2013年5月31日金曜日

事故か謀殺か-エクアドールが故大統領ロルドスの死因調査再開へ


 エクアドールのラファエル・コレア大統領は5月30日、39歳6カ月で死んだ故ハイメ・ロルドス大統領の死因を再調査すると明かにした。遺族の願いでもあるという。

 ロルドスは大統領就任後2年経っていなかった1981年5月24日、アンデス山脈のウアイラプンゴ山に大統領専用機が墜落し、死亡したとされる。だが「墜落直前に空中爆発した」とする目撃者談話などがあり、謀殺説が途絶えていない。

 専用機は小型で、大統領夫妻、国防相夫妻、操縦士を含む軍人4人、女性乗務員1人の計9人(全員)が死亡した。

 ロルドスは、内政不干渉原則を超える国際人権規範制定を働き掛けるなど進歩主義外交を展開し、米政府と対立していた。ニカラグアのサンディニスタ政権とも友好関係を維持していたが、81年1月就任した極右のロナルド・レーガン米大統領は、ニカラグアに反革命のゲリラ戦を仕掛け、ニカラグアは80年代いっぱい内戦の巷と化した。

 レーガンの前のジミー・カーター大統領は、パナマの最高指導者オマール・トリホス将軍との間で新パナマ運河条約を結び、運河を1999年12月31日正午にパナマに返還することを決めた。ロルドスの死から間もない81年7月31日、トリホスはヘリコプターの空中爆発により死亡した。CIAの陰謀との判断が定着している。
 
 ロルドスの死は、レーガン就任後5カ月目のことだった。

2013年5月30日木曜日

ベネズエラの「正義・真実委員会」が活動開始


 ベネズエラで5月29日、人道犯罪を解明するための「正義・真実委員会」の8つの小委員会が発足し、調査活動を開始した。責任者を突き止め、断罪する方針。

 調査対象は、チャベス前政権発足前の2大政党支配体制(プント・フィホ体制)下にあった1958~98年の40年間に起きた政治的殺害、拷問、失踪、強姦、不当逮捕などの人道犯罪。司法外処刑を意味する失踪1000人以上、人道事件5000件、不当逮捕5万件などが挙げられている。

 委員会は、カラカソ(89年発生のカラカス大暴動・虐殺事件)の24周年記念日の今年2月27日、国会内に設立された。ウーゴ・チャベス大統領の死の6日前のことだった。

 小委員会は、人民権力参加、資料化・証言、広報、告発受理、司法問題、社会問題、国際問題、地方問題。

 委員会は検察庁と協力して調査を進める。委員長は、ルイサ・オルテガ検事総長が兼ねている。委員会には、チャベスの側近だったジャーナリスト、ホセビセンテ・ランヘール(元外相・国防相・副大統領)も加わっている。

2013年5月29日水曜日

ホルヘ・ビデラの遺体は私営墓地に埋葬


 亜国の血塗られた旧軍政独裁者ホルヘ・ビデラ(17日刑務所内で死去)の遺体は5月23日、ブエノスアイレス(BBAA)市北方郊外45kmのBBAA州ピラール市の私営墓地メモリアル・デ・ピラールに埋葬された。国営法務通信社(INFOJUS)が28日伝えた。

 遺体は司法当局によって解剖された後、遺族に23日引渡された。その日のうちに埋葬された。遺族は、ビデラの生地である同州メルセデス市の市営墓地にある一族の廟に埋葬するつもりだったが、地元住民から激しい反対運動が起き、断念していた。同市でも市民20人以上がビデラ軍政当局によって殺害されている。

 ピラールのこの私営墓地には、ビデラの右腕で、抹殺作戦と新自由主義経済政策のイデオローグだったホセ・マルティネス=デ・オスも眠っている。

 因みに日本政府は1979年、悪名の絶頂期にあったビデラを元首公式訪問に招いた。日本外交は当時、自民党と財界の主導で経済利益を優先させていた。外交上の人道・人権意識は希薄だった。その意識は今日でも「強い」とは言い難い。

2013年5月28日火曜日

カルロス・フエンテス著『誕生日』を読む


 著者が1969年に発表した作品だ。読む者を途方に暮れさせる小説だ。と言うよりか、独りごと、とか、飾り立てた手記、などと呼ぶべきか。作品社も、よく翻訳出版する気になったものだ。

 巻末の訳者解説に、執筆にまつわる逸話が書かれている。著者がこの本を執筆していたと思われる1968年は、メキシコで7月から10月まで100日間も反体制学生運動が続いた年だった。それは、パリの「五月革命」と呼応していた。駆け出し記者時代の私は、連日必死でカバーしていた。

 この激しくも長い闘争のさなか、フエンテスとオクタビオ・パスに私は会った。二人が状況にアンガージュマンして、学生指導者とジャーナリストを招いて、自分の意見を述べ、我々と討論したのだ。

