フエゴ火山の大爆発で災害非常事態下にあるグアテマラのジミー・モラレス大統領が、女性への性的虐待で告発されている。被害者の女性は5月前半、検察庁に告発したが、同庁が「告発状を受理していない」と表明しているため、近日中に告発を確認するという。同国のプレンサ・リブレ紙が6月20日報じた。
これに先立ち同国のエル・ペリオディコ紙は18日、エドガル・グティエレス元外相執筆の「最悪の大統領」と題する論評記事を掲載。喜劇役者出身のモラレスを「政治政策を持たずに就任した」と扱き下ろし、「モラレスは複数の若い女性への性的虐待に関与した」旨を暴露した。同紙は19日には、関連する論評記事を掲げた。
プレンサ・リブレ紙によると、告発した女性は生命の危険を感じているが、数日内に告発した事実を確認する。証拠と証人証言を用意しているという。
これに対し政府は20日、一連の報道内容を否定した。モラレスは大統領候補だった2015年、別の女性から「性的侵害、致傷、脅迫、暴力」で告発されていた。モラレスはその時は「ある政治勢力が取った絶望的な手法だ」とはねつけた。
大統領は5月には、友人が経営する安全保障会社が支払うべき脱税への罰金750万Q(ケッツァール)の95%を棒引きし、非難された。
また5月16日、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移した際、モラレスは現地での式典に出席したが、その折の大統領および随行団の往復旅費などは、ラス・ベガスでホテルやカジノを経営しているシェルドン・アデルソンという人物が負担した。
これは大統領に同行したサンドラ・ホベル外相が明らかにしている。大使館移転と引き換えに外資20億ドルがグアテマラに投下されることが約束されており、アデルソンは投資家の一人だという。
▼ダンテ・カプート元アルゼンチン外相死去
6月20日、ブエノスアイレスで死去、74歳だった。
1983年、民政移管を受けて発足したアルフォンシン政権で外相を務め、ローマ法王ヨハネ=パウロ2世の仲裁で、ピノチェー智軍政とのビーグル水道領有権紛争の解決に動き、両国間の平和友好条約調印に漕ぎ着けた。
▼メキシコの日本大使館が在留邦人に勧告
日本大使館は6月19日、在留邦人向けに、7月1日の大統領選挙を含む総選挙を前に、投票日から数日間、外出に注意するよう勧告した。日本外務省の指令に基づく。
国会議員、市長などの候補や関係者が計114人も殺害され、政治家や家族への脅迫が続いている事実を指摘。情報を把握し慎重に行動するよう促している。
ドイツ政府は5月、ドイツ人にメキシコ渡航を控えるよう警告している。今回の日本外務省の勧告は渡航抑制ではない。
2018年6月21日木曜日
2018年5月17日木曜日
グアテマラが在イスラエル大使館をエルサレムに移転▼PLOは「対抗措置」呼び掛け▼週内にパラグアイも移転を予定▼ホンジュラスも近く移転の見込み▼脛に傷持つ大統領たち▼ラ米左翼・中道諸国はイスラエルの過剰攻撃を非難▼カトリック教会は福音派攻勢に危機感募らせる
グアテマラの在イスラエル大使館が5月16日、従来のテルアビブからエルサレムに移転した。新大使館の開館式典にはジミー・モラレスG国大統領とベンヤミン・ネタニヤフ首相らが出席した。
グアテマラは1948年のイスラエル建国に際し、米国に次ぎ2番手でイスラエルを承認した。今回も前々日14日の米大使館移転に続く2番手の移転となった。
エルサレムには1956年から80年まで大使館を置いていたが、国連決議などを受けてテルアビブに移転していた。今回の移転で元に戻ったことになる。
Jモラレス大統領は福音派信徒。G国内には、「大統領の職責と信仰を混同させた」との批判が出ている。ネタ二ヤフ首相は年内にグアテマラを訪問すると明らかにした「」。
パレスティナ解放機構(PLO)は直ちに、グアテマラに「対抗措置」をとるよう、アラブ諸国に呼び掛けた。
16日の式典には両当事国のほか、以下の31カ国の出席が確認されている。
アルバニア、オーストリア、チェコ、ジョージア、ハンガリー、マケドニア、ルーマニア、セルビア、ウクライナの欧州9カ国。
アンゴラ、カメルーン、コンゴ、コンゴ民主共和国、コートジボアール、エチオピア、ケニア、ナイジェリア、ルアンダ、南スーダン、タンザニア、ザンビアのアフリカ12カ国。
フィリピン、ミャンマー、タイ、ヴェトナムのアジア4カ国。
ドミニカ共和国、エル・サルバドール、ホンジュラス、パナマ、ペルー、パラグアイのラ米6カ国。
パラグアイも今週中に大使館をエルサレムに移転させる。任期切れ間もないオラシオ・カルテス大統領が決めたものだが、マリオ・アブド=べニーテス次期大統領は「相談を受けていない」を不満を漏らしている。
ホンジュラスは国会が4月12日、移転を59対33で可決、政府に決定を任せている。同国でも勢力を張る福音派は「移転すれば経済援助が来て豊かになる」と盛んに誘い水をかけている。
4月末にはカリブ海に近いグアテマラ国境沿いの巨大なマヤ遺跡のあるコパーンに、イスラエルと米国が総額1億5000万ドルの資金と技術を援助した地熱発電所が完成。フアン=オルランド・エルナンデス大統領が開場式に出席した。
移転決定は時間の問題と見られている。
これらラ米3国に共通するのは、大統領の脛に傷があること。G国のモラレスは大統領選挙時の選挙資金に麻薬マフィアから献金を受けたとして米司法当局から告発されている。
エルナンデスは昨年末の大統領選挙で不正によって再選を果たした。これは誰もが知る事実。米政府はいち早く再選を支持、そんのカードを今生かそうとしている。
パラグアイのカルテスは大統領になる前、麻薬取引に関与。米国は証拠を握っている。そのカードが今切られた。この国でも福音派の活動が目立っている。
一方、米大使館の移転に際しパレスティナのガザ地区で発生した、イスラエル軍の過剰攻撃で60以上が殺された重大事件に関し、ラ米ではベネズエラ、ボリビア、ウルグアイ、エクアドール、チリ、コスタ・リカが非難。他の諸国も移転する意思は示していない。
イスラエルと国交がなく、トランプ米政権の「北風政策」に遭っているキューバは当初
沈黙していたが16日、外務省が声明でイスラエルを厳しく非難した。またハバナに本部を置く国際第3世界連帯機関「アジア・アフリカ・ラ米3大陸人民連帯機構」(OSPAAAL=オスパアル)もイスラエルの行為を糾弾した。
ラ米諸国のカトリック教会は、福音派の進出に危機感を募らせる一方だ。
グアテマラは1948年のイスラエル建国に際し、米国に次ぎ2番手でイスラエルを承認した。今回も前々日14日の米大使館移転に続く2番手の移転となった。
エルサレムには1956年から80年まで大使館を置いていたが、国連決議などを受けてテルアビブに移転していた。今回の移転で元に戻ったことになる。
Jモラレス大統領は福音派信徒。G国内には、「大統領の職責と信仰を混同させた」との批判が出ている。ネタ二ヤフ首相は年内にグアテマラを訪問すると明らかにした「」。
パレスティナ解放機構(PLO)は直ちに、グアテマラに「対抗措置」をとるよう、アラブ諸国に呼び掛けた。
16日の式典には両当事国のほか、以下の31カ国の出席が確認されている。
アルバニア、オーストリア、チェコ、ジョージア、ハンガリー、マケドニア、ルーマニア、セルビア、ウクライナの欧州9カ国。
アンゴラ、カメルーン、コンゴ、コンゴ民主共和国、コートジボアール、エチオピア、ケニア、ナイジェリア、ルアンダ、南スーダン、タンザニア、ザンビアのアフリカ12カ国。
フィリピン、ミャンマー、タイ、ヴェトナムのアジア4カ国。
ドミニカ共和国、エル・サルバドール、ホンジュラス、パナマ、ペルー、パラグアイのラ米6カ国。
パラグアイも今週中に大使館をエルサレムに移転させる。任期切れ間もないオラシオ・カルテス大統領が決めたものだが、マリオ・アブド=べニーテス次期大統領は「相談を受けていない」を不満を漏らしている。
