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2018年5月30日水曜日

 米政府がエル・サルバドール警察特殊部隊に秘密資金提供か▼青少年暴力団員らの法律外処刑容認も▼CNNが報道▼日本ハムがウルグアイ食肉冷凍会社買収か▼ベネズエラがデノミを延期

 米CNNテレビは5月29日、米政府が秘密裏にエル・サルバドール国家警察特殊部隊に資金を与え、犯罪集団要員の法律外処刑を容認していた、と報じた。

 国家警察には今年解体された「特別即応部隊」(FES)があった。米政府ニコラースは2003年から資金を与え始め、16年6790万ドル、17年は7270万ドルだった。

 FESは16年には、マラスと呼ばれる青少年暴力団の中心である「マラ・サルバトゥルーチャ」(MS-13)要員ら591人を殺害。17年前半には43人を殺した。同年5月、警察筋が情報を漏らし、実態が明るみに出始めたという。

 エル・サルバドール政府はFESを解体、新たに「警察ハグアル(ジャガー)部隊」を結成した。同部隊要員はFESと同じように自動小銃などで重武装し、小型トラックで巡視活動をしたり出動したりしている。
 米当局は、重大な事態であり法的解明が必要、との立場を示しているという。

▼日本ハムがウルグアイで冷凍会社買収か

 日本ハムは、ウルグアイの食肉冷凍会社サンハシント(ウルグアイと亜国資本)を買収する交渉を進めている。5月29日の地元紙報道によれば、買収額は6000万ドル程度いう。
 昨年4月には、日本ハムはウルグアイの食肉冷凍会社「ブリーダーズ&パッカーズ・ウルグアイ」(BPU)を1億3500万ドルで買収しており、今回成約すれば2件目となる。

▼べネズエラが通貨デノミネーションを延期

 ニコラース・マドゥーロ大統領は5月19日、通貨ボリーバルのゼロ3つを削除するデノミ実施を60日延期するのを提案する、と明らかにした。当初、6月4日を予定していた。
 一方、ベネズエラ銀行協会(ABV)のアリスティデス・マサ会長は、90日延期が必要との考えを示した。 

2017年1月17日火曜日

 エルサルバドル和平25周年、サンチェス大統領が「第2の和平合意」策定を野党ARENAに呼び掛ける

 エル・サルバドール(ES)は1月16日、内戦和平合意調印25周年記念日を迎えた。首都サンサルバドールで記念式典が催され、サルバドール・サンチェス=セレーン大統領は、「経済社会問題という今日的必要性を解決するため、<第2の和平合意>を国連仲介の下で探ってゆく」と述べた。

 大統領は、対立する右翼野党ARENA(国家共和同盟)に対し、内戦犠牲者および遺族に補償するための「和解・犠牲者統合的賠償法」の制定を呼び掛けた。これが<第2の合意>だ。

 これについて、「新しい合意は生産的で安全で理性的かつ環境融和的社会にして、排除や社会的・経済的不平等なき福祉の充実した社会をもたらすものであらねばならない。<平和の文化>を創るものでなければならない」と強調した。

 式典に出席した国連特使ミロスラフ・イェンカは挨拶し、「暴力と経済的不平等が多くの人々の和平享受を妨げている」と指摘。隣国オンドゥーラスのフアン・エルナンデス大統領、マリカルメン・アポンテ米州担当米国務次官補(元ES駐在大使)も出席した。

 ESでは昨年5300人近くが殺された。人口10万人中81人で、世界最悪の非戦争殺人発生率である。

 和平合意は1992年のこの日、メヒコ市のチャプルテペック城で調印された。当時のアルフレド・クリスティアーニ大統領のARENA政権と、ゲリラ連合「ファラブンド・マルティ民族解放戦線」(FMLN)の間で署名された。メヒコ、ベネスエラ、コロンビア、スペインが保証国となり、国連が支援した。

