)の拘置所内で、反政府派のロドルフォ・ゴンサレス(63)が自殺した。去年4月、違法な反政府行動を組織したとして逮捕され、取り調べられていた。

 ベネスエラ原油は13日、1バレル=47・91米ドルだった。   

第3回玖米交渉は16日ハバナで

 玖米両政府は3月13日、国交正常化のための第3回交渉を16日ハバナで行なう、と発表した。焦点は、大使級外交関係再開の時期決定。米側は遅くとも4月上旬までの復交を求めている。

 一方、パリクラブのブルーノ・レザール会長(仏人)は13日ハバナで、クーバとの債務交渉再開で歩み寄りがみられる、と明らかにした。

 クーバのパリクラブ加盟諸国への累積債務は150~160億ドルで、うち50億ドルはフランスが債権国。クーバは1987年、パリクラブ加盟国の一部が内政干渉したとして関係を打ち切った。

 今世紀に入ってからクーバは関係再開の意思を表明したが、パリクラブ側の提示した条件が厳しく、進展していなかった。

 だがラウール・カストロ議長は、経済再建・建設政策上、関係修復が不可欠と捉え、歩み寄りに努力し、債務を増やさないよう歳出も抑えてきた。

ブラジルでルセフ政権支持デモ実施さる

 ブラジル13州で3月13日、ルセフ労働者党(PT)政権支持、国営石油会社ペトロブラス防衛、同社をめぐる汚職糾弾のためのデモ行進が実施された。

 PTを支持する労連CUT、土地無し運動MSTが組織した。15日に予定される反政府派のルセフ政権打倒デモに先駆けて、政府支持デモを打った。

 反政府派右翼は、ネット上で、ルセフ政権打倒のため軍事介入を求めている。ベネスエラ右翼のマドゥーロ政権打倒の陰謀と手法が酷似している。

 ペトロブラス汚職事件で、政治家47人に嫌疑がかけられている。上院議員12人、下院議員22人が含まれており、最高裁判所は議員らの法的追及不可の特権を停止、捜査対象とすることを承認している。

 2期目に入って間もないルセフ政権は、経済不調もあって、窮地に立たされている。

2015年3月12日木曜日

ベネズエラ国会が安全保障に関し授権法制定へ

 ベネスエラ国会は3月11日、ニコラース・マドゥーロ大統領に安全保障に関する政令発動権を与える授権法を15日制定する、と発表した。大統領は10日、米政府による内政干渉の脅威が増幅したとして、半年間有効の授権法制定を国会に求めていた。

 大統領はその折、ウルグアイのラウール・センディッチ副大統領を名指しせずに、米政府によるベネスエへの内政干渉を意識していない要職者が南方にいる、卑怯者だ、と非難した。センディッチは3日、ベネスエラに対する米国の内政干渉の要素は見当たらない、と語っていた。

 マドゥーロには、ホセ・ムヒーカと交代し1日ウルグアイ大統領に就任したタバレー・バスケス大統領が保守的なことに対する苛立ちがある。

 事態を受けてウルグアイ政府は11日、ベネスエラ駐在大使を召還し、事情を聴き、ベネスエラ大統領は確固たる情報もなしに不的確な発言をすべきでない、と反駁した。

 その結果、モンテビデオで12日予定されていた南米諸国連合(ウナスール)のベネスエラ・米国問題をめぐる外相会議は中止され、23日に延期された。

 パナマ外務省は11日、マドゥーロ大統領が4月パナマで開催される第7回米州首脳会議に出席する、と発表した。

 一方、デルシー・ロドリゲス外相は、米国務省米州担当次官補ロベルタ・ジェイコブソンのベネスエラに関する発言を受けて、内政干渉と非難。「ベネスエラに何をすべきかなど言うべきでない」と一蹴した。

キューバと米国が電話直接回線で結ばれる

 クーバ電気通信会社(ETECSA)は3月11日、玖米間で電話直接通話回線が既に機能している、と発表した。同社と米民間会社は2月20日、回線開設で合意していた。在米180~200万人の玖系市民が重要市場となる。

 11日発表の米世論調査では、米市民の64%、民主党支持者の74%、共和党支持者の51%が対玖経済封鎖解除に賛成している。また、50歳未満の共和党支持者の64%がオバーマ政権の対玖政策転換に賛成している。

