2015年1月31日土曜日

ベネズエラ大統領が対米外交維持不可能になると展望

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月30日、米政府はベネスエラでの残忍なゴルペ(クーデター)の発生を正当化するため心理戦争を展開しており、いずれ外交関係を維持することができなくなる時が来るはずだ、と語った。

 マドゥーロはまた、ワシントンで26日、米政府とカリブ諸国首相らとのエネルギー安保首脳会議が開かれた際、ジョセフ・バイデン米副大統領が、「ベネスエラ政府は打倒され、ペトロカリーベはなくなってしまう」と語ったと、CELAC首脳会議に出席したカリブ諸国首脳らから伝えられ、「マドゥーロ、要注意だ、と言われた」とも述べた。

 大統領は、FBI、CIA、DEAなど米政府諸機関がゴルペの陰謀に加担しており、「バラク・オバーマ大統領は知っているはずだ」と指摘した。カラカスの米大使館は、国軍、政界、言論界から離脱者を確保しようと画策しており、外交権の範囲を逸脱している、と非難し、「外交関係維持が不可能になる」と続けた。

2015年1月30日金曜日

パラグアイ人民軍(EPP)がドイツ人牧場主夫妻を殺害

 パラグアイ内務省は1月29日、農村ゲリラ組織「パラグアイ人民軍」(EPP)が北部のコンセプシオン県内でドイツ人牧場主夫妻を同日殺害した、と発表した。EPPは夫妻を拉致したが、出動した特殊部隊と銃撃戦となった。夫妻は拉致から10時間後に殺された。

 ロバート・ナット(60)、エリカ(53)の夫妻。父親から受け継いだ牧場を経営していた。

 内務省によると、EPPは2006年以降、この2人を含め文民26人を殺した。警官13人、兵士5人も殺している。軍・警察側はEPP要員を17人逮捕し、13人を殺している。

 この国には、地主の1%が耕地の77%を所有するという、すさまじい不公正がある。 

ベネズエラ国軍は治安出動時に銃器使用も辞さず

 ベネスエラ政府は、極右・保守勢力らによるグアリンバ(街頭暴力)開始1周年となる2月初旬が近付いているのに備え、国軍を治安出動させ、必要な場合、致死力のある銃器を使用させることを決めた。27日の官報に記載された。

 チャベス主義政権の打倒を狙う同勢力、米国などは連携して工作を続けてきた。昨年12月、対玖国交正常化合意に至った米国は、ベネスエラ政権孤立化と打倒に力を入れており、軍部の分断を図っている。昨年は軍部が団結を維持したためクーデターは起きなかったが、分断が進めばクーデターの可能性が膨らむ。反政府勢力と米国はそれを狙っている。

 故ウーゴ・チャベス大統領らの護衛長を務めた海軍少佐は米当局の計らいで米国に亡命し、「ディオスダード・カベージョ国会議長と麻薬組織との関係」を暴いている。これも分断工作の一環だが、国軍は29日、カベージョ議長支持を表明した。

 反政府勢力の画策が進む一方、ベネスエラ経済は国際原油価格下落などにより苦境にあり、ニコラース・マドゥーロ大統領は一昨年4月の就任以来、最も厳しい状況に直面している。

篠田・工藤の写真と語り、今村夏海のアルパが魅了

 東京のセルバンテス文化センターで1月29日夜、「伊達侍と世界をゆく」会合が催され、篠田有史と工藤律子の写真と語りが満場の聴衆を一時間に亘って魅了した。伊高は計時役に集中した。

 また、メヒコ・ベラクルスに学んだ今村夏海のアルパ(ハープ)が聴取の耳と心を楽しませた。

 異色の組み合わせだったが、このような交流企画もなかなかいい。

第3回CELAC首脳会議が宣言採択し閉会

 第3回CELAC首脳会議は1月29日、「ベレーン(サンホセ)宣言」、2特別宣言、27個別決議を採択して閉会した。次回会議は来年、エクアドールで開催される。

 主宣言は、玖米国交正常化合意に満足の意を表すとともに、経済封鎖を糾弾し、バラク・オバーマ大統領に大統領権限によるさらなる封鎖緩和を求めている。

 「経済封鎖を終わらせるためのCELAC特別宣言」は、経済封鎖とヘルムズ・バートン法を糾弾し、封鎖の早期解除を要求している。「対テロリズモ闘争支援特別決議」は、米国による一方的な「テロ支援国家指定」を糾弾している。指定されているクーバの指定解除を要求するものだ。

 今会議には加盟33カ国首脳のうち、ラ米20ヵ国からは亜墨秘パラグアイの大統領が欠席した。他の13カ国は、スリナム、ベリーズなど8カ国首脳が欠席した。その結果、出席した首脳は21人に留まった。

米政府がグアンタナモ基地は返還しないと言明

 米政府は1月29日、「バラク・オバーマ大統領は在玖グアンタナモ基地内の収容所を閉鎖する意志を明確にしているが、同基地を閉鎖するつもりはない」と述べた。これは前日、ラウール・カストロ玖議長が、対米国交正常化にはグアンタナモ基地返還が含まれると明言したのに答えたもの。

 一方、米両党上院議員8人は29日、米国人の対玖自由渡航と米玖間銀行送金を禁止している法を廃止する法案を議会に提出した。これは、オバーマ大統領が打ち出した、経済封鎖法体系を無くす議会による取り組みの第一歩となる。

 また民主党のベティー・マッカラム下院議員は29日、対玖宣伝ラジオ・テレビ放送(マルティ放送)を廃止する法案草案を提示した。

 クーバ観光当局筋は、米国人の自由渡航が可能になれば初年度に300万人が来訪する、と見ている。だが、ホテル客室数など受け入れ態勢が整って、いない、と指摘している。昨年一年に来訪した外国人観光客は300万人だった。

2015年1月29日木曜日

ラウール議長がCELAC首脳会議でグアンタナモ返還を要求

 「米州の南」ラ米およびカリブの計33カ国が加盟するラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)の第3回首脳会議が1月28日、コスタ・リカ(CR)首都サンホセ西方郊外15kmのベレーンで始まった。会議議長のルイス=ギジェルモ・ソリースCR大統領は開会演説で、地域統合の理想実現を訴えた。

 今会議の花形は最長老のラウール・カストロ玖国家評議会議長(83)。対玖国交正常化合意が中心議題の一つとなっている。ラウールは演説で、「復交は正常化過程の始まりだが、経済封鎖が終わらない限り正常化派不可能だ」と強調した。

 さらに、米政府による「テロ支援国家」指定解除、米占領地グアンタナモ基地の返還、移民規定改革、反玖放送打ち切り、米国による対玖破壊活動による損害への賠償も正常化のため必要だと指摘した。

 ラウールは、CELACによる反封鎖への支持に感謝し、4月パナマ開催の米州首脳会議への出席を確認した。

 今会議の主要議題は貧困対策。今年のラ米・カリブ地域の経済成長予測は2・2%。貧困率は2002年48%、昨年は域内人口6億人で28%だった。ブラジルのヂウマ・ルセフ大統領は、2025年までに飢餓を無くそうという国連食糧農業機関(FAO)の計画をCELACが採り入れたことを讃えた。

 ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は、米支配下にあるプエルト・リコ(PR)の独立を支持した。オルテガは持ち時間の一部を、PR独立党のルベーン・バリオス党首に与え、同党首はPRの「ラ米・カリブ性」を強調した。

 コロンビアのフアン=マヌエル・サントス大統領は、ハバナで続けられている政府とコロンビア革命軍(FARC)の和平交渉に関し、支援国家であるクーバ、ベネスエラ、チレに謝意を表した。

 ベネスエラのニコラース・マドウーロ大統領は、ラ米の大統領経験者数人が最近カラカスでの反政府派行事に参加したことについて、ゴルペ(クーデター)を画策している右翼勢力にラ米諸国の要人が加担するなどということがあっていいものか、と訴えた。(同国のディオスダード・カベージョ国会議長は28日カラカスで、自身と麻薬組織との関係を報じたスペイン紙ABCおよびベネスエラメディアを名誉棄損で訴えると述べた。)

 今首脳会議には大統領・議長・首相が出席しているが、亜国、メヒコ、ペルー、パラグアイの大統領は欠席した。会議は29日「サンホセ宣言」を採択して閉会する。輪番制議長国はエクアド-ルに移る。 

今夜「伊達侍と世界をゆく」の集い

◎「伊達侍と世界をゆく」=東京・セルバンテス文化センター企画=

★本日29日(木)1900時から、地下鉄有楽町線麹町駅近くのセルバンテス文化センターで(入場無料)

語り ジャーナリスト 工藤律子   写真家 篠田有史   聞き手 伊高浩昭

 工藤・篠田が、昨年刊行した歴史紀行『伊達侍と世界をゆく』(河北新報社)の執筆・撮影に懸けた熱い思いや体験談を縦横に語る。道中を飾る数々の写真が大写しされる。

☆その後には、今村夏海のメヒコ・ベラクルース調アルパの演奏が続く。

2015年1月28日水曜日

ベネズエラ首脳の元護衛長が麻薬組織と高官の関係を米で証言へ

 ベネスエラの故ウーゴ・チャベス大統領とディオスダード・カベージョ現国会議長の護衛長を務めたレムシー・サラサールという海軍少佐が1月26日、ワシントンに到着した。スペインの右翼紙ABCが27日伝えた。

