2013年12月31日火曜日

●2013年墓碑銘-懐かしい人コーリン・ウィルソンの死


●2013年墓碑銘

 12月、日本の自由と民主が象徴的に死んだ。

 8月の藤沢嵐子の死は、心に残る。私は1972年11月、ブエノスアイレスでフアン=ドミンゴ・ペロン元大統領(その後再び大統領)と質疑応答をした。その時、私の脳裏にあったのは、1950年代半ば、ペロン大統領の前でタンゴを歌った嵐子だった。

 12月のネルソン・マンデーラ南ア元大統領の死も、心に響いた。私は1980年代前半3年余り南アに駐在し、アパルトヘイト時代の状況に取り組んだ。そのころマンデーラは獄中の人だった。初めて会い話したのは、1990年代初めの東京だった。

 12月の英人作家コーリン・ウィルソンの死は、若き日を思い出させた。1956年に出た主著『アウトサイダー』は、私に多くを教えてくれた。

 そして11月9日、私の身近に大きく重い死があった。

2013年にラ米でジャーナリスト33人殺害・失踪


 ラ米ジャーナリスト連盟(FELAP=フェラップ)のジャーナリスト殺傷調査委員会(CIAP=シアップ)は12月29日、2013年に域内でジャーナリストおよびメディア職員計29人が殺され、4人が失踪した、と発表した。

 内訳は:メヒコ7人殺され4人失踪。ブラジル7人、グアテマラ、コロンビア、オンドゥーラス各4人、エクアドール、ペルー、ニカラグア各1人が殺された。

 FELAPは1976年のNGOで、メヒコ市に本部がある。 

『コマンダンテ-ウーゴ・チャベスの生涯と遺産』を読む


 『コマンダンテ―ウーゴ・チャベスの生涯と遺産』を原書で読んだ。まずまず面白かった。

 著者はアイルランド人で、英ガーディアン紙記者のロリー・キャロル。カラカス通信員時代の取材経験を基に本書をまとめた。

 テーマがベネスエラ情勢であるため、組織などの固有名詞は英語に訳されると、訳が分からなくなることが多い。そこで西語訳を並行して読んだ。

 すると西語版に語訳が幾つかあるのが分かった。さらに、意図的と思われる「訳してない個所」があるのに気付いた。ベネスエラ人には自明の理で、訳す必要なしと判断されたからか、別の理由からか分からない。

 チャベスが死去し、チャベス時代とチャベス故人を見直し、分析する本が出つつある。大いに楽しみだ。

来年2月、首脳会談で北米自由貿易条約(協定)見直しへ


 米加墨北米3国の北米自由貿易条約(TLCAN、英語ではNAFTA)が1月1日、発効20周年となる。

 メヒコ企業家連絡会議(CCE)は12月30日、「TLCANは20年間多くをメヒコにもたらしたが、今や停滞期に入っている」と述べた。だが「競争力と経済活力を高めるための条件はある」と付言した。

 またワシントン駐在のメヒコ大使は29日、「TLCANには20年前に予測できなかったような問題が生じている」と指摘し、来年2月後半に開かれる加盟3国首脳会談で対策が話し合われると明かにした。

 その問題とは、情報技術、ネット取引、域内エネルギー事情、人材育成など。

 20年前の1994年元日、墨チアパス州で、「TLCANに象徴されるすべての悪」に反逆するサパティスタ民族解放戦線(EZLN)の武装蜂起が起きた。

「建設的野党の登場を期待」-ベネズエラ大統領語る


 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は12月30日、カラカス駐在の外国メディア通信員団と会見し、ウーゴ・チャベス大統領の3月の死を「激烈な衝撃だった」と述べた。

 マドゥーロはまた、「来年は建設的かつ民族主義的で、米国に指示されない野党の登場を期待する」と述べた。

 さらに、「反政府勢力による経済戦争があったにも拘わらず、経済は1・6%成長した」と明かにした。

 だが、今年のインフレは56%と、極めて悪い。

 一方、NGO「VEN暴力監視台」の発表によると、今年の暴力死は2万4763人。人口10万人当たり79人となる。だが内務省は、同10万人あたり39人だったと低く発表している。

