2013年1月8日火曜日

なぜ「左から右へ転じたか」-興味深いペルー政治の分析


▼▽▼雑誌「ラテンアメリカレポート」(2012年)Vol29#2に、興味深い論文が載っている。村上勇介執筆の「ペルー左派政権はなぜ新自由主義路線をとるのか――<左から入って右に出る>政治力学の分析」である。

▼2期目のアラン・ガルシア政権と、オヤンタ・ウマーラ現政権を対象として分析している。ガルシアの場合は、1980年代後半の第1期政権は未熟ゆえに大失敗したため、その教訓で変身したのは疑いない。だが「変身しすぎた」と思う。これについてガルシア自身が理由について何か語っていたとすれば、ぜひ読みたいところだ。

▼ウマーラについては、「本人が大統領とはこうあるべきだ、という確乎たる理念を持っていなかったためではないか」との分析が面白い。守勢に回り、今や任期を全うするのが大目的になっている、という指摘がある。

▼大統領制のペルーでは、筆頭閣僚の首相がころころ代わる。しかし議院内閣制の日本の首相がころころ代わるほど異常ではない。

▼長文の論文で図解も入っており、直接読むのをお勧めする。