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2017年7月15日土曜日

 ペルーのオヤンタ・ウマーラ前大統領夫妻が予防拘禁で収監さる。伯オデブレシ社絡みの汚職疑惑で▼ベネズエラ国営石油が米社と油井掘削契約を結ぶ

 ペルーのオヤンタ・ウマーラ前大統領と、そのナディーン・エレディア夫人は7月13日夜、当局に出頭、18カ月間の予防拘禁に服した。法廷はこの日、夫妻を腐敗容疑で起訴している検察の要請を容れて、国外逃亡の可能性を封じるためとして予防拘禁を命じていた。

 夫妻は、2011年の大統領選挙の選挙戦のさなか、伯建設最大手のオデブレシ(オデブレヒト)から300万ドルを選挙資金として受け取った容疑がかけられている。ウマーラはこの選挙でケイコ・フジモリを決選で破って当選、16年7月末まで5年間政権にあった。ウマーラは「政権を去ってから政治的迫害が続いている」と、暗にPPクチンスキ現政権を批判している。

 ウマーラ陣営は2006年の大統領選挙時には、ベネスエラのウーゴ・チャベス大統領(当時、故人)から選挙資金を受け取った疑いがある。この時の選挙ではウマーラは、アラン・ガルシア(2期目、元大統領)に決選で敗れた。

 そのガルシアもオデブレシから資金をもらった疑いで捜査されている。またアレハンドロ・トレード元大統領は同社からの巨額の収賄で起訴され逃亡、米国に潜伏中。ペルー政府は身柄引き渡しを求めている。

 ブラジルでは12日、ルーラ元大統領がやはり建設大手OAS社からの収賄で9年半の禁錮判決を受けた。ウルグアイのホセ・ムヒーカ前大統領は14日、「法廷や報道が何と言おうと、貧困人民が君にはついている」と、ルーラ擁護を表明した。

▼ラ米短信   ◎ベネスエラ国営石油が米社と契約

 国営PDVSAは7月14日、米ホリゾンタル油井掘削会社から13億ドルの投資を受け入れる契約を結んだ。向こう3年間にベネスエラ国内で油井200箇所を掘り、日量10万5000バレルの原油を増産する計画。現在のVEN原油生産は日量190万バレルと見られてる。これは最盛期より100万バレル少ない。

 ホリゾンタル社は過去の契約に基づき既に、オリノコ油田で開発に参加している。ニコラース・マドゥーロ大統領は、新契約調印式で、外資が必要であり、投資を歓迎する、と述べた。また、ドナルド・トランプ米大統領と対等の立場で会談したい、と表明した。

 一方、アントニオ・グテレス国連事務総長は14日、ベネスエラ政府と反政府勢力が即時融和するのが必要だとし、「言論の自由回復などが求められる」と指摘した。これに対しVEN外交当局は、「言論の自由」論は反政府勢力の主張を丸のみしたものと批判した。言論の自由があるからこそ、反政府メディアは連日、マドゥーロ政権を虚偽報道を含め激しく攻撃している。 


 

2017年4月18日火曜日

  リマの日本大使公邸占拠事件決着から20年。公邸突入の国軍特殊部隊を「民主の英雄」にするか否か、ペルー国会で意見飛び交う▼ベネズエラ国軍がマドゥーロ政権に「無条件忠誠」誓う。19日カラカスでの両派最大動員前に緊張高まる

 リマ市の日本大使公邸が1996年12月17日、ゲリラ組織「トゥパック・アマルー革命運動」(MRTA)の14人の突撃隊(コマンド)に占拠された事件が97年4月22日に決着してから20年になろうとしている。これに先立ちペルー国会は17日、国会内で記念式典を催した。

 当時の日本大使公邸の玄関の模型が「英雄記念碑」として設(しつら)えられ、これを背景にルス・サルガード国会議長(フジモリ派「人民勢力」(FP)所属)が、「ペルーは公邸を解放し人質を救出した軍特殊部隊に負っている」と語った。「英雄記念碑」とは、この「チャビン・デ・ウアンタル作戦」に参加した140人の特殊部隊要員を指す。

 式典には、事件当時のフランシスコ・トゥデーラ外相、ルイス・ジャンピエトゥリ海軍中将、マルコ・ミヤシロ国家警察幹部(現FP国会議員)ら、人質だった人々も出席。MRTAに急襲されてから126日間続いた悪夢の日々や、政府当局と秘かに連絡を取り合って救出作戦を導いたことなどを語った。

 国会国防委員会は17日、ペルーアプリスタ党(PAP)所属のルシアーナ・レオン委員長提出の、特殊部隊140人に「民主の英雄」の称号を与え、勲章、最低賃金と同額の終身年金供与などの恩恵を施す法案を可決した。法案は本会議に送付された。この恩恵には、無料医療・薬品供与、大学教育補助、住宅購入補助もあり、死に際しては、墓石に「英雄」称号が記録される。

 だが、委員会審議や国会議員の間で、さまざまな意見が飛び交った。左翼野党「拡大戦線」(FA)のフスティニアーノ・アパーサ議員は、「特殊部隊は140人、MRTAコマンドは14人、多勢に無勢の作戦だった。軍は国防のためにあり、国家の危機を任務として遂行したまでだ」と指摘。「英雄とは、何らかの物事を思想や原則に基づいて解決したり守ったりする者を意味する。それに特殊部隊には、投降したゲリラ数人を射殺した疑いもある」と反対意見を述べた。

 また、FAのリチャード・アルセ議員は、「<輝く道>(SL)、MRTA、国家テロのいずれにも反対する。特殊部隊は<平定の英雄>と呼ぶべきだ」と対案を唱えた。

 だがFPのフアン・デルアギーラ議員は、「MRTAの行動は破壊活動であり、特殊部隊出動に値した」とし、「全会一致の必要はないが、FAは考え直すべきだ」と反論した。

 国会のロサ・バルトクラ第2副議長は、「反テロリズム作戦に貢献した軍・警察・市民組織の業績を認める法案を国会で通したい。公邸事件を解決した特殊部隊について学校教育で教えるべきだ」と訴えた。

 一方、PPクチンスキ大統領は19日、公邸事件解決20周年の記念行事を催す。また国防省は20日に式典を開く。ホルヘ・ニエト国防相は」17日、突撃時に隊員2人が殉職し、人質だった判事1人が死亡したことに触れ、「特殊部隊は大多数のペルー人民にとって英雄だ」と強調した。

▼ベネスエラ情勢   ◎国軍がマドゥーロ政権に「無条件忠誠」を誓う

 ボリバリアーナ国家民兵隊(MNB)発足7周年記念日の4月17日、その部隊が首都カラカス中心街を行進。ニコラース・マドゥーロ大統領は記念式典で演説、国軍(FANB)とMNBに謝意を表した。大統領は、MNB要員を50万人に拡大させると述べた。

 式典でウラディーミル・パドゥリーノ国防相は「国軍は平和と人民の民主を守る」として、マドゥーロ政権への無条件忠誠を誓った。また、保守・右翼野党連合MUDについて、「国外の極右勢力の支援を受けて、テロリズム、騒乱、略奪、蛮行を続けている」と糾弾した。大統領は、4月初めからの一連の街頭暴動事件で総額500億ボリーバルの損害が出た、と明らかにしている。

