マイク・ペンス米副大統領は6月15日、マイアミで16日まで続く「中米安全保障・繁栄会議」で、中米首脳や企業家を前に演説、ベネスエラ情勢に触れて、「自由こそが繁栄への真の道であることをベネスエラに示すべきだ」とラ米諸国に呼び掛けた。
ペンスはまた、「ベネスエラでの<権力濫用>と暴力を早急に止めさせるべきだ。安保は繁栄の道だ」とも述べた。これは、ベネスエラへの軍事介入も選択肢に入れている米政府の苛立ちを表している。米州諸国機構(OEA)が、米国、カナダ、メヒコ、ペルーなど対VEN強硬派と、ニカラグア、ボリビア、カリブ諸国などベネスエラ擁護派に割れていて、米国の思い通りの決議ができないからだ。
米南方軍は13~17日の日程で、ベネスエラの眼と鼻の先のトゥリニダード&トバゴ(TT)で合同軍事演習を実施中。この「砲艦外交」と副大統領発言で、軍事、政治両面からベネスエラに圧力をかけているわけだ。
ペンスはさらに、8月13~18日、カルタヘーナ、ボゴタ、ブエノスアイレス、サンティアゴ・デ・チレ、パナマ市を訪問すると明らかにした。
ペンス発言に対し、ボリビアのエボ・モラレス大統領はラパスで、「米副大統領よ、権力濫用とは、母なる大地の権利を保障する気候変動パリ合意をないがしろにすることを指す言葉だ」と厳しく批判した。また、「世界中に侵攻のための軍事基地を置いていることが権力濫用なのだ」と論駁した。
一方、ベネスエラ国家選挙理事会(CNE)のティビサイ・ルセーナ議長は15日、先に発表された12月10日実施予定の州知事・州会議員選挙について、有権者登録を7月15日開始、8月8~12日に立候補届けを受理すると明らかにした。9月4~8日に立候補者を発表、選挙戦は11月15日~12月7日に展開される。
同議長はまた、7月30日投票予定の制憲議会(ANC)議員選挙の地方区に3200人、職能別区に2300人が立候補する、と発表した。
首都カラカスでは15日、「私たちはベネスエラだ運動」(MSV)の710実働部隊の長が任命され、出陣式が催された。政府支持派の若者たちの部隊で、首都の家庭を訪問し、生活上の問題点や政府への要望を聴く。
▼ラ米短信 ◎クーバ外相が欧州歴訪
クーバのブルーノ・ロドリゲス外相は6月15日、トルコ、オーストリア、スロヴァキア、イタリア、ヴァティカン歴訪を開始した。ローマ法王庁では、ベネスエラ問題の平和解決への協力を法王に求めると見られている。
ベネスエラ原油への依存度の高いクーバは、米国や一部ラ米諸国の対ベネスエラ強硬論に危機感を抱いており、軍事侵攻の可能性を封じ込める外交を展開している。