 米麻薬捜査局(DEA)はベネスエラ国内で時間をかけて少佐を説得し、その結果、少佐は昨年12月密かにベネスエラを出国、スペインに約1か月滞在してから米国入りした、とされる。

 少佐は米検察に、ベネスエラ政府・国軍高官と麻薬組織「ロス・ソーレス」との関係について証言するという。既に、同組織の頭目はカベージョ議長だ、と暴露している。

 ABCによると、この組織はコロンビア革命軍(FARC)がコロンビア国内から運んでくるコカインを受取り、米欧に流している。国営ベネスエラ石油会社(PDVSA)の航空機も、コカイン密輸に使用された、という。さらにクーバが中継地として絡んでいる可能性もあるという。

 米政府は、マドゥーロ・ベネスエラ政権の打倒を目指して揺さぶりをかけている。今後の「サラサール証言」は、米政府にとっては重要な<切り札>になる可能性がある。

ベネズエラ大統領が「コスタ・リカにテロリストが存在」と糾弾

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月27日カラカスで、コスタ・リカ(CR)にテロリスト集団が入り込んでいる、と糾弾した。

 サンホセでは28、29両日、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)の第3回首脳が開催される。大統領はCRへの出発に際して語った。CR政府に警備強化を要請した、とも述べた。

 この発言を受けてマヌエル・ゴンサレスCR外相は27日サンホセで、マドゥーロ大統領がテロリストの標的になっているという「事実確認」はなされていないと述べた。

 そのうえで、「テロリスト集団」の存在も確認されていないとし、警備には万全を期している、と強調した。

 サンホセにはラウール・カストロ玖議長、エル・サルバドール、チリ、ボリビアなどの大統領が既に到着している。   

メキシコ検察庁が「43学生事件」の捜査終了と発表

 メヒコ検察庁のヘスース・ムリージョ長官は1月27日、強制失踪事件に遭った教員養成学校生43人は殺され所持品ともども焼かれた、との結論を発表した。これにより捜索は終了した、とも述べた。

 事件は昨年9月26日、ゲレロ州イグアラ市で発生した。学生の一人の遺骨はウィーンでのDNA鑑定により身元が判明したが、残る42人の遺骨は焼かれてしまっているため特定できない、という。

 42人の犠牲者の家族は「遺族」になったことを認めず、政府に捜査続行と事件の全貌解明を要求している。  

きょう28日からコスタ・リカでCELAC首脳会議

 ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC=セラック、33カ国加盟)の第3回首脳会議が1月28、29両日、コスタ・リカの首都サンホセで開かれる。これに先立ち27日、加盟国外相会議が開かれ、採択される「サンホセ宣言」の内容がまとまった。

 宣言には、貧困、教育、社会参加、男女平等、開発、組織犯罪取締、国際経済制度の不均衡、米玖関係などに関する決議が盛り込まれる。

 米玖関係では、一時も早い経済封鎖解除を米議会に訴える。

アルゼンチンが新しい情報機関設置へ

 アルヘンティーナのクリスティーナ・フェルナデス=デ・キルチネル(CFK)大統領は1月27日、新しい諜報機関「連邦情報局」(AFI)を創設する法案を州内に国会に提出する、と明らかにした。

 大統領はまた、「対イラン合意」をめぐって政府内部を含め私に攻撃が加えられたが、それは検事、判事、匿名の告発者、誇大報道するジャーナリストらから成る集団だ、と非難した。

 そのため昨年末に、従来の情報庁(SI)を改革する方針を打ち出した、と説明した。検事が18日殺害された事件は旧情報機関の防諜幹部の教唆による、と政府は見ている。

 大統領はさらに、私は国家テロと国際テロの犯罪者の無処罰は許さないと強調し、ブエノスアイレスのイスラエル大使館が爆破され29人が死亡した事件と、同市内の亜国イスラエル相互協会(AMIA)が94年に爆破され85人が死亡した事件を国際テロの代表的な例として挙げた。

 軍政時代の国家テロについては、1000人を超える容疑者を逮捕、うち900人以上を起訴し、558人を断罪した、と述べた。

ウルグアイの貧困率は5・7%

 国連ラ米・カリブ委員会(CEPAL)のラ米社会展望報告が1月26日、発表された。それによると、ウルグアイの貧困率と極貧率はそれぞれ5・7%、0・9%。チレは同7・8%、2・5%。

 ペルーは23・9%と4・7%。エル・サルバドールの貧困率は40・9%、パラグアイは40・7%、コロンビアは30・7%だった。

メキシコ学生強制失踪事件から4カ月、依然未解明

 メヒコ中南部ゲレロ州のイグアラ市で教員養成学校生43人が強制失踪させられた事件は1月26日、発生から4カ月が経過した。事件はいまだに未解明で、怒る学生の家族や人権団体は政府に抗議を続けている。

 この日、メヒコ市では市内の四方から中心部の憲法広場(ソカロ)に向けて抗議行進が実施された。家族代表のフェリーペ・デラクルスは、「ゲレロ州では今後選挙は実施されない。州民を代表する政党がないからだ。投票すれば、組織犯罪集団に投票することになる」と述べた。

 政府は真剣には捜査しておらず、世論が事件を忘却するのを待っている、との批判が起きている。人権団体の弁護団は、膠着状態を打開するため、州内陸軍駐屯地と、前州知事および前州検事総長の事件関与を捜査すべきだ、と訴えている。

 首都での抗議行動には、主催者発表で1万5000人、首都市庁発表で1万人が参加した。抗議行動は、北の墨米国境から南東の墨グアテマラ国境まで全国各地で決行された。

2015年1月27日火曜日

フィデル・カストロが玖米合意を初めて論評

 クーバのフィデル・カストロ前国家評議会議長(88)は1月26日、大学生連盟(FEU)宛ての「我がFEU同志諸君へ」と題した書簡で、玖米国交正常化合意に初めて言及し、「私は米国の政策を信用しないが、このことは紛争の平和的解決策を否定するものでは全くない」と述べた。

 「異論はあるが反対しない」というフィデルの気持ちが窺える。書簡はFEU議長ランディー・ペルドモが読み上げ、国営テレビが伝えた。27日付の共産党機関紙グランマは全文を報じた。

 フィデルは「我々人民の模範的行動を知る友人たちに私の基本的姿勢を簡単に説明する」とし、「我々は政敵を含む世界中の人民との協力と友好を常に守る。これこそが皆のために我々が求めているものだ」と強調している。

 また、「クーバ議長は、人民権力全国会議(国会)とクーバ共産党(PCC)が与えた権限と資格をもって、適切な措置をとった」と、実弟ラウール議長(83)を支持している。

2015年1月26日月曜日

故チェ・ゲバラの甥マルティンが来日

 革命家チェ・ゲバラの甥マルティン・ゲバラ(51)が1月26日、初来日した。スペイン在住で、昨年、ハバナでの少・青年時代を綴った『ある神話の陰で』が話題になり、同書は英語にも翻訳された。

 
 東京、京都を中心に1週間あまり滞在するが、その間、著書を紹介する会合を予定している。日本語訳の刊行を願っている。

ベネズエラ政府が日本人殺害を糾弾

 ベネスエラ外務省は1月25日、ニコラース・マドゥーロ大統領名で声明を発表、シリア国内での日本人人質殺害とテロリズムを糾弾し、併せて日本人と日本政府に哀悼の意を表明した。

アルゼンチン下院議長が検事殺害は諜報機関の仕業と語る

 アルヘンティーナ国会下院のフリアン・トミンゲス議長は1月25日、ブエノスアイレスの自宅で18日他殺体で見つかったアルベルト・ニースマン検事は「諜報機関に殺害された」と述べた。

 クリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル大統領は昨年12月、国家情報局長を更迭したが、それが関係しているとの見方を議長は示した。

 議長は、「大統領は、防諜要員も絡んだ、政府不安定化を狙うマフィア的行為の犠牲者だ。一部メディアは便乗して不安定化に一役買っている」と指摘した。

 18日の事件について最初に伝えたジャーナリストは脅迫され命の危険を察知して出国し、25日までにイスラエルに入国した。

キューバの新しい投資規定が3月下旬に発効へ

 クーバの新しい投資規定が1月23日、官報に掲載された。60日後、発効する。従来はクーバ資本による国内投資と外資は別々に規定されていたが、それぞれ別々だった規定は一本化された。民族資本、合弁、100%外資が包含される。

 現在、投資の85%は中央計画に基づいており、経済・企画省、貿易・外資省、閣僚評議会執行委員会が決定する。今後は、企業代表が関係官庁の事前許可なしに投資を決めることができる。

 規定には、投資対象別の投資者の義務や入札についての規定も盛り込まれている。

 

 一方マイアミでは24日、反カストロ派クーバ系団体「クーバ抵抗会議」(ARC)が、クーバ人追悼碑の前で、玖米国交正常化合意に反対する集会を開いた。年配の参加者は、フィデル・カストロが死なない限り対米接近はないと思っていたため玖米合意には驚愕し事態に順応できない、と語った。

 だが玖系社会の多数派は合意を支持している。最近、マイアミデイド地域の住民組織は、クーバ人に1966年以来、米国移住の特権を保障してきたクーバ調整法の見直しを米議会に要請する決議を採択している。

2015年1月24日土曜日

対米交渉直後のキューバがラ米重視姿勢を示す

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は1月23日ハバナで、ウルグアイのラウール・センディッチ副大統領と会談した。ミゲル・ディアスカネル第1副議長、ブルーノ・ロドリゲス外相も出席した。センディッチはまた、クーバ共産党のホセ=ラモーン・バラゲール国際局長と別途会談した。