ホンジュラスは国会が4月12日、移転を59対33で可決、政府に決定を任せている。同国でも勢力を張る福音派は「移転すれば経済援助が来て豊かになる」と盛んに誘い水をかけている。
4月末にはカリブ海に近いグアテマラ国境沿いの巨大なマヤ遺跡のあるコパーンに、イスラエルと米国が総額1億5000万ドルの資金と技術を援助した地熱発電所が完成。フアン=オルランド・エルナンデス大統領が開場式に出席した。
移転決定は時間の問題と見られている。
これらラ米3国に共通するのは、大統領の脛に傷があること。G国のモラレスは大統領選挙時の選挙資金に麻薬マフィアから献金を受けたとして米司法当局から告発されている。
エルナンデスは昨年末の大統領選挙で不正によって再選を果たした。これは誰もが知る事実。米政府はいち早く再選を支持、そんのカードを今生かそうとしている。
パラグアイのカルテスは大統領になる前、麻薬取引に関与。米国は証拠を握っている。そのカードが今切られた。この国でも福音派の活動が目立っている。
一方、米大使館の移転に際しパレスティナのガザ地区で発生した、イスラエル軍の過剰攻撃で60以上が殺された重大事件に関し、ラ米ではベネズエラ、ボリビア、ウルグアイ、エクアドール、チリ、コスタ・リカが非難。他の諸国も移転する意思は示していない。
イスラエルと国交がなく、トランプ米政権の「北風政策」に遭っているキューバは当初
沈黙していたが16日、外務省が声明でイスラエルを厳しく非難した。またハバナに本部を置く国際第3世界連帯機関「アジア・アフリカ・ラ米3大陸人民連帯機構」(OSPAAAL=オスパアル)もイスラエルの行為を糾弾した。
ラ米諸国のカトリック教会は、福音派の進出に危機感を募らせる一方だ。
2018年4月17日火曜日
ベリーズ南部の領有権問題を国際司法裁判所に提訴するか否か。その是非問うグアテマラの国民投票で提訴支持が勝つ▼ベリーズは年末に国民投票実施か
グアテマラは、北の隣国ベリーズ(旧英領ホンジュラス)の南半分の領土約1万1000km2の領有権を主張してきた。この領有権問題をハーグの国際司法裁判所に提訴するか否かを問う国民投票が4月15日実施された。
有権者は750万人。だが投票したのは23%強で、76%は棄権した。それでも提訴賛成が96%(約168万人)で、提訴を訴えるジミー・モラレス大統領の保守政権は勝利した。
同大統領は、この国民投票に備え、直前の2日間リマで開催された第8回米州首脳会議を欠席した。だが内政の失政から外に目をそらすため領有権問題を持ち出したとの批判もある。危険率の高さが有権者の関心の薄さを示している。
この領有権問題は159年前の1859年に生じた。明治維新の翌年だ。グアテマラは英国と、ベリーズのカリブ海岸からグアテマラの首都グアテマラ市まで道路を建設する合意を結んだ。
だがグアテマラは87年後の1946年、この合意を破棄した。道路が建設されなかったことを理由にしたが、合意に縛り付けられたままでは領有権を失いかねないとの懸念があったためだ。
ここで、1859年の合意に至る歴史を見る必要がある。ベリーズのあるユカタン半島もグアテマラも、他の中米諸国もメキシコも1821年までは、スペイン領ヌエバ・エスパーニャ(新スペイン)だった。
英国人は18世紀後半に現在のベリーズ北部に入植、スペインは1783年と1786年に英国人に木材開発権を認めた。その後、英国人入植地は増え、19世紀初頭のヌエバ・エスパーニャ独立戦争のさなか、入植地を南下させた。
その南半分をグアテマラは、ヌエバ・エスパーニャから引き継いだとして、領有権を主張してきた。
英領ホンジュラスは1981年独立し、英連邦の一員になった。グアテマラは承認を拒否していたが、1991年に独立を認めた。同年、ベリーズ南部の領有権問題のある地域とグアテマラの間に「仮の国境線」が引かれ、今日に至る。
2008年、両国は領有権問題を高位の場で話し合い決着させることで合意。国民投票を経て双方が合意すれば、国際司法裁判所にかけることになった。
この15日、まずグアテマラが国民投票を実施した。ベリーズは今年末に実施することを検討している。
ラ米には、他に亜英間のマルビーナス(フォークランド)諸島、ベネズエラ・ガイアナ間のガイアナ西部エセキーボ地方、ボリビア・チリ間の太平洋岸領土、などの未解決の領有権問題がある。
1982年4~6月、マルビーナス諸島の奪回を目指して亜国軍が諸島上陸作戦を決行、戦争となったのは記憶に新しい。勝った英国のサッチャー政権は長期政権を謳歌。敗れた亜國軍政は翌年崩壊、民政移管がなった。
私は、この戦争を亜国側から取材した。英国側で取材する同僚らと戦争報道で競い合ったものだ。その中心には、かつて諸島を領有していた亜国と、亜国から諸島を奪い実効支配していた英国のどちらに正義があるのか、という視座があった。
有権者は750万人。だが投票したのは23%強で、76%は棄権した。それでも提訴賛成が96%(約168万人)で、提訴を訴えるジミー・モラレス大統領の保守政権は勝利した。
同大統領は、この国民投票に備え、直前の2日間リマで開催された第8回米州首脳会議を欠席した。だが内政の失政から外に目をそらすため領有権問題を持ち出したとの批判もある。危険率の高さが有権者の関心の薄さを示している。
この領有権問題は159年前の1859年に生じた。明治維新の翌年だ。グアテマラは英国と、ベリーズのカリブ海岸からグアテマラの首都グアテマラ市まで道路を建設する合意を結んだ。
だがグアテマラは87年後の1946年、この合意を破棄した。道路が建設されなかったことを理由にしたが、合意に縛り付けられたままでは領有権を失いかねないとの懸念があったためだ。
ここで、1859年の合意に至る歴史を見る必要がある。ベリーズのあるユカタン半島もグアテマラも、他の中米諸国もメキシコも1821年までは、スペイン領ヌエバ・エスパーニャ(新スペイン)だった。
英国人は18世紀後半に現在のベリーズ北部に入植、スペインは1783年と1786年に英国人に木材開発権を認めた。その後、英国人入植地は増え、19世紀初頭のヌエバ・エスパーニャ独立戦争のさなか、入植地を南下させた。
その南半分をグアテマラは、ヌエバ・エスパーニャから引き継いだとして、領有権を主張してきた。
英領ホンジュラスは1981年独立し、英連邦の一員になった。グアテマラは承認を拒否していたが、1991年に独立を認めた。同年、ベリーズ南部の領有権問題のある地域とグアテマラの間に「仮の国境線」が引かれ、今日に至る。
2008年、両国は領有権問題を高位の場で話し合い決着させることで合意。国民投票を経て双方が合意すれば、国際司法裁判所にかけることになった。
この15日、まずグアテマラが国民投票を実施した。ベリーズは今年末に実施することを検討している。
ラ米には、他に亜英間のマルビーナス(フォークランド)諸島、ベネズエラ・ガイアナ間のガイアナ西部エセキーボ地方、ボリビア・チリ間の太平洋岸領土、などの未解決の領有権問題がある。
1982年4~6月、マルビーナス諸島の奪回を目指して亜国軍が諸島上陸作戦を決行、戦争となったのは記憶に新しい。勝った英国のサッチャー政権は長期政権を謳歌。敗れた亜國軍政は翌年崩壊、民政移管がなった。
私は、この戦争を亜国側から取材した。英国側で取材する同僚らと戦争報道で競い合ったものだ。その中心には、かつて諸島を領有していた亜国と、亜国から諸島を奪い実効支配していた英国のどちらに正義があるのか、という視座があった。
2016年12月30日金曜日
グアテマラ和平20年、貧者に届かぬ平和の報酬
グアテマラは12月29日、内戦和平合意調印による内戦終結から20周年となる記念日を迎えた。首都グアテマラ市で式典が催され、内戦終結に努力したビニシオ・セレソ元大統領、調印時に政権にあったアルバロ・アルセ元大統領、ジミー・モラレス現大統領と、政府高官、国会議員、先住民・市民団体、外交団などが出席した。