 イタリアのパオロ・ジェントローニ外相は11日、メヒコ訪問を終えてハバナ入りした。このところ欧州連合諸国外相の訪玖が続いている。

 ブルーノ・ロドリゲス玖外相はグアテマラでのカリブ諸国連合(AEC)会合出席を終え、11日マナグアでダニエル・オルテガ大統領と会談した。

 ハバナでのコロンビア政府とFARCとの和平交渉は進展している。フアン・サントス大統領は10日、FARC拠点への爆撃を1ヶ月間中止する、と発表した。

 クーバ地質学会で11日、米国が1903年以来、不法占拠しているグアンタナモ基地からの排出物が、周辺のグアンタナモ川とグアソ川の河口一帯の盆地を汚染している、と報告された。

 マリーノ・ムリージョ副首相兼経済・企画相は11日、計画経済策定55周年記念日に際し、新しい玖経済モデル計画は市場を視野に含めるべきであり、そうしないのは誤りだ、と述べた。

 ハバナ大司教区はこのほど、ピナルデルリオ州サンディーノ市に、教会が建設されると明らかにした。革命後最初の教会建設になるという。

 

2015年3月10日火曜日

ベネズエラ大統領がオバーマの措置を「史上最大の侵害」と糾弾

 バラク・オバーマ米大統領は3月9日、ベネスエラが「米国の安全保障と外交政策にとって脅威となった」として「国家非常事態」を宣言し、べネスエラの諜報・治安機関関係の要人7人に米入国査証発給を禁止するなどの法的措置を取った。

 これは右翼・保守勢力を除くラ米世論から、「常軌を逸した決定」と受け止められている。ノーベル平和賞受賞者オバーマの評価は一変し、忠実なモンロー教義主義者とみなされるようになってしまった。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は9日夜、オバーマ大統領が施行した法は「フランケンシュタインのようだ」と指摘し、「米国がベネスエラに対してとった史上最大の侵害、不公正、忌まわしい一歩だ」と糾弾した。

 さらに、「オバーマ大統領はこれまで注意して越えないようにしていた一線を越えてしまった。ゴルペ(クーデター)の画策に失敗したため、大統領個人として私の政権を倒そうと乗り出した」と非難した。

 続けて、「米国は革命、社会主義、チャベス路線のベネスエラを理解しようとせず、絶望と無力感に駆られて法をつくった」と述べた。

 また、「米国のような大国による脅威は不均衡、唐突、粗野であるばかりか、非合法だ。法は倒錯であり馬鹿げている。オバーマ大統領は大きな過ちを犯した」と語った。

 「米帝国政府は、シモン・ボリーバルの祖国を侵害し、脅威となった」としながらも、「この(闘いの)過程では帝国は敗れ、ベネスエラは社会主義建設の道を歩み続ける」と決意を示した。

 マドゥーロ大統領は、米査証を禁じられた7人を従え、その一人、国家情報局(SEBIN)長官グスタボ・ゴンサレスをこの日、内相に任命した。ベネスエラ国内は、米国のあまりにも意外で愚かな決定によって、いつになく団結機運にある。

 一方、クーバ政府は10日付共産党機関紙グランマの1面左側で、ベネスエラ支持を表明。同右側にフィデル・カストロ前議長のマドゥーロ全面支持のメンサヘ(メッセージ)を載せた。

 クーバ政府声明は、「米政府と米議会による内政干渉に対し主権を守る措置を取ったベネスエラに、米政府は報復した」と捉え、「米本土から何千キロも離れ、戦略兵器も持たず、対米陰謀もしていないベネスエラがなぜ、米安全保障上の脅威になるのか」と、オバーマ政権を厳しく糾弾した。

 その上で、「クーバ革命政府はニコラース・マドゥーロ大統領の合憲政府を無条件で支持する」と表明。「いかなる国にも他国の内政に干渉する権限はない。根拠なしに安全保障の脅威などと言うことはできない」と批判した。