 センディッチは、ウルグアイの旧都市ゲリラ組織「トゥパマロス・民族解放運動(MLN)」を率いた故ラウール・センディッチの息子。

 クーバ側のセンディッチに対する外交上の破格の待遇は、対米国交正常化に踏み切ったクーバが、従来にも増してラ米との関係を重視していることを内外に示す狙いを持つ。

 この日、米マスターカードが3月1日からクーバで使用できることになった。アメリカンエクスプレス社はクーバ進出を検討中。

 玖米交渉の米首席代表ロベルタ・ジェイコブソンは23日、ハバナでクーバ反体制派の7人、反体制ブロゲラ(ブログ発信者)ヨアニ・サンチェス、ハバナ大司教・枢機卿ハイメ・オルテガと、それぞれ別途会談した。この後、記者会見し、人権は米国の中心議題だ、と述べた。

 同首席はまた、大使館開設には「数か月かかりそうだ。近くクーバ側と次回交渉の日程を決める」とも語った。4月パナマで第7回米州首脳会議が開かれる際、初の玖米首脳会談が開かれる見通しだが、大使館はその前に開設されると見られている。

 一方、ハバナ大司教区機関誌「自由の言葉」は22日、「対米関係正常化には時間がかかる。だが長い麻痺状態は終わった。我々は長年の対立で傷ついている。その痛みは誰も同じだ。敵の亡霊をでっちあげようとしている者が依然いるが、前を向こう」と呼び掛けた。

ベネズエラ大統領がラ米大統領経験者3人を「極右支援」と非難

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月23日、極右勢力が26日に予定しているセミナリオ(セミナー)にラ米3国の大統領経験者が招かれていることに関し、「政府を認めず、ゴルペ(クーデター)を呼び掛けている極右勢力を支援しに来ることになる」と警告した。

 セミナリオに招かれているのは、フェリーペ・カルデロン前メヒコ、セバスティアン・ピニェーラ前チレ、アンデレス・パストラーナ元コロンビアの大統領経験者3人。23日は、軍事独裁者マルコス・ペレス=ヒメネス打倒57周年記念日。大統領は、その記念集会で演説した。

 大統領は、「セミナリオは世論を欺くための反政府派の画策だ。もしゴルペが起きたら、あなたたちはテロを支援したことによって血にまみれることになる」と、厳しく非難した。カルデロンについては、麻薬マフィアと結びつけ、「彼はメヒコでも拒絶されている」と指摘した。

 26日には、街頭暴動教唆罪などで起訴されている極右指導者の公判が予定されている。大統領経験者3人は25日カラカス入りし、その日、同極右被告に面会する予定という。

 野党連合MUDは24日、カラカスでフライパンを叩いて行進する抗議行動「カセロラソ」を計画している。MUDは合法範囲で行動する多数派と、街頭暴力など非合法活動も辞さないとす極右少数派との間に昨年から亀裂が生じている。

 一方、国際通貨基金(IMF)は、ベネスエラ経済が今年7%縮小する、との見通しを打ち出した。インフレは100%に達しうる、とみる経済学者らもいる。

2015年1月23日金曜日

キューバ・米「国交正常化」は次回交渉に持ち越し

 ハバナで1月22日行なわれた玖米国交正常化のための第1回交渉は、結論が出ず、数週間後に再び話し合うことになった。クーバが白人警官による黒人射殺事件など米国内の人権問題を取り上げ、米国が玖当局による反体制派逮捕などを持ち出し、人権で鋭く対立した。

 ロベルタ・ジェイコブソン米首席代表は交渉終了後、「国交正常化は、大使館再開よりもずっと長く複雑な過程だ」と指摘。玖側首席のホセフィーナ・ビダル外務省米国局長は、「我々が望んでいるのは対等主権と民族自決に基づき、互いの体制の違いを尊重し内政干渉しない新しい外交関係だ」と強調した。

 双方は数週間内に日程を決め、2度目の交渉をすることで合意した。今交渉では予想通り相互の隔たりの大きさが際立った。米首席は、「米雇い兵部隊のヒロン浜(プラヤ・ヒロン)侵攻(1961年4月)やクーバ核ミサイル危機(62年10月)など、半世紀余りの相互不信を克服できるかどうかに懸っている」と述べた。

 ビダルは、「我々は隣国同士だが、大きな隔たりがある。だが国際社会には、そのような国同士が平和裡に共存している例が幾つもある」と付け加えた。

 交渉の場となった会議殿堂では、外国メディア通信員、特派員ら200人が取材した。

アルゼンチン大統領がニースマン検事他殺説を認める

 アルヘンティーナ(亜国)のクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル(CFK)大統領は1月21日、首都の自宅で18日変死体で見つかった検事ニースマンは「当初私が思っていたような自殺ではなかった」と表明した。

 CFKは」また、検事が捜査を要求すること自体は政府にとって構わないが、検事の死こそは政府にとって問題を起こすものだ、と指摘した。

 検事は拳銃で自殺した可能性があったが、硝煙反応がなく、射殺されたものと断定された。さらに自宅のアパルタミエントには玄関、勝手口のほかに、もう一つの出入り口があることがわかり、犯人の出入りが可能だったことも判明した。

 検事は19日国会で、大統領、外相ら5人が絡むイランとの「闇取引事件」について証言することになっていた。その前夜に殺害された。世論は真相解明を求めて沸騰している。  

ボリビアのエボ・モラレス大統領が3期目就任

 ボリビアのエボ・モラレス大統領(55)は1月22日、連続3期目に入った。国会での就任式で50分間演説し、「いつの日か、太平洋岸領土を回復する」と述べた。

 また、欧州で生まれた自由主義、社会主義のいずれもボリビアには適さないと前置きし、「我々の哲学はビビール・ビエン(良く生きる)だ」と強調した。

 また、「ボリビアは企業家でも銀行家でもなく、民主的に選ばれた人民が統治している」と指摘した。

 モラレスは、コチャバンバ市郊外チャパーレのコカ葉栽培農民の組合指導者として頭角を現し、社会主義運動(MAS)党から国会議員となった。2006年1月22日、大統領に就任、石油・ガスを国有化した。先住民の権利を謳う新憲法を制定し、新憲法下での
任期は今回が2期目。任期は2020年1月までの5年。

 就任式には、ブラジル、ベネスエラ、パラグアイ、エクアドール、コスタ・リカ、トゥリニダードトバゴの6カ国大統領らが出席した。

2015年1月22日木曜日

キューバは脱国者促す「調整法」廃棄求め、米は維持主張

 玖米両国は1月21日ハバナで移民問題について話し合った。双方とも話し合いの雰囲気は「建設的だった」と評価した。クーバは、頭脳流出や渡米経済難民を誘発してきた「クーバ調整法」の廃棄を求めたが、米国は今後も維持すると、譲らなかった。双方は移民問題での話し合い継続で合意した。

 この日、米国務省米州担当次官補ロベルタ・ジェイコブソンはハバナ入りし、22日の国交正常化をめぐる対玖交渉の首席代表を務める。

 一方ワシントンでジョン・ケリー国務長官は、ハバナの米国大使館を正式に開く折に訪玖したいと述べた。ブルーノ・ロドリゲス玖外相とは何度も電話で話し合ってきたが、適切な時期に会談したいとも語った。

 長官はさらに、(クーバ側が提示している)米大使館外交官の人数制限、米外交官の地理的行動制限、クーバ人の米大使館自由入館規制など見直さねばならない課題があると指摘した。

 「米国の利益を求め、我々の価値観をクーバ人民に伝える」とも、長官は語った。

 クーバの反体制派は21日、玖米国交正常化合意が発表された12月17日から1月17日までの1ヶ月間に、クーバで反体制派103人が逮捕されたと明らかにした。これには、身柄の一時拘禁が多く含まれている。 

ベネズエラ大統領がガソリン値上げの必要性訴える

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月21日、国会で施政報告・方針演説を行ない、国際原油価格が低迷し外貨収入が落ち込んでいる今、ガソリン価格を引き上げるべきだ、と述べた。

 大統領は昨年7月、政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV)の第3回大会時に、年間125億ドルないし150億ドルの補助金で維持されている格安のガソリン代を値上げする必要性を表明、その後、政権党支持層の労組を中心に値上げについて議論させてきた。

 今演説でも、値上げの必要性を強調しながらも、国内の広範な議論を呼び掛け、値上げの具体案について指導権を発揮しなかった。大統領はまた、現在の通貨ボリーバル(bf)の3種類ある換算率を「経済が安定するまで維持する」と述べた。

 大統領は、昨年2~5月続いた反政府右翼らによるグアリンバ(街頭暴力事件)や、その後の国会議員暗殺事件などを挙げて、野党勢力には政府に平和裏に対抗する施策がない、と批判した。   

ボリビアのエボ・モラレス大統領が3期目に入る

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は1月22日、連続3期目に入る。これに先立ち21日、ラパス郊外ティティカカ湖畔のティワナク遺跡で、先住民族アイマラ人の伝統儀式に則り、新たな任期を託された。

 モラレスはアイマラ人。22日にはラパスで正式の就任式が挙行される。

パブロ・ネルーダの新たな死因調査を実施へ

 ノーベル文学賞詩人、故ペブロ・ネルーダの新たな死因解明調査をすることが1月21日決まった。チレ政府は今月9日、それを決める当事者に加わり、決定した。

 旧ピノチェー軍政による毒殺の疑いが濃いとして一昨年、毒物の痕跡を突き止める調査が実施されたが、痕跡は見つからなかった。遺族は、蛋白質と染色体から死因を探る新たな調査を求めていた。新たな調査は染色体調査になる。