 1980年に始まった内戦は勝利のない痛み分けに終わったが、死者7万5000人、行方不明者8000人、負傷者4万人が出た。これら犠牲者の75%は文民だった。避難民は100万人に達した。12年続いた内戦の被害総額は16億ドルと見積もられている。

 <第2の和平合意>のため、政府および政権党FMLNとARENAの間で仲介役をするのは、25年前にも国連ES和平監視団の一員だったメヒコ人外交官ベニート・アンディオーン。経験を買われた任命。

 式典では管弦楽団、合唱隊、軍楽隊、民俗舞踊団が競演した。出席したコロンビア元上院議員で社会活動家のピエドゥラ・コルドバは、「コロンビアもようやく政府とFARCが和平合意に達し、今は政府とELNが和平交渉を始めている」と語った。

 コルドバは14日、サンティアゴ・デ・クーバのフィデル・カストロの墓に参り、「力、抵抗力、光を与えてほしい」と祈願。来年のコロンビア大統領選挙に候補として出馬すると表明した。独自候補を出さないFARCはコルドバを支援するもよう。

 サンチェス大統領は15日には、首都のオスカル・ロメーロ並木大通りに新設された「和解彫刻公園」の開園式と、その中心にある「和平記念碑」の除幕式を主宰。挨拶で「犠牲者補償こそが第2の和解になる」と述べた。ロメーロは1980年に右翼軍部から暗殺された首都大司教。これが内戦の引き金になった。

 一方、犠牲者・遺族支援団体「プロブスケダ」の代表エドゥアルド・ガルシアは、「内戦犯罪者の無処罰の撤廃こそが最大の課題」と指摘した。ES最高裁憲法法廷は昨年7月16日、93年制定の「恩赦法」を違憲と判断している。これにより、国連真実委員会が93年報告した内戦中の人道犯罪事件のうち33件に裁く道が開けた。

 元FMLN幹部のロベルト・カーニャスは、「25年経っても社会的平和がない。6万人の無法者の存在、麻薬犯罪、組織犯罪で社会は疲弊している」と述べた。和平合意にある犠牲者補償などが実現していない理由については、長らくARENA政権が支配、内戦後に新自由主義政策を固めたためと指摘した。

 カーニャスはまた、「内戦を戦ったゲリラと兵士の多くは今、社会から除け者扱いされているが、これを社会に迎え入れる方策を練らねばならない」と訴えた。


   
 
 

2016年9月8日木曜日

エル・サルバドールのMフネス前大統領がニカラグアに亡命

 エル・サルバドール(ES)のマウリシオ・フネス前大統領(56)は妻、および息子3人と共にニカラグアに政治亡命した。ニカラグア政府が9月6日発表した。フネスはESで、大統領期(2009~14)の不正蓄財、影響力不当行使などで追及されている。

 ES最高裁は今年2月、フネスを取調べる許可を検察庁に与え、当局は8月フネスの邸宅などを家宅捜索した。フネスは大統領選挙出馬時、選挙運動を任せたミゲル・メネンデスの企業に大統領就任後、政府事業を優先的に発注。見返りに利益を得ていた疑い指摘されている。不正蓄財は少なくとも30万ドルとされる。

 フネスは身の危険を感じたとして6月からマナグアに滞在していたが、ES検察庁が起訴に向けて本格的な捜査を開始した8月末、亡命を決意。9月1日ニカラグア外務省に申請、2日許可された。

 ダニエル・オルテガ大統領が書記長を務める政権党FSLNと、ES政権党FMLNは友党。サルバドール・サンチェス=セレーンES現大統領は、前任者フネスを支持している。

 フネスは検察庁の捜査を「政治的迫害」と反駁している。FMLNのメダルド・ゴンサレス書記長は6日、フネスは大統領在任中、フネスの前の政権まで政権党だった極右野党ARENA(国民共和同盟)所属の元大統領フランシスコ・フローレス(故人)の公金横領罪による捜査を後押ししたとみなされ、ARENA幹部らから逆恨みされて「腐敗捜査」対象にされていると指摘。亡命を進めたのは自分だと明かした。

