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2018年4月23日月曜日

 パラグアイ大統領選挙は保守陣営候補アブド=べニーテスが当選▼ニカラグア政府が騒乱状況受け政策を撤回▼ベネズエラ大統領選挙の公式選挙戦始まる▼ボリビア大統領が露中歴訪へ

 パラグアイで4月22日、大統領選挙が実施された。オラシオ・カルテス現大統領の政権党コロラード党(保守・右翼)候補マリオ・アブド=ベニーテス(46)と、野党連合「勝利同盟」(AG、リベラル・左翼)のエフライーン・アレーグレ(55)の事実上の一騎打ち。

 同夜の開票率96%段階での選管発表で、得票率はアブド=ベニーテスが46・49%、アレーグレが42・73%。選管はアブド=ベニーテスを当確とした。有権者は420万人で、投票率は62%。決選投票制度はない。

 アブド・ベニーテスの父親は、かつて独裁者アルフレド・ストロエスネル将軍大統領(故人)の側近で、その時代に蓄財した人物。

 当初、カルテス大統領が選挙規定を変えて再選出馬しようと画策したが、アブド=べニーテスがこれに反対。政権党候補の座を獲得した。

▼ニカラグアが社会保障改革を撤回

 ダニエル・オルテガ大統領は4月22日、使用者、労働者、年金生活者に負担を強いる年金制度改革を撤回した。全土に抗議行動が拡がり、死者は20人を超え、略奪や放火による被害も拡大していた。

 21日にはカリブ海岸のブルーフィールド市で、抗議する市民と警官隊が対峙する様子を取材していたビデオジャーナリスト、アンヘル・ガオーナが後方から頭部を銃撃され、即死した。死者は28人に達したとする人権団体もある。負傷者は100人を超える。

 連続3期目のオルテガ・サンディ二スタ長期政権下のニカラグアは「治安が中米一良好な国」とされてきたが、政権が舵取りを誤れば、今回のような事態に陥ることが広く認識された。

 今回の一連の暴動状況は、権威を否定し自らの意のままに行動する個人主義の強い大学生や若年労働者が中心と伝えられる。彼らは、個人主義を幾分か捨てて両親や祖父母の年金生活者のためにも街頭闘争に参加した、と分析されている。
 オルテガ政権は、騒乱状況によって重要政策の撤回を迫られたことから、打撃は深刻だ。

▼ベネズエラ大統領選挙の公式選挙戦開始

 5月20日の大統領選挙に向けて4月22日開始された。再選を狙うニコラース・マドゥーロ大統領、元チャベス派で野党のヘンリー・ファルコンら候補は5人。

▼ボリビア大統領が露中歴訪へ

 ボリビア政府は4月22日、エボ・モラレス大統領が6月14日モスクワで、ウラジーミル・プーチン大統領と、19日北京で習近平中国主席とそれぞれ会談すると発表した。
 エボは22日ハバナ入りし、23日、ミゲル・ディアスカネル玖議長と会談する。

 

2018年4月8日日曜日

パラグアイでゲリラと治安部隊が交戦▼22日には大統領選挙実施▼ルーラが拘置所入り

 パラグアイ北部のコンセプシオン県内で4月7日、治安部隊とゲリラ「パラグアイ人民軍」(EPP)EPPが交戦した。EPPは逃亡する際、手榴弾を投げ、治安部隊の2人が負傷した。
 治安部隊は、軍と警察で構成する「統合作戦部隊」(FTC)。その兵士と警官各1人ずつが負傷した。FTC司令部が発表した。

 EPPは実態が明らかでなく、謎めいた存在だが、これまでに兵士21、警官13、市民27の計61人を待ち伏せ攻撃や戦闘で殺している。

 一方、パラグアイ大統領選挙は今月22日に実施される。政権党ANR(コロラード党)のマリオ・アブド=ベニーテスと、野党「勝利同盟」(AG)のエフライーン・アレーグレが選挙戦で接戦を演じてきた。

