2016年5月4日水曜日

リオデジャネイロ五輪の聖火がブラジル到着

 リオデジャネイロ五輪の聖火が5月3日、空路ブラジリアに到着、大統領政庁でヂウマ・ルセフ大統領に引き渡された。その式典で大統領は、「ブラジル政治は今、不安定であり、極めて困難な、民主の真の危機に直面している。だが、最良の方法で選手と訪問客を迎える」、「ブラジル人民には権利のために闘い、民主を守る術がある」、「リオ五輪は大成功を収めるだろう」と述べた。

 聖火は、大統領の手で松明に点火され、第1走者のファビアーナ(女子バレー主将)に渡された。聖火は国内300都市を1万2000人に掲げられて回り、五輪開会式当日の8月5日、リオ市内のマラカナン主競技場に到着する。

 米州で7度目、ラ米で2度目、南米で初めて、ポルトガル語圏で初めて、南半球で3度目となるリオ五輪だが、ルセフ大統領は弾劾の危機に直面しており、五輪期間中は、上院での弾劾審議のため停職処分になっている公算が大きく、開会式出席は絶望的と見られている。

 一方、ロドリーゴ・ジャノット検事総長は2日、大統領弾劾審議開始の首謀者である下院議長エドゥアルド・クーニャ、野党PSDB(伯民社党)指導者アエシオ・ネヴェス上院議員らを贈収賄事件関与容疑で取り調べる許可を最高裁に求めた。

 検事総長はまた、ルセフ大統領とルーラ前大統領、および3閣僚を、国営石油会社ペトロブラスをめぐる贈収賄事件関与・捜査妨害の容疑で取り調べる許可も最高裁に求めた。

 検察はこれまでにも捜査する時間がたっぷりあった。上院本会議での大統領弾劾審議開始が11日に迫っている時期に、特にクーニャらの取り調べ許可を求めるとは極めて滑稽で茶番劇くさいと言わねばならない。クーニャの桁外れに巨額な収賄事実は昨年既に判明していたのだ。

 クーニャをはじめとする汚職議員たちは事態をうやむやにするため、連合して大統領弾劾の方向に突っ走ってきた、と世論は見なしている。弾劾がゴルペ(クーデター)だと内外から厳しく糾弾されている所以だ。

▼ラ米短信  ボリビアのラパス大学は5月3日、ノーベル物理学受賞者の梶田隆章東大宇宙線研究所長がボリビアでのガンマー線観測所建設を構想している、と明らかにした。

 梶田所長は週末にラパスを訪れた。同大学によると、梶田は日本で500万ドルの資金を確保し、2018年から3年かけてアンデス高地にある標高5000m級のエストゥケリーア山に観測所を建設したいと語った。