2012年12月21日金曜日

映画「八月の鯨」を観る

                                                                                                                                       ★☆★米国映画「八月の鯨」(1987)を12月20日、東京・神田神保町の岩波ホールでの試写会で観た。リンゼイ・アンダーソン監督、91分。1988年11月、岩波ホールで公開された。31週間連続上映され、連日満員で、社会的に大きな反響があった。                                                                                                                        ★☆★老姉妹と年老いた男女の友人たちが繰り広げる、晩夏のある数日間の物語。老いと死、若き日の美しい思い出と直面する老醜、友情と打算が、鯨が泳ぎ来る美しい海に囲まれた米メイン州の島の老姉妹の住む別荘で展開される。                                                                                                                   ★☆★「老い」の問題がテーマだ。長生きすれば誰もが対決せざるを得ない大問題だ。生き続けたいと思う限り、きれい事では済まされない重大問題だ。                                                                                                      ★☆★岩波ホールは来年2月、創立45周年を迎える記念に、この名画を再上映する。2月16日(土)が初日だ。                                                                                                                                ★☆★何度も画面に出る海が美しい。その美しさも鯨の到来も、老姉妹の娘時代と変わらない。ただ人だけが老いていく。それが切ない。この映画では、海は永遠性を象徴している。                                                                                    ★☆★リリアン・ギッシュ、ベティー・デイヴィス、ヴィンセント・プライス、アン・サザーン、ハリー・ケリーjrの名優5人が演じている。                                                                                                                      ★☆★「老いの問題」は、多くの人々にとって今既に始まっている明日に続く大問題だ。そのことを考える機会を与えてくれる秀作だ。