チリ警察が、パブロ・ネルーダ「毒殺容疑者」の人相を手配


 チレの捜査警察(PDI)は12月30日、毒物を注入しパブロ・ネルーダを暗殺した可能性のある通称「プライス医師」の人相書きを公表した。

 ネルーダを担当したセルヒオ・ドゥラペル(ドゥレイパー)医師の記憶を基に作成された。手配された人物は現在70歳前後で、米国に逃亡中とされる。

 ネルーダの甥ロドルフォ・レジェスは、「プライス」の正体を、ピノチェー軍政期に秘密警察DINAの要員だったマイクル・タウンリーと見ている。

 ネルーダの死因を判断するための遺体調査は今年4月始まり、11月に結果が発表された。「毒物の痕跡はなかった」という結論だった。だが、「毒物が消えてしまった可能性があり、毒殺説を否定するものではない」とされている。 

「母国危篤につき新年挨拶は遠慮」-傑作喪中状の物語る悲劇


 「母国危篤につき新年のご挨拶をご遠慮申し上げます」――こんな「喪中案内状」が友人から届いた。「夜陰に紛れ(重大な悪法を成立させ)、母国に瀕死の重傷を負わせた」からだ。

 その張本人・安倍首相は今、世界中で総すかんを食らっている。中国政府は12月30日、安倍を「好ましからざる人物」(ペルソナ・ノン・グラタ)と見なし、首脳会談はありえないと強調した。独りよがりの靖国参拝で破壊されたものは計り知れない。

中国は日本文化の源流であり、現代経済の最重要の相手国ではないか。

安保が頼みの相手、米政府も「失望」を表明し、米有識者は、安倍の外交上の重大な失敗を指摘している。

 国益を損なう判断ができない者に、最高指導者の資格がないのは言うまでもない。即刻定数是正をして衆議院を解散、出直し総選挙をすべきだろう。

 愚かな極右国家主義に冒され、有権者の四分の一程度の「友だち世論」に酔い、取り返しのつかない孤立を招き、隣人たちの尊厳と、日本人の良心を傷つけた。許し難い。

 今の自由民主党は、反自由・反民主党だ。悪法は自由を抑圧し、国家主義は民主を痛めつける。とんでもない時代錯誤だ。

 「愛国心」を法律や命令で強制しようとし、教師と教育の自由を奪いつつある。日本が世界に稀なる真に自由で民主の国になれば、それを守り維持するため日本を愛さない日本人はいなくなる。さらに世界中の人々が、そのような日本に連帯し、日本に移住したくなるはずだ。

 こんな簡単な理屈がわからない連中が政府を牛耳っているのだ。日本人は不幸だ。

 石破がいいとは言わないが安倍を選んだ自民党党員も、絶対に選ばないが規則上、国会の多数決に従って悪い首相でも認めざるを得ない有権者もみな、不幸である。

 国際世論から厳しく批判され、孤立した日本。戦前のようだ。だが、もやは、ナチスドイツも、ファッショイタリアもない。完全に一人ぼっちなのだ。

 だから内弁慶になり、内向きの締め付けを厳しくするしかない。そんな国の首都で五輪大会をする価値があるのだろうか。

 ジャーナリスムも反省すべきだ。民主党の首相や実力者をたたきまくって極悪の政権を導いたのは、まさに新聞やテレビだった。悪法で言論の自由が狭められると、今になって安倍を批判しているが、メディアの多くは共犯だ。

 朝日は、米国や中国の公式な反応を1面トップに置くべきを、紙面編集の判断を誤った。今朝のトップはロシアのテロだが、トップは中国政府による「三行半」突きつけであるべきだった。ジャーナリズムよ、「マスコミ」に堕落するな。

2013年12月30日月曜日

『見た、聞いた! キューバ改革最前線』を読む


 千葉県アジア・アフリカ・ラ米連帯委員会が編集し発行した『見た、聞いた! キューバ改革最前線』を読んだ。発行者も題名も長すぎ、いまの時代、商業的には損をするが、そのようなものを度外視ないし超越している、ある種の頑固さが面白い。

