2018年6月21日木曜日

 グアテマラ大統領が性的虐待で告発さる▼被害女性が告発事実を確認へ▼ダンテ・カプート元アルゼンチン外相死去▼メキシコの日本大使館が在留邦人に勧告

 フエゴ火山の大爆発で災害非常事態下にあるグアテマラのジミー・モラレス大統領が、女性への性的虐待で告発されている。被害者の女性は5月前半、検察庁に告発したが、同庁が「告発状を受理していない」と表明しているため、近日中に告発を確認するという。同国のプレンサ・リブレ紙が6月20日報じた。

 これに先立ち同国のエル・ペリオディコ紙は18日、エドガル・グティエレス元外相執筆の「最悪の大統領」と題する論評記事を掲載。喜劇役者出身のモラレスを「政治政策を持たずに就任した」と扱き下ろし、「モラレスは複数の若い女性への性的虐待に関与した」旨を暴露した。同紙は19日には、関連する論評記事を掲げた。

 プレンサ・リブレ紙によると、告発した女性は生命の危険を感じているが、数日内に告発した事実を確認する。証拠と証人証言を用意しているという。

 これに対し政府は20日、一連の報道内容を否定した。モラレスは大統領候補だった2015年、別の女性から「性的侵害、致傷、脅迫、暴力」で告発されていた。モラレスはその時は「ある政治勢力が取った絶望的な手法だ」とはねつけた。

 大統領は5月には、友人が経営する安全保障会社が支払うべき脱税への罰金750万Q(ケッツァール)の95%を棒引きし、非難された。

 また5月16日、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移した際、モラレスは現地での式典に出席したが、その折の大統領および随行団の往復旅費などは、ラス・ベガスでホテルやカジノを経営しているシェルドン・アデルソンという人物が負担した。

 これは大統領に同行したサンドラ・ホベル外相が明らかにしている。大使館移転と引き換えに外資20億ドルがグアテマラに投下されることが約束されており、アデルソンは投資家の一人だという。

▼ダンテ・カプート元アルゼンチン外相死去

 6月20日、ブエノスアイレスで死去、74歳だった。
 1983年、民政移管を受けて発足したアルフォンシン政権で外相を務め、ローマ法王ヨハネ=パウロ2世の仲裁で、ピノチェー智軍政とのビーグル水道領有権紛争の解決に動き、両国間の平和友好条約調印に漕ぎ着けた。

▼メキシコの日本大使館が在留邦人に勧告

 日本大使館は6月19日、在留邦人向けに、7月1日の大統領選挙を含む総選挙を前に、投票日から数日間、外出に注意するよう勧告した。日本外務省の指令に基づく。

 国会議員、市長などの候補や関係者が計114人も殺害され、政治家や家族への脅迫が続いている事実を指摘。情報を把握し慎重に行動するよう促している。

 ドイツ政府は5月、ドイツ人にメキシコ渡航を控えるよう警告している。今回の日本外務省の勧告は渡航抑制ではない。 

2018年6月20日水曜日

 サッカーW杯:初戦に敗れたコロンビアが悲観に陥る▼一転して、日本の「正当な勝利」讃える▼早くも監督交代説▼場外で不祥事、日本女性が気付かずに馬鹿にされる▼ベネズエラ制憲議会議長決まる▼グアテマラ火山麓は墓地化か

 W杯H組初戦で日本に敗れたコロンビアでは悲観的な論調が充満している。6月19日の各紙電子版は一斉に「敗北の悲劇」を伝えている。

 エル・エラルド紙は、「ロシア2018の悲しい初戦」と題して報道。試合開始3分後のカルロス・サンチェスの赤札一発退場について、「1986年メキシコ大会でのウルグアイ選手ホセ・バティスタの開始後52秒の退場に次ぐW杯史上2番目の早さだった」と指摘した。
 さらに、「コロンビアは日本の鉄壁の守備陣によって、動くべき空間を封じられた」と評した。

 エル・エスペクタドール紙は、「H組で最もつつましい存在と見られていた日本は正当な勝利者として競技場を後にした 」と日本チームを讃えた。

 「コロンビア:悪い発進」の見出しを掲げたAS紙は、「日本は相手が1人減った後、秩序を保ち、驚愕したコロンビアの空間を封じてしまった」と、これまた日本を評価した。

 エル・ティエンポ紙は、サランスクの競技場で観戦したハメス・ロドリゲスの娘サロメ―が試合後、母親ダニエーラと抱き合って泣いていた、と写真付きで報じている。衝撃的敗北を象徴する場面として捉えたようだ。

