2016年5月15日日曜日

ベネズエラが「国外からの脅威」に備え非常事態発動

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は5月14日、向こう3カ月間有効の「非常事態」を発動、併せて、1月から続いている「経済緊急事態」の3ヶ月間延長も発表した。2017年までに生産力回復を図る狙い。

 「非常事態」は、「国外からの脅威に対処するため」。マドゥーロ大統領は、ヂウマ・ルセフ伯大統領が「停職処分」になり政権から排除された12日、これをゴルペ(クーデター)と非難。13日には、「次に私がゴルペに遭うのを阻止するため非常事態を敷く」と語っていた。

 マドゥーロは、「ゴルペの背後には米国が居る。米国はラ米進歩主義の潮流を断ち切ろうと策謀している」と指摘している。

 ベネスエラ国内は、野党連合MUDが国家選挙理事会(CNE)に申請中の大統領罷免の是非を問う国民投票をめぐり、政府と反政府勢力の間の緊張が極度に高まっている。

 CNEは12日、MUDが2日提出した185万人の投票申請者名簿について、署名を9日数え終えたと明らかにした。これを16~20日にディジタル化し、18~6月2日に約20万人の指紋を照合する。これが通れば、MUDは4日間に400万人の署名簿をCNEに提出し、投票実施を要請する。

 最初の申請には、有権者の1%、20万人弱の署名でいいのだが、MUDは185万人もの署名を提出し、処理に時間がかかることになり、裏目に出た。

 MUDは、マドゥーロ大統領が、故ウーゴ・チャベス前大統領の就任時から数えて任期が4年を超える来年1月10日以前に投票を実施させるのに躍起だ。憲法は、任期4年後ならば大統領が罷免されても、副大統領が大統領に昇格して残り任期を全うする、と規定している。

 MUD幹部は13日マイアミでの会合で、米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務総長(前ウルグアイ外相)と会った。アルマグロはMUDの意向を汲んで、「大統領罷免投票は12月以前に実施されるべきだ。実施されないと、ベネスエラ人民が意志表示する可能性が出てくる」と警告した。

 アルマグロはまた、「OEAで、米州民主憲章に照らしてベネスエラの民主状況を話し合うことになるかもしれない」とも語った。

 一方、ワシントンポスト紙は14日、米諜報機関筋発言として、「マドゥーロ政権は年内に人民蜂起によって倒れる。氷がきしむ音が聞こえる」と報じた。