 正味164ページ、価格1000円の冊子だが、クーバに関心を抱く者にとっては、読んでおく必要があると言える。

 書評に書いたため、内容には触れない。興味あれば、本書を探してみてください。

チリ軍政下の失踪者の家族が正義を求める


 ピノチェー軍政が犯した人道犯罪で「行方不明」となった犠牲者の遺族らが12月28日、チレ世論に、真実解明と正義(断罪)を訴えた。

 「逮捕失踪者家族会」(AFDD)のロレーナ・ピサーロ会長は、「ゴルペ(クーデター)からの40年は長い年月だ。民政移管から23年経ち、チレは真の民主時代になってもいいはずだ。その間に蓄積された人道問題の債務(解明不履行)は巨大だ」と前置き。

 「犯罪者は老齢であり、急がねば、ピノチェーのように完全無処罰のまま死なれてしまう」と指摘し、逮捕、裁判、断罪を急ぐよう求めた。

 軍政時代に市民ら約3250人が殺されたが、うち1192人は遺体がない「失踪者」。他に3万3000人が拷問された。

2013年12月29日日曜日

アルゼンチン大統領が次期選挙不出馬を公式表明


 アルヘンティーナのクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル(CFK)大統領(60)は12月28日、国営TELAM通信を通じて、2015年の大統領任期切れ以降は、選挙で選出されるいかなる公職にも就かない、と発表した。

 亜国憲法は、大統領の連続再選は一回だけ可、と規定している。CFKは現在2期目にある。

改憲には、国会で3分の2の多数決が必要だが、ペロン党内の主流派(キルチネル派)はそれに届かない。

 CFKは経済運営のまずさを指摘され、経済は不況。また最近、脳腫瘍の手術を受け、職務に復帰したものの体調は万全ではない。

 以前から何度か非公式に、次期大統領選挙には臨まないと表明していた。今回初めて公式に不出馬を明言した。任期が終われば、亡き夫ネストル・キルチネルと併せて3期12年になる。

 キルチネル派およびペロン党非主流派は、本格的な後継候補選出過程に入る。
 

2013年12月27日金曜日

ボリビアは乞食国家から脱した、と大統領が強調


 ボリビアのエボ・モラレス大統領は12月26日、公共事業法公布に際し演説し、国家の経済参加は、国際機関の言いなりにならずに経済のある部分を人民が握ることを意味し、労働者の権利を保障する、と述べた。

 モラレス政権発足前の「新自由主義時代」には、経済成長率は平均2・99%だった。「だが今年は6・5%だ」と、大統領は強調した。

 国の経済参加率は35%。「成長を高め国民所得を増やし、国の印象を変えた。私企業万能時代、ボリビアは国際機関に依存する乞食国家、乞食国民だった」と指摘した。

 公共投資は、1999~2005年は平均5億8100万ドルだった。それが急増し、2014年には63億9500万ドルになる見込み。

 「国営石油会社YPFB(ボリビア国庫油床)の投資はかつて年平均2億ドルだったが、それが20億ドルと10倍になり、来年は30億2900万ドルになる」。

 ボリビアは、アンデス諸国共同体(CAN)、米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)に加盟しているが、来年以降、南部共同市場(メルコスール)加盟が見込まれている。

コロンビア両ゲリラ組織FARCとELNが和平に向け協働へ


 コロンビアでは米国に支援された政府軍・警察と、ゲリラFARC(コロンビア革命軍)およびELN(民族解放軍)との間の戦闘が続いている。FARCは12月15日から30日間の「一方的停戦」に踏み切ったが、政府軍の攻勢を受けて応戦している。

 FARCとELNの最高幹部は年末の共同メンサヘ(メッセージ)で、「平和実現のために協働する。和平後は革新野党になる」との意思を表明している。

 コロンビア和平和解財団が明らかにしたところでは、FARCのロドリーゴ・ロンドーニョ、ELNのニコラース・ロドリゲスの両最高幹部は10月末~11月初めの時期に、ベネスエラ国境に近いカタトゥンボ地方で会合した。

 議題は共同戦線構築についてで、和平交渉と、和平後の在り方を話し合った。年末メンサヘには、会談結果が反映された。

 ELNと政府は和平交渉に入っていないが、FARCがハバナで交渉しているため、交渉開始を望んでいる。

 そこでELNは、交渉開始を政府に受け入れさせるため圧力を強めようと、石油関連施設や鉱山開発拠点への破壊活動を増やす戦略を立てた。最高幹部会談で、これをFARCが支援することになった。

