キューバ革命でカストロ兄弟と並ぶ英雄だった「エル・チェ」=エルネスト・チェ・ゲバラ(1928~67)=の公式な誕生日の6月14日、キューバ、アルゼンチンなどゆかりの地で生誕90年記念行事が催される。
ハバナでは13日、エル・チェの側近中の側近だったハリー・ビジェガス革命軍退役少将らがシンポジウムで、革命家エル・チェについて語り合う。14日には、ラス・ビージャス州都サンタクラーラ入口にあるチェ・ゲバラ像前で遺族や政府要人が参列し、記念式典が挙行される。
ここには1967年のボリビア遠征で死んだゲバラと部下たちの廟がある。日系ボリビア人ゲリラ、フレディ前村ウルタードの遺骨もここにある。
その前村の25年の短い生涯を描いた日玖合作映画「エルネスト」(阪本順治監督、キノフィルムズ、2017年)が19日、ハバナで記念上映され、次いで一般公開される。この上映会には阪本監督が出席し挨拶する。
生地である亜国サンタフェ州ロサリオ市では、社会党所属のモニカ・フェイン市長の肝いりで、市営トロリーバスの一路線が「エル・チェ路線」と名付けられ、革命家の顔が大きく描かれたバスが既に走っている。14日の前後、期間限定の走行だ。
同市での14日の生誕90周年式典には、ホセ・ムヒーカ前ウルグアイ大統領が来賓として参列する予定。ムヒーカは若き日、同国のゲリラ「民族解放運動(MLN)ートゥパマロス」の幹部で、警官隊に銃撃され死線をさまよったこともある。
彼は革命直後のハバナとモンテビデーオでエル・チェに会い、影響を受けた。ムヒーカは2016年4月の来日時、東京での記者会見で、「人生で最も影響に残る人物はエル・チェだ」と語った。
ロサリオ市内にはゲバラの立像がある。没後50周年記念日(昨年10月9日)前の8月、市内の右翼勢力がゲバラ像撤去運動を展開、賛否両派が対立した。今回のバスの車体に市側がゲバラの顔を描いたことにも像撤去派は激しく反発し非難している。
15年末に保守・右翼陣営の財界人マウリシオ・マクリが大統領になって以来、右翼陣営が勢力を拡げている。ロサリオの像撤去運動は、その表れの一つだった。
ゲバラは晩年、「新しい人間」という革命的人間像を打ち出した。様々な人物からの影響が見られるが、ジャンポール・サルトルもその一人だ。ゲバラはハバナでサルトル夫妻とフランス語で深夜語り合い、相互に強い印象を受けた。
サルトルの「アンガージュマン」を実践したのが、知識人で医師だったエル・チェだった。アルジェリア対仏独立戦争期のイデオローグ、フランツ・ファノンの影響も見受けられる。大江健三郎の言う「正統的人間」もアンガージュマン思想に立っている。
今日、キューバの若者たちは、外国での人生設計を企図し、出国してゆく。キューバ社会主義の「改革開放」の歩みの遅さに希望を失っているためだ。「新しい生き方」、これが昨今の多くの若者たちの希望となっている。
4月に就任したミゲル・ディアスカネル国家評議会議長の最重要課題の一つは、未来への人材である若者に魅力的な「繁栄する社会主義社会」を建設することなのだ。
★チェ・ゲバラの娘アレイダが経済政策を批判
医師アレイダ・ゲバラ=マルチは14日、玖通信社プレンサ・ラティーナのインタビューで、「玖労働者が給料だけで生活できないのは深刻な問題だ」と指摘。「生活費を海外からの送金に頼るのも(政策上)筋違いだ」とも語った。
アレイダは、「経済政策の失敗があったが、これを修正するのは革命体制の美点だ」と述べ、「政府は経済状況改善にもっと尽力すべきだ。エル・チェが経済建設現場にもっと必要だ」と強調した。
チェ・ゲバラは革命初期の1959~54年、農地改革庁工業局長、中央銀行総裁、工業相として経済建設に携わった。
2018年6月14日木曜日
2018年6月3日日曜日
キューバ国会が改憲案起草委員会を設置▼7月末に草案提出へ▼ベネズエラが政治暴力犯40人を新たに釈放▼スペイン新首相が就任
キューバ人民権力全国会議(ANPP,国会に相当)は6月2日、特別本会議を開き、憲法改正案起草委員会設立を全会一致で決議した。
委員会はANPP議員33人で構成される。委員長はラウール・カストロ共産党第1書記、副委員長はミゲル・ディアスカネル国家評議会議長。委員会は、改憲草案を7月末のANPP通常会期に提案することになっている。
現行の社会主義憲法は1976年に公布され、1992年と2002年に改正された。ディアスカネル議長はANPPでの演説で、2011年の党大会で「経済・社会現代化(改革)指針」が導入されたのを受けて改憲が必要になったと説明。
さらに、人道主義、社会正義、社会主義堅持、国民団結、共産党の前衛の役割、を基本理念とする、と表明した。
起草委員会に長老ホセ=ラモーン・マチャード第2書記は入っているが、別の長老で守旧派筆頭と見られているラミーロ・バルデス革命司令官(国家評議会副議長)は加わっていない。
一方、クバーナ(国営キューバ航空)は2日、国内便全便の運航を9月まで停止すると発表した。112人が死亡した5月18日のクーバナ国内便墜落事故を受け、全機の機体点検のため。
墜落機はメキシコから借りていた機体だった。110人が死亡、3人が救助されたが、うち2人はその後死亡した。
▼べネズエラがさらに40人釈放
政府は6月2日、街頭暴力事件加担などで逮捕、拘禁されていた40人を釈放した。前日の39人に続くもので、計79人に達した。いずれも殺人など重罪に直接関係していない者とされる。
政府はまた、通貨ボリーバルのデノミネーションを8月4日実施すると発表した。
▼スペイン新首相が就任
スペイン労働社会党(PSOE=ぺソエ)のペドロ・サンチェス書記長が6月2日、首相に就任した。モンクロア宮殿でフェリーペ6世国王の前で、憲法に基づき宣誓した。就任式に付き物のキリスト受難像も聖書も用いられなかった。
同じく就任したばかりのカタルーニャ州のキム・トーラ新首相は、サンチェス首相に、「カタルーニャ問題で対話しよう。互いにリスクを負おう」と呼び掛けた。
委員会はANPP議員33人で構成される。委員長はラウール・カストロ共産党第1書記、副委員長はミゲル・ディアスカネル国家評議会議長。委員会は、改憲草案を7月末のANPP通常会期に提案することになっている。
現行の社会主義憲法は1976年に公布され、1992年と2002年に改正された。ディアスカネル議長はANPPでの演説で、2011年の党大会で「経済・社会現代化(改革)指針」が導入されたのを受けて改憲が必要になったと説明。
さらに、人道主義、社会正義、社会主義堅持、国民団結、共産党の前衛の役割、を基本理念とする、と表明した。
起草委員会に長老ホセ=ラモーン・マチャード第2書記は入っているが、別の長老で守旧派筆頭と見られているラミーロ・バルデス革命司令官(国家評議会副議長)は加わっていない。
一方、クバーナ(国営キューバ航空)は2日、国内便全便の運航を9月まで停止すると発表した。112人が死亡した5月18日のクーバナ国内便墜落事故を受け、全機の機体点検のため。
墜落機はメキシコから借りていた機体だった。110人が死亡、3人が救助されたが、うち2人はその後死亡した。
▼べネズエラがさらに40人釈放
政府は6月2日、街頭暴力事件加担などで逮捕、拘禁されていた40人を釈放した。前日の39人に続くもので、計79人に達した。いずれも殺人など重罪に直接関係していない者とされる。
政府はまた、通貨ボリーバルのデノミネーションを8月4日実施すると発表した。
▼スペイン新首相が就任
スペイン労働社会党(PSOE=ぺソエ)のペドロ・サンチェス書記長が6月2日、首相に就任した。モンクロア宮殿でフェリーペ6世国王の前で、憲法に基づき宣誓した。就任式に付き物のキリスト受難像も聖書も用いられなかった。
同じく就任したばかりのカタルーニャ州のキム・トーラ新首相は、サンチェス首相に、「カタルーニャ問題で対話しよう。互いにリスクを負おう」と呼び掛けた。
2018年5月31日木曜日
キューバ議長が初外遊で同盟国ベネズエラを訪問▼議会演説で「米帝国主義」を糾弾▼マドゥーロ大統領と生産力拡大政策に基づく協力強化を話し合う▼パラグアイ国会は大統領早期辞任を事実上拒否
キューバのミゲル・ディアスカネル国家評議会議長は5月30日、べネズエラを公式訪問した。4月19日の議長就任後最初の訪問国に、原油を好条件で供給してくれる同盟国ベネズエラを選んだ。
議長は小型専用機でカラカス空港に到着、タレク・エルアイサミ副大統領、ホルヘ・アレアサ外相らの出迎えを受けた。議長にはリス・クエスタ夫人、ブルーノ・ロドリゲス外相らが同行している。
一行は国立墓苑内のシモン・ボリーバル廟と、「丘上の砦」にあるウーゴ・チャベス廟に参った。
議長は、国会議事堂で開かれた制憲議会(ANC)で10分余り演説、「さる20日のベネズエラ大統領選挙におけるニコラース・マドゥーロ大統領の再選を、キューバ人は我が事のように感じていた」と述べ、「この勝利はラ米全体の勝利だ」と讃えた。
また「米帝国主義の介入」を非難し、「ボリバリアーナ革命は、米国や右翼諸国には不快なのだろうが、ベネズエラ国民は幸せに感じている」と指摘した。
さらに「ベネズエラのきょうだい国民は、キューバの不変の支持を当てにできる」と強調。故フィデル・カストロ元議長の革命標語だった「祖国か死か、勝利ずるぞ」で演説を締め括った。
ANCのデルシー・ロドリゲス議長は、「ベネズエラが内外からの脅威に晒されている時に連帯してくれた」と、キューバの姿勢と議長来訪に感謝の意を表した。
議長は政庁でマドゥーロ大統領と会談した。マドゥーロはディアスカネル議長就任後、直ちにハバナを訪問、最初に会談した外国元首。
両首脳は「歴史的紐帯強化」で一致。マドゥーロ大統領は「向こう10年間の生産力総合的拡大政策」に基づき、エネルギー・経済・通商・金融協力強化、工業・農業・鉱業・観光の合弁事業新規開始を玖議長と話し合った、と明らかにした。
▼パラグアイ大統領は早期辞任不可
オラシオ・カルテス大統領は7月1日に上院議員に就任するため、8月15日の任期切れより2か月半早く辞任したいと表明していたが、国会は5月30日、定足数不足で早期辞任の是非を審議できなかった。政権党(コロラード党)議員にも反対者が出た。
これにより大統領は事実上、辞任を拒否され、任期満了までその地位に留まらねばならなくなった。満了と同時に、大統領経験者として終身上院議員になれるが、議場での発言権はあっても議決(投票)権はない。カルテスは議決権を持つ議員になろうと5月末の大統領辞任を求めたが、国会からはねつけられた形になった。
現在の上院議長フェルナンド・ルーゴ元大統領は決議権を持つ。「国会クーデター」と呼ばれた弾劾で大統領任期を全うできず下野、その後の選挙で当選したからだ。
議長は小型専用機でカラカス空港に到着、タレク・エルアイサミ副大統領、ホルヘ・アレアサ外相らの出迎えを受けた。議長にはリス・クエスタ夫人、ブルーノ・ロドリゲス外相らが同行している。
一行は国立墓苑内のシモン・ボリーバル廟と、「丘上の砦」にあるウーゴ・チャベス廟に参った。
議長は、国会議事堂で開かれた制憲議会(ANC)で10分余り演説、「さる20日のベネズエラ大統領選挙におけるニコラース・マドゥーロ大統領の再選を、キューバ人は我が事のように感じていた」と述べ、「この勝利はラ米全体の勝利だ」と讃えた。
また「米帝国主義の介入」を非難し、「ボリバリアーナ革命は、米国や右翼諸国には不快なのだろうが、ベネズエラ国民は幸せに感じている」と指摘した。
さらに「ベネズエラのきょうだい国民は、キューバの不変の支持を当てにできる」と強調。故フィデル・カストロ元議長の革命標語だった「祖国か死か、勝利ずるぞ」で演説を締め括った。
ANCのデルシー・ロドリゲス議長は、「ベネズエラが内外からの脅威に晒されている時に連帯してくれた」と、キューバの姿勢と議長来訪に感謝の意を表した。
議長は政庁でマドゥーロ大統領と会談した。マドゥーロはディアスカネル議長就任後、直ちにハバナを訪問、最初に会談した外国元首。
両首脳は「歴史的紐帯強化」で一致。マドゥーロ大統領は「向こう10年間の生産力総合的拡大政策」に基づき、エネルギー・経済・通商・金融協力強化、工業・農業・鉱業・観光の合弁事業新規開始を玖議長と話し合った、と明らかにした。
▼パラグアイ大統領は早期辞任不可
オラシオ・カルテス大統領は7月1日に上院議員に就任するため、8月15日の任期切れより2か月半早く辞任したいと表明していたが、国会は5月30日、定足数不足で早期辞任の是非を審議できなかった。政権党(コロラード党)議員にも反対者が出た。
これにより大統領は事実上、辞任を拒否され、任期満了までその地位に留まらねばならなくなった。満了と同時に、大統領経験者として終身上院議員になれるが、議場での発言権はあっても議決(投票)権はない。カルテスは議決権を持つ議員になろうと5月末の大統領辞任を求めたが、国会からはねつけられた形になった。
現在の上院議長フェルナンド・ルーゴ元大統領は決議権を持つ。「国会クーデター」と呼ばれた弾劾で大統領任期を全うできず下野、その後の選挙で当選したからだ。
