2016年4月22日金曜日

ベネズエラでマドゥーロ政権3周年機に対抗国会「祖国会議」発足

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は4月19日、就任3周年を迎えた。この日はベネスエラで最初に独立が叫ばれた日の206周年記念日。二つの記念日に合わせ、政府を支持するチャベス主義者がカラカス中心部で大々的な行進と集会を打った。

 マドゥーロ大統領はボリーバル広場での演説で、「祖国会議」(コングレソ・デ・パトゥリア)開設を発表した。故ウーゴ・チャベス前大統領が始めた「ボリバリアーナ革命」(ボリーバル主義革命)がもたらした「人民権力」を保障するのが「祖国会議」、と説明した。

 大統領はまた、保守・右翼野党連合MUDが圧倒的多数の国会によるゴルペ(クーデター)を目指す不安定化運動を無力化するのも「祖国議会」の役割だとし、一種の「対抗国会」という認識を示した。

 「祖国会議」は常設機関で、具現化する組織として「全国委員会」が設置される。この日から7月5日かけて全国で支持者の意見を吸い上げ、それを国政に反映させてゆく。5月から、新たに党員、党支援大衆組織員の登録、身分証発行を始める。

 さらに、7月14日の独立の英雄フランシスコ・ミランダの没200周年に「祖国会議」に関する国際会議を開く、と明らかにした。

 大統領は演説で、「ブラジルも、ラ米の進歩主義政権打倒を狙う帝国の攻撃対象となっている」と指摘した。世界40都市で19日、ベネスエラやブラジルを支援する行動が展開された。

 一方、野党連合MUDは19日、マドゥーロ大統領解任の是非を問う国民投票実施を選管に申請するのに必要な署名を集める活動を開始した。次いで20日、この国民投票実施法案を可決した。

 法は大統領の署名をもって発効するが、大統領が署名を拒否した場合、最高裁憲法法廷が審理する。野党議員たちは20日、選管に国民投票申請用紙をもらいに行ったが、政府支持派と対立。出動した国家警備隊に追い払われた。

 MUDは、大統領任期を現行の6年から5年以下に短縮することや、大統領の無期限再選制廃止も狙っている。

 マドゥーロ政権打倒のため内政干渉を続けてきた米国は、干渉を強めている。ジョン・ケリー国務長官は18日、米紙上で、「米州人権憲章のベネスエラへの適用の是非」を訊かれて、「民主化圧力をかけるため良い考えだ」と述べた。デルシー・ロドリゲス外相は、ケリー発言を直ちに糾弾した。

 呼応するかのように米南方軍司令官カート・ティッド提督は、「自由ベネスエラ作戦2」というマドゥーロ政権打倒計画文書に署名、それが、意図的か、暴露された。ベネスエラ政府はこれをも糾弾した。

 ワシントンの米州諸国機構(OEA)本部では21日、ベルナルド・アルバレスVEN大使がルイス・アルマグロ事務総長(前ウルグアイ外相)に、米州民主憲章のベネスエラへの適用を提案するならば、事務総長解任の覚悟が必要だと警告した。アルマグロは3月、MUDから要請があれば適用を検討すると表明。近くMUDから申請を受ける可能性が指摘されていた。

 同憲章第20条は、「民主体制に重大な影響を及ぼす憲政秩序の変更」を適用理由にしている。過去に09年のオンドゥーラスでの民軍クーデター時に適用され、同国は違法政権が終わるまでOEA加盟資格を剥奪された。アルバレス大使は、ベネスエラは、そのような状況にないと述べた。

 ベネスエラは16日エクアドール太平洋岸で起きたM7・8の巨大地震の被災者救援のため20日までに4回に分けて、物資、医師団、救助・救急隊、工兵隊などを同国被災地に派遣してきた。

 2014年のMUD支持者などによる街頭暴力事件の実態を調査する「真実委員会」は20日、調査活動を開始した。半年後に結果を報告する。

 電力省は21日、この日から40日間にわたって全国を5地域に分け、一日4時間ずつ停電を実施すると発表した。ベネスエラは異常乾燥に見舞われ、ダムが枯渇気味で、電力節約のため非常措置に踏み切った。

 その雨のない日々に特に好まれるのはビールだが、ビール製造会社ポラール社は21日、原料の大麦が29日までしかなく、その後はビールの生産を打ち切らざるを得ない、と発表した。大麦は全面的に輸入に依存しているが、ベネスエラは深刻な外貨不足に陥っている。