 内戦開始から半世紀、21世紀第2・10年期(2011~20)になって、依然不確実ながら、ようやく内戦終結の展望が見えてきた。

2013年12月26日木曜日

安倍参拝、ラテンアメリカでも広く報道


 安倍首相の12月26日の靖国神社参拝は国際社会に波紋を投げかけているが、ラテンアメリカ諸国でも新聞が外電を基に報じている。

 反響が大きいのは、中国の存在がラ米で既に大きく、その中国を日本の極右国家主義が怒らせているという捉え方があるからだ。

 クリスマス明けで、ニュースが乏しい事情も理由だろう。

 スペインのEFE通信は、「安倍は、第二次大戦時の日本軍侵略を歴史教科書から削除しようと促進している中心的人物の一人」と指摘している。

 フランスのAFP通信は、「日本は重要な同盟国で友邦だが、その指導部が近隣諸国との緊張を激化させているのには失望した」とする、在京米国大使館の声明を伝えた。中国の新華社通信も、同大使館声明を報じた。

 また英国のロイター通信は、「靖国神社参拝は、日本軍国主義の侵略と植民地支配の歴史を賛美するもの」とする中国政府の主張を伝えている。

2013年12月25日水曜日

ブラジルの「もっと医師を」政策の成果報告さる


 ブラジル政府は12月24日、「マイス・メヂコス(もっと医師を)」政策に基づく成果について明らかにした。

8月以降、外国人医師6658人が導入され、全国2177市および28先住民共同体で、計2300万人の診察に対応している。

政府は来年3月までに外国人医師を1万3000人に増やし、計4550万人に対応させる計画。

外国人医師団の最大集団はクーバ人だが、同国保健省は23日、国内に医師5万6600人がおり、十分な数だと表明した。

国外で医療に当たっているクーバ人医師は2万1000人。年間80億ドルの外貨をクーバにもたらしている。

2013年12月24日火曜日

伊高浩昭が選んだ「2013年ラテンアメリカ重要ニュース」


◎2013年ラテンアメリカ重要ニュース(12月24日現在)

1、チャベスVEN大統領死去(3月)とマドゥーロ政権発足(4月)

2、マンデーラ南ア元大統領葬儀で米大統領がクーバ議長と握手(12月)

3、アルヘンティーナ人枢機卿がローマ法王フランシスコに(3月)

4、ブラジルで中産下層の若者らが全国で抗議デモ(6~7月)

5、メヒコで石油産業に外資を導入するエネルギー法施行(12月)

6、ニカラグア政府・国会が中国援助による両洋運河建設を決定(6月)

7、パナマでクーバ兵器を隠し積んでいた北朝鮮貨物船抑留(7月)

8、ウルグアイで大麻合法化法成立(12月)

9、ボリビア大統領機がヴィエンナ緊急着陸(7月)

10、パラグアイ新政権がメルコスール問題でベネスエラと和解(12月)

11、ハバナでのコロンビア内戦和平交渉が進展(通年)

12、チレ大統領選挙決選でミチェル・バチェレー前大統領当選(12月)

13、オンドゥーラス大統領選挙で保守・右翼政権継続決まる(11月)

14、エクアドール大統領がヤスニ油田開発禁止を解除(8月)

15、ALBAとペトロカリーベが共同経済地域(ZEC)設立を決定(12月)

16、グアテマラでリオスモント元軍政首班に人道犯罪で有罪判決、だが覆る(4~5月)

17、ブラジル大統領が米政府による電子傍受に激怒、関係冷える(年後半)

18、クーバで移住改正法施行(1月)

19、ハイチ人移民をめぐりハイチとラ・ドミニカーナの関係悪化(年後半)

20、亜国大統領が脳腫瘍手術で休養(10月)

コスタ・リカ大統領が1月キューバ訪問へ


 コスタ・リーカ(CR)のラウラ・チョンチージャ大統領が来年1月クーバを訪問することが12月23日明らかになった。

 ハバナでは1月28~29日、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC=セラック)の第3回首脳会議が開かれる。大統領は、これに出席する。