2018年5月24日木曜日
悪名高いキューバ系テロリスト、ルイス・ポサーダ=カリーレス(90)が死去▼1976年10月のキューバ航空旅客機空中爆破事件の黒幕▼フィデル・カストロ暗殺には失敗▼元CIA・米陸軍要員★映画「エルネスト」上映会と座談会のお知らせ
CIAの悪名高いキューバ系テロリスト、ルイス・ポサーダ=カリーレス(90歳、帰化しベネズエラ国籍、以下LPC)が5月23日、米フロリダ州ミラマルの退役軍人官舎で死去した。晩年は米当局に匿われて生きていた。
LPCは1928年、玖シエンフエゴス市生まれ。ハバナ大学で化学を学んだ。59年元日の革命後、反革命行動に参加。61年、刑務所を逃れメキシコ経由で米国入りした。
同年、中央情報局(CIA)に入り、破壊活動、対人テロな訓練を受ける。その年4月の、ヒロン浜侵攻作戦の準備に参加。出撃はしなかった。
67年から亜国、チリ、エル・サルバドール、グアテマラ、ベネズエラが、それぞれ軍政下にあった時期、政府安全保障顧問として活動。
71年、フィデル・カストロ玖首相が訪智時、カメラマンを装った暗殺犯がフィデル殺害に失敗した。この事件の黒幕がLPCだった。
76年9月には、ワシントンでアジェンデ政権時代の外相オルランド・ㇾテリエル暗殺の黒幕となった。
★同年10月6日、カラカス発ハバナ行きキューバ航空旅客を空中爆破。その主犯としてベネズエラで逮捕さる。73人が死んだこの事件を受けてキュ―バ政府は、LPCの身柄引き渡しを要求し続けることになる。
81年、レーガン米政権下で「玖系米国人財団」(CANF)がマイアミにできると、その庇護を受けるようになる。
85年8月、刑務所を脱走、ホンジュラス、グアテマラ、エル・サルバドールに居住。ハバナ市内のホテルで97年、爆弾事件を起こす。イタリア人旅行者1人が死亡した。子の黒幕でもあった。
2000年パナマ市に国際会議議出席のため滞在するフィデル・カストロ爆殺を工作、未然に終わる。パナマで逮捕されるが釈放され、05年米入国。
その後、軟禁されたり、有罪判決を受けたりしたが、結局はあいまいなまま釈放された。無処罰のまま死んでいった。2度結婚、2児の父だった。
フィデルを「正面の敵」と捉えていたが、フィデルが90歳で死んだ2年後、「不世出」のテロリストも同じく90歳で死んでいった。
★映画会と座談会
6月8日、府中市朝日町の東京外語大学で。映画「エルネスト」上映および座談会(阪本順治監督、伊高浩昭、翻訳家・松枝愛)。
会場1730、上映1800~2004、座談会2010から小一時間。入場無料、先着500人。
LPCは1928年、玖シエンフエゴス市生まれ。ハバナ大学で化学を学んだ。59年元日の革命後、反革命行動に参加。61年、刑務所を逃れメキシコ経由で米国入りした。
同年、中央情報局(CIA)に入り、破壊活動、対人テロな訓練を受ける。その年4月の、ヒロン浜侵攻作戦の準備に参加。出撃はしなかった。
67年から亜国、チリ、エル・サルバドール、グアテマラ、ベネズエラが、それぞれ軍政下にあった時期、政府安全保障顧問として活動。
71年、フィデル・カストロ玖首相が訪智時、カメラマンを装った暗殺犯がフィデル殺害に失敗した。この事件の黒幕がLPCだった。
76年9月には、ワシントンでアジェンデ政権時代の外相オルランド・ㇾテリエル暗殺の黒幕となった。
★同年10月6日、カラカス発ハバナ行きキューバ航空旅客を空中爆破。その主犯としてベネズエラで逮捕さる。73人が死んだこの事件を受けてキュ―バ政府は、LPCの身柄引き渡しを要求し続けることになる。
81年、レーガン米政権下で「玖系米国人財団」(CANF)がマイアミにできると、その庇護を受けるようになる。
85年8月、刑務所を脱走、ホンジュラス、グアテマラ、エル・サルバドールに居住。ハバナ市内のホテルで97年、爆弾事件を起こす。イタリア人旅行者1人が死亡した。子の黒幕でもあった。
2000年パナマ市に国際会議議出席のため滞在するフィデル・カストロ爆殺を工作、未然に終わる。パナマで逮捕されるが釈放され、05年米入国。
その後、軟禁されたり、有罪判決を受けたりしたが、結局はあいまいなまま釈放された。無処罰のまま死んでいった。2度結婚、2児の父だった。
フィデルを「正面の敵」と捉えていたが、フィデルが90歳で死んだ2年後、「不世出」のテロリストも同じく90歳で死んでいった。
★映画会と座談会
6月8日、府中市朝日町の東京外語大学で。映画「エルネスト」上映および座談会(阪本順治監督、伊高浩昭、翻訳家・松枝愛)。
会場1730、上映1800~2004、座談会2010から小一時間。入場無料、先着500人。
2018年5月19日土曜日
キューバ航空運航の旅客機がハバナ空港離陸直後に墜落▼3人重体、110人死亡▼機体はメキシコ航空会社から貸与▼キューバ観光産業に痛手▼アルゼンチン政権はキューバとの関係立て直しへ
キューバの首都ハバナ郊外で5月18日、旅客機が墜落した。110人が死亡、生存者は3人。
国営航空(クバーナ・デ・アビアシオン)運営のボーイング737-200型機(乗客・乗員113人)オルギン市行き国内便はホセ・マルティ国際空港を離陸して間もない12時08分、サンティアゴデラスベガス手前の農地に墜落、炎上した。
ハバナ空港では、ヤシの木などが茂る彼方の森の方面で黒煙が舞い上がる光景が撮影されている。離陸を見送ったばかりの整備員らが頭を抱える様子も映っている。
玖運輸省発表によれば、生存者は女性3人で、病院に搬送されたが、いすれも重体。死亡した110人のうちキューバ人は99人。乗客5人が外国人で、亜国2、サハラウイ2、メヒコ1。乗員6人はメキシコ人。
機はメキシコのダモー(DAMOJH)航空から貸与されていた。メキシコ民間航空局の安全管理下にあった。
目的地は、ハバナ東南東670kmのオルギン州都オルギン市だった。同市一帯は観光地として人気が上昇中。市郊外には、カストロ一族の生家跡がある。
ミゲル・ディアスカネル国家評議会議長は現場に急行、死者への哀悼の意を表明。事故原因を徹底調査すると述べた。観光は、キューバにとって外貨を稼ぐ重要産業。旅客機の墜落事故は痛手だ。
▼マクリ亜国政権がキューバとの関係強化へ
マクリ政権は5月18日、マルコス・ペニャ首席閣僚とフルビオ・ポンぺオ政府戦略問題担当官を24日ハバナに派遣し、ミゲル・ディアスカネル玖政権と話し合うと発表した。
亜玖関係は、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル前大統領の8年間と、その前の故ネストル・キルチネル大統領(クリスティーナの夫)の4年間には緊密だった。
2015年末に発足した財界右翼主体のマクリ政権は親米路線に舵を切ったが、経済が悪化。ペソが暴落し、国際通貨基金(IMF)IMFに支援を求めている。
政権発足後最大の危機に直面したマウリシオ・マクリ大統領は、来年の大統領選挙を念頭に国内世論も意識。トランプ米政権から「新冷戦」攻勢をかけられているキューバへの「接近姿勢」を示そうとしているわけだ。
ブエノスアイレスでは20~21日、G20外相会合が開かれる。
国営航空(クバーナ・デ・アビアシオン)運営のボーイング737-200型機(乗客・乗員113人)オルギン市行き国内便はホセ・マルティ国際空港を離陸して間もない12時08分、サンティアゴデラスベガス手前の農地に墜落、炎上した。
ハバナ空港では、ヤシの木などが茂る彼方の森の方面で黒煙が舞い上がる光景が撮影されている。離陸を見送ったばかりの整備員らが頭を抱える様子も映っている。
玖運輸省発表によれば、生存者は女性3人で、病院に搬送されたが、いすれも重体。死亡した110人のうちキューバ人は99人。乗客5人が外国人で、亜国2、サハラウイ2、メヒコ1。乗員6人はメキシコ人。
機はメキシコのダモー(DAMOJH)航空から貸与されていた。メキシコ民間航空局の安全管理下にあった。
目的地は、ハバナ東南東670kmのオルギン州都オルギン市だった。同市一帯は観光地として人気が上昇中。市郊外には、カストロ一族の生家跡がある。
ミゲル・ディアスカネル国家評議会議長は現場に急行、死者への哀悼の意を表明。事故原因を徹底調査すると述べた。観光は、キューバにとって外貨を稼ぐ重要産業。旅客機の墜落事故は痛手だ。
▼マクリ亜国政権がキューバとの関係強化へ
マクリ政権は5月18日、マルコス・ペニャ首席閣僚とフルビオ・ポンぺオ政府戦略問題担当官を24日ハバナに派遣し、ミゲル・ディアスカネル玖政権と話し合うと発表した。
亜玖関係は、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル前大統領の8年間と、その前の故ネストル・キルチネル大統領(クリスティーナの夫)の4年間には緊密だった。
2015年末に発足した財界右翼主体のマクリ政権は親米路線に舵を切ったが、経済が悪化。ペソが暴落し、国際通貨基金(IMF)IMFに支援を求めている。
政権発足後最大の危機に直面したマウリシオ・マクリ大統領は、来年の大統領選挙を念頭に国内世論も意識。トランプ米政権から「新冷戦」攻勢をかけられているキューバへの「接近姿勢」を示そうとしているわけだ。
ブエノスアイレスでは20~21日、G20外相会合が開かれる。
2018年5月5日土曜日
マルクス生誕200周年にキューバで記念行事、ホセ・マルティと対比▼ペルーではマリアテギと比べる▼べネズエラ大統領は人民民主主義を唱える★「週刊金曜日」5月11日号に映画「マルクス・エンゲルス」評掲載
カール・マルクス(1818~83)の生誕200周年(5月5日)に際し、社会主義体制のキューバでは幾つかの記念行事が催された。
玖労働者中央同盟(CTC)の機関紙トラバハドーレス(4日付)は、マルクスの熟年・晩年期に青年期にあったキューバ最大の知識人ホセ・マルティ(1853~95)が、「弱者の側に立つことは名誉に値する」と述べていたことを伝えた。
さらにマルクスについて、「世界を新しい基盤に置くため闘った」と評価していたことにも触れた。だが同紙は、マルティがマルクスの唱えた階級闘争に否定的見方を打ち出していたことには触れなかった。
ハバナにあるラウール・ロア=ガルシア国際関係高等研究所では4日、「マルティ、マルクス、玖社会主義」と題したシンポジウムが開かれた。
「マルティとマルクスに、社会正義と公共の善のために活動する道を我々は見出した」、「マルクス主義は過去の遺物では決してなく、生きている科学として、時代に反逆する思想を持つことが急務である現代の状況を批判的に分析する方法を与えてくれる」などの意見が出された。
この会合は、ホセ・マルティ文化協会(SCJM)とマルティ研究所(CEM)が主催。マルティ青年運動(MJM)、「フラグア・マルティ博物館」(MFM)なども参加した。
玖作家・芸術家連盟(UNEAC)UNEACも5日、記念会合を開いた。
ペルーのリマで開かれたフォーラムでは、同国共産党創設者で思想家のホセ=カルロス・マリアテギ(1894~1930)とマルクスを対比させる形で議論が展開された。
また、英知識人らの意見もラ米各紙で紹介された。「共産主義はマルクスとエンゲルスが想定したようにはならなず、ソ連圏がなくなり、世界は資本制に凌駕された」という意見や、「極少数者への富の集中と絶望的貧富格差、市場全球化、労働を伴わない取引による利潤獲得など、現代資本制の歪みをマルクスは19世紀に予測していた」との評価も伝えられた。
「そんな現代だからこそ、マルクスの価値が再評価されるべきだ」という意見が少なくない。
一方、「ボリーバル主義(ボリバリアーナ)革命」と「21世紀型社会主義」を標榜するベネズエラのニコラース・マドゥ―ロ大統領は4日、マルクスには触れずに、「世界のほとんどの民主主義は選良による選良のためのものだが、我々のは最大多数者のための人民民主主義だ」と述べた。
★「週刊金曜日」誌5月11日号映画欄(56P)に、仏独ベルギー合作「マルクス・エンゲルス」(岩波ホール上映中)の評「時に無頼な<革命的生き様>描く」を書きました。ご参考まで。
玖労働者中央同盟(CTC)の機関紙トラバハドーレス(4日付)は、マルクスの熟年・晩年期に青年期にあったキューバ最大の知識人ホセ・マルティ(1853~95)が、「弱者の側に立つことは名誉に値する」と述べていたことを伝えた。
さらにマルクスについて、「世界を新しい基盤に置くため闘った」と評価していたことにも触れた。だが同紙は、マルティがマルクスの唱えた階級闘争に否定的見方を打ち出していたことには触れなかった。
ハバナにあるラウール・ロア=ガルシア国際関係高等研究所では4日、「マルティ、マルクス、玖社会主義」と題したシンポジウムが開かれた。
「マルティとマルクスに、社会正義と公共の善のために活動する道を我々は見出した」、「マルクス主義は過去の遺物では決してなく、生きている科学として、時代に反逆する思想を持つことが急務である現代の状況を批判的に分析する方法を与えてくれる」などの意見が出された。