 軍政は、ネルーダがクーデター直後の1973年9月死去した際、死因を「前立腺の末期癌」と発表した。

キューバ人選手5人が今季日本プロ野球でプレー

 キューバ・スポーツ庁(INDEL)は1月21日、日本のプロ野球で今季(2015年)、クーバ人選手5人がプレーする、と発表した。

 アルフレド・デスパイネ(千葉ロッテ)、フレデリチ・セペーダ(読売巨人)、エクトル・メンドーサ(同)、ユリエスキ・グリエル(横浜)、実弟ルールデス・グリエル(同)。

 現在、最終的な交渉段階にあるが、日本プロ野球側には選手名を登録済み、という。

ニカラグアの詩人エルネスト・カルデナルが90歳に

 ニカラグアの詩人エルネスト・カルデナルは1月20日、90歳の誕生日を迎えた。カトリック司祭で「解放の神学」に傾注し、ソモサ独裁打倒のためゲリラ戦を展開していたサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)を支持、1979年7月の革命勝利で発足したサンディニスタ政権の文化相になった。

 故ローマ法王ヨハネ=パウロ2世は1983年にニカラグアを訪問した際、マナグア空港でカルデナルを「政治宣伝をしている」と、公然と咎めた。

 政権党FSLNは90年下野し、カルデナルは94年、ダニエル・オルテガ書記長(前大統領、現大統領)に裏切られたとして離党し、同党分派を支持した。今日でもオルテガを「権力の亡者」と非難している。

 2009年にパブロ・ネルーダ・イベロアメリカ詩文賞、12年にソフィア女王賞を受賞した。
 

チェ・ゲバラの孫カネクがメキシコ市で死去

 革命家エルネスト・チェ・ゲバラの孫カネク・サンチェス=ゲバラ(40)が1月20日、メヒコ市の病院で心臓病の手術中に死亡した。チェと最初の妻イルダ・ガデアの間の娘イルダ・ゲバラ=ガデアとメヒコ人アルベルト・サンチェスの息子。

 1995年、母イルダが死ぬと、翌96年メヒコに去り、やがて南部のオアハーカ市に定住する。作家、デザイナーとして活躍した。革命クーバに批判的で、反逆児だった。

 ハバナで少年時代の一時期を共にしたマルティン・ゲバラ(51)は、カネクを、メヒコ古代文明の神話に出てくるケッツァルコヨトゥル(羽毛ある蛇)と形容し、その死を悼んだ。

 マルティンは、チェの末弟マルティンの息子で、スペイン在住。昨年、少年時代の回顧を通じ革命体制を批判する著書『ある神話の陰で』を出版した。今月末、同書の紹介を兼ねて初来日する。

チリ軍政が残した悪法ビノミナル制度の廃止決定

 チレ国会下院は1月20日、圧倒的多数で、国会議員選挙における「1会派1選挙区2候補出馬制度」(ビノミナル制度)を廃止する法案を可決した。上院は14日に可決済み。近く、ミチェル・バチェレー大統領の署名をもって発効する。(1月15日の記事参照)

 この制度は、ピノチェー軍政が1990年3月の民政移管に備えて89年に制定した。少数派の右翼・保守会派に実勢以上の議席を与えるもので、軍政が残した代表的な悪法。バチェレー大統領は、これで公約を果たしたことになる。

 新しい選挙法は、ドント方式の比例代表制で、2017年の次回国会議員選挙から適用される。 

2015年1月21日水曜日

LATINA2月号「乱反射」は、キューバ・米国関係解説

◎最近の伊高浩昭によるクーバ関係執筆記事

★月刊誌LATINA 2015年2月号 「ラ米乱反射 連載第106回」
 「キューバと米国が国交正常化で歴史的合意  <社会主義堅持>と<資本主義復活促進>がせめぎ合う」(解説物、5ページ、写真5枚)

▼書評 『13日間 キューバ危機回顧録』 (ロバート・ケネディ著 毎日新聞外信部訳、中央公論新社)


★週刊金曜日誌 2015年1月9日号 「米・キューバ国交正常化合意」、「冷戦終焉で米州は<本音の時代>に突入」(解説物、2ページ、写真2枚)


 

経済封鎖の損害賠償も議題、とキューバが立場表明

 クーバ共産党機関紙グランマは1月21日、玖米交渉開始に先立ち、「外務省筋の話」として、21、22日の交渉に臨むクーバの立場を列挙した。

 
 
 まず「対等、主権、相互性の原則に立ち、建設的的精神で交渉に臨む」と表明。国交正常化交渉は、双方の利害に絡む諸問題に対処すべき長く複雑な過程であり、一度の会合ですべてが解決すると思ってはならない」と警告した。そして、オバーマ大統領の採った措置は建設的ではあるが、経済封鎖解除問題は進展してない、と指摘した。

 2日間の交渉の議題は3つあり、初日は移民問題、2日目は国交正常化交渉、および、その他の協力など2国間関係を扱うと明らかにした。

 移民問題でクーバ側は、2013年1月の改正出入国法施行後2年間の影響について報告する。また、不法移民を誘発し続けている米国の「クーバ調整法」(1966年施行)への懸念を表明する。

 さらに、2006年にブッシュ前政権が開始した、第三国で活動するクーバ人医師・医療技術者に米居住権授与を提示して亡命を促す策謀を交渉で糾弾する。しかし不法移民、自身売買、文書偽造などの分野で協力する用意がある。

 22日午前、大使館が開設される。これは国連憲章と、外交・領事関係に関するウィーン条約に則り、内政不干渉、対等主権、脅迫不可、権利対等、民族自決などに基づいて行なわれる。

 クーバは在米領事館が米市銀口座開設問題で業務が滞った経緯も踏まえ、大使館開設後の口座開設に関し問題なきよう要請する。

 クーバは国交正常化に際し、米国による「テロ支援国」指定を解除するよう要求する。米側に国交正常化の意志があるならば、経済封鎖を解除せよ。封鎖による損害の賠償についても話し合われるべきだ。

 以上を議題にしたいが、一度にすべての議題を取り上げることはできない。双方の隔たりは大きいが、理解し合うのは可能だ。

 第3の議題は協力関係で、これまで不法移民、原油流出で協力してきた。地震対策では協力が始まりつつある。

 米国内には人権問題があり、相互性に基づき、それについても話し合うべきだ。

 米国はクーバの市民社会と接触したいとしている。ならば歓迎する。学生、女性、農民、専門職、身体障害者、労働者などの組織と折衝すればよい。

 両国関係は新時代に入りつつある。過去の過ちは繰り返すべきでない。

 一方、米国務省は20日、対玖交渉団の首席代表ロベルタ・ジェイコブソン国務省米州担当次官補は21日から24日までクーバを訪問し、国交正常化、移民問題などを話し合う、と発表した。

キューバは米国にまず゙「テロ支援国」指定解除を要求へ

 ハバナでの玖米国交正常化交渉を1月21、22両日に控えた20日、クーバ外務省高官は、クーバは国交正常化前に米国に対し、「テロ支援国家」指定取り消しを求める、と述べた。

 高官は、これは必ずしも正常化の条件ではないが、同指定は不公正であり、米代表団に指定取り消しを働きかける、とも語った。

 バラク・オバーマ米大統領は20日の議会での施政報告・方針演説で対玖関係に触れ、議会は年内に経済封鎖解除に取り組むべきだ、と呼び掛けた。それは米州にある(対米)不信を一掃する可能性を持つ、と付け加えた。

 パトロック・レーヒー上院議員を団長とする米民主党議員団5人は17~19日ハバナを訪問し、19日ブルーノ・ロドリゲス外相と会談した。対米交渉首席代表のホセフィーナ・ビダル外務省米国局長、在ワシントン玖利益代表部のホセ=ラモーン・カバーニャス代表も出席した。議員団はこの後、ラウール・カストロ国家評議会議長を表敬した、と伝えられる。

 一方、ロシア海軍情報収集艦ヴィクトル・レオノフ号は19日ハバナ港に入港した。玖米交渉の直前だけに、同艦入港は、ロシアの牽制意志を示すものとして注目されている。

2015年1月20日火曜日

ニカラグア運河ができればパナマ運河の需要30%奪われる

 パナマ運河庁(ACP)のホルヘ・キハーノ長官は1月19日国会での報告で、ニカラグア運河が開通すれば、パナマ運河は年間通航需要の30%を奪われる可能性があると述べた。

 長官は、パナマ運河建設には5億5000万m3の土砂を掘る必要があったとし、ニカラグア運河は推計55億m3を掘らねばならないと指摘した。

キューバが外資のための石油開発規定を打ち出す

 クーバのエネルギー工業省は1月19日、同国内での石油およびガスの開発への参加を希望する外国企業に関する新しい規定を発表した。

 参加したい企業は、本社のある国のクーバ領事館に、必要事項をスペイン語で書いた書類を提出する。受付から45日以内に参加の可否が決まる。

 この新規定は2月16日発効し、2008年の8月の旧規定は失効する。

ローマ法王が7月ボリビアなど南米3国歴訪へ

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は1月19日、ローマ法王フランシスコが7月、パラグアイ、ボリビア、エクアドール3国を歴訪すると明らかにした。大統領は昨年10月ヴァティカンで法王に謁見している。法王庁も確認している。