 当のハメスは、「顔を上げ、忍耐をもって、次の試合に希望を託そう」と表明。ラダメ・ファルカオも、「敗戦は悲しいが、この逆境を好機に変えよう。対ポーランド戦は命がけで戦う」と決意を表した。

 コロンビアのホセ・ポケルマン監督への批判も渦巻いている。「引き分けを狙っていたさなかに決勝ゴールを決められてしまった」という見方が多い。
 采配の誤りは、クアドラードとキンテーロを交代させたことと、不調のハイメを出場させたこと。この批判も多い。

 監督自身、「サンチェス退場後、試合の進め方が複雑になった」と述べ、「コロンビアの決勝リーグへの展望を日本が暗くした」と本音を吐いた。

 「大会終了後、監督が交代する可能性がある。ドイツ相手にメキシコを勝たせたフアン=カルロス・オソリオ監督(コロンビア人)が有力な選択肢だ」ーこうした観測が早くも 各紙誌面を賑わわせている。

 一方、サランスクの競技場外でも問題が起きていた。コロンビア人の男性サポーターが禁じられている酒を観客席に持ち込んで飲んでいる映像が公開され、ロシア当局は調査するもよう。
 コロンビア外務省もこの問題を把握、懸念を表明している。

 また試合後、観客席でごみを片付けていた日本の若い女性サポーター数人に、コロンビア人男性サポーター2人が、スペイン語で「私は雌犬だ。どこにでも行く売春婦だ」と言わせた映像が公開され、問題になっている。
 「これが問題の<2人のスペイン語教師>だ」と、同男性2人を糾弾する記事も出ている。「日本人女性が西語を理解しないのをいいことに卑猥な言葉を押し付けた」と厳しい。

 あるコロンビア人女性は、「いったいどんな種類のコロンビア人がロシアに行っているのだろう。恥ずかしい。すべての日本人女性と世界の女性にお詫びしたい」とSNSで発信している。

▼ベネズエラ制憲議会新議長決まる

 制憲議会(ANC)新議長に6月19日、ディオスダード・カベ―ジョ元国会議長が選出された。デルシー・ロドリゲス(前)議長がこのほど執権副大統領に転出したため、後任選びが進められていた。

 カベ―ジョは、マドゥーロ政権の政権党PSUV(ベネズエラ統一社会党)の副党首。元陸軍中尉で、故ウーゴ・チャベス前大統領の側近だった。陸軍中佐だったチャベスが空挺、戦車部隊を率いて1992年に起こしたクーデター未遂事件にも参加した。

▼グアテマラ火山の麓一帯は墓地化か

 フエゴ火山の大爆発で厚い火山灰に覆われた麓一帯は、埋没した住民の遺体や家屋を発掘しないまま、広大な墓地(カンポ・サント)になるもよう。当局者が6月19日明らかにした。
 6月初めからの爆発で、171万人が被災、1万3000人が家屋を失った。110人が死亡、197人が行方不明となっている。

2018年6月19日火曜日

 メルコスールがアスンシオンで首脳会議▼欧州連合(EU)など他の経済ブロックとの経済合意問題を討議▼中国との経済関係促進も▼ベネズエラ情勢に関する特別声明を採択▼国連がプエルト・リコ独立を米国に求める決議を採択

 南部共同市場(メルコスール)は6月18日、アスンシオンで定例首脳会議を開催。議長のパラグアイ大統領オラシオ・カルテスは、海岸線のない同国の内陸国性に鑑み優遇措置を受けられるよう、他の3国に要請した。
 カルテスは任期満了で8月退陣するため、最後の首脳会議となった。

 会議にはカルテスの他、ウルグアイのタバレー・バスケス、ブラジルのミシェル・テメルの両大統領、アルゼンチンのガブリエーラ・ミケッティ副大統領が出席した。マウリシオ・マクリ亜国大統領は通貨ペソ下落など経済問題への対応に終われ、欠席した。
 ベネズエラも加盟国だが、「民主秩序の欠如」を理由に資格停止処分中。

 会議では、欧州連合(EU)をはじめ他の経済ブロックとの協定締結問題とベネズエラ政情が主に話し合われた。EUとの協定は大幅に遅れている。
 向こう半年間の議長となったバスケス・ウルグアイ大統領は、中国との経済合意促進を表明した。

