2014年9月29日月曜日

ベネズエラ人の四分の三が経済安定を望む

 ベネスエラの現状に関する最新の世論調査結果が9月28日公表された。75%が経済安定を望んでいるが、24%は経済の現状への不満を表明した。

 民放テレビ「テレベン」の日曜定例番組で、ジャーナリストのホセ=ビセンテ・ランヘール(元大統領)が明らかにした。

 状況の展望では、62%が楽観、37%が悲観。状況の受け止め方は61%が静観、37%が混乱状態。だが現在の状況については、63%が懸念、36%が安心と、懸念が多かった。

 また現在の生活について50%が満足、47%が不満と答えた。さらに「幸福」が59%、「つらい」が37%だった。

 ニコラース・マドゥーロ大統領については、過半数が「統治能力がある」と見ている。

ペルー政府がクスコ州内の地震被災地の移転を検討

 ペルーのオヤンタ・ウマーラ大統領は9月28日、大地震が27日発生したクスコ州内のミスカ村などに90日間の災害非常事態を発動した。

 大統領はまた、被害のひどいミスカを別の地に移転させる計画を検討中だと明らかにした。

 ミスカでは人口750人のうち575人が被災し、8人が死亡、5人が負傷した。145戸の家屋は、すべてが泥を煉瓦状に固めて乾燥させたアドーベ製で、地震にもろい。多くが全半壊した。

 スペイン植民地時代の18世紀に建設されたカトリック教会も崩落した。今回の地震はM4・9だったが、震源がミスカ一帯直下の地中8kmだったため、振動が激しかった。

キューバ政府がゲバラとチャベスの名を香水名にするのを禁止

 クーバ政府は、国営化粧品会社が同国に縁の深い英雄の名前を香水に付けることを禁止した。
9月28日明らかになったところでは、閣僚評議会は26日、ラビオファム社と話し合った後、禁止を発表した。

 同社は先週半ば、「エルネスト」、「ウーゴ」という2種類の香水を将来発売することを明らかにしていた。チェ・ゲバラとチャベス大統領の両故人の名前であることは誰もが知っている。

 閣僚評議会は、革命の英雄は聖なる象徴であり、使うことは許されないとしている。ゲバラとチャベスの遺族は使用を許可しておらず、今回の「無責任な行為に対し、規律化のため、しかるべき措置がとられる」と厳しい。

 ラビオファム社の社長は、カストロ兄弟の姉、故アンヘラ・カストロの息子ホセ=アントニオ・フラガ=カストロ。ラウール・カストロ国家評議会議長、フィデル前議長の甥である。この点からも、この出来事は関心を集めている。

 市場経済原理を導入するなど、経済改革が徐々に進められているクーバだが、「資本制の害悪の蔓延」を防止するのも政権の至上命令であり、今回の香水名命名の一件は「軽はずみ」だったと判断された。

 同社は、両種の香水は開発中だったため、市場に出回ってはおらず、今後、同じ名称で販売されることはない、と表明している。


2014年9月26日金曜日

ボリビアとウルグアイでも10月大統領選挙

 10月にはブラジルの他、ボリビアとウルグアイでも大統領選挙が実施される。12日投票のボリビアでは、現職で3選を狙うエボ・モラレス(MAS=社会主義運動)が支持率54%で、当選する公算が大きい。

 企業家で米国が支援するサムエル・ドリーア=メディーナ(UD=民主連合)は14%、元大統領ホルヘ・キローガ(PDC=キリスト教民主党)は7%で、モラレスに水を開けられている。

 ウルグアイでは26日実施される。政権党拡大戦線(FA)のタバレー・バスケス前大統領が43%、野党国民党のルイス・ラカージェ(元大統領の息子) が33%、野党コロラード党のペドロ・ボルダベリが15%。

 バスケスとラカージェが11月30日の決選投票に進出する公算が大きい。

マリオ・バルガス=ジョサが、場合によってはマドゥーロ大統領暗殺は正当化されると発言

 ペルー人ノーベル文学賞作家マリオ・バルガス=ジョサ(78)はこのほど、居住地のマドリ-で、「ベネスエラ大統領ニコラース・マドゥーロは独裁者だが、まだ野党にとって合法的に対応する余地がある。それが失われたら、天誅を下すことは完全に正当化される」と述べた。

 メキシコ人右翼ジャーナリスト、ホルヘ・ラモスの質問に答えて語った。ラ米には、作家が暗殺を教唆したと受け取る向きもあって、発言は物議を醸している。

 一方、マドゥーロ大統領は25日、1989年2月のカラカス騒乱事件(カラカソ)の死者は3500人と述べた。

 また、プエルト・リコ独立派指導者で、米国の刑務所に長らく収監されているオスカル・ロペスについて、「ラ米のマンデーラ」だと指摘した。

マクリ亜国大統領らの絡む「脱税天国」事件捜査をパナマ政府が開始

 パナマ政府は4月3日、パナマ市にあるモサック・フォンセカ弁護士事務所の電脳網が侵入され「パナマ文書」と名付けられた機密文書が同日の報道で暴かれた事件の捜査に協力すると表明、同日、捜査を開始した。

 同文書は過去数10年に亘る1150万点に及ぶ膨大な量で、世界200カ国・地域にまたがる21万4000企業、現職・元職の国家元首・政府首班72人らが絡んだ脱税天国事件を記している。

 パナマのJCバレーラ大統領は、パナマが脱税関与国名簿に載っていたのを屈辱とし、金融取引の「完全透明化」を優先政策に掲げ、同名簿からのパナマ除外を勝ち取った。それだけに大統領にとって、今回の暴露は極めて不都合な出来事だ。