 大統領選挙と同時に副大統領、上院議員45人、下院議員80人、県知事17人、南部共同市場(メルコスール)議会(パルラスール)議員16人を選ぶ。
 オラシオ・カルテス現大統領、フェルナンド・ルーゴ元大統領、ニカノール・ドゥアルテ元大統領は、一つの上院議席を争っている。

 米州諸国機構(OEA)は選挙監視団を派遣する。団長はコスタ・リカ前大統領のラウラ・チンチージャ。

▼ルーラ元ブラジル大統領が拘置所入り

 ルーラは4月7日、連邦警察のヘリコプターでサンパウロからパラナー州都クリチーバの連邦警察州本部に連行され、同本部内に設置された特別の拘置室に収容された。

2017年4月2日日曜日

 パラグアイ上院議員25人が憲法の大統領再選禁止条項を違憲行為で修正。野党が抗議、警官隊に1人が射殺され30人が負傷、首都アスンシオンは混乱に陥る

 パラグアイで3月31日、国会上院の議員25人が不正に憲法条項を修正、怒った野党党員や市民ら約1000人が国会周辺など首都アスンシオンで抗議行動を展開した。国警機動隊が出動、1人が警官に散弾銃で射殺された。他に約30人が負傷、211人が逮捕された。

 事の起こりは28日、憲法の大統領再選禁止条項を修正して再選を狙いたいオラシオ・カルテス大統領の政権党コロラード党、これに同調する野党「グアスー戦線」(FG=拡大戦線)、および野党・真正急進自由党(PLRA)反主流派の上院議員計25人が、上院本会議場でなく上院内のFG会派室で、憲法修正案を<可決>したこと。上院定数は45。

 同25議員は31日、再びFG室で<本会議>を開き可決、下院に<送付>した。下院(定数80)は4月1日審議を開始する予定だったが、混乱が収まらないため、3日以降に延期した。下院は政権党が多数派のため通過は容易。

 エフライーン・アレーグレ党首らPLRA主流派を中心とする野党勢力は上院内外で25議員の違憲行動を糾弾、31日、抗議行動に出た。若者ら一部勢力は上院に放火、市内でも小競り合いが続いた。

 機動隊はPLRA本部に乱入した際、党青年部のロドリーゴ・キンターナ(25)に散弾銃を1回発射、キンターナは散弾9発を受けて死亡した。さらに約30人が重軽傷を負った。PLRAのエドゥガル・アコスタ下院議員は顔面に散弾を浴びせられ重傷。カルテス大統領は、死傷者が出たのを受けて、内相と国警長官を更迭した。

 上院議員25人が一方的に可決した憲法修正案は、「正副大統領は連続または非連続的に計2期まで就任できる」とし、「連続再選を目指す正副大統領は任期満了半年前に辞任せねばならない」というもの。

 パラグアイでは1954~89年、故アルフレド・ストロエスネル将軍が35年間の長期軍事独裁を敷いた。これを教訓とした政界は92年、憲法に大統領再選禁止条項を盛り込んだ。コルテスは2016年、再選禁止条項修正を試み、失敗している。

 上院では過半数に達しない政権党は、12年に「国会クーデター」と呼ばれる不当な弾劾裁判で大統領を解任されたフェルナンド・ルーゴ元司教の政党FGおよびPLRA反主流派に働き掛け、25人議員集団を結成した。

 ルーゴは、1989年の独裁体制終焉後、最初の非コロラード党政権を率い、穏健な社会改革で成果を挙げた。改革路線が定着するのを恐れたコロラード党は2012年6月、農民・警官殺害事件をでっちあげてルーゴを弾劾した。

 ルーゴは現在、上院議員だが、志半ばで解任されたため、やり残した改革をやりたいと、再選条項修正に回った。18年4月の大統領選挙で再選が可能になった場合の現時点での予想候補者支持率は、ルーゴ52%、カルテス12%で、ルーゴが優位。カルテスは敗れても、<ルーゴ次期政権>の次を狙うことが可能になる。