 実現すれば、CR大統領として、革命後間もなく訪問したホセ・フィゲレス大統領以来54年ぶりのクーバ訪問となる。

 CRは、中米ないしラ米で最も保守的な国の一つ。エンリケ・カスティージョ外相が先月クーバを訪れ、大統領訪問の地ならしをしていた。

2013年12月23日月曜日

米国がコロンビアゲリラFARC幹部殺害作戦を強力支援


 米軍がコロンビア革命軍(FARC)討伐戦でコロンビア政府に肩入れしている事実は以前から明らかだが、ワシントンポスト紙が12月21日、肩入れの一部を具体的に報じた。

 それによると、ブッシュ前政権が2006年、コロンビア作戦の一環としてFARC幹部殺害作戦への肩入れを決定した。一基3万ドルのGPSを複数供与し、これでFARCの位置を確認し、GPSと連動する爆弾投下装置で爆撃を加える。

 FARCの前最高指導者アルフォンソ・カノは、このようにして拠点を暴かれ、500ポンド爆弾を投下されて死亡した。

 08年にコロンビア空軍がエクアドール領内に越境攻撃し、FARC最高幹部の一人ラウール・レジェスを殺した際も、CIAが居場所を察知し、コロンビア空軍機が米軍電能誘導装置付きの爆弾で攻撃した、という。

 国家安全保障局(NSA)も巨額の援助をしていた。オバーマ現政権も政策を引き継いでいる。

 

2013年12月22日日曜日

『スペイン語ビジネス会話フレーズ辞典』発売さる


◎『スペイン語ビジネス会話フレーズ辞典』発売

 イスパニカ著、三修社刊。3150円。

12月20日、店頭に並んだ。労作だ。

 西語圏で経済面の活動をする人にとって必携書。

コレア・エクアドール大統領が「米国の独善」を糾弾


 エクアドールのラファエル・コレア大統領は12月21日、「米国には好い点も多々あるが、自らの価値観を普遍的とし、世界を植民地のように扱う独善がある。これを断固糾弾する」と述べた。

 この発言は18日、米国際開発局(USAID)が赤道国(エクアドール)との協力関係を打ち切り撤退する、と発表したのを受けたもの。

 大統領は、「我々はいかなる内政干渉をも受け入れない」、「米国は自国内の問題を少しは顧みるべきだ」とも語った。

 コレア政権は、USAIDがNGOへの資金援助を通じて内政干渉していたと捉え、NGOへの締め付けを強化していた。

 USAIDは過去50年に亘って、総額8億ドルの援助資金を赤道国に投下した、とされる。

2013年12月21日土曜日

ボリビア通信衛星トゥパック・カタリ、中国で打ち上げに成功


 ボリビアの通信衛星トゥパック・カタリ1号(TKSAT-1)が12月21日未明、中国西昌(シチャン)で、ロケット「長征3号」により打ち上げられ、軌道に乗った。

 現地で立ち会ったエボ・モラレス大統領は、拍手でロケットを見送り、「衛星はボリビア人民の解放に役立つ」と述べた。ボリビア全国で大群衆が発射中継を見守った。

 ボリビア政府は、衛星は麻薬など組織犯罪取り締まりに効果を発揮する、と見ている。また南米周辺諸国への「通信輸出」も期待できると表明している。

 この衛星は重量5200kg。中国が3億ドルの援助をした。機能開始は来年3月の予定。

2013年12月20日金曜日

月刊誌LATINA1月号がキューバ革命55周年記事を掲載


◎月刊LATINA2014年1月号(本日12月20日刊 )の伊高浩昭執筆記事: 

ラ米乱反射連載第95回 「革命55周年、新たな経済モデル模索するキューバ」「<社会主義AからBに移行>と政治学者R・エルナンデス氏」-ラウール・カストロ国家評議会議長の演説を踏まえた改革政策と、来日中のキューバ季刊誌「テマス」のラファエル・エルナンデス編集長(政治学者)とのインタビューをまとめた。 

書評:『ペルソナ・ノン・グラータ』ホルヘ・エドワーズ著、松本健二訳、現代企画室-1970年代初めキューバで起きた「パディージャ事件」の内幕が描かれていて、興味深い。 