この会合は、ホセ・マルティ文化協会(SCJM)とマルティ研究所(CEM)が主催。マルティ青年運動(MJM)、「フラグア・マルティ博物館」(MFM)なども参加した。
玖作家・芸術家連盟(UNEAC)UNEACも5日、記念会合を開いた。
ペルーのリマで開かれたフォーラムでは、同国共産党創設者で思想家のホセ=カルロス・マリアテギ(1894~1930)とマルクスを対比させる形で議論が展開された。
また、英知識人らの意見もラ米各紙で紹介された。「共産主義はマルクスとエンゲルスが想定したようにはならなず、ソ連圏がなくなり、世界は資本制に凌駕された」という意見や、「極少数者への富の集中と絶望的貧富格差、市場全球化、労働を伴わない取引による利潤獲得など、現代資本制の歪みをマルクスは19世紀に予測していた」との評価も伝えられた。
「そんな現代だからこそ、マルクスの価値が再評価されるべきだ」という意見が少なくない。
一方、「ボリーバル主義(ボリバリアーナ)革命」と「21世紀型社会主義」を標榜するベネズエラのニコラース・マドゥ―ロ大統領は4日、マルクスには触れずに、「世界のほとんどの民主主義は選良による選良のためのものだが、我々のは最大多数者のための人民民主主義だ」と述べた。
★「週刊金曜日」誌5月11日号映画欄(56P)に、仏独ベルギー合作「マルクス・エンゲルス」(岩波ホール上映中)の評「時に無頼な<革命的生き様>描く」を書きました。ご参考まで。
2018年4月20日金曜日
キューバ共産党の次期第1書記はミゲル・ディアスカネル議長、とラウール・カストロ前議長が言明▼新議長はラウール世代の意志決定尊重を誓う
キューバのミゲル・ディアスカネル国家評議会議長(20日で58歳)は4月19日、人民権力全国会議(ANPP)での就任演説で、ラウール・カストロ前議長(6月で87歳)ら革命戦争を戦った「歴史的世代」の長老たちに敬意と感謝を表明。「過ちと規律不足を正し、革命を継続、社会主義革命を守り完全なものにする」と強調した。
さらに「必要な改革は、キューバ主権に基づいて決定される」とのべ、米国など外部からの譲歩要求の干渉をはね付ける意志を表明した。
また「われわれはキューバだ。つまり抵抗・歓喜・創造・連帯・人生だ」と謳い上げた。そして「フィデルが次世代の役割を果たしたように、我々は自分たちの世代の役割を担う」と語った。
最後は「祖国か死か。社会主義か死か。勝利するぞ!」とこぶしを固めた右手を振り上げて感動気味に叫び、フィデルの革命用語を使って演説を締めくくった。30分の演説だった。
次いで、ラウール前議長が退任演説を1時間半に亘り、冗談をちりばめながら上機嫌でぶった。「規定通り2021年4月まで共産党(PCC)第1書記に留まるが、中途で私が死んだらディアスカネル議長が後を継ぐ。議長と第1書記が同一人物になるのが望ましい」と述べた。この発言には権力闘争を避ける狙いがある。
また「彼(新議長)は即席の指導者ではない。偶然でも急ぎの決定の産物でもない。イデオロギー、政治感覚、革命への関与と忠誠の結果だ」と強調、新議長体制を支援してゆくと述べた。
だが、「私がしたように、2期(10年)務めたら後任に地位を譲らねばならい」と釘を刺すのを忘れなかった。
さらにANPP内に委員会を設置し、改憲案を起草、7月に提示すると約束した。長年の課題である二重通貨制度解消問題については、「通貨の一本化は依然頭痛の種だ」と述べ、難題であることを想起させた。
外交ではトランプ米政権を「新覇権主義」と指摘、先週リマでの米州首脳会議でブルーノ・ロドリゲス玖外相がマイク・ペンス米副大統領によるキューバとベネズエラへの内政干渉発言に対し堂々と反駁したのを讃えた。
ラウールは「次はメイデー行進の場で会おう」と言い演説を終え、新議長に見送られて議場を後にした。
堂々と
さらに「必要な改革は、キューバ主権に基づいて決定される」とのべ、米国など外部からの譲歩要求の干渉をはね付ける意志を表明した。
また「われわれはキューバだ。つまり抵抗・歓喜・創造・連帯・人生だ」と謳い上げた。そして「フィデルが次世代の役割を果たしたように、我々は自分たちの世代の役割を担う」と語った。
最後は「祖国か死か。社会主義か死か。勝利するぞ!」とこぶしを固めた右手を振り上げて感動気味に叫び、フィデルの革命用語を使って演説を締めくくった。30分の演説だった。
次いで、ラウール前議長が退任演説を1時間半に亘り、冗談をちりばめながら上機嫌でぶった。「規定通り2021年4月まで共産党(PCC)第1書記に留まるが、中途で私が死んだらディアスカネル議長が後を継ぐ。議長と第1書記が同一人物になるのが望ましい」と述べた。この発言には権力闘争を避ける狙いがある。
また「彼(新議長)は即席の指導者ではない。偶然でも急ぎの決定の産物でもない。イデオロギー、政治感覚、革命への関与と忠誠の結果だ」と強調、新議長体制を支援してゆくと述べた。
だが、「私がしたように、2期(10年)務めたら後任に地位を譲らねばならい」と釘を刺すのを忘れなかった。
さらにANPP内に委員会を設置し、改憲案を起草、7月に提示すると約束した。長年の課題である二重通貨制度解消問題については、「通貨の一本化は依然頭痛の種だ」と述べ、難題であることを想起させた。
外交ではトランプ米政権を「新覇権主義」と指摘、先週リマでの米州首脳会議でブルーノ・ロドリゲス玖外相がマイク・ペンス米副大統領によるキューバとベネズエラへの内政干渉発言に対し堂々と反駁したのを讃えた。
ラウールは「次はメイデー行進の場で会おう」と言い演説を終え、新議長に見送られて議場を後にした。
堂々と
社会主義キューバにミゲル・ディアスカネル議長の新政権が発足
キューバで4月19日、ミゲル・ディアスカネル国家評議会議長が正式に就任、新政権が発足した。新議長は就任演説でカストロ兄弟の遺産や教えを守ると強調、現状を維持しつつ経済改革や改憲を進めてゆくことになる。
1959年元日の革命で権力を掌握したフィデル・カストロ反乱軍最高司令官は、同年2月首相に就任。65年に新しい玖共産党(PCC)の発足に伴い、第1書記になった。
76年にはソ連型政治機構に移行、大統領制は廃止され、フィデルは国家評議会議長(国家元首)兼・閣僚評議会議長(首相)となり、革命軍最高司令官と第1書記も兼任した。
フィデルは2006年7月、大腸癌とされる重病で倒れ、実弟ラウール・カストロ革命軍相兼第2書記(当時)ら集団指導部に政権を暫定的に委譲、回復を期した。だが叶わず08年2月、正式にラウールに政権を渡した。
ラウールは長年、兄フィデルの政治を陰で支え続け、キューバの抱える問題点を知り尽くしていた。1人の人物の長期支配の弊害も知り、要職の任期を1期5年、1人2期までと決めた。
11年のPCC大会で第1書記に就任、市場原理を導入する経済社会改革に着手。16年のPCC大会で改革路線継続を確認した。13年1月移民法を改正、出入国を大幅に自由化した。
13年2月、2期目に入ったラウールは30歳若いディアスカネルを第1副議長に抜擢、帝王学を授けてきた。14年12月、バラク・オバマ米大統領と国交正常化で合意、15年7月国交を54年ぶりに回復。16年3月にはオバマが訪玖した。
ラウールは21年の次回第8回PCC大会まで第1書記として新議長の後ろ盾となる。新議長は党政治局員だが、それまで3年間の施政が成功すれば、第1書記に道が開かれる。
6月に87歳になるラウールは、生まれ故郷に近く、革命戦争を戦ったマエストラ山脈東方のサンティアゴ市で余生を送りたい構え。妻ビルマ・エスピンやフィデルの墓もある。だが党務をこなし革命軍の団結を図りながら、新議長を支えねばならない。
ディアスカネル議長は、オバマ前政権とは打って変わったトランプ米政権の締め付けの下で、難しい対米関係や経済改革の舵取りを迫られる。
1959年元日の革命で権力を掌握したフィデル・カストロ反乱軍最高司令官は、同年2月首相に就任。65年に新しい玖共産党(PCC)の発足に伴い、第1書記になった。
76年にはソ連型政治機構に移行、大統領制は廃止され、フィデルは国家評議会議長(国家元首)兼・閣僚評議会議長(首相)となり、革命軍最高司令官と第1書記も兼任した。
フィデルは2006年7月、大腸癌とされる重病で倒れ、実弟ラウール・カストロ革命軍相兼第2書記(当時)ら集団指導部に政権を暫定的に委譲、回復を期した。だが叶わず08年2月、正式にラウールに政権を渡した。
ラウールは長年、兄フィデルの政治を陰で支え続け、キューバの抱える問題点を知り尽くしていた。1人の人物の長期支配の弊害も知り、要職の任期を1期5年、1人2期までと決めた。
11年のPCC大会で第1書記に就任、市場原理を導入する経済社会改革に着手。16年のPCC大会で改革路線継続を確認した。13年1月移民法を改正、出入国を大幅に自由化した。
13年2月、2期目に入ったラウールは30歳若いディアスカネルを第1副議長に抜擢、帝王学を授けてきた。14年12月、バラク・オバマ米大統領と国交正常化で合意、15年7月国交を54年ぶりに回復。16年3月にはオバマが訪玖した。
ラウールは21年の次回第8回PCC大会まで第1書記として新議長の後ろ盾となる。新議長は党政治局員だが、それまで3年間の施政が成功すれば、第1書記に道が開かれる。
6月に87歳になるラウールは、生まれ故郷に近く、革命戦争を戦ったマエストラ山脈東方のサンティアゴ市で余生を送りたい構え。妻ビルマ・エスピンやフィデルの墓もある。だが党務をこなし革命軍の団結を図りながら、新議長を支えねばならない。
ディアスカネル議長は、オバマ前政権とは打って変わったトランプ米政権の締め付けの下で、難しい対米関係や経済改革の舵取りを迫られる。
2018年4月19日木曜日
★キューバ国会が国家評議会員31人を選出。ミゲル・ディアスカネル第1副議長が議長候補に▼注目の第1副議長候補には労働界代表のサルバドール・バルデス=メサ▼全体的にラウール路線継続の色合い
社会主義キューバの人民権力全国会議(ANPP,国会)は4月18日、首都ハバナの会議殿堂で特別本会議を開き、3月の選挙で当選した605人(うち1人欠席)の議員が就任、同議会内に設置される最高意志決定機関、国家評議会の会員候補31人を選出した。
ラウール・カストロ現国家評議会議長の後任には、ミゲル・ディアスカネル現第1副議長が予想通り推挙された。同氏は57歳だが、間もなく58歳になる。
第1副議長には、元キューバ労働者中央同盟(CTC)議長サルバドール・バルデス=メサが推薦された。就任すれば、エステバン・ラソANPP議長と並び、黒人系最高位となる。
5人の副議長には、ラミーロ・バルデス(85)、ロベルト・モラレス、グラディス・ベへラーノ、イネース=マリーア・チャプマン、ベアトゥリス・ジョンソンが推薦された。グラディス以下3人は女性。
また「官房長官」役の書記には、オメーロ・アコスタが推挙された。他の23人は平会員。事実上の決定で、31人は19日正式に就任する。
ラウール議長は政権を離れ、共産党(PCC)第1書記として、新議長の後ろ盾になる。
今回の人事の特色は、第1副議長に労働界指導者バルデス=メサが内定したこと、および革命第1世代のラミーロ・バルデスが5人の副議長の首席の地位に就くこと。
バルデス=メサは72歳で旧世代に繋がり、「労働者主体の経済改革」というラウール政権の建前(政策)を継承する。また革命司令官ラミーロはラウールの腹心として、新しい国家評議会に「にらみ」を利かせることになる。
女性3人の副議長登用は、「男女平等」政策にほぼ合致する。
新議長となるディアスカネルは電気技師。出身州ビージャクラーラで共産主義青年同盟(UJC)幹部となり、次いで同州共産党第1書記に就任。大学で教鞭もとった。
ラウール議長は2013年に自身の後継者の地位である第1副議長に抜擢、「帝王学」を授けてきた。
2016年半ばに来日し、安倍首相らと会談した。この時の招待で安倍首相は同年9月末、日本の首相として初めてキューバを訪問し、カストロ兄弟と会談した。
首相はラウール議長の訪日を招待したが、実現しないまま議長は19日任期を終える。ディアスカネル新議長が日本をキューバ議長として初めて公式訪問する可能性がある。
故フィデル・カストロ前議長は非公式に2度来日した。
18日にはANPP議長選挙もあり、エステバン・ラソ現議長が再任された。議員605人のうち女性は322人、男性は283人。
これでカストロ一族でない人物が初めてキューバ政府の最高指導者になることが確定した。1959年元日の革命から実に59年、ようやく世代交代が実現する。
一方、ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は18日、ラウール議長を祝福するメッセージを送り、近くディアスカネル新議長に会うため訪玖したいと述べた。
ラウール・カストロ現国家評議会議長の後任には、ミゲル・ディアスカネル現第1副議長が予想通り推挙された。同氏は57歳だが、間もなく58歳になる。