 MUDは17日、大統領から交渉を働きかけられた、とのマイアミ紙の報道を事実無根と否定した。野党は、終わったばかりの聖週間で、マドゥーロ人形を「フーダス」(裏切り者のユダヤ人)として燃やしたり、陸橋から吊り下げたりした。これに対し政府支持派は、米大統領、アルマグロOEA事務総長、MUD幹部らの人形を燃やした。

 両派は、ベネスエラ独立闘争開始記念日の19日、カラカスでそれぞれ最大動員をかけて行進し、集会を開く。衝突する危険性があり、緊張が高まってる。

 OEAでベネスエラ政府に厳しいアルマグロ総長を支持する亜URU伯PAR智COL秘CR・HON・GUA墨の11カ国政府は17日、ボゴタで共同声明を発表。ベネスエラ政府に「デモ行進の自由」尊重を、MUDに「責任ある行動」をとるよう訴えた。また政府側には、選挙実施日程を決めるよう求めた。

 一方、ドミニカ共和国(RD)政府は17日、ベネスエラの反政府勢力とCIAがRD国内で会合しているとのテレベン報道を受けて、「捜査する」と表明した。 
  

2017年4月7日金曜日

 アルベルト・フジモリ元ペルー大統領による「アウトゴルペ(自作自演クーデター)」から25年。娘ケイコ世代は政変を讃えず、民主制度を重視▼米法廷がメキシコ麻薬組織「ベルトゥラン=レイバ」首領に終身刑と巨額の罰金言い渡す

 ペルーは4月5日、1992年のこの日フジモリ政権が起こした「お手盛りクーデター」(アウトゴルペ)25周年を迎えた。当時のアルベルト・フジモリ大統領は四半世紀前、「非常事態・国家再建政権」樹立を宣言、「真の民主を創る」と強調。国会を閉鎖、司法を再編、マスメディアを規制した。首都リマには戦車部隊が出動、兵士が要所を固めた。

 その後間もなくして選挙を実施、制憲議会を開設。新憲法草案を策定し、国民投票を経て93年に新憲法を公布した。

 25周年のこの日、フジモリは、人道犯罪(殺人)命令罪で禁錮25年の実刑に服している特別の収監場からメンサヘ(メッセージ)を7回発信。「私は現代民主の建築家であり、あの日採った手段には意味があった。みなが今日尊重している現行憲法をつくったのは私だ。4月5日は民主を圧殺したのではなく、救ったのだ。国民の80%が支持した」と述べた。

 93年憲法は、国会を2院制から1院制に変え、大統領の連続再選を1回だけ可能にした。自ら指揮した政変後、大権を握ったフジモリは、自派の国会議員ともめったに会わず、報道を規制。国家情報局の諜報報告を基に施政、この関係で情報局を握っていたブラディミロ・モンテシーノスに頼り切った。「密室政治」が罷り通り、「国家テロリスム」による殺傷事件、逮捕・拷問事件が続発した。

 90年大統領選挙決選で作家マリオ・バルガス=ジョサを破って政権に就いた数学者フジモリだったが、白人富裕層、伝統的保守政界、海軍などによる政変の陰謀に直面。安定政権を築くため、陸軍や警察と組んで「自作自演の政変」を打ったのだった。

 だが95年に再選を果たしたフジモリは、1回だけの連続再選を拡大解釈し、2000年選挙に強引に出馬、3選を勝ち得た。これが墓穴を掘った。孤立し、アジア外遊の帰途、帰国せず、父母の祖国・日本に亡命した。

 しかし政権に返り咲きたい野心から、チレ経由での帰国を決意。2005年11月チレで逮捕され、後に身柄をペルーに引き渡された。裁判を経て服役している。

 娘ケイコ・フジモリは2011、16両年の大統領選挙に出馬、いずれも決選で惜敗した。対立候補が父フジモリのクーデターを攻撃、これで勝利を阻まれた。現在、国会ではケイコの政党「人民勢力」(FP)が圧倒的多数を握る。だがPPクリンスキ大統領の新自由主義政権に是々非々主義で対応している。

 フジモリの熱烈な支持者であるマルタ・チャベス元国会議員(現FP顧問)は、25年前の政変について「当時、国土の40%はゲリラの影響下にあった。国を内戦から救ったのだ。<4・5>を破壊活動へのクーデターと捉えれば、フジモリは国家に貢献したことになる」と説いた。

 だが世代交代も進み、ケイコを含めFPの若手・中堅幹部らは、国会を閉鎖した政変を肯定することはない。「アルベルティスタ」(フジモリ元大統領派)は、マルタら少数派になっている。

▼ラ米短信    ◎メヒコ人麻薬組織元首領に米法廷が終身刑言い渡す

 ワシントン地裁は4月5日、メヒコ北西部に根を張る麻薬組織「ベルトゥラン=レイバ」(BL)の元首領アルフレド・ベルトゥラン=レイバ(46)に終身刑と罰金5億2900万ドルを言い渡した。

 直接的な罪状は、2000~12年、米墨国境越しにコカイン29・7トンを米側に密輸したこと。米検察は求刑で罰金を100億ドルとしていた。

 アルフレドは08年1月逮捕、14年11月、身柄を米国に引渡され、16年2月有罪となっていた。BLは90年代に麻薬組織シナロアマフィアと連携したが今世紀になってから対立、シナロアの裏切りと見られる密告でアルフレドは逮捕された。兄アルトゥーロも09年12月、国軍に包囲され射殺された。

2017年3月7日火曜日

 ペルー検察がブラジルのオデブレヒト社贈収賄事件絡みで、クチンスキ大統領、アラン・ガルシア元大統領らの捜査を検討。選挙資金や地下鉄建設工事めぐり疑惑渦巻く

 ペルーのPPクチンスキ(PPK)大統領が昨年の大統領選挙の選挙資金に収賄資金を加えていた疑いで捜査される可能性が出ている。カテリーネ(キャサリン)・アンプエロ特別検事は3月6日リマで記者会見し、伯国およびラ米で最大手の建設会社オデブレヒトから、PPKに近い財団を通じて資金がPPK陣営に流された疑い関し捜査開始を検察庁に要請した、と発表した。

 その財団は「ラティンアメリカ・エンタープライズ財団」(LAEF)。PPKが見返りに同財団に何らかの便宜を図った可能性も指摘されている。PPKは昨年の大統領選挙決選に2位で進出、1位のケイコ・フジモリを僅差で破り、7月末、政権に就いた。

 同特別検事はまた、アラン・ガルシア元大統領2期目に建設されたリマ地下鉄1号線の工事入札時にオデブレヒト社から賄賂が渡された可能性についても捜査開始を検察庁に3月1日求めていたことを明らかにした。

 この汚職問題ではガルシアおよび、ガルシア政権で運輸相だったエンリケ・コルネホらが捜査対象となっている。オ社は、今年1月、秘検察庁で、地下鉄建設に関し総額800万ドルを支払ったと証言している。この事件の容疑者3人が既に予防拘禁されている。

 また、クスコ新空港建設工事をめぐり、PPK政権のマルティン・ビスカーラ第1副大統領兼運輸相がクントゥル・ワシ企業連合との談合に関与した疑いで、特別検事は捜査開始を検察庁に要請した。検察庁は特別検事による一連の要請について検討中。