式典では、内戦で強制失踪させられ殺害された女流詩人アライーデ・フォッパの名前をかぶせた女声合唱団と、国軍の軍楽隊が初めて共演、和平を演出した。マヤ民族歌手サラ・クルチュチが、内戦中に虐殺・強姦・略奪・破壊に遭ったマヤ・イシル人をテーマにした歌などを披露した。
式典には、和平合意を政府と結んだゲリラ組織グアテマラ民族革命連合(URNG。その後、政党化)の姿がなかった。和平合意が十分には遵守されていない状況や、政治面での左翼の退潮を象徴するようだと指摘されている。
人口1600万人の59%は貧困にあえぎ、先住民人口では79%が貧困。「貧者には和平合意が適用されていない」と酷評される所以だ。先住民は人種差別、社会的疎外からも解放されていない。
歌手クルチュチは、「国家は和平合意を遵守していないという債務を人民に負っている。正義無くして和平は無く、記憶無くして正義は無い」と語っている。
1960年から36年続いた内戦では、25万人が殺された。うち4万5000人は遺体が見つかってなく、「行方不明者」扱いされている。
▼ラ米短信 ◎アルゼンチン女性活動家に判決
亜国フフイ州の先住民社会活動家でペロン派左翼のミラグロ・サラ(52)=南部共同市場(メルコスール)議会議員=は12月28~29日、同州の法廷で執行猶予付き禁錮3年、罰金3760ペソ、法人参加禁止の判決を言い渡された。
サラは2015年12月、マクリ保守・右翼政権発足時に就任したマクリ派のフフイ州知事ヘラルド・モラレス(元上銀議員、急進党)の政策に反対、州庁舎前で野営しながら抗議したことにより「治安を乱した」ことで判決を受けた。09年、上院議員だったモラレスに卵を投げつけた罪も含まれている。
彼女は今年1月16日から逮捕されており、執行猶予付き判決ながら、「共同謀議」、「行政詐欺」など別件でも起訴されており、身柄の拘禁は解かれていない。
この事件は、マクリ政権のペロン派左翼弾圧の象徴と内外で指摘されてきた。国連と米州諸国機構(OEA)の人権部門やメルコスール議会を始め、各方面からサラ解放の要求が出ている。
▼ラ米短信 ◎ベネスエラがコロンビア国境でガソリン販売へ
ベネスエラ政府は12月29日、コロンビア国境に面したスリア州パラグアチョン、タチラ州ウレーニャの両地点で1月2日からガソリンを販売する、と発表した。コロンビアペソを含む外貨が使用できる。
マドゥーロ政権は、コロンビアマフィアによる安価なベネスエラ原油の大量密輸を防ぐため販売することにした、と説明。だが、販売価格は発表していない。
式典では、内戦で強制失踪させられ殺害された女流詩人アライーデ・フォッパの名前をかぶせた女声合唱団と、国軍の軍楽隊が初めて共演、和平を演出した。マヤ民族歌手サラ・クルチュチが、内戦中に虐殺・強姦・略奪・破壊に遭ったマヤ・イシル人をテーマにした歌などを披露した。
式典には、和平合意を政府と結んだゲリラ組織グアテマラ民族革命連合(URNG。その後、政党化)の姿がなかった。和平合意が十分には遵守されていない状況や、政治面での左翼の退潮を象徴するようだと指摘されている。
人口1600万人の59%は貧困にあえぎ、先住民人口では79%が貧困。「貧者には和平合意が適用されていない」と酷評される所以だ。先住民は人種差別、社会的疎外からも解放されていない。
歌手クルチュチは、「国家は和平合意を遵守していないという債務を人民に負っている。正義無くして和平は無く、記憶無くして正義は無い」と語っている。
1960年から36年続いた内戦では、25万人が殺された。うち4万5000人は遺体が見つかってなく、「行方不明者」扱いされている。
▼ラ米短信 ◎アルゼンチン女性活動家に判決
亜国フフイ州の先住民社会活動家でペロン派左翼のミラグロ・サラ(52)=南部共同市場(メルコスール)議会議員=は12月28~29日、同州の法廷で執行猶予付き禁錮3年、罰金3760ペソ、法人参加禁止の判決を言い渡された。
サラは2015年12月、マクリ保守・右翼政権発足時に就任したマクリ派のフフイ州知事ヘラルド・モラレス(元上銀議員、急進党)の政策に反対、州庁舎前で野営しながら抗議したことにより「治安を乱した」ことで判決を受けた。09年、上院議員だったモラレスに卵を投げつけた罪も含まれている。
彼女は今年1月16日から逮捕されており、執行猶予付き判決ながら、「共同謀議」、「行政詐欺」など別件でも起訴されており、身柄の拘禁は解かれていない。
この事件は、マクリ政権のペロン派左翼弾圧の象徴と内外で指摘されてきた。国連と米州諸国機構(OEA)の人権部門やメルコスール議会を始め、各方面からサラ解放の要求が出ている。
▼ラ米短信 ◎ベネスエラがコロンビア国境でガソリン販売へ
ベネスエラ政府は12月29日、コロンビア国境に面したスリア州パラグアチョン、タチラ州ウレーニャの両地点で1月2日からガソリンを販売する、と発表した。コロンビアペソを含む外貨が使用できる。
マドゥーロ政権は、コロンビアマフィアによる安価なベネスエラ原油の大量密輸を防ぐため販売することにした、と説明。だが、販売価格は発表していない。
2016年12月24日土曜日
内戦中の人道犯罪でグアテマラ政府に賠償命令
米州諸国機構(OEA、本部ワシントン)の司法機関である米州人権裁判所(CorteIDH、在サンホセ)は12月22日、グアテマラ政府に対し、同国内戦中(1960~96)の1981~86年にバハ・ベラパス県内で軍に殺されたマヤ民族農民遺族らへの賠償金支払いを命じた。
同県ラビナル市チチュパック村では、村民が拷問、強姦、強制失踪(法律外処刑)に遭った。村民は1993年から国内の司法機関に告訴していたが、全く取り合ってもらえなかった。このため弁護士団がOEA機関の米州人権委員会(CIDH、在ワシントン)に訴えた。CIDHは調査した後、CorteIDHに提訴。11月30日に判決が下っていた。
同裁判所は、国家機関である軍を断罪する一方、農民の訴えを聴き入れなかった政府を厳しく糾弾した。強制失踪(殺人)被害者183人各人名義で一人当たり5万5000米ドル、その犠牲者家族に3万ドル、精神的被害者一人当たり1万ドル、土地を追われた避難民一人当たり5000ドルを、それぞれ支払うよう政府に命じた。奪われた土地は元の農民に返還された。
36年間続いた内戦では、20万人が死亡、4万5000人が行方不明になった。これら犠牲者の大多数はマヤ系農民だった。不明者の遺骨は数千柱が各地の集団墓から発掘されているが、DNA鑑定で身元が判明したのは約500柱だけだ。
▼ラ米短信 ◎ハイチ選管が投票結果の検証を決定
アイチ(ハイチ)では11月20日大統領選挙が実施されたが、不正疑惑が渦巻いているため、暫定選挙理事会(CEP)は12月20日、投開票記録の12%を検証することを決めた。
この選挙では、政権党候補ジョヴネル・モイズが55・67%の得票で当選したとされた。だが2位のジュディ・セレスタン(得票率19・52%)ら主だった候補たちが一斉に不正を叫び、不穏な状況となっている。
野党候補らの弁護団は、投開票記録の78%を検証すべきだと主張しており、12%の検証が済んでも、緊張状態は収まりそうもない。
CEPは12月29日に最終公式結果を発表する予定。過半数得票者が出ない場合は、上位2候補が来年1月29日の決選に望むが、モイズ当選が確定すれば、決選はなくなる。
同県ラビナル市チチュパック村では、村民が拷問、強姦、強制失踪(法律外処刑)に遭った。村民は1993年から国内の司法機関に告訴していたが、全く取り合ってもらえなかった。このため弁護士団がOEA機関の米州人権委員会(CIDH、在ワシントン)に訴えた。CIDHは調査した後、CorteIDHに提訴。11月30日に判決が下っていた。
同裁判所は、国家機関である軍を断罪する一方、農民の訴えを聴き入れなかった政府を厳しく糾弾した。強制失踪(殺人)被害者183人各人名義で一人当たり5万5000米ドル、その犠牲者家族に3万ドル、精神的被害者一人当たり1万ドル、土地を追われた避難民一人当たり5000ドルを、それぞれ支払うよう政府に命じた。奪われた土地は元の農民に返還された。
