六本木ヒルズ(森ビル)33階にFM81・3の「JーWAVE」放送局がある。2000~2130の「ブレイクスルー」という番組(金曜日担当、青木理パーソナリティー)に30分弱出演し、ブラジル情勢とリオ五輪について話し合った。
窓の外には東京タワーが赤く肢体を誇らしげに輝かせ、彼方にはベイブリッヂが万国旗で飾られた旅客船のように浮かび上がっていた。東京の街は星座にように光っていた。だからガラスの外に目が行くと、生放送に出ていることを忘れてしまう。くわばら、くわばらだ。
放送中に聴取者からTwtで質問が殺到する。その一つは、ブラジルの汚職体質についてだった。無処罰(インプニダー)の悪しき法治状況と、植民地時代から続く弱肉強食の国富収奪主義の伝統があるのと無関係でない旨、そして、ブラジルだけでなくラ米全体も同様に状況であること、を回答として話した。日本も汚職と無関係ではない。
日本滞在中の前ウルグイア大統領で現上院議員のペペ(ホセ)・ムヒーカ(80)のような、物質に惑わされない精神の億万長者はラ米では稀なのだ。否、世界中で在りえない「奇蹟的存在」だ。6日にペペと対話して、その印象を新たにした。
リオ五輪は、「完璧ではないが、8月5日に開会し、21日に閉会し、五輪は過去のものになるでしょう」と言う在日ブラジル人の意見を紹介しておいた。
私はブラジルも50年近く取材し、リオには4年住んだ。だから、大概の事は起承転結、係り結びとしてわかる。
スタヂオで、友人のジャーナリスト、高瀬毅にばったり会った。地下鉄六本木駅近くの喫茶店で、アイスクリーム突っつきながら愉快な会話を楽しんだ。
東京の中の異境・六本木、異邦人の多い街。誰もかれも、束の間の時を費やしている。ペペならば、「あなたは幸福ですか」と一人一人に訊ねるに違いない。
若い記者だったころ、幾夜も徹夜で酒を呑んだ夜の六本木を、実に久々に友人と歩いたことで、ブラジルは脳裡の果てに去ってしまった。
2016年4月9日土曜日
2016年4月7日木曜日
ブラジル上院議長が繰り上げ大統領選挙10月実施に言及
ブラジル国会上院のレナン・カリェイロ議長(PMDB所属)は4月5日、現在の政治危機を国会議員たちが乗り切ることができなければ、2018年10月実施予定の次期大統領選挙を2年間繰り上げて、今年10月の統一地方選挙と同時に実施する可能性も出てくると述べた。
議員たちの間では、弾劾手続きを止めて繰り上げ選挙を実施する危機収拾案に賛成する者が増えつつある。
下院(定数513)本会議が今月半ばヂウマ・ルセフ大統領の弾劾を決議した場合、上院(定数81)は過半数で決議でき、その後180日審議し、最終的に3分の2(55人)で弾劾を決めることになる。4月から数えると、10月はちょうど半年後になる。
だがカリェイロ議長も、国営石油会社ペトロブラスから収賄した嫌疑がかけられており、最高裁は3月末、同議長の捜査を当局に許可している。
一方、ルセフ弾劾裁判実施の是非を審議している同国国会下院の特別委員会(65人)は4月6日、弾劾裁判を実施すべきだと下院に勧告する報告書を提示した。報告書は、同委員会審議記録者であるジョヴァイル・アランテス議員(伯労働党)が作成した。
特別委員会は11日、報告書を本会議に送るか否かを採決する。送付された場合、本会議は15日以降採決する見通し。可決には、定数の3分の2(342)の賛成が必要。
弾劾裁判は1992年のフェルナンド・コロル大統領弾劾以来となる。ルセフは2014年に再選された大統領選挙の際、「公金を粉飾決算して選挙資金を捻出した背任行為」を理由に弾劾対象にされている。
エドゥアルド・クーニャ下院議長は6日、ミシェル・テメル副大統領を弾劾裁判にかけるかどうかの是非を審議する特別委員会設置の手続きに入った。テメルは、ルセフ大統領が弾劾裁判にかけられた場合、大統領代行、弾劾された場合、暫定大統領になる職位にある。テメルはまた、政権党連合を先月離脱した最大政党PMDB(伯民主運動党)の党首でもある。
クーニャは5日、最高裁から、ルセフ大統領と同じ「公金粉飾決済」の嫌疑でテメル副大統領を弾劾裁判にかけるか否かを審議するよう求められながら怠っていたとして、弾劾手続きを開始するよう命じていた。
