2017年3月3日金曜日

ブラジル新外相は元ゲリラ、アロイジオ・ヌネス氏

 ブラジルの新外相に3月2日、アロイジオ・ヌネス上院議員(71)が就任した。2月22日に辞任したジョゼ・セラ外相の後任。ヌネスは軍政期の1960年代、都市ゲリラだった。

 ヌネスはサンパウロ大学法学部生だった1963年、政治活動に参加。64年軍事クーデターで軍政が発足すると、非合法だったブラジル共産党(PCB)に入党する。だがやがて、武闘派指導者カルロス・マリゲーラに従って離党、ゲリラ「民族解放行動」(ACN)を結成。最高司令マリゲーラの側近になる。

 ACNは68年8月、列車を襲撃し、給与袋を強奪。資金1億800万新クルゼイロ(当時の通貨単位。約1万1600ドル)を得た。ヌネスは、逃走時に車を運転した。

 同年、指導部の命を受けてフランスに亡命。アルジェリアでのゲリラ訓練実施の交渉などを担う。79年まで巴里に滞在、パリ大学で政治学修士となる。恩赦法が施行された79年に帰国する。

 83年、サンパウロ州会議員となって政界に入り、その後、同州選出連邦下議、同州副知事、連邦政府司法相、連邦上議を歴任。このたび、テメル政権の外相に抜擢された。当初はPMDB(伯民主運動党)党員、後にPSDB(伯社民党)に移り、現在に至る。ヌネスはゲリラ時代を振り返って、「ゲリラ闘争は結果的に失敗したし、民主的ではなかった」と語っている。

 ブラジルのヂウマ・ルセフ前大統領も元ゲリラだった。ウルグアイのホセ・ムヒーカ前大統領も元ゲリラ。ラ米には独特の「ゲリラの政治文化」があり、元ゲリラが要職に就くのは全く珍しいことではない。

 クーバのラウール・カストロ議長は元ゲリラ部隊司令で、1959年のクーバ革命の覇者。ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領も79年のサンディニスタ革命の覇者。エル・サルバドールのサルバドール・サンチェス=セレーン大統領もゲリラ司令だった。

▼ラ米短信   ◎メヒコ・中米外相会議開かる

 中米統合機構(SICA、8カ国)と、SICAオブザーバー国メヒコの外相会議が3月2日、コスタ・リカの首都サンホセ郊外で開かれた。トランプ米政権下で重大問題になっている不法移民問題を中心に協議した。

▼ラ米短信   ◎ベネスエラ政府が米国を糾弾

 ベネスエラ外務省は3月2日、米上院による2月28日の反ベネスエラ決議について、「ベネスエラに対する内政干渉であり、帝国主義の脅し」と指摘、決議を糾弾。「世界の友邦人民はベネスエラの大義を支持している」と述べた。

 ベネスエラ国会の政権党会派も、米上院宛てに抗議し、反ベネスエラ行動を止めるよう要求した。