36年間続いた内戦では、20万人が死亡、4万5000人が行方不明になった。これら犠牲者の大多数はマヤ系農民だった。不明者の遺骨は数千柱が各地の集団墓から発掘されているが、DNA鑑定で身元が判明したのは約500柱だけだ。
▼ラ米短信 ◎ハイチ選管が投票結果の検証を決定
アイチ(ハイチ)では11月20日大統領選挙が実施されたが、不正疑惑が渦巻いているため、暫定選挙理事会(CEP)は12月20日、投開票記録の12%を検証することを決めた。
この選挙では、政権党候補ジョヴネル・モイズが55・67%の得票で当選したとされた。だが2位のジュディ・セレスタン(得票率19・52%)ら主だった候補たちが一斉に不正を叫び、不穏な状況となっている。
野党候補らの弁護団は、投開票記録の78%を検証すべきだと主張しており、12%の検証が済んでも、緊張状態は収まりそうもない。
CEPは12月29日に最終公式結果を発表する予定。過半数得票者が出ない場合は、上位2候補が来年1月29日の決選に望むが、モイズ当選が確定すれば、決選はなくなる。
2016年7月20日水曜日
グアテマラ刑務所内でヘラルディ司教暗殺犯が殺さる
グアテマラ市にあるパボン刑務所で7月18日、集団殺人事件が起き、重要囚バイロン・リマ=オリーバおよび12人が死亡した。リマは、1998年4月26日のフアン・ヘラルディ司教暗殺事件の主犯だった。
同刑務所ではリマ派と、麻薬組織と繋がるマルビーン・モンティエル=マリーン派が勢力争いをしていた。刑務所当局と通じるリマは「刑務所内の王」と呼ばれていたが、最近、刑務所内での麻薬販売を禁止した。怒ったモンティエルは部下25人と共にリマらを襲撃した。モンティエルは2008年にニカラグア人15人、オランダ人1人の計16人の観光客を殺害、禁錮820年の刑に服していた。
この日は家族訪問日だったが、これに紛れて外部から武器類が持ち込まれた。リマは手榴弾で負傷した後、射殺された。他の12人のうち4人は首を切り落とされた。またアルゼンチン人モデルで、刑務所外での事業でリマと協力関係にあったとされるヨアンア・ビリエル(24)も巻き添えになり殺された。彼女は打ち合わせなどで訪問、リマと会っていた。
リマは元陸軍大尉。ヘラルディィ司教は、グアテマラ内戦(1960~96)中に起きた人道犯罪5万4000件の調査報告文書「歴史的記憶の回復-グアテマラ、二度と再び」を発表した二日後に殺害された。その人道犯罪の9割は軍・警察など当局絡みだった。
司教暗殺を命じたのは大統領親衛隊司令部。リマ、その父親の元陸軍大佐バイロン・リマ=エストラーダ、元司祭マリオ・オランテス、元軍曹オブドゥリオ・ビジャヌエバらが逮捕され、2001年から収監されていた。元大尉リマの刑期は20年だった。
ビジャヌエバは2003年、刑務所内で首を切り落とされ殺された。リマの父親と元司祭は減刑措置で釈放されている。元大尉は、刑務所当局と組んで、囚人の収監先刑務所の選択に関与、現金10万ドルを得ていたとされる。
また囚人に作らせた下着類を、愛国党に貢いでいた。同党は、昨年9月、大規模汚職で弾劾される直前に辞職、起訴・収監されたオットー・ペレス=モリーナ元軍人大統領の政党だった。
モンティエル派は事件後、他の刑務所に移された。メヒコや中米諸国では、囚人と刑務所当局の絡む腐敗事件が絶えない。
同刑務所ではリマ派と、麻薬組織と繋がるマルビーン・モンティエル=マリーン派が勢力争いをしていた。刑務所当局と通じるリマは「刑務所内の王」と呼ばれていたが、最近、刑務所内での麻薬販売を禁止した。怒ったモンティエルは部下25人と共にリマらを襲撃した。モンティエルは2008年にニカラグア人15人、オランダ人1人の計16人の観光客を殺害、禁錮820年の刑に服していた。
この日は家族訪問日だったが、これに紛れて外部から武器類が持ち込まれた。リマは手榴弾で負傷した後、射殺された。他の12人のうち4人は首を切り落とされた。またアルゼンチン人モデルで、刑務所外での事業でリマと協力関係にあったとされるヨアンア・ビリエル(24)も巻き添えになり殺された。彼女は打ち合わせなどで訪問、リマと会っていた。
リマは元陸軍大尉。ヘラルディィ司教は、グアテマラ内戦(1960~96)中に起きた人道犯罪5万4000件の調査報告文書「歴史的記憶の回復-グアテマラ、二度と再び」を発表した二日後に殺害された。その人道犯罪の9割は軍・警察など当局絡みだった。
司教暗殺を命じたのは大統領親衛隊司令部。リマ、その父親の元陸軍大佐バイロン・リマ=エストラーダ、元司祭マリオ・オランテス、元軍曹オブドゥリオ・ビジャヌエバらが逮捕され、2001年から収監されていた。元大尉リマの刑期は20年だった。
ビジャヌエバは2003年、刑務所内で首を切り落とされ殺された。リマの父親と元司祭は減刑措置で釈放されている。元大尉は、刑務所当局と組んで、囚人の収監先刑務所の選択に関与、現金10万ドルを得ていたとされる。
また囚人に作らせた下着類を、愛国党に貢いでいた。同党は、昨年9月、大規模汚職で弾劾される直前に辞職、起訴・収監されたオットー・ペレス=モリーナ元軍人大統領の政党だった。
モンティエル派は事件後、他の刑務所に移された。メヒコや中米諸国では、囚人と刑務所当局の絡む腐敗事件が絶えない。
2016年1月15日金曜日
グアテマラ大統領ジミー・モラレスが就任
グアテマラで1月14日、喜劇俳優だったジミー・モラレス=カブレラ(46)が大統領に就任した。任期は2020年1月までの4年間。副大統領ジャセフ・カブレラも就任した。
モラレスは2011年、ミスコ市長選挙に、当時存続していた右翼政党ADN(国家開発行動)から出馬し、落選した。だが政界進出への意欲は衰えず、昨年9月6日の大統領選挙で「国民結集戦線」(FCN)から出馬、時流に乗って得票第1位となり、10月25日の決選で、元大統領夫人サンドラ・トーレス候補に圧勝して当選した。
その時流とは、昨年9月初め大統領辞任に追い込まれたオットー・ペレス=モリーナ(退役将軍)をはじめ政府高官多数が関与した大規模な税関汚職事件の摘発で、反腐敗機運と伝統的政治家への不信が最大限に高まっていたこと。政治経験はないが人気は高い喜劇俳優は、右翼であっても、有権者の目に新鮮に映った。
だが、税関汚職事件で摘発されなかったり排除されなかったりした利権勢力は、政治の素人だが右翼体質のモラレスににじり寄ってきた。内戦期に人道犯罪に深く関与した退役軍人たちの協会もその一つで、新しい政権党FCNの支持基盤となっている。
今年1月に入ってから人道犯罪容疑で退役軍人18人が逮捕され、FCN結党者でモラレスの側近の国会議員一人にも逮捕命令が出された。これは米政府が、モラレスに政権を渡したアレハンドロ・マルドナード前暫定大統領に働きかけて打った新政権への強い警告措置を受け止められている。
就任式は、首都グアテマラ市内の「ミゲル=アンヘル・アストゥリアス文化セントロ」にある国立劇場を臨時の国会として挙行された。市内では多数の市民による抗議デモが実施された。有権者による最初の「モラレス政治」への危惧表明だった。
就任式にはエクアドール、エル・サルバドール、オンドゥーラス、コスタ・リカ、ドミニカ共和国の5カ国大統領、ベリーズ首相、米、ベネスエラ、ニカラグアの3カ国副大統領、クーバ副議長、スペイン前国王、パナマ大統領府相らが出席した。
際立ったのは米副統領ジョセフ・バイデンで、モラレス新政権に反腐敗や麻薬取締りの公約を遵守するよう圧力をかける狙いからも出席したと解釈されている。
モラレスは就任演説で、反腐敗闘争、飢餓一掃、教育拡充、組織犯罪・麻薬取締りなどの重点政策を打ち出した。危なっかしい新政権がついに船出、荒海に乗り出した。
(モラレスは15日、国軍最高司令官就任に際し国軍司令部で演説、軍人に憲政の番人、平和部隊であれと呼び掛け、工兵隊としても道路8000kmの修復に従事するよう要請した。)
