エクアドール(赤道国)首都キトの大統領政庁カロンデレー宮で9月21日、ベネスエラ・コロンビア国境閉鎖問題の解決策を探るための大統領会議が始まった。
ニコラース・マドゥーロVEN、フアン=マヌエル・サントスCOLの両当事国大統領、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)輪番制議長国エクアドールのラファエル・コレア、南米諸国連合(ウナスール)輪番制議長国ウルグアイのタバレー・バスケスの両仲介役大統領の4人が会議に出席している。
ベネスエラは8月19日、北部国境でコロンビアの極右準軍部隊(パラミリタレス)が不法行為を働いているなどの理由で一部国境を閉鎖、以来、閉鎖区間を拡大してきた。これにより、追放された約2000人を含むベネスエラ在住の2万人を超えるコロンビア人が帰国した。
背景には、チャベス前ベネスエラ政権期からベネスエラを不安定化させるための米・コロンビア両国による準軍部隊を使った潜入工作がある。準軍部隊はコロンビア当局の暗黙の承認を受けて、石油をはじめとするベネスエラ産物資の密輸や麻薬密輸によって国境地帯で利権を築いている。
ベネスエラの政権党国会議員が準軍部隊要員一味に自宅を襲われ、内縁の妻と共に惨殺される事件も起きており、マドゥーロ大統領は態度を硬化させていた。
一方、サントス大統領は国境地帯で、帰国してきた同胞たちを支援しているが、国内には、大地主らの手先である準軍部隊によって土地を奪われ避難民となった600万人の貧しい元農民がいる。この大問題が「国境難民」によって現在、一時的に覆い隠されている。土地を奪われた農民の一部は、たまりかねて19日、ボゴタのコロンビア大統領政庁で抗議行動に出た。
マドゥーロ大統領は会議に先立ち、キト大聖堂で解放者アントニオ=ホセ・デ・スクレ元帥の棺に参拝した。スクレは、解放者シモン・ボリーバルの部下で、エクアドールからペルー、ボリビアにかけてのスペイン植民地を解放に貢献した。