2018年5月23日水曜日

 ニカラグア抗議行動の死者は76人、負傷者868人▼米州人権委員会が確認▼同委はオルテガ政権に15項目を勧告▼お知らせ「キューバ・ベネズエラ情勢勉強会」

 ニカラグアで4月18日から5月上旬にかけて続いた反政府抗議行動にさなかに76人が死亡、868人が負傷していた。この事実が確認された。

 オルテガ政権と反政府市民勢力との間の「国民対話」に参加している米州諸国機構(OEA)機関「米州人権委員会(CIDH)」が5月21日、調査結果として発表した。
 死傷者の圧倒的多数は、国家警察機動隊と私服の暴動鎮圧部隊による銃、ゴム弾、催涙ガス弾、棍棒などを用いての弾圧で命を落としたという。

 対話に出席しているダニエル・オルテガ大統領は、「治安部隊は弾圧や発砲は命じられておらず、治安維持のため出動した」と釈明したが、納得は得られなかった。
 抗議行動の主役だった大学生の代表は、大統領および、その夫人ロサリオ・ムリージョ副大統領の即時辞任を要求。学生連盟は、国内各地の道路封鎖を解いていない。

 CIDHは政府に対し、15項目の勧告を提示した。「弾圧即時停止」、「死傷者への加害責任者の特定と処罰」など。また「国民対話」の場に15項目実施状況を検証する仕組みをつくることも含まれている。

★お知らせ:「キューバ・ベネズエラ情勢勉強会」
 本日5月23日(水)1900から、高田馬場のNGOピースボート本部地下で。会費500円。講師・伊高浩昭。申し込み先は、本ブログ表紙部分にあるピースボート作成の案内状参照。


2018年5月22日火曜日

 ベネズエラ選挙最終結果判明▼マドゥーロ大統領は619万票(67・8%)▼有権者に疲労感、投票率下がる▼6月に通貨デノミ実施へ▼米国やリマグループは新たな対抗措置決定

 ベネズエラ国家選挙理事会(CNE)は5月21日、前日実施の大統領選挙の最終結果を発表した。再選されたニコラース・マドゥーロ大統領(55)は619万票(得票率67・8%)を獲得した。登録有権者は2052万人。

 だが5年前、13年4月の大統領選挙でマドゥーロは700万票台、17年7月の制憲議会(ANC)議員選挙で政権党連合は800万票台だった。今回600万票台に留まったのは、投票率が46%と低かったことによる。
 2位の野党候補ヘンリー・ファルコンは191万票(21%)だった。

 有権者の過半数は、長引く経済苦、政治抗争、国際社会での孤立感、チャベス派政権19年への飽きと疲れから棄権に回ったのだ。
 マドゥーロは現在の1期目の任期が終わる19年1月に2期目に入り、25年1月まで6年の新たな施政を任された。次回選挙は20年末の国会議員選挙であり、向こう2年半、選挙を気にせずに施政に集中できることになる。

 現在の任期が来年1月に切れるのは、故ウーゴ・チャベス前大統領の最終任期が13年1月に始まったからだ。マドゥーロは闘病中のチャベスに代わり大統領代行、3月5日にチャベスが死去してからは暫定大統領になり、4月の選挙に臨んだ。

 再選を果たしたマドゥ―ロは6月4日、通貨ボリーバルのゼロ3桁を外したデノミネイションを実施する。新紙幣発行で超インフレに対処しようという計らいだ。
 だが頼みの原油生産が過去30年来最低水準という日量150万バレルに低迷。トランプ米政権に起因する新たな「イラン危機」とともに国際原油価格を押し上げる要因となっている。資金欠乏から産油現場でのインフラ老朽化、労働力流出が著しく、増産に対応できないのだ。

 資金不足は、米国主導による金融封鎖が最大の原因。ドナルド・トランプ大統領は21日、ベネズエラ政府が資金調達のため進める国債販売と、国営ベネズエラ石油(PDVSA)による債務売却を規制する政令を出した。

 また米加墨亜伯智6か国は21日ブエノスアイレスで、ベネズエラ大統領選挙の結果を認めないとし、新たな「制裁」を検討するとの声明を出した。同市ではG20外相会合が開かれる。また11月30日から2日間、G20首脳会合が開催される。