第1副議長には、元キューバ労働者中央同盟(CTC)議長サルバドール・バルデス=メサが推薦された。就任すれば、エステバン・ラソANPP議長と並び、黒人系最高位となる。
5人の副議長には、ラミーロ・バルデス(85)、ロベルト・モラレス、グラディス・ベへラーノ、イネース=マリーア・チャプマン、ベアトゥリス・ジョンソンが推薦された。グラディス以下3人は女性。
また「官房長官」役の書記には、オメーロ・アコスタが推挙された。他の23人は平会員。事実上の決定で、31人は19日正式に就任する。
ラウール議長は政権を離れ、共産党(PCC)第1書記として、新議長の後ろ盾になる。
今回の人事の特色は、第1副議長に労働界指導者バルデス=メサが内定したこと、および革命第1世代のラミーロ・バルデスが5人の副議長の首席の地位に就くこと。
バルデス=メサは72歳で旧世代に繋がり、「労働者主体の経済改革」というラウール政権の建前(政策)を継承する。また革命司令官ラミーロはラウールの腹心として、新しい国家評議会に「にらみ」を利かせることになる。
女性3人の副議長登用は、「男女平等」政策にほぼ合致する。
新議長となるディアスカネルは電気技師。出身州ビージャクラーラで共産主義青年同盟(UJC)幹部となり、次いで同州共産党第1書記に就任。大学で教鞭もとった。
ラウール議長は2013年に自身の後継者の地位である第1副議長に抜擢、「帝王学」を授けてきた。
2016年半ばに来日し、安倍首相らと会談した。この時の招待で安倍首相は同年9月末、日本の首相として初めてキューバを訪問し、カストロ兄弟と会談した。
首相はラウール議長の訪日を招待したが、実現しないまま議長は19日任期を終える。ディアスカネル新議長が日本をキューバ議長として初めて公式訪問する可能性がある。
故フィデル・カストロ前議長は非公式に2度来日した。
18日にはANPP議長選挙もあり、エステバン・ラソ現議長が再任された。議員605人のうち女性は322人、男性は283人。
これでカストロ一族でない人物が初めてキューバ政府の最高指導者になることが確定した。1959年元日の革命から実に59年、ようやく世代交代が実現する。
一方、ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は18日、ラウール議長を祝福するメッセージを送り、近くディアスカネル新議長に会うため訪玖したいと述べた。
2018年4月17日火曜日
キューバ議会が18日、最高幹部31人選出へ▼その中から19日、次期議長(国家元首)を互選▼新議長にはミゲル・ディアスカネル第1副議長が事実上内定
キューバ各国営メディアは4月16日、人民権力全国会議(ANPP、国会に該当)が18日、国家評議会員31人を選び、19日、新しい国家評議会議長(国家元首)らが決定、就任すると一斉に報じた。
ANPP議員選挙は3月11日実施され、共産党員605人が当選した。当選者は18日に正式に就任(任期5年)し、最高決定機関である国家評議会員を議員の中から選ぶ。
選ばれた国家評議会員31人は19日、議長、第1副議長、副議長(5人)、書記を互選する。残る23人は平会委員となる。
ラウール・カストロ議長は引退するが、共産党第1書記として影響力を維持する。後任には、現第1副議長のミゲル・ディアスカネル(共産党政治局員)が内定している。
新しい第1副議長には、ブルーノ・ロドリゲス現外相(政治局員)や、共産党ハバナ支党第1書記らが有力視されている。
議長は閣僚評議会議長(首相)と革命軍(FAR)最高司令官を兼ねる。だがディアスカネルが議長になった場合、最高司令官をラウール第1書記が維持し続ける可能性があると観測されている。
4月16日は、故フィデル・カストロ前議長が首相だった1961年のこの日、キューバ革命の「社会主義革命的性格」を宣言した57周年記念日。
フィデルは、CIAがキューバの空港3か所を15日空爆し、玖軍用機を破壊、キューバ人7人が死亡、約50人が負傷したのを受け、対米抵抗の意志を示すかのように「社会主義革命的性格」を宣言した。
翌61年4月17日、ニカラグアから発信したCIA仕立ての反革命在米キューバ人1200人の部隊がキューバ南海岸コチーノス(豚)湾ラルガ浜とヒロン浜に上陸、カストロ体制打倒作戦を開始した。
だが上陸を逸早く察知したフィデルはまず民兵隊で防衛線を張り、次いで革命軍を動員して対抗した。フィデルが最前線で指揮を執り、19日までに侵攻部隊の一部を制圧、大多数を捕虜にした。
フィデルは「米帝軍事作戦に対するラ米側の勝利」と謳い、「プラヤ・ヒロン(ヒロン浜)」は、栄光の勝利の代名詞となった。
その栄光の19日に、新しい国家評議会議長が就任するわけだ。3年後の2021年のこの日は次回共産党大会の最終日となる。議長就任日をこの日に合わせたのは、将来的に議長と第1書記を一致させる狙いを持つ。
ANPP議員選挙は3月11日実施され、共産党員605人が当選した。当選者は18日に正式に就任(任期5年)し、最高決定機関である国家評議会員を議員の中から選ぶ。
選ばれた国家評議会員31人は19日、議長、第1副議長、副議長(5人)、書記を互選する。残る23人は平会委員となる。
ラウール・カストロ議長は引退するが、共産党第1書記として影響力を維持する。後任には、現第1副議長のミゲル・ディアスカネル(共産党政治局員)が内定している。
新しい第1副議長には、ブルーノ・ロドリゲス現外相(政治局員)や、共産党ハバナ支党第1書記らが有力視されている。
議長は閣僚評議会議長(首相)と革命軍(FAR)最高司令官を兼ねる。だがディアスカネルが議長になった場合、最高司令官をラウール第1書記が維持し続ける可能性があると観測されている。
4月16日は、故フィデル・カストロ前議長が首相だった1961年のこの日、キューバ革命の「社会主義革命的性格」を宣言した57周年記念日。
フィデルは、CIAがキューバの空港3か所を15日空爆し、玖軍用機を破壊、キューバ人7人が死亡、約50人が負傷したのを受け、対米抵抗の意志を示すかのように「社会主義革命的性格」を宣言した。
翌61年4月17日、ニカラグアから発信したCIA仕立ての反革命在米キューバ人1200人の部隊がキューバ南海岸コチーノス(豚)湾ラルガ浜とヒロン浜に上陸、カストロ体制打倒作戦を開始した。
だが上陸を逸早く察知したフィデルはまず民兵隊で防衛線を張り、次いで革命軍を動員して対抗した。フィデルが最前線で指揮を執り、19日までに侵攻部隊の一部を制圧、大多数を捕虜にした。
フィデルは「米帝軍事作戦に対するラ米側の勝利」と謳い、「プラヤ・ヒロン(ヒロン浜)」は、栄光の勝利の代名詞となった。
その栄光の19日に、新しい国家評議会議長が就任するわけだ。3年後の2021年のこの日は次回共産党大会の最終日となる。議長就任日をこの日に合わせたのは、将来的に議長と第1書記を一致させる狙いを持つ。
2017年8月9日水曜日
★写真展「写真家チェ・ゲバラが見た世界」始まる▼長男カミーロ・ゲバラが開場式で挨拶▼「自撮り」含む興味深い240点▼8月27日まで恵比寿ガーデンプレイスで
「写真家チェ・ゲバラが見た世界」写真展の開場式が8月8日夕刻、東京・恵比寿のガーデンプレイス・ガーデンルームで催された。7月下旬から来日中のカミーロ・ゲバラ=マルチ(55)が挨拶、「チェ・ゲバラが関わった歴史的事実と、写真家として撮影した被写体の両方を観てください」と述べた。
カミーロは、革命家エルネスト・チェ・ゲバラ(1928~67)の長男で、目鼻立ちが父親にそっくり。まさに忘れ形見だ。母アレイダ・マルチ(81)が所長を務めるチェ・ゲバラ研究所でコーディーネイターとして働く。自身も亡き父親に似て写真が趣味で、いつもキャノンを携行している。この日も会場で撮りまくっていた。
写真展は、10月6日に東京で封切られる日玖合作映画「エルネスト」(阪本順治監督、オダギリジョー主演)の関連文化行事として開かれ、チェ・ゲバラ研究所が保管する厖大な写真やネガから240点が選ばれ、展示されている。
チェ・ゲバラが撮影したものばかりで、最期の地ボリビアに乗り込んだ日の、ラパス市内のホテルの自室での、変装した自分の顔写真をはじめとする、セルフタイマーを用いた「自撮り」シリーズや、1959年7月の来日時に訪れた広島で、被爆14年後の原爆ドーム一帯を撮ったワイド写真などが特に興味深い。マヤ文明の遺跡群の写真や、汎米競技会の選手たちの躍動する姿を捉えた作品も見事だ。
開場式には、カミーロ夫妻のほか、阪本監督、キューバ大使館員、1959年に広島でゲバラを取材した中国新聞の林記者の遺族、崔監督、ジャーナリストらが出席した。私(伊高)は、解説、写真説明で写真展に協力した。
カミーロは、一般公開初日の9日夕刻、開場を訪れ、同日夜、帰国の途に就く。来日後、東京でメディア取材に応じ、広島、京都を訪問。広島では8月6日の式典に出席、献花した。日本の印象を訊くと、「日本の皆さんの対応に心を打たれた」と答えた。
写真展は8月26日まで、1100~2000。最終日27日は1100~1500。入場料1000円、大学生800円、高校生以下は無料。
カミーロは、革命家エルネスト・チェ・ゲバラ(1928~67)の長男で、目鼻立ちが父親にそっくり。まさに忘れ形見だ。母アレイダ・マルチ(81)が所長を務めるチェ・ゲバラ研究所でコーディーネイターとして働く。自身も亡き父親に似て写真が趣味で、いつもキャノンを携行している。この日も会場で撮りまくっていた。
写真展は、10月6日に東京で封切られる日玖合作映画「エルネスト」(阪本順治監督、オダギリジョー主演)の関連文化行事として開かれ、チェ・ゲバラ研究所が保管する厖大な写真やネガから240点が選ばれ、展示されている。
チェ・ゲバラが撮影したものばかりで、最期の地ボリビアに乗り込んだ日の、ラパス市内のホテルの自室での、変装した自分の顔写真をはじめとする、セルフタイマーを用いた「自撮り」シリーズや、1959年7月の来日時に訪れた広島で、被爆14年後の原爆ドーム一帯を撮ったワイド写真などが特に興味深い。マヤ文明の遺跡群の写真や、汎米競技会の選手たちの躍動する姿を捉えた作品も見事だ。
開場式には、カミーロ夫妻のほか、阪本監督、キューバ大使館員、1959年に広島でゲバラを取材した中国新聞の林記者の遺族、崔監督、ジャーナリストらが出席した。私(伊高)は、解説、写真説明で写真展に協力した。
カミーロは、一般公開初日の9日夕刻、開場を訪れ、同日夜、帰国の途に就く。来日後、東京でメディア取材に応じ、広島、京都を訪問。広島では8月6日の式典に出席、献花した。日本の印象を訊くと、「日本の皆さんの対応に心を打たれた」と答えた。
写真展は8月26日まで、1100~2000。最終日27日は1100~1500。入場料1000円、大学生800円、高校生以下は無料。
2017年8月4日金曜日
「写真家チェ・ゲバラが見た世界」240点の写真展が9日開場▼東京・恵比寿のガーデンプレイス・ガーデンルームで8月27日まで▼ゲバラの忘れ形見カミーロが初日、会場に出現▼10月の映画「エルネスト」封切りに繋がる文化行事
革命家エルネスト・チェ・ゲバラ(1928~67)は無類の写真撮影好きだった。日記や手紙を書きまくったように、人生や事象の記録としてシャッターを押していたのか。
革命初期の新国家建設の様子を映し出した場面は貴重だ。最初の妻イルダと訪れたメヒコ・ユカタン地方のマヤ遺跡の写真も印象深い。
「自撮り」が多いのは、自らの風貌へのナルシシズムがあったからかもしれない。再婚した妻アレイダがしばしば登場する。
メヒコ市滞在中の1950年代半ば、母国アルヘンティーナ(亜国)の国営通信社の依頼で、汎米競技大会の競技、選手たちの躍動などを間近で撮影した、玄人顔負けの見事な写真もある。
チェ・ゲバラが撮影した放浪時代のグアテマラ、メヒコ、革命後のクーバ、外遊先のエジプト、インド、日本、インドネシアなどの写真、および亜国での青年期から、ボリビア遠征前の1966年に至るまでにセルフターマーで取った「自画像」類を合わせた240点が、間もなく日本人の審美眼や思考を刺激することになる。
この写真展に合わせて初来日したゲバラの長男カミーロ・ゲバラ=マルチ(55)=チェ・ゲバラ研究所コオディナドール=も、趣味で写真を撮る。滞在していた新宿マンハッタンの街並みをパチリパチリやっていた。
カミーロは、父親が1959年7月、玖革命政府外交特使として来日した折、訪れた広島を6日の原爆記念日に訪問、式典に参加する。カミーロに東京でインタビューしたが、これは、いずれ記事として発表する。
★ ★ ★ ★
写真展「写真家チェ・ゲバラが見た世界」 8月9~27日1100~2000、恵比寿ガーデンプレイス、ガーデンルームで。
前売り券800円。当日売り一般1000円、大学生・専門学生800円。高校生以下無料。
入場券問い合わせ 050-5533-0888。展示会問い合わせ 03-5781-7610
革命初期の新国家建設の様子を映し出した場面は貴重だ。最初の妻イルダと訪れたメヒコ・ユカタン地方のマヤ遺跡の写真も印象深い。