モラレスは2011年、ミスコ市長選挙に、当時存続していた右翼政党ADN(国家開発行動)から出馬し、落選した。だが政界進出への意欲は衰えず、昨年9月6日の大統領選挙で「国民結集戦線」(FCN)から出馬、時流に乗って得票第1位となり、10月25日の決選で、元大統領夫人サンドラ・トーレス候補に圧勝して当選した。
その時流とは、昨年9月初め大統領辞任に追い込まれたオットー・ペレス=モリーナ(退役将軍)をはじめ政府高官多数が関与した大規模な税関汚職事件の摘発で、反腐敗機運と伝統的政治家への不信が最大限に高まっていたこと。政治経験はないが人気は高い喜劇俳優は、右翼であっても、有権者の目に新鮮に映った。
だが、税関汚職事件で摘発されなかったり排除されなかったりした利権勢力は、政治の素人だが右翼体質のモラレスににじり寄ってきた。内戦期に人道犯罪に深く関与した退役軍人たちの協会もその一つで、新しい政権党FCNの支持基盤となっている。
今年1月に入ってから人道犯罪容疑で退役軍人18人が逮捕され、FCN結党者でモラレスの側近の国会議員一人にも逮捕命令が出された。これは米政府が、モラレスに政権を渡したアレハンドロ・マルドナード前暫定大統領に働きかけて打った新政権への強い警告措置を受け止められている。
就任式は、首都グアテマラ市内の「ミゲル=アンヘル・アストゥリアス文化セントロ」にある国立劇場を臨時の国会として挙行された。市内では多数の市民による抗議デモが実施された。有権者による最初の「モラレス政治」への危惧表明だった。
就任式にはエクアドール、エル・サルバドール、オンドゥーラス、コスタ・リカ、ドミニカ共和国の5カ国大統領、ベリーズ首相、米、ベネスエラ、ニカラグアの3カ国副大統領、クーバ副議長、スペイン前国王、パナマ大統領府相らが出席した。
際立ったのは米副統領ジョセフ・バイデンで、モラレス新政権に反腐敗や麻薬取締りの公約を遵守するよう圧力をかける狙いからも出席したと解釈されている。
モラレスは就任演説で、反腐敗闘争、飢餓一掃、教育拡充、組織犯罪・麻薬取締りなどの重点政策を打ち出した。危なっかしい新政権がついに船出、荒海に乗り出した。
(モラレスは15日、国軍最高司令官就任に際し国軍司令部で演説、軍人に憲政の番人、平和部隊であれと呼び掛け、工兵隊としても道路8000kmの修復に従事するよう要請した。)
2016年1月8日金曜日
グアテマラで人道犯罪関与の元軍人18人逮捕さる
グアテマラ検察庁は1月6日、軍政期などに殺戮など人道犯罪に関与した疑いで元軍人18人を逮捕した。その中には、軍政首班(非合憲大統領)を1978~82年務めた故フェルナンド・ルカス=ガルシアの実弟マヌエル・ルカス=ガルシアが含まれている。最高齢者は80歳で、あとは60~70代。
18人中、ルカス=ガルシアら14人は1981~88年にアルタベラパス県コバーンの陸軍第21軍区に連行された先住民558人の虐殺に関与した疑いがもたれている。この軍区の「平和維持作戦訓練地域指揮所」(CREOMPAZ)は、殺害部隊を指揮していた。
グアテマラ法人類学財団(FAFG)は、2012年以降、軍区一帯の4カ所を発掘、うち4カ所から遺骨が発見された。すべての頭蓋骨などに射殺ないし斬殺された痕跡があった。
この大量殺戮事件の捜査は、1982年7月18日に陸軍がマヤ民族アチー人256人を殺害した際、関与した元準軍部隊要員5人に2012年3月、合計7710年の禁錮刑が言い渡された時点から本格化した。この256人殺害作戦は「サンチェス計画」と名付けられていた。
256人を含む558人の遺骨のうちDNA鑑定で身元が判明したのは97柱だけ。また、犠牲者はほぼ全員が非戦闘員で、うち90人は未成年だった。成人には多くの女性や老人も含まれていた。
元軍人18人のうち残る4人は、1981年1月6日グアテマラ市で起きた女性拉致拷問強姦事件の実行者である疑いで逮捕された。同4人は、エンマ・モリーナという女性を9日間いたぶり、その弟MAモリーナを強制失踪させた疑いがある。
検察はさらに、今月14日就任するジミー・モラレス新大統領の主要な顧問であるエドガル・オバージェの不逮捕特権剥奪を国会に要請した。オバージェも人道犯罪に関与した疑いがある。
14日から政権党となるモラレスの政党「国民結集戦線」(FCN)には国会議員11人がいるが、オバージェはその一人。新政権の行方には、発足直前から暗雲が立ち込めた。逮捕された元軍人たちは退役軍人協会に所属しており、同協会はFCNの支持団体。この点もモラレスにとり極めて好ましくない。
人道犯罪犠牲者の遺族を支援する「相互支援団」(GAM)のマリオ・ポランコ代表は、「元軍人たちの逮捕は歴史的だ。彼らは一時期、グアテマラ人の生命とグアテマラの所有者を自認していた」と語った。
18人中、ルカス=ガルシアら14人は1981~88年にアルタベラパス県コバーンの陸軍第21軍区に連行された先住民558人の虐殺に関与した疑いがもたれている。この軍区の「平和維持作戦訓練地域指揮所」(CREOMPAZ)は、殺害部隊を指揮していた。
グアテマラ法人類学財団(FAFG)は、2012年以降、軍区一帯の4カ所を発掘、うち4カ所から遺骨が発見された。すべての頭蓋骨などに射殺ないし斬殺された痕跡があった。
この大量殺戮事件の捜査は、1982年7月18日に陸軍がマヤ民族アチー人256人を殺害した際、関与した元準軍部隊要員5人に2012年3月、合計7710年の禁錮刑が言い渡された時点から本格化した。この256人殺害作戦は「サンチェス計画」と名付けられていた。
256人を含む558人の遺骨のうちDNA鑑定で身元が判明したのは97柱だけ。また、犠牲者はほぼ全員が非戦闘員で、うち90人は未成年だった。成人には多くの女性や老人も含まれていた。
元軍人18人のうち残る4人は、1981年1月6日グアテマラ市で起きた女性拉致拷問強姦事件の実行者である疑いで逮捕された。同4人は、エンマ・モリーナという女性を9日間いたぶり、その弟MAモリーナを強制失踪させた疑いがある。
検察はさらに、今月14日就任するジミー・モラレス新大統領の主要な顧問であるエドガル・オバージェの不逮捕特権剥奪を国会に要請した。オバージェも人道犯罪に関与した疑いがある。
14日から政権党となるモラレスの政党「国民結集戦線」(FCN)には国会議員11人がいるが、オバージェはその一人。新政権の行方には、発足直前から暗雲が立ち込めた。逮捕された元軍人たちは退役軍人協会に所属しており、同協会はFCNの支持団体。この点もモラレスにとり極めて好ましくない。
人道犯罪犠牲者の遺族を支援する「相互支援団」(GAM)のマリオ・ポランコ代表は、「元軍人たちの逮捕は歴史的だ。彼らは一時期、グアテマラ人の生命とグアテマラの所有者を自認していた」と語った。
2015年10月19日月曜日
グアテマラ大統領選挙決選まで1週間、必死のSトーレス候補
グアテマラ大統領選挙(9月6日実施)は10月25日の決選投票で決着がつくが、1週間と迫った18日、劣勢を伝えられるサンドラ・トーレス候補(希望国民連合UNE)は遊説で、当選が確実視されている相手候補ジミー・モラレス(国民結集戦線FCN)との違いを強調した。この国初の女性大統領を目指す。
トーレスはアルバロ・コロム元大統領(2008~12年)の元夫人で、大統領夫人として政治に関与した。相手のモラレスは喜劇俳優出身で、政治経験はない。体質的に保守で、軍部、富裕層ら旧体制に支配されるとの見方が広く為されている。
モラレスを皮肉って「グアテマラは喜劇ではない。真の悲劇なのだ」とぶち上げたトーレスは、対立候補に政治経験がないことも指摘した。トーレスは「国が必要としている団結と平和のメンサヘ(メッセージ)を発するため投票しよう。団結は力だ。貧者の力を示そう」と群衆に呼び掛けた。
コロム政権が設立し、後継のペレス=モリーナ前政権が廃止した「連帯資金」など貧困対策の復活を約束している。トーレスは、経済面の経験不足を補うため、実業家マリオ・レアルを副大統領候補にしている。また、一日平均16人が殺される極悪の治安の対策として、国軍の治安出動を維持する方針だ。