 法王ヨハネ=パウロ2世が1988年にボリビアを訪れており、以来27年ぶりのボリビア訪問となる。

 一方、法王が今年9月訪米することも明かにされた。ワシントンで米大統領と会談し、国連総会でも演説するという。

 法王庁は、来年は法王がチレ、アルヘンティーナ、ウルグアイを歴訪する計画だと述べた。法王は2013年7月にはブラジルを訪れた。

2015年1月19日月曜日

「アルゼンチン・イラン闇取引事件」の担当検事が急死

 アルヘンティーナ警察は1月19日、アルベルト・ニースマン検事(51)が18日夜、ブエノスアイレス(BA)市内の自宅で変死体で発見された、と発表した。遺体の近くには、本人のものと見られる拳銃があった、という。遺体は解剖される。

 同検事は渦中の人だった。1994年7月18日、BA市内にある亜国イスラエル相互協会(AMIA)が爆破されユダヤ系市民85人が死亡、約300人が負傷した事件の捜査を担当していた。

 ニースマン検事は、事件に関連し14日、クリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル(CFK)大統領、エクトル・ティメルマン外相ら5人の捜査を要求した。5人が2012年、事件の実行者であるイラン人逃亡者を処罰しない代わりに、亜国産牛肉、穀物などを輸出し、イラン原油を輸入する闇取引をイラン政府との間で行なった、という理由からだ。

 検事はまた、大統領らの「不正蓄財」の調査も求めていた。

 同検事は、通話を傍受した膨大な記録を証拠としていた。19日、国会下院刑法委員会で証言することになっていた。その矢先の死であり、検事の友人は、検事は脅迫されている言っていた、と語っている。

 ティメルマン外相は14日以後、検事の主張を否定した。CFK大統領は、検事の死に「故人の死」として哀悼の意を表したが、嫌疑については否定した。
 
19日は昼から夜にかけ、首都の大統領政庁前の五月広場、7月9日大通りのオベリスク周辺をはじめ全国各地の都市で、死んだ検事に連帯し、死因とアミア事件絡みの秘密取引の真相解明を訴えた。



2015年1月18日日曜日

ベネズエラ大統領が2週間の外遊から帰国

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月17日、2週間に亘る外遊を終えてカラカスに帰着した。政権党・ベネスエラ統一社会党(PSUV)は空港からカラカス中心街の大統領政庁(ミラフローレス宮)に至る要所要所に支持者を動員し、帰国歓迎ムードを煽っている。

 大統領は4日出発し、モスクワ空港でロシア副外相と会談してから、北京を訪れ首脳会談に臨んだ。さらに第1回中国・CELAC閣僚級会議に出席した。次いでイラン、サウディアラビア、カタール、アルジェリア、ロシアを歴訪し、それぞれ首脳会談をこなした。

 帰途リスボアに立ち寄り、ポルトガル副首相と会談した。マドゥーロは中国、カタール、ロシアから巨額の援助融資を受けることが決まったと明らかにしているが、具体的説明はなされていない。

 今回の外遊は、原油価格低迷に対処するためOPECおよび非OPECの産油諸国の賛同を得るためだったが、この点はあまり思わしくなかったようだ。ベネスエラ原油は16日、1b=39米ドル台に落ちた。2008年以来の最安値だ。

 大統領は20日国会で施政報告演説をする際、今外遊についても報告することになっている。ベネスエラは極めて厳しい経済危機に陥っており、大統領が効果的な政策を打ち出せるか否かに国中の関心が集まっている。

玖米交渉議題は21日移民問題、22日国交正常化問題

 クーバ外務省は1月17日、ハバナで21~22日開催される玖米外交交渉の玖側首席代表は同省のホセフィーナ・ビダル米国局長と発表した。交渉は市内の「会議殿堂」で行なわれる。この殿堂は国際会議場や国会議事堂としても使用される。

 21日は、従来から半年ごとに両国の首都で交互に開かれてきた移民問題の協議に充てられる。米側首席は、国務省米州担当次官補補佐エドゥワード・リーが務める。

 22日は、国交正常化問題を扱う初の交渉で、米側首席は国務省米州担当次官補ロベルタ・ジェイコブソン。まず、それぞれの首都にある利益代表部を大使館に格上げする決定がなされると見られている。
 

2015年1月17日土曜日

米州人権委がメキシコで学生失踪事件解明に協力

 メヒコの内務省、検察庁、外務省は1月16日共同発表し、米州人権委員会(CIDH)が向こう半年間、学生43人強制失踪事件の解明に協力することになった、と明らかにした。政府は昨年11月12日、CIDHに協力を要請していた。

 CIDHは米州諸国機構(OEA)の人権部門で、ワシントンにある。CIDHはチリ、グアテマラ、コロンビア、スペインの4カ国の弁護士4人、医師1人をメヒコに派遣する。滞在費、活動費など経費はメヒコ政府が負担する。

 5人の派遣団は、捜査方法、犯人割り出し方、被害者家族支援などでメヒコ当局に協力する。半年で真相解明に至らない場合は、滞在が延長される。

 事件は昨年9月26日、ゲレロ州イグアラ市一帯で発生した。メヒコ当局が事件をいまだに解決できないのは、政府、陸軍、警察、自治体、麻薬マフィアなどの利害関係が絡み合っているからと指摘されている。

コレア・エクアドール大統領が施政9年目に入る

 「市民革命」を掲げるエクアドールのラファエル・コレア大統領(51)は1月15日、施政満8年を経た。2007年のこの日、第1期政権が発足したが、新憲法を制定し、任期途中の09年の選挙で当選、2期目に入った。

 13年、通算3期目、新憲法下で2期目に入った。新憲法は連続2期まで認めている。

 大統領は、その2期目が終わったら引退すると表明していた。だが気が変わり、昨年、国会に大統領無制限再選を可能にする改憲法案を提出した。政権党が圧倒的多数派であるため、年内に成立し、コレアは17年の次期選挙に出馬することが可能になる。

 大統領は15日演説し、「国の目標は無限だ」と述べた。メディアは、「無限」の言葉と「無制限再選」を絡めて伝えている。

キューバで2月から高額ペソ札流通へ

 クーバ中央銀行は1月15日、通貨ペソ(CUP)の高額紙幣を2月から流通させる、と発表した。200CUP、500CUP、1000CUPで、それぞれ8、20、40米ドルに値する。

 200CUP札は表右側に、クーバ革命戦争中に暗殺されたフランク・パイースの肖像、裏は7月26日学校(旧モンカーダ兵営)、500CUP札は同じく第一次独立戦争の英雄イグナシオ・アグラモンテ将軍、裏はグアーイマロ制憲議会、1000CUP札は同じく1929年にメヒコ市で暗殺された玖学生政治運動指導者フリオ=アントニオ・メージャ、裏はハバナ大学正門。

 いずれも表の左側に、革命の女傑セリア・サンチェスの肖像が透かしで刷り込まれている。従来の1、10、20、50、100CUP札も有効。

 玖米国交正常化合意に基づき1月16日、クーバは米ドルが大量に流入する時代に入った。高額紙幣は、米ドルと等価の兌換ペソ(CUC)とCUPの交換を容易にする措置でもある。

2015年1月16日金曜日

メキシコの学生強制失踪事件で家族が活動続ける

 メキシコの教員養成学校生43人の家族と支援者は1月15日、内務省で次官に会い、事件の解決を要求した。9月下旬の発生から4カ月近く経つが、学生1人の遺骨の身元が判明しただけで、他の42人の消息は依然確定していない。

 家族と支援者は12日、事件に関与したとされるイグアラ市駐屯の陸軍第27大隊の基地に入ろうとしたが、阻止された。家族らはゲレロ州内のすべての軍関係施設での「立ち入り捜査」を求めている。

 政府が事件調査に本腰でないと見る家族らは、事件と政府を糾弾する世論が弱まりつつあるのを懸念し、焦りの色が濃くなっている。
 

ブラジル民政移管前の大統領選挙から30年

 ブラジルは1月15日、民政移管のため国会がタンクレード・ネヴェス氏を大統領に選出した30周年記念日を迎えた。1964年から21年間続いた5代の軍政は85年、民政に替わった。

 だが就任したのはネヴェスではなかった。就任式前日、急死したためだ。このため副大統領に選ばれていたジョゼ・サルネイ氏が昇格して大統領になった。

 ネヴェスとサルネイは中道保守ないし保守で、長期軍政直後の過渡期にふさわしい組み合わせとして選ばれた。次の89年の大統領選選挙からは直接選挙になった。
  

ベネズエラ大統領がプーチン大統領と会談し援助資金獲得

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月15日、モスクワ郊外の大統領別邸でウラディーミル・プーチン露大統領と原油価格問題や二国間関係について話し合った。最近の玖米関係正常化合意についても話し合われたことは想像に難くない。

 マドゥーロは会談後、投資、輸入、経済安定に必要な資金を獲得できた、と述べた。ロシアの援助総額や投資部門については明らかにせず、帰国後の20日、国会で報告すると語った。2015~16年二国間合同委員会は4月、モスクワで開くとも述べた。

 大統領は13日アルジェリア訪問を終えていたが、14日の日程は明らかにされていない。空路の安全上の理由からか、移動日時などはほとんど伝えられていない。

  マドゥーロは15日、メヒコのエンリケ・ペニャ=ニエト大統領との会談設定を調整中、と述べた。また、外相と石油相を近く、ノルウェー、カザフスタン、クウェート、アラブ首長国連邦など産油諸国に派遣する計画があると明らかにした。