 そのころフエンテスは、こんな本を書いていたのかと、あらためて思う。学生闘争はメキシコ五輪開会式の10日前、「トラテロルコの虐殺」で押しつぶされた。私は虐殺現場で取材した。巻末には、その虐殺を扱ったパスの短い詩が紹介されている。パスは、事件の後、抗議して、インド駐在大使を辞めている。

 あのころ、あの時代を振り返ると、なんとなく「誕生日」の意味が分かるような気がしないでもない。いずれにせよ不思議な物語だ。パスもフエンテスも既にいない。

2013年5月27日月曜日

コロンビア政府とFARCが農地問題で合意


 ハバナで和平交渉をしているコロンビア政府とゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)は5月26日、5項目の中心議題のうち、最も重要な「農地開発」問題に関する合意に達し、合意書に調印した。

 和平交渉は昨年10月に始まり、断続的に続けられてきたが、今月15日からの第9回会合でようやく第1議題の合意に至った。交渉には両当事者の他、キューバ、ノルウェーの両保障国、ベネズエラ、チリの両立会国の代表も参加している。

 今合意は、農地への接近と使用、遊休農地の扱い、土地所有権確定、農地改革用地保護、農村社会開発、農牧生産促進などに関するもの。

 6月11日からの第10回会合では、第2議題「ゲリラの政治参加」が話し合われる。他の3議題は、「麻薬生産・取引」、「被害者救済」、「武力紛争終結」。さらに「合意事項実施状況検証メカニズム」づくりも話し合われる。

 国連をはじめ、国際社会は最初の合意到達を歓迎している。ウリーベ前大統領、大地主らコロンビアの右翼勢力は歓迎していない。

2013年5月26日日曜日

訳書『「ローマの休日」を仕掛けた男』を読む

 ハリウッド映画界の著名な脚本家ダルトン・トゥランボ(1905~76)の、書いて生きるための闘いを綴った記録である。だが巻末で著者ピーター・ハンソンが指摘するように、普通の伝記ではなく、フィルモグラフィーを軸に人生が描かれている。

 中心を占めるのは、極右上院議員ジョセフ・マッカーシーらによる<赤狩り>でハリウッドを追われた不遇時代の苦闘ぶりだが、ダルトンは苦境をばねに書き続けた。

 「ローマの休日」、「黒い牡牛」、「スパルタカス」、「栄光への脱出」、「ジョニーは戦場に行った」、「パピヨン」など、話題作、ヒット作は数知れない。

 訳者・松枝愛は、翻訳中にロサンジェルスに行き、著者ハンソンに会見した。この訳者にとって本書は3作目だが、前2作とも著者や著者の遺族に会い、内容に出てくる土地を訪ねている。これが、この訳者の作風だと言える。

 特に映画好きや、マッカーシズムに関心のある者には格好の一冊だ。

アフリカ連合(AU)が創設50周年を迎える


 アフリカ連合(AU)の創設50周年記念式典が5月25日、その本部のあるエティオピア首都アディスアベバで挙行された。1963年のこの日、アフリカ統一機構(OAU)として発足した。

 2002年にOAUからAUに移行したが、当時の主要な指導者はターボ・ムベキ南ア大統領、リビアのカダフィ大佐らだった。

 50年前に32カ国だった加盟国は現在、54ヵ国および、植民地状態を強いられている西サハラ。同地域を占領するモロッコは85年に脱退した。

 AUは欧州連合(EU)を模範とし、アフリカ統合を目指す。そのために武力紛争や独裁体制の根絶を志す。だが武力紛争が途絶えたことはなく、独裁政権も少なくない。

 式典では、AU議長ハイレマリアム・デサレン(エティオピア首相)が、「汎アフリカ主義とアフリカの再生」と題して講演した。これをテーマに25~26日、第21回AU首脳会議が開かれた。

 記念式典には、加盟国首脳、バン・キムン国連事務総長、コフィ・アナン同前総長、ジルマ・ルセフ伯大統領(ウナスール代表格)、フランソワ・オランド仏大統領(旧宗主国代表格)、ワン・ヤン中国副首相、ジョン・ケリー米国務長官らが出席した。

 式典では中国の「アフリカへの貢献」が称えられた。アフリカ開発会議(TICAD)で貢献してきた日本を名指ししての礼讃はなかった。
 
 ルセフ伯大統領は、アフリカ12カ国に対する計9億ドルの債権を放棄する方針を明らかにした。

2013年5月25日土曜日

エクアドールのラファエル・コレア大統領が3期目に就任


 エクアドールのラファエル・コレア大統領が5月24日、3期目の任期に就任した。任期は2017年までの4年間。その後コレアは引退し、夫人の祖国ベルギーに移り、学究活動に入る、と表明している。