クーニャは、PMDB党員であり、自身が巨額の収賄容疑で起訴されていることから、政治的保身を重視したのか、最高裁命令に従っていなかった。大統領弾劾の是非をめぐる政争はますます政党間の権力闘争の色合いを帯び、混迷の度が深まっている。
政権党連合でルセフらの労働者党(PT)を支える進歩主義党(PP)は6日、政権党に留まる意志を表明した。大統領は6日、弾劾裁判阻止を狙って多数派工作を図るための閣僚など政府高官の人事はない、と述べた。
ブラジルの労働界や知識人はルセフを支持しており、11日には支援集会を予定している。だが財界や保守・右翼勢力はルセフ弾劾実現を支援している。
ベネスエラ、ボリビア、チレの大統領らラ米首脳からはルセフ支持が表明されつつある。米州諸国機構(OEA)のアルマグロ事務総長もルセフ支持を打ち出している。
議員たちの間では、弾劾手続きを止めて繰り上げ選挙を実施する危機収拾案に賛成する者が増えつつある。
下院(定数513)本会議が今月半ばヂウマ・ルセフ大統領の弾劾を決議した場合、上院(定数81)は過半数で決議でき、その後180日審議し、最終的に3分の2(55人)で弾劾を決めることになる。4月から数えると、10月はちょうど半年後になる。
だがカリェイロ議長も、国営石油会社ペトロブラスから収賄した嫌疑がかけられており、最高裁は3月末、同議長の捜査を当局に許可している。
一方、ルセフ弾劾裁判実施の是非を審議している同国国会下院の特別委員会(65人)は4月6日、弾劾裁判を実施すべきだと下院に勧告する報告書を提示した。報告書は、同委員会審議記録者であるジョヴァイル・アランテス議員(伯労働党)が作成した。
特別委員会は11日、報告書を本会議に送るか否かを採決する。送付された場合、本会議は15日以降採決する見通し。可決には、定数の3分の2(342)の賛成が必要。
弾劾裁判は1992年のフェルナンド・コロル大統領弾劾以来となる。ルセフは2014年に再選された大統領選挙の際、「公金を粉飾決算して選挙資金を捻出した背任行為」を理由に弾劾対象にされている。
エドゥアルド・クーニャ下院議長は6日、ミシェル・テメル副大統領を弾劾裁判にかけるかどうかの是非を審議する特別委員会設置の手続きに入った。テメルは、ルセフ大統領が弾劾裁判にかけられた場合、大統領代行、弾劾された場合、暫定大統領になる職位にある。テメルはまた、政権党連合を先月離脱した最大政党PMDB(伯民主運動党)の党首でもある。
クーニャは5日、最高裁から、ルセフ大統領と同じ「公金粉飾決済」の嫌疑でテメル副大統領を弾劾裁判にかけるか否かを審議するよう求められながら怠っていたとして、弾劾手続きを開始するよう命じていた。
クーニャは、PMDB党員であり、自身が巨額の収賄容疑で起訴されていることから、政治的保身を重視したのか、最高裁命令に従っていなかった。大統領弾劾の是非をめぐる政争はますます政党間の権力闘争の色合いを帯び、混迷の度が深まっている。
政権党連合でルセフらの労働者党(PT)を支える進歩主義党(PP)は6日、政権党に留まる意志を表明した。大統領は6日、弾劾裁判阻止を狙って多数派工作を図るための閣僚など政府高官の人事はない、と述べた。
ブラジルの労働界や知識人はルセフを支持しており、11日には支援集会を予定している。だが財界や保守・右翼勢力はルセフ弾劾実現を支援している。
ベネスエラ、ボリビア、チレの大統領らラ米首脳からはルセフ支持が表明されつつある。米州諸国機構(OEA)のアルマグロ事務総長もルセフ支持を打ち出している。
2016年4月6日水曜日
ウルグアイ前大統領ホセ・ムヒカが東京で大いに語る
ウルグアイのホセ・ムヒーカ上院議員(前大統領)は4月5日、ルシーア・トポランスキ夫人(上院議員)および、ムヒーカについて書かれ最近刊行された訳書『権力に着いた異端児』(邦題「ホセ・ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領」、角川文庫)の共著者2人と共に初来日。6日朝、東京・富士見町の角川ビル内での記者会見に4人そろって臨んだ。
一言居士として名高いムヒーカは冒頭、「80歳の身に長旅はきつい。観光のためだけに来ることはできない。経済や技術が高度に発達した日本に人類の未来を見ることができるのではないか、という問題意識を持ってやってきた。日本人が果たして真に幸福かどうかも確かめてみたい」と述べた。
