2015年9月30日水曜日

ベネズエラ大統領が国連で米大統領に政令破棄を訴える

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は9月29日国連総会で演説、ベネスエラはクーバ革命の歴史的道程にある社会主義の道をボリビア、エクアドール、ニカラグアの姉妹革命とともに歩み、新しい社会主義社会を建設する選択をしてきた、と強調した。

 米国に関しては、バラク・オバーマ大統領が3月9日の政令で「ベネスエラは米国の安全保障にとり尋常でない脅威である」として締付け措置をとったことに触れ、大統領がその後「脅威」を打ち消したのは評価するが、政令そのものを破棄してもらいたい、と要求した。

 ラ米外交では、玖米国交再開を讃えるとともに、1979年にパナマ運河返還を決めた米国がグアンタナモ基地をクーバに返還することも可能ではないか、と指摘した。英国に対しては、マルビーナス(フォークランド)諸島領有権問題でアルヘンティーナと話し合うべきだ、と求めた。

 大統領は28日、NYで米労働界の指導者と会談。次いでハーレム地区の黒人劇場でベネスエラ政府の肝煎りで開かれた「アフリカ系指導者サミット」に出席し、「人種差別は奴隷制度から生まれた」と指摘し、差別撤廃への努力継続を訴えた。

 マドゥーロはまた、フィデル・カストロが革命直後にハーレムを訪れ、故マルコムXらと会談したことに触れた。この会合には、ビル・パーキンス上院議員、カリブ諸国首相、米各界黒人指導者らが出席した。

 一方、コロンビア国境のタチラ州のホセ・ビエルマ知事は29日、過去数日間にコロンビアの極右準軍部隊(パラミリタレス)要員と見られる31人を逮捕した、と明らかにした。またベネスエラ産燃料6080万リットルの密輸を防止した、と述べた。

 首都に隣接するミランダ州では、バイクに乗った2人組による警察署などへの手榴弾投擲事件が今年に入ってから最近まで15件発生、市民11人と警官4人の計15人が死亡している。負傷者は警官33人を含む50人に上る。

 同州のエンリケ・カプリーレス知事は29日、手榴弾は通常、軍にしかなく、国防相は調査すべきだと述べた。知事はまた、一連の事件が12月6日の国会議員選挙の妨害工作でなければよいが、と懸念を表した。

 カプリーレスは野党連合MUDの統一候補として過去2度大統領選挙に出馬し落選したが、次期選挙での3度目の出馬を目指している。そのためにも地元州での国会議員選挙に負けられない。