 国会議事堂での就任演説は2時間に及んだ。コレアは、「新しいエクアドールは目覚めた。絶望は敗れた」として、過去6年間続けてきた穏健な改革政策「市民革命」を継続することを強調した。特に「貧困の文化」を無くし、全エクアドール人が「ビビール・ビエン(良く生きる)」ようになれるよう尽力する、と誓った。

 コレアは内外政策で持論を展開、名指しを避けながらも米国の干渉政策を厳しく批判した。新自由主義や外国大企業の横暴も糾弾した。さらに「偏向し腐敗したメディアは民主主義にとって致命的だ」と、右翼・保守メディアを非難した。一方でラ米連帯主義を称え、「大きな祖国ラ米」の統合を引き続き目指すと述べた。

 「新しいエクアドール(異なるエクアドール)」については、新しい副大統領ホルヘ・グラスが大統領演説の途中で説明し、工業化促進と環境重視を重点に挙げた。

 就任式にはVENBOLCOL、智、CRHONHAIRDのラ米8カ国大統領、ベラルーシ大統領、伯亜秘イランの副大統領、キューバ第1副議長、スペイン皇太子らが出席した。

 政権党は、1院制国会(手数137)で100議席を握る。このため、コレアは最後の任期に大胆な政策を導入する、との見方をする向きが多い。

2013年5月24日金曜日

ドキュメンタリー映画「キューバのアフリカ遠征」を観る


 東京・渋谷で5月17~23日開かれた「アフリカ映画祭」で、ドキュメンタリー「キューバのアフリカ遠征」の「コンゴ編」(131分)と「アンゴラ編」(138分)を観た。いずれもフランスとエジプトの合作で、2007年に制作された。

 キューバ革命(1959年元日)の英雄エルネスト・チェ・ゲバラは、1960年の「アフリカの年」を境に植民地から相次いで独立していったアフリカに革命家としての活路を見出し、65年4月コンゴに赴いた。だが現地の「革命勢力」はチェの眼には、本気で戦おうとしているとは映らなかった。チェは失敗を悟り、コンゴを後にした。

 アンゴラは75年に独立したが、3派に分かれての内戦に突入した。反共2派の後ろ盾はコンゴ(ザイール)、南アフリカ白人政権、米国だった。残るMPLA(エムペラ=アンゴラ解放人民運動)を支援したのはキューバとソ連だった。

 キューバを「ラテンアフリカ」と捉えるフィデル・カストロは、東西冷戦最後の戦場となったアンゴラに延べ35万人の兵力を送りこみ、他の2派を撃破する。フィデルの派兵決定は、ソ連にとっても寝耳に水だった。

「ポルトガルの春」(74年4月)の香りが漂うリスボアで75年元日を迎えた私は、その7年後、南アを拠点に3年余り南部アフリカ情勢に取り組むことになる。

 ベルリンの壁が崩壊した89年までにキューバ・アンゴラ連合軍が勝って戦は収拾に向かった。だがナミビア独立と南ア・アパルトヘイト体制崩壊を促したキューバ軍の歴史的役割は、米国と、その主張に同調するメディアによって意図的に矮小化された。

 2本の映画にはチェと、フィデル、ポンボ、リスケーらキューバ人、ナセル、カブラル、ルムンバ、ニエレレ、マシェル、ネト、ハイレセラシエらアフリカの指導者が登場する。南アのピック・ボタ、マグナス・マラン、米国のチェススター・クロッカーも出てくる。私には「懐かしい」のではなく、「忘れられない顔」が少なくなかった。

 2本とも、とても面白く、参考になった。だが、冷戦時代を知らない若い世代には理解しがたいかもしれない。想像力を磨いていれば別だが。

太平洋同盟(AP)が域内関税90%撤廃へ


 太平洋同盟(AP、智秘COL墨4ヵ国加盟)は5月23日、コロンビア(COL)カリ市で第7回首脳会議を開き、6月30日から域内関税障壁を90%撤廃することを決めた。

 会議はまた、加盟国間の査証廃止を決めた。オブザーバー国コスタ・リーカ(CR)の正式加盟も認めた。CRは22日COLと自由貿易条約(TLC)を結んだが、これをCR国会が批准した時点でCRAP加盟が実現する。

 会議は新規オブザーバー国として、エクアドール、パラグアイ、エル・サルバドール、オンドゥーラス、ラ・ドミニカーナ、ポルトガル、フランスを認めた。従来のオブザーバー国はCRのほか、ウルグアイ、パナマ、グアテマラ、カナダ、スペイン、豪州、乳国(ニュージーランド)、日本。