 ES当局の捜査対象には、フネス現夫人および、母親の異なる長男(34)、さらに別の母親の次男(25)も含まれている。現夫人との間の3男は2歳。

 政治評論家には、ブラジル保守・右翼勢力がルーラ元大統領を不動産不正入手などで起訴し、ルーラの政治生命を奪おうとしているのと、フネス迫害は状況が似ていると指摘している。人気のあるフネスには、将来的に政権復帰の可能性があると見られている。

2016年9月2日金曜日

エル・サルバドールが内戦被害者に賠償金支払い開始へ

 エル・サルバドール(ES)のサルバドール・サンチェス=セレーン大統領は8月31日、内戦中(1980~92)に起きた政府軍などによる重大人道犯罪事件の被害者への賠償金を支払うための「内戦時重大人権蹂躙被害者への賠償金支払い計画」を発表した。

 全国262市のうち134市にまたがる6235人が対象。「地方開発社会投資基金」(FISDL)から、一人毎月15~50ドルを支払うことになるもよう。

 同国最高裁は7月、内戦中の人道犯罪加害者ら責任者を免罪する恩赦法を違憲として無効にした。恩赦法は1993年、クリスティアニ極右政権が制定した。

 同法廃止により、内戦時の軍人・警官、極右勢力など加害者が逮捕、裁判の対象になる。最高裁は、内戦時加害者を自国で裁けるようになったため、外国への身柄引渡を禁止した。

 1989年11月首都サンサルバドール市内にある中米大学(UCA)キャンパスのイエズス会礼拝所でスペイン人会士らを虐殺し逮捕されている退役軍人らの身柄引渡も不可能になった。スペイン政府は長年、引渡を求めていた。

 サンチェス大統領は賠償金計画を発表する際、国家元首として内戦中の政府軍などによる人道犯罪を謝罪した。フネス前大統領も謝罪している。

★ベネスエラ短信  野党連合MUDが率いるベネスエラ反政府勢力は9月1日カラカスで「カラカス攻略」と銘打って、一大動員による抗議行進を決行した。主催者側は、少なくとも45万人が参加したと主張している。

 これに対し、ニコラース・マドゥーロ大統領を支持する政権党連合は「対抗行進」を実施、目抜きのボリーバル大通りなど中心街を支持者で埋め尽くした。政府、反政府双方合わせて100万人近い党員や市民が動員されたとする見方もある。

 反政府派は、マドゥーロ大統領罷免の是非を問う国民投票の年内実施要求を掲げて行進した。ブラジルのヂウマ・ルセフ大統領が弾劾罷免された翌日に合わせ、大規模動員を実現した。

 だが、これをクーデター誘発の陰謀と見なす政権側は対抗動員を仕掛け、野党側の意図をくじいた。MUDは7日に再度、大規模行進を計画している。

 大統領は「勝利演説」で、ミラフローレス宮(大統領政庁)から500mしか離れていない場所で、武装一味92人を逮捕したと発表した。2002年4月起きたウーゴ・チャベス大統領打倒のクーデターは、反政府派の抗議行進中、狙撃者たちが無差別発砲した事件が誘因になった。MUDの今回の行進は概ね平和裏に実施されたが、暴力肯定路線の若者らが反発、不法行為を働いた。

 国家選挙理事会(CNE=選管)は、国民投票実施申請に必要な第2次署名(有権者の20%=400万人)の収集活動開始は早くても10月下旬としている。その400万人の署名が正しいか否かの検証には年内いっぱいかかる見通しだ。

 このため国民投票実施は来年1月10日を過ぎてからになる公算が大きい。その日は、マドゥーロ大統領の6年の任期が半分を過ぎる日。その後実施される国民投票でマドゥーロが罷免された場合、2年足らずの残り任期は、アリストーブロ・イズトゥーロス副大統領が担うことになる。

