ニカラグア国会は6月29日、今年下半期に軍事演習のため玖VEN墨ES/GUA/HON/RD/米露の計9カ国および台湾の軍隊がニカラグアに入国することを認めた。
政権党FSLNが圧倒的多数派であるため、賛成73、反対16で可決された。
また同時期、ニカラグアの陸海空3軍部隊が墨巴露3国で演習することも認めた。演習には、経験交換、人道支援も含まれている。
ニカ国会は半年ごとに外国軍の入国に関し決議しており、4月18日から続く反政府勢力のオルテガ政権打倒行動とは無関係という。
しかし、同盟国の玖VEN露3国、外交関係を持つが遠方の台湾、さらにはオルテガ政権に厳しく、反政府勢力の背後にいるとも指摘されている米国の軍隊が参加する「大掛かり」な演習計画が降って湧いたように出現し、内外世論は戸惑っている。
最大の危機に直面しているダニエル・オルテガ大統領は今回、国会に対し、緊急本会議を開催し決議するよう要請していたとされる。
反政府勢力の敵対的闘争意欲をそぎ、世論の目を外に向ける一種の目くらまし戦術と捉えることも可能だろう。
ニカラグアの東南隣のコスタ・リカは国家警備隊は持つが軍隊を持たないことや、関係がよくないことから、今回の演習には招かれていない。
▼中米統合機構(SICA)首脳会合終わる
RD首都サントドミンゴで6月29日開かれ、ニカラグア政府と反政府勢力の抗争の平和解決、対米移民問題、石油価格高騰などを話し合い閉会した。RDの他、グアテマラ、エル・サルバドール、ホンジュラス、コスタ・リカ、パナマの大統領が出席した。
ニカラグアからはカリブ担当相が出席した。SICAの輪番制議長国はRDからベリーズに移った。コスタ・リカは、2021年の中米独立200周年を合同で祝おうと提案した。
2018年7月1日日曜日
2018年6月26日火曜日
ニカラグア対話再開:オルテガ大統領が繰り上げ選挙を受け入れるか否かが焦点▼ペンス米副大統領がブラジル、エクアドール、グアテマラ歴訪へ▼ペルー人口は3100万人▼メキシコ大統領選挙はアムロ優位▼エクアドール記者の遺体特定▼EUがベネズエラ高官に入域を禁止▼ピノチェー将軍の公金横領内容特定さる
ニカラグア政府と反政府勢力の間で起きている流血の紛争解決のための対話は6月25日、司教会議(CEN)の仲介で再開した。司教会議はダニエル・オルテガ大統領に対し、2021年実施予定の次期大統領選挙を来年3月末に繰り上げ実施するよう提案しており、この問題が中心議題となる。
オルテガ大統領は、この提案を7日に受けた際、「考える時間が欲しい」と答え、その後、回答していない。このためCENは23日、大統領に19年3月選挙を受け入れるよう公式に表明するよう求めた。
対話は、検証・治安、選挙、司法の3部会に分かれて開かれている。政府側はデニス・モンカーダ外相が首席代表。対話に参加する米州人権委員会(CIDH)と国連人権高等弁務官事務所の代表らは24日マナグア入りした。
4月18日以来の反政府側の抗議行動開始以来、死傷者多数が出ているが、CIDHはその殺傷責任者特定を担当している。設置された「ニカラグア検証特別機関」(MESEN)に参加し活動する。
オルテガは現在、連続3期政権にあり、22年からの4期目には妻で副大統領のロサリオ・ムリージョを後継者にしようと目論んでいた。その構想も崩れようとしている。
対話の選挙部会は、選挙法改正で現職正副大統領の次期大統領選挙出馬を阻止しようとしているからだ。オルテガが繰り上げ選挙を認めれば、反政府側に勢いがつき、選挙法改正が成立する公算が大きくなる。
依然厚いオルテガ支持層は4月以来の反政府活動と仲介対話を、米国が反政府勢力の背後で操る「時間をかけたクーデター」と見なし、非難している。ベネズエラで繰り返し展開されてきたグアリンバ(政治的街頭武力)の焼き直しと見ているのだ。
▼米副大統領がラ米歴訪へ
マイク・ペンス副大統領は6月26日からブラジル、エクアドール、グアテマラを歴訪する。ペンスのラ米訪問は3度目となる。