 首脳会議にはCRGUAの大統領、カナダとスペインの首相も出席した。GUAのオットー・ペレス=モリーナ大統領は、GUACRのように正式加盟国になりたい、と述べた。

 ペルーのオヤンタ・ウマーラ大統領は、「APは今や世界の最貧地域でなく、最も不平等な地域だ。APと加盟国政府の役割は富の拡大と福利の普遍化だ」と述べた。

 APは加盟国およびラ米オブザーバー国を合わせて13カ国となった。太平洋沿岸国でオブザーバーになっていないのはニカラグアだけ。ラ米でオブザーバー国になっていないのは、ニカラグアおよび、ブラジル、アルヘンティーナ、ボリビア、ベネズエラ、クーバ、ハイチの計7カ国だけだ。

 ブッシュ前米政権が05年実現に失敗した「米州自由貿易地域(ALCA=アルカ)」は、ラ米新自由主義の中心機構APによって実現しつつある、との見方がある。

2013年5月22日水曜日

計良光範著『アイヌ社会と外来宗教』を読む


 計良光範(けいら・みつのり)著『アイヌ社会と外来宗教-降りてきた神々の様相』を読んだ。日本史の死角や暗部が明示されていて、とても勉強になった。

 北海道の日本化過程で仏教、とりわけ東西本願寺が果たした役割、鎖国期のローマカトリック神父の決死の活動、開国期のロシア人の動向とニコライらロシア正教宣教師の活動、開拓期以降の被差別部落民差別などが、豊富な資料を基に細かく綴られている。

 「教化によってアイヌが心底仏教に帰依したかというと疑問だ。アイヌの死生観が仏教のそれと基本的に違うからだ」と著者は指摘する。

 紹介は、ここまでにしておこう。ご一読をお勧めしたい。

グアテマラ憲法裁が、リオス=モント有罪判決を無効とする


 グアテマラ憲法裁判所は5月20日、1980年代初頭の軍政独裁者だったエフライーン・リオス=モント被告(86)に第1審で10日言い渡された虐殺罪および戦争犯罪による禁錮80年の実刑判決を無効とする判断を下した。

 弁護側は4月半ば、当時の第1審裁判長が以前忌避されたことがあるという理由で同月18日第1審の一時打ち切りをかちとったが、憲法裁は翌4月19日の時点に遡って審理を再開するよう第1審に命じた。

 内戦中のおぞましい国家テロ(人道犯罪)を断罪する正義を求めていた内外の良識は、懸念されていた通り、ものの見事に蹂躙された。

2013年5月19日日曜日

国連が、仏領ポリネシアを植民地に再指定


 国連総会は5月17日、仏領ポリネシアを植民地に再指定し、同地域の自決権と独立権を認める決議案を可決した。ソロモン諸島、ナウル、ツヴァルが共同提案していた。これに反対するフランスは、投票不参加だった。

 フランス政府は、植民地と認定された仏領ポリネシアを1957年一方的に「海外領土」に組み込み、2004年「海外地域」に指定した。66~96年、域内のムルロア環礁を中心に核実験を繰り返した。被曝者がいまだに苦しんでいる。

 一方、仏領ポリネシアでは5月5日、自治議会の選挙が実施され、現状維持派が勝利し、同派のガストン・フロース(81)が任期5年の行政長官に就任した。オスカル・テマル前長官の率いる独立派の民主連合は野に下った。

 この日の国連総会採決では、英植民地フォークランド諸島をマルビーナス諸島と呼んで奪回を志すアルゼンチンが賛成し、英国は反対した。

 【私は3月、仏領ポリネシアの中心地タヒチ島パペーテで、当時のテマル長官の選挙運動を取材したが、仏諜報機関員に終始見張られていた。】

LATINA誌がパラグアイ情勢分析記事を掲載


 月刊LATINA6月号(5月20日発行)掲載の伊高浩昭執筆記事:

ラ米乱反射 連載第88回「米戦略に沿う<麻薬汚染政権>が8月発足へ-国会クーデター1周年迎えるパラグアイ」

書評-『アンダルシーアの都市と田園』(法政大学陣内研究室、鹿島出版会)

『人はなぜ人を殺したのか-ポル・ポト派語る』(舟越美夏著、毎日新聞社) 

2013年5月18日土曜日

旧アルゼンチン軍政独裁者ホルヘ・ビデラが死去


 アルゼンチン軍政時代の独裁者だったホルヘ・ビデラ退役将軍(87)が5月17日、ブエノスアイレス州マルコス・パス刑務所で老衰により死去した。ビデラは陸軍司令官だった76年3月、イサベル・ペロン大統領を排除して軍政を敷き、83年まで4代続いた軍政は3万2000人を殺害した。その数はビデラ支配下で最も多かった。