 ラ米の半分とアフリカの一部を巻き込んだ巨額のオ社贈収賄事件は発展するばかりだ。ペルーのオヤンタ・ウマーラ前大統領の夫人ナディーンは2011年の選挙時にオ社から300万ドルを渡され、夫の選挙資金に用いたことが明るみに出ている。ウマーラは、この選挙決選でケイコ・フジモリを破った。

 またアレハンドロ・トレード元大統領は、秘伯間自動車道建設をめぐってオ社から2000万ドルを収賄、起訴され、国際手配されている。米加州で逃亡生活を送っていると伝えられる。

 政府高官の背信共謀罪には最高15年の禁錮刑が科される。だが無処罰が横行、立件されることは稀だ。ガルシアは1980年代後半の第1期政権期に巨額の汚職疑惑が出ていたが、うやむやに終わっている。

 ケイコの父で服役中のアルベルト・フジモリ元大統領が有罪、収監されたのは、反フジモリ世論が高まるなかで、殺人命令など重罪関与が法廷で立証されたため可能だった。

 コロンビア検察庁は同じ6日、2014年の同国大統領選挙時に、JMサントス現大統領陣営に100万ドル、対抗馬のオスカル・スルアガ候補陣営に160万ドルが、それぞれオ社から渡された証拠が整った、と明らかにした。

 一方、ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は6日、PPK秘大統領が訪米中の2月25日に、ラ米の人権・民主問題について、ベネスエラは重大な問題を抱えていると発言したのに関連し、PPKは米国に尻尾を振るかわいらしい犬だ、と扱き下ろした。

▼ラ米短信   ◎ボリビア大統領が、ラ米進歩主義政権は復調の兆しと指摘

 エボ・モラレス大統領は3月6日、帰国を前にしてハバナで、5日カラカスで開かれたALBA首脳会議は同盟(ALBA)の最強化を打ち出したと述べ、「右翼政権下に置かれたラ米人民は苦しんでおり、今後の選挙では進歩主義勢力が巻き返して勝つだろう」と指摘した。

 モラレスは、声が枯れたためハバナで治療、いったん5日にカラカスへ行き、再びハバナに戻ってから帰国した。
  

2017年2月25日土曜日

ペルーのクチンスキ大統領がトランプ大統領と会談

 ペルーのペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)大統領は2月24日ホワイトハウスで、ドナルド・トランプ米大統領と会談、トランプと直接会談した最初のラ米首脳となった。PPKはかつて世界銀行幹部としてワシントンに駐在。英語は西語よりも流暢に話すとされる。この英語能力が買われ、逸早く訪米に招かれた。

 会談の冒頭、トランプは記者団を前に、「PPKは米国製軍用車を買うと言っている」と披露した。会談では、この軍用装備購入、在米ペルー人移民、麻薬取引取締、ベネスエラ問題などが話し合われた。トランプは、ペルーの麻薬取締政策への協力を約束した。移民問題についてPPKは、トランプの移民政策を批判せずに、在米ペルー人移民を擁護した。

 米加州には、伯建設大手オデブレヒト社から2000万ドルを収賄した容疑で国際手配されているアレハンドロ・トレード元秘大統領が隠れ住んでいる。PPKはトレードの身柄引渡への協力をトランプに求めたもよう。

 双方はまた、来年ペルーで開かれる第8回米州首脳会議についても話し合い、PPKはトランプに出席するよう招待した。

 トランプは冒頭で、「我々はベネスエラとの問題を抱えているが、極めて悪い状態だ」とも述べた。両首脳が会談でベネスエラ問題を取り上げたことから、ベネスエラ政府が内政干渉として反発するのは必至だ。

 トランプはPPKに次いで、亜国、コロンビア、パナマの大統領をワシントンに招いている。一月末に真っ先に訪米することになっていたメヒコ大統領は、関係悪化により訪米を中止。このため訪米がいつになるのかわからない。

▼ラ米短信   ◎米政府が壁建設入札日程を発表

 米国境管理当局は2月24日、米墨国境の壁建設計画工事の入札案内を3月6日、入札期限3月10日、入札会社絞り込み20日、絞り込まれた複数社の再入札24日という日程を明らかにした。4月半ばまでに落札社を決め、工事開始に向かう見通し。イスラエルの建設業者も入札に関心を示している。

▼ラ米短信   ◎OEA総長がベネスエラに選挙実施呼び掛け

 米州諸国機構(OEA/OAS)のルイス・アルマグロ事務総長は2月24日、ベネスエラに総選挙を即刻実施すべきだと呼び掛けた。事態が進展しない場合、OEA民主憲章20条適用を提案するとも述べた。

 20条は、「民主体制に重大な影響を及ぼす憲政変更があった場合、OEA加盟国もしくは事務総長は常設会議を招集することができる」と規定。スペイン滞在中のMマクリ亜国大統領は、アルマグロ発言に賛意を表明した。

 一方、ベネスエラのONG「ベネスエラ反腐敗」は24日、ミランダ州知事エンリケ・カプリーレスが伯オデブレヒト社から300万ドルをもらい、2013年の大統領選挙の資金に充てた可能性があるとして、検察庁に告訴した。

 同知事は事実無根と反撃している。カプリーレスは過去2度、野党連合の大統領候補となったが、2011年に故ウーゴ・チャベス前大統領に、13年ニコラース・マドゥーロ現大統領に、それぞれ敗れている。

 国連は24日、ベネスエラが分担金未払いのため、投票資格を失ったと公表した。未払い分は2400万ドルという。他に南太平洋とアフリカの計6カ国も同様の理由で投票権を失った。支払えば、投票権は復活する。

 
 
 

2017年2月4日土曜日

ペルーのトレード元大統領の2000万ドル収賄解明近づく

 ペルーのアレハンドロ・トレード元大統領(2001~06年)が2000万ドルの賄賂をブラジル建設大手から受け取っていた事実が明らかになり、逮捕間近と見られている。

 伯建設最大手オデブレヒトは昨年12月、米司法省との司法取引で、05~14年の期間のペルーでの公共事業参入に関連して総額2900万ドルの賄賂を支払ったと認めた。うち2000万ドルがトレード政権期、残る900万ドルはガルシア、ウマーラ両政権期に支払われた。

 英当局は2月初め、トレード政権期に支払われた2000万ドルが、トレードと密接な関係にあるユダヤ系ペルー人ヨセフ・マイマン名義でロンドンのシティバンクに預金されていた事実を確認した。

 マイマンは、同口座から引き出した資金で、トレードの義母(妻の母親)と共にコスタ・リカで「エコテバ」という不動産会社を設立、事業を展開していたとされ、この件でトレードも捜査されていた。

 トレードへの贈賄は、大西洋岸の伯サントス港から秘国太平洋岸の港を結ぶ「両洋間自動車道」の建設事業入札~落札時に支払われたもよう。

 PPクチンスキ現大統領は、トレード政権で経済相を務めたが、3日、「司法は誰にも公平に適用されねばならず、汚職があれば罰せられる」と述べた。ペルー警察は4日、リマ市内の高級住宅街にあるトレード邸を家宅捜査した。