一方モラレスは、大規模な税関汚職事件の主犯として9月初め政権を追われたペレスモリーナ前大統領の腐敗追及で支持率を挙げてきた。見識不足を攻撃されていることもあって、副大統領候補に国立サンカルロス大学(USAC)の元学長ハフェス・カブレラを据えている。
有権者は754万人。当選者は来年1月14日、政権に就く。任期は4年。
トーレスはアルバロ・コロム元大統領(2008~12年)の元夫人で、大統領夫人として政治に関与した。相手のモラレスは喜劇俳優出身で、政治経験はない。体質的に保守で、軍部、富裕層ら旧体制に支配されるとの見方が広く為されている。
モラレスを皮肉って「グアテマラは喜劇ではない。真の悲劇なのだ」とぶち上げたトーレスは、対立候補に政治経験がないことも指摘した。トーレスは「国が必要としている団結と平和のメンサヘ(メッセージ)を発するため投票しよう。団結は力だ。貧者の力を示そう」と群衆に呼び掛けた。
コロム政権が設立し、後継のペレス=モリーナ前政権が廃止した「連帯資金」など貧困対策の復活を約束している。トーレスは、経済面の経験不足を補うため、実業家マリオ・レアルを副大統領候補にしている。また、一日平均16人が殺される極悪の治安の対策として、国軍の治安出動を維持する方針だ。
一方モラレスは、大規模な税関汚職事件の主犯として9月初め政権を追われたペレスモリーナ前大統領の腐敗追及で支持率を挙げてきた。見識不足を攻撃されていることもあって、副大統領候補に国立サンカルロス大学(USAC)の元学長ハフェス・カブレラを据えている。
有権者は754万人。当選者は来年1月14日、政権に就く。任期は4年。
2015年10月14日水曜日
グアテマラ山崩れ不明者の捜索打ち切り
グアテマラ政府は10月13日、首都グアテマラ市郊外のサンタカタリーナ・ピヌーラ市エル・カンブライⅡ地区で1日発生した山崩れでの行方不明者の捜索活動を打ち切った。
これまで土砂の下から38人が救出され、280人の遺体が収容されたが、依然約70人の所在が分からないままだ。
政府は捜索活動打ち切りに合わせ、住宅建設、住民の臨時就職などの活動を開始した。
これまで土砂の下から38人が救出され、280人の遺体が収容されたが、依然約70人の所在が分からないままだ。
政府は捜索活動打ち切りに合わせ、住宅建設、住民の臨時就職などの活動を開始した。
2015年10月6日火曜日
グアテマラ税関汚職事件の鍵握る人物が法廷証言
大規模なグアテマラ税関汚職事件解明の鍵を握る人物が10月5日出頭、首都グアテマラ市の予審法廷で証言した。ロクサーナ・バルデッティ被告(元副大統領)の秘書だったフアン=カルロス・モンソン(47)で、逃亡していた。
モンソンは、「オットー・ペレス=モリーナ被告(前大統領)とバルデッティ被告の2人がすべてを決めていた。前大統領は、収賄した人々から、その金額の半分を受け取っていた」と述べた。
「身の安全が保障された今、証言する」とモンソンは口にしており、司法取引があったと見られている。税関絡みの贈収賄網を動かしていたモンソンは、4月の事件発覚後、暗殺される危険を察知して身を隠していたようだ。
モンソンは、税関汚職事件に関わる金額は、伝えられてきたような370万ドルでなく19億4800万ドルに上る、と暴露した。
モンソンは、「オットー・ペレス=モリーナ被告(前大統領)とバルデッティ被告の2人がすべてを決めていた。前大統領は、収賄した人々から、その金額の半分を受け取っていた」と述べた。
「身の安全が保障された今、証言する」とモンソンは口にしており、司法取引があったと見られている。税関絡みの贈収賄網を動かしていたモンソンは、4月の事件発覚後、暗殺される危険を察知して身を隠していたようだ。
モンソンは、税関汚職事件に関わる金額は、伝えられてきたような370万ドルでなく19億4800万ドルに上る、と暴露した。
2015年10月4日日曜日
グアテマラ大統領選挙決選はジミー・モラレスに圧勝の勢い
グアテマラ大統領選挙(9月6日実施)の決選投票は10月25日実施され、右翼・保守の国民結集戦線(FCN)候補ジミー・モラレス(46、喜劇俳優)と、中道・中道左翼の希望国民連合(UNE)候補サンドラ・トーレス(59、元大統領夫人)が進出しているが、世論調査によると、モラレスが圧勝する勢いを示している。
9月下旬実施の調査の結果が10月2日公表され、モラレス64%、トーレス20・6%、未定(浮動票)15・4%だった。仮に浮動票全部がトーレスに投じられたとしても、モラレスの優位は動かない。
一方、首都グアテマラ市南方15kmのサンタカタリーナ・ピヌーラ市カンブライ・ドス地区で1日発生した山崩れによる犠牲者は4日現在86人に達した。約350人が土砂に埋まったままになっている。救出されたのは34人だけだ。
同地区は山間の谷にあり、豪雨により山の斜面の地盤が緩み、崩れ落ちた。政府当局は以前から、居住に適さない危険地域に指定していたという。
9月下旬実施の調査の結果が10月2日公表され、モラレス64%、トーレス20・6%、未定(浮動票)15・4%だった。仮に浮動票全部がトーレスに投じられたとしても、モラレスの優位は動かない。
一方、首都グアテマラ市南方15kmのサンタカタリーナ・ピヌーラ市カンブライ・ドス地区で1日発生した山崩れによる犠牲者は4日現在86人に達した。約350人が土砂に埋まったままになっている。救出されたのは34人だけだ。
同地区は山間の谷にあり、豪雨により山の斜面の地盤が緩み、崩れ落ちた。政府当局は以前から、居住に適さない危険地域に指定していたという。
2015年9月16日水曜日
グアテマラ大統領選挙決選にサンドラ・トーレスが進出
9月6日実施されたグアテマラ大統領選挙で得票2位争いをしていたマヌエル・バルディソーン候補は14日、撤退を表明した。これにより、10月25日の決選投票は得票1位のジミー・モラレスと、2位が確定したサンドラ・トーレスの争いとなった。
選管(TSE)は11日、開票率99・01%段階で、2位争いをしていたトーレスの得票率19・76%(96万7242票)、バルディソーン19・64%(96万1284票)と発表、最終結果は14日以降明らかにすると表明していた。
バルディソーンは、わずか5958票の票差だが、これを覆すのは不可能と判断、撤退した。その表明に際し、開票に不正があったと非難した。だが「不正」を証明するのに十分な証拠は示さなかった。
決選では、バルディソーン票、および6日の投票を棄権した有権者の28%の票の行方が勝敗を左右する。
ノーベル平和賞受賞者でマヤ先住民指導者の一人、リゴベルタ・メンチューの政治組織ウィナクは、バルディソーンを支持していた。メンチューも「選挙の不正」を公言している。
バルディソーンは前回選挙で決選に進出したが、税関汚職事件を追及され3日辞任に追い込まれたオットー・ペレス=モリーナ前大統領に敗れた。
グアテマラは15日、アレハンドロ・マルドナード暫定大統領の下で、独立194周年を祝った。旧大統領政庁(現文化宮殿)前の憲法広場は9月初めまではペレス=モリーナに辞任を要求する市民の結集の場だったが、15日夜は独立を祝う市民で埋まった。
一方、キチェー県サンフアンコツァルで10日、マヤ先住民族イシル人の精神的指導者セバスティアン・サヒク=コルドバ(70)が、一団によって山刀(マチェテ)で惨殺された。サヒク=コルドバは、1980年代初め先住民を大虐殺した責任者、エフライン・リオス=モント元軍政首班(89)の断罪を要求する運動を推進していた。
選管(TSE)は11日、開票率99・01%段階で、2位争いをしていたトーレスの得票率19・76%(96万7242票)、バルディソーン19・64%(96万1284票)と発表、最終結果は14日以降明らかにすると表明していた。