 弁護士事務所から電脳で盗奪された機密文書は3日、「国際調査報道ジャーナリスト協会」(ICIJ)加盟のメディアによって一斉に報じられた。ウラディーミル・プーチン露大統領、マウリシオ・マクリ亜大統領、「世界一のサッカー選手」リオネル・メッシ(亜国人)、欧州サッカー連盟前会長ミシェル・プラティーニ(仏)、スペイン人映画監督ペドロ・アルモドーバルら数多くの著名富裕層の関与が指摘されている。

 マクリ亜国大統領は3日、父や兄弟と共に家族会社「フレグ商事」の重役を務めていた事実を認めたが、「たまたま重役になっただけで、資本参加せず配当金も受け取っていない」と釈明した。同社はマクリがブエノスアイレス市長だった2009年まで存続した。

 マクリは、07~08年に米国内に銀行口座を持ち、他国にも持っていたと明かしている。マクリは去る1日、ワシントンでの核物資・兵器安保首脳会議で、安倍首相と会談している。今回の事件暴露で、日本側のマクリを見るめも多少変化するはずだ。
 

コロンビア内戦和平交渉が部分合意

 ハバナで和平交渉を続けているコロンビア政府とコロンビア革命軍(FARC)は9月24日、部分的合意文書を公表した。両者が2012年11月交渉を開始してから最初の具体的成果の公表となった。

 文書は65ページで、農地改革、復員者の政治参加、麻薬の3議題についての合意内容が綴られている。それぞれ13年5月、11月、今年5月に基本合意がなされていた。

 現在ハバナでは、第4議題「内戦犠牲者への賠償」が話し合われている。

 フアン・サントス大統領は25日国連総会で演説し、「コロンビアはかつてなかったほど平和に迫っている」と述べ、拍手を浴びた。

キューバ経済相にマリーノ・ムリージョ副首相が復帰

 クーバ経済相が9月25日、アデル・イスキエルドからマリーノ・ムリージョ副首相(53)に代わった。ムリージョは2009~11年、経済相を務めた。イスキエルドは第1副経済相に降格する。

 ムリージョは、ラウール・カストロ議長が推進する経済改革路線の中心的立案者。従来通り、開発・改革実施常設委員会の委員長も務める。

 国内で「改革の遅れ」への不満が高まっており、ラウール議長は前職の大物ムリージョを再度、経済政策の前線に配置したもよう。

2014年9月24日水曜日

ベネズエラ大統領がNYで米政府を厳しく批判

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は9月23日、ニューヨーク・ブロンクスで社会運動家らと会合し、米政府の内政干渉政策を批判し、米国はベネスエラとラ米から手を引け、と述べた。

 大統領はまた、「米国務省は、チャベス前政権からの過去15年間、ベネスエラに対し偽りの宣伝を続けてきた」と前置きし、バラク・オバーマ大統領はベネスエラの街頭暴力の教唆者である極右政治家への連帯を示した、と非難した。

 マドゥーロは、西側メディアの意図的な反ベネスエラ報道運動の存在を指摘し、攻められている我々ベネスエラが犯した唯一の罪は、資本主義を超える経済、政治、社会のモデルを構築しようと夢想し望んだことだ、と強調した。

 大統領は、国連総会出席のためNYに滞在している。

米国は対キューバ政策見直しを、とコロンビア大統領

 コロンビアのフアン・サントス大統領は9月23日ニューヨークのハーヴァードクラブで学究者と財界人を前に講演し、米国の半世紀を超える経済封鎖などの対クーバ政策は失敗したと思う、と前置きし、米政府は対クーバ政策を見直すべきだと語った。

 サントスは、「異なる立場をとる国同士の友好関係は可能であり、私は隣国ベネスエラの故ウーゴ・チャベス前大統領と良好な関係を維持していた」と述べ、米玖間は関係正常化のための交渉機関を設置すべきだ、と説いた。

ブラジル大統領選挙で現職ルセフに当選の公算

 ブラジル大統領選挙(10月5日)の主要候補支持率は9月23日発表の世論調査で、ヂウマ・ルセフ大統領40%、マリーナ・シルヴァ元環境相36%、アエシオ・ネヴェス上院議員17%だった。

 後日実施の決選投票には上位2候補が進出する。ルセフ46%、シルヴァ39%で、大統領の連続再選の公算が大きくなった。

 これまでの調査ではもっぱら決選でシルヴァが勝利する、という結果だった。ルセフは、シルヴァの大企業優先政策など新自由主義路線を厳しく攻撃し、これが奏功してきた。

 別の調査でも、決選でルセフ42%、シルヴァ41%と出た。だがまだ第一回投票まで12日、決選までは一か月余りあり、予断を許さない。

2014年9月23日火曜日

国連が第1回世界先住民会議を開催

 国連総会は9月22~23日の日程で、第1回世界先住民会議を開いた。2007年に採択された「先住民人権宣言」に盛り込まれた事項の実施状況を検証する。1000人を超える先住民代表が出席している。

 この会議の推進者、ボリビアのエボ・モラレス大統領は演説し、国連に感謝するとともに、「先住民運動の原則は、資本制によって害されてきた生命、母なる大地、平和だ」と述べた。ボリビアの先住民は人口の62・2%とラ米最大。

 グアテマラのノーベル平和賞受賞者リゴベルタ・メンチュー、先住民1100万人がいるメヒコのエンリケ・ペニャ=ニエト大統領も出席した。

 国連ラ米カリブ経済委員会(CEPAL=セパル)は、域内先住民に関する報告を発表した。2010~13年に域内で、鉱山開発やダム建設による自然破壊、土地接収をめぐり先住民が抗議し関与する紛争が200件起きた。