 一方、ベネスエラ検察庁は15日、石油、食糧などの物資のコロンビアなどへの密輸に関与した1111人を起訴した、と明らかにした。昨年8月半ば密輸取り締まりを強化して以来の起訴数。その間、2584人を逮捕し、そのうちの千人余りが起訴された。

米政府がキューバへの旅行、送金、輸出などの規制を緩和

 米財務省は1月15日、クーバに関する規制を大幅に緩和する措置を発表した。先月17日の米玖国交正常化合意に基づく。16日発効する。

 米国人の訪玖旅行は、家族訪問、公務、NGO活動、報道、教育、宗教、展示、人道事業、民間財団、教育機関、輸出、通信機器輸出などの関係者は事前許可を取得する必要はない。旅行代理店と航空会社の職員は訪玖許可不要。

 旅行者はクーバでクレジットカードを使用できる。一日のドル使用制限を廃止する。みやげ物など小規模輸入は一人、酒たばこ100ドル以内を含む400ドルまで。

 対玖送金は、4半期ごと500ドルを2000ドルに増額。従来の年間2000ドルから8000ドルに増える。また旅行者は一回のクーバ行きで、1万ドルをクーバ人贈ることができる。

 米企業はクーバに、携帯電話、テレビ、パソコン、メモリー、録音機、ソフト類を輸出できる。金融会社はクーバ銀行に口座を開設することができる。

 建設会社などは、古い民間建築物を立て直すため建設機材・資材をクーバに送ることができる。保険会社は生命、健康、旅行保険を売ることができる。

 米国人は、クーバの自営業と農業(協同組合など)に投資できる。

 両国は今月21、22日ハバナで国交正常化交渉に入る。

2015年1月15日木曜日

チリ上院が悪法「ビノミナル制度」廃止を議決

 チレ国会上院は1月14日、選挙法改正法案を三分の二の絶対多数で可決した。民意を代表しない従来の「1会派1選挙区2候補出馬制度」(ビノミナル制度)は下院の議決を待って葬られる方向となった。

 旧ピノチェー軍政は1990年3月の民政移管に先立つ89年、少数派の右翼・保守政党に有利なビノミナル制度を導入し、国会議員選挙のたびに実勢以上の議席数を獲得し、民主的改革を阻んでいた。

 この制度では、ある選挙区で二人ずつ立候補した会派Aと会派Bのうち、Aの得票合計がBのそれを上回った場合、Aは2人当選となる。上回らないう場合は、ABそれぞれの上位得票者が当選する。この場合、Aの2位の候補はB1位の得票を超えても落選する。

 昨年3月発足したミチェル・バチェレー大統領の第2期政権は選挙法改正を公約し、今回、一部野党議員の賛成を得て三分の二の壁を乗り越えた。下院での通過は間違いないと見られている。

 改正法は、上院は従来の28選挙区を廃止し15州を選挙区とし、議席数を38から50に増やす。下院は選挙区を60から28に減らし、議席数は120から155に増える。議席はドント方式で比例配分する。

 改正によって小政党候補にも当選の可能性が拡がる。このため新政党が続々結成されることが予想されている。また、男女それぞれの議員が議席数の60%を超えてはならないとされ、事実上40%は女性に割り当てられることになる。

 故サルバドール・アジェンデ大統領の娘で上院議長のイサベル・アジェンデ議員は、改正法可決を「歴史的決定」と讃えた。 
 
  

2015年1月14日水曜日

ベネズエラ大統領がアリジェリア訪問終えメキシコへ

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月13日、アルジェでアブデラジズ・ブーテフリカ大統領と会談し、アルジェリア訪問を終えた。マドゥーロはカラカスを4日発ちモスクワに立ち寄った後、中国、イラン、サウディアラビア、カタール、アルジェリアを歴訪した。

 アルジェから帰国の途に就く予定ったが、帰国前にOPEC非加盟産油国メヒコを訪れることを決めた。

 マドゥーロは、アルジェで「合意がなかったため、OPEC首脳会議開催は当面ない」と述べた。また、「ベネスエラはアルジェリアとともにOPECの指導力強化のため協働する」と語った。

 大統領は12日ドーハでタミム・カタール首長と会談後、「食糧増産計画などのため数十億ドルの融資を受けることになった」と明らかにした。北京滞在中には、中国から巨額の資金援助を受けることが決まった。

 だが大統領が歴訪中期待していた、原油価格安定化への取り組みでは具体的成果が得られなかった。往路、OPEC非加盟国ロシアのモスクワに立ち寄ったが、帰路メヒコを訪問するのも、OPECの枠を超えた産油国同士の協力を重視するからだ。

 一方、カラカスでは12日、ベネスエラ司教会議が、「今日のベネスエラの問題の根本的原因は社会主義モデルだ」と指摘した。これは、カトリック教会が政府に政策転換を求めたものと受け止められている。

2015年1月13日火曜日

『伊達侍と世界をゆく』語る会のお知らせ

◎「本と写真と語りの会合」のお知らせ

★1月29日(木)1900時から、セルバンテス文化センター(CC=セントロ・セルバンティーノ東京)で。CCウェブサイトで予約必要。

 
☆★☆ 昨夏、仙台の河北新報社から『伊達侍と世界をゆく』を出した工藤律子と篠田有史が、数々の写真スライドを示しながら、取材・出版にかけた熱き思いを語ります。質問役は伊高浩昭が務めます。予約してご参加ください。 

キューバが受刑囚53人を約束通り釈放

 米国務省筋は1月12日、クーバ政府が受刑囚53人全員を11日までに釈放した、と明らかにした。昨年12月17日の米玖国交正常化合意の際、クーバは米側が求めた受刑囚53人の釈放を約束していた。

 米政府は引き続き受刑囚釈放を求めていく、と同筋は語っている。

 両国は今月21~22両日ハバナで、正常化合意後初の外交交渉をする。まず相互の首都にある利益代表部を大使館に格上げするが、米側は約束した米国人の対玖旅行、送金、輸出入の制限緩和に踏み切るのではないかとの見方が出ている。

ハイチ大地震から5年、まだ8万人が収容所暮らし

 M7・0のアイチ大地震から1月12日で丸5年経った。22万2570人が死亡、150万人が家屋を失った。国の損出は79億ドルに上った。今も2万家族8万人が105カ所の収容所で暮らしている。首都ポルトープランス一帯には依然、震災の爪痕が残っている。

 政府は、地震直後に国際社会が約束した120億ドルの復興資金のうち40億ドルしか受け取っていない、と嘆いている。

 一方で、慢性的な政治危機が続いている。与野党および3権は昨年12月29日話し合い、この12日に任期が切れることになっていた国会下院議員の任期を4月25日まで、上院議員のそれを9月9日まで、それぞれ延期することを決めた。

 また、暫定的な選管を設置し、その設置から120日以内に国会議員選挙を実施することを決めた。

 政情は2004年2月、当時のジャン=ベルトゥラン・アリスティド大統領が「自立」への動きを示したことなどから、米仏加3国によってアフリカに連れ去られ放置された時から不安定な状態が続いている。

 アリスティド氏はその後、帰国し、野党勢力の背後で影響力を維持している。  

2015年1月12日月曜日

エクアドールでアジア太平洋議会フォーラム始まる

 アジア太平洋27カ国の国会が加盟するアジア太平洋議会フォロ(フォーラム)の第23回会合が1月11日、キトで始まった。会合の議長は、エクアドール国会のガブリエーラ・リバデネイラ議長が務めている。

 会合は15日までの日程で、41の議題について話し合う。開会式で、フォロ創設者で名誉議長の中曽根康弘元首相の代理として、息子の中曽根弘文参議院議員が挨拶した。

2015年1月11日日曜日

ハメネイ師がベネズエラ大統領と会談し、暗に米国を非難

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月10日テヘランで、イラン最高指導者アリ・ハメネイ師と会談した。同師は、両国共通の敵は原油を政治の武器に使って、原油価格を低下させるため一役買っていると、米国を名指しせずに非難した。

 マドゥーロ大統領はこの後テヘランを発ち、サウディアラビアの首都リアドに到着した。その10日夜、ムグリン・アブドゥラジズ王子 
と原油価格安定化問題について話し合った。

 大統領は次いで11日、サルマン皇太子と会談し、同じく価格問題で話し合った。サウディアラビアは、原油減産は同国の国際市場参入を減らすだけで価格変動への影響はない、との立場で、減産の呼び掛けに応じていない。

 一方、ベネスエラ国会の石油担当議員らは、米国のシェール油増産による原油価格下落化戦略は、最大利益を追求する資本主義の原理に反するため長続きしない、との見方を示した。

ベネズエラ、イラン両大統領が原油減産で話し合い

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月9日北京からテヘランに到着し、10日イランのハサン・ロハニー大統領と会談した。

 中心テーマは、価格低下が著しい国際原油価格を「適正価格」に戻すこと。

 両大統領ともに、シェール油を大増産している米国や、原油減産に踏み切らないサウディアラビアを非難してきた。

 石油輸出国機構(OPEC)の生産調整は政治的、戦略的理由により機能しなくなっている。両首脳は減産に向けて協力し合うことで合意した。
  

2015年1月10日土曜日

中国・CELAC会議が五カ年計画策定して閉会

 北京で1月8日から開かれていた第1回中国・CELAC閣僚級会議は9日、2015~19年協力五カ年計画策定を発表して閉会した。中国とラ米・カリブ33カ国は、今回の会合で「経済同盟」関係に達した、と評価されている。