 会議は、「ベネズエラ情勢への深い懸念」「ベネズエラ人難民問題の軽減措置の必要性」などを盛り込んだ特別声明を採択して閉会した。

▼国連がプエルト・リコ自決決議を採択

 国連非植民地化特別委員会は6月18日、米植民地プエルト・リコの民族自決と独立の権利を認め、それを受け入れるよう米政府に要求する決議案を可決した。

 決議案はキューバ、ニカラグア、ベネズエラ、エクアドール、ロシア、シリアの6カ国が共同提案した。同じ決議が過去に何度もなされているが、米国は無視してきた。

 スペイン領だったプエルト・リコは1898年以来、米国の植民地にされてきた。米政府は「米国との自由連合国家」化を徐々に進めようとしているが、国連委決議は、独立を求めている。

 プエルト・リコは「豊かな港」を意味。コスタ・リカ(豊かな海岸)同様、その昔、金銀財宝を探しに来たスペイン人が命名した。

2018年6月18日月曜日

 コロンビア次期大統領に右翼政党候補イバン・ドゥケ▼決選で左翼候補グスタボ・ペトロを下す▼FARCは和平合意改悪は内戦再開を招くと警告、対話を求める▼ベネズエラ外務省がニカラグア情勢で声明発表

 コロンビア大統領選挙決選は6月17日実施され、野党「民主中央」のイバン・ドゥケ候補(42)が当選した。予想通りの結果だった。8月7日就任する。

 極右のアルバロ・ウリーベ前大統領が率いる同党は、サントス現政権が2016年11月に到達したゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)との和平合意に強く反対していた。ドゥケは当確後、記者団を前に「和平合意を修正する」と言明した。

 これに対し、政党化したFARC(人民革命代替勢力 )の最高指導者ティモチェンコことロドリーゴ・ロンドーニョは記者会見で、「次期大統領に思慮分別を求める」と表明。合意が改悪されればコロンビアは再び政治暴力の巷に陥るだけだ、と警告した。
 さらに次期大統領に会って話し合う用意があると強調した。

 対抗馬の左翼・中道左翼・進歩主義路線の「人間的コロンビア運動」のグスタボ・ペトロ候補は善戦したが、及ばなかった。

 選管発表では、開票率93%段階での得票率は、ドゥケ54・28%(1031万票)、ペトロ41・54%(800万票)。投票率は44・35%。

 第1回投票は5月27日実施され、候補者5人が出馬、ドゥケ39%、ペトロ25%で、それぞれ1、2位となり、決選に進出した。

 前評判を覆せなかったペトロは、「これは敗北ではない。800万人もが私に投票してくれた」と述べ、ドゥケ次期政権に対し、野党の立場で平和構築や腐敗掃討などに尽力すると表明した。

 FARCのティモチェンコも、「従来と異なる野党勢力が国会に生まれる」と述べ、ペトロらの活動への期待を表明している。

 ペトロは上院議員、その副大統領候補だったアンヘラ=マリーア・ロブレードは下院議員になる。1991年の改憲で、決選に進出し敗れた正副大統領候補にはそれぞれ上下両院議席が与えられることになったが、国会はこの規約を昨年4月ようやく承認した。

▼VEN外務省がニカラグアに関し声明発表

 ベネズエラ外務省は6月17日声明を発表、二カラグア反政府勢力による政治目的での暴力行使を糾弾した。声明はまた、マナグアの貧困地区で2人が路上で焼き殺され、一家6人が自宅を放火され焼死した最近の事件を非難した。

 そのうえで、問題解決は対話によるしかないと強調した。声明は、暴動鎮圧のため出動しているオルテガ政権系私服武装組織による殺傷には触れていない。

 一方、ベネズエラ政府と反政府勢力の若い対話を仲介しているホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ元スペイン首相は15日カラカスで、野党の民主行動党(AD)、新時代(UNT)の代表および、国家選挙理事会(CNE,中央選管)の元幹部と会合した。

 サパテロはマドゥーロ政権が、反政府政治暴力事件などに関与し収監ないし拘禁されている囚人のうち、昨年12月69人、今年6月123人、計192人を釈放したのを、和解に貢献する措置として評価した。

 

2018年6月17日日曜日

 ニカラグア司教会議がオルテガ大統領に「来年3月29日選挙、4月15日就任」を提案▼大統領再選禁止含む改憲も▼生き残り戦略探るか、オルテガ・サンディニスタ体制

 ニカラグア政府と反政府勢力は6月15日、カトリック司教会議(CEN)の仲介で2週間ぶりに対話を再開した。首都マナグア市内にある聖母ファティマ神学校で開かれた。政府側首席代表はデニス・モンカーダ外相。