ブラジリアでミシェル・テメル伯大統領とベネズエラ情勢を中心に会談する。伯マラニョン州のアルカンタラ基地を、米航空宇宙局(NASA)の衛星打ち上げ基地として使用するための話し合いもする。
ペンスはブラジリアからマナウス市に移動、同市内にあるベネズエラ人難民収容所を視察する。ブラジルには同難民5万人がいるとされる。その後、キトに行く。
▼ペルー人口は3100万人
秘統計庁は6月25日、人口は3123万7000人と発表した。昨年10月、国勢調査が実施された。
▼メキシコ大統領選挙支持率はアムロ優位続く
ミトフスキ社調査では、ARENA候補アムロ(ロペス=オブラドール)37・7%、前政権党PANのリカルド・アナヤ20%、政権党PRIのホセ・メアデ17・7%、無所属ハイメ・ロドリゲス3・1%。残る21・5%は未定・棄権・白票。
▼エクアドール取材班の遺体確認
コロンビア検察庁は6月25日、ナリーニョ州内で21日発見された男性3人の遺体は、エクアドール紙エル・コメルシオ取材班員と特定した、と発表した。遺体は、カリ市で司法解剖に付されていた。
3人は3月下旬、コロンビア国境のエスメラルダ県取材中にコロンビアゲリラの残党に拉致され殺害された。ハビエル・オルテガ記者、パウール・リバス写真記者、エフラーン・セガ―ラ運転手の3人。遺体は直ちにエクアドールに空輸される。
▼欧州連合(EU)がべネズエラ高官に制裁発動
EUは6月25日、デルシー・ロドリゲス副大統領、タレク・アルアサミ前副大統領ら11人にEU入域を禁止し、EU域内にある資産を凍結した。
ベネズエラ政府は「内政干渉」と反駁した。VEN国内にはEU人60万人が居住している。米加巴3国は既にVENに制裁中。
▼チリ最高裁がピノチェーの公金横領内容を特定
最高裁は6月25日、故アウグスト・ピノチェー将軍の資産2100万ドルのうちの不正蓄財部分に含まれる730万ドルを特定したと発表した。不動産、銀行預金、乗用車など。14年間の調査の末にたどり着いた。他に600万ドルが特定されている。
計1330万ドルは公金横領による。最高裁はピノチェーの遺族に返還を命じている。返還をめぐり遺族および、ヴァージン諸島の金融機関との係争のもある。不正蓄財はほかに約400万ドルある。
オルテガ大統領は、この提案を7日に受けた際、「考える時間が欲しい」と答え、その後、回答していない。このためCENは23日、大統領に19年3月選挙を受け入れるよう公式に表明するよう求めた。
対話は、検証・治安、選挙、司法の3部会に分かれて開かれている。政府側はデニス・モンカーダ外相が首席代表。対話に参加する米州人権委員会(CIDH)と国連人権高等弁務官事務所の代表らは24日マナグア入りした。
4月18日以来の反政府側の抗議行動開始以来、死傷者多数が出ているが、CIDHはその殺傷責任者特定を担当している。設置された「ニカラグア検証特別機関」(MESEN)に参加し活動する。
オルテガは現在、連続3期政権にあり、22年からの4期目には妻で副大統領のロサリオ・ムリージョを後継者にしようと目論んでいた。その構想も崩れようとしている。
対話の選挙部会は、選挙法改正で現職正副大統領の次期大統領選挙出馬を阻止しようとしているからだ。オルテガが繰り上げ選挙を認めれば、反政府側に勢いがつき、選挙法改正が成立する公算が大きくなる。
依然厚いオルテガ支持層は4月以来の反政府活動と仲介対話を、米国が反政府勢力の背後で操る「時間をかけたクーデター」と見なし、非難している。ベネズエラで繰り返し展開されてきたグアリンバ(政治的街頭武力)の焼き直しと見ているのだ。
▼米副大統領がラ米歴訪へ
マイク・ペンス副大統領は6月26日からブラジル、エクアドール、グアテマラを歴訪する。ペンスのラ米訪問は3度目となる。
ブラジリアでミシェル・テメル伯大統領とベネズエラ情勢を中心に会談する。伯マラニョン州のアルカンタラ基地を、米航空宇宙局(NASA)の衛星打ち上げ基地として使用するための話し合いもする。
ペンスはブラジリアからマナウス市に移動、同市内にあるベネズエラ人難民収容所を視察する。ブラジルには同難民5万人がいるとされる。その後、キトに行く。