 
 また、今年9月ベネスエラで国会議員選挙があるのを踏まえ、「選挙の年に新たな内政干渉に出た」と指摘した。

 クーバ政府は、「昨年1月ハバナで開かれた第2回CELAC首脳会議は、ラ米・カリブ地域を<平和地域>と宣言した」と、注意を喚起した。

米国がベネズエラを「危険」として「国家非常事態」宣言

 バラク・オバーマ米大統領は3月9日、ベネスエラが「米国の安全保障と外交政策にとって非常に危険な存在になった」として、「国家非常事態」を宣言した。

 大統領は、ベネスエラでの「人権蹂躙」、「野党政治家迫害」を理由に挙げた。またベネスエラの情報機関SEBIN、国家警備隊GNB、国軍FANBの現職と元職の高官計7人の米入国を禁止し、在米資産を凍結した。

 米政府は去年2~3月と今年2月、ベネスエラの反政府勢力や極右を通じてマドゥーロ政権打倒工作をしたが、いずれも失敗。今回のような異常とも言うべき極めて大げさな措置に出た。

 米政府は、街頭暴力に関与し逮捕された者たちの釈放や、暴力教唆や政変策謀で捕えられた政治家の釈放を求めてきた。だが、それはベネスエラ政府にとっては、犯罪者の免罪でしかない。

 オバーマ政権は、社会主義クーバとの関係正常化に努める一方で、ラ米左翼イデオロギーの中心ベネスエラを潰そうとしている。これを潰すか弱体化させ、米議会野党・共和党の賛同を得て、対玖経済封鎖解除にもっていこうという戦略が見える。
 

コロンビア政府とFARCが地雷原撤去で合意

 コロンビア政府とゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)は2012年以来ハバナで和平交渉を続けてきた。現在は33回目の会合だが、3月7日、画期的な成果が生まれた。

 双方は、地雷原撤去で協働することで合意した。FARCの地雷敷設担当者が丸腰・私服姿で、政府軍およびノルウェーの地雷撤去の専門家と共に活動することになった。いつ、どこから、など細部は公表されていない。

 政府は、地雷撤去に参加するFARC要員の逮捕状執行を棚上げする。

 FARCは2月には、17歳未満の少年少女をゲリラ要員にしないことを決めている。

 1990年以来コロンビアで、対人地雷により1万1000人余りが死傷している。地雷撤去が完了するのは2025年と想定されている。それが済んだ地域から、国内避難民やFARC復員者が帰郷することになる。

2015年3月7日土曜日

映画「イミテーション・ゲーム」を観る

 映画「イミテーション・ゲーム」(2014、米英合作、115分)を試写会で観た。今を時めく俳優ベネディクト・カンバーバッチ主演のためか、青年男女が数多く観に来ていた。

 第二次大戦中、ナチスドイツ軍の暗号体系「エニグマ」(西語で「謎」で意味)を解読した天才数学者アラン・チューリング(1912~54)が解読に全存在を懸ける姿と、私生活の煩悶を絡めて描いた傑作だ。

 ちょうど、ボリビア人作家エドゥムンド・パス=ソルダンの小説『チューリングの妄想』(2003、日語訳2014、現代企画室)を読んだばかりだった。この小説の中心人物は天才にあやかって「チューリング」という暗号名で呼ばれている。

 ボリビアに未来社会を現出させるような小説が十余年前に出たことは驚きだった。

 ★映画は、東京では3月13日、GAGA系で封切られる。

南米諸国連合がベネズエラ不安定化工作に反対表明

 南米諸国連合(ウナスール)使節団は3月6日カラカスを訪れ、ベネスエラ各界から政情について意見を聴取した。

 使節団は、エルネスト・サンペール事務局長(元コロンビア大統領)およびブラジル、コロンビア、エクアドール3国外相で構成された。

 一行はニコラース・マドゥーロ大統領、デルシー・ロドリゲス外相、グラディス・グティエレス最高裁長官、ルイーサ・オルテガ検事総長、ティビサイ・ルセーナ国家選挙理事会(CNE)議長、法王庁大使、野党政治家らと相次いで会談した。

 サンペール事務局長は記者会見で、大統領からゴルペの陰謀があった証拠を示されたと前置きし、「ウナスール加盟国は一致して、いかなる民主体制の不安定化工作にも反対する」と強調した。