 双方は、①4月18日以来の一連の暴力事件による死傷者と加害者に関する調査を米州人権委員会(CIDH)が再開②国連と欧州連合の人権機関に対話参加を要請③米州諸国機構(OEA)事務局の介在④いかなる側からの暴力・脅迫も即時停止⑤双方による検証・治安委員会設置⑥いかなる監視活動も即時停止⑦道路交通を遮断している障害物の撤去⑧CEN調停案への政府回答めぐる討議実施ーで合意した。

 CENは7日、ダニエル・オルテガ大統領に、①大統領選挙を含む総選挙を2019年3月29日実施。大統領を含む当選者は翌4月15日就任②憲法改正ーを提案した。
 改憲は、選挙法改正、大統領再選禁止、最高裁判事任期延長に国会承認不可欠、などを定めるため。

 大統領は「対話の場で話し合う」と回答した。その「対話の場」は16日以降になる。オルテガが、21年10月予定の次期大統領選挙を2年半繰り上げて来年実施するCEN案に同意するか否かが焦点。

 同意する場合、向こう1年弱の間に生き残り戦略を探るはずだ。あるいは3月選挙案を数カ月遅らせる逆提案をする可能性もある。

 反政府活動と、これに対する政府側の弾圧が始まってから18日で2か月。死者は200人に近づいている。対話は、選挙繰り上げ実施の可否をめぐり山場に差し掛かっている。

▼TV番組で解説

 17日2100~2200のテレビ朝日「たけしTVタックル」の「軍事パレード」で、ペルーとコロンビアの特殊部隊などについて筆者は短く解説しました。その中で「(ペルー)アンデス地方の先住民族」とあるのは、「アンデス地方(の山岳高地でない低地の)先住民族」の意味です。ご参考まで。

2018年6月16日土曜日

 日本にメキシコ人2500万人を送り込めば即辞任だろう▼トランプ米大統領がG7会合で安倍首相に言い放つ▼メキシコ各紙が米紙報道基に伝える▼マクロン仏大統領にも言いたい放題▼米墨間で深刻な移民問題が野党大統領候補アムロの人気を押し上げる▼チェ・ゲバラ生誕90周年式典催さる▼ロサリオ市ではホセ・ムヒーカ氏が記念演説

 「ドナルド・トランプ米大統領は安倍晋三首相に対し、<君にはこの問題(移民問題)はないが、私はメキシコ人2500万人を日本に送り込むことができ、そうなれば君はすぐに辞めなければならなくなるだろう>と言った」

 メキシコのウニベルサル、レフォルマなど各紙電子版や、「シンエンバルゴ」など電子新聞は6月15日、一斉に報じた。同日の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の転電。

 WSJは、カナダで8、9両日開かれたG7首脳会議の際の非公式会合でトランプ大統領が例え話として発言したと、「その場にいた欧州連合(EU)高官の話」として伝えた。

 転電記事はまた、トランプ大統領がエマニュエル・マクロン仏大統領に対し、「君はこの問題(テロリズム)を認識せねばならない。なぜなら全テロリストがパリにいるからだ、と言った」と報じている。

 トランプ政権が昨年1月発足して以来、メキシコにとり在米同胞移民への扱いは深刻な問題となっている。「国境の壁」建設、TLCAN(北米自由貿易条約=協定=NAFTA)見直しを含め、制度的革命党(PRI)の現政権は押しまくられっ放し。

 これが、野党の大統領候補AMLO(アムロ=アンドレス=マヌエル・ロペス=オブラドール)の人気を押し上げる主要な要因の一つとなっている。7月1日の大統領選挙でのAMLO当選が有力視されている。

▼ゲバラ生誕90年記念式典催さる

 玖サンタクラーラ市のラス・ビージャス中央大学講堂で6月14日夜、チェ・ゲバラの側近だったラミーロ・バルデス革命司令官(86、国家評議会副議長)、エステバン・ラソ人民権力全国会議(国会)議長、共産党幹部ら多数が出席し催された。