 ビデラは殺害、強制失踪、拷問、赤子奪取などにより、終身刑2回、および禁錮50年の刑に服していた。

 政府当局者は、「報復でなく正義が為された。亜国人民を恐怖に陥れた事件の責任者が逝った」と論評した。

 軍政犯罪の被害者の組織である「五月広場の祖母たちの会」のエステラ・デ・カルロット会長は、「卑しむべき人物がこの世を去ったことで幾分安堵を覚える。亜国人が苦しんだ虐殺、彼が首班だった軍民独裁の汚辱、そして彼が悔い改めなかったことは間違いなく、歴史に留められるだろう」と指摘した。

 同じく「五月広場の母たちの会=創設者路線」の幹部ノラ・コルティーニャスは、「私は人の死を祝うことはない。ビデラのような虐殺者は機密文書を開陳せず、歴史的に最も重要な秘密を持って死んでいく。だが(軍事刑務所でなく)一般刑務所で死んだ事実は、無処罰が終わりつつあることを示す」と述べた。

 1980年のノーベル平和賞受賞者アドルフォ・ペレス=エスキベルは、「軍政の犯罪を引き続き調査していかねばならない。彼は甚大な害悪をもたらし、国の価値を蹂躙した。あのような恐怖の再来を防ぐため、より良く一層正義があり人間的な社会をつくるべく努力していかねばならない」と強調した。

 日本政府は79年ビデラを公式訪問に招き、来日した。これは、人権問題を軽視し経済関係を重視した当時の日本外交の汚点となっている。

2013年5月17日金曜日

広島・長崎の傑作ドキュメンタリー映画が7月公開へ

 原爆投下にまつわるドキュメンタリーの傑作映画を2本、試写会で観た。リンダ・ホーグランド監督の「ひろしま 石内都・遺されたものたち」(2012年、80分)と、日系スティーヴン・オカザキ監督の「ヒロシマナガサキ」(07年、86分)である。監督はいずれも米国籍だ。

 両作品とも、7月20日から東京・神田神保町の岩波ホールで交互に上映される。

 「ひろしま」は、写真家石内都が11年から12年にかけてバンクーバーにあるUBC人類学博物館で催した写真展の作品を柱に展開される。被写体である衣服、履物、眼鏡など遺品の持ち主が被爆直前まで生きていた広島の当時の状況と、写真展を観る会場の現代の人々の心情を交錯させながら、核兵器がもたらす不条理を伝える。

 原爆ドームが被爆の惨劇をマクロに表す象徴だとすれば、ミクロである個々の被爆者たちの無言の死に様を表す遺品は「人格」を語る。石内は、そこに眼をつけた。

 監督は、日本で生まれ、日本語もこなす知日派である。日本文化にとっても重要な存在だ。

 一方、「ヒロシマナガサキ」は、両被爆地の被爆生存者、原爆開発と投下に関与した米国人ら登場する人物との重層的なインタビューで構成されている。
 
 

 原爆投下を米全土に報告するトルーマン大統領が何度か登場するが、大統領は8月15日、日本が無条件降伏を受け入れたことを伝える。日本政府は天皇制維持をめぐって判断が揺れて降伏が遅れ、そのために広島・長崎の悲劇が生まれた。

 愚かな市長や衆院議員が日本軍慰安婦を正当化したり、在日米軍に性風俗業活用を求めたりするほどに、人間性が枯渇し荒廃し堕落した昨今である。日本人がこれほど矮小な存在になったのも珍しい。明らかな悲劇だ。

 2本の映画を最初に観るべきは、歴史を知らず、あるいは都合の悪い歴史を捻じ曲げる国会議員や自治体首長であろう。

「週刊金曜日」がキューバ本の書評掲載

 本日5月17日発売の「週刊金曜日」誌が、『したたかな国キューバ』(西林万寿夫著、アーバン・コネクションズ)の書評を掲載している。評者は伊高浩昭。

 なお同誌本号には、『自衛隊は毒ガス「サリン」を極秘製造していた』という、恐るべき内容のスクープの連載初回記事が掲載されている。

パラグアイで軍政被害者の遺体の身元確認調査始まる

 パラグアイで、ストロエスネル軍事独裁時代(1954~89)に殺害された人々の遺体の身元確認調査が始まった。

 国家「軍事独裁失踪者捜索・調査」チームが5月16日明らかにしたもので、今回の調査対象は、首都アスンシオンの警察施設内の地中から09年以降発見された15遺体など計23体。亜国の法人類学チームが作業を担当している。

 パラグアイの「真実・正義委員会」の調べでは、同軍政期に59人が密かに処刑され、336人が強制失踪させられた。殺害・失踪に関与した軍・警察要員ら容疑者は695人で、これまでに断罪されたのは4人だけ。

2013年5月16日木曜日

ベリーズで道路工事によりマヤ遺跡破壊さる

 ベリーズ政府は5月15日、マヤ文明ノームル遺跡が自動車道建設工事によって破壊されたことを認め、「文化遺産への完全な軽視であり、残酷、無知かつ許しがた暴挙だ」と、工事関係者らを糾弾した。
 