 野党や反政府勢力に対しては、「一部は暴力を含む尋常でない手段に訴えている」として、「意見の違いは年内にある国会議員選挙で闘わせるべきだ」と呼び掛けた。

 事務局長はまた、ベネスエラの生活物不足を補うためウナスール加盟諸国は物資供給に協力するとし、そのための特別委員会を設置すると明かにした。

 最高裁長官は使節団に対し、米国にはベネスエラを制裁したり反ベネスエラ法を制定したりする法的資格はない、と伝えた。

 検事総長も同じく、昨年の反政府勢力を主体とする街頭暴力(グアリンバ)事件で、関与した41人を収監中で、うち14人は治安部隊要員だ、と伝えた。

 使節団と会合した野党政治家は、ミランダ州知事エンリケ・カプリーレスら5人。野党連合MUD執行部は招かれなかった。

 その執行書記(書記長該当)ヘスース・トレアルバは、「サンペールは野党を挑発しに来た」と不満を顕にし、「彼は仲介役になり得ない」と切り捨てた。

 一方、この日、ベネスエラ外務省で、第9回ペトロカリーベ特別首脳会議が開かれた。クーバのミゲル・ディアスカネル第1副議長は、「ベネスエラへの不安定化工作は地域のエネルギー供給を危機に陥れる」と警告した。

 会議は「カラカス宣言」を採択して閉会した。代替エネルギー開発のため、ペトロカリーベ-ALBA基金に2億ドルを融資する、ことが決まった。

 また、ペトロカリーベ経済地域(ZEP=ゼプ)創設の計画案を策定する委員会を60日以内に発足させる、ことも決められた。

 さらに、オリノコ油田の一部をペトロカリーベ用に確保し開発することも定められた。

 今会議には、ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領、ハイチのミシェル・マルテリ大統領らも出席した。

2015年3月6日金曜日

ベネズエラの、米国人への査証義務付け始まる

 ベネスエラが米国人に入国査証取得を義務付けた制度が3月4日、米国のベネスエラ公館で実施に移された。

 観光査証は1年間数次有効。1回90日間滞在できる。手数料は30米ドル。入国の90日前に申請する。雇用、住所、銀行口座に関する書類、訪問日程を提出する。公館側が、無犯罪証明を求める場合もある。

 一方、ベネスエラの法廷は、反政府行動で逮捕されたラウール=エミリオ・バドゥエル青年に、爆発物による公然脅迫、中傷、不服従教唆で禁錮9年の実刑判決を下した。

 青年は、チャベスの政敵として獄中生活を強いられたラウール=イサイーアス・バドゥエル元将軍の息子。

 ベネスエラの東の隣国ガイアナは、両国間で領有権をめぐり紛争状態にある経済水域内で、米エクソン石油が6日、採掘準備に入ると明らかにした。

 ガイアナとエクソンは1999年、両国沖の2万6800平方kmの海域での油田開発で契約している。

欧州連合とキューバの次回交渉はブリュッセルで

 ハバナで開かれた欧州連合(EU)とクーバの関係正常化のための第3回交渉は3月5日終わった。次回は夏までにブリュッセルで開かれる。

 米玖国交正常化合意がEUの対玖態度積極化を促している。

 一方、米国では、米対玖農業連合(USACC)が、国交正常化に備え米議会てロビー活動を強めている。農産物の輸出増大が見込まれるからだ。

 カーギル社の国際取引局長が同連合の代表を務めている。

チャベス・ベネズエラ大統領の死から2年、現大統領が覚悟促す

 ベネスエラのウーゴ・チャベス大統領が癌で死去してから3月5日で2年経った。この日、陸軍モンターニャ兵営跡にあるチャベス廟で礼砲が放たれ、ニコラース・マドゥーロ大統領、遺族らが参列して追悼の儀式が執り行われた。

 大統領はカラカス中心部のボリーバル広場の集会で演説し、「この2年間は闘いの連続だったが、習得も勝利もあった」と振り返った。

 また、「今後、今日の世代にとっても明日の世代にとっても一層厳しい現実を生きなければならないことを受け入れねばならない」と覚悟を促した。

 大統領はさらに、「チャベスは反帝国主義の21世紀の概念を打ち出した」と指摘した。

 一方ニカラグアでは、ダニエル・オルテガ大統領がこの日、マナグアに建設された少年用競技場の開場式で「ウーゴ・チャベス競技場」と命名し、故人の業績を讃えた。

 カラカスのチャベス廟での式典には、クーバのミゲル・ディアスカネル第1副議長も参列した。同副議長はカラカス空港到着時、「クーバはボリバリアーナ革命の誠実な友人であり続ける」と言明した。