 CEPALはまた、域内の先住民人口は826民族、4500万人で、域内総人口の8・3%と報告した。この民族数は、CEPALが06年に報告した数より200増えている。だが絶滅の危機に瀕している民族が少なくない。

 
 
 先住民族は、ブラジル305(うち70は絶滅の恐れ)、コロンビア102(同35)、ペルー85、メヒコ78、ボリビア39(同13)などに多い。域内10カ国では、先住民は農村よりも都市に住む者の方が多い。

 ボリビアやエクアドールでは、先住民の人権や生活が改善されている。だが多くの国では迫害が続いている。

 

2014年9月21日日曜日

「イスラム国」から脅迫されたと、アルゼンチン大統領が告発

 アルヘンティーナのクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル大統領は9月20日、ローマ法王フランシスコに謁見した後、ローマで、イスラム国から脅迫されたため自国の司法当局に告発した、と明らかにした。

 大統領は、同国人である法王と親しいこと、および、大統領がパレスティーナとイスラエルの共存を支持していることから、脅迫された、と表明した。

 この日、法王とは、国際金融制度、亜国経済などのテーマを含め3時間話し合った、という。

2014年9月20日土曜日

メキシコ在住の竹田鎮三郎・邦夫兄弟が東京、山形、名古屋で展示会

 メヒコ在住半世紀の竹田鎮三郎画伯(79)と「メヒコの愛弟子たち展」が9月18日、神宮前の国連大学斜め裏にあるプロモアルテで開かれた。22日まで続く。

 私は画伯とはメヒコ時代以来47年の付き合いで、オアハーカ産のメスカルを呑みながら、懐かしい再会を果たすことが出来た。80歳直前だが若くはつらつとしており、それがメヒコのお陰であるのは疑いないが、画伯も現代の怪物の一人だ。

 鎮三郎はオアハーカ市にあるオアハーカ州立ベニート・フアレス自治大学で美術学部長を長らく務めており、最近、名誉博士号を授与された。

 出品している4人の弟子は皆オアハーカ州内で生まれた40代半ばのメヒコ人の男性ばかり。作風には、明らかに竹田の影響が見られる。

 現在「メヒコの大地・生命への讃歌 竹田鎮三郎展」が、山形県酒田市の酒田市美術館で開催中。9月13日に始まり、10月19日まで。

 一方メヒコ在住42年の竹田邦夫(65、鎮三郎の実弟)は彫銀師。9月23日~10月4日、新宿区荒木町の画廊「ゑいじう」で、「竹田邦夫彫銀展」を開く。オパロ(オパール)をちりばめたブローチなどが素晴らしい。電話3356-0098。

 10月17~19日は、場所を中野区上高田の「土日画廊」に移して彫銀展を開く。電話5343-1842。

 竹田兄弟は、愛知県瀬戸市出身で、名古屋市でも展示会を開く。

アルゼンチンの貧困層は厚く、衝撃療法は打撃甚大

 世界銀行は9月19日、アルヘンティーナ経済について報告し、貧困層が厚いため、経済健全化のために衝撃療法を採れば打撃が大きくなる、と指摘した。

 亜国の貧困層は33%。日収4~10米ドルの市民が該当する。日収が4ドル未満の極貧層は10・9%。

 世銀は、亜国の貧困対策向けとして2015~18年に計10~12億ドルを融資する方針を決めた。農業取引、農村学校教育、保健、上水道敷設などに回される。

 世銀は過去に45億ドルを亜国に融資していた。だが米財務省が、対外債務返済問題を巡って融資を停止するよう横槍を入れたため、融資は止まっていた。

2014年9月19日金曜日

LATINA誌10月号「乱反射」は英領ジブラルタル特集

 ◎最近の伊高浩昭執筆記事

★月刊LATINA10月号(9月20日刊)
 「ラ米乱反射」第102回 「300年-かくも長き<スペインのジブラルタル(ヒブラルタル・エスパニョール)>不在」、「国土回復の悲願横目に現地住民は英領継続を望む」(写真6枚掲載)

 「書評1」:『ユリイカ』7月「ガルシア=マルケス」特集号

 「書評2」:『国策通信社「同盟」の興亡-通信記者と戦争-』(鳥居英晴著、花伝社)

★週刊読書人9月19日号「書評」:『国策通信社「同盟」の興亡-通信記者と戦争-』(同上)

★月刊「世界」10月号(9月8日刊、岩波書店)「世界の潮」:「ベネスエラ最新情勢」

★週刊金曜日8月29日号「きんようぶんか」欄「書評」:『国策通信社「同盟」の興亡-通信記者と戦争-』(同上」)【※同じ本の書評を重複部分を少なくして3本書き分けた。】

パナマ外相がキューバ議長を米州首脳会議に招待

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は9月18日、ハバナでパナマ副大統領兼外相イサベル・デサンマロと会談した。その際、来年4月パナマで開かれる第7回米州首脳会議への招待を受けた。

 パナマ外相は、これに先立ち、クーバのブルーノ・ロドリゲス外相と会談した。外相会談の共同声明には、クーバは同招待を建設的に受け止めた、と記された。パナマは11月、クーバに正式の招待状を送ることになる。

 デサンマロは記者団から、クーバ招待は対米関係に問題を生じさせるのではないか、と問われ、「そうなる理由が見当たらない」と否定した。

 共同声明には、クーバ側の意向で、CELAC、イベロアメリカ首脳会議、ラ米統合機構(ALADI)などがLAC(ラ米・カリブ)統合を話し合い推進する場として重要、との文言が盛り込まれた。