バルディソーンは、わずか5958票の票差だが、これを覆すのは不可能と判断、撤退した。その表明に際し、開票に不正があったと非難した。だが「不正」を証明するのに十分な証拠は示さなかった。
決選では、バルディソーン票、および6日の投票を棄権した有権者の28%の票の行方が勝敗を左右する。
ノーベル平和賞受賞者でマヤ先住民指導者の一人、リゴベルタ・メンチューの政治組織ウィナクは、バルディソーンを支持していた。メンチューも「選挙の不正」を公言している。
バルディソーンは前回選挙で決選に進出したが、税関汚職事件を追及され3日辞任に追い込まれたオットー・ペレス=モリーナ前大統領に敗れた。
グアテマラは15日、アレハンドロ・マルドナード暫定大統領の下で、独立194周年を祝った。旧大統領政庁(現文化宮殿)前の憲法広場は9月初めまではペレス=モリーナに辞任を要求する市民の結集の場だったが、15日夜は独立を祝う市民で埋まった。
一方、キチェー県サンフアンコツァルで10日、マヤ先住民族イシル人の精神的指導者セバスティアン・サヒク=コルドバ(70)が、一団によって山刀(マチェテ)で惨殺された。サヒク=コルドバは、1980年代初め先住民を大虐殺した責任者、エフライン・リオス=モント元軍政首班(89)の断罪を要求する運動を推進していた。
2015年9月12日土曜日
グアテマラ大統領選挙、2位はトーレス候補有望
グアテマラ選管(TSE)は9月11日、6日実施の大統領選挙の開票率が99%を超えた段階で、得票率2位のサンドラ・トーレス97・76%(96万7242票)、3位のマヌエル・バルディソーン19・64%(96万1284票)と発表した。
だが、最終結果の発表は14日以降になると明らかにした。
わずか5958票差の大接戦だ。10月25日実施の決選には得票率約24%(110万票)で1位のジミー・モラレスが進出を決めている。その相手はトーレスとバルディソーンのいずれか一方だが、トーレスになる公算が大きくなりつつある。
選管は11日中にも最終結果を発表する見込み。バルディソ-ン陣営は10日、「不正開票の可能性」を非難したが、選管はこれを一蹴した。
だが、最終結果の発表は14日以降になると明らかにした。
わずか5958票差の大接戦だ。10月25日実施の決選には得票率約24%(110万票)で1位のジミー・モラレスが進出を決めている。その相手はトーレスとバルディソーンのいずれか一方だが、トーレスになる公算が大きくなりつつある。
選管は11日中にも最終結果を発表する見込み。バルディソ-ン陣営は10日、「不正開票の可能性」を非難したが、選管はこれを一蹴した。
2015年9月9日水曜日
グアテマラ前大統領が収賄罪などで起訴さる
グアテマラ検察庁は9月8日、オットー・ペレス=モリーナ(OPM)前大統領の予審聴訴で、収賄罪などによりOPMを起訴した。
OPMは1日、国会により免罪特権を剥奪され、2日逮捕状が出されたため辞表を国会に提出、3日国会がこれを受理したが、事実上の弾劾だった。OPMは3日から首都グアテマラ市内にある軍刑務所で拘置されている。
予審は3、4、8日と3日間続いたが、次回は12月21日開かれ、弁護側が陳述する。本裁判開始が決めれば、それは来年になるもよう。
OPM被告は自宅軟禁処分を求めたが、法廷は証拠隠滅、捜査妨害をする恐れがある、として拘禁を解かないことを決めた。
OPMは1日、国会により免罪特権を剥奪され、2日逮捕状が出されたため辞表を国会に提出、3日国会がこれを受理したが、事実上の弾劾だった。OPMは3日から首都グアテマラ市内にある軍刑務所で拘置されている。
予審は3、4、8日と3日間続いたが、次回は12月21日開かれ、弁護側が陳述する。本裁判開始が決めれば、それは来年になるもよう。
OPM被告は自宅軟禁処分を求めたが、法廷は証拠隠滅、捜査妨害をする恐れがある、として拘禁を解かないことを決めた。
2015年9月8日火曜日
グアテマラ大統領選挙は大接戦、決選進出者は未確定
グアテマラ中央選管(TSE)は9月7日、大統領選挙・決選投票進出候補は5日以内に決定する、と発表した。6日の選挙の投票率は、過去最高の70・38%だった。
開票率97・71%段階で、得票率1位はジミー・モラレス23・95%、2位はサンドラ・トーレス19・62%、3位マヌエル・バルディソーン19・57%。モラレスの決選進出は事実上確定しているが、その相手となる両候補は1ポイント以下の大接戦で未確定。
選管は次いで開票率98・22%段階で、いったん開票を停止し、残る票を慎重に数え、最終結果は5日以内に決定する、と発表した。
8月半ばまでは、政治資金が豊富で、前回選挙前から計8年間、選挙運動をしていた実業家バルディソーンが最有力候補だった。だがバルディソーンは前回選挙時から麻薬資金を選挙資金として使っているとの疑惑があり、決選でオットー・ペレス=モリーナ(OPM)前大統領に敗れた。
ところが、このOPMが大規模な税関汚職事件の首謀者として摘発され、辞任に追い込まれ、逮捕された。汚職・腐敗への有権者の目はいつになく厳しく、それが清潔感のあるトーレスを浮上させた。
しかし、5日以内発表という選管判断は、この国の選挙が相変わらず「不正臭」を漂わせていることを印象付けた。
開票率97・71%段階で、得票率1位はジミー・モラレス23・95%、2位はサンドラ・トーレス19・62%、3位マヌエル・バルディソーン19・57%。モラレスの決選進出は事実上確定しているが、その相手となる両候補は1ポイント以下の大接戦で未確定。
選管は次いで開票率98・22%段階で、いったん開票を停止し、残る票を慎重に数え、最終結果は5日以内に決定する、と発表した。
8月半ばまでは、政治資金が豊富で、前回選挙前から計8年間、選挙運動をしていた実業家バルディソーンが最有力候補だった。だがバルディソーンは前回選挙時から麻薬資金を選挙資金として使っているとの疑惑があり、決選でオットー・ペレス=モリーナ(OPM)前大統領に敗れた。
ところが、このOPMが大規模な税関汚職事件の首謀者として摘発され、辞任に追い込まれ、逮捕された。汚職・腐敗への有権者の目はいつになく厳しく、それが清潔感のあるトーレスを浮上させた。
しかし、5日以内発表という選管判断は、この国の選挙が相変わらず「不正臭」を漂わせていることを印象付けた。
2015年9月7日月曜日
グアテマラ大統領選、決選の公算膨らむ
9月3日にオットーペレス=モリーナ退役将軍が大統領辞任に追い込まれたグアテマラで6日、総選挙の投票が始まった。正副大統領、一院制国会の議員158人、中米議会議員20人、338市長を選ぶ。有権者は750万人。
注目の大統領選挙には14人が出馬している。だが実質的には、ジミー・モラレス(46、国民結集戦線FCN、右翼)、マヌエル・バルディソーン(45、改新民主自由党LIDER、右翼)、サンドラ・トーレス(59、希望国民連合UNE、中道進歩主義)の3候補の争いで、このうち2人が10月25日実施の決選投票に進出すると見られている。
★開票率35%段階での選管第1回発表によると、モラレス25・9%、バルディソーン19・3%、トーレス17・9%。
喜劇俳優でテレビキャスターを務めたモラレスは、前大統領が中心になっていた大規模な汚職事件で有権さが「変わり種=新鮮さ」を求めたことから人気が急上昇し、世論調査で8月下旬、1位に躍り出た。FCNには軍部の一部も加わっている。
バルディソーンは前回決選で敗れ、2度目の挑戦。8年がかりで選挙運動してきたため有利に選挙戦を展開すると見られたが、以前からつきまとっていた麻薬資金疑惑が前大統領らの絡んだ事件の傍系として改めて指摘され、支持が伸び悩んだ。
トーレスはアルバロ・コロム元大統領の夫人だったが、離婚して選挙運動を続けてきた。
注目の大統領選挙には14人が出馬している。だが実質的には、ジミー・モラレス(46、国民結集戦線FCN、右翼)、マヌエル・バルディソーン(45、改新民主自由党LIDER、右翼)、サンドラ・トーレス(59、希望国民連合UNE、中道進歩主義)の3候補の争いで、このうち2人が10月25日実施の決選投票に進出すると見られている。