「自撮り」が多いのは、自らの風貌へのナルシシズムがあったからかもしれない。再婚した妻アレイダがしばしば登場する。
メヒコ市滞在中の1950年代半ば、母国アルヘンティーナ(亜国)の国営通信社の依頼で、汎米競技大会の競技、選手たちの躍動などを間近で撮影した、玄人顔負けの見事な写真もある。
チェ・ゲバラが撮影した放浪時代のグアテマラ、メヒコ、革命後のクーバ、外遊先のエジプト、インド、日本、インドネシアなどの写真、および亜国での青年期から、ボリビア遠征前の1966年に至るまでにセルフターマーで取った「自画像」類を合わせた240点が、間もなく日本人の審美眼や思考を刺激することになる。
この写真展に合わせて初来日したゲバラの長男カミーロ・ゲバラ=マルチ(55)=チェ・ゲバラ研究所コオディナドール=も、趣味で写真を撮る。滞在していた新宿マンハッタンの街並みをパチリパチリやっていた。
カミーロは、父親が1959年7月、玖革命政府外交特使として来日した折、訪れた広島を6日の原爆記念日に訪問、式典に参加する。カミーロに東京でインタビューしたが、これは、いずれ記事として発表する。
★ ★ ★ ★
写真展「写真家チェ・ゲバラが見た世界」 8月9~27日1100~2000、恵比寿ガーデンプレイス、ガーデンルームで。
前売り券800円。当日売り一般1000円、大学生・専門学生800円。高校生以下無料。
入場券問い合わせ 050-5533-0888。展示会問い合わせ 03-5781-7610
2017年7月26日水曜日
キューバ革命の原点「モンカーダ兵営襲撃」の64回記念日の中央式典がピナルデルリオ市で開かる▼マチャード第2書記は最大の問題は「経済困難」と指摘▼対米警戒とベネズエラへの連帯を確認▼メキシコ学生43人失踪事件、未解決のまま34ヶ月経過
社会主義クーバは7月26日、第64回「民族反逆の日」を迎えた。カストロ兄弟らによる1953年7月26日の陸軍モンカーダ兵営襲撃事件を記念する。キューバ革命の原点となった武装決起だった。兵営はサンティゴ市にあり、革命後は学園都市となった。旧兵営の一部は、襲撃事件に関する博物館になっている。
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中央式典は、西部のピナルデルリオ州の同名の州都で午前7時開会。灼熱の太陽を避けるためだ。ラウール・カストロ国家評議会議長(86)以下の幹部をはじめ数千人が出席、ホセ=ラモーン・マチャード共産党第2書記(87)が演説した。
マチャードは、1959年元日の革命勝利時、クーバ人の平均寿命は53歳だったが、今日は79歳になったと強調。30%だった非識字率は現在、実質的に零%と、革命直後の識字運動と、その後の無料教育制度を讃えた。
最大の問題は経済困難だと指摘、「経済建設こそが革命の成果を維持することを可能にする」と説いた。また、「対敵姿勢を断固維持する」とし、国交再開から2年経った米国に対する警戒を忘れない厳しい姿勢を示した。経済封鎖全面解除に向けて闘争し続けることも確認した。
「ボリバリアーナ革命」を遂行するベネスエラとニコラース・マドゥーロ同国大統領への支持と連帯をあらためて表明。「ベネスエラの問題はベネスエラ人民のみが解決できる」とし、諸外国の内政干渉を批判した。
マチャードは、英紙フィナンシャルタイムズが最近、「クーバがベネスエラ問題の仲介する可能性がある」と報じたのを踏まえて、これを否定。「ベネスエラの主権と自決を絶対的に尊重する」と述べた。
式典には、モンカディスタ(モンカーダ兵営襲撃参加者)、グランマ号遠征、革命戦争開始前夜時代からの地下活動の、それぞれの生存者も出席。次代を担う若者たちも数多く出席した。式典は午前8時15分に終わった。
革命の最高指導者フィデル・カストロは昨年11月25日、90歳で死去。フィデルのいない最初の「民族反逆の日」となった。
▼ラ米短信 ◎メヒコ農村教員学校生43人強制失踪事件から34カ月
メヒコ・ゲレロ州イグアラ市一帯で2014年9月26日起きたアヨツィナパ農村教員養成学校生43人が、陸軍、連邦警察も関与して失踪させらてから7月26日で34カ月。事件jは依然未解決のままだ。遺族や支援団体はこの日、雨の中、首都メkヒコ市のレフォルマ大通りを抗議行進し、政府に事件捜査状況を開示するよう要求した。
この日、2016年のメヒコでの殺人事件発生件数が2万3953人と発表された。一日平均65人強。
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中央式典は、西部のピナルデルリオ州の同名の州都で午前7時開会。灼熱の太陽を避けるためだ。ラウール・カストロ国家評議会議長(86)以下の幹部をはじめ数千人が出席、ホセ=ラモーン・マチャード共産党第2書記(87)が演説した。
マチャードは、1959年元日の革命勝利時、クーバ人の平均寿命は53歳だったが、今日は79歳になったと強調。30%だった非識字率は現在、実質的に零%と、革命直後の識字運動と、その後の無料教育制度を讃えた。
最大の問題は経済困難だと指摘、「経済建設こそが革命の成果を維持することを可能にする」と説いた。また、「対敵姿勢を断固維持する」とし、国交再開から2年経った米国に対する警戒を忘れない厳しい姿勢を示した。経済封鎖全面解除に向けて闘争し続けることも確認した。
「ボリバリアーナ革命」を遂行するベネスエラとニコラース・マドゥーロ同国大統領への支持と連帯をあらためて表明。「ベネスエラの問題はベネスエラ人民のみが解決できる」とし、諸外国の内政干渉を批判した。
マチャードは、英紙フィナンシャルタイムズが最近、「クーバがベネスエラ問題の仲介する可能性がある」と報じたのを踏まえて、これを否定。「ベネスエラの主権と自決を絶対的に尊重する」と述べた。
式典には、モンカディスタ(モンカーダ兵営襲撃参加者)、グランマ号遠征、革命戦争開始前夜時代からの地下活動の、それぞれの生存者も出席。次代を担う若者たちも数多く出席した。式典は午前8時15分に終わった。
革命の最高指導者フィデル・カストロは昨年11月25日、90歳で死去。フィデルのいない最初の「民族反逆の日」となった。
▼ラ米短信 ◎メヒコ農村教員学校生43人強制失踪事件から34カ月
メヒコ・ゲレロ州イグアラ市一帯で2014年9月26日起きたアヨツィナパ農村教員養成学校生43人が、陸軍、連邦警察も関与して失踪させらてから7月26日で34カ月。事件jは依然未解決のままだ。遺族や支援団体はこの日、雨の中、首都メkヒコ市のレフォルマ大通りを抗議行進し、政府に事件捜査状況を開示するよう要求した。
この日、2016年のメヒコでの殺人事件発生件数が2万3953人と発表された。一日平均65人強。
2017年6月14日水曜日
キューバ市会議員選挙は10月実施へ。州会と国会の選挙は未定▼トランプ米大統領が16日マイアミで対キューバ見直し政策発表か
クーバ政府の最高意思決定機関である国家評議会は6月14日、市会に当たる人民権力ムニシピオ会議議員の選挙を10月22日実施すると発表した。決選は10月29日。任期は2年半。
州会に該当する人民権力州会議議員および、国会に当たる人民権力全国会議(ANPP)議員(いずれも任期5年)の選挙日程は追って発表される。選挙を経て来年発足する新しいANPP(現在612議員)は国家評議会員(同36人)を選出。国家評議会が議長(国家元首、任期5年、一人2期まで)を選ぶ。
今月3日86歳になったラウール・カストロ議長は来年2月24日、議長を退く、後任はミゲル・ディアスカネル現第1副議長と内定している。だがラウールには、共産党第1書記の任期が21年4月まで残っており、議長を辞めても第1書記に留まり、新議長の後見役を務めることが可能だ。
別件だが、ハバナ市マレコン(海岸通り)の著名な民営レストラン(パラダール)「エル・リトラル」と、同「ルンゴ・マレ」の2軒が14日、「資金洗浄」容疑で家宅捜査され、閉店処分となった。店主の自宅も捜索を受けた。たとえば、レストランが不法漁獲した伊勢海老など魚介類を買い取れば「資金洗浄」と見なされることがある。
一方、ドナルド・トランプ米大統領は「16日マイアミで対玖外交政策を発表する」、との観測がある。クーバ革命軍(FAR)と関係する玖企業・団体との商取引を禁止することなどが発表される、との情報も流れている。
トランプには確固たるラ米政策も対玖政策もなく、主として米連邦議会のクーバ系反カストロ派極右・右翼議員に吹きこまれた政策を打ち出すことになる。
州会に該当する人民権力州会議議員および、国会に当たる人民権力全国会議(ANPP)議員(いずれも任期5年)の選挙日程は追って発表される。選挙を経て来年発足する新しいANPP(現在612議員)は国家評議会員(同36人)を選出。国家評議会が議長(国家元首、任期5年、一人2期まで)を選ぶ。
今月3日86歳になったラウール・カストロ議長は来年2月24日、議長を退く、後任はミゲル・ディアスカネル現第1副議長と内定している。だがラウールには、共産党第1書記の任期が21年4月まで残っており、議長を辞めても第1書記に留まり、新議長の後見役を務めることが可能だ。
別件だが、ハバナ市マレコン(海岸通り)の著名な民営レストラン(パラダール)「エル・リトラル」と、同「ルンゴ・マレ」の2軒が14日、「資金洗浄」容疑で家宅捜査され、閉店処分となった。店主の自宅も捜索を受けた。たとえば、レストランが不法漁獲した伊勢海老など魚介類を買い取れば「資金洗浄」と見なされることがある。
一方、ドナルド・トランプ米大統領は「16日マイアミで対玖外交政策を発表する」、との観測がある。クーバ革命軍(FAR)と関係する玖企業・団体との商取引を禁止することなどが発表される、との情報も流れている。
トランプには確固たるラ米政策も対玖政策もなく、主として米連邦議会のクーバ系反カストロ派極右・右翼議員に吹きこまれた政策を打ち出すことになる。
2017年6月13日火曜日
チェ・ゲバラを50年前捕えたボリビア軍退役将軍が「ゲバラは殺されるため送りこまれた」と語る。近く著書で詳述▼プエルト・リコ住民投票は投票率23%と低調。「米国51番目の州」化が多数▼獄中のベネズエラ極右政治家が国軍に「反逆」を呼び掛け。国軍高官が制憲議会反対で辞任か
50年前の1967年10月8日、ボリビアで革命家エルネスト・チェ・ゲバラを逮捕した人物として知られるボリビア陸軍退役将軍ガリー・プラード=サルモンは6月11日、「チェはクーバ共産党上層部からボリビアに殺されるために派遣された」と語った。
プラードは『犠牲にされたゲリラ』の著者だが、エル・チェ歿後半世紀に際し、改訂版として近く『ニャンカウアスーからラ・イゲーラへ-50年後に』を出版する。そこに、故フィデル・カストロ首相(1967年当時)の「裏切り」などを証言と共に盛り込むという。
ゲバラの遺体が埋められていたサンタクルース州バジェグランデ市と民間団体は10月のゲバラ没50周年行事開始の準備を進めている。
革命戦争中、エル・チェ(チェ・ゲバラ)が重要な戦果を挙げたサンタクラーラ市入口には、「エルネスト・チェ・ゲバラ彫刻複合体」がある。ゲリラ姿のゲバラ像、博物館、霊廟などが並んでいるが、このほど修復作業が完了した。ドイツの協力で、技術者4人が5週間かけて修復した。
一方、スペイン・バスコ州ビルバオの対玖連帯会合は11日、スペイン保守紙エル・パイースに「クーバをめぐる最悪虚偽報道賞」を授賞することを決め、閉会した。
▼ラ米短信 ◎プエルト・リコ住民投票は低調
米植民地プエルト・リコで6月11日実施された住民投票は、投票率が23%で、極めて低調だった。投票者の97%は政権党PNP党員ないし支持者で、「米国の第51番目の州」になることを選択した。
「完全独立」ないし「自由連合国」としての独立に投票したのは1・5%、現状維持(自由連合州)は1・32%だった。独立2党は投票をボイコット、このこともあって投票率は上がらなかった。
米連邦議会が、この投票結果をどう判断するかに焦点が移る。共和党はプエルト・リコの正式州化に消極的だ。
▼ラ米短信 ◎ベネスエラ情勢
スペイン訪問中のPPクチンスキ秘大統領は6月12日マドリーで、「ベネスエラの民主体制維持のため、内政干渉と見なされようと
も、ラ米諸国は関与する必要がある」と前置き。「ベネスエラの味方3国、反対派3国の計6カ国で仲裁委員会を作ってはどうか」と提案した。これは米政府の意向を受けた提案。
一方、暴動教唆罪などで服役中のベネスエラ極右政党VP(人民意志)党首レオポルド・ロペスは11日、ビデオメッセージを流し、その中で国軍に対し、「あなた方は護憲などのために反逆する権利と義務がある」と訴えた。マドゥーロ・チャベス派政権に忠誠を誓っている国軍を離反させる戦術だ
ジャーナリスト、ブラディーミル・ビジェーガスは12日、国防会議および国家評議会の書記アレクシス・ロペス少将が、マドゥーロ政権が推進している制憲議会(ANC)開設政策に反対して辞任した、と明らかにした。国防相は確認していない。同少将は、故ウーゴ・チャベス前大統領の政権で、大統領親衛隊長、陸軍司令官を務めた。