チリ警察が爆発物仕掛けた容疑者を逮捕

 チレ内務省は9月18日、過去数月間に首都サンティアゴの地下鉄車内や駅構内商店街などに爆発物を仕掛け負傷者を出した犯行の容疑者として、無政府主義集団の3人を同日逮捕した、と発表した。

 3人は22~24歳の男女で、「火(銃撃)の細胞の陰謀」を名乗る小組織の要員。容疑者はさらにおり、逮捕者は増えるという。

2014年9月18日木曜日

パナマ外相が次回米州首脳会議へのキューバ議長出席を働き掛け

 パナマのイサベル・デサンマロ副大統領兼外相は9月18日キューバを訪問し、来年4月10日パナマで開かれる第7回米州首脳会議にラウール・カストロ国家評議会議長が出席するよう交渉する。

 この会議は米州諸国機構(OEA)加盟34カ国の首脳会議。キューバは革命後の1962年、米国の圧力で加盟資格停止となり、以来、OEAとは縁を切ってきた。

 09年の第5回米州首脳会議で資格停止処分は解除されたが、OEAを「米国のラ米支配の道具」と見なすキューバは復帰する意思を示していない。

 キューバにとっては、米国とカナダの北米両国を除外したラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)が重要。ベネスエラの故ウーゴ・チャベス大統領が推進し2011年12月実現したCELACの第2回首脳会議を、キューバは今年1月ハバナで成功裡に開いている。

 パナマでは7月、親米右翼の財界人大統領リカルド・マルティネリから中道のフアン=カルロス・バレーラに代わった。バレーラは就任後早い段階で、次回米州首脳会議へのラウール出席を招待していた。

 背景には昨年12月のネルソン・マンデーラ元南ア大統領の国葬の場で、バラク・オバーマ米大統領が歩み寄ってラウールと握手した事実がある。また「米州35カ国全首脳が出席する初の首脳会議」を開催したいバレーラの思惑もある。

 デサンマロ外相は、キューバの立場を考慮し、巴玖外相会談後の共同声明に「CELACの重要性」を盛り込むことに同意している。

ハイチ沖の難破船はコロンブスの船か?期待膨らむ

 今年5月ハイチ近海で発見された難破船の残骸がクリストーバル・コロン(コロンブス)の旗艦サンタマリーア号のものである可能性が膨らんでいる。

 サンタマリーア号は1492年12月、ハイチ北岸沖の水深3~4・5mの浅海で座礁した。コロンブスはハイチ北岸に砦を建設したが、難破船の板や柱などを砦建設に用いた、とされる。

 発見された遺物には15世紀製の大砲があり、これが有力な手がかりになるという。他の遺物を含め鑑定が進められている。

 発見者の米国人バリー・クリフォード(68)は、サンタマリーア号と判明すれば世紀の大発見となる、と期待している。

ニカラグア運河建設予定地での住民調査が緊張

 ニカラグア「大運河」の建設工事を担う中国系会社HKNDは8月以降、建設路線一帯の住民調査を進めている。調査実施中の南部のリバス県で緊張が高まっている。

 調査は、土地接収に備え、賠償、土地交換、引っ越しなどの実施に必要な資料を得るためとされる。

 リバス県の路線住民の多くは、オルテガ政権の党FSLNの支持者だが、先祖伝来の土地を失いたくないことや環境汚染の恐れが強いことから、工事に反対している。

 調査現場では、「政府は中国におもね、ニカラグア人を疎かにしている」、「中国人よ立ち去れ」などの非難の声が聞かれた。政府は調査団に軍と警察の要員を同行させている。

 HKNDは年末に着工する、と発表している。

ホンジュラスの最近のデング熱患者は2万人に迫る

 オンドゥーラス保健省は9月17日、デング熱患者は今週1169人増え、過去36週間の患者数は1万9175人に達した、と発表した。

 中部のフランシスコ・モラサン県一帯に患者数が集中している、という。

コロンビア内戦の今年の戦況を大統領が発表

 コロンビアのフアン・サントス大統領は9月17日、今年1月以来、内戦の戦闘および待ち伏せ攻撃などで政府軍兵士と警官が計177人死亡し、533人が負傷した、と発表した。

 その間、ゲリラは210人が死亡、2010人が逮捕され、903人が組織を離れた。

 本来ならば国防相や内相が発表すべき統計を大統領がわざわざ発表したのは、ハバナで継続中の政府とコロンビア革命軍(FARC)の和平交渉を政府が有利に進めていることを印象づけるためだ。

2014年9月16日火曜日

ミゲル・リティンの映画「迷路の中のアジェンデ」が11月公開へ

 チリ人映画監督ミゲル・リティンの最新作「アジェンデ・エン・ス・ラベリント」(迷路の中のアジェンデ)の撮影がほぼ終わり、11月公開される。

 故サルバドール・アジェンデ大統領が、軍事クーデターの発生した1973年9月11日、自殺する前の7時間をどのように過ごしたか、が主題。チレ人俳優ダニエル・ムニョスがアジェンデ役を演じている。

 作品は、完全なドキュメンタリーではなく、事実を基に虚構を加えたドキュドラーマ。

 今年のクーデター41周年記念日の9月11日、例年通りサンティアゴをはじめ各地で旧軍政への抗議行動が展開された。ミチェル・バチェレー大統領は政庁(モネーダ宮)で、チレには暴力も恐怖も入る余地はない、と述べ、過去の恐怖政治を糾弾した。

 大統領は、1978年にピノチェー軍政が制定した「恩赦法」の廃止実現に努める、と述べた。廃止法案は2006年に国会に提出されたが、そのままになっている。これを審議して成立させる方針。