 この来年の総選挙では正副大統領の他、国会上下両院議員、17州知事・州会議員、南部共同市場(メルコスール)議会議員18人が選ばれる。

 今回、問題の25議員は、上院本会議を開けないことから、コルテス派の上院第2副議長を<上院議長>に就け、FG室で審議、憲法修正に必要な賛成票を従来の30から23人に変更し、憲法修正案を可決した。

 パラグアイ弁護士会は、大統領再選は憲法条項修正では不可能で、正式に改憲せねばならないと主張している。ラ米進歩主義世論は、米州諸国機構(OEA)がベネスエラ問題だけに集中し、パラグアイ上院での違憲の暴挙を取り上げないのはおかしいと非難している。

2017年2月14日火曜日

パラグアイ農民らが首都まで行進、政府・支配体制を告発

 パラグアイの首都アスンシオン中枢部で2月13日、「長い行進」(ラルガ・マルチャ)と名付けて、遠隔地からの数百キロに及ぶ道程を歩いてきた農民、先住民、労働者ら1500人が「新しいパラグアイ建国」を求めて抗議行動を展開した。

 参加者は、「新しいパラグアイ党」(PPP、エラディオ・フレチャ書記長)と、全国農民連盟(FNC、テオドリーナ・ビジャルバ幹部)が組織。6日、二派に分かれて北部のコンセプシオン市、東部のカニンデジュー県を出発、1週間かけて首都に到着した。

 合流した一行は大統領政庁前で、オラシオ・カルテス大統領を「略奪者」と呼び、退陣を求めた。カルテスは今年8月15日に5年の任期が切れるが、憲法を手直しして連続再選を可能にしようと工作している。人々は「即時退陣」を要求した。

 一行は国会前では、議員たちを「守銭奴」と呼び、「権力は腐敗まみれ、恥知らず、売国奴、反人民、麻薬汚染された政治家に奪われている」と糾弾した。カルテスには就任前、麻薬取引との関係した嫌疑がかけられていたが、うやむやにされた。最高裁判所前では、判事たちを「買収されている」と扱き下ろした。

 PPPのフレチャ書記長らは、先住民や貧農からの土地奪取、住民の強制移住、北部地域の軍事化、逮捕者拷問、強姦など「当局者による人民迫害」を告発した。同党は労農政権樹立を目指し、1996年結党された。「ピャウラ(新しい)」というグアラニー語を党名に用いている。

 一行はまた、差別状況、生活苦、土地無し状態、保健・教育への接近困難、住宅不足、恒常的失業、道路不備なども訴えた。財務相の邸宅付近にも押しかけ、「国有資産売却したコルテスの共犯者」と叫んだ。

 1980年代末まで故アルフレド・ストロエスネル将軍の長期軍事独裁が続いたパラグアイは、南米で民主度が最も低い国とされる。21世紀になってから初めて伝統的支配層に属さない、「解放の神学」派のカトリック司教上がりのフェルナンド・ルーゴ大統領が穏健な改革を進めた。だが支配層の画策で、正当な理由なしに国会で弾劾され解任された。

 この政変は「国会クーデター」と呼ばれる。この手法は16年8月末のブラジルの国会クーデターで踏襲された。ヂウマ・ルセフ大統領の労働者党(PT)に選挙で勝てない支配層が企てた強引な弾劾による政権奪取だった。

 パラグアイでは今年1月15~23日には、東部から首都まで200km余の「パラグアイ愛国の長い行進」が実施された。かつて独裁と闘ったパラグアヨ・クバス弁護士が行進を組織した。

▼ラ米短信   ◎米国がベネスエラ副大統領を麻薬犯名簿に加える

 米財務省は2月13日、ベネスエラのタレク・エルアイサミ執権副大統領を「麻薬組織首領名簿」に加えた。またベネスエラの政商で企業家のサマルク・ロペスを、同副大統領の「名義人」と特定、麻薬取引を実行していると指摘した。

 カラカスでは13日、ベネスエラ中国高級合同委員会が開かれたが、エルアイサミ副大統領は中国代表団と会合した。

 ドナルド・トランプ米大統領は12日、ペルーのPPクチンスキ大統領と電話会談した際、「ベネスエラの人道的状況を懸念している」と述べた。ラ米では、メヒコに続いてトランプに痛めつけられる国はどこかに関心が集まっているが、ベネスエラはメヒコに次いで名指しされた国となった。