質疑では最初に私(伊高)が、コルバタ(ネクタイ)をしないムヒーカの「無ネクタイの哲学」を本人に訊いた。ムヒーカはゆっくりと、かつ滔々と語った。結論的には、「ネクタイの彼方にある価値が大切だ」ということだった。
これまで会った世界の首脳たちの中で誰がいちばん印象に残るか、という質問には、「チェ・ゲバーラだ」と答えた。現存する首脳、元首脳らについては言及を避けた。
2014年12月、米玖両国は国交正常化合意を発表したが、そこに至る過程で、ムヒーカは、バラク・オバーマ米大統領とラウール・カストロ玖議長との間でメンサヘ(メッセージ) の受け渡しをとりもった。会見で問われ、その事実を語った。
大統領時代に大麻栽培を許可したことについては、「合法化したのではなく、政府の目が届くように規制管理しただけだ」と述べた。麻薬の闇市場の存在を無視できず、規制の範囲内で大麻の栽培を認めた。「麻薬より悪いのは麻薬取引であり、麻薬常習からは逃れられるが、取引(麻薬マフィア)の一度入ったら抜け出せない。若者をマフィアに渡すわけにはいかない」と強調した。
持論の「幸福論」もたっぷりと展開した。「人間は物質、金(かね)、欲望、権力、名誉のために生きるのではなく、幸福であろうとするために生きている。生きていることは奇蹟なのだ。このことを若い世代に考えてもらい、よりよい世界を築いてほしい」と、若者たちに託す希望を発信した。
日本で人気が沸騰していることに関してムヒーカは、「おそらく古い日本文化にあって、西欧化によって隠されてしまっている部分と通底している価値を私が語るからではないか」と分析した。
都市ゲリラ時代からの同志であるルシーア夫人は、夫の魅力を訊かれて、「政治家は目先の利益を考えて言動するが、夫は利害でなく理想や信念で動く。その点だと思う」と答えた。
共著者アンデレス・ダンサとエルネスト・トゥルボビッツは、著書と訳書が遠いウルグアイと日本の文化・友好の橋を懸けたと指摘、そのお陰で日本に来ることができたのが嬉しい、と述べた。
ムヒーカは、築地魚市場見物、東京外語大生との対話、前記新訳書署名会、テレビ番組出演、観光などを続け、12日離日する。
★ムヒーカ来日時の発言などの取材記は追って雑誌などで伝えたい。
一言居士として名高いムヒーカは冒頭、「80歳の身に長旅はきつい。観光のためだけに来ることはできない。経済や技術が高度に発達した日本に人類の未来を見ることができるのではないか、という問題意識を持ってやってきた。日本人が果たして真に幸福かどうかも確かめてみたい」と述べた。
質疑では最初に私(伊高)が、コルバタ(ネクタイ)をしないムヒーカの「無ネクタイの哲学」を本人に訊いた。ムヒーカはゆっくりと、かつ滔々と語った。結論的には、「ネクタイの彼方にある価値が大切だ」ということだった。
これまで会った世界の首脳たちの中で誰がいちばん印象に残るか、という質問には、「チェ・ゲバーラだ」と答えた。現存する首脳、元首脳らについては言及を避けた。
2014年12月、米玖両国は国交正常化合意を発表したが、そこに至る過程で、ムヒーカは、バラク・オバーマ米大統領とラウール・カストロ玖議長との間でメンサヘ(メッセージ) の受け渡しをとりもった。会見で問われ、その事実を語った。
大統領時代に大麻栽培を許可したことについては、「合法化したのではなく、政府の目が届くように規制管理しただけだ」と述べた。麻薬の闇市場の存在を無視できず、規制の範囲内で大麻の栽培を認めた。「麻薬より悪いのは麻薬取引であり、麻薬常習からは逃れられるが、取引(麻薬マフィア)の一度入ったら抜け出せない。若者をマフィアに渡すわけにはいかない」と強調した。
持論の「幸福論」もたっぷりと展開した。「人間は物質、金(かね)、欲望、権力、名誉のために生きるのではなく、幸福であろうとするために生きている。生きていることは奇蹟なのだ。このことを若い世代に考えてもらい、よりよい世界を築いてほしい」と、若者たちに託す希望を発信した。
日本で人気が沸騰していることに関してムヒーカは、「おそらく古い日本文化にあって、西欧化によって隠されてしまっている部分と通底している価値を私が語るからではないか」と分析した。