 人道犯罪に時効はない、というのが国際通念になっている。73~78年の間に起きた人道犯罪の責任者を無処罰免罪にする同法の存在に拘らず、これまで犯罪責任者らが裁かれ投獄されてきた。

 だが、悪法が依然廃止されていないのは民主が定着した時代にそぐわない、としてバチェレーは同法廃棄の方針を打ち出した。

 この日、若者や暴徒が暴れ、女性一人が銃弾を受けて死亡、逮捕者、負傷者が出た。

ブラジル大統領選挙は新自由主義派に依然勝機

 ブラジル大統領選挙(10月5日実施)の最新の支持率調査によると、候補者11人のうち、有力3者の支持率は、労働者党(PT)ヂウマ・ルセフ大統領36%、ブラジル社会党(PSB)マリーナ・シルヴァ元環境相27%、ブラジル民主社会党(PSDB)アエシオ・ネヴェス上院議員15%。

 上位2人が決選投票に進出し、シルヴァがネヴェス票を加えて42%、ルセフが41%で、シルヴァ当選の可能性が依然続いている。

 シルヴァは「新政策」として公約を打ち出しているが、それは新自由主義経済政策への回帰であり、PSDBのカルドーゾ元政権の政策と同様、大企業優先策が際立っている。

 シルヴァが勝てば、ルイス・ルーラ前大統領から12年間続いてきたPTの「民主革命」路線の成果が失われる公算が大きい。このため、「解放の神学」派神学者レオナルド・ボフら進歩派知識人はルセフ支持に回っている。

マドゥーロ・ベネズエラ大統領支持率は54・3%

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領の支持率は、最新の世論調査では54・3%だった。21・3%は辞任を求めている。

 別の設問で、36・6%は2019年の任期満了を待つ、と答えた。7・6%は来年9月の国会議員選挙の結果を待つ、36・6%は、2016年の大統領罷免の是非を問う国民投票を待つと回答した。

 政権党・ベネスエラ統一社会党(PSUV=ペスーベ)の党員と答えたのは40・6%だった。回答者の41・4%はチャビスタ(チャベス主義者)、24・6%はチャビスタでないと答えた。

 故ウーゴ・チャベス前大統領が1999年に制定した現行のボリバリアーナ憲法については、61・
4%が支持、31・5%が非支持を表明した。

 新憲法制定のための制憲議会開設については、53・4%が反対、36・5%が賛成した。

 一方、マドゥーロ大統領は12日のPSUV青年部大会で、来年の国会議員選挙の同党候補者の30%を30歳以下、同50%を女性にしようと提案した。

コロンビアの貧困・極貧率が低下と、サントス大統領発表

 コロンビアのフアン・サントス大統領は9月15日、貧困と極貧が大幅に減ったと明らかにした。サントス就任前の2010年6月、貧困率は人口の39%に当たる1712万人だった。それが任期1期目の終わり近い今年6月には1350万人(29・3)へと、9・7ポイント減った。

 また同期間に極貧率は591万人(人口の13・5%)から386万人(8・4%)に減った。

 コロンビアでは、4人家族で月収416ドル以下が貧困、184ドル以下が極貧とされている。

2014年9月13日土曜日

立教大学で10月上旬、「エクアドール映画週間」

◎エクアドール映画週間のお知らせ

 2014年10月6~11日 18:30 解説、1900 上映

 立教大学池袋キャンパス7号館7102教室 毎回先着280人

 在日エクアドール大使館および立教大学ラ米研の共催

 問い合わせ ラ米研 03-3985-2578

 ★上映作品

 6日(月) 「君の目を盗んで」 2010年 72分 ティト・ハラ監督

 7日(火) 「二人の祖父」 2010年 93分  カルラ・バレンシア=ダビラ監督

 8日(水) 「娘の御名の下に」 2011年 102分 たにあ・エルミダ監督

 9日(木) 「バルタサル・ウシュカ-凍りついた時」 22分 イゴールおよびホセ=アントニオ・グアヤサミーン監督

        「緑の下の仕事」 66分 ガブリエーラ・カルバチェ監督

 10日(金)「釣師」 96分 セバスティアン・コルデロ監督 (※解説は伊高浩昭)

 11日(土) 1700~2000 エクアドール映画シンポジウム 新木秀和 濱治佳 万田邦敏  

2014年9月12日金曜日

コロンビア憲法裁が差別取締法を有効と判断

 コロンビア憲法裁判所は9月10日、差別取締法を試行可能と判断した。この法律は2011年に成立し施行されたが、検察庁が昨年、施行困難として憲法裁に判断を仰いだ。同法は、引き続き施行されることになった。

 この法は罰則として、違反者に禁錮1~3年および罰金(最低賃金の10倍~15倍)を科している。今回の判断で、心身の障害者に対する差別も罰則の対象となった。

 ヘイト言動が野放しの日本は、国際的な人権水準から大きく遅れている。
 

「クーバ・シ、ヤンキー・ノ」のアレハンドロ・ゴメス死去

 1959年のクーバ革命後に「クーバ・シ、ヤンキー・ノ」を作り歌ったコロンビア人カンタウトール(シンガー・ソングライター)アレハンドロ・ゴメス=ロア(79)が9月9日、コロンビアで心臓発作により死去した。本職は弁護士だった。

 ゴメスは1960年、革命の指導者フィデル・カストロに乞われ、この歌をハバナの大群衆の前で歌った。歌は、米国に抵抗するクーバとラ米人民の合言葉のような歌として愛され、一世を風靡した。