 ベネスエラの保守・右翼野党連合MUDの代表団は最近訪米、ワシントンでベネスエラ政府を退陣に追い込むための根回し工作をした。それが奏功したとも言える。

 一方、ニコラース・マドゥーロVEN大統領は12日、「ベネスエラはラ米の安定と平和を支援する堅固な地だ」と述べた。

2016年8月28日日曜日

パラグアイで軍人・警官8人殺害、ゲリラEPPの仕業か

 パラグアイ北部で8月27日、軍人・警官8人が待ち伏せ攻撃に遭い、殺害された。政府は、ゲリラ組織「パラグアイ人民軍」(EPP)の仕業と見ている。

 首都アスンシオンの北方約500kmのコンセプシオン県アロジートの未舗装道路で事件は起きた。巡視中の軍・警察合同作戦部隊(FTC)の少尉1人、軍曹7人を乗せた軍用トラックは地雷で破壊され、8人が様子を見るためトラックを降りたところ、機銃掃射された。

 EPPは2008年に活動を開始。今回の8人を入れて軍・警察要員計29人を殺害。牧場主ら文民約30人を葬った。EPPは、要員50~150人の小さな武装組織と見られている。思想傾向は定かでなく、「官製ゲリラ説」も消えていない。いまも警察下士官1人、メノニータ(メノナイト)農民2人を人質にし、身代金を要求している。

 非政府系団体である人民民主会議(CDP)は27日、恐怖を撒き散らしているとFTCの展開を糾弾。北部の問題は軍事的には解決できないと、政府を批判した。

 富豪のオラシオ・カルテス大統領はメヒコ訪問中だったが、留守中の重大事件発生で恥をかかされる形となった。パラグアイ法廷は7月12日、「クルグアティ虐殺事件」(2012年6月)判決で、被告農民11人に4年から30年の禁錮刑を言い渡したが、この事件はカルテスの所属するコロラード党など伝統的支配階層がでっちあげた謀略と見なされている。

 この事件の直後、当時の進歩主義者の大統領フェルナンド・ルーゴは責任をなすりつけられて弾劾、解任された。進歩主義政権を倒すため、事件がでっちあげられたとの見方が定着している。事件で死亡したのは農民11人、警官6人だったが、当局は警官の死亡に関してしか捜査しなかった。また弾道などから「第三者」による発砲の可能性が濃厚だったにも拘わらず、捜査はなされなかった。

 このような政治・社会状況とEPPの存在との関係は解明されていない。

★ブラジル短信  ブラジル国会上院は8月27日、ヂウマ・ルセフ大統領弾劾審理で証人証言を終了、29日の大統領の反対弁論を待つのみとなった。上院議員81人による弾劾投票は30~31日に実施される。

▼ボリビア短信  ボリビアのエボ・モラレス大統領は8月27日、「協同組合所属の鉱山労働者たちは政府打倒のクーデターを画策していた」と非難した。事件関与した鉱夫組織は、仲間同士の通信で「政権打倒」を口にしていたという。

 鉱夫らは25日、ロドルフォ・イヤネス副内相を6時間に亘って拷問した後、殴り殺した。大統領政庁で27日葬儀が執り行われ、大統領は3日間の国喪を宣言した。

★ベネスエラ短信  ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月27日、来訪したイランのムハマド・ザリフ外相と会談、戦略的関同盟関係強化で一致した。両国は金融協力協定などに調印した。大統領はまた、国軍首席将軍ヘスース・ゴンサレスをイラン駐在の新大使に任命した。ザリフ外相はクーバ、ニカラグア、エクアドール、チレ、ボリビアを歴訪、カラカスから帰国の途に就いた。