 一方、年内に実施され1月10日までに大統領が罷免されれば、新大統領を選ぶ選挙実施となる。MUDは大統領選挙実施を狙い、年内の国民投票実現を訴えてきた。 

2016年7月15日金曜日

エル・サルバドール最高裁が「恩赦法」に違憲判断

  エル・サルバドール(ES)最高裁判所憲法法廷は7月13日、1993年3月20日成立の恩赦法を違憲と判断した。判事5人のうち4人が違憲と判断、1人が反対した。

 同法廷は、「正義に反し、人道犯罪および戦争犯罪の犠牲者を償う立場に反する」として恩赦法を違憲と判断した。

 同国では1980~92年、寡頭支配体制を維持したい保守・右翼勢力の命令下にあった政府軍と、社会主義革命を目指すゲリラ連合「ファラブンド・マルティ民族解放戦線」(FMLN)が内戦を展開。死者7万5000人、不明者8000人、身体障害者1万2000人と厖大な損失を出した。

 極右政党ARENA(国家共和同盟)が多数を占めていた国会は恩赦法を成立させ、内戦中の人道犯罪、戦争犯罪を無処罰とした。加害者の大多数は米国に支援された政府軍、警察、民兵隊だった。被害者は、同法施行以来、違憲を訴えてきた。

 2014年6月就任したサルバドール・サンチェス=セレーン現大統領は、内戦を戦ったFMLN司令の一人だった。サンチェスは昨年、内戦和平時の「真実委員会」の報告書「狂気から希望へ: ESの12年戦争」を初めて公表、世論に恩赦法について再考を促した。

 最高裁判断について、ドゥグラス・メレンデス検事総長は、「判断を尊重する。検察は法に則り対処する」と述べた。国会は14日の本会議を休会とし、各政党は恩赦法違憲判断について対応策を練った。

 違憲判断を受け、賛否両論が渦巻いている。保守派は「過去の傷跡を暴けば再び国内対立を招く」と警告。進歩派は「和平合意には内戦被害者の意見が反映されなかった。今後、恩赦法見直しを契機として、新らしい和平合意が生まれる」と評価する。

 内戦開始のきっかけとなったオスカル・ロメーロ大司教暗殺(1980)、エル・モソーテ大虐殺(1981)、スペイン人イエズス会士殺害(1989)など大事件のほとんどは未解決のままだ。これらの事件に光が当てられる可能性が出ている。

 イエズス会士事件では、関与した元軍人4人が収監されており、スペイン政府は身柄引き渡しを要求している。この問題の決着に関心が集まっている。

 山中の農村で村人約1000人が政府軍に虐殺されたエル・モソーテ事件では、フネス前大統領が正式に謝罪している。アムネスティー・インターナショナルは、違憲判断を讃え、人道犯罪責任者を早期に裁くよう呼び掛けた。

 ESオンブズマンのダビー・モラレスは、「ラ米諸国でこれまでに人道犯罪が裁かれてきた。恩赦法違憲判断で民主体制はかえって強化される」と指摘した。

 従来、法廷と検察は内戦中の事件が問題になった場合、加害者に有利な姿勢をとっていた。無処罰・免罪の見直しや、被害者の立場を十分尊重する裁判が行われるかどうかが焦点だ。

 

2016年2月8日月曜日

エル・サルバドールでのイエズス会士ら8人虐殺の容疑者を逮捕

 サンサルバドール(SS)市内にある中米大学(UCA=ウカ)で1989年11月16日起きた8人虐殺事件の容疑者5人が、2月5日逮SS市内で逮捕された。エル・サルバドール(EL)警察は6日、退役軍人の容疑者全17人のうち、元大佐ギジェルモ・ベナビデスら4人の逮捕を確認した。もう一人の退役大佐イノセンテ・モンターノは5日、米北カロライナ州内で逮捕された。