▼ラ米短信   ◎エボ・モラレス大統領が博物館を開場

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は2月2日、オルーロ州内の生地オリノカで、「オリノカ民主・文化革命博物館」の開場式を催し、演説した。その折、感涙にむせんだ。

 「民主・文化革命」とは、モラレスが過去10年間、推進してきた改革政策を指す。開館したのは、先住民族重視の新憲法制定、地下資源国有化、経済開発など施政の成果をまとめて展示する博物館で、大統領は故郷に錦を飾った形になる。

 総工費は710万ドル。総面積は1万平方m強。野党は「国費の無駄遣い」と非難している。

▼ラ米短信   ◎米政府が「対玖政策見直し中」

 ホワイトハウス報道官は2月3日、「トランプ政権は対玖政策全般の見直し作業を進めている」と明らかにした。「大統領は全世界の人々の人権保障に関与しており、人権が焦点となる」とも述べた。

 この日は、対玖経済封鎖発動55周年の日。報道官は、「目下、(具体的な決定などは)無い」と付け加えた。

★クーバ最新情勢シンポジウム開催のお知らせ

 2月6日(月)1300~1500、新宿区戸塚の早稲田大学正門に近い小野記念講堂で。主催:早稲田大学ラテンアメリカ研究所。入場無料。
 報告者:伊高浩昭(ジャーナリスト)、田中高(中部大学)、岩村健二郎(早稲田大学)。討論者:高橋百合子(早稲田大学)。司会:山崎眞次(早稲田大学)。 
  

2016年12月18日日曜日

ペルーの日本大使公邸事件から満20年、フジモリ氏が回想

 在ペルー日本大使公邸占拠人質事件発生から12月17日で丸20年が過ぎた。ゲリラ組織「トゥパック・アマルー革命運動」(MRTA=エメエレテア)のネストル・セルパ司令以下14人が、天皇誕生日祝賀会さなかの公邸を急襲、多くの人質を取った。

 人質は最終的に青木盛久大使ら男性72人となり、日秘両政府とゲリラ側との交渉が始まった。MRTAは、当時収監されていた仲間470人の解放、フジモリ政権が推進していた新自由主義経済政策の変更、刑務所の囚人待遇改善、身代金、クーバへの出国などを事件解決の条件として打ち出していた。

 カトリックのフアン=ルイス・シプリアーニ司教(現在リマ大司教兼枢機卿)が仲介、寺田輝介駐墨大使(当時)らがセルパらと話し合った。当時の橋本政権はアルベルト・フジモリ大統領に平和解決を繰り返し要請する一方、ゲリラが出国先として希望していたクーバのフィデル・カストロ国家評議会議長(故人)にも解決への協力を依頼した。

 だが強気のフジモリ大統領は終始、軍事力による決着を求め、事件発生から127日経った1997年4月22日、軍と警察の要員で140人で構成する特殊部隊を、公邸の地下まで掘り進めていたトンネルから公邸に突入させ、MRTAを制圧、人質を解放した。

 この作戦でペルー人の人質だった判事1人と突撃要員2人が死亡。ゲリラはセルパら十数人が射殺されたが、当時の大使館員の証言によれば、生き残っていたゲリラ2~3人は拘束された後、殺害された。

 殺人を含む人道犯罪を命じた罪で禁錮25年の実刑に服役中のフジモリ元大統領は17日、電子メディアを通じて、「睡眠中に見た夢にトンネルが出てきた。ある朝4時に起床し、作戦試案を練った。以前見ていたトンネルの多いチャビン・デ・ウアンタル遺跡を思い出し、作戦名とした」と書いた。

 元大統領はまた、「人質解放に成功したあの出来事から20年が過ぎた。危機管理が成功したことに満足し、勇気ある兵士たちを誇りに思っている」とも記した。

 さらに、事件当日について、「あの日は日本の代表団と共にアヤクーチョ市に行き、(日本からの)贈り物の贈呈式をし、帰途、ナスカ市に立ち寄って、少し前に起きた地震の被災地を視察した。リマの政庁に戻ったのは午後7時半だった。待っていた(長男)ケンジの経済の勉強の面倒を見た。机上には日本大使からの招待状が置いてあった。この種の会合には通常は出席しないが、日ごろの厚い援助に鑑み、出席しようかと考えていた」と書いている。だが結局出席せず、人質にならないで済んだ。

 フジモリへの恩赦を求める声が本人、家族、支援者から出ている。だが司法省は16日、フジモリへの赦免は人道犯罪ゆえにありえない、と発表した。

 PPクチンスキ現大統領は事件発生20年記念日に先立つ12日、突撃コマンドの生存者らを招いて功績を讃えた。一方、米州諸国機構(OEA)の米州人権委員会(CIDH)は昨年、「MRTA要員2~3人が身柄拘禁後に殺害された件」について捜査するよう、ペルー政府に命じている。

 フジモリの長女ケイコが党首の政党「人民勢力」(FP)は国会最大勢力。最近、老舗政党PAP(ペルーAPRA党)と連携し、ハイメ・サアベドラ教育相不信認決議を可決、解任に追い込んだ。

 これを受けてシプリアーニ大司教は、大統領府と国会の関係を安定させるため、クチンスキ大統領とケイコ・フジモリを近く大司教公邸に招き会談させる手はずを整えた。
 

2016年8月3日水曜日

ペルーのマントックが児童労働問題で会合

 ペルーで、児童労働問題を当事者の青少年が中心になって考え、人権や法的庇護改善に取り組んでいる団体「マントック」(Manthoc=キリスト教労働者子弟青少年労働者運動)の創設者および地域指導者の若者2人を迎えた集会が8月2日夜、東京高田馬場NGOピースボート本部で開かれた。

 「児童労働を考える~働く子どもによる、働く子どものための運動」と題されたこの会合には50人が参加。1976年10月マントックを創設したカトリック司祭アレハンドロ・クシアノビッチ(80)、アマソニア・ロレート州都イキートス代表トミー・ラウラテ(17)、リマ首都圏リマック地区代表アニー・オリバレス(16)が語った。

 若者2人は「ペルー政府は子どもの労働を認めたがらない。私たちは認めさせようと長年闘ってきた」と、法的闘争を語り、クシアノビッチ司祭が、国連国際労働機関(ILO)規約などを挙げて補足説明を加えた。

 司祭は、「ラ米諸国に見られる傾向は、子どもの就労可能年齢を引き上げ、刑法適用年齢を引き下げること」と言い、内務省(警察)の取締りが強化されつつある状況を指摘した。

 司祭はまた、「子どもが働くのは基本的には、父母や家庭の貧富状態に関係なく、自立するための権利なのだ」と強調した。

 トミーは弁護士、アニーは政治学者を志している。将来、それぞれの道の専門家としてマントックの活動を支えるためだ。この団体は、巣立っていった多くの社会人によっても支えられている。

 同行しているリマ在住の写真家、義井豊は「かつて永山則夫死刑囚が刑務所内でマントックの存在を知り、著書の印税などを贈ることを決めた」と、継続されている「永山則夫基金」との関係を説明した。

  司祭は会合終了後、「今日<解放の神学>は廃れてしまった」と嘆いた。司祭はリマック教会司祭だったグスタボ・グティエレスとともに1960年代から80年代にかけて同神学を実践、著書が故(もと)でローマ法王庁から処分されたことがある。