 マドゥーロは27日の演説で、ボリビアのモラレス大統領に連帯を表明。「米国内からベネスエラにクーデターの陰謀が仕掛けられている」と指摘、その動きを糾弾した。 

2015年7月13日月曜日

ローマ法王が南米3国歴訪を終える

 ローマ法王フランシスコは7月12日、パラグアイ訪問を終え、ローマへの帰途に就いた。5日からエクアドール、ボリビア、パラグアイ3国を歴訪していた。9月にはクーバと米国を訪問する。

 法王はこの日、首都アスンシオンの周辺にある、2万3000家族が住む貧困地区バニャードノルテを訪れ、「教会に通いながら、貧困問題に目を向けない人々」の偽善性を批判した。また、人民文化とグアラニー文化を讃えた。

 ミサには数10万人が集った。ブエノスアイレスから前夜到着していたクリスティーナ・フェルナンデス亜国大統領も最前列で法王の話を聴き、終わると壇上で法王に挨拶した。

 同大統領は同国人の法王に深い親しみを抱いており、法王との6度目の謁見となった。

  法王の演壇は、マソルカ(トウモロコシの房)3万2000個とココ椰子の実20万個で飾られていた。

 今回の歴訪での法王発言では、貧者救済、国内政治対立の対話による解消、利益第一主義の経済政策糾弾が目立った。

2015年7月11日土曜日

ローマ法王がパラグアイ訪問

 ローマ法王フランシスコは7月10日、ボリビアで刑務所を訪れ、収容環境の改善を求めた後、パラグアイの首都アスンシオンに到着し、オラシオ・カルテス大統領らの出迎えを受けた。

 法王は最初の演説で、民主強化、人権重視、腐敗・麻薬取引一掃を呼び掛けた。「民主強化」には、パラグアイが経験してきたストロエスネル長期独裁や、事実上のクーデターだった数年前のフェルナンド・ルーゴ元大統領追放事件を踏まえての強い要望が込められている。

 法王は9日にはボリビアのサンタクルースで、7~9日開かれた第2回世界社会・人民運動会合の閉会式にエボ・モラレス大統領とともに出席し、「多数者を疎外してきた制度の変革を恐れずに口にせよ。利益しか考えず、社会的疎外や自然破壊を招いてきた現行制度はもはや通用しない。農民、労働者、共同体、人民、母なる大地は耐えられない」と、全球(グロ-バル)化した弱肉強食の新自由主義経済政策などを厳しく批判した。

 この会合は、「母なる大地」、住宅、就業、人民統合をめぐって開かれ、40カ国から3000人が参加した。

 法王随行者は10日、モラレス大統領から8日贈られた、槌と鎌形の十字架のキリスト磔刑像および、「アンデス山脈コンドル章」を法王はコパカバーナの聖母に捧げた、と明らかにした。法王は勲章や贈り物をもらわない習慣がある。同聖母を祀る教会は、ティティカカ湖畔のコパカバーナ丘の頂上にある。 

2015年5月18日月曜日

米軍顧問団がパラグアイで軍事訓練へ

 パラグアイ軍部は5月16日、6月一か月間、米・北カロライナ州兵の特殊部隊顧問16人が来訪し、パラグアイ軍の訓練に当たる、と明らかにした。

 11日からはコロンビアで、パラグアイ軍の下士官80人が3ヶ月の軍事訓練過程に参加している。

 コロンビア軍は米軍特殊部隊から対ゲリラ戦の訓練を受けてきたが、これをラ米諸国の軍隊に伝授しようとしている。

 パラグアイ中北部では、農村ゲリラとされる小規模の「パラグアイ人民軍」(EPP)が活動している。

2015年2月12日木曜日

パラグアイ農民がカルテス大統領の辞任要求

 パラグアイ全農連(FNC)と農民党は2月10日、アスンシオンの国会前広場でオラシオ・カルテス大統領の辞任を求めて1万人集会を開いた。全国各地から4日間、徒歩や自動車で行進し、首都にこの日、到着した。

 パラグアイ人権連絡調整会議の統計では、ストロエスネル独裁が崩壊した1989年2月からカルテス現政権が発足し2013年8月までの間に農民運動の指導者および活動家が115人殺害されている。ほとんどの事件が解明されておらす、無処罰のまま終わっている。