書評:『グアバの香り』ガブリエル・ガルシア=マルケスが、親友プリニオ・メンドーサの質問に答える形で、私生活、作風、女性観などを縦横に語る。岩波書店。   

「大統領、私はカストロです」-フィデルがラウール・オバマ握手を語る


 クーバ革命の指導者フィデル・カストロ前議長は12月19日、グランマ紙上のコラムで、ラウール・カストロ議長が南アでバラク・オバーマ米大統領と握手したことについて、見解を述べた。

握手に応じたラウールは、「大統領、私はカストロです」とオバーマに告げた。ラウールを「堅固さと尊厳を示した」と讃えた。

故ネルソン・マンデーラについては、「高潔、深く革命的、急進的社会主義者だった」と語った。

×               ×               ×   

グランマ紙は同じ紙面で、閣僚評議会が、自動車輸入解禁を決めたと伝えた。近く決定の細部が明らかにされる。

対象は、外国人居住者、クーバ法人、合弁企業。乗用車、トラックなど各種の新車ないし中古車の輸入が可能になる。

これまで自動車輸入は国家が担当し、個人や法人が直接関わることは半世紀に亘って禁止されていた。 

2013年12月19日木曜日

パラグアイ国会がベネズエラのメルコスール加盟議定書を批准


 パラグアイ国会下院は12月18日、ベネスエラの南部共同市場(メルコスール)加盟を決めた同市場条約改定議定書を批准した。上院は批准済みであり、これによってメルコスール内でのパラグアイとベネスエラをめぐる問題は解決した。

 ベネスエラはチャベス前政権時代にメルコスール加盟を申請したが、ブラジル、アルヘンティーナ、ウルグアイは議定書を批准した。だが、保守・右翼議員の多いパラグアイの国会だけは「ボリバリアーナ革命」を掲げるチャベスを嫌って、批准を拒否していた。

 昨年6月、パラグアイ国会は、当時のフェルナンド・ルーゴ大統領の改革政策を潰すため同大統領を弾劾した。この「国会クーデター」事件を契機に、メルコスールはパラグアイの加盟資格を停止とした。

 そのうえでメルコスール3国は昨年7月31日、ベネスエラの加盟を承認した。ところがパラグアイは「火事場泥棒」と怒り、ベネスエラ加盟を認めなかった。

 しかし今年8月、パラグアイにコルテス新政権が発足し、歩み寄りを見せた。メルコスールは欧州連合(EU)と通商交渉に入るが、パラグアイはメルコスールと関係を正常化しないと交渉に参加できない。また海のない内陸国パラグアイは隣接する3国と、いつまでもイデオロギー抗争を続けるわけにはいかない。

 コルテスは直接ベネスエラ大統領マドゥーロと会談し、国会に批准を働きかけた。パラグアイ政界は、これで一皮むけた。

 だが批准賛成48、反対1、不参加31の数字が示すように、時流から外れた右翼頑迷派議員が依然多い。

2013年12月18日水曜日

ALBAとペトロカリーベが「共同経済地域」(ZEC)設立決める


 米州ボリバリアーナ同盟(ALBA、9カ国加盟)と、ペトロカリーベ(カリブ連帯石油機構、17カ国)が、「共同経済地域」(ZEC)設立を決めた。

 両組織は12月17日カラカスで第2回合同首脳会議を開き、決定した。メルコスール(南部共同市場)にZEC参加を働きかけていく。

 ベネスエラは両組織の盟主であり、メルコスールの論番制議長国。ニコラース・マドゥーロ大統領は、12月8日の統一地方選挙勝利の勢いを駆って、ZEC実現に向け一歩を踏み出した。

 首脳会議は、ZEC構想を打ち出した故ウーゴ・チャベス大統領が眠る廟のある、カラカス丘陵地帯の旧モンターニャ砦で開かれた。会議場正面には、巨大なチャベスの写真が掲げられた。