 事件はES内戦中(1980~92)に起きた。殺されたのは、UCAのイグナシオ・エジャクリーア学長、副学長、人権院長、神学図書館長、哲学教授のスペイン人5人、およびサルバドール人1人の計6人のイエズス会士と、サルバドール人女性用務員2人。当時の陸軍特殊部隊「アトゥラカトゥル」の兵士らによって中庭に連れ出され、射殺された。

 サルバドール・サンチェスES大統領は6日、逃亡中の12人に、早急に自首するよう呼び掛けた。

 事件発生後、ESで容疑者の軍人9人が逮捕されたが、7人は法廷で91年無罪となり、他の2人はアルフレド・クリスティアーニ大統領(1989~94)によって93年に恩赦された。

 だがスペイン政府は事件解明を断固主張、ES当局が動かないため2009年、本格的に調査を開始。2001年、国際刑事警察機構(インターポール)を通じて手配したが、容疑者は陸軍施設に逃げ込み匿われた。

 次いで15年8月、新たに手配されたが、ES最高裁は容疑者の所在場所確認だけでよいと受け止め、逮捕に動かなかった。業を煮やしたスペイン法廷は1月5日、インターポールを通じて、当該政府に逮捕を義務付ける「赤通告」を突き付けた。ES警察は大統領命令を受けて動き出し、首都で4人を逮捕した。今後は、容疑者のスペインへの身柄引渡が問題になる。

 この虐殺事件は内外に大きな衝撃を与え、内戦終結のための和平交渉開始を促す要因の一つとなった。筆者は内戦末期にUCAの現場を取材し、犠牲者の冥福を祈った。

 

2015年8月13日木曜日

「女性の役割」に関する中米会合終わる

 サンサルバドールにある中米統合機構(SICA)本部で8月10日から開かれていた「ヘネロ(性=ジェンダー)と安全に関する地域会合」が12日終わり、閉会式にエル・サルバドールのサルバドール・サンチェス=セレーン大統領と、訪問中のミチェル・バチェレー智大統領が出席した。

 バチェレーは現在2期目の任期にあるが、1期目が終わった後の2010~13年、国連の女性問題オンブズマンを務めた。

 今会合は国連決議に基づく中米地域の会合で、「平和と安全保障に果たす女性の役割」を中心に話し合われた。

2015年6月2日火曜日

エル・サルバドールのサンチェス大統領が施政1周年

 エル・サルバドールのサルバドール・サンチェス=セレーン大統領は6月1日、施政1周年に際し国会で施政報告演説をし、暴力問題が引き続き重要問題であり、この問題の解決は容易でない、と述べた。

 政府は昨年、「市民安全・共生理事会」(CSCC)を設立した。政府機関、市役所、市民社会組織、財界で構成され、国連、米州諸国機構(OEA)、欧州連合(EU)が支援してきた。

 サンチェスは、左翼政党ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)の本格政権。だが国会対策や対米関係上、穏健な社民主義政策をとっている。大統領は、野党との対話を通じて合意を形成する作風を維持していくと強調した。

 大統領は経済分野では、昨年2%成長したが、今年は2・5%になる見通しと明らかにした。インフレを減らしたことや、電力料金を32%引き下げたことも指摘した。

 貧困率は、FMLNが参加したフネス前政権発足時の09年に24・9%だったのが14年に20%に下がり、極貧率は10・5%から6・2%に落ちた、と明らかにした。

 貧困対策としては、国立開発銀行が貧困家庭に計4億5200万ドルを融資、女性起業家向けの「女性銀行融資計画」(バンカ・ムヘル)で1234人が融資を受けた、とも明らかにした。また中小・零細企業に政府が1億1500万ドルを融資したとも述べた。

 観光産業については、今年外国から200万人の来訪と13億ドルの収入が見込まれる、と語った。

 小学校教育では、児童8万4000人に計6500台の電脳で、電脳教育を施したと述べた。

2015年5月24日日曜日

エル・サルバドールの故オスカル・ロメーロ大司教が福者に

 サンサルバドールで5月23日、故オスカル・ロメーロ大司教を福者に認定する式典が催された。会場の市内「世界救世主広場」にはカトリックの信者30万人が集まった。米加州など国外から駆けつけたサルバドール人たちもいた。