 遺跡は、メキシコ国境に隣接するベリーズ北部にある。推定2300年前に建設されたと見られるピラミッドが、ほんの一部を残して破壊された。

 現場写真が13日に報じられ、非難が巻き起こっていた。政府は、事実関係の調査を開始した。

2013年5月15日水曜日

ブラジル司法会議が同性愛結婚を承認


 ブラジルの「国家司法会議」(CNJ)は5月14日、同性愛者同士の民法上の結婚を承認した。承認案は賛成14、反対1で可決された。ラ米で3国目。

 ラ米では亜国とウルグアイがそれぞれ、同性愛者結婚を法制化して認めている。この点についてCNJは、人間平等の立場からの決定であり、動きの鈍い国会による立法化を待つまでもない、との見解を示している。

 カトリック教会や保守層からは反対意見が巻き起こっている。違憲訴訟もありうるが、CNJ議長は最高裁長官でもあり、CNJの決定は事実上の法制化だと受け止められている。
 
 CNJは2011年に、同性愛者同士の同棲を認めていた。
 

ラ米の太平洋同盟(AP)4カ国が大使館共有へ


 コロンビア外務省高官は5月14日、「太平洋同盟」(AP)加盟4カ国はアフリカ・アジア地域で幾つかの大使館を共有することになった、と明らかにした。

 コロンビアは在ガーナ大使館を、チリはアルジェリアとモロッコの大使館を、ペルーはヴィエトゥナムの大使館を、メキシコはシンガポールの大使館を、それぞれ提供する。今月23日カリで開かれる第7回AP首脳会議で正式に決まる。

 APにはオブザーバー国がウルグアイ、パナマ、コスタ・リーカ(CR)、グアテマラ、カナダ、スペイン、豪州、乳国、日本の9カ国あり、パラグアイも最近申請した。今首脳会議にはスペイン首相とCR大統領も出席する。

 APはラ米太平洋岸の新自由主義国の機構で、結束してアジア太平洋諸国との関係強化に当たるのが目的。北米自由貿易圏(TLCAN・NAFTA)の延長線上にあるが、南部共同市場(メルコスール)や米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)とは一線を画している。

2013年5月14日火曜日

ブラジル真実委員会が「恩赦法」廃棄を検討


 ブラジル軍政時代の人道犯罪の実態を究明している「国家真実委員会(CNV)」の委員の一人パウロ・ピニェイロは5月13日サンパウロで、拷問者処罰を阻んでいる「恩赦法」を廃棄すべきだという勧告を委員会の最終報告書に盛り込みたい、と述べた。

 恩赦法は軍政末期のフィゲイレド政権期に制定された。「拷問者」は多くの場合、「殺害者」を意味し、恩赦法廃棄はゲリラなど政治囚を殺害した軍政当局の生存者を被告として裁くことにも繋がりうる。

 ピニェイロは、恩赦法廃棄問題は委員同士で話し合っているが、具体的には何も決まっていない、と語っている。

 CNVは昨年5月17日発足し、これまでに拷問被害者220人と加害容疑者61人から聞き取り調査した。まだ計250人が残っている。委員会の活動期間は2年間に限定されているが、期間延長を求める意見が高まりつつある。

 一方、ブラジル訪問中のヨハヒム・ガウク独大統領は13日サンパウロでジルマ・ルセフ大統領と会談し、「過去の不正義を解明しようと努めている」とCNVの活動を讃えた。

2013年5月12日日曜日

ブラジル真実委員会で元弾圧責任者が証言


 ブラジル軍政時代(1964~85年)の人道犯罪の真相を追究している国家真実委員会(CNV)で5月10日、弾圧に関与した元大佐が証言した。
 
 サンパウロにあった陸軍弾圧機関、旧国際防衛作戦所・情報作戦局(DOI-Codi)局長だったカルロス・ウストゥラ退役大佐で、拷問や殺害の責任を問われて、「この場に立つべきは大統領命令を実行した陸軍であって、私は命令系統の一環にすぎなかった」と反論した。

 1973年に同作戦局で92人の拷問殺害遺体が発見されたことを示す文書を突きつけられると、「彼らは街頭での戦闘で死んだ」と述べ、殺害に関与していないと否定した。

 だが、元大佐の部下だった元軍曹マリヴァル・ジアスドカントは、「生殺与奪の権限はウストゥラが握っていた。活動家の死体は局員にとって戦利品のようなものだった」と証言した。

 元大佐はジルマ・ルセフ現大統領が、70年代当時、約40あったゲリラ組織の幾つかに参加していた、とも述べた。
 
 ルセフは60年代後半から70年にかけて「労働者政策(POLOP)」、「民族解放コマンド(COLINA)」、「パルマレス革命武装前衛(VAR-パルマレス)」に参加していた。70年に反逆罪で逮捕され、サンパウロのチラデンテス刑務所に収監されて拷問された。72年に釈放されてからは政治活動に加わり、90年にルーラらの労働者党(PT)に入党した。