都市ゲリラ時代からの同志であるルシーア夫人は、夫の魅力を訊かれて、「政治家は目先の利益を考えて言動するが、夫は利害でなく理想や信念で動く。その点だと思う」と答えた。
共著者アンデレス・ダンサとエルネスト・トゥルボビッツは、著書と訳書が遠いウルグアイと日本の文化・友好の橋を懸けたと指摘、そのお陰で日本に来ることができたのが嬉しい、と述べた。
ムヒーカは、築地魚市場見物、東京外語大生との対話、前記新訳書署名会、テレビ番組出演、観光などを続け、12日離日する。
★ムヒーカ来日時の発言などの取材記は追って雑誌などで伝えたい。
2016年4月5日火曜日
ブラジル下院特別委がヂウマ・ルセフ大統領の弾劾審議を開始、17日にも本会議採決か
ブラジル国会下院で4月4日、ヂウマ・ルセフ大統領の弾劾審議をするかしないかをめぐる特別委員会(65人)の審議が始まり、ルセフ政権で司法相を経験した弁護士ジョゼ・カルドーゾが90分間、弁護の陳述を展開した。
カルドーゾは、大統領弾劾審議は、大統領が直接関与した例外的に重大な過失がある場合に限って認められており、粉飾決算などを弾劾審議開始の理由にするのは違憲だ、と訴えた。
同弁護士はまた、下院議長エドゥアルド・クーニャは昨年12月、国営石油会社絡みの贈収賄事件に関与、500万ドルを収賄した疑いで下院倫理委員会で追及されることが決まった翌日、野党勢力の要求を入れて大統領弾劾審議開始を決めたが、これは倫理委員会による追及を阻止しなかった大統領へのクーニャによる報復行為だ、と糾弾した。
特別委員会は5日間審議し、11日にも採決する。次いで採決結果は下院本会議に送付される。本会議は審議の末、17日にも採決する。弾劾決議には、下院定数513の3分の2の342票が必要。逆に見れば、大統領側は172票を固めれば、弾劾を阻止することができる。
本会議が弾劾を決議すれば、議案は上院に送られる。上院は単純過半数で弾劾審議継続を決めることができ、決まれば180日間、大統領は職務を離れなければならない。その間、副大統領(ミシェル・テメル)が大統領代行となる。
上院本会議は180日の間に審議し、3分の2で最終的に決議する。弾劾が成れば、大統領は解任され、大統領代行(副大統領)が暫定大統領として、ルセフ大統領の2018年大みそかまでの残り任期を務めることになる。18年には次期大統領選挙が実施され、新大統領は19年元日就任する。
下院本会議が弾劾決議を否決すれば、その瞬間、廃案となる。ルセフ大統領は近く大型人事を断行し、連立与党から離脱した最大政党PMDB(伯民主運動党)が占めていた閣僚や官庁などの多数の高官職務を、弾劾反対の約束と引き換えに下院議員らに割り振る考えだ。
下院議長クーニャは収賄罪で起訴されながら、不逮捕特権に守られてきた。だが3日の報道で暴露された「パナマ文書」に氏名が載っており、新たな醜聞が加わって、地に落ちている信用はさらに傷ついた。
一方、最高裁は7日にも、腐敗罪で起訴されているルーラ前大統領の文官長(官房長官)就任の是非を判断する。ルーラは野にいれば、労働者階級の最高指導者として弾劾反対で大動員をかけることができるが、政権を内側から支えるため大統領に次ぐ実力者となれば、在野活動が難しくなる。このようjなジレンマを抱えているが、閣僚となれば不逮捕特権が得られることになる。
ルーラは18年の大統領選挙に出馬する意志を表明している。
カルドーゾは、大統領弾劾審議は、大統領が直接関与した例外的に重大な過失がある場合に限って認められており、粉飾決算などを弾劾審議開始の理由にするのは違憲だ、と訴えた。
同弁護士はまた、下院議長エドゥアルド・クーニャは昨年12月、国営石油会社絡みの贈収賄事件に関与、500万ドルを収賄した疑いで下院倫理委員会で追及されることが決まった翌日、野党勢力の要求を入れて大統領弾劾審議開始を決めたが、これは倫理委員会による追及を阻止しなかった大統領へのクーニャによる報復行為だ、と糾弾した。
特別委員会は5日間審議し、11日にも採決する。次いで採決結果は下院本会議に送付される。本会議は審議の末、17日にも採決する。弾劾決議には、下院定数513の3分の2の342票が必要。逆に見れば、大統領側は172票を固めれば、弾劾を阻止することができる。