 ロメーロは1980年3月24日、市内の病院礼拝所でミサをしていたさなか、凶弾に倒れた。

 大司教は、軍民の極右勢力が政権を牛耳り市民を弾圧していた状況を批判し、貧者の味方であることを明確にしていたため、暗殺された。後の調査で、極右勢力を率いていた故ロベルト・ダウビソンが事件の黒幕と判明した。

 法王フランシスコの代理アンジェロ・アマト枢機卿は、「アメリカ(米州)の健全性を象徴する輝く星」と故大司教を讃えた。「不可能を可能にした殉教者」などの称賛する言葉も聞かれた。

 エル・サルバドール内戦は、ロメーロ暗殺によって始まり、92年末まで続いた。

 式典には、サルバドール・サンチェス=セレーン大統領のほか、エクアドール大統領ラファエル・コレア、パナマ大統領JCバレラ、玖第一副議長ミゲル・ディアスカネルら来賓多数が出席した。黒幕ダウビソンの長男や、姉妹も出席した。亜国大統領、米大統領ら各国首脳からのメンサヘ(メッセージ)も届いた。

 殉教者ロメーロの福者認定は、国内和解の新しい象徴と位置付けられている。

2015年2月4日水曜日

法王がオスカル・ロメーロ大司教を「殉教者」と認定

 ヴァティカンは2月3日、法王フランシスコがエル・サルバドール(ES)の故オスカル・ロメーロ大司教を「殉教者」と認めた、と発表した。首都サンサルバドールの大司教だったロメーロは1980年3月24日、病院内の礼拝堂で癌患者らへのミサを遂行中に狙撃手によって暗殺された。

 この事件を契機に事実上、ES内戦が始まった。内戦終結後の「真実委員会」の調査で、暗殺を指揮したのは故ロベルト・ダウブイソン陸軍諜報担当少佐だったことが明らかになった。

 ダウブイソンは、1980年代末から20年間、政権を支配した極右政党「国家主義共和同盟」(ARENA)の創設者だった。ロメーロ大司教は、軍部による人道犯罪を厳しく批判していた。このため暗殺された。

 「殉教者」になると、次に「福者」、さらに「聖人」の認定に進む道が開ける。

 法王はまた、ペルーで1991年8月25日、極左武闘組織「センデロ・ルミノソ」(輝く道)に殺害された修道士2人をも「殉教者」とした。

2014年4月14日月曜日

エル・サルバドール次期大統領がキューバ訪問

 エル・サルバドール(ES)のサルバドール・サンチェス次期大統領(現副大統領)は4月12日、ハバナでラウール・カストロ国家評議会議長と会談した。

 サンチェスは6月1日就任するが、就任前の近隣諸国訪問の一環として訪玖した。ラウール議長は、ゲリラとして革命戦争を2年半戦った将軍。一方のサンチェスは、革命戦争と位置付けたES内戦を12年間戦ったゲリラ部隊の司令だった。

 次期大統領は、既にグアテマラ、ベリーズ、パナマ、ニカラグア、ラ・ドミニカーナを訪問している。近くヴァティカン、米国、コスタ・リーカなどを訪問する予定。

2014年3月18日火曜日

エル・サルバドール次期大統領S・サンチェスが引き継ぎ作業開始

 エル・サルバドール選挙最高裁(中央選管)は3月16日、大統領選挙決選(9日実施)の勝者サルバドール・サンチェス現副大統領(69)を次期大統領に認定した。6月1日就任する。任期は5年。

 これを受けてサンチェスは17日、マウリシオ・フネス大統領と政権引き継ぎ作業を開始した。サンチェスの政権移行チームには、国会議長、元法相、政権党FMLN書記長らが含まれている。