 副議長は6日カラカスで開かれるカリブ石油連帯機構(ペトロカリーベ)の特別首脳会議に出席する。

フィデル・カストロの標語「祖国か死か」が55周年

 ハバナ港で武器を満載していた貨物船クーブル号が1960年に爆破された事件発生を受けたフィデル・カストロ演説から3月5日で55年が過ぎた。

 当時のカストロ首相は、CIAの謀略と見なされるこの事件を糾弾する演説で、「今後のディスユンティーバ(二者択一)のスローガンは<祖国か死か>になる」と述べ、以後、2006年7月に行政の第一線を退くまで、演説の締めくくりに「祖国か死か」を用いた。

 この事件で102人が死亡した。その葬儀の場で、彼方を見詰めるチェ・ゲバラの、かの有名な写真が写真家コルダによって撮影された。

 「祖国か死か」は「パトゥリア・オ・ムエルテ」。だが「パトゥリア」を「パトゥリオティズモ(愛国主義)」と混同してか、あるいは意図的にか、フィデルの標語を「愛国か死か」と変えてしまう訳語が日本のテレビ放送や訳書で増えている。

 悪貨に良貨を駆逐させてはならない。誤訳ないし意図的誤訳を用いないよう注意してほしい。

アルゼンチン法廷が、ニースマン検事は他殺と断定

 アルヘンティーナの法廷は3月5日、検事アルベルト・ニースマンは1月17日の夕方から夜にかけて殺害された、と断定した。

 同検事は、1月19日に亜国国会で、亜国イスラエル相互協会(AMIA)爆破事件の捜査を巡る亜国現政権とイラン政府との「密約」を暴露する証言をすることになっていた。

メキシコ政府が学生43人失踪事件で国連人権当局に報告

 メヒコ外務省の人権担当次官フアン・ゴメスは3月5日、教員養成学校生43人強制失踪事件に関し、ジュネーブで国連人権高等弁務官事務所に報告書を提出した。

 事件に関与した102人を逮捕したこと、米州人権委員会(CIDH)派遣団との協働、メヒコ政府による捜査、調査、犠牲者への対応の強化、などが盛り込まれている。

2015年3月5日木曜日

ドミニカ共和国が隣国ハイチにある領事館を閉鎖

 ラ・ドミニカーナ(ドミニカ共和国=RD)外務省は3月4日、安全が保障されていないため在アイチ領事館をすべて一時的に閉鎖する、とアイチ政府に通告した。

 昨年12月以来、アイチ各地のRD領事館がアイチ人に襲撃される事件が少なくとも3件起きている。2月下旬、首都ポルトープランスで、RDでのアイチ人差別に抗議するデモ行進があった折には、暴徒がRD領事館に侵入し、RD国旗を焼き、アイチ国旗を掲げた。

 RDでは地続きのアイチから流入する労働者や、アイチ人長期居住者への「差別」が近年問題化している。カリブ共同体(カリコム)は、RDの加盟申請を、「差別問題の未解決」を理由に認めていない。

2015年3月4日水曜日

ベネズエラ政府が米大使館員73人の出国義務付け

 ベネスエラ政府の官報は3月3日、米国人に入国査証取得を義務づける政令を掲載、政令は発効した。米国のブッシュ前大統領、チェイニー前副大統領、テネット元CIA長官の入国は禁じられた。

 またクーバ系のイレアナ・ロスレティネン、マリオ・ディアスバラルト、ロベルト・メネンデス、マルコ・ルビオのクーバ系米連邦議会議員の入国も禁止された。4人は、クーバとベネスエラに厳しい態度をとる極右勢力として知られている。

 米政府は昨年7月以降、2度に亘り計56人のベネスエラ現・元高官らの入国を禁止している。ベネスエラは今回、報復措置をとったことになる。

 また、カラカスの米大使館は現在100人いる館員を15日以内に17人に減らすよう義務付けられた。これも駐在外交関数を同等にする政策に基づく。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は3日新措置について、「我々は決して反米主義者ではない。政治・外交ルートで良好な対米関係を維持したい」と述べた。

 だが、「我々は帝国主義、植民地主義、奴隷制度、人種主義に反対する。新措置は、米国による内政干渉を排除するためだ」と強調した。

 
 大統領はまた、6日に南米諸国連合(ウナスール)のエルネスト・サンペール事務局長(元コロンビア大統領)がベネスエラ情勢について話し合うため来訪する、と明らかにした。