 大統領は11日、元大佐の発言には言及しない、と表明した。

2013年5月11日土曜日

訳書『「ローマの休日」を仕掛けた男』が刊行さる


 ピーター・ハンソン著『「ローマの休日」を仕掛けた男-不屈の映画人ダルトン・トランボ』(松枝愛訳、中央公論新社)が刊行された。

 赤狩りで追放されながらも偽名でB級映画を作り続け、「スパルタカス」や「ジョニーは戦場へ行った」などの名作で甦った映画脚本家Dトランボ(1905~76)の波乱の生涯と作品誕生についての秘話が盛り込まれている。

 訳者にとり、『革命の侍』(09年、長崎出版)、『チェ・ゲバラと歩んだ人生』(11年、中央公論新社)に次ぐ3作目である。

 読了し、書評を書くこととしたい。

 

グ゙アテマラ元軍政首班リオス=モントに禁錮80年の判決


 グアテマラの法廷は5月10日、元軍政大統領エフライーン・リオス=モント(86)に禁固80年の実権判決を言い渡した。同人は収監された。

 内戦中の1982~83年、キチェー県内で先住民イシレス人1771人の虐殺を命じた罪で50年、戦時の人道犯罪で30年。部下だった元軍部諜報機関長ホセ・ロドリゲスは無罪。

 この裁判は3月19日に始まり、検察は5月8日禁錮75年を求刑し、両被告は9日無罪を主張していた。求刑よりも5年重い判決となった。控訴の可能性が残されている。

2013年5月10日金曜日

森元首相が五輪東京開催支持をキューバに要請


 森喜朗元首相は5月8日、ハバナでキューバ五輪委員会のホセ=ラモーン・フェルナンデス委員長と会談し、夏季大会の東京支持への協力を要請した。

 元首相は9日には、ラウール・カストロ国家評議会議長と会談した。キューバ側からブルーノ・ロドリゲス外相、同委員長、日本側から駐キューバ大使も出席した。

ベネズエラ大統領がメルコスール3国歴訪で立場強化


 ベネズスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は5月6~9日、南部共同市場(メルコスール)加盟国であるウルグアイ、アルゼンチン、ブラジルを歴訪した。4月19日の大統領就任後、同月末のキューバ訪問に次ぐ2度目の外遊。

 ウルグアイではホセ・ムヒーカ大統領と会談し、石油、保健、防衛、鉄道、科学技術、食糧生産で協力協定に調印した。ウルグイアは向こう1年間にベネズエラから原油1080万バレルを輸入する。

 アルゼンチンではクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル(CFK)大統領と会談し、ペロン派の人民団結運動(MUP)の歓迎・連帯大集会で演説した。

 亜国石油公社「国庫油床」(YPF=イペエフェ)とベネズエラ石油公社(PDVSA=ペデベサ)は協力協定を結んだ。亜国産自動車1万台のベネズエラへの輸出も決まった。

 ブラジルではジルマ・ルセフ大統領と会談し、食糧、エネルギー、石油、農業、社会開発、住宅建設で協力協定に調印した。防衛と国境安全保障についても話し合った。ブラジルがベネズエラに肥料原料の尿素を生産する工場を建設することも決まった。マドウーロは、ルイス・ルーラ前伯大統領とも会談した。

 ベネズエラを含メルコスール加盟4国は、8月15日のパラグアイ新大統領オラシオ・カルテスの就任式に出席するもよう。昨年6月の「国会クーデター」で発足したフランコ暫定政権がメルコスール加盟資格停止処分を受けているパラグアイは、新政権発足時に資格復活が認められる方向にある。

 マドゥーロ大統領は今回のブラジルを含む歴訪で、地元南米での支持を一層固め、大統領としての国際的立場を強化することができた、と受け止められている。 

2013年5月9日木曜日

ボリビア大統領がG77会議で資源国有化を呼び掛け


 ボリビアのエボ・モラレス大統領は5月7日、フィジーのナタドーラで開かれた第1回G77「南」卓越者高級会議に主賓として出席、演説し、南南協力強化を呼び掛けた。

 大統領は、06年5月1日に石油・天然ガス資源を国有化したことについて、「それまでの石油・ガス開発による国庫収入は年間3億ドル程度だったが、国有化後増え続け、2012年には40億ドルに達した。今年は50億ドルになる見込みだ」、「外貨準備も大統領就任時の17億ドルから140億ドルに増えた」と強調した。そのうえで、「資源を社会・経済開発に有効に使うため国有化すべきだ」と訴えた。

 エボは開発モデルに触れて、「南北には発展段階の違いがある。南は、貧困市民の逼迫状況に対応できるモデルを採用すべきだ」、「水、エネルギー、電気通信は基本的人権だ」と説いた。