 引き継がれる重点政策は、エネルギー、運輸、税制改革、対外債務、社会政策、犯罪取り締まりなど。

 サンチェスは支持者を前に、「腐敗した者は政権に入れない。開かれた政府、正直な政府になる。貧困を一掃したい」と語った。

 決選から当選認定まで1週間もかかったのは、僅差で敗れた野党候補が「選挙無効」を求めて提訴していたため。提訴は却下された。国際監視団も米国務省も決選の透明性を逸早く認めており、野党側の言い分に根拠のないことは当初から明らかだった。

2014年3月13日木曜日

エル・サルバドール次期大統領にS・サンチェス決まる

 エル・サルバドール選挙裁判所(中央選管)は3月13日未明、記者会見し、9日実施の大統領選挙決選の最終公式結果を発表し、政権党FMLN候補サルバドール・サンチェス(69、フネス現政権副大統領)が得票数149万5815票(50・11%)で、対立候補を上回ったと発表した。これにより、サンチェス当選を事実上認めた。

 敗れたのは、極右野党ARENAのノルマン・キハーノで、148万9451票(49・89%)だった。得票差はわずか6363票(0・22ポイント)だった。帰属不明票が3198票あったが、これがキハーノに全部回されるとしても、票差は逆転しない。

 サンチェスは、内戦中のゲリラ連合FMLNを構成した5ゲリラ組織の一つ、解放人民軍(FPL)の司令だった。元教師で、内戦を描いた『望まなかった戦争』など著書4点がある。大統領に6月1日就任する。任期は5年。
  

2014年3月11日火曜日

エル・サルバドール決選投票最終結果は3~4日後判明へ

 エル・サルバドール選管のエウヘニオ・チカス代表は3月10日、サンサルバドールで記者会見し、決選投票の最終公式結果発表まで3~4日かかる見通し、と明らかにした。

 14投票所の投開票に不正・異常があり、このため、その開票結果は全体の開票結果に加えられていない。検察庁が、不正・異常部分も含む開票結果全体を点検してから最終結果が確定する、という。

 だがチカスは、同部分を除く開票結果に基づく政権党FSML候補の優位は動かない、と述べた。同党のサルバドール・サンチェスは149万4144票(50・11%)を獲得している。

 これに対し、野党ARENAのノルマン・キハーノは148万7510票(49・89%)。得票差は6634票(0・22ポイント)の超僅差だ。キハーノ陣営は、不正・異常部分の綿密な開票やり直しを要求している。
 

エル・サルバドール決選、票差わずか6634票

 エル・サルバドール選管は3月10日昼過ぎ、前日の大統領選挙決選投票の暫定結果(開票率99・95%)として、FMLN候補サルバドール・サンチェス得票率50・11%、ARENA候補ノルマン・キハーノ49・89%と発表した。

 得票差は、わずか0・22ポイント=6634票にすぎない。

 選管は10日中に最終結果を公式発表する、としている。

2014年3月10日月曜日

エル・サルバドール決選投票は大接戦

 エル・サルバドール選挙最高裁判所(TSE、中央選管)は3月9日、同日実施された大統領選挙決選投票の暫定結果を発表した。開票率95・81%段階で、政権党FMLN候補サルバドール・サンチェス50・13%、野党ARENA候補ノルマン・キハーノ49・87%だった。

 大接戦のため残る5%弱の開票結果が当落を決めることになる。両陣営とも「勝利宣言」をしているが、TSEは最終結果が判明するまで勝利宣言をしないよう勧告した。 

2014年3月9日日曜日

エル・サルバドールできょう、大統領選挙の決選投票

 エル・サルバドール(ES)で3月9日、大統領選挙の決選投票が実施される。2月2日の第1回投票で得票上位2人が政権を懸けて争う。

 候補は、政権党ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)の元司令官の一人サルバドール・サンチェス副大統領(69、左翼)と、野党・国民協和同盟(ARENA、右翼)のノルマン・キハーノ首都サンサルバドール市長(67)。

