2017年3月28日火曜日

 ベネズエラのデルシー・ロドリゲス外相がワシントンの米州諸国機構会議で激しく反撃▼ラウール・キューバ議長の末妹死去▼メキシコ学生43人強制失踪事件から30ヶ月

 ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は3月27日、ワシントンの米州諸国機構(OEA)本部での加盟国大使会議で45分間に亘って自国の立場を説明。ルイス・アルマグロOEA事務総長および賛同18カ国による、ベネスエラ問題をめぐる28日の特別大使会合開催決定を「内政干渉」として糾弾した。

 ロドリゲス外相は右隣に着席していたアルマグロ総長を時折見やりながら、「アルマグロは米帝国主義の利益のために活動しており、ベネスエラの寡頭勢力および国際右翼勢力と連携して、ベネスエラへの不安定化活動をしており、ボリバリアーナ革命を終わらせ、ニコラース・マドゥーロ大統領を交代させようと策謀している」と厳しく指摘した。

 デルシーはまた、「2015年にアルマグロが事務総長に就任した時から、彼の反ベネスエラ性を懸念していた。彼は就任以来、反ベネスエラ言動に淫してきた。(アルマグロがウルグアイ外相だった時の上司)ホセ・ムヒーカ(前)大統領は、マドゥーロ大統領に、アルマグロには反ベネスエラ行動はとらせないと約束していた」と、秘話を暴露した。

 外相はアルマグロを「嘘つき、不正直、悪人、傭兵、裏切り者」と扱き下ろし、「米政府が立案し支援するベネスエラへの金融、メディア攻撃などを展開している。米国の利益に従属していることから独立性がない」と批判した。

 28日の大使会合開催を提案した加盟諸国に対しては、「マドゥーロ政権打倒と反ベネスエラ行動が狙いであり、そうでないかのように装う仮面を剥がせ」と言い、内政干渉を止めるよう警告した。

 デルシーは、アルマグロがベネスエラの保守・右翼野党連合MUDと26回会合したとし、その半分は暴力を厭わない極右政党だと指摘。またアルマグロは欧州やラ米など諸国を訪問しては必ず反ベネスエラ発言をしてきた、と非難した。

 OEAについては、「機能しなくなっている。内政干渉の伝統を断ち切れない。機関としての方向性を見失い漂流している」と指摘。1948年の創設以来OEAがCIAと組むなどして、ラ米・カリブ地域で50を超える軍事クーデターに関与してきたとも述べ、1954年のグアテマラ改革政権を米政府が打倒した流血の政変を例に挙げた。

 ベネスエラ政府は27日、OEAに28日の会合を中止するよう求めたが、論番制議長国ベリーズは開催を決めている。ベネスエラ政府と野党連合MUDの政治対話を仲介してきたJL・Rサパテロ前スペイン首相、レオネル・フェルナンデス前ドミニカ共和国(RD)大統領、マルティン・トリホス元パナマ大統領の3人は27日、OEA大使会議に向けて、ベネスエラの国内対話を重視するよう呼び掛けた。

 ベネスエラ最高裁のマイケル・モレーノ長官は27日カラカスで、アルマグロの事務総長解任を発議するよう行政府に求める、と発表した。

 一方、米共和党極右のクーバ系上院議員マルコ・ルビオは27日、マイアミのヌエボ・エラルド紙に、「RD、ハイチ、エル・サルバドールがOEAでベネスエラを支持しているかぎり、3国への米援助の維持は難しい」と述べ、3国に圧力をかけた。RDなどの新聞がマルコ発言を取り上げ、非難した。

▼ラ米短信    ◎ラウール・キューバ議長の末妹が死去

 ラウール・カストロ玖議長の末妹アグスティーナ・カストロ(78)が3月26日、ハバナで死去した。ラウールの兄弟姉妹は7人だったが、長姉アンヘラ、長男ラモーン、次男フィデルは昨年までに死去。残るは、ラウール議長、二女フアーナ、三女エマの3人となった。

 フアーナは革命政権に反対、カストロ兄弟と袂を分かって1964年出国、マイアミで亡命生活を送ってきた。エマはメヒコ人と結婚し、メヒコ市に住んでいる。アグスティーナの葬儀にはエマも参列する。

▼ラ米短信    ◎メヒコ学生43人強制失踪事件から2年半

 メヒコ・ゲレロ州イグアラ市2014年9月26~27日起きた、同州内にあるアヨツィナパ農村教員養成学校生43人の強制失踪事件と市民殺害事件から30カ月が過ぎた。家族、支援者ら200人は3月26日、43人の写真を掲げてメヒコ市中心街を行進した。

 陸軍兵士や連邦警察の事件関与が明るみに出ているが、政府は捜査を事実上、打ち切っている。捜査の最高責任者であるMAオソリオ内相は、来年7月の大統領選挙に政権党PRI候補として出馬する方向にある。

 学生の父母らは、「内相が捜査を疎かにして政権に就けると思ったら大間違いだ。アヨツィナパ事件は内相の<靴の中に入った大きな石>となって選挙戦で攻撃の的となるはずだ」と指摘した。