本会議が弾劾を決議すれば、議案は上院に送られる。上院は単純過半数で弾劾審議継続を決めることができ、決まれば180日間、大統領は職務を離れなければならない。その間、副大統領(ミシェル・テメル)が大統領代行となる。
上院本会議は180日の間に審議し、3分の2で最終的に決議する。弾劾が成れば、大統領は解任され、大統領代行(副大統領)が暫定大統領として、ルセフ大統領の2018年大みそかまでの残り任期を務めることになる。18年には次期大統領選挙が実施され、新大統領は19年元日就任する。
下院本会議が弾劾決議を否決すれば、その瞬間、廃案となる。ルセフ大統領は近く大型人事を断行し、連立与党から離脱した最大政党PMDB(伯民主運動党)が占めていた閣僚や官庁などの多数の高官職務を、弾劾反対の約束と引き換えに下院議員らに割り振る考えだ。
下院議長クーニャは収賄罪で起訴されながら、不逮捕特権に守られてきた。だが3日の報道で暴露された「パナマ文書」に氏名が載っており、新たな醜聞が加わって、地に落ちている信用はさらに傷ついた。
一方、最高裁は7日にも、腐敗罪で起訴されているルーラ前大統領の文官長(官房長官)就任の是非を判断する。ルーラは野にいれば、労働者階級の最高指導者として弾劾反対で大動員をかけることができるが、政権を内側から支えるため大統領に次ぐ実力者となれば、在野活動が難しくなる。このようjなジレンマを抱えているが、閣僚となれば不逮捕特権が得られることになる。
ルーラは18年の大統領選挙に出馬する意志を表明している。
2016年4月4日月曜日
マクリ大統領も絡む脱税天国事件でパナマ政府が捜査開始
パナマ政府は4月3日、パナマ市にある「モサック・フォンセカ弁護士事務所」が運営する特殊会社の電脳が侵入され「パナマ文書」と名付けられた厖大な機密文書が盗まれて暴露された事件の捜査を開始した。文書内容は、南ドイツ新聞および「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ) 加盟のメディアが3日一斉に報じた。
流出したのは、過去数十年に亘りファイルされていた1150万点に及ぶ文書類で、世界約200カ国・地域の21万4000企業、72カ国の現職・元職書国家元首・政府首班、富裕有名人多数が顧客などとして絡んでいる。
パナマのJCバレーラ大統領は、パナマが脱税天国提供国名簿に入っていたのを屈辱とし、金融取引の「完全透明化」に努め、名簿からのパナマ削除を勝ち取った。それだけに今回の事件は強烈な打撃となった。
顧客名簿には、アルヘンティーナのマウリシオ・マクリ大統領、ロシアのウラディーミル・プーチン大統領、「世界一のサッカー選手」リオネル・メッシ(亜国人)、欧州サッカー連盟前会長ミシェル・プラティーニ(仏人)、スペイン人映画監督ペドロ・アルモドーバルらが関係する法人も含まれている。
亜国では3日、政府寄りの新聞「ラ・ナシオン」と、TV「13チャネル」が「パナマ文書」事件を報じた。マクリ大統領は同日、ブラジルでの投資を目的とする同族会社「フレグ商事」に父、兄弟と共に重役として参加していた事実を認めた。同社はバハマに置かれていた。
マクリは、「たまたま重役陣に名を連ねていただけで、資本に参加しなかったし配当金も受け取っていない」と釈明した。同商事は、マクリがブエノスアイレス市長になっていた2009年に営業を終えた。マクリは07~08年に米国などの銀行に口座を持っていたとも明かしている。
去る1日ワシントンでマクリは、核物資・兵器安保首脳会議出席の折、安倍首相と会談。亜国側報道によると、安倍は「亜国が自由経済を伴う新しい時代を推進しているのは日本にとっても喜ばしい」と述べ、マクリは気を良くした、という。
また日本側は、亜国が希望するOECD(経済協力開発機構)加盟と、2018年のG20首脳会議の亜国開催を支持した、と報じられている。「パナマ文書」事件で、日本側のマクリの印象が多少変化するのを否めまい。
問題を複雑にしているのは、上記弁護士事務所の幹部所員である弁護士ランモー・フォンセカが、バレーラ大統領の顧問であることだ。
流出したのは、過去数十年に亘りファイルされていた1150万点に及ぶ文書類で、世界約200カ国・地域の21万4000企業、72カ国の現職・元職書国家元首・政府首班、富裕有名人多数が顧客などとして絡んでいる。