 ZEC設立計画は、エクアドール(議長)、ベネスエラ、ニカラグア、ジャマイカ、ドミニカの5カ国で構成する委員会が推進する。

 首脳会議はまた、国連食糧農業機関(FAO)と協力して域内の貧困と飢餓を無くす事業を開始することも決めた。

 またALBA諸国は、サルバドール・アジェンデ保健学大学を創設することを決めた。大学本部はベネズエラに、他の8カ国に支部が設置される。

 首脳会議には、ベネスエラ、ボリビア、エクアドール、ニカラグア、ラ・ドミニカーナ(RD=ドミニカ共和国)、ハイチ、スリナムの大統領、ベリーズ首相、クーバ国家評議会第1副議長らが出席した。

 RDとハイチの大統領はロビー外交で、悪化している両国関係の打開を図るため、移民、通商、安全保障などで交渉を再開することを決めた。ベネスエラ大統領は仲介役を引き受けた。

[ALBA加盟国のボリビアとエクアドールを除く7カ国は、ペトロカリーベにも加盟している。]

スノーデン氏がブラジル亡命希望するも断られる


 伯紙フォーリャデサンパウロは12月17日、元米NSA(国家安全保障局)職員、エドゥワード・スノーデン氏がインターネットで送った「ブラジル人民への公開書簡」を掲載した。

 スノーデンはその中で、ブラジル亡命と引き換えに、米政府によるブラジル政府中枢部に対する電子スパイ活動の調査に協力する、と提案した。

 だが、ルセフ伯政府は、申し出を断った。伯政府は、独自の電子通信技術の開発に乗り出しつつある一方で、スパイ事件により冷却した対米関係の改善を図ろうとしている。

 スノーデンは、現在のロシア一時亡命の身分では言動に限りがある、と記している。

2013年12月17日火曜日

メキシコ大統領がトルコでMIKTA結成話し合いへ


 メヒコのエンリケ・ペニャ=ニエト大統領は12月16日、トルコを公式訪問した。

 首脳会談での議題の一つは、メヒコ、インドネシア、韓国、トルコ、豪州で「MIKTA(ミクタ)」を結成すること。

 実現すれば、BRICS(伯露印中南ア)に次ぐ「新興経済強国」の集団結成となる。

2013年12月16日月曜日

マノエル・ド・オリヴェイラ監督の名画「家族の灯り」を観る


 ポルトガル映画界の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督の2012年の作品「家族の灯り」(原題「ジェボと影」=影には「招かれざる客」の意味が潜んでいる)を試写会で観た。

 リスボーアかも知れない街の路地裏に住む、貧しく平凡で実直な家庭での出来事を描く。古い石造りの建物の1階を占める家の扉の外は、石畳の路地が続いている。場面はほとんどが暗い居間兼食堂で、それが新劇の舞台のような感じを終始醸し出している。

 淡々と過ぎる日常に事件が起きる。その結果としての結末は哀れだ。

 主演マイケル・ロンズデール(ジェボ)。共演クラウディア・カルディナーレ(75歳、ジェボの妻)。脇をジャンヌ・モロー(85歳、親しい訪問客)らが固める。

 筋は敢えて言うまい。来年2月15日から、東京・神田神保町の岩波ホールで封切られる。4月4日まで上映される。ぜひ観るよう、お勧めする。

 オリヴェイラ監督はこの12月11日、105歳の誕生日を迎え、全国のポルトガル人から祝福された。命のある限り、1年1作主義を追求するという。

チリ次期大統領にミチェル・バチェレー前大統領


 チレ次期大統領に、中道・左翼政党連合「新多数派」候補ミチェル・バチェレー(62)=前大統領=が決まった。

 12月15日実施された決選投票で、投票所の99%の開票が済んだ段階で、得票率62%を記録。相手候補エベリン・マテイ(60)=前労相、保守・右翼政権党連合「チレのための同盟=の38%に圧勝した。来年3月11日、第2期バチェレー政権が発足する。任期4年。

 1990年3月11日の民政移管後、中道・左翼連合政権が4代続いた後、保守・右翼連合のピニェーラ現政権となったが、再び中道・左翼連合政権に戻ることになった。

 今選挙は、両候補とも女性で、父親がいずれも空軍の将軍だったことから、因縁の対決と呼ばれた。バチェレー将軍はアジェンデ社会主義政権を支えたため、逮捕され拷問死した。マテイ将軍はピノチェー軍政で空軍司令官まで昇りつめた。