 農民は、農民幹部殺害への無対処、大土地所有者優遇、大統領個人の統治者としての適性の問題から、大統領に辞任を求めた。

 一方、パラグアイ南部アルゼンチン国境のニェエンブクー県内で11日、パラグアイと亜国の遺骨調査団が会合した。亜国軍政時代に殺害され遺体を密かに埋葬された犠牲者の遺骨である可能性があるためだ。遺骨は同県内の工事現場で1月6日、工事関係者によって偶然発見された。

 亜国では3万2000人が殺害されたが、ストロエスネル独裁下でも425人が殺害もしくは強制失踪(抹殺)され、2万人以上が逮捕拷問され、2万814人が亡命を余儀なくされた。

 今回発見された遺骨は、亜国内で殺されたか、もしくはパラグアイで殺された亜国人のものである可能性があるとされている。軍政期には、「コンドル作戦」に基づき軍人同士が相互に国境線をまたいで暗殺、、強制失踪、遺体埋葬などを実行していた。
 

2015年1月30日金曜日

パラグアイ人民軍(EPP)がドイツ人牧場主夫妻を殺害

 パラグアイ内務省は1月29日、農村ゲリラ組織「パラグアイ人民軍」(EPP)が北部のコンセプシオン県内でドイツ人牧場主夫妻を同日殺害した、と発表した。EPPは夫妻を拉致したが、出動した特殊部隊と銃撃戦となった。夫妻は拉致から10時間後に殺された。

 ロバート・ナット(60)、エリカ(53)の夫妻。父親から受け継いだ牧場を経営していた。

 内務省によると、EPPは2006年以降、この2人を含め文民26人を殺した。警官13人、兵士5人も殺している。軍・警察側はEPP要員を17人逮捕し、13人を殺している。

 この国には、地主の1%が耕地の77%を所有するという、すさまじい不公正がある。 

2014年12月26日金曜日

パラグアイで新たな諜報制度発足

 パラグアイで12月24日、新しい諜報機関を設置する「国家情報制度(SINAI)創設法」が公布された。SINAIには内務省、国防省、麻薬取締庁(SEAND)、資金洗浄防止庁(SPRELAD)が参加する。

 新設されるのは、国家情報会議(CNI)と、大統領直属の国家情報庁(SNI)。当面は、ゲリラ組織「パラグアイ人民軍」(EPP)対策が主要任務になるという。

2014年11月20日木曜日

パラグアイで12月に第一回「言語展」開催へ

 アスンシオンで第一回「パラグアイ言語展」が12月3~5日、催される。この国の二大言語は公用語のグアラニー語とスペイン語だが、他にも少数先住民らの言語がある。

 それらを図表や文字で示し、専門家がシンポジウムで話し合う。言語の多様性、それと関連する文化の多様性、少数者言語の尊重などがテーマとなる。

2014年10月7日火曜日

パラグアイ軍が「農村ゲリラ」3人を逮捕

 パラグイア軍合同作戦部隊(FTC)は10月6日、農村ゲリラ「武装農民集団」(ACA)の要員2人と、同「パラグアイ人民軍」(EPP)の1人を5日コンセプシオン県内で逮捕した、と発表した。

 ACAはEPPの分派だが、両組織は相互に支援し合っている、という。

 EPPには、軍・警察が組織した「官製ゲリラ」説もあり、正体はいまひとつ定かでない。

  

2014年3月27日木曜日

パラグアイ労農が20年ぶりにゼネストを決行

 パラグアイで3月26日、20年ぶりにゼネストが実施され、首都アスンシオンをはじめ、全国の主要都市の交通、商業、学校などが麻痺した。主催者側は、労働者の80~90%がストライキに同調していると述べた。

 この日は、全国農民連盟(FNC)が20年前から農地改革実施を要求して「農民行進」をする日。統一中央労連(CUT)、教組など6つの労連はFNCと連携し、その第21回農民行進に期日を合わせてゼネストを打った。

 労農の要求は、農地改革実施、最低賃金25%引き上げ、国有資産民営化を容易にすると批判される官民同盟法(APP、13年12月成立)の廃止、大豆栽培など大規模有機農法糾弾、教育改革など。