 五カ年計画には、安全保障、政治、通商、融資、社会基盤、資源、工業、農業、科学、人民交流などが含まれている。

 次回閣僚級会議は18年にチレで開かれることが決まった。

 中国はアフリカに次いでラ米・カリブ地域全体を影響圏に組み入れた、と言えよう。

  

2015年1月9日金曜日

キューバ外務省が記者会見開催を否定

 クーバ外務省外国報道局(CPI)は1月9日早朝、内外記者団との会見を同日開くことはない、と述べた。これは8日「フィデル・カストロ前議長死亡説」が流れ、前議長に関する記者会見が9日開かれるとの情報が内外を駆け巡っていたのを否定したもの。

 88歳の前議長は、革命勝利後にハバナに入城した56周記念日の8日姿を現さず、コラムも書かなかった。1年前のこの日フィデルはハバナ市内で公衆の面前に姿を現したが、その後はベネスエラ大統領ら外国要人を自邸に迎える姿が写真で時折伝えられるだけだった。

 コラムは昨年10月を最後に書かれていない。12月17日の対米関係正常化合意、その日帰還した3人の受刑囚の歓迎行事に際しても前議長の発言はなかった。このため容体が気遣われていた。

 今回の「死亡説」の出所もマイアミのクーバ系社会だった。結果的に今回も、前議長の生死を確認するための観測気球(打診気球)だったようだ。

 CPIは記者会見を開くときは通常、メディアの本社や支局に電子メイルで通知する。今回それがなかった。

「77カ国グループ」議長国がボリビアから南アに移る

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は1月8日国連で、1年ごとの輪番制の、発展途上「77カ国グループ」議長国の地位を南アフリカに引き渡した。式典には、ズマ南ア大統領の代理で副外相が出席した。

 モラレス大統領は去年6月半ばボリビアのサンタクルスデラシエラ市で、同グループの首脳会議を開いた。

今月21、22両日ハバナで米・キューバ交渉

 米国務省は1月8日、移民問題をめぐる米玖定期交渉を今月21、22両日ハバナで行なう、と発表した。米側は、国務省米州担当次官補ロべルタ・ジェイコブソンが首席代表務める。

 この定期交渉は半年ごとに相互の首都で行なわれるもので、前回は去年7月ワシントンで開かれた。だが今回は米玖国交正常化合意後の最初の会合であり、移民問題だけでなく正常化実施の具体的話し合いも行なわれる。このため、米側として「革命後最高位の政府高官」を首席とした。

 この交渉をもって、相互の首都にある利益代表部は大使館に格上げされる。

 一方、クーバの反体制派人権団体は8日、正常化合意時にクーバが釈放を約束した受刑囚53人のうち5人が7日釈放された、と明らかにした。

★☆★週刊金曜日1月9日(本日)号に、伊高浩昭執筆の見開き2ページの分析記事「米玖国交正常化合意  冷戦終焉で米州は<本音の時代>に突入」が掲載されています。ご覧ください。
 

2015年1月8日木曜日

メキシコで去年、ジャーナリスト10人が殺される

 ラ米ジャーナリスト連盟(FELAP)は1月7日、去年メキシコでジャーナリスト10人が殺害され、22人が強制失踪に遭った、と発表した。

 今年に入ってからも、ベラクスル州内で一人が自宅から連れ去られたまま行方不明になっている。

中国がエクアドールに75億ドル援助

 エクアドールのラファエル・コレア大統領は1月7日、北京で習近平主席と会談した。大統領は会談後、中国から総額75億ドルの融資を受けることになったと明らかにした。

 社会政策、社会基盤整備、灌漑などに投下される。また中国は、エクアドールが太平洋岸に予定している製油所の建設にも協力することになった。国営ベネスエラ石油会社(PDVSA)の協力が既に決まっていた。

 一方、8日北京で、第1回中国・CELAC閣僚会議が9日までの日程で始まった。習主席は開会演説で、中国とラ米・カリブ地域の貿易は向こう10年間に5000億ドル、投資は2500億ドルに達する、との見通しを示した。

 この会議の設立は昨年7月、習主席がブラジルを訪問した際、決まった。今会議にはベネスエラ、エクアドール、コスタ・リカの3国大統領、バハマ首相、CELAC諸国外相らが出席している。

中国がベネズエラに200億ドル援助、と大統領公表

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月7日、北京で習近平主席と会談した後、総額200億ドルの協力を中国から受けることで合意した、と明らかにした。

 この資金は、エネルギー、工業、開発などに投下されるという。大統領は、この資金が原油価格低迷による苦境を補うのに十分かどうかはわからない、と述べた。

 マドゥーロは8日、北京での第1回中国・CELAC閣僚会議に出席する。中国訪問終了後はサウディアラビア、イラン、アルジェリアを歴訪する。

メキシコのジャーナリスト、フリオ・シェレル=ガルシア死去

 メヒコの著名なジャーナリスト、フリオ・シェレル=ガルシア(88)が1月7日、敗血症で死去した。過去2年、健康が優れず、療養していた。

 シェレルはドイツ人移民の家系で、主要紙エクセルシオールの編集局長を1968年から76年まで務めた。時のグスタボ・ディアス=オルダース、ルイス・エチェベリーア両大統領の政権としばしば対立した。

 同紙を離れた76年11月に政治週刊誌「プロセソ」を創刊し、調査報道に力を入れた。

 一方、ゲレロ州内ではこの日、最近殺害されたと見られる10人の遺体と、腐敗の激しい11の首が発見された。去年11月、頭部のない死体11体が発見されており、その首である可能性がある。

 ワシントンではエンリケ・ペニャ=ニエト大統領がバラク・オバーマ米大統領と6日会談した。昨年9月下旬、ゲレロ州内で発生した教員養成学校生43人の強制失踪事件も話し合われた。ホワイトハウス前では、在米メヒコ人約50人が、43人事件をいまだに解明できない自国の大統領に抗議した。 

コロンビアのゲリラ「民族解放軍」(ELN)が和平意志示す

 コロンビア第2のゲリラ組織、人民解放軍(ELN)のニコラース・ロドリゲス=バウティスタ最高司令は武闘開始50周年記念日の1月7日、政府の和平意志が真正なものと判断されれば、ELNは武闘継続の必要がなくなり、武器を置き和平交渉に応じる、と発表した。

 ELNは50周年に合わせて第5回大会を開き、この方針を決めた。同司令は、ELNは2014年1月から政府の真意を探るための話し合いを続けてきたが、今後はさらに話し合いを続け、政府の意図を判断する、と述べた。

 フアン・サントス大統領は5日、ELNに和平交渉を呼び掛けた。ELNは、これに回答したわけだ。政府とコロンビア革命軍(FARC)は2012年からハバナで和平交渉を続けている。ELNは、FARCが和平に応じてからは、和平交渉に応じる意志があることを再三表明していた。

2015年1月7日水曜日

キューバが受刑囚釈放を開始

 米国務省は1月6日、クーバ政府が受刑囚53人のうちの何人かを既に釈放した、と発表した。先月17日の米玖国交正常化合意時に、クーバは米側が提示した53人の釈放を約束していた。

 同省は、釈放された人数や氏名は公表せず、全員が早期釈放されることを期待する、と述べた。

 クーバの反体制団体は、釈放の事実や誰が釈放されたかなど、一切、確認されていない、と表明している。

 バラク・オバーマ米大統領はこの日、大統領政庁(ホワイトハウス)でメヒコのエンリケ・ペニャ=ニエト大統領と会談した際、対玖正常化合意について説明した。

 米国は1961年以降、対玖断交するようラ米に圧力をかけていたが、メヒコはラ米で唯一断交しなかった国である。だが、米玖合意に至る秘密交渉の場がメヒコでなくカナダだったことに、メヒコはがっかりしたと伝えられる。

2015年1月6日火曜日

ベネズエラ政府が構造改革を年内実施と発表

 ベネスエラのホルヘ・アレアサ副大統領(大統領代行)は1月5日、今年は生産性に基づく構造改革に取り組むと言明した。原油価格低迷、外貨不足、インフレ、物資不足などで悪化する一方の経済を再建するには調整するしかなくなったためだ。

 政府は4日、中央銀行内に1000億ボリーバル(bf)の「戦略的準備基金」(FER)を開設した。年内に4000億bfまで増やし、公務員給与引き上げ、社会政策、公共投資なでに充てるという。

 9月には国会議員選挙があり、その集票作戦に備えた「軍資金」と見なされる。それを構造改革に先立ち備蓄したと考えられる。

 一方、ニコラース・マドゥーロ大統領は5日、北京に到着した。6日、習近平主席と会談する。

 大統領は4日、街頭暴動教唆罪などで裁かれているレオポルド・ロペス被告と、プエルト・リコ独立派指導者オスカル・ロペス=リベラ受刑囚の交換釈放を提案した。だが5日、被告側および米政府は拒否した。

リオス=モント裁判はまたも裁判長忌避で中断

 グアテマラ刑事法廷は1月5日、エフライン・リオス=モント被告(88)の人道犯罪を審理するやり直し裁判の第1回公判を開いたが、弁護側が裁判長を忌避したため中断され、閉廷となった。