 「今日<性的少数者解放>、<先住民解放>、<環境破壊からの解放>など、<解放>が細分化し、かつてのような人間の生き方や社会状況を全体的に捉える<解放の神学>は行き場を失ってしまった。時代が新自由主義隆盛下で物質主義が支配的になっているのと大いに関係がある」と、司祭は語った。 

 クシアノビッチ司祭の2006年の著書『子どもと共に生きる』の新刊日本語訳(現代企画室)も紹介された。一行は3日、次の会合地京都に向かった。
 

2016年7月17日日曜日

クチンスキ・ペルー次期政権の閣僚決まる

 7月28日(ペルー独立記念日)に就任するぺドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)次期大統領(77)は15日、閣僚を発表した。政権党となる「変革のためのペルー人党」(PPK)は国会で少数派であり、過半数を握るフジモリ派の「人民勢力」(FP)に対抗しうる専門職やテクノクラートが中心の顔ぶれとなった。首相を含む19人中14人は公務経験者で、手堅い布陣。

 だが、大統領、首相以下、経済畑出身者が目立っため、大きな政治判断が求められた時、大丈夫かなど、疑問を呈する声も出ている。

 首相は34歳のエコノミスト、フェルナンド・サバーラ。トレード政権で経済相を務めたPPKの下で副経済相だった側近。サバーラは、PPKの横に座り、「ペルーを現代的で平等な社会にするのにふさわしい閣僚を選んだ」と前置きし、名簿を読み上げた。

外相 リカルド・ルナ 外交官 元駐米大使、元国連駐在大使
内相 カルロス・バソンブリーオ 社会学者
法務・人権相 マリソル・ペレス 弁護士 (女性)
国防相 マリアーノ・ゴンサレス 政治家

経済・財務相 アルフレド・トルネ エコノミスト
労働・雇用省 アルフォンソ・グラードス エコノミスト 
エネルギー・鉱業相 ゴンサロ・タマヨ エコノミスト
生産相 ブルーノ・ジウフラ エコノミスト
農業・灌漑相 ホセ・エルナンデス 農業技師
貿易・観光相 エドゥアルド・フェレイロス 経営学者 ガルシア政権で同職
運輸・通信相 マルティン・ビスカーラ 次期副大統領
住宅・建設・下水相 エドゥメル・トゥルヒージョ 衛生技師

教育相 ハイメ・サアベドゥラ エコノミスト ウマーラ現政権で同職(留任)
文化相 ホルヘ・ニエト 社会学者
保健相 パトゥリシア・ガルシア 医師 (女性)
女性・弱者相 アナマリーア・ロメーロ 社会学者 トレード政権で女性相 (女性)
開発・社会参加相 カエターナ・アリョビン 弁護士 (女性)
環境相 エルサ・ガラルサ エコノミスト (女性)

 



 

2016年6月10日金曜日

ペルー決選:0・24p差でPPKがケイコ・フジモリを破り当選

 ペルー大統領選挙決選(6月5日)の結果が9日判明、「改革のためのペルー」(PPK)候補ペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK、77)が超僅差で「人民勢力」(FP)候補ケイコ・フジモリ(41)を破り勝利した。

 国家選挙過程事務所(ONPE=選管)発表によると、開票率100%で、PPK50・12%、ケイコ49・88%。0・24ポイント差だった。PPKは7月28日の独立記念日に就任する。任期は5年。

 4月10日の第1回投票後に始まった選挙戦は、「反フジモリ」運動が盛り上がった序盤、PPKがリード。だが中盤前半でケイコは自党FPの全国組織を動かして追い付き、中盤後半でPPKを追い抜いた。

 ケイコは終盤前半、りーどを5ポイント以上に拡げ、「当確」に接近した。危機感を抱いた反フジモリ派は再び運動を激化させ、ケイコのリードを縮めた。

 さらに、第1回投票で3位になった左翼「拡大戦線」(FP)の候補だったベロニカ・メンドサがPPK支持を打ち出し、左翼票をPPKに回した。これにより終盤後半、PPKが支持率でかすかにケイコを上回った。PPKはその僅差を維持して、逃げ切った。ペルー大統領選挙史上、最も僅差の選挙となった。

 PPKは米財界に近い経済屋。1990年代のフジモリ政権に始まるペルー新自由主義経済路線を、トレード政権経済相として強化に努めた。在米経験が長く、米国籍もかつて保有していた。スペイン語の発音にも英語なまりが目立つ。

 PPK政治は、ウォール街とホワイトハウスに近いものとなるが、今回の勝利で左翼の支援が決定的だったことから、保守・右翼本流をやや中道寄りに修正した路線をしばらくはとらざるを得ないと思われる。

 また国会(130議席)でケイコ派FPが73議席を握るという厳しい現実がある。政権と国会に「ねじれ」が生じるわけで、僅差の勝利と相俟ってPPKは、FPの協力を仰がねばならない。このこともPPK政治の規制条件となる。

 また77歳と高齢で、任期中に80歳を迎えるため、標高4000mを超えるアンデス高地などを訪問するのは難しい。海岸地方中心の政治にならないよう、注意が必要になろう。

 一方、決選で2回連続して惜敗したケイコは、父親フジモリへの「呪い」から解放されなかった。だが41歳と若いため、5年後も出馬は可能だ。3度目の正直を狙うには、国会でPPKに協調し、「よりよいペルー」建設に尽力することで、有権の間に依然根強い「反フジモリ感情」を中和化するのが肝要かもしれない。

 ケイコには、FP国会議員である実弟ケンジがいる。ケンジにも政権に就きたい野心がある。有権者は「父アルベルト-娘ケイコ-息子ケンジ」と続く「フジモリ一族の支配」を怖れる感情さえある。この点にもケイコらは留意せねばならない。

 大接戦ではあったが、ペルー人は、<異端児ケイコ>でなく、<無難は経済人>を次期最高指導者に選んだと言える。

2016年5月27日金曜日

ペルー大統領選挙決選支持率、ケイコ54・2%、PPK45・8%

 ペルーの世論調査機関CPIが5月26日発表したところでは、6月5日実施の大統領選挙決選で「人民勢力」(FP)候補ケイコ・フジモリが勝利する公算が膨らんでいる。

 CPIは5月23~24両日、全国的に調査。ケイコ46%、「変革のためのペルー人」候補ペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)38・9%、白票9・6%、その他5・5%だった。

 白票とその他を除く有効投票だけで計算すると、ケイコ54・2%、PPK45・8%になる。29日にはリマ市で両候補の討論会があり、これが終盤戦の山場となる。

 PPK陣営や、作家マリオ・バルガス=ジョサを含む反フジモリ派による、ケイコへのネガティブキャンペーンが激化しているが、40代初めのケイコは、70代後半のPPKを遥かに上回る迫力と活力で支持者を固めているようだ。