 一方、反マドゥーロ連合である「リマグループ」(グリマ)加盟の亜パラグアイ伯智コロンビア秘CR巴ホンジュラス墨グアテマラ加ガイアナ・セントルシーアの14カ国は21日、ベネズエラ大統領選挙結果を認めないと表明。
 さらに「外交レベルを引き下げるため」として、ベネズエラ駐在大使召還、各国駐在のベネズエラ大使への抗議伝達の2点を決めた。また6月ワシントンでの米州諸国機構(OEA)外相会議で、「ベネズエラ問題」を議題にすることも決めた。

 国内では、分裂、弱体化して事実上「有名無実」化した保守・右翼野党連合(MUD)に代わり結成された「自由ベネズエラ拡大戦線」は21日に、活動方針を打ち出す予定。
 政府支持派論調は、「米国、欧州、グリマ、反動マスメディア群などによる策謀は敗北した」というような内容が目立っている。 

2018年5月21日月曜日

★ベネズエラ大統領選挙は現職マドゥーロ再選▼大統領は「国民対話」呼び掛け▼得票率68%弱、 投票率は46%▼「正常に実施」と国際監視団▼国軍は「大成功」と表明▼キューバ首脳が祝電▼ローマ法王からメッセージ▼米政府は選挙結果を認めず▼米国の内政干渉措置、一層厳しくなる見込み▼パラグアイが大使館をエルサレムに移転

ベネズエラで5月20日実施された大統領選挙は午後6時投票が終了。国家選挙理事会(CNE)のティビサイ・ルセーナ理事長は同日夜、ニコラース・マドゥーロ大統領が582万票(得票率68%弱 )を得て再選された、と発表した。
 投票時間は12時間だった。有権者は2052万人。投票率は46%。マドゥーロ陣営は1000万票獲得を目標に掲げていたが、これには遠く及ばなかった。
 勝利宣言したマドゥ―ロ大統領は、国民対話を呼び掛けた。

 野党側候補は3人で、ヘンリー・ファルコン182万票(21%)、ハビエル・ベルトゥッチ92万票、レイナルド・キハーダ3万票だった。

 同盟国キューバのミゲル・ディアスカネル国家評議会議長とラウール・カストロ共産党第1書記は、別々に祝電をマドゥーロ大統領に送った。

   米国や一部ラ米諸国と連携して選挙ボイコット運動を続けてきた保守・右翼野党連合MUDなど反政府勢力は、「棄権率は70~80%に達した」との見方を根拠を示さずに示していた。

 これに対し、マドゥーロ大統領の選挙運動母体「ソモス・べネスエラ(私たちはベネズエラ)」のデルシー・ロドリゲス事務局長(制憲議会議長)は、「選挙は、棄権を呼び掛けていた側の敗北を明確にした」と述べた。
 これは「棄権率」が54%に留まったのを受けての発言と捉えることができる。

 だが国際監視団の一員としてカラカス市内を巡回したラファエル・コレア前エクアドール大統領は、「私はベネズエラの民主の祭典に参加した。投票は正常に実施された」と表明した。
 コレアは、カナダ政府が在加ベネズエラ人のための投票所設置を妨害しようとしたことに関し、同政府を厳しく批判した。

 ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ前スペイン首相も、「正常」と述べた。国際監視団は当初2000人とCNEは見ていたが、実際に到着し活動しているのは150人。

 国軍戦略作戦司令部のレミヒオ・セバージョス司令官は、全国1万4600余りの投票所のほか、電力施設などを厳重に警戒していると明らかにした。国軍兵士、警察官ら30万人が動員されている。
 またブラディミロ・パドゥリーノ国防相は、「ベネズエラは独自の運命、歴史、民主をもって選挙をしている」と強調。「きょう新たに祖国をつくる。祖国は参政、憲法順守、主権尊重によってつくられる」と述べた。
 選挙結果判明後には、「大成功の一日だった」と語った。