 ゴメスは1950年代からコロンビア共産党員だった。他の作品には「孤独の星」、「チレは抵抗する」、「ニカラグアは勝つ」などがある。

2014年9月11日木曜日

グアテマラ国会が「モンサント法」を廃止

 グアテマラの先住民共同体、農民、環境保護団体、そして良識が、外国企業と国内少数派の利権を打ち破った。同国国会は9月4日、悪名高い「植物権益保護法」廃止法案を賛成117、反対等41の圧倒的多数で可決した。

 悪法(通称「モンサント法」)は、遺伝子組み換えなどによる新種ないし従来と異なる植物種子はモンサント社など企業の特許下に置かれるとし、侵害者は禁錮1~4年および罰金130~1300ドルを科せられる、と規定していた。特許は樹木25年、野菜20年とされていた。

 この法は今年6月10日成立し、9月26日発効することになっていた。ところが広範な反対世論が巻き起こり、9月1日、12万人が国会前に法廃止を求めて抗議デモをかけた。農民の改良努力によっても新種はできるからだ。また世論は、遺伝子組み換え種子が農業を支配するのに反対していた。

 悪法を廃止する法は9月26日に発効する。オットー・ペレス=モリーナ大統領は悪法に署名していたため、大きな黒星がついた。

 この悪法制定は、CAFTA-RD(米国・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定)に加盟条件として含まれていた。グアテマラもこの協定に加盟している。だが国会の意思で廃止することができ、加盟条件が絶対的でないことが確認された形となった。モンサント社は、国会の決定を尊重すると表明した。 

2014年9月10日水曜日

米国による経済封鎖でキューバに1169億ドルの損害

 クーバ外務省は9月9日、米政府による半世紀を超える経済封鎖によって、クーバ経済・社会は総額1169億ドルの損害を被ってきた、と発表した。

 金価格を基にした米ドル価値の減少を考慮すると、損害額は1兆1125億ドルに達する。

 また2012年以来、米政府の封鎖政策で貿易や融資の差し止めが計130件あった。うち36件は金融絡みで、クーバと取引した米企業は計26億ドルの罰金を支払わされた。

 国連総会は過去連続22回、経済封鎖破棄を米国に求める決議を採択してきた。来月下旬、新たな採択機会が来るが、それに備えてクーバ政府は外交根回しを進めている。

 バラク・オバーマ大統領はこのほど、封鎖延長の手続きを済ませた。国連総会の封鎖破棄決議は拘束を持たない。

FARCは戦力の26%喪失、とコロンビア政府発表

 コロンビア国防省は9月9日、ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)は過去2年半に戦力の26%を失い、軍事・財政両面で危機に直面している、と明らかにした。

 FARC要員は同期間に1万1727人が戦死、負傷、投降などによって激減し、現在は7~8000人程度、という。

 戦力でなくなった要員の中には、部隊幹部57人が含まれている。当局は同じ期間に、FARCの軍資金の財源となっているコカイーナ(麻薬コカイン)を235トン押収した。

 軍事予算は現在、GDPの3・3%に当たる122億ドル。コロンビア経済の隆盛によって、国防予算は潤沢になっている、という。

 政府・国軍は2012年11月からハバナで、FARCと和平交渉を続けている。

ブラジル国境近くでペルー先住民4人殺害さる

 ブラジル国境に隣接するペルー・ウカヤリ地方の密林で先週、先住民族アシャーニンカの4人が殺害された問題で、秘伯両国にまたがって居住する同民族は9月9日抗議集会を開き、ペルー政府に対処を求めた。

 これを受けて、オヤンタ・ウマーラ大統領は同日、「このような事件が起きるのはペルーの恥だ」と述べ、現地に高官を派遣し事件の調査、捜査を開始すると約束した。

 現地情報は、森林を違法伐採している木材業者が4人を殺した、としている。

 殺された4人は共同体幹部で、まさに違法伐採者や麻薬組織の国境地帯徘徊について、ブラジル側同胞と対策を協議するため国境に向かっていたところを襲われた、という。

国連が債務返済政策における債務国の主権を決議

 国連総会は9月9日、債務国は債務返済問題解決のための債務再構築において主権を有する、との決議を賛成124、反対11、棄権41で可決、採択した。

 決議案は、米法廷の支持判決を受けた米禿鷹投資会社から高額返済要求を受け困惑しているアルヘンティーナとG77が提案していた。CFK亜国大統領は決議採択に喜びを表した。

 決議法制化のため、その法案が来年の国連総会に提出される見込み。

 決議で反対したのは日米独英加豪イスラエル・アイルランド・フィンランド・チェコ・ハンガリー。

 棄権にはイタリア、フランス、メヒコが含まれている。墨仏両国は別途、亜国支持を表明した。

2014年9月9日火曜日

ベネズエラの映画と情勢対談の集いのお知らせ

◎ベネスエラの集い 2014年10月2日(木)1900から、東京・麹町(千代田区六番町)のセルバンテス文化センター東京で。

映画「わが友チャベス」(2013年) オリバーストーン監督・出演 (56分) 西語・日本語字幕付き

セイコー・イシカワ駐日大使挨拶

この映画およびベネスエラ情勢をめぐる対談  ベネスエラ中央大学教授ルイス・ブリート=ガルシア y 伊高浩昭(ジャーナリスト)

要予約。入場無料。問い合わせは、電話03-5210-1800.