 サンペールとともにブラジル、コロンビア、エクアドールの3国外相がベネスエラ入りする。

 政府が2月、空軍一部将校と反政府政治家らが組んだゴルペ(クーデター)の陰謀を摘発し、黒幕の一人とされるアントニオ・レデスマ(カラカス首都圏市長)を逮捕して以来、政情にある種の緊張状態がある。

 ジュネーブでは3日、ベネスエラとクーバの外相が会談した。

オランド仏大統領が5月、クーバ訪問へ

 フランス政府は3月3日、オランド大統領が5月11日クーバを訪問する、と発表した。仏大統領のクーバ訪問は初めてとなる。同大統領はカリブ海の仏領の島々を5月8日から訪れた後、ハバナに入る予定。

 欧州連合(EU)は4~5日ハバナで、クーバと関係正常化のため話し合う。双方は「政治対話・協力合意」調印のため話し合いを続けてきた。今回は人権問題も議題になる見通し。

 一方、コロンビア検察庁は3日、カルタヘーナ港で先月27日以来抑留していた中国貨物船のウ・ホン船長を「コロンビアへの兵器密輸」の容疑で逮捕した、と明らかにした。船長は、クーバ向けの火薬や弾薬を大量に積みながら書類に「穀物」と記入した申告違反も問われている。
 
 船名はダダン(大丹)シア。香港船籍で、2万8000トン。

 米アマゾン社は、将来のクーバ進出に備えて準備に入った、と2日伝えられた。米ペンシルヴェニアバレエ団とブルガリアのソフィアバレエ団は3日、それぞれクーバ国立バレエ団(BNC)の特定の踊り手を今季公演に招くと発表した。

2015年3月3日火曜日

米大統領が米州首脳会議前にキューバとの大使級外交望む

 バラク・オバーマ米大統領は3月2日ロイター通信とのインタビューで、パナマで4月開催される第7回米州首脳会議の前にクーバと大使級外交関係を復活させたい、と述べた。

 大統領はまた、両国関係の多方面にわたる正常化には時間がかかる、と語った。だが、クーバの変化を促す国交正常化政策の成果は既に現れつつある、と付言した。

 正常化合意後クーバに経済開放の兆候が見られるとし、クーバ政府が外資導入に備えて経済政策を再検討している、との
見解を表明した。

 一方、ラウール・カストロ議長は2日モンテビデオで、ウルグアイのタバレー・バスケス大統領と、両国関係強化について会談した。

 ブルーノ・ロドリゲス外相は同日、ジュネーブの国連人権理事会で演説し、ベネスエラ情勢に触れて、クーバはベネスエラ政府の立場を支持すると強調した。

 ハバナでは、フィデル・カストロ前議長の若き日の愛人ナタリア・レブエルタ(89)が同市で2月27日死去したことが明らかにされた。フィデルが革命戦争の準備のためメヒコに去った1955年、身ごもったことが判明、娘アリーナを産んだ。60歳に達しようとしているアリーナは、マイアミに住んでいる。

 フィデルは2日、米国で服役し解放された元諜報機関員5人を自宅に招いて5時間話し合い「幸せを感じた」、とコラムに書いた。

 コロンビアでは、中国の貨物船が2月27日以来、カルタヘーナ港で臨検されていることが明らかになった。クーバ向けの弾薬と武器をコンテナで積み込みながら、積荷の申告をしていなかったという。中国は、「通常の通商」との立場だ。

 コロンビアの港湾当局は当初、麻薬検査をするつもりだったが、諜報機関からの通報で方針を変えたという。臨検はコロンビア国防省の指揮下で実施されている。

 一昨年7月には、パナマ運河カリブ海入り口で、クーバの旧式兵器類を無申告で積んでいた北朝鮮貨物船が臨検され、半年あまりパナマに抑留される事件があった。  

中米北部3国と米墨が「繁栄のための同盟」素案策定

 中米「北部三角形」と呼ばれるグアテマラ、エル・サルバドール、オンドゥーラス3国の大統領と、バイデン米副大統領、メヒコ外務次官は3月2日グアテマラ市で会合し、5カ国による「繁栄のための同盟」計画の素案を策定した。