 一方、制憲議会(ANC)のデルシー・ロドリゲス議長は20日、「フランシスコ法王から、我が国の問題を解決する方法を見出すように、とのメッセージをいただいた。ベネズエラへの良き心の呼びかけと善意に感謝いたしたい」と表明した。
 法王はヴァティカンでの定例ミサで「平和と団結への道を探るべし」と表明した。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領からは、「帝国(米国)の内政干渉と、選挙ボイコットの呼び掛けにも拘わらず、ベネズエラ民主の伝統が発揮された」との祝意がマドゥーロ大統領に届いた。

 米国のマイク・ポンぺオ国務長官は「ベネズエラ選挙は何も変革しない」と選挙を否定する見解を表明した。これに対しマドゥーロ大統領は、「クークラックスクラン(白人優越主義の極右団体KKK)の政府からの侵略は軽蔑されている」と反駁した。

 大方の予想どおりマドゥーロ再選なったが、ベネズエラへの内政干渉を厭わない米国と同調する諸国は、さらに厳しい圧力をかけてくる見込み。

 ロシア外務省は21日、米国のベネズエラへの内政干渉を厳しく非難した。

▼パラグアイが大使館を移転

 パラグアイは5月21日、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移した。
式典には、パラグアイのオラシオ・カルテス大統領、Bネタニヤフ・イスラエル首相らが出席した。

2018年5月20日日曜日

 ベネズエラ大統領選挙の投票始まる▼国際監視団が各地に展開▼代表格はサパテロ前スペイン首相▼コレア前エクアドール大統領も到着▼米政府は実力者カベ―ジョ政権党副党首に「制裁」科す

 きょう5月20日午前6時、ベネズエラ大統領選挙の投票が始まった。世界各地から集まった選挙監視団が各地で監視活動をしている。
 国家選挙理事会(CNE)は、投票終了時刻を明確には表明していない。投票所に行列ができるなどして投票が長引くような場合、それを認める構えだ。

 選挙前の支持率調査では、D社がニコラース・マドゥーロ大統領43%、野党候補ヘンリー・ファルコン24%、H社がマドゥ―ロ52%、ファルコン22%。3番手はハビエル・ベルトゥッチでいずれも20%前後。ファルコンは、「ベネズエラ経済の米ドル化」を公約して注目されている。

 米国、欧州一部諸国、ラ米一部諸国は今選挙を認めないと表明している。マドゥーロ大統領は、これについて「欧州も米国も他者と対話し、他者を理解する能力を持っているはずだが」と語っている。

 CNEによれば、国際選挙監視団は2000人に及ぶという。その代表格ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ前スペイン首相(社民主義者)は18日カラカスでニコラース・マドゥーロ大統領らと会談。その後、記者会見し、「今選挙も投票の自由と安全が保障されている」と述べた。
 サパテロはまた、再選を狙うマドゥーロに次ぐ有力候補である野党のヘンリー・ファルコン候補とも19日カラカスで会談。内容は公表されていない。

 サパテロはマドゥ―ロ政権と野党など反政府勢力が厳しく対峙し始めた2016年から国際仲介団の中核として、ベネズエラ政治・政界に関与してきた。
 選挙をボイコットしている保守・右翼野党連合MUDの幹部は、サパテロ前首相を「裏切者」呼ばわりしている。これについて前首相は「選挙や対話をしなければ何も始まらない」と反論した。
 サパテロとともに、元フランス上院議長ジャンピエール・ベルや欧州連合(EU)の元高官も監視団に参加している。

 ラファエル・コレア前エクアドール大統領も参加。昨年、大統領任期を終え、夫人の故国ベルギーに住むコレアは、久々にラ米の「熱い現場」に身を置いている。
 アフリカ連合(AU)の駐米大使アリカナ・クアオもワシントンからカラカス入り。露中央選管派遣のワシリー・リハチョフも監視団に参加している。

 一方、米政府は18日、政権党PSUV(ベネズエラ統一社会党)の副党首で、大統領に次ぐ実力者のディオスダード・カベ―ジョ元国会議長に「制裁」を一方的に科した。「麻薬取引関与」などを理由にしているが、選挙直前のマドゥーロ体制への揺さぶり工作であるのは疑いない。

 