チリ首都サンティアゴで爆弾テロ事件発生

 チレの首都サンティアゴで9月8日午後2時過ぎ爆発があり、少なくとも10人が負傷した。うち3人は手の指を失うなど重傷。政府は、テロリズム事件と断定した。

 現場は、高級住宅街エル・コンデにある地下鉄エスクエラ・ミリタル(軍事学校)駅の上部にある商店街の軽食店。爆発物はごみ箱の中に仕掛けられていた。

 警察は防犯カメラの映像などから、犯人を若者2人組と見て、捜査中。数週間前にも地下鉄車両内で爆発があった。警察は両事件を関連させて調べている。

 ミチェル・バチェレー大統領は夕刻、負傷者を病因に見舞った。

2014年9月8日月曜日

アルゼンチンの団体が、企業権限の強大な投資規定の変更を呼び掛け

 アルヘンティーナATTACなどで構成する「ラス・アメリカスにおける投資に関する作業グルーポ」は今年6月30日、「投資に関する国際合意の法的代替枠組み構築の呼び掛け:多国籍企業の無法性を公共利益のために克服しつつ」という呼び掛けを行なった。

 これについて亜国ATTACのルシアーナ・ジオットは9月6日、「企業に過剰な権限を与えている現行の国際投資規定を変えるために呼び掛けた」と述べた。

 この呼び掛けは、特に米禿鷹投資会社による対亜政府訴訟を背景に策定された。ラ米市民の間で関心を集めつつある。

ボリビア大統領が国連に「歩行者の日」創設を提唱

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は9月7日、国連に毎年9月第一日曜日を世界「歩行者の日」に指定するよう提案する、と述べた。自動車の通行を排除することで環境保護に貢献できる、との立場だ。

 この日はボリビア全土で「歩行者の日」が実施され、ラパス、コチャバンバ、サンタクルスなど主要都市では自動車の通行はほぼ全面的に止まった。2012年の立法で「歩行者の日」が制定された。

 大統領は、「この日一日だけでも母なる大地に休んでもらいたい」と語った。

ニカラグアのマナグア国際空港近くに隕石落下

 ニカラグアの首都マナグアのアウグスト・サンディーノ国際空港近くの無人地帯に9月6日23時過ぎ、隕石が落下し、地表に直径12m、深さ5・5mの穴が開いた。

 同国天文学者は7日、小惑星「2014RC」が6日深夜、米アリゾナ州上空4万㎞を通過した際、この隕石を落とした、との見方を明らかにした。

米政府は嫌いな政府を困らせるため禿鷹投資会社を支持

 ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジ氏は9月7日、亜国紙を通じて、米政府は米ハゲタカ投資会社による対亜国政府訴訟を支持していなかったが、態度を変え、今や支持している、と指摘した。

 その理由として、米企業が他国の債券政策に待ったをかけるのを許すことによって、米企業が他国政府と交渉する際、有利になるよう計算しているからだ、と述べた。

 また、米政府の政策に合わない外交をした他国政府に嫌がらせをする意味も含まれている、と語った。

 これは、1994年ブエノスアイレスの亜国イスラエル相互協会(AMIA)が爆破され85人が死亡した事件の明確化について、アルヘンティーナ政府が、事件に関与したとされるイラン政府と覚書に調印した事実を示唆している。

 アサンジは、ロンドンのエクアドール大使館に亡命者として2年余り滞在している。

2014年9月7日日曜日

コロンビア革命軍が米英イスラエルの関与責任検証を要求

 コロンビア革命軍(FARC)は9月6日ハバナで声明を発表、10項目の提案をした。FARCは同地でコロンビア政府と和平交渉を続けている。

 提案は、米国のコロンビア内戦への関与責任を調査するよう求めている。また戦争関連産業や、英国、イスラエルの諜報機関の関与責任の検証も要求している。

 FARCは、自らも内戦で出た犠牲者への責任を負うと表明した。だが、自分たちは権力奪取のため、また支配体制および搾取と戦うという政治目的に基づいて内戦に関与してきたのであり、このことに留意すべきだ、と主張した。

 FARCはさらに、1930年代からの政治抗争の犠牲者特定、囚われた者の政治囚認定、犠牲者数の全国調査を呼び掛けている。また、政治組織、社会組織、労組、アフリカ系市民、先住民族などの「集団的犠牲者」に特別の配慮がなされるべきだ、と訴えた。

 このほど日本の某紙は、コロンビア政府の立場に重点を置き、治安回復を評価するるポルタージュを掲載した。ハバナ交渉に見られるように、余りにも複雑な内戦状況や、国軍を補完し殺戮をほしいままにした極右準軍部隊の悪行などが触れられていない。

 極めて楽観的かつ単純な記事だ。記者の質が落ちたのか、理解しがたいことだ。  

2014年9月6日土曜日

月刊誌「世界」の「世界の潮」がベネズエラ情勢記事掲載

 ◎最近の伊高浩昭執筆記事

★「世界」10月号(9月8日発売、岩波書店)「世界の潮」欄

「変質するベネズエラの<21世紀型社会主義>」

★月刊誌「LATINA」10月号(9月20日発売)

「ラ米乱反射 連載第102回」:「300年-かくも長き<スペインのジブラルタル>不在」、「国土回復の悲願横目に現地住民は英領継続を望む」ーー今年4月、現地取材し、歴史を絡めてまとめた。写真6枚掲載。

 書評:『ユリイカ』誌7月号▼特集ガルシア=マルケス(青土社)

 書評:『国策通信社「同盟」の興亡-通信記者と戦争-』(鳥居英晴著、花伝社)

2014年9月5日金曜日

竹田鎮三郎画伯が東京で弟子たちと展示会

 メキシコ在住半世紀の竹田鎮三郎画伯が9月18~22日、渋谷区神宮前5-51-3 ガレリア2階のプロモアルテで、「竹田鎮三郎と愛弟子たち展」を催す。

 竹田画伯は既報の通り、9月13日~10月19日は、酒田市美術館で作品展を開く。

2014年9月4日木曜日

ベネズエラの石油相兼国営石油社長が交代

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は9月3日、重要閣僚の交代を発表した。これまで経済政策の中枢を担ってきた石油相兼PDVSA(ベネスエラ国営石油会社)社長ラファエル・ラミーレスを外相に転じさせた。

