2015年9月27日日曜日

ラウール・キューバ議長が国連で経済封鎖解除を訴える

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は初めて国連総会に出席し9月26日演説、「玖米国交再開は重要な前進だったが、半世紀以上続く経済封鎖が依然、クーバの発展を阻害する最大の要因となっている」と指摘、封鎖解除を訴えた。

 議長はまた、先進工業諸国に対し、貧困諸国が開発目標を達成できるよう一層努力してほしい、と呼び掛けた。

 ラウールは26日、パン・ギムン国連事務総長と会談、総長はコロンビア和平交渉の貸座敷として貢献してきたクーバの役割を果たした。コロンビア政府とゲリラFARCは23日、半年以内の和平達成で合意書に署名した。

 議長は25日にはNYで、経済封鎖解除賛成派の米連邦議員団と会合した。またNY州知事アンドゥルー・コモ知事と会談した。同州は4月、通商使節団をクーバに派遣している。ラウールは25日、モサンビークのフィリプ・ニュシ大統領とも会談した。

 一方、ボリビアのエボ・モラレス大統領は25日の国連演説で、「今日、戦争をつくりだし、<イスラム国>のような狂信的宗教軍団を生み出しながら統御不能に陥り、それによって生じた危機を人民に押し付けている」と述べ、暗に米国を批判した。そして「貧困をなくすため資本主義を止めよう」と呼び掛けた。

 ブラジルのヂウマ・ルセフ大統領は、国連安保理理事国入りを目指すG4会合で、印独日3国首相と会談した。

 ローマ法王は今回の訪米中、米議会で演説し、「血塗られた資金を稼ぐ兵器・武器輸出」を止めるよう呼び掛けた。これは武器輸出をしているすべての国々と、それに道を開いた安倍政権をも間接的に批判する発言だ。

  ワシントンのクーバ大使館は26日、米商業会議所のトーマス・ドノウエ会頭と玖商業会議所のオルランド・エルナンデス会頭が同地で会談し、「商議理事会」の設立を決めた、と明らかにした。両国間の通商関係樹立、経済封鎖解除、企業家同士の関係醸成、商議機会特定などを活動目的とする。

【日本の大方の新聞やテレビニュースは、ラウール演説報道で従来からの過ちを犯している。ラウールは経済封鎖を「経済制裁」とは絶対に呼ばない。クーバには米国から制裁されるいわれはなく、制裁されるべきはクーバに軍事侵攻や破壊活動、暗殺などをさんざん仕掛けた米国ではないか、との立場をとるからだ。米国メディアは、経済封鎖を政策としては「制裁」であるが、「封鎖」に意味が近い「エムバーゴ」(禁輸、禁止)という用語を用いることが少なくない。にも拘わらず日本メディアの大勢は相変わらず「経済制裁」一辺倒のナイーヴな報道が多い。記者やデスクの不勉強ゆえだが、誤った価値観を押し付けられる読者は、たまったものではない。米国メディアの方が「経済封鎖」の用語に関しては、日本のメディアよりもリベラルと言える場合が少なくないのだ。日本政府の対米従属主義が必要以上に記者らに影響を及ぼし、思考を停止させているのかもしれない。】