2018年5月19日土曜日

 キューバ航空運航の旅客機がハバナ空港離陸直後に墜落▼3人重体、110人死亡▼機体はメキシコ航空会社から貸与▼キューバ観光産業に痛手▼アルゼンチン政権はキューバとの関係立て直しへ

 キューバの首都ハバナ郊外で5月18日、旅客機が墜落した。110人が死亡、生存者は3人。

 国営航空(クバーナ・デ・アビアシオン)運営のボーイング737-200型機(乗客・乗員113人)オルギン市行き国内便はホセ・マルティ国際空港を離陸して間もない12時08分、サンティアゴデラスベガス手前の農地に墜落、炎上した。

 ハバナ空港では、ヤシの木などが茂る彼方の森の方面で黒煙が舞い上がる光景が撮影されている。離陸を見送ったばかりの整備員らが頭を抱える様子も映っている。
 玖運輸省発表によれば、生存者は女性3人で、病院に搬送されたが、いすれも重体。死亡した110人のうちキューバ人は99人。乗客5人が外国人で、亜国2、サハラウイ2、メヒコ1。乗員6人はメキシコ人。

 機はメキシコのダモー(DAMOJH)航空から貸与されていた。メキシコ民間航空局の安全管理下にあった。
 目的地は、ハバナ東南東670kmのオルギン州都オルギン市だった。同市一帯は観光地として人気が上昇中。市郊外には、カストロ一族の生家跡がある。

 ミゲル・ディアスカネル国家評議会議長は現場に急行、死者への哀悼の意を表明。事故原因を徹底調査すると述べた。観光は、キューバにとって外貨を稼ぐ重要産業。旅客機の墜落事故は痛手だ。

▼マクリ亜国政権がキューバとの関係強化へ

 マクリ政権は5月18日、マルコス・ペニャ首席閣僚とフルビオ・ポンぺオ政府戦略問題担当官を24日ハバナに派遣し、ミゲル・ディアスカネル玖政権と話し合うと発表した。

 亜玖関係は、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル前大統領の8年間と、その前の故ネストル・キルチネル大統領(クリスティーナの夫)の4年間には緊密だった。

 2015年末に発足した財界右翼主体のマクリ政権は親米路線に舵を切ったが、経済が悪化。ペソが暴落し、国際通貨基金(IMF)IMFに支援を求めている。
 政権発足後最大の危機に直面したマウリシオ・マクリ大統領は、来年の大統領選挙を念頭に国内世論も意識。トランプ米政権から「新冷戦」攻勢をかけられているキューバへの「接近姿勢」を示そうとしているわけだ。

 ブエノスアイレスでは20~21日、G20外相会合が開かれる。

 チリのカトリック司教全員がフランシスコ法王に辞表提出▼元神父による性的虐待と、その隠蔽工作への連帯責任認めて▼法王と3日間話し合い決定▼チリ教会は「深い改革」過程にあると表明

 チリ司教会議所属の司教34人(うち3人は名誉司教)は5月18日、ヴァティカン(ローマ法王庁)で、34人全員がフランシスコ法王に辞表を提出、進退を法王の判断に委ねた、と発表した。

 500年の布教史を持つラ米の伝統的カトリック国の司教全員が一度に辞表を提出するのは極めて稀で、重大事。まさにチリの元神父フェルナンド・カラディマが2011年までに神学生3人らを性的虐待していた事実が明るみに出て、チリ教会はこの7年間、大揺れに揺れてきた。

 フランシスコ法王は今年1月訪智し、性的虐待問題に触れた。4月には犠牲者だった神学生3人をローマに招き、事実関係を正した。そのうえでチリ司教会議を法王庁に招集した。
 司教たちは15~17日、法王と4回話し合った。カラディマ元神父は既に永久追放処分となっているが、元神父が犯した罪の隠蔽工作をしたオソルノ司教区のフアン・バリオス司教が今回の話し合いの中心にあった。法王は隠蔽工作に怒りを露わにしたと伝えられる。

 司教会議は18日記者会見し「連帯責任」を認めたうえで、「虐待犠牲者、法王、チリ信者に深く詫びる」と謝罪。「チリ教会は既に深い変革の過程にある」と表明した。
 バリオス司教は過去2回辞意を表明したが法王は受け入れず、調査を進めるよう指示していた。法王は今回は、同司教および、元神父と親しかった数人の辞表を受理すると見られている。

