「写真家チェ・ゲバラが見た世界」写真展の開場式が8月8日夕刻、東京・恵比寿のガーデンプレイス・ガーデンルームで催された。7月下旬から来日中のカミーロ・ゲバラ=マルチ(55)が挨拶、「チェ・ゲバラが関わった歴史的事実と、写真家として撮影した被写体の両方を観てください」と述べた。
カミーロは、革命家エルネスト・チェ・ゲバラ(1928~67)の長男で、目鼻立ちが父親にそっくり。まさに忘れ形見だ。母アレイダ・マルチ(81)が所長を務めるチェ・ゲバラ研究所でコーディーネイターとして働く。自身も亡き父親に似て写真が趣味で、いつもキャノンを携行している。この日も会場で撮りまくっていた。
写真展は、10月6日に東京で封切られる日玖合作映画「エルネスト」(阪本順治監督、オダギリジョー主演)の関連文化行事として開かれ、チェ・ゲバラ研究所が保管する厖大な写真やネガから240点が選ばれ、展示されている。
チェ・ゲバラが撮影したものばかりで、最期の地ボリビアに乗り込んだ日の、ラパス市内のホテルの自室での、変装した自分の顔写真をはじめとする、セルフタイマーを用いた「自撮り」シリーズや、1959年7月の来日時に訪れた広島で、被爆14年後の原爆ドーム一帯を撮ったワイド写真などが特に興味深い。マヤ文明の遺跡群の写真や、汎米競技会の選手たちの躍動する姿を捉えた作品も見事だ。
開場式には、カミーロ夫妻のほか、阪本監督、キューバ大使館員、1959年に広島でゲバラを取材した中国新聞の林記者の遺族、崔監督、ジャーナリストらが出席した。私(伊高)は、解説、写真説明で写真展に協力した。
カミーロは、一般公開初日の9日夕刻、開場を訪れ、同日夜、帰国の途に就く。来日後、東京でメディア取材に応じ、広島、京都を訪問。広島では8月6日の式典に出席、献花した。日本の印象を訊くと、「日本の皆さんの対応に心を打たれた」と答えた。
写真展は8月26日まで、1100~2000。最終日27日は1100~1500。入場料1000円、大学生800円、高校生以下は無料。