ベネスエラ政府は北京で12日、オリノコ油田で原油を日量32万5000バリル増産する合弁事業計画に調印した。
プラードは『犠牲にされたゲリラ』の著者だが、エル・チェ歿後半世紀に際し、改訂版として近く『ニャンカウアスーからラ・イゲーラへ-50年後に』を出版する。そこに、故フィデル・カストロ首相(1967年当時)の「裏切り」などを証言と共に盛り込むという。
ゲバラの遺体が埋められていたサンタクルース州バジェグランデ市と民間団体は10月のゲバラ没50周年行事開始の準備を進めている。
革命戦争中、エル・チェ(チェ・ゲバラ)が重要な戦果を挙げたサンタクラーラ市入口には、「エルネスト・チェ・ゲバラ彫刻複合体」がある。ゲリラ姿のゲバラ像、博物館、霊廟などが並んでいるが、このほど修復作業が完了した。ドイツの協力で、技術者4人が5週間かけて修復した。
一方、スペイン・バスコ州ビルバオの対玖連帯会合は11日、スペイン保守紙エル・パイースに「クーバをめぐる最悪虚偽報道賞」を授賞することを決め、閉会した。
▼ラ米短信 ◎プエルト・リコ住民投票は低調
米植民地プエルト・リコで6月11日実施された住民投票は、投票率が23%で、極めて低調だった。投票者の97%は政権党PNP党員ないし支持者で、「米国の第51番目の州」になることを選択した。
「完全独立」ないし「自由連合国」としての独立に投票したのは1・5%、現状維持(自由連合州)は1・32%だった。独立2党は投票をボイコット、このこともあって投票率は上がらなかった。
米連邦議会が、この投票結果をどう判断するかに焦点が移る。共和党はプエルト・リコの正式州化に消極的だ。
▼ラ米短信 ◎ベネスエラ情勢
スペイン訪問中のPPクチンスキ秘大統領は6月12日マドリーで、「ベネスエラの民主体制維持のため、内政干渉と見なされようと
も、ラ米諸国は関与する必要がある」と前置き。「ベネスエラの味方3国、反対派3国の計6カ国で仲裁委員会を作ってはどうか」と提案した。これは米政府の意向を受けた提案。
一方、暴動教唆罪などで服役中のベネスエラ極右政党VP(人民意志)党首レオポルド・ロペスは11日、ビデオメッセージを流し、その中で国軍に対し、「あなた方は護憲などのために反逆する権利と義務がある」と訴えた。マドゥーロ・チャベス派政権に忠誠を誓っている国軍を離反させる戦術だ
ジャーナリスト、ブラディーミル・ビジェーガスは12日、国防会議および国家評議会の書記アレクシス・ロペス少将が、マドゥーロ政権が推進している制憲議会(ANC)開設政策に反対して辞任した、と明らかにした。国防相は確認していない。同少将は、故ウーゴ・チャベス前大統領の政権で、大統領親衛隊長、陸軍司令官を務めた。
ベネスエラ政府は北京で12日、オリノコ油田で原油を日量32万5000バリル増産する合弁事業計画に調印した。
2017年5月27日土曜日
米上院議員らがキューバへの輸出と米国人の渡航の自由化求める法案を議会に提出。トランプ政権の対玖政策試す狙いも▼ベネズエラ・タチラ州は、首都攻略への拠点づくり目指す反政府勢力の騒擾活動を制圧と発表
米両党上院議員55人の賛同により5月26日、対玖輸出自由化や米国人の渡玖自由化を求める「2017年対玖輸出自由化法」案が上院に提出された。パトリック・リーヒー民主、マイク・エンジ共和の両上議らを中心に法案はまとめられた。
賛同した議員らは、「トランプ政権がオバーマ前政権が始めた対玖歩み寄り政策を維持継続するか否かの試金石になる法案」と指摘する。「過去の玖孤立化政策が成功しなかったため」、この法案提出のような手段が必要と表明している。
ハバナではラウール・カストロ国家評議会議長が26日、西サハラ独立を目指すサハラウイ・アラブ民主共和国(RASD)のブラヒム・ガリ大統領と会談した。クーバは一貫して、サハラウイの独立運動を支援してきた。ガリは24日のエクアドール大統領就任式に出席した。
ラパスでは26日、エボ・モラレス大統領がミゲル・ディアスカネル玖第1副議長と会談、ラ米での右翼勢力台頭を前に連帯強化で一致した。両首脳は伯亜赤VENなどで右翼の攻撃が激化している事態に触れ、特にベネスエラについて「その将来はベネスエラ人民が決めることであり、諸外国は内政に干渉してはならない」と警告した。この2人も赤道国大統領就任式に出席した。
クーバのサンクティ・エスピリトゥ市で25~28日「日玖文化週間」が開かれており、両国関係者が行事に参加している。
◎ベネスエラ情勢
コロンビア国境タチラ州のホセ・ビエルマ知事は5月26日、「反政府右翼勢力は州を統治不能に陥れようと20日から4日間、準軍部隊と連携し、常軌を逸したテロ、放火、破壊活動を繰り広げたが、州民がそれを許さず彼らを制圧、MUD(保守・右翼野党連合)に教訓を与えた」と表明した。
知事はまた、「彼らはタチラ州を首都カラカス攻撃戦略の尖端にしようと謀ったが失敗した。コロンビア準軍部隊とMUDが連携するタチラ州だけに、防衛上、(国軍の治安出動を認める)サモーラ計画が重要だ」と指摘した。
制憲議会(ANC)開設過程担当のエリーアス・ハウア教育相は26日、「ある政府機関は無責任にも推測に基づいて国家警備隊(GNB)を攻撃している」と、暗に検察庁を批判。「検察庁に遵法させ、異常事態を前にして動かない検察庁のような事態を避けるためにもANC過程は必要だ」と強調した。
ハウアはまた、MUDの国会議員は「不逮捕特権をいいことにテロリズムを組織しているが、そんな国会を(ANCで)正さねばならない」と警告した。
一方パナマ政府は26日、ベネスエラ、コロンビア、ニカラグア3国人の観光査証によるパナマ滞在を従来の180日間から90日間に変更する、と発表した。同3国人の査証取得希望者の来訪目的や前科の有無などを今後は調べるという。
米側発表によると、今年第1四半期のVEN米貿易は往復47億ドルで、前年比45%増し。ベネスエラ側の輸出は36億ドルで、その95%は日量71万バレルの原油だった。ベネスエラ原油は26日現在1バレル=44・82ドル。
賛同した議員らは、「トランプ政権がオバーマ前政権が始めた対玖歩み寄り政策を維持継続するか否かの試金石になる法案」と指摘する。「過去の玖孤立化政策が成功しなかったため」、この法案提出のような手段が必要と表明している。
ハバナではラウール・カストロ国家評議会議長が26日、西サハラ独立を目指すサハラウイ・アラブ民主共和国(RASD)のブラヒム・ガリ大統領と会談した。クーバは一貫して、サハラウイの独立運動を支援してきた。ガリは24日のエクアドール大統領就任式に出席した。
ラパスでは26日、エボ・モラレス大統領がミゲル・ディアスカネル玖第1副議長と会談、ラ米での右翼勢力台頭を前に連帯強化で一致した。両首脳は伯亜赤VENなどで右翼の攻撃が激化している事態に触れ、特にベネスエラについて「その将来はベネスエラ人民が決めることであり、諸外国は内政に干渉してはならない」と警告した。この2人も赤道国大統領就任式に出席した。
クーバのサンクティ・エスピリトゥ市で25~28日「日玖文化週間」が開かれており、両国関係者が行事に参加している。
◎ベネスエラ情勢
コロンビア国境タチラ州のホセ・ビエルマ知事は5月26日、「反政府右翼勢力は州を統治不能に陥れようと20日から4日間、準軍部隊と連携し、常軌を逸したテロ、放火、破壊活動を繰り広げたが、州民がそれを許さず彼らを制圧、MUD(保守・右翼野党連合)に教訓を与えた」と表明した。
知事はまた、「彼らはタチラ州を首都カラカス攻撃戦略の尖端にしようと謀ったが失敗した。コロンビア準軍部隊とMUDが連携するタチラ州だけに、防衛上、(国軍の治安出動を認める)サモーラ計画が重要だ」と指摘した。
制憲議会(ANC)開設過程担当のエリーアス・ハウア教育相は26日、「ある政府機関は無責任にも推測に基づいて国家警備隊(GNB)を攻撃している」と、暗に検察庁を批判。「検察庁に遵法させ、異常事態を前にして動かない検察庁のような事態を避けるためにもANC過程は必要だ」と強調した。
ハウアはまた、MUDの国会議員は「不逮捕特権をいいことにテロリズムを組織しているが、そんな国会を(ANCで)正さねばならない」と警告した。
一方パナマ政府は26日、ベネスエラ、コロンビア、ニカラグア3国人の観光査証によるパナマ滞在を従来の180日間から90日間に変更する、と発表した。同3国人の査証取得希望者の来訪目的や前科の有無などを今後は調べるという。
米側発表によると、今年第1四半期のVEN米貿易は往復47億ドルで、前年比45%増し。ベネスエラ側の輸出は36億ドルで、その95%は日量71万バレルの原油だった。ベネスエラ原油は26日現在1バレル=44・82ドル。
2017年5月5日金曜日
ロシアのロスネフト社がキューバに石油を供給。トランプ政権への鞘当てか▼ベネズエラ情勢: 反政府勢力による破壊活動激化で、カラボボ州に軍事法廷復活。政府は野党連合MUDに制憲議会選挙参加を呼び掛け
露国営石油ロスネフト社は5月3日、クーバに25万トンの石油を輸出することで合意し、10日に最初の24万9000bが到着する、と発表した。その内訳は原油とディーゼル。総量25万トンをいつまでに輸出するのかや代金の額などは明らかにされていない。
クーバはベネスエラから優遇条件で原油を輸入していたが、同国経済の悪化で供給量が半減、エネルギー事情が悪化、経済成長も昨年、マイナスに転じた。
ラウール・カストロ議長は昨年7月から、プーチン政権に優遇条件での原油供給を求めていた。25万トンと量的には大したことはないにせよ、ここへきて露社が輸出に踏み切ったのは、関係が悪化しているトランプ米政権への牽制策と言える。
ベネスエラ国営石油PDVSA(ペデベサ)は昨年、ロシアから借款を受ける際、担保として、同社所有の在米製油所CITGOの株の49・9%をロシアに渡した。これも米政府の神経を苛立たせた。
ロシアは4月には、先にウラカン(ハリケーン)被害6300万dの出たクーバに、復興資金として150万dを贈っている。
★ベネスエラ情勢 カラボボ州で軍事法廷復活
ボリバリアーナ国家警備隊(GNB)のアントニオ・ベナビデス長官は5月4日、武装決起、治安部隊への襲撃、略奪、破壊活動に関与した43人を逮捕、裁判を軍事法廷に委ねる、と発表した。
ニコラース・マドゥーロ大統領は4月17日、騒擾状態とゴルペ(クーデター)を未然に防ぐための「サモーラ文民・軍人合同計画」(プラン・サモーラ)を発動した。この計画には重大犯罪者を対象とする軍事法廷活用が含まれている。ネストル・レベロール内相も、カラボボ州で武装蜂起があった、との判断を示している。
検察庁は、4月初めから4日朝までの反政府勢力の抗議行動および暴動で、死者35人、負傷者717人が出た、と発表した。死者はカラカス首都圏、カラボボ州が多い。
アンソアテギ州にある地域工科大学では4日、学生会を開いていた学生会長フアン・ロペス(23)が、侵入した2人組の殺し屋から至近距離で銃撃され即死した。他の4人も重軽傷を負った。ロペスは政府支持派であり、警察は反政府勢力が殺し屋を雇ったとみて捜査中。
刑務所管理相は、検事総長が3日「当局の実力過剰行使」に触れたことに関し、暴力、襲撃、破壊活動を続けている反政府暴徒のことをなぜ指摘しないのか、と批判した。電力相は5月になってから鉄塔破壊を試みた男3人が感電死した、と明らかにした。
政府は、一連の暴動で破壊され放火され略奪された店舗に4日、総額110億ボリーバルの復興手当金を支給した。
マドゥーロ大統領が政令で打ち出した制憲議会(ANC)議員選挙について、その担当官エリーアス・ハウア教育相は4日、ANCおよび選挙の説明会に出席するよう、保守・右翼野党連合MUDに呼び掛けた。
MUDの顔、フリオ・ボルヘス国会議長は4日ワシントンの米州諸国機構(OEA)本部でルイス・アルマグロ事務総長に会い、ベネスエラのOEA脱退を認めないとする国会決議の文書を手渡した。
ムヒーカ・ウルグアイ前政権の外相だったアルマグロは反マドゥーロの急先鋒で、ムヒーカ前大統領から絶縁されている。バスケス現ウルグイア政権の政権党連合「拡大戦線」(FA)に属する左翼政党「民族解放運動トゥパマロス」(MLN-T)は4日、アルマグロをベネスエラ政変誘発の陰謀に加担していると糾弾した。
クーバ系右翼の共和党議員ら米連邦議会議員十数人は4日、ベネスエラ情勢を国連安保理で話し合うよう、トランプ政権に要請した。
デルシー・ロドリゲスVEN外相は4日、コロンビアのマリーア・オルギン外相が前日、ANC開設がベネスエラ問題の解決に寄与するとは思わないと発言したことに関し、内政干渉として一蹴。「組織的に人権蹂躙を続けてきたコロンビア支配勢力にはなおさら、他国に干渉する倫理的資格はない」と扱き下ろした。
だがコロンビアおよび亜PAR伯CR・HON・GUA墨の8カ国政府は4日、VEN政府に「過剰警備をやめ人権を尊重するよう」呼び掛けた。反政府派暴徒による破壊活動や治安部隊襲撃には触れていない。デルシーの激しい反撃を招くのは必至だ。