 この計画は昨年11月、3国大統領がワシントンでバイデンと会合した折、提案された。米政府は、メヒコ経由で米国に流入している同3国からの不法移民を減らすため、3国の開発が不可欠との立場だ。

 また、3国での麻薬取引、組織的暴力、貧困への対応策とも見なされている。投入される資金は総額150億ドル。米州開銀(BID)が資金面で協力する。

 計画の骨子は、生産部門活性化、人材育成、治安強化・司法活用、制度強化。バイデンは、3国大統領に犯罪の無処罰を止める要請した。

ベネズエラが米大使館員を100人から17人に減らすよう要求

 ベネスエラのダルシー・ロドリゲス外相は3月2日、リー・マクレニー米臨時代理大使に会い、カラカスの米大使館の外交官数を15日以内に17人に減らすよう要求した。

 カラカス駐在の米外交官数は現在約100人。ベネスエラ政府は、ワシントンの自国大使館員17人と同数かつ同等の職位にするよう要求している。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は2月末、この措置を発表した際、米政府による内政干渉を防ぐためと説明している。

コロンビア政府が和平交渉に軍部高官を投入

 コロンビア政府は、ハバナで続けられているコロンビア革命軍(FARC)との和平交渉が、大詰めの「戦闘停止」の議題討議に入るため、国軍の将官級6人を3月3日から交渉に参加させることにした。

 スペイン訪問中のフアン・サントス大統領が2日マドリーで明らかにした。この議題と並行して犠牲者、正義、ゲリラ復員の議題も討議されることになっている。

 サントスは、クーバ政府は交渉でFARCへの影響力を熱意を込めて行使している、とクーバを讃えた。

2015年3月2日月曜日

ベネズエラ外相が「米政府の攻撃政策」を警告

 ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は3月1日、ジャーナリスト、ホセ=ビセンテ・ランヘール(元副大統領)がキャスターを務める民放TV番組で、米政府は近く、国名を特定せずにその国を攻撃する権限を承認するよう議会に求めるもようだ、と述べた。

 外相は、「テロ対策」を口実にしているが、ベネスエラだけでなく世界にとって危険だと国際社会に警告したい、と語った。

 米政府は2014年にベネスエラに対する内政干渉声明を103回発し、今年既に65回発している、と外相は指摘した。

 ロドリゲスはまた、米政府はベネスエラの「人権問題」を取り上げるが、米政界の最悪な点は、自国内の人種主義や未成年就業などの人権違反に対処しないことだ、と強調した。

 外相は、米国には受刑囚250万人がいるとし、その37%および、死刑囚の75%はアフリカ系だ、と述べた。

 一方、カラカスの米大使館は2月28日、米人宣教師4人が25日逮捕され尋問された後、28日釈放され、出国したと明らかにした。4人はマラカイで教会を設置しようとしていたという。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は、海岸地方でべネスエラの不安定化工作に動員する要員を探していた米国人を逮捕した、と語っている。

ウルグアイのタバレー・バスケス大統領が就任

 ウルグアイのタバレー・バスケス大統領(75)が3月1日就任した。モンテビデオ中心部の独立広場で、大群衆を前にホセ・ムヒーカ前大統領から大統領の襷を受け取り、国会での就任演説に臨んだ。任期は5年。

 演説では、教育、保健、住宅の拡充を重点政策とすることを強調した。

 就任式には、ブラジル、パラグアイ、チレ、ペルー、エクアドールの大統領、ラウール・カストロ玖国家評議会議長、ジョセフ・バイデン米副大統領、フアン=カルロス西前国王らが出席した。

 出席が予定されていたベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は、国内情勢を理由に欠席した。マドゥーロは既に電話でバスケスを祝福し、欠席する旨を伝えていた。

 バスケスは腫瘍学の専門家。2005~10年、第一期政権を務め、今回は2期目。憲法広場と国会の間は、ラウール・センディッチ副大統領と共に、1951年型フォードソン小型トラックで移動した。

 クーバ議長の出席は最大の関心を集めた。その出席は、対米国交正常化交渉の過程にあるクーバにとり、ラ米との連帯が従来に増して重要になったという認識を示している。

2015年3月1日日曜日

ベネズエラが米国人に入国査証取得を義務づけ

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月28日、「帝国主義者による策謀への対策」を発表した。「法的に対米関係を規制し陰謀を防ぐのを余儀なくされた」と説明した。