 第1回の得票率はそれぞれ49%、39%だった。世論調査では、サンチェスが10~18ポイント上回って有利。

 有権者は490万人。内外監視団2000人が全国の投票所に配置される。

 争点は、貧困、対外債務、治安など。貧困率は、マウリシオ・フネス現大統領就任時の2009年40%だったが、13年には29~34%に落ちた。フネス政権の社会投資が奏功したためだが、公共債務は増えて145億ドル(GDPの55%)となった。また財政赤字は13年4・2%、14年は3・6%になるもよう。

 問題は、前身に刺青をした青年暴力団マラスだ。殺人、強盗、強姦などを恣(ほしいまま)にする恐るべき存在だ。「マラ・サルバトゥルーチャ」(MS13)と、「バリオ18」に分かれて血みどろの抗争を続けてきた。

 フネス政権の仲立ちで12年、<休戦>した。これにより殺人発生率が40%落ちたと、政府は言う。首都など都市部の危険地帯には兵士6500人が展開しているが、決選に際し、さらに5000人が治安出動する。

 FMLNとARENAは内戦を戦った敵同士だった。和平後は選挙で闘ってきた。FMLN政権継続か、右翼政権復活か、結果はJST10日正午には判明する見込み。

2014年2月4日火曜日

メキシコ在住サルバドール人が漂流しマーシャル諸島に到着

 メヒコ・チアパス州コスタアスール在住のエル・サルバドール出身者が太平洋を13ヶ月間漂流し、マーシャル諸島に辿り着いた。現地情報を受けて、メヒコ外務省が発表した。

 ホセ=サルバドール・アルバレンゴ(37)で、2012年12月24日、コスタアスールから全長7・3メートルの漁船で鮫漁に出たところ、海流に流されて沖に運ばれ、戻れなくなった。 

 漂流する間、雨水がなくなると海亀の血を水代わりに飲み、海亀と魚を食べて生き延びたという。

 今年1月31日、マーシャル諸島のエボン島沖に差し掛かり、泳いで上陸し、島人に発見された。2月3日、首都マジューロで健康診断を受けた。

 メヒコとエル・サルバドールの両政府は、連携してアルバレンゴの帰還を支援する。

 髭が顔全体を覆うほどに伸びているが、やせ細っていないため、当初、漂流事実の信憑性を疑う向きもあったという。

2014年2月2日日曜日

きょう、エル・サルバドールとコスタ・リーカで大統領選挙


 きょう2月2日、エル・サルバドール(ES)とコスタ・リーカ(CR)で大統領選挙が実施される。

 ESでは5人が出馬している。政権党FMLN(ファラブンド・マルティ民族解放戦線)のサルバドール・サンチェスと、保守・右翼の国家主義共和同盟(ARENA)のノルマン・キハーノの接戦。

 得票50%に届く者は出ない見込みで、両人が決選投票に進出する公算が大きい。

 CRでは13人が出馬。政権党PLN(民族解放党、民社主義)のジョニー・アラヤ、拡大戦線(FA、左翼)のホセマリーア・ビジャタ、市民行動党(PAC、中道左翼)のルイス・ソリースの争い。

 当選条件の得票40%に達する候補はないもようで、上位二人の決戦になる見込み。

2013年10月3日木曜日

米州人権委がエル・サルバドールに人道犯罪捜査呼び掛け


 米州人権委員会(CIDH)は10月2日、エル・サルバドール政府に対し、内戦中(1980~92年)の人道犯罪を捜査するよう要請した。

 同国では1993年、和平に際し「和平堅固化のための一般恩赦法」が制定され、これが人道犯罪捜査の障害になってきた。CIDHは、同法は捜査の障害にならないとの認識を持つべきだ、と政府に呼び掛けている。

 国内では9月20日、人権団体などが最高裁に同法を見直すよう告訴している。最高裁は審理を開始するかどうかを検討していた。

 内戦では7万5000人が殺され、7000人が不明(遺体なき殺人)となった。その大多数は、政府軍、警察、極右組織によって殺された。