 新自由主義路線で内外大企業優先政策を採るカルテス政権には、不可能な政策ばかりだ。政府は2月末、労農に諮らずに最低賃金を10%引き上げ、182万グアラニー(約350米ドル)とした。労農は評価せず、25%を要求している。

 ストロエスネル軍事独裁政権が倒れて25年、超保守・右翼支配層が依然牛耳るこの国も、社会が流動的になり、政治意思を集団行動で表明できるようになった。

2013年12月19日木曜日

パラグアイ国会がベネズエラのメルコスール加盟議定書を批准


 パラグアイ国会下院は12月18日、ベネスエラの南部共同市場(メルコスール)加盟を決めた同市場条約改定議定書を批准した。上院は批准済みであり、これによってメルコスール内でのパラグアイとベネスエラをめぐる問題は解決した。

 ベネスエラはチャベス前政権時代にメルコスール加盟を申請したが、ブラジル、アルヘンティーナ、ウルグアイは議定書を批准した。だが、保守・右翼議員の多いパラグアイの国会だけは「ボリバリアーナ革命」を掲げるチャベスを嫌って、批准を拒否していた。

 昨年6月、パラグアイ国会は、当時のフェルナンド・ルーゴ大統領の改革政策を潰すため同大統領を弾劾した。この「国会クーデター」事件を契機に、メルコスールはパラグアイの加盟資格を停止とした。

 そのうえでメルコスール3国は昨年7月31日、ベネスエラの加盟を承認した。ところがパラグアイは「火事場泥棒」と怒り、ベネスエラ加盟を認めなかった。

 しかし今年8月、パラグアイにコルテス新政権が発足し、歩み寄りを見せた。メルコスールは欧州連合(EU)と通商交渉に入るが、パラグアイはメルコスールと関係を正常化しないと交渉に参加できない。また海のない内陸国パラグアイは隣接する3国と、いつまでもイデオロギー抗争を続けるわけにはいかない。

 コルテスは直接ベネスエラ大統領マドゥーロと会談し、国会に批准を働きかけた。パラグアイ政界は、これで一皮むけた。

 だが批准賛成48、反対1、不参加31の数字が示すように、時流から外れた右翼頑迷派議員が依然多い。

2013年10月10日木曜日

パラグアイとベネズエラが関係正常化で前進


 ベネズエラとパラグアイは10月9日アスンシオンで外相同士が会談し、関係正常化に向けて前進した。

 会談後の記者会見で、エラディオ・ロアイサPAR外相は、「ベネズエラ外相の来訪は、関係早期正常化を求める両国意思の表れだ」、「エネルギー、食糧分野での相互補完的通商関係の再開のため、近くPAR財界使節団がベネズエラを訪問する」と述べた。

エリーアス・ハウーアVEN外相は、「直ちに大使を相互に任命すべく提案した」、「両国がメルコスールに加盟している状態が南米にとって望ましい」と語った。

 パラグアイは去年6月「国会クーデター」で当時のフェルナンド・ルーゴ大統領を追放した。これに当時のニコラース・マドゥーロVEN外相(現大統領)がアスンシオンで異議を唱えるなどしたため、パラグアイ暫定政権は内政干渉として、国交凍結に踏み切った。

 メルコスールは、パラグアイを「民主制度が中断した」として加盟資格を停止させ、一方でベネズエラの加盟を認めた。保守・右翼が多数を占めるパラグアイ国会は、当時のチャベスVEN政権を嫌い、VEN加盟を認めるメルコスール条約改正条項の批准をせず、現在も批准していない。

