2015年9月27日日曜日

学生失踪事件1周年、メヒコ市内を2万5000人が抗議行進

 メヒコの教諭養成学校生43人強制失踪事件発生から1年経った9月26日、首都メヒコ市では目抜き通りパセオ・デ・ラ・レフォルマから憲法広場(ソカロ)にかけて雨中、2万5000人が行進、政府に事件解明を要求した。

 失踪者のある父親は、「雨が降っているのではない。メヒコ人民が泣いているのだ」と語った。人々は「国家犯罪糾弾」、「大統領辞めろ」、「無処罰許さぬ」などと書かれたプラカードや紙片を掲げていた。

 事件当日、現場のゲレロ州イグアラ市では、失踪者以外の学生3人が警官らに虐殺され、とばっちりで市民3人も殺されている。麻薬組織、地元市長・警察などが犯行に関与した事実が判明している。

 この日の抗議行動参加者は犠牲者家族、友人学生、教員、先住民族ヤキ、住民運動指導者、別の失踪事件被害者家族ら。ある参加者は「43人の背後には無数の失踪者がいる」と指摘した。政府統計では、カルデロン前政権が「麻薬戦争」を始めた2006年以来、2万5000人の失踪者が出ている。

 エンリケ・ペニャ=ニエト大統領は24日、犠牲者家族らと会合し、事件捜査継続を約束したが、26日は国連に出席、メヒコを留守にした。

 ある政治評論家は、1968年10月2日のトラテロルコ学生・労働者虐殺事件が時のグスタボ・ディアス=オルダース大統領施政の象徴として歴史に刻印されたように、43人失踪事件はペニャ=ニエト現大統領施政の象徴として刻印される、と述べた。

 一方、ボリビアの政治首都ラパスでも26日、学生ら100人がメヒコ大使館前で抗議デモをした。その中心には、エボ・モラレス大統領の娘、エバ=リス・モラレス(21)がいた。彼女はカトリック大学法学部生で、父親の支援団体「エボ世代」のメンバー。