レックス・ティラーソン米国務長官は4日、欧州諸国と協働してベネスエラ問題に対処したい、と述べた。マドウーロ政権はMUDとの対話実現のための回路として、従来からの南米諸国連合(ウナスール)の対話仲介団に、ラ米・カリブ諸国連合(CELAC)の対話促進団4カ国をこのほど加えた。
クーバはベネスエラから優遇条件で原油を輸入していたが、同国経済の悪化で供給量が半減、エネルギー事情が悪化、経済成長も昨年、マイナスに転じた。
ラウール・カストロ議長は昨年7月から、プーチン政権に優遇条件での原油供給を求めていた。25万トンと量的には大したことはないにせよ、ここへきて露社が輸出に踏み切ったのは、関係が悪化しているトランプ米政権への牽制策と言える。
ベネスエラ国営石油PDVSA(ペデベサ)は昨年、ロシアから借款を受ける際、担保として、同社所有の在米製油所CITGOの株の49・9%をロシアに渡した。これも米政府の神経を苛立たせた。
ロシアは4月には、先にウラカン(ハリケーン)被害6300万dの出たクーバに、復興資金として150万dを贈っている。
★ベネスエラ情勢 カラボボ州で軍事法廷復活
ボリバリアーナ国家警備隊(GNB)のアントニオ・ベナビデス長官は5月4日、武装決起、治安部隊への襲撃、略奪、破壊活動に関与した43人を逮捕、裁判を軍事法廷に委ねる、と発表した。
ニコラース・マドゥーロ大統領は4月17日、騒擾状態とゴルペ(クーデター)を未然に防ぐための「サモーラ文民・軍人合同計画」(プラン・サモーラ)を発動した。この計画には重大犯罪者を対象とする軍事法廷活用が含まれている。ネストル・レベロール内相も、カラボボ州で武装蜂起があった、との判断を示している。
検察庁は、4月初めから4日朝までの反政府勢力の抗議行動および暴動で、死者35人、負傷者717人が出た、と発表した。死者はカラカス首都圏、カラボボ州が多い。
アンソアテギ州にある地域工科大学では4日、学生会を開いていた学生会長フアン・ロペス(23)が、侵入した2人組の殺し屋から至近距離で銃撃され即死した。他の4人も重軽傷を負った。ロペスは政府支持派であり、警察は反政府勢力が殺し屋を雇ったとみて捜査中。
刑務所管理相は、検事総長が3日「当局の実力過剰行使」に触れたことに関し、暴力、襲撃、破壊活動を続けている反政府暴徒のことをなぜ指摘しないのか、と批判した。電力相は5月になってから鉄塔破壊を試みた男3人が感電死した、と明らかにした。
政府は、一連の暴動で破壊され放火され略奪された店舗に4日、総額110億ボリーバルの復興手当金を支給した。
マドゥーロ大統領が政令で打ち出した制憲議会(ANC)議員選挙について、その担当官エリーアス・ハウア教育相は4日、ANCおよび選挙の説明会に出席するよう、保守・右翼野党連合MUDに呼び掛けた。
MUDの顔、フリオ・ボルヘス国会議長は4日ワシントンの米州諸国機構(OEA)本部でルイス・アルマグロ事務総長に会い、ベネスエラのOEA脱退を認めないとする国会決議の文書を手渡した。
ムヒーカ・ウルグアイ前政権の外相だったアルマグロは反マドゥーロの急先鋒で、ムヒーカ前大統領から絶縁されている。バスケス現ウルグイア政権の政権党連合「拡大戦線」(FA)に属する左翼政党「民族解放運動トゥパマロス」(MLN-T)は4日、アルマグロをベネスエラ政変誘発の陰謀に加担していると糾弾した。
クーバ系右翼の共和党議員ら米連邦議会議員十数人は4日、ベネスエラ情勢を国連安保理で話し合うよう、トランプ政権に要請した。
デルシー・ロドリゲスVEN外相は4日、コロンビアのマリーア・オルギン外相が前日、ANC開設がベネスエラ問題の解決に寄与するとは思わないと発言したことに関し、内政干渉として一蹴。「組織的に人権蹂躙を続けてきたコロンビア支配勢力にはなおさら、他国に干渉する倫理的資格はない」と扱き下ろした。
だがコロンビアおよび亜PAR伯CR・HON・GUA墨の8カ国政府は4日、VEN政府に「過剰警備をやめ人権を尊重するよう」呼び掛けた。反政府派暴徒による破壊活動や治安部隊襲撃には触れていない。デルシーの激しい反撃を招くのは必至だ。
レックス・ティラーソン米国務長官は4日、欧州諸国と協働してベネスエラ問題に対処したい、と述べた。マドウーロ政権はMUDとの対話実現のための回路として、従来からの南米諸国連合(ウナスール)の対話仲介団に、ラ米・カリブ諸国連合(CELAC)の対話促進団4カ国をこのほど加えた。
2017年3月17日金曜日
キューバがFARCゲリラ復員者1000人を医学留学に招く。医療協力国際主義外交が健在ぶり示す★WBC敗退のキューバ、オランダ戦のKO負けに衝撃、「国喪宣言」
キューバ政府は3月16日、コロンビア政府および、武装解除中のゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)の復員者計1000人を医学留学生として受け入れる、と発表した。向こう5年間、毎年200人、政府推薦者と元ゲリラ半数ずつを受け入れる計画。
だがコロンビア政府は、割り当ての500人分をFARC側に回すと表明。1000人全員がFARC系留学生となる。総予算は2380億コロンビアペソ(約8000万ドル)。クーバ政府が負担する。
コロンビア政府とFARCは昨年までの4年間、ハバナで和平交渉を続け、和平合意に達した。ラウール・カストロ玖国家評議会議長は昨年9月、カルタヘーナで和平合意調印式が挙行された折、JMサントス・コロンビア大統領に直接、留学生受け入れ計画を伝えていた。クーバは、コロンビア内戦終焉へのクーバの関与を続けるため医学生を受け入れると表明している。
チェ・ゲバラは61年前、医師からゲリラになったが、今年9月からコロンビア人元ゲリラがクーバで医師になる勉強に励むことになる。クーバ外交の柱である医療協力国際主義は健在だ。
★ラ米短信 ◎クーバ野球チーム:衝撃の惨敗、<国喪に服す>
東京でのWBC予選第2次リーグで一勝も挙げられずに敗退したクーバ代表野球チームのカルロス・マルティ=サントス監督は3月15日、同日の最終選でオランダに14対1でノックアウト(コールドゲイム)された衝撃の後、「玖チームには技術的問題がある。特に投手の養成だ。投手はWBC級に達していなかった。我がチームの一線級投手はオランダから打ち崩された。敵の攻撃力が勝っていた」と語った。
監督はまた、「少年野球に始まる国内下級リーグからの育成という課題もあり、短期間で修正できる問題ではない」と、クーバ野球の問題点を指摘した。
だが、「WBCで戦ったどのチームも高級であり、連日、技術や戦術で学ぶことが多かった。ロサンジェルスに行ければ良かったが、ライバルたちの方が上だった」と述べ、「優勝は蘭日米RD(ドミニカ共和国)から出るのではないか」と展望した。
一方、クーバメディアの特派員たちは、予選敗退に嘆いている。「最悪の結末」と題した論評記事は、「野球はクーバでは宗教のようなもので、不可侵だ。オランダにKOされたのは、いかなるシェークスピア悲劇にも勝る劇的な衝撃だった」と書く。
さらに、「試合経過には触れまい。負けたというだけで十分だ。<国喪>が宣言された。だがページをめくろう」と記し、再出発を促した。
だがコロンビア政府は、割り当ての500人分をFARC側に回すと表明。1000人全員がFARC系留学生となる。総予算は2380億コロンビアペソ(約8000万ドル)。クーバ政府が負担する。
コロンビア政府とFARCは昨年までの4年間、ハバナで和平交渉を続け、和平合意に達した。ラウール・カストロ玖国家評議会議長は昨年9月、カルタヘーナで和平合意調印式が挙行された折、JMサントス・コロンビア大統領に直接、留学生受け入れ計画を伝えていた。クーバは、コロンビア内戦終焉へのクーバの関与を続けるため医学生を受け入れると表明している。
チェ・ゲバラは61年前、医師からゲリラになったが、今年9月からコロンビア人元ゲリラがクーバで医師になる勉強に励むことになる。クーバ外交の柱である医療協力国際主義は健在だ。
★ラ米短信 ◎クーバ野球チーム:衝撃の惨敗、<国喪に服す>
東京でのWBC予選第2次リーグで一勝も挙げられずに敗退したクーバ代表野球チームのカルロス・マルティ=サントス監督は3月15日、同日の最終選でオランダに14対1でノックアウト(コールドゲイム)された衝撃の後、「玖チームには技術的問題がある。特に投手の養成だ。投手はWBC級に達していなかった。我がチームの一線級投手はオランダから打ち崩された。敵の攻撃力が勝っていた」と語った。
監督はまた、「少年野球に始まる国内下級リーグからの育成という課題もあり、短期間で修正できる問題ではない」と、クーバ野球の問題点を指摘した。
だが、「WBCで戦ったどのチームも高級であり、連日、技術や戦術で学ぶことが多かった。ロサンジェルスに行ければ良かったが、ライバルたちの方が上だった」と述べ、「優勝は蘭日米RD(ドミニカ共和国)から出るのではないか」と展望した。
一方、クーバメディアの特派員たちは、予選敗退に嘆いている。「最悪の結末」と題した論評記事は、「野球はクーバでは宗教のようなもので、不可侵だ。オランダにKOされたのは、いかなるシェークスピア悲劇にも勝る劇的な衝撃だった」と書く。
さらに、「試合経過には触れまい。負けたというだけで十分だ。<国喪>が宣言された。だがページをめくろう」と記し、再出発を促した。
2017年2月23日木曜日
キューバ政府がOEA(OAS)事務総長の入国を拒否
米議員訪玖団は2月21日、ラウール・カストロ国家評議会議長ら玖政府中枢と「米玖双方の関心事」について話し合い、22日ハバナで記者会見した。団長のパトゥリック・ヒーリー民主党上議は、「米連邦議会の多数派は対玖関係強化を求めている。将来の世代のためにも両国関係を改善していかねばならない」と述べた。
また、「経済封鎖と米国人対玖渡航禁止令が解除されるのは疑いないが、それがいつになるか、予測するのは難しい」と語った。団員のジェイムス・マムガヴァン民主党下議は、「民主・共和両党は共に対玖関係強化の意思を共有している。問題は、共和党執行部が対玖法制審議を許可しないことだ」と指摘した。
一方、玖政府は22日、米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務総長(前ウルグアイ外相)の入国を拒否した。同総長は、「オスワルド・パジャー賞」授賞式に出席しようとしていた。アルマグロはラ米の左翼・進歩主義政権を揺さぶる右翼思想の持ち主で、かつての上司ホセ・ムヒーカ前ウルグアイ大統領は去年、アルマグロに「絶縁宣言」を突き付けた。
玖政府は21日には、同じ授賞式に参加しようとしていたフェリーペ・カルデロン前墨大統領、マリアーナ・エイルウィン元智教育相の入国を拒否している。玖外務省は22日、アルマグロらへの入国拒否に関し声明を発表した。要旨は次の通り。
不法な小集団が主催する「賞」は、ラ米の左翼・進歩主義合法政権に敵対する極右の「汎米民主財団」と結託している。同財団は(2015年4月パナマ開催の)第7回米州首脳会議のロビーで結成された。
アルマグロは、そんな「賞」を受章するため入国しようとしていた。玖を不安定化させ玖の国際関係を損なわるため、ハバナで公然と挑発行動を展開しようとしていた。
アルマグロおよび、「スペイン・ラスアメリカス民主計画」(IDEA)傘下の右翼勢力は近年、ベネスエラをはじめとするラ米左翼・進歩主義政権を攻撃してきた。
彼らは「民主・共同体センター」、「ラ米開発研究・工作所」(CADAL)、「米州民主研究所」(CIAのアルベルト・モンタネル玖系米人主宰)などと連携。これらの組織は2015年から、米「国家民主財団」(NED)と協力し、反玖地下活動資金を得ていた。
玖政府は主権防衛のため、こうした活動に関係する人物の入国を拒否した。アルマグロとOEAは反玖言動をとってきた。アルマグロはOEA加盟国の同意なしに、勝手にベネスエラ、ボリビア、エクアドールを攻撃してきた。
ラ米・カリブ統合に反対する帝国主義と寡頭勢力の行動や、新自由主義推進行動がこのところ倍加している。OEAは黙して、共犯状態にある。
1962年2月、フィデル・カストロ首相(当時)は(対玖陰謀を前に)第2次ハバナ宣言を発し、OEAを脱退した。我々は、歴史の教訓を忘れない。
▼ラ米短信 ◎ベネスエラ副大統領がNYT紙で反撃
ベネスエラのタレク・エルアイサミ執権副大統領は2月22日、NYT紙上に意見記事を掲げ、同副大統領を「麻薬取引首領」と決めつけ、在米資産凍結に踏み切った米財務長官に反撃した。以下は要旨。
あなた(財務長官)は、VEN・米国関係を相互の承認と尊重に基づく関係に改善しようとする努力を妨げる在米利益集団に騙されている。彼らは証拠もなく虚偽によって「犯罪」をでっちあげようとしている。
私が内相だった時期を含めベネスエラ政府は、麻薬取引業者取締で多大な成果を挙げ、身柄を米国やコロンビアに引き渡した。米政府はいったい米国内で何人、大物麻薬業者を摘発してきたのか?