 最大の攻撃所は父親アルベルト・フジモリ元大統領との親子関係だが、ケイコ陣営は昨年から「父親切り離し戦略」を採っており、これが奏功していると言えるかもしれない。

▼ラ米短信  ブラジル上院弾劾裁判担当部門は5月26日、ヂウマ・ルセフ大統領(停職中)の弾劾法廷を6月初め開き、8月2日に弾劾投票を実施する日程案を固めた。

 ミシェル・テメル大統領代行は、8月5日のリオデジャネイロ五輪開会式前にルセフ解任に漕ぎつけ、代行から暫定大統領に昇格して開会式に臨みたい構えだ。

 だが、弾劾派議員たちがルセフ追い落としをクーデターと意識していた事実が明らかになりつつあり、それが弾劾法廷審理と投票行動に影響を及ぼすかどうかに関心が集まっている。

2016年5月8日日曜日

ペルー大統領選決選:ケイコが対立候補を4ポイント上回る

 ペルー大統領選挙決選(6月5日)まで1カ月を切った5月8日、IPSOS社の支持率調査が公表され、ケイコ・フジモリ42%、ペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)38%で、ケイコが4%ポイント上回った。

 同社の決選模擬投票では、ケイコ51・4%、PPK48・6%で、「ケイコ当選」と出た。一方、反対票はケイコ42%、PPK39%で、ケイコの「嫌われ率」が3ポイント多い。

 IPSOS社は4月の支持率調査で17日、PPK44%、ケイコ40%、25日、PPK43%、ケイコ39%と発表していた。今回初めてケイコが逆転したことになる。

 また、CPI社は4月19日、ケイコ43・6%、PPK41・5%、29日、ケイコ42・3%、PPK40・1%とそれぞれ発表。ケイコ有利となっている。

 一方、DATUM社は4月22日、PPK41・1%、ケイコ40・4%と発表した。社によって調査結果は異なるが、「接戦」に変わりない。

 リマの観測筋は、「今後、スキャンダルを暴かれた方が負ける」と観ている。また在留邦人社会には、「PPKに勝ってもらった方が社会が平穏になる」との意見がある。

 ケイコの政党「人民勢力」(FP)は、4月10日の大統領選挙と同時に実施された国会議員選挙(一院制・定数130)で73議席を獲得している。ケイコの弟で、父親に風貌がよく似ている現職ケンジ・フジモリは最高得票を記録した。

 国会で過半数を握るうえに、政権まで取れば、専横的政治になるのではないかと懸念する向きもある。ケイコは、反対票が示す42%もの「反フジモリ」勢力がいるため、最後まで気が抜けない。

 PPKは77歳の高齢が泣きどころ。選挙戦の終盤で反フジモリ世論を燃え立たせることができれば、接戦を制する道が開けてくる。

 両候補とも経済政策では大差なく、争点は乏しい。貧困大衆の受けが良いケイコには、人民主義(ポプリズモ)がある。 

 

2016年4月30日土曜日

ペルー大統領選挙決選はケイコがPPKを2・2p上回る接戦

 ペルーの世論調査会社CPIが4月29日公表した大統領選挙決選(6月5日)進出候補支持率は、ケイコ・フジモリ42・3%、ペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)40・1%。2・2ポイント差の接戦が続いている。

 ケイコは4月10日の第1回投票で1位39・8%、PPKは2位21・0%だった。ケイコは2・5ポイント伸ばしただけだが、これは第1回投票が限界近くに達していたことを物語る。

 一方PPKは3位以下の候補と争っていたため21%にすぎなかったが、3位以下の落選候補の票を着実に積み上げて、40%の大台を維持している。

 CPIは4月26~27日、全国の18歳以上の男女1800人を対象に調査した。未決定は8・9%、棄権(伯票・無効票)は8・7%だった。単純計算では、9%近い未決定票田をより多く開拓し自陣に取り込んだ候補が決選で勝つことになる。

 CPI調査は、農村部でケイコは41・6%、PPK36・9%と上回っているが、リマ首都圏ではケイコ43・8%、PPK46・0%とPPKが上に立っている。女性票はケイコ44・4%、PPK38・1%で、この国初の女性大統領を目指すケイコが6ポイント勝っている。

 だが大衆層がケイコ53%、PPK47%であるのに対し、中産・富裕層ではPPK55%、ケイコ45%となっている。

 絶対に投票しないという「拒否票」はケイコ43・6%、PPK43・5%で<互角>だった。

▼ラ米短信  ブラジル国会上院弾劾審議特別委員会は4月29日、弾劾対象となっているヂウマ・ルセフ大統領側の反対弁論を聴いた。弁護団は、「大統領は犯罪を犯しておらず、弾劾はゴルペ(クーxデター)に等しい」と強く訴えた。

 一方、亜国のノーベル平和賞受賞者アドルフォ・ペレス=エスキベル(APE)は28日ブラジリアの大統領政庁にヂウマを訪れ会談、支持を表明した。

 次いで記者団を前に、「軍隊を必要としない<やわらかなゴルペ>が進行している。大統領の信用を傷つけるのにメディアが一役買っている。テメル(副大統領)が大統領代行となれば、メルコスール(南部共同市場)やラ米統合に影響が及び、米国を利すること0になる」と指摘した。

 APEは続いて上院本会議場に招かれて発言し、「弾劾=ゴルペ」論を展開。弾劾派が増えつつある議場から激しいヤジが飛んだ。
 

2016年4月19日火曜日

ペルー大統領選挙決選支持率:ケイコ40%、クチンスキ44%

 ペルー大統領選挙の選挙戦は6月5日実施の決選に向けて、ケイコ・フジモリ(40)、ペドロ=パブロ・クチンスキ=PPK=(77)の両候補が鎬(しのぎ)を削っている。

 4月10日の第1回投票後、初めて実施され18日公表された支持率調査の結果は、PPK44%、ケイコ40%だった。PPKは第1回投票では21%だったが、3位で決選に進めなかったベロニカ・メンドサ(18・82%)らの支持票を上乗せするのに成功しているかに見える。

 一方、第1回に39・8%を得ていたケイコは、ほぼ同じ40%で頭打ちになっている形だ。両候補は新自由主義経済政策の継続で一致、大きな争点はない。このため、依然根強い「反フジモリ世論」がケイコに逆風、PPKには追い風となっている。

 しかしケイコは、父親アルベルト・フジモリ元大統領を嫌う「政治的意識層」でない大衆層を主な支持基盤としており、これを最大限に開発すれば勝機はあると見られている。いずれにせよ、接戦になる公算が大きい。

 今回の世論調査で出た「支持候補未決定」6%、棄権10%、合わせて16%の多くを自陣に取り込んだ候補が勝つことになる。

 また、この調査では「反ケイコ」42%、「反PPK」32%という結果も出た。「反ケイコ」が50%を上回らないからには、ケイコに支持票開拓の余地があるわけだ。

 両候補は18日、リマ市内にある国家選挙審議会(JNE)本部で90分間会合、有権者への金品贈与の禁止などを確認した。

 大統領選挙と同時に10日実施された国会議員選挙では、定数130の過半数をケイコの政党「人民勢力」(FP)が握るもよう。PPK政権となれば、ねじれが生じることになる。ケイコが勝てば安定度は増す。これがケイコの自信の源となっている。
 

2016年4月12日火曜日

ペルー大統領選挙決選のケイコの相手は元経済相PPK

 ペルー大統領選挙第1回投票が4月10日実施され、開票率99・35%段階でケイコ・フジモリ元国会議員(40)=人民勢力(FP)=が得票率39・81%で、6月5日の決選への1位進出を決めた。

