ベネスエラのタレク・エルアイサミ執権副大統領は8月1日、大統領政庁で閣僚評議会を主宰、ニコラース・マドゥーロ大統領に対しトランプ米政権が7月31日科した「在米資産凍結」および、内政干渉を糾弾し、マドゥーロ大統領への連帯を表明した。
この日、制憲議会(ANC)の先住民族割り当て8議席を占める8人の議員が選出された。これにより、市・コムーナなど地域代表議員364人、職能分野別議員173人、先住民族8人の計545議員が選出された。ANCは国会議事堂に2日開設される。
ANC議員には、大統領の先妻との間の息子ニコラース・マドゥーロ=ゲラ(27)、現大統領夫人シリア・フローレス、前外相デルシー・ドロリゲス、共産党幹部ヘスース・ファリーアスらが含まれている。
運輸労連議長フランシスコ・トレアルバも議員に当選。「我々当選議員は、野党と対話する用意がある」と述べた。同時に、ANCは4月以来の反政府勢力による暴力事件の責任者を処罰する、とも強調した。
諜報機関SEBINは1日未明、保守・右翼野党連合MUDの右翼幹部レオポルド・ロペス(2014年暴動教唆罪)と、同アントニオ・レデスマ(カラカス首都圏市長=停職中=)の自宅軟禁処分を停止、ラモベルデ軍事刑務所に移し収監した。2人は、自宅軟禁条件に反し政治的発言をしたため刑務所に戻された。
MUDは、ANC開設に抗議して3日、首都で大規模な動員をかけると発表した。MUD幹部で国会議長のフリオ・ボルヘスは、「国会は(マドゥーロ政権に対抗する)新政権・新大統領を選びはしない。それは選挙民が選ぶ」と述べ、「臨時代替政権樹立」構想を否定した。
ベネスエラ統一社会党(PSUV)を柱とする政権党連合「大愛国軸」(GPP)所属の国会議員3人は、ANCに反対して1日GPPを離れ、MUDに歩み寄り、国会内に社会主義会派を結成した。
一方、カラカスの英国大使館は1日、同日付で英国人大使館員の家族は出国する、と発表した。またベネスエラに滞在する英国人に対しては、コロンビア国境から80km以遠に行くな、と警告した。さらに、英国人は通常の商業便で出国するのが望ましいとしながらも、政情がさらに悪化すれば航空便が止まる可能性がある、と注意を促した。
スペインのイベリア航空は1日、政情不安により8月3日からマドリー・カラカス往復便を打ち切ると発表した。
チレ外務省は、カラカスの同国大使公邸に、MUDが国会で任命した最高裁判事・補欠33人のうち、3人が政治亡命を求めて滞在している、と明らかにした。ベネスエラ政府は、同33人を認めておらず、追及対象としている。
ロシア政府は1日、「国際社会は破壊的計画を止めて、外国の介入なしにベネスエラが危機を乗り越えられるように支援すべきだ」と呼び掛けた。中国やインドは、ANC開設に関し沈黙している。