米国は麻薬取締の国際条約に加盟せず、自国法をベネスエラなど国外に押し付けようとしている。
▼ラ米短信 ◎米国務長官と国土安保長官がメヒコ入り
レックス・ティラーソン国務長官とジョン・ケリー国安長官は2月22日、メヒコ市に到着。同夜、駐墨大使邸で、ルイス・ビデガライ墨外相、国防長官、海軍長官と会食した。
両長官は23日、エンリケ・ペニャ=ニエト大統領と、両国関係について話し合う。ビデガライ外相は、国安省が21日明らかにした不法移民取締方針について、「一方的措置は受け入れられない」と表明している。
一方、ケリー長官はメヒコ入りに先立ち22日、グアテマラ市でジミー・モラレスG国大統領と移民問題で会談、グアテマラ人移民の大量送還はないと伝えたした。
在米G国移民は200万人で、本国への年間仕送りは72億ドルに上る。強制送還の対象となる前歴者は4500人という。
▼ラ米短信 ★エクアドール大統領選挙は決選へ
エクアドール国家選挙理事会(CNE)は2月22日、4月2日に決選を実施すると発表した。19日の大統領選挙(第1回投票)では当選者がなく、得票率1位の政権党候補レニーン・モレーノ元副大統領(39・3%)と、2位の保守・右翼候補ギジェルモ・ラッソ(28・1%)が決選に進出する。
モレーノは、わずか0・7ポイント足らずで40%に達せず、当選を逃した。ラファエル・コレア大統領は、決選で野党(ラッソ)が勝てば、私は政治の第一線に復帰するに吝(やぶさ)かでない、と述べた。コレアはかつて留学し、夫人の祖国でもあるベルギーで第2の人生を送ることにしている。
また、「経済封鎖と米国人対玖渡航禁止令が解除されるのは疑いないが、それがいつになるか、予測するのは難しい」と語った。団員のジェイムス・マムガヴァン民主党下議は、「民主・共和両党は共に対玖関係強化の意思を共有している。問題は、共和党執行部が対玖法制審議を許可しないことだ」と指摘した。
一方、玖政府は22日、米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務総長(前ウルグアイ外相)の入国を拒否した。同総長は、「オスワルド・パジャー賞」授賞式に出席しようとしていた。アルマグロはラ米の左翼・進歩主義政権を揺さぶる右翼思想の持ち主で、かつての上司ホセ・ムヒーカ前ウルグアイ大統領は去年、アルマグロに「絶縁宣言」を突き付けた。
玖政府は21日には、同じ授賞式に参加しようとしていたフェリーペ・カルデロン前墨大統領、マリアーナ・エイルウィン元智教育相の入国を拒否している。玖外務省は22日、アルマグロらへの入国拒否に関し声明を発表した。要旨は次の通り。
不法な小集団が主催する「賞」は、ラ米の左翼・進歩主義合法政権に敵対する極右の「汎米民主財団」と結託している。同財団は(2015年4月パナマ開催の)第7回米州首脳会議のロビーで結成された。
アルマグロは、そんな「賞」を受章するため入国しようとしていた。玖を不安定化させ玖の国際関係を損なわるため、ハバナで公然と挑発行動を展開しようとしていた。
アルマグロおよび、「スペイン・ラスアメリカス民主計画」(IDEA)傘下の右翼勢力は近年、ベネスエラをはじめとするラ米左翼・進歩主義政権を攻撃してきた。
彼らは「民主・共同体センター」、「ラ米開発研究・工作所」(CADAL)、「米州民主研究所」(CIAのアルベルト・モンタネル玖系米人主宰)などと連携。これらの組織は2015年から、米「国家民主財団」(NED)と協力し、反玖地下活動資金を得ていた。
玖政府は主権防衛のため、こうした活動に関係する人物の入国を拒否した。アルマグロとOEAは反玖言動をとってきた。アルマグロはOEA加盟国の同意なしに、勝手にベネスエラ、ボリビア、エクアドールを攻撃してきた。
ラ米・カリブ統合に反対する帝国主義と寡頭勢力の行動や、新自由主義推進行動がこのところ倍加している。OEAは黙して、共犯状態にある。
1962年2月、フィデル・カストロ首相(当時)は(対玖陰謀を前に)第2次ハバナ宣言を発し、OEAを脱退した。我々は、歴史の教訓を忘れない。
▼ラ米短信 ◎ベネスエラ副大統領がNYT紙で反撃
ベネスエラのタレク・エルアイサミ執権副大統領は2月22日、NYT紙上に意見記事を掲げ、同副大統領を「麻薬取引首領」と決めつけ、在米資産凍結に踏み切った米財務長官に反撃した。以下は要旨。
あなた(財務長官)は、VEN・米国関係を相互の承認と尊重に基づく関係に改善しようとする努力を妨げる在米利益集団に騙されている。彼らは証拠もなく虚偽によって「犯罪」をでっちあげようとしている。
私が内相だった時期を含めベネスエラ政府は、麻薬取引業者取締で多大な成果を挙げ、身柄を米国やコロンビアに引き渡した。米政府はいったい米国内で何人、大物麻薬業者を摘発してきたのか?
米国は麻薬取締の国際条約に加盟せず、自国法をベネスエラなど国外に押し付けようとしている。
▼ラ米短信 ◎米国務長官と国土安保長官がメヒコ入り
レックス・ティラーソン国務長官とジョン・ケリー国安長官は2月22日、メヒコ市に到着。同夜、駐墨大使邸で、ルイス・ビデガライ墨外相、国防長官、海軍長官と会食した。
両長官は23日、エンリケ・ペニャ=ニエト大統領と、両国関係について話し合う。ビデガライ外相は、国安省が21日明らかにした不法移民取締方針について、「一方的措置は受け入れられない」と表明している。
一方、ケリー長官はメヒコ入りに先立ち22日、グアテマラ市でジミー・モラレスG国大統領と移民問題で会談、グアテマラ人移民の大量送還はないと伝えたした。
在米G国移民は200万人で、本国への年間仕送りは72億ドルに上る。強制送還の対象となる前歴者は4500人という。
▼ラ米短信 ★エクアドール大統領選挙は決選へ
エクアドール国家選挙理事会(CNE)は2月22日、4月2日に決選を実施すると発表した。19日の大統領選挙(第1回投票)では当選者がなく、得票率1位の政権党候補レニーン・モレーノ元副大統領(39・3%)と、2位の保守・右翼候補ギジェルモ・ラッソ(28・1%)が決選に進出する。
モレーノは、わずか0・7ポイント足らずで40%に達せず、当選を逃した。ラファエル・コレア大統領は、決選で野党(ラッソ)が勝てば、私は政治の第一線に復帰するに吝(やぶさ)かでない、と述べた。コレアはかつて留学し、夫人の祖国でもあるベルギーで第2の人生を送ることにしている。
2017年2月1日水曜日
キューバのヘンリー・リーブ医療派遣団にWHO賞決定
世界保健機構(WHO)は1月31日、クーバの「ヘンリー・リーブ医療派遣団」に今年度の「公衆医療賞」を授賞することを決めた。先年、西アフリカで猛威を振るったエボラ出血熱の患者治療への貢献が評価された。
同派遣団は2005年に故フィデル・カストロ国家評議会議長が結成した。エボラ出血熱には医師ら250人が現地入りして対応した。派遣団は、これまでに19カ国に延べ7254人が派遣されてきた。
「公衆医療賞」は09年創設された。授賞式は5月下旬、ジュネーブで催される。
▼ラ米短信 ◎南米諸国連合(ウナスール)事務総長が交代へ
南米12カ国が加盟するウナスールの事務総長エルネスト・サンペール(元コロンビア大統領)が1月31日、任期を終えた。14年8月から2年半務めた。サンペールはコロンビアに戻り、内戦和平過程に関与するという。
キトの同機構本部で31日開かれた加盟国外相会議は、2月いっぱいかけて後継候補を絞り、3月の外相会議で選出することを決めた。
サンペールは最後の任務報告でトランプ米政権による脅威に触れて、「メヒコに手出しすればラ米に手出ししたことになる」と警告した。「外国人排斥主義と人種主義の国境壁建設や移民送還という驚異の前に合意は困難だ。我々はこの戦略的脅威を冷静に考えねばならない」と指摘した。
この日の外相会議にはエクアドール(赤道国)、ベネスエラ、コロンビア、ボリビア、アルヘンティーナの5カ国外相と代理が出席。ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は、「既に複数の事務総長候補の名が挙がっている」と記者団に明かした。
一方、ウナスールは2月19日実施される赤道国大統領選挙のウナスール選挙監視団の団長にホセ・ムヒーカ前ウルグアイ大統領(現上院議員)を任命した。
サンペールは主として、ベネスエラでマドゥーロ政権と野党連合MUDとの対話に精力を注いだ。だが成果は上がらなかった。南米では亜伯両大国が右傾化し、かつてのようなまとまりを欠いている。
同派遣団は2005年に故フィデル・カストロ国家評議会議長が結成した。エボラ出血熱には医師ら250人が現地入りして対応した。派遣団は、これまでに19カ国に延べ7254人が派遣されてきた。
「公衆医療賞」は09年創設された。授賞式は5月下旬、ジュネーブで催される。
▼ラ米短信 ◎南米諸国連合(ウナスール)事務総長が交代へ
南米12カ国が加盟するウナスールの事務総長エルネスト・サンペール(元コロンビア大統領)が1月31日、任期を終えた。14年8月から2年半務めた。サンペールはコロンビアに戻り、内戦和平過程に関与するという。
キトの同機構本部で31日開かれた加盟国外相会議は、2月いっぱいかけて後継候補を絞り、3月の外相会議で選出することを決めた。
サンペールは最後の任務報告でトランプ米政権による脅威に触れて、「メヒコに手出しすればラ米に手出ししたことになる」と警告した。「外国人排斥主義と人種主義の国境壁建設や移民送還という驚異の前に合意は困難だ。我々はこの戦略的脅威を冷静に考えねばならない」と指摘した。
この日の外相会議にはエクアドール(赤道国)、ベネスエラ、コロンビア、ボリビア、アルヘンティーナの5カ国外相と代理が出席。ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は、「既に複数の事務総長候補の名が挙がっている」と記者団に明かした。
一方、ウナスールは2月19日実施される赤道国大統領選挙のウナスール選挙監視団の団長にホセ・ムヒーカ前ウルグアイ大統領(現上院議員)を任命した。
サンペールは主として、ベネスエラでマドゥーロ政権と野党連合MUDとの対話に精力を注いだ。だが成果は上がらなかった。南米では亜伯両大国が右傾化し、かつてのようなまとまりを欠いている。
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