 決選でケイコと大統領の座を争うことになったのは、ペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)元経済相(77)=変革のためのぺルー人(PPK)=で、得票率は21・00%だった。

 PPKと2位争いをしていた中道左翼のベロニカ・メンドサ(35)=拡大戦線(FA)=は18・82%で、敗退した。

 ケイコとPPKはともに新自由主義経済路線を継承、「中道右翼」と位置付けられている。ケイコは農村部、都市大衆層、中小企業者などに人気が高く、PPKは内外大企業、米財界、都市中産及び富裕層から支持されている。

 5年前の前回大統領選挙決選でケイコはオヤンタ・ウマーラ現大統領に敗れたが、決選に進出できなかったPPKはケイコ支持に回っていた。それが今回は「本命と対抗馬」の関係となった。

 メンドサの決選進出の可能性もあった。進出すれば、ペルー大統領選挙史上初の女性候補同士の一騎討ちとなっていた。また、メンドサの政党FAは新憲法制定、貧困解消、社会投資拡充などに政治の力点を置いており、新自由主義路線+社会政策のケイコと政策論争をしうる立場にあった。

 ケイコとPPKの争いとなったことは、有権者の多数派が「変化」よりも「安定」を求めていることを示す。南米政治の潮流に昨年11月以降、「右傾化」や「保守化」が著しく、これがペルーではメンドサに不利に作用した。

 ケイコは決選進出を当たり前のこととして選挙戦を展開してきた。最大の敵は、父・アルベルト・フジモリ元大統領=禁錮刑受刑囚=の政権下で起きた人道犯罪、腐敗、お手盛りクーデターなどを指摘して「反ケイコ」を煽る勢力の存在だ。このためケイコ陣営は昨年から、「元大統領離れ」を鮮明にしてきた。

 PPKにとって難敵は、ケイコと、77歳いう自身の高齢だ。ケイコは決選進出を決めた直後、「未来はもう始まっている。政策で決選を戦う」と語った。

 アラン・ガルシア(得票5位)、アレハンドロ・トレード(8位)の両大統領経験者は、いすれも「腐敗した過去の政治家」として見離され惨敗した。また選挙管理当局が有力2候補の出馬資格を剥奪したことで、PPKが浮上できた。ケイコは昨年から1年余り、常に支持率1位を維持してきた。

 決選の行方は予断を許さないが、ペルーに「初の女性大統領」が誕生する可能性が膨らんでいるのは確かだ。

★ラ米短信[ブラジル] ブラジル下院弾劾問題特別委員会(65人)は4月11日、ヂウマ・ルセフ大統領を弾劾すべしとする報告書を賛成38、反対27で可決した。

 これを受けて下院本会議が14日以降開かれ、審議した後、弾劾か否かを可決する。可決には3分の2の342票が必要だが、現時点では固まっていない。否決されれば廃案となり、可決されれば上院に送られる。  

2016年4月10日日曜日

今日ペルーで大統領選、決選でのケイコの相手は誰かが焦点

 ペルーで4月10日、大統領選挙を中心とする「総選挙」が実施される。注目の大統領選挙(第1回投票)は、ケイコ・フジモリ(40歳、人民勢力=FP=候補、保守・中道右翼)の得票第1位は動かないと見られ、6月5日実施の「決選の相手が誰になるかを決める選挙」と位置付けられている。

 もちろん10日に1位得票者の得票率が50%を超えれば当選するが、それはありそうもない。2位で決選に進出する候補は、ペドロ=パブロ・クチンスキ=通称PPK=(77歳、変化のためのペルー人=PPK=候補、保守・中道右翼)と、ベロニカ・メンデサ(35歳、拡大戦線=FA=候補、中道左翼)のいずれかとなる公算が大きい。

 最新の支持率調査では、ケイコ38・2%、PPK19・9%、メンドサ18・9%。ケイコは昨年初めから一貫して支持率首位の座を維持してきた。前回選挙でケイコは決選に進出したが、現大統領オヤンタ・ウマーラに敗れた。そのウマーラは前々回選挙の決選に1位進出しながら、2位進出のアラン・ガルシア前大統領に逆転された。

 ガルシアは通算3期目を目指し出馬しているが、「腐敗した過去の政治家」と見なされ、支持率5位で、振るわない。

 1990年の選挙では、決選で2位進出の数学者アルベルト・フジモリ(ケイコの父)が1位進出の作家マリオ・バルガス=ジョサに逆転勝利した。こうした過去の例からケイコの決選勝利は不確かであり、ケイコ陣営は当初から決選勝利に的を絞り、有権者に拒否反応が強いフジモリ元大統領と娘ケイコを切り離す戦略を推進してきた。

 ケイコは8日、選挙戦の締めくくりで、「ペルーに欠けているのは強い指導力だ。私は<ズボンをしっかりとはいて>=指導力を十分に発揮して=政治を運営する。重大極悪犯罪者のため標高4000mの地に刑務所を造る」と訴えた。

 今選挙戦のさなか支持率が上位2~5位にいた有力候補2人が国家選挙審議会(JNE)によって出馬資格を取り消された。これにより、下位にいたメンドサが上位に浮上。2~4位の間を浮動していたPPKは2位に落ち着いた。

 メンドサが決選に進出すれば、女性同士の戦いとなり、いずれが勝ってもペルー史上初の女性大統領となる。メンドサは「人民の人民による人民のための政府」を謳い、新憲法制定や社会投資拡充を中心政策に掲げている。またケチュア語を話すこともあって、先住民や都市貧困層に人気がある。

 トレード前々政権で首相・経済相を務めた経済学者PPKは、財界、米財界が期待する人物。だが77歳と高齢なのが不安材料。

 最強のケイコは、現在の新自由主義経済路線に貧者救済のための社会政策を加えた「ポスト新自由主義」路線。かつて父親が手掛けた路線に手を加えたものだ。

 決選で相手がPPKならば、ケイコの農村部・地方部大衆層+中止企業と、PPKの都市富裕層・中産層+財界中央の戦いになる。相手がメンドサならば、彼女の「左翼政策」を嫌うPPK票を含む保守票がケイコに集まると予想されている。メンドサが勝てば<奇蹟>と見なされている。

 有権者は2300万人。副大統領2人、国会議員130人、アンデス議会議員15人も同時に選ばれる。米州諸国機構(OEA)を中心とする国際監視団が展開している。

2016年4月2日土曜日

ペルー大統領選挙まで10日、ケイコ・フジモリが1位維持

 ペルー国家選挙審議会(JNE)は4月1日、ケイコ・フジモリ大統領候補の出馬資格剥奪を求める反フジモリ派の訴えを証拠不十分として却下した。JNEは既に3月、同様の訴えを却下、その再審理要求を今回却下し、判断は確定した。

 JNEは、支持率調査で上位2~5位以内にいた有力候補2人の出馬資格を剥奪しており、ケイコ候補の選挙運動継続も危ぶまれていた。

 今月10日の大統領選挙第1回投票を監視する米州諸国機構(OEA)は1日、JNEによって資格を奪われた2候補が復権しない限り、ペルーの大統領選挙は「半民主主義状態」で実施されることになる、と憂慮を表明した。