パナマのJCバレーラ大統領は、パナマが脱税天国提供国名簿に入っていたのを屈辱とし、金融取引の「完全透明化」に努め、名簿からのパナマ削除を勝ち取った。それだけに今回の事件は強烈な打撃となった。
顧客名簿には、アルヘンティーナのマウリシオ・マクリ大統領、ロシアのウラディーミル・プーチン大統領、「世界一のサッカー選手」リオネル・メッシ(亜国人)、欧州サッカー連盟前会長ミシェル・プラティーニ(仏人)、スペイン人映画監督ペドロ・アルモドーバルらが関係する法人も含まれている。
亜国では3日、政府寄りの新聞「ラ・ナシオン」と、TV「13チャネル」が「パナマ文書」事件を報じた。マクリ大統領は同日、ブラジルでの投資を目的とする同族会社「フレグ商事」に父、兄弟と共に重役として参加していた事実を認めた。同社はバハマに置かれていた。
マクリは、「たまたま重役陣に名を連ねていただけで、資本に参加しなかったし配当金も受け取っていない」と釈明した。同商事は、マクリがブエノスアイレス市長になっていた2009年に営業を終えた。マクリは07~08年に米国などの銀行に口座を持っていたとも明かしている。
去る1日ワシントンでマクリは、核物資・兵器安保首脳会議出席の折、安倍首相と会談。亜国側報道によると、安倍は「亜国が自由経済を伴う新しい時代を推進しているのは日本にとっても喜ばしい」と述べ、マクリは気を良くした、という。
また日本側は、亜国が希望するOECD(経済協力開発機構)加盟と、2018年のG20首脳会議の亜国開催を支持した、と報じられている。「パナマ文書」事件で、日本側のマクリの印象が多少変化するのを否めまい。
問題を複雑にしているのは、上記弁護士事務所の幹部所員である弁護士ランモー・フォンセカが、バレーラ大統領の顧問であることだ。
2016年4月2日土曜日
ペルー大統領選挙まで10日、ケイコ・フジモリが1位維持
ペルー国家選挙審議会(JNE)は4月1日、ケイコ・フジモリ大統領候補の出馬資格剥奪を求める反フジモリ派の訴えを証拠不十分として却下した。JNEは既に3月、同様の訴えを却下、その再審理要求を今回却下し、判断は確定した。
JNEは、支持率調査で上位2~5位以内にいた有力候補2人の出馬資格を剥奪しており、ケイコ候補の選挙運動継続も危ぶまれていた。
今月10日の大統領選挙第1回投票を監視する米州諸国機構(OEA)は1日、JNEによって資格を奪われた2候補が復権しない限り、ペルーの大統領選挙は「半民主主義状態」で実施されることになる、と憂慮を表明した。
選挙まで10日と迫った3月31日公表された最新の支持率調査では、ケイコ・フジモリ(人民勢力)が36%で1位。「変化のためのペルー」候補ペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)が16%で2位。3位ベロニカ・メンドサ(拡大戦線)15%、4位アルフレド・バルネチェア(人民行動党)9%、5位アラン。ガルシア(人民同盟)3%。
過半数得票者は出そうもなく、上位2候補が6月5日実施の決選に進出する。ケイコの1位進出は堅いと見られている。2位はPPK、メンドサ、バルネチェアのいずれかとなる公算が大きい。決選予想では概ねケイコ有利となっている。
だがケイコの父アルベルト・フジモリ元大統領期(1990~2000)のお手盛りクーデターによる民主中断、秘密警察と治安部隊による人道犯罪、麻薬汚染、腐敗、メディア買収などを依然攻撃する反フジモリ派は、反ケイコ派となって健在だ。ケイコにとっては、決選に向け、反ケイコ派を懐柔しつつ3位以下の票を引き付けられるか否かが勝敗の鍵となる。
選挙では大統領の他、副大統領2人、国会議員130人、アンデス議会議員15人が選ばれる。有権者は2300万人。
▼ラ米短信 ドミニカ共和国(RD、ラ・ドミニカーナ)の首都サントドミンゴで4月1日、第10回CELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)外相会議が開かれた。
会議は、米州およびラ米の他の地域統合組織との連携、移民、極貧、食糧供給、気候変動、麻薬取締などを討議した。会議の議題と討議内容は、来年1月RDで開かれる第5回CELAC首脳会議に提示される。