 詩人の故ニコラース・ギジェンの作品「チェ、コマンダンテ」(司令官チェ)の朗読、チェ・ゲバラに関係する音楽、歌、舞踊も披露された。

    またゲバラの生地である亜国サンタフェ州ロサリオ市で14日催された記念式典には、ホセ・ムヒーカ前ウルグアイ大統領が来賓として出席し、モニカ・フェイン市長、ミゲル・リフシッツ州知事らを前に演説した。

 「エル・チェは思い通りに生き死んでゆこうと企図した。社会的戦士だった。写真に写るだけの夢想家でなく、理想と共に歩む模範的人物だった。その理想を実現しようとした」と述べた。 

2018年6月15日金曜日

 「ベネズエラへのいかなる干渉にも反対」とブラジル外相が言明▼チリ外相も同様の発言▼トランプ米政権からのVEN軍事介入の打診を拒否か▼VEN執権副大統領に女性闘士デルシー・ロドリゲス就任

 ブラジルのアロイジオ・ヌネス外相は6月14日、「ブラジルはベネズエラへのいかなる種類の干渉にも反対する。同国の問題は交渉を通じ平和裡に解決されねばならない」と述べた。

 チリのロベルト・アンプエロ外相も12日、「ベネズエラの問題はベネズエラ人が交渉で平和裡に解決すべきだ。リマグループなど国際社会は、それを支援する」と語っている。

 南米有力国外相の相次ぐ同種の発言は、対朝首脳会談が一段落したトランプ米政権が、マドゥーロVEN政権を軍事介入で倒したい誘惑に駆られている可能性を示唆する。

 ラ米諸国はこれまでに何度か、トランプ政権からのVEN武力加入の打診を拒否してきた。だが政権中枢や共和党内に右翼強硬派を抱えるドナルド・トランプ大統領が、中間選挙前に「対朝対話よりも鮮烈な成果」を挙げるため、VEN侵攻をあらためて画策している可能性は十分考えられよう。

 これまで米州諸国機構(OEA)で反マドゥ-ロの米国に同調してきたラ米保守・右翼陣営も、軍事侵攻に加担するのには二の足を踏む。
 ブラジル軍部は1964年、米国の後押しでクーデターを起こし、生まれた軍政は21年も続き、米国に意見を容れながら強権政策や左翼弾圧を進めた。
 チリ軍部も73年、米政府と連携し、アジェンデ社会主義政権をクーデターで倒した。

 今や、ラ米側の「ためらい(二の足)」が、ベネズエラにとり救いとなっている感がある。

 一方、ニコラース・マドゥーロ大統領は14日、政権中枢と閣僚の人事を発表。大統領権限を引き継ぐことのできる執権副大統領にデルシー・ロドリゲス制憲議会(ANC)議長を任命した。

 これまでの執権副大統領タレク・エルアイサミは、新設の産業・国内生産相と、経済部門担当副大統領になった。水産・農業、貿易・外資、都市農業、観光、公共事業、運輸、労働、女性、環境社会主義の9相も交代した。この他、新設された水利省の初代水利省も就任した。

 公共事業相になったマルレニー・コントレラス(前観光相)は、大統領に次ぐ実力者で、政権党PSUV副党首のディオスダード・カベージョの妻。カベ―ジョは以前、公共事業相を務めた折、大規模な汚職関与が指摘された。

 デルシー・ロドリゲスはマドゥーロ政権下で通信・情報相、外相、ANC議長を歴任。兄ホルヘは通信・情報相で、マドゥーロの側近中の側近。また兄妹の父ホルヘはマルクス主義政党「社会主義連盟」創設者で、1976年7月、秘密警察に拘置所で拷問され死亡した。

 マドゥーロ大統領は任命に際し、デルシーを「勇気ある百戦錬磨の若い女性にして殉教者の娘であり、実績は証明済み」と最大限に讃えた。デルシーはANC議長を兼務する。
 5月20日の大統領選挙で再選されたマドゥーロは来年1月、2期目に入るが、これに備え、大型人事で政権の内部固めをした。

 政府は12日、政治暴力事件関与などで収監されていた囚人11人を新たに釈放した。その一人、大学都市メリダで反政府学生運動の指導者として活動、16年月末から拘禁されていたビルカ・フェルナンデスは父親の母国ペルーに追放された。

 コロンビア軍は13日、VEN国境のアラウカ県フォルトゥル市の密林を空爆。和平に応じなかったFARC(コロンビア革命軍)の武闘継続派残党16人を殺害した。

▼本日発売の「週刊金曜日」誌に、『アイルランド革命』(小関隆著、岩波書店)の書評(拙稿)掲載。ご参考まで。