 棄権率は59%と高かった。バチェレー優勢が第1回投票時から明確だったため、有権者が関心を失っていた。

2013年12月15日日曜日

ベネズエラ統一地方選挙で政権党勝利


 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領の「安定度」を占う統一市長・市会議員選挙は12月8日実施されたが、選挙結果が13日おおむね明らかになった。

 国家選挙理事会(CNE)の発表では、政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV)が242市長、野党連合「民主連合会議」(MUD)が75市長、残る18市長は、政権党系13、野党系5となった。

 市長選挙の総得票数は、PSUVを中心とする政権党連合「大愛国軸」(GPP)が522万票(49・2%)、MUD442万票(42・7%)。投票率は59%。

 マドゥーロは11月に授権法を得て、MUDが仕掛けた「経済戦争」に対し強権を発動し取り締まって来た。これがPSUVの求心力を強めた。政権は、ようやく「チャベス後」の時代に入った。

 一方、MUD指導者であるミランダ州知事エンリケ・カプリレスは、今選挙を「マドゥーロ信任の是非を問う国民投票」と位置付けていた。だが敗北に加え牙城ミランダ州内の市長を多く失い、野党連合指導者としての立場は弱まった。

 しかしMUDはカラカス首都圏、マラカイボなど重要都市で勝ち、総得票数が政権党連合より80万票少ないだけであり、勢力が大きく衰えたわけではない。

チリ大統領選挙決選投票始まる


 チレ大統領選挙の決選投票が12月15日午前8時始まった。午後6時に投票は終わり、直ちに開票が始まる。結果は15日深夜(JST16日昼前)には判明する見込み。

 11月17日実施の第1回投票では、中道・左翼野党連合「新多数派」候補ミチェル・バチェレー前大統領(62)が46・68%、保守・右翼政権党連合「チレのための同盟」候補エベリン・マテイ前労相(60)が25・01%で、それぞれ1、2位となり、決選に進出した。

 最新の世論調査では、バチェレー支持率66・3%、マテイ33・7%で、バチェレーが圧勝する可能性がある。

 バチェレーが勝てば、来年3月、まる4年ぶりに中道・左翼政権が返り咲く。

チャベス前ベネズエラ政権は大土地820万hrを接収


 ベネスエラ土地庁(INTI)は12月14日、チャベス前政権は2000~12年に大土地820万ヘクタールを接収した、と明らかにした。うち400万hrは同庁など政府機関の管理下にあり、300万hrは分割され、貧農らに与えられた。他の100万hr余りの在り方は明らかにされていない。

 2012年には55万hrが接収された。今年13年の目標は39万7000hr。14年は35万hr

 大土地接収と分配は、故ウーゴ・チャベス大統領の農地改革政策に基づき実施された。だが専門家らは、それにより農牧業の生産性が著しく落ち、輸入食糧依存度が高まった、と批判している。

 一方、ホルヘ・アリアサ副大統領(チャベスの娘婿)は14日、「暴利を貪る商人は態度を改めよ。さもなければ、ベネスエラから出ていけ」と述べた。政府は、食品や家電など生活物資の隠匿、売り惜しみを非難し、摘発している。

2013年12月14日土曜日

マンデーラの遺志でキューバとの関係を深化、と南ア大統領表明


 南ア滞在中のラウール・カストロ玖国家評議会議長は12月12日、プレトリアの大統領政庁内に安置された故ネルソン・マンデーラ元大統領の遺体に別れを告げた後、ジェイコブ・ズマ南ア大統領と会談した。

 会談後、ズマは声明を発表、「クーバとクーバ人民を愛していたマンデーラ大統領の遺志に基づいて、クーバとの関係を深化させる」と述べた。

 また「クーバは南ア解放闘争とアフリカ史に特別な位置を占めている」と述べた。これは、クーバ軍延べ35万人がアンゴラに派遣され、同国南部で南ア白人政府軍を撃破し、南ア植民地だったナミビアの独立を実現させたことや、その結果、南ア白人政権崩壊を促進した事実を指している。さらにはチェ・ゲバーラのアフリカ遠征を含め、クーバが果たしたアフリカ解放闘争への貢献を評価している。

 大統領は「カストロ議長の来訪に感謝する。議長が来なかったら、国葬は不完全なものになった」と語り、クーバを讃えた。