 ラ米を含め世界各地でカトリック司祭による性的虐待事件が起き、カトリック教会の権威が揺らいできた。これが、米国生まれの福音派進出の原因の一つともなっている。
 それだけに、チリだけでなく各国司教会議の危機感は深刻だ。

2018年5月18日金曜日

 1982年のマルビーナス(フォークランド)戦争中の人道犯罪を新たに追及▼アルゼンチン軍新兵を拷問した元上官らに逮捕命令▼厳寒の前線でいじめの悪行▼ウルグアイでは「政治囚記念碑」が完成▼ベネズエラの選挙戦終わる。来賓マラドーナが踊る

 亜国検察は5月16日、1982年の亜英マルビーナス(フォークランド)戦争中に徴兵された新兵たちに拷問的仕打ちをした当時の国軍士官・下士官系26人を人道犯罪容疑で逮捕すると明らかにした。検察は、人道犯罪ゆえに時効はないと説明している

 開戦当初、亜国軍は英植民地マルビーナス諸島を占領、訓練の不十分な新兵多数を諸島に送り込んだ。季節は4~6月で、亜国東方400kmの南大西洋にある同諸島の気候はは晩秋から初冬の寒さ。

 新兵たちは食糧と防寒服の支給不足に不満で抗議、栄養失調になり、現物を盗む者もいた。すると上官らは特に窃盗者に対し、夜間薄着のまま屋外の杭に縛り付けたり、冷水につからせたりし、最もひどい場合は、首から上だけ地上に出す「埋め込み」をした。みぞれの中、日夜「埋め込み」に遭い、衰弱し野戦病院に運ばれる者もいたという。

 検察に被害22件について告発した被害者らは、陸軍第3歩兵師団第5歩兵連隊所属の部隊に配属され、諸島の最前線に送り込まれた元新兵70人の一部。英軍の襲来で脱出したが、平均15~20kg体重が減っていたという。

 1976年3月クーデターで政権を握った亜国軍部は、3代目のレオポルド・ガルティエリ将軍大統領が対英開戦に踏み切り敗北、翌83年、4代目が民政移管に追い込まれた。7年余り続いた軍政下で市民3万2000人が殺害された。その中には、遺体が見つからず「行方不明者」扱いされている者も少なくない。

 極悪非道の軍政は市民の自由と命を奪ったほか、経済を破綻させ、権勢は地に落ちていた。起死回生の大博打として打ったのが勝算のない無謀な対英戦争で、見事に敗北した。
 最前線に巷の青少年と変わらないような新兵部隊を派遣し、人道犯罪行為をするなど、軍政は上から下まで倫理が腐り切っていた。

 既にほとんどが退役している元士官・下士官らが逮捕、起訴され法廷に立てば、マルビーナス戦争の暗部があらためて明るみに出るはずだ。
 当時、この戦争を亜国側から取材した筆者は、この司法案件の行方に関心を抱いている。

▼ウルグアイに政治囚記念碑

 ウルグアイ・サンホセ県にある旧リベルタ―刑務所には、1960年代末から80年前半にかけてのゲリラ戦および軍政期に多数の政治囚が収容された。拷問され、30人が殺された。

 5月15日、刑務所近くに完成した「リベルター刑務所記念空間」の除幕式が挙行された。この記念碑は高さ15mで、壁面には元政治囚2872人の氏名が刻まれている。制作者は2人の建築家で、いずれの親も元政治囚。
 「リベルタ―」は自由を意味する。なんと皮肉で冷笑的な刑務所名だったことか。

▼ベネズエラ選挙戦終了

 5月20日の大統領選挙の選挙戦は17日終了した。再選を目指すニコラース・マドゥーロ大統領の政権党連合は、カラカス目抜きのボリーバル大通り中心部を埋め尽くして最後の集票運動を展開。
 大統領は壇上で歌い、夫人と踊った。駆け付けた元亜国サッカー界の英雄ディエゴ・マラドーナは壇上で「私はマドゥーロの戦士」と叫び、VEN民俗歌謡に合わせて踊りながらVEN国旗を振った。