 裁判長はかつて、内戦中の軍部による人道犯罪について論文を書いた。弁護側は、裁判長は同論文を踏まえイデオロギー的に偏った立場にある、として忌避した。

 裁判長は、新たな開廷日時を追って発表する、と述べた。弁護側は一昨年、いったん下された禁錮80年の実刑判決を、裁判手続き不備を理由に無効とする判断を勝ち得ている。

 背景には、権力者が処罰を免れる無処罰の長い悪しき伝統がある。

ベネスエラ大統領がモスクワ空港立ち寄り

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月5日、モスクワ空港でロシアのセルゲイ・リャブコフ副外相と会談した。この後、大統領一行は北京に向かった。

 大統領は中国に続いて、サウディアラビア、イラン、アルジェリアを歴訪し、原油価格低迷の対策を中心に話し合う。ベネスエラを含め、みな石油輸出国機構(OPEC、西語でOPEP)加盟国である。

エクアドールが原油価格低迷で歳出を削減

 産油国エクアドールのコレア政権は1月5日、国際原油価格下落を理由に、今年度予算の歳出を14億2000万米ドル削減する、と発表した。この国の通貨は米ドルである。

 削減分は公共投資、公務員給与などに充てられることになっていた。削減により歳出は、348億9700万ドルになった。 

グアテマラのリオス=モントやり直し裁判始まる

 グアテマラの刑事法廷は1月5日、先住民1771人虐殺など人道犯罪の責任者として起訴されている元独裁者エフライン・リオス=モント退役将軍(88)を強制的に出廷させた。

 リオス=モント被告は2013年5月10日、禁錮80年の実刑判決を受けた。だが、裁判手続きに不備があったとして憲法裁判所は裁判やり直しを命じた。そのやり直し裁判の初公判である。

 被告は、体調不良を理由に出廷を拒んだが、裁判長は警察を派遣し、救急車に乗せ出廷させた。

 法廷では、被害者遺族のイシレス先住民が審理をイヤホーンで聴いた。公用語のスペイン語よりもイシレス語の方が理解しやすいからだ。 

 

2015年1月5日月曜日

ベネズエラ大統領が中国・OPEC歴訪へ出発

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月4日、中国訪問のため同日北京に向かうと明らかにした。中国首脳と経済問題や対米関係について会談後、北京で8~9日開かれる第1回中国・CELAC閣僚会議に出席する。

 この会議には、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)輪番制議長国コスタ・リカおよび次期議長国エクアドールの大統領と、カリブ地域代表バハマの首相も出席する。

 マドゥーロは次いで西アジア・中東のOPEC(石油輸出国機構)加盟諸国を歴訪する。国際原油価格が1b=40ドル台後半に落ち込んだベネスエラは財政危機に直面しており、価格引き上げ策について話し合う。

 大統領は一方、カラカスで4日、騒乱教唆罪で裁かれているベネスエラ政界極右指導者レオポルド・ロペス被告の釈放を1日ブラジリアでバイデン米副大統領から求められたことに関連して、「ロペス裁判はベネスエラ主権の問題だ」と強調した。

 その上で、大統領権限に基づくロペス赦免は、プエルト・リコ(PR)独立運動指導者オスカル・ロペス=リベラ受刑囚(71)との交換釈放をもってのみ可能になる、と述べた。

 ロペス=リベラは1976年、PR独立派武闘組織「民族解放軍」(FALN)に参加し、爆弾闘争などに関与した。81年逮捕され、禁錮55年の実刑判決を受け服役した。その後、脱走を試みたとして、刑期を15年加算された。

 99年、時のクリントン米大統領は条件付きで恩赦を与えようとしたが、ロペス=リベラは拒否した。既に34年近く獄中生活を送っている。

ボリビアがローマ法王に「海岸領土回復」に関する青書送付

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は1月4日、ローマ法王フランシスコに、ボリビア海洋回復局(DEREMA)作成の青書を送付した、と明らかにした。法王の要請に応じたという。

 ボリビアは1879年のチレとの太平洋戦争で敗れ、現在の智北部アントファガスタ州一帯を割譲し、海岸領土を失って内陸国となった。以来、「海への出口」回復はボリビア人の悲願となってきた。

 大統領は、法王が今年ボリビアを訪問する可能性に触れた。来訪する場合、法王が海洋領土回復問題でチレとの間で仲介役を果たすのではないかとの期待がボリビアでは膨らみつつある。

マドゥーロ・ベネズエラ大統領の支持率が22%に下落

 カラカスで1月3日報じられた世論調査結果は、ニコラース・マドゥーロ大統領の支持率が22%と、過去最低となったことを示した。2013年4月の大統領選挙で当選した時点では51%だった。

 支持率下落は、経済規模縮小、インフレ、国際原油価格低迷などで、経済運営の行方に暗雲が立ち込めていることに起因する。

 大統領は昨年7月の政権党・ベネスエラ統一社会党(PSUV)大会で、世界一安いガソリン価格を引き上げ、年間150億ドルの補助金を廃止するなど、経済調整の必要性を唱えた。

 だが一向に政策として実行せず、「決断できない大統領」と見なされてきた。ことし9月には国会議員選挙があり、広範な物資値上げを招かずにはおかないガソリン値上げは集票戦略上、致命傷になるとの読みがあるからだ。

 しかし経済専門家は、人気が落ちている今こそ失うものが少ないわけで、政治的には都合が悪いが経済的には不可欠な政策を決断すべきだ、と指摘する。

 ベネスエラは今年、期限が来る巨額の債務返済を迫られる。債務不履行に陥れば、ベネスエラのタンカーが外国の港で差し押さえられることになりかねず、原油輸出そのものが不可能になる最悪の事態に陥る可能性も出てくる。

 オバーマ米政権は、チャベス派のマドゥーロ政権打倒を画策しており、マドゥーロ大統領は就任後最大の危機に直面しつつある。

2015年1月3日土曜日

ブラジルがベネズエラの工業化に協力へ

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月2日ブラジリアで、ヂウマ・ルセフ伯大統領と会談し、工業化政策へのブラジルの協力約束を取り付けた。

 マドゥーロが記者団に明らかにしたところでは、2国間関係および両国が加盟する南部共同市場(メルコスール)の枠内で投資、工業化、技術、農業、食糧、製薬の分野で協力がなされる。

 ベネスエラは外貨収入の95%を原油に依存しているが、国際原油価格が1b=40米ドル台後半に落ちており、同60ドルで15年度歳出を組んだ政府は厳しい状況に追い込まれている。対外債務返済期限も目前に迫りつつある。

 マドゥーロは、産業多角化のため選別的な工業化を目指しており、ブラジルに資金と技術の参加を求めていた。

 ベネスエラとキューバは米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)の創設国で、ALBAは昨年12月結成10周年を迎えた。だが先月の米玖国交正常化合意、今回の伯ベネスエラ協力合意を経て、左翼政治同盟ALBAの経済建設面での心もとなさが鮮明となった。

2015年1月2日金曜日

キューバ革命勝利56周年記念日催される

 社会主義クーバは元日、革命戦争勝利56周年記念日を迎えた。文化省は「クーバ・バ」(クーバは前に進む)と題した踊りと音楽の行事を各地で催している。政治的行事は特に予定されていない。

 共産党機関紙グランマは、反乱軍最高司令として革命戦争を率いたフィデル・カストロの「勝利への不朽の信念」という言葉を掲げた。ハバナの街には、「革命は無敵だ」と記されたフィデルと故カミーロ・シエンフエゴスの肖像入りの大きなポスターが掲げられている。ロシア、ニカラグア、ベネスエラの大統領、北朝鮮総書記らからの祝電が届いている。

 12月17日に「5人の英雄」の残る3人が帰還し、対米国交正常化が決まったことから、いつになく喜びと平穏さが支配する記念日となっている。

ルセフ・ブラジル大統領が2期目に就任

 ブラジルのヂウマ・ルセフ大統領は2015年元日、2期目に入り、ブラジリアで就任式が催された。大統領は、長らく深刻な問題となってきた国営石油ペトロブラス社の闇政治献金捻出事件を挙げて、腐敗との闘い強化をあらためて約束した。

 また経済不調による財政苦から経済調整を図ると明言。だが、貧者救済など社会政策の成果を疎かにすることはないと言い、社会政策継続を誓った。

 首都中心部には、政権党・労働者党(PT)が動員した4~5万人が結集し、オープンカーで通過するルセフの姿を見守った。ラ米からはベネスエラ、ボリビア、ウルグアイ、パラグアイ、チレ、コスタ・リカの大統領、亜国副大統領らが出席した。

 ルセフは、ジョー・バイデン米副大統領と会談した。バイデンは、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領と笑顔で挨拶を交わし、立ち話した。ルセフは2日マドゥーロと会談することになっている。ルセフが米国とベネスエラの関係改善の仲立ちをする可能性がある。

 この日、マウロ・ヴィエイラ外相ら39人の閣僚も就任した。
 

2015年1月1日木曜日

メキシコ人学生43人強制失踪事件で抗議活動越年

 メヒコ市で12月31日、学生43人強制失踪事件の被害者家族と支援者は「学生たちの生還」、「事件解明」、「大統領責任追及」を掲げて抗議のデモ行進をした。

 目抜きのレフォルマ大通りにある最高検察庁前からチャプルテペック公園を経て、ロス・ピノスの大統領公邸に向かった。だが、公邸に通じる道で警察機動隊に行く手を阻まれた。

 家族らは1月1~3日も抗議行動を続けることにしている。学生たちのものと見られる遺骨が既に発見されており、うち一人の身元が判明している。家族には絶望感が深まっている。