★開票率35%段階での選管第1回発表によると、モラレス25・9%、バルディソーン19・3%、トーレス17・9%。
喜劇俳優でテレビキャスターを務めたモラレスは、前大統領が中心になっていた大規模な汚職事件で有権さが「変わり種=新鮮さ」を求めたことから人気が急上昇し、世論調査で8月下旬、1位に躍り出た。FCNには軍部の一部も加わっている。
バルディソーンは前回決選で敗れ、2度目の挑戦。8年がかりで選挙運動してきたため有利に選挙戦を展開すると見られたが、以前からつきまとっていた麻薬資金疑惑が前大統領らの絡んだ事件の傍系として改めて指摘され、支持が伸び悩んだ。
トーレスはアルバロ・コロム元大統領の夫人だったが、離婚して選挙運動を続けてきた。
2015年9月4日金曜日
グアテマラ新政権発足、辞任した前大統領は出廷
グアテマラ国会は9月3日、アレハンドロ・マルドナード副大統領を暫定大統領に昇格させた。オットー・ペレス=モリーナ(OPM)大統領が2日夜、辞表を提出したのを受け、国会は臨時本会議を開き、これを了承し、暫定大統領を決めた。
判事出身のマルドナードは就任後直ちに、全閣僚に辞任するよう求めた。新大統領は、OPM前大統領の来年1月14日までの残り任期を務める。OPMは逮捕され、予審にかけられた。
前大統領が主犯格の税関汚職事件の担当判事ミゲル=アンヘル・ガルベスは3日、OPMの身柄を首都グアテマラ市内にある軍刑務所に予備拘禁する処置をとった。OPMが国外逃亡する可能性があるためという。OPMは3日始まった予審の後、収監された。
OPMの予審初聴訴で、検察は犯罪関与、税関詐欺、収賄の三つの罪状を挙げた。聴訴は4日続開する。
OPMの辞任と予審開始で、4月以来、辞任要求行動を続けていた有権者市民は溜飲を下げ、関心は6日に迫った次期大統領選挙に移った。
14人が出馬しているが、世論調査によれば、俳優、テレビキャスターなどを務めてきた右翼ジミー・モラレス(46、国民結集戦線FCN)25%、保守・右翼の実業家マヌエル・バルディソーン(45、改進民主自由党LIDER)23%、中道進歩主義のサンドラ・トーレス(59、希望国民団結UNE)18%。他の11人は10%未満。
このため3候補の争いとなり、モラレスとバルデソーンが10月25日の決選に進出する公算が大きいと見られている。
トーレスは、OPMの前の大統領アルバロ・コロムの夫人だったが、前回選挙に出馬するため離婚した。だが出馬を認められなかった。
バルディソーンは前回、OPMに決選で敗れた。麻薬資金調達などの嫌疑がかけられている。モラレスは貧困層出身で、貧困大衆層に人気がある。
判事出身のマルドナードは就任後直ちに、全閣僚に辞任するよう求めた。新大統領は、OPM前大統領の来年1月14日までの残り任期を務める。OPMは逮捕され、予審にかけられた。
前大統領が主犯格の税関汚職事件の担当判事ミゲル=アンヘル・ガルベスは3日、OPMの身柄を首都グアテマラ市内にある軍刑務所に予備拘禁する処置をとった。OPMが国外逃亡する可能性があるためという。OPMは3日始まった予審の後、収監された。
OPMの予審初聴訴で、検察は犯罪関与、税関詐欺、収賄の三つの罪状を挙げた。聴訴は4日続開する。
OPMの辞任と予審開始で、4月以来、辞任要求行動を続けていた有権者市民は溜飲を下げ、関心は6日に迫った次期大統領選挙に移った。
14人が出馬しているが、世論調査によれば、俳優、テレビキャスターなどを務めてきた右翼ジミー・モラレス(46、国民結集戦線FCN)25%、保守・右翼の実業家マヌエル・バルディソーン(45、改進民主自由党LIDER)23%、中道進歩主義のサンドラ・トーレス(59、希望国民団結UNE)18%。他の11人は10%未満。
このため3候補の争いとなり、モラレスとバルデソーンが10月25日の決選に進出する公算が大きいと見られている。
トーレスは、OPMの前の大統領アルバロ・コロムの夫人だったが、前回選挙に出馬するため離婚した。だが出馬を認められなかった。
バルディソーンは前回、OPMに決選で敗れた。麻薬資金調達などの嫌疑がかけられている。モラレスは貧困層出身で、貧困大衆層に人気がある。
2015年9月3日木曜日
汚職事件関与で窮地のグアテマラ大統領が辞任
グアテマラのオットー・ペレス=モリーナ大統領は9月2日、国会に文章で辞表を提出した。ペレス=モリーナは、「ラ・リネア」と呼ばれる税関絡みの大規模な汚職事件の主犯格として告発され、国会は1日、大統領の免罪特権を剥奪。裁判所は同日夜、逮捕状を出していた。
これまで辞任せず、来年1月までの任期を全うすると主張していたが、国会による特権剥奪と逮捕状発行を受けて急遽、辞任を決意した。
検察は既に取り調べる態勢をとっている。6日には次期大統領選挙が予定されている。選挙は、大統領に昇格する副大統領の下で実施されることになる。
これまで辞任せず、来年1月までの任期を全うすると主張していたが、国会による特権剥奪と逮捕状発行を受けて急遽、辞任を決意した。
検察は既に取り調べる態勢をとっている。6日には次期大統領選挙が予定されている。選挙は、大統領に昇格する副大統領の下で実施されることになる。
2015年9月2日水曜日
グアテマラ国会が大統領免罪特権を剥奪
グアテマラ国会は9月1日、オットー・ペレス=モリーナ大統領(64)の免罪特権を剥奪した。定数158人の国会だが、この日の本会議には剥奪に必要な105人を上回る132人が出席、全会一致で可決した。
大統領は8月21日、検察庁から大規模な税関絡み汚職事件の主犯格として告発されていた。今後、取り調べられることになるが、逮捕もありうる。最高裁は特命判事を決め、同人の下で捜査が始まる。
世論は大統領即時辞任を要求してきたが、本人は徹底抗戦を強調、辞任の意思はなく、来年1月までの任期を全うすると繰り返し表明してきた。
国会の決定を受けて、首都グアテマラ市をはじめ国内各地で人々は喜びの声を挙げた。首都で気勢を挙げた群衆は、「人民はここにいる、大統領はいない」などと書かれた紙やプラカードを掲げていた。
マヤ人でノーベル平和賞受賞者リゴベルタ・メンチューは、歴史的出来事であり、人民の勝利だ、と述べた。
ペレス=モリーナは、36年間続いた左翼ゲリラとの内戦で、マヤ人らを徹底的に弾圧、殺戮したした軍部の諜報機関長で、退役陸軍将軍。2011年の大統領選挙で当選、12年1月就任。強面し、大企業や外資を優遇、先住民や農民を弾圧しつつ資源開発、ダム建設などを強行した。だがい今や、財界にも辞任を求められている。
グアテマラでは今月6日、次期大統領選挙が実施される。その5日前の免罪特権剥奪だった。
大統領は8月21日、検察庁から大規模な税関絡み汚職事件の主犯格として告発されていた。今後、取り調べられることになるが、逮捕もありうる。最高裁は特命判事を決め、同人の下で捜査が始まる。
世論は大統領即時辞任を要求してきたが、本人は徹底抗戦を強調、辞任の意思はなく、来年1月までの任期を全うすると繰り返し表明してきた。
国会の決定を受けて、首都グアテマラ市をはじめ国内各地で人々は喜びの声を挙げた。首都で気勢を挙げた群衆は、「人民はここにいる、大統領はいない」などと書かれた紙やプラカードを掲げていた。
マヤ人でノーベル平和賞受賞者リゴベルタ・メンチューは、歴史的出来事であり、人民の勝利だ、と述べた。
ペレス=モリーナは、36年間続いた左翼ゲリラとの内戦で、マヤ人らを徹底的に弾圧、殺戮したした軍部の諜報機関長で、退役陸軍将軍。2011年の大統領選挙で当選、12年1月就任。強面し、大企業や外資を優遇、先住民や農民を弾圧しつつ資源開発、ダム建設などを強行した。だがい今や、財界にも辞任を求められている。
グアテマラでは今月6日、次期大統領選挙が実施される。その5日前の免罪特権剥奪だった。
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