JNEは、支持率調査で上位2~5位以内にいた有力候補2人の出馬資格を剥奪しており、ケイコ候補の選挙運動継続も危ぶまれていた。
今月10日の大統領選挙第1回投票を監視する米州諸国機構(OEA)は1日、JNEによって資格を奪われた2候補が復権しない限り、ペルーの大統領選挙は「半民主主義状態」で実施されることになる、と憂慮を表明した。
選挙まで10日と迫った3月31日公表された最新の支持率調査では、ケイコ・フジモリ(人民勢力)が36%で1位。「変化のためのペルー」候補ペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)が16%で2位。3位ベロニカ・メンドサ(拡大戦線)15%、4位アルフレド・バルネチェア(人民行動党)9%、5位アラン。ガルシア(人民同盟)3%。
過半数得票者は出そうもなく、上位2候補が6月5日実施の決選に進出する。ケイコの1位進出は堅いと見られている。2位はPPK、メンドサ、バルネチェアのいずれかとなる公算が大きい。決選予想では概ねケイコ有利となっている。
だがケイコの父アルベルト・フジモリ元大統領期(1990~2000)のお手盛りクーデターによる民主中断、秘密警察と治安部隊による人道犯罪、麻薬汚染、腐敗、メディア買収などを依然攻撃する反フジモリ派は、反ケイコ派となって健在だ。ケイコにとっては、決選に向け、反ケイコ派を懐柔しつつ3位以下の票を引き付けられるか否かが勝敗の鍵となる。
選挙では大統領の他、副大統領2人、国会議員130人、アンデス議会議員15人が選ばれる。有権者は2300万人。
▼ラ米短信 ドミニカ共和国(RD、ラ・ドミニカーナ)の首都サントドミンゴで4月1日、第10回CELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)外相会議が開かれた。
会議は、米州およびラ米の他の地域統合組織との連携、移民、極貧、食糧供給、気候変動、麻薬取締などを討議した。会議の議題と討議内容は、来年1月RDで開かれる第5回CELAC首脳会議に提示される。
2016年4月1日金曜日
ブラジルで大統領支援デモ、最高裁は反ルーラ派判事を外す
ブラジル長期軍政(1964~85)年の発端となったクーデターの52周年記念日の3月31日、全国各地でヂウマ・ルセフ大統領とルーラ前大統領を支持する広範な街頭デモ行進が実施された。大統領は弾劾の危機に直面しており、前大統領は汚職事件で裁かれようとしている。
ルセフ大統領は31日ブラジリアの政庁で、弾劾運動を展開してきた野党および反政府勢力について、「(弾劾を目指す運動の)激化はナチズムのようだ。思想信条ゆえに人を非難するとは悲しいことだ」と述べ、反政権勢力を牽制した。
街頭デモ参加の労働者党(PT、政権党)党員らは、29日に政権党連合から離脱したPMDB(伯民主運動党)、および同党所属の上下両院議長を非難した。両議長ともに、国営ブラジル石油(ペトロブラス)絡みの汚職事件への関与を検察庁から追及されている。
ルーラ前大統領は街頭デモに合わせて声明を発表、「軍政からの民政奪回のため、どれだけ大きな犠牲を払ったことか」と強調。「民主政治を崩してはならない。獲得した社会的成果を失ってはならない」と訴えた。
最高裁は31日、ルーラの汚職事件関与捜査を指揮してきた地裁判事セルジオ・モロを捜査から外し、最高裁が捜査の指揮を執ることにした。賛成8、反対2で決まった。
汚職容疑で起訴されているルーラは、モロ判事がルーラの身柄を一時拘束し強制尋問したことや、ルセフ大統領がルーラを政府文官長(文民内閣官房長官)に任命した際の両人の通話盗聴を警察に命じ、任命発表に合わせて通話内容を暴露したことなどから、「公正でない」とモロを忌避していた。最高裁はルーラの言い分を認めたわけで、ルーラは一息ついた。
最高裁は来週、ルーラの文官長任命人事および、盗聴された通話内容を正当な証拠と認めるべきか否かを審理する。
一方、ブラジル国家治安部隊(FNSB)のアヂルソン・モレイラ長官は31日、「大統領を含む道義心に欠けた集団の指揮下にはいられない」と公開書簡で政府を糾弾、辞任した。この部隊はリオ五輪の治安を担う主要機関の一つ。これに対し司法省は、重大な規律違反であり懲罰がありうるとして、モレイラの捜査を開始した。