 さらに太平洋におけるマグロ資源の乱開発を槍玉に挙げて、「太平洋諸国は団結して、マグロ資源の搾取を止めさせねばならない」と指摘した。

 大統領は米国による介入政策の存在を示唆しつつ、「北方からの干渉を排除せねばならない」と強調した。

 ボリビアは太平洋岸領土をチリに奪われて134年経つが、最近、「海への出口」問題解決のための交渉をするようチリに命じる国際司法裁判所の裁定を勝ち取った。太平洋の奥深くにあるフィジーの国際会議への大統領の出席は、海岸領土回復への執念の表れである。

中国とニカラグアが運河建設で交渉中、と元コロンビア外相語る


 コロンビアのノエミ・サニン元外相は5月8日報じられたスペイン通信EFEとのインタビューで、ニカラグアは中国と「ニカラグア運河」建設で交渉中、と述べた。この交渉は「中国の地政学的戦略に基づいている」と、サニンは指摘した。

 太平洋とカリブ海を結ぶ運河はパナマ運河の規模を凌ぎ、建設工期10年、総投資300億ドルで、「HKニカラグア運河開発投資会社」の株の49%を中国が保有する計画という。

 昨年11月ニカラグアは、国際司法裁判所の裁定で、コロンビアに属していたカリブ海の領海・経済水域7万平方kmを獲得した。サニンは、「運河建設計画にカリブ海水域の確保が必要だった」と、所見を述べた。

 サニンはまた、国際司法裁の中国人判事は過去にオランダ駐在大使を務め、同時期にオランダに駐在していたニカラグア大使を通じて運河計画を知りうる立場にあったとして、同判事を弾劾すべきだと指摘し、カリブ水域に関する裁定を見直す必要性を強調した。

 サニンは、ミゲル・セバージョス元コロンビア副司法相と近い将来、共著を刊行する予定で、ニカラグアとの関係も内容に含まれる見通し。
 
 一方、ニカラグア、オンドゥーラス(ホンジュラス)、エル・サルバドールの3国大統領は8日、マナグアで会合し、3国が海岸線を共有するフォンセカ湾の平和地域化と共同開発の推進で合意した。07年の3国合意を確認したもの。

 

2013年5月8日水曜日

「世界」誌がベネズエラ情勢分析記事を掲載


 『世界』6月号(本日5月8日発行、岩波書店)の「世界の潮」に、「辛勝でマドゥーロ政権の先行きに不安」という解説記事を書きました。

 4月14日のベネズエラ大統領選挙の分析です。ラ米左翼、米国、およびキューバ情勢との絡みでも分析しています。

 御一読ください。伊高浩昭

2013年5月6日月曜日

ペトロカリーベが経済圏構想など話し合う


 ペトロカリーベ(カリブ連帯石油機構)の第7回首脳会議が5月5日、カラカスで開かれた。故ウーゴ・チャベス大統領の死後2カ月に合わせたもので、来年までの域内への原油供給量や開発基金額について話し合われた。結果は明らかにされていない。

 ベネズエラ(VEN)のラファエル・ラミーレス石油相は、「ペトロカリーベ経済圏(ZEP)」設立構想を打ち出した。首脳たちは、この構想についても話し合った。ゆくゆくはZEPと「米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)」圏を繋げるという。

 会議は、ペトロカリーベ創設8周年記念日の6月29日、ニカラグア(NICA)で特別首脳会議を開くことを決めた。

 機構には盟主VEN、キューバ、ラ・ドミニカーナ(RD)、ハイチ(HAI)NICA、オンドゥーラス(HON)、グアテマラ(GUA)、スリナム、英連邦10カ国(TTとバルバドスを除く)の18カ国が加盟している。

 今会議にはVENNICARDHAIHONの5カ国大統領をはじめ、首相、石油相らが出席した。ブラジル、ボリビア、エクアドールの代表も招待され参加した。

 会議終了後、首脳らはカラカス市内の「1月23日」地区にある旧兵営内のチャベス廟に参った。ミシェル・マルテリHAI大統領が首脳たちを代表して挨拶し、「チャベス司令官はラ米・カリブ統合の象徴だった。貧者の生活向上に努めたチャベスの遺志を実らせよう。チャベスの姿は既にない。だが今やチャベスは思想になった」と述べた。

 また、ダニエル・オルテガNICA大統領は、ALBAを代表して「チャベスの遺志を継ごう」と語った。キューバからはリカルド・カブリーサス副首相が出席した。ニコラース・マドゥーロVEN大統領は、首脳や各国代表にチャベスの肖像写真を贈った。

 機構は2011年日量46万3000バレル、12年同39万4000バレルを供給した。日量10万バレルのキューバ向け供給は別枠。