 大統領は、ウィーン条約の「外交駐在官数の平等性」に基づき、カラカスの米大使館員を現在の約100人から、ワシントンのベネスエラ大使館員数17人相当に減らすよう要求した。

 さらに、同条約が禁止している内政干渉を防ぐため、米大使館員にベネズエラ国内での会合について、ベネスエラ当局に逐一報告するよう義務付けた。

 「テロリスト取締名簿」を作成するとして、米政府現・元高官たちのベネスエラ入国を禁止する意向を表明した。米政府が既にとった措置に報復するため。

 同名簿には、前大統領ブッシュ、前副大統領チェイニー、元CIA長官テネット、クーバ系極右米連邦議会議員4人らの名前も記載されるもよう。

 大統領はまた、双務性に則り、今後、ベネスエラを訪れる米国人は査証取得が義務付けられ、手数料は米ドルで支払うこととした。

 デルシー・ロドリゲス外相は同日、大統領が発表した一連の措置を米政府に通告した、と明らかにした。官報掲載をもって発効する。

 大統領は、ベネスエラを不安定にする要員を確保するため海岸地帯や、コロンビア国境のタチラ州などで活動していた米国人たちをスパイ容疑で逮捕した、と明らかにした。

 マドゥーロはこの日、支持者の大集会で演説した。その模様は全国中継のラジオ・テレビ統一放送で伝えられた。大統領は演説で、米国のアフリカ系、ラテン系、移住者ら「虐げられている人々」への連帯を表明した。

ビクトル・ハラ殺害容疑者の裁判は年末に延期

 チレ内務省人権局は2月28日、ビクトル・ハラを殺害した主犯格の元陸軍士官の裁判は年末になるもようと明らかにした。元士官ペドロ・バリエントスは米国に逃亡し、米国籍を取得し、フロリダ州内に住む。

 ハラの遺族から告訴され、米法廷で2月23日に裁判が始まることになっていた。だが被告は当初の考えを変え、弁護手続きを申請し、これにより公判日程が変更されたため、裁判開始が延期された。

 ハラはカンタウトール(シンガー・ソングライター)で、「新しい歌」の旗手だった。1973年9月11日の軍事ゴルペ直後に軍隊に拷問され、銃弾44発を撃ち込まれて殺害された。

ウルグアイのホセ・ムヒーカ大統領が別れ告げる

 ウルグアイのホセ・ムヒーカ大統領(79)は、5年の任期最後の日の2月28日、モンテビデオで支持者ら市民に別れを告げた。3月1日、後継のタバレー・バスケス前大統領に政権を渡す。

 3月3日には上院議員に就任し、国会から国政に取り組むことになる。

 ムヒーカは元ゲリラで、軍政の圧政に抵抗し、民政復活のため闘った。ネクタイは一切着用せず、法王、女王、大統領らの前でもどこでも開襟スタイルで通した。

 堕胎、同性愛者結婚、大麻を合法化し、クーバにあるグアンタナモ米軍基地内の強制収容所にいたシリア人ら囚人の身柄を引き取った。こうした人道的、文化的政策が国際社会で高く評価され、ウルグアイの国際的地位が著しく高まった、と評価されている。

 消費主義に警鐘を鳴らし続けた。対統領公邸に住むことなく、首都郊外の小さな農場の自宅に住み続けた。清貧を実践する極めて稀な政治家である。

 政権党・拡大戦線(FA)の政権はバスケス-ムヒーカと、連続2代10年間で、貧困率を40%から11%に減らし、失業率を6・5%に落とした。こうした実績にも基づき、バスケスが2期目の政権に入る。
 

カリコム首脳会議が食糧増産を決め閉会

 カリブ共同体(カリコム)はバハマの首都ナッソーで2月27日首脳会議を終えた。域内の飢餓を無くすため食糧増産計画で協力し合うことや、機構事務局の財政改善などを決めた。

 加盟国のジャマイカは24日、大麻を条件付きで合法化した。首脳会議では、大麻消費の合法化を含む法的規制も話し合われた。

 会議はまた、ゴルペ(クーデター)の陰謀を打ち砕いたベネスエラのマドゥーロ政権への支持、玖米国交正常化合意への支持を表明した。

 ドミニカ共和国(RD)の加盟は、同国内でのハイチ人の地位をめぐる問題が未解決として、またも延期された。