また重要な経営者団体「サンパウロ州産業連合」(FIESP)のパブロ・スカフ会長は31日、「大統領は行政能力を失っており早期弾劾を望む。ミシェル・テメル副大統領(PMDB党首)が暫定大統領になるのを支持する」と語った。国会下院は4月半ば、大統領弾劾審議に入る。
▼ラ米短信 解放者シモン・ボリーバルが1815~1816年にかけ、ベネスエラをはじめ南米北部の独立を目指し、船団を率いてアイチ(ハイチ)からベネスエラまで航海した「ロス・カヨス遠征」の200周年を記念する式典が3月31日、ポルトープランスで催され、アイチのジョスレルム・プリヴェール暫定大統領、ベネスエラのアリストーブロ・イズトゥーリス副大統領らが出席した。
ボリーバルは1816年初め、アイチ大統領アレクサンドル・ペシオン大統領と会談、大統領はベネスエラへの軍事支援などを約束。遠征にはベネスエラ人のほか、アイチ人多数が参加した。この遠征は、ベネスエラ海軍の起源と位置付けられている。
この日、ポルトープランス中心部で「ウーゴ・チャベス広場」の開場式も催された。
ルセフ大統領は31日ブラジリアの政庁で、弾劾運動を展開してきた野党および反政府勢力について、「(弾劾を目指す運動の)激化はナチズムのようだ。思想信条ゆえに人を非難するとは悲しいことだ」と述べ、反政権勢力を牽制した。
街頭デモ参加の労働者党(PT、政権党)党員らは、29日に政権党連合から離脱したPMDB(伯民主運動党)、および同党所属の上下両院議長を非難した。両議長ともに、国営ブラジル石油(ペトロブラス)絡みの汚職事件への関与を検察庁から追及されている。
ルーラ前大統領は街頭デモに合わせて声明を発表、「軍政からの民政奪回のため、どれだけ大きな犠牲を払ったことか」と強調。「民主政治を崩してはならない。獲得した社会的成果を失ってはならない」と訴えた。
最高裁は31日、ルーラの汚職事件関与捜査を指揮してきた地裁判事セルジオ・モロを捜査から外し、最高裁が捜査の指揮を執ることにした。賛成8、反対2で決まった。
汚職容疑で起訴されているルーラは、モロ判事がルーラの身柄を一時拘束し強制尋問したことや、ルセフ大統領がルーラを政府文官長(文民内閣官房長官)に任命した際の両人の通話盗聴を警察に命じ、任命発表に合わせて通話内容を暴露したことなどから、「公正でない」とモロを忌避していた。最高裁はルーラの言い分を認めたわけで、ルーラは一息ついた。
最高裁は来週、ルーラの文官長任命人事および、盗聴された通話内容を正当な証拠と認めるべきか否かを審理する。
一方、ブラジル国家治安部隊(FNSB)のアヂルソン・モレイラ長官は31日、「大統領を含む道義心に欠けた集団の指揮下にはいられない」と公開書簡で政府を糾弾、辞任した。この部隊はリオ五輪の治安を担う主要機関の一つ。これに対し司法省は、重大な規律違反であり懲罰がありうるとして、モレイラの捜査を開始した。
また重要な経営者団体「サンパウロ州産業連合」(FIESP)のパブロ・スカフ会長は31日、「大統領は行政能力を失っており早期弾劾を望む。ミシェル・テメル副大統領(PMDB党首)が暫定大統領になるのを支持する」と語った。国会下院は4月半ば、大統領弾劾審議に入る。
▼ラ米短信 解放者シモン・ボリーバルが1815~1816年にかけ、ベネスエラをはじめ南米北部の独立を目指し、船団を率いてアイチ(ハイチ)からベネスエラまで航海した「ロス・カヨス遠征」の200周年を記念する式典が3月31日、ポルトープランスで催され、アイチのジョスレルム・プリヴェール暫定大統領、ベネスエラのアリストーブロ・イズトゥーリス副大統領らが出席した。
ボリーバルは1816年初め、アイチ大統領アレクサンドル・ペシオン大統領と会談、大統領はベネスエラへの軍事支援などを約束。遠征にはベネスエラ人のほか、アイチ人多数が参加した。この遠征は、ベネスエラ海軍の起源と位置付けられている。
この日、ポルトープランス中心部で「ウーゴ・チャベス広場」の開場式も催された。
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