 選挙まで10日と迫った3月31日公表された最新の支持率調査では、ケイコ・フジモリ(人民勢力)が36%で1位。「変化のためのペルー」候補ペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)が16%で2位。3位ベロニカ・メンドサ(拡大戦線)15%、4位アルフレド・バルネチェア(人民行動党)9%、5位アラン。ガルシア(人民同盟)3%。

 過半数得票者は出そうもなく、上位2候補が6月5日実施の決選に進出する。ケイコの1位進出は堅いと見られている。2位はPPK、メンドサ、バルネチェアのいずれかとなる公算が大きい。決選予想では概ねケイコ有利となっている。

 だがケイコの父アルベルト・フジモリ元大統領期(1990~2000)のお手盛りクーデターによる民主中断、秘密警察と治安部隊による人道犯罪、麻薬汚染、腐敗、メディア買収などを依然攻撃する反フジモリ派は、反ケイコ派となって健在だ。ケイコにとっては、決選に向け、反ケイコ派を懐柔しつつ3位以下の票を引き付けられるか否かが勝敗の鍵となる。

 選挙では大統領の他、副大統領2人、国会議員130人、アンデス議会議員15人が選ばれる。有権者は2300万人。

▼ラ米短信  ドミニカ共和国(RD、ラ・ドミニカーナ)の首都サントドミンゴで4月1日、第10回CELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)外相会議が開かれた。

 会議は、米州およびラ米の他の地域統合組織との連携、移民、極貧、食糧供給、気候変動、麻薬取締などを討議した。会議の議題と討議内容は、来年1月RDで開かれる第5回CELAC首脳会議に提示される。 

2016年3月24日木曜日

ペルー選挙審議会がケイコ・フジモリ候補排除要請を却下

 ペルーの特別選挙審議会(JEE)リマ支部は3月24日、大統領候補ケイコ・フジモリが「集票のため金品を有権者に渡していた」との訴えを根拠がないとして却下した。4月10日の大統領選挙第1回投票まで2週間余り、ケイコ候補は危ういところでひ踏みとどまった。

 JEEが訴えを認めれば、出馬資格は剥奪される。既に有力候補だったフリオ・グスマン、セサル・アクーニャがJEEによって出馬を取り消されている。グスマンは自党内の予備選挙が選挙法に違反していたのが理由。アクーニャは現金を渡していた。

 選挙まで3週間だった20日公表された支持率調査によれば、ケイコ(人民勢力)31%、ペドロ=パブロ・クチンスキ(PKK、改革を目指すペルー人)15%、アルフレド・バルネチェア(人民行動党)およびベロニカ・メンドサ(拡大戦線)各12%、アラン・ガルシア(人民同盟)が上位5人。

 過半数得票者がなく6月5日の決選が実施される公算が大きく、ケイコの進出は堅いと見られている。その相手はPPK、バルネチェア、メンドサの3候補のうちの誰かになると予想されている。

 反フジモリ派はJEEに裁定に期待していたが、JEEが訴えを却下したため、決選で反フジモリ戦線を構築しようと全国的なケイコ攻撃運動を展開している。父親アルベルト・フジモリ元大統領の政権期(1990~2000)にあった政府による人道犯罪、公金横領などが盛んに持ち出され、攻撃に使われている。

 だが財界など保守勢力は、ケイコが基本的には新自由主義経済路線であるため、特にケイコに反対する動きは示していない。反ケイコ勢力は、ケイコが大統領になって、受刑中の父親を恩赦で釈放するのを警戒している。

 調査によると、決選でケイコは優勢だが、相手がPPKになった場合、負ける可能性があるという。PKKならば、反フジモリ=ケイコ票を吸収できるから、とされている。 

2016年3月11日金曜日

ペルー大統領選挙まで1カ月、有力2候補が失格へ

 ペルーの国家選挙審議会(JNE、審議員5人)は3月9日、大統領選挙の有力候補2人を失格と判定した。一人は支持率調査で2位に着けていたフリオ・グスマン候補(45、「皆、ペルーのために」TPP)で、「TPP党内で大統領候補を選ぶ際、民主的でなかった」というのが理由。

 もう一人は、3月初め4位だったセサル・アクーニャ候補(63、「進歩のための同盟」APP)。選挙戦中、有権者に現金を渡したため。アクーニャはJNE判断を受け、出馬を取りやめる。グスマンは「3日以内に異議を申し立てる権利」を行使したが、判断が覆る可能性は極めて乏しい。

 有力2候補がこのような結果となったのを受けて実施され10日発表された緊急支持率調査では、昨年来ずっと1位を突っ走ってきているケイコ・フジモリ(40、「人民勢力」FP)が37%に上昇した。ケイコにとっては、最大のライバルと見なされていたグスマンが窮地に陥ったことで有利になったと受け止められている。

 2位には昨年まで2位だったペドロ=パブロ・クチンスキ(77、「改革目指すペルー人」PPK)が復活し、14%。3位は、アルフレド・バルネチェア(63、「人民行動党」AP)9%、4位は、ベロニカ・メンドサ(「拡大戦線」FA)で8%。3期目を狙うアラン・ガルシア前大統領(「人民同盟」AP)は7%で、5位。

 選挙(第1回投票)は4月10日実施されるが、過半数得票者は出そうもなく、上位2候補による6月5日の決選が実施される公算が大きい。

 問題は、JNEが恣意的になれば、ケイコ以下の全候補が振り落とされる可能性があることだ。各陣営は、やや疑心暗鬼になっている。

 一方、米州諸国機構(OEA)の選挙監視団は11日にはリマに集結、監視準備に入る。監視団幹部は非公式ながら、選挙まで1カ月の時点でJNEが候補者を失格させることができるような制度の存在に疑問を表明している。

2016年2月26日金曜日

ペルー大統領選まで45日、ケイコ・フジモリが支持率1位

 ペルー大統領選挙まで45日となった2月25日、リマのエキシトーサ紙は支持率調査結果を報じた。1位は従来と変わらず、「人民勢力」(FP)を率いるケイコ・フジモリで33・7%。アルベルト・フジモリ元大統領の長女で、元国会議員。

 2位は、「皆、ペルーのため」(TPP)候補で経済学者のフリオ・フスマン18・3%。3位は、実業家で元州知事のセサル・アクーニャ(「ペルー進歩のための同盟」)の7・3%。

 4位は、「改革目指すペルー人」(PPK)候補ペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)元経済相で、6・8%。5位は、3期目を狙う前大統領アラン・ガルシア(「人民同盟」AP)の6・4%。

 6位は、「拡大戦線」(FA)のベロニカ・メンドサで4・1%。7位は、人民行動党(AP)のアルフレド・バルネチェアの3・8%。2期目を目指す元大統領アレハンドロ・トレード(「ペルーは可能」PP)は2・8%で、8位に留まった。

 4月10日の選挙(第1回投票)で過半数得票者は出そうもなく、上位2候補が6月5日の決選に進出する公算が大きい。その場合、ケイコの進出は堅いと見られており、誰が対抗馬になるかに関心が集まっている。

 第1回投票の結果が判明し次第、決選に向けて、落選した3位以下の候補たちの得た票の奪い合いが始まる。

 現在、各陣営間で足の引っ張り合いや激しい攻撃合戦が展開されている。