 だがベネズエラは現在、メルコスールの輪番制議長国であり、パラグアイも無視できなくなっている。また、メルコスール復帰が遅れれば、PAR経済への打撃が膨らむ。

 8月15日オラシオ・カルテスPAR大統領が就任し、同月末スリナムでマドゥーロ大統領と会談し、双方は関係正常化で大筋合意した。

 ハウーア外相は9日VENメディアに対し、今外相会談との関連で両大統領が電話会談した、と明かにしている。

2013年9月6日金曜日

「週刊金曜日」がパラグアイ情勢分析記事を掲載


 「週刊金曜日」誌9月6日号(本日発売)に、南米農業国パラグアイの最新情勢を分析した記事(伊高浩昭執筆)が掲載されている。

 主題:貧困層に支持された左翼政権が潰され「恐竜」が復活
 副題:親米・新自由主義路線強化に加え民主政治は後退

 8月15日のカルテス新政権発足に至る、昨年6月の「国会クーデター」によるルーゴ改革政権崩壊、腐敗した暫定政権、新政権の問題点などを分析している。

2013年8月19日月曜日

「パラグアイ人民軍(EPP)」が5人殺害


 パラグアイ政府は8月18日、北東部のサンペドロ県タクアティーで17日、「パラグアイ人民軍」(EPP)により5人が殺された、と発表した。

 ブラジル人経営の農場を巡視していた農場主の用心棒5人が拉致され、森の中で射殺されたという。5人のうちの一人は警官だった。

 当局統計では、2007年にEPPがサンペドロ、コンセプシオン両県で活動を開始してから16日までに、EPPにより31人が殺された。

 一方、人権団体は、ストロエスネル独裁が終わった1989年以降、小農131人が当局や用心棒によって殺されてきた、と指摘する。

 政府は、EPPがコロンビア革命軍(FARC)と連携している証拠がある、と発表している。

 だが「農村ゲリラ」EPPは、昨年6月の国会クーデターで追放されたフェルナンド・ルーゴ改革政権揺さぶりのため、CIAやパラグアイ諜報機関がつくった地下結社、との見方もある。依然、謎めいた組織だ。

2013年8月16日金曜日

パラグアイでオラシオ・カルテス新大統領が就任


 パラグアイで8月15日、オラシオ・カルテス新大統領(57)が就任した。第49代。就任演説で、貧困との闘い、犯罪取締などを表明した。

 カルテスは、共和国民協会(ANR=コロラード党、保守・右翼)候補として4月の大統領選挙に出馬し当選した。富豪で、過去に麻薬密売、資金洗浄に関与した疑いがもたれている。

このため政敵の間では「ナルコプレシデンテ」(麻薬大統領)との辛辣な蔑称が使われる。

 就任式には、亜伯URU智秘5カ国大統領、台湾総統、スペイン皇太子らが出席した。

 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は、外相だった昨年6月にパラグアイで
起きた「国会クーデター」直後の発言が「内政干渉」と受け止められており、招かれな
かった。

 マドゥーロは書簡を通じ、南部共同市場(メルコスール)の輪番制議長として、パラグアイの復帰を求めるとともに、カルテス就任を祝福し、関係改善を呼びかけた。

パラグアイはクーデター後、メルコスール、南米諸国連合(ウナスール)から資格停止処分を受けてきた。

 マドゥーロは、「違いを超えて南米統合の共通目標達成を目指したい。我々の分断を望む域外利権を糾弾する」と述べ、暗に米国を非難した。

 ベネズエラからは、野党議員が招かれて就任式に出席した。

2013年7月16日火曜日

パラグアイ紙記者が意図的誤報拒否し解雇さる


 パラグアイ支配層系の日刊紙ABCコロール紙の記者だったパウロ・ロペスは、意図的誤報命令を拒否したため同紙を解雇された、と7月15日明らかにした。

 キューバのラウール・カストロ国家評議会議長は7日の国会閉会演説で、犯罪が多発していることなど革命体制の問題点を指摘した。キューバ国営通信プレンサ・ラティーナ(PL)によると、カストロ演説を取り上げた同紙は8日付1面で、「カストロは共産主義の欠陥を認めた」の大見出しで、発言内容と異なる記事を掲げた。

 PL通信によると、ロペス記者は、社主兼編集主幹アルド・ズッコリージョからねじ曲げ報道を命じられ、拒否したところ馘首されたという。この種のねじ曲げ報道は右翼思考の主幹がしばしばやってきた、と同記者は語っている。