 ラミーレスは7月末の政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV)大会で大統領が打ち出したガソリン価格値上げ方針など財政赤字是正策の策定に関与していた。財界は、ラミーレスの交代に違和感を示している。

 新しい石油相には、故チャベス前大統領のいとこ、アスドゥルーバル・チャベスが就任した。PDVSAの新社長はエウロヒオ・デルピーノ。

 ラミーレスは経済政策担当の副大統領でもあったが、経済・財務相ロドルフォ・トーレス将軍がその地位に就いた。

 外相だったエリーアス・ハウーアは、コムーナス・社会運動相に転じた。コムーナスはコミューンで、地方自治体と並ぶ自治権を持つ。

 執権副大統領は、故チャベスの女婿ホルヘ・アレアーサが留任した。カルメン・メレンデス国防相も留任。

 この人事では、今後どのような経済政策になるのか、はっきりしない。

 大統領はまた、外貨安定化のため、中央銀行内に7億5000万ドルの「外貨戦略基金」を設けると明らかにした。

 一方、検察庁は、今年初めから8月末までに腐敗容疑で元公務員ら966人を逮捕した、と発表した。

ブラジル大統領選挙まで一か月

 10月5日実施のブラジル大統領選挙まで一か月となった。最新の支持率調査では、連続二選を狙うヂウマ・ルセフ大統領(労働者党=PT)と、野党ブラジル社会党(PSB)のマリーナ・シルヴァ元環境相が得票率で上位1、2位を占め、決選投票に進出する公算が大きい。

 ある調査では、第1回投票では、ルセフ37%、シルヴァ33%。別の調査では同じく、35%、34%だった。3位はブラジル民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネヴェス上院議員で、14%程度。

 ところが決選では46%対39%、48%対41%で、いずれもシルヴァの勝利を予測している。

 シルヴァが最近公表した公約は、新自由主義強化、政府の経済介入減少を謳う。従来、PSDBを支持していた中産上層、富裕層、大企業からの支持がシルヴァに流れている。

 ルセフのPT陣営は、シルヴァ公約の欠点を突き、選挙民、とりわけ大衆層、貧困層の危機感を喚起している。

 ブラジルが「右傾化」すれば南米・ラ米政治の潮流に大きく影響する。このため、今選挙はいつになく高い関心を集めている。

 なお10月12日、26日には、それぞれボリビアとウルグアイで大統領選挙が実施される。

2014年9月2日火曜日

キューバが国連で米軍のイラク北部攻撃を糾弾

 ジュネーブの国連人権理事会で9月1日、クーバのアナジャンシ・ロドリゲス大使は、イラク北部での「イスラム国」部隊討伐を理由とした米軍の攻撃を、「無差別攻撃で市民を殺している」と厳しく批判した。

 大使はまた、「米軍と同盟国が2003年にイラクを軍事侵略したこと、および、その後の占領政策がイラク今日の諸問題の原因だ」と指摘した。

メキシコ在住半世紀の竹田鎮三郎画伯が酒田美術館で個展

 メヒコ在住51年の画家竹田鎮三郎(79)が9月13日から10月19日まで、山形県酒田市の酒田市美術館で、「メキシコの大地・生命への讃歌」と題して作品展示会を開く。

 問い合わせは、同美術館・電話0234-31-0095。9月14日には、美術評論家堀尾眞紀子との対談がある。

 竹田画伯は愛知県瀬戸市出身。東京芸大美術学部を卒業し、1963年メヒコに渡った。首都の大統領政庁に隣接する国立文化博物館(UNAM美術学部)に勤務した後、79年に南部のオアハカ市に移り、オアハカ大学美術学部教授を務めてきた。メヒコ人と日本人の教え子は数多い。

 竹田は、ディエゴ・リベラに象徴されるメヒコ流に日本的な味を加えて、独自の作風を確立した。

 実弟竹田邦夫は彫銀師で、メヒコ在住40年。銀の町タスコでの修業を経て、メヒコ市で制作している。9月半ば東京で、銀細工の展示販売会を開く。

2014年9月1日月曜日

キューバが税関法改正で旅行者の物資搬入を規制

 クーバで税関法が改正され、9月1日施行される。旅行者は1人30kgまでの雑貨を従来通り無税で搬入できるが、雑貨の範疇が今後は問題になる。

 これまでは革靴、仕立て服、食品、衛生用品、家庭用品、化粧品、宝石、家電、通信機器などが雑貨とされていた。今後は、電気製品、耐久消費財、通信機器など17品目は雑貨から外され、割高の税金が課せられる。また他の13品目にも課税される。

 新しい雑貨の範疇も30kgまでは無税。従来通り最高95kgまで持ち込み可能だが、この最大限搬入には1000ペソの税金が課せられる。クーバ人居住者ならば年1限り、クーバ通過ペソ(CUP)で支払うが、同じ年の2度目からは兌換ペソ(CUC)で支払わねばならない。在外クーバ人はCUC払い。

 さらに30kgを超える雑貨は、31~45kgまでは1kg当たり10CUC、46~95kgは同20CUCの新税が追加課税される。居住者は年1回限りCUP払いが可能。だが居住者に、1米ドル=1CUC=24CUPの交換率を適用するのか、そうでない優遇措置が適用されるなど細部は官報掲載までわからない。

 この新たな物資搬入規制には、クーバ人個人営業者が持ち込んだ物資を商品として販売し、儲けて一層豊かになるのを抑える目的がある。さらに民間個人が勝手に「市場経済」を広めるのを取り締まる狙いがある。