▼ペルー人口は3100万人
秘統計庁は6月25日、人口は3123万7000人と発表した。昨年10月、国勢調査が実施された。
▼メキシコ大統領選挙支持率はアムロ優位続く
ミトフスキ社調査では、ARENA候補アムロ(ロペス=オブラドール)37・7%、前政権党PANのリカルド・アナヤ20%、政権党PRIのホセ・メアデ17・7%、無所属ハイメ・ロドリゲス3・1%。残る21・5%は未定・棄権・白票。
▼エクアドール取材班の遺体確認
コロンビア検察庁は6月25日、ナリーニョ州内で21日発見された男性3人の遺体は、エクアドール紙エル・コメルシオ取材班員と特定した、と発表した。遺体は、カリ市で司法解剖に付されていた。
3人は3月下旬、コロンビア国境のエスメラルダ県取材中にコロンビアゲリラの残党に拉致され殺害された。ハビエル・オルテガ記者、パウール・リバス写真記者、エフラーン・セガ―ラ運転手の3人。遺体は直ちにエクアドールに空輸される。
▼欧州連合(EU)がべネズエラ高官に制裁発動
EUは6月25日、デルシー・ロドリゲス副大統領、タレク・アルアサミ前副大統領ら11人にEU入域を禁止し、EU域内にある資産を凍結した。
ベネズエラ政府は「内政干渉」と反駁した。VEN国内にはEU人60万人が居住している。米加巴3国は既にVENに制裁中。
▼チリ最高裁がピノチェーの公金横領内容を特定
最高裁は6月25日、故アウグスト・ピノチェー将軍の資産2100万ドルのうちの不正蓄財部分に含まれる730万ドルを特定したと発表した。不動産、銀行預金、乗用車など。14年間の調査の末にたどり着いた。他に600万ドルが特定されている。
計1330万ドルは公金横領による。最高裁はピノチェーの遺族に返還を命じている。返還をめぐり遺族および、ヴァージン諸島の金融機関との係争のもある。不正蓄財はほかに約400万ドルある。
2018年6月17日日曜日
ニカラグア司教会議がオルテガ大統領に「来年3月29日選挙、4月15日就任」を提案▼大統領再選禁止含む改憲も▼生き残り戦略探るか、オルテガ・サンディニスタ体制
ニカラグア政府と反政府勢力は6月15日、カトリック司教会議(CEN)の仲介で2週間ぶりに対話を再開した。首都マナグア市内にある聖母ファティマ神学校で開かれた。政府側首席代表はデニス・モンカーダ外相。
双方は、①4月18日以来の一連の暴力事件による死傷者と加害者に関する調査を米州人権委員会(CIDH)が再開②国連と欧州連合の人権機関に対話参加を要請③米州諸国機構(OEA)事務局の介在④いかなる側からの暴力・脅迫も即時停止⑤双方による検証・治安委員会設置⑥いかなる監視活動も即時停止⑦道路交通を遮断している障害物の撤去⑧CEN調停案への政府回答めぐる討議実施ーで合意した。
CENは7日、ダニエル・オルテガ大統領に、①大統領選挙を含む総選挙を2019年3月29日実施。大統領を含む当選者は翌4月15日就任②憲法改正ーを提案した。
改憲は、選挙法改正、大統領再選禁止、最高裁判事任期延長に国会承認不可欠、などを定めるため。
大統領は「対話の場で話し合う」と回答した。その「対話の場」は16日以降になる。オルテガが、21年10月予定の次期大統領選挙を2年半繰り上げて来年実施するCEN案に同意するか否かが焦点。
同意する場合、向こう1年弱の間に生き残り戦略を探るはずだ。あるいは3月選挙案を数カ月遅らせる逆提案をする可能性もある。
反政府活動と、これに対する政府側の弾圧が始まってから18日で2か月。死者は200人に近づいている。対話は、選挙繰り上げ実施の可否をめぐり山場に差し掛かっている。
▼TV番組で解説
17日2100~2200のテレビ朝日「たけしTVタックル」の「軍事パレード」で、ペルーとコロンビアの特殊部隊などについて筆者は短く解説しました。その中で「(ペルー)アンデス地方の先住民族」とあるのは、「アンデス地方(の山岳高地でない低地の)先住民族」の意味です。ご参考まで。
双方は、①4月18日以来の一連の暴力事件による死傷者と加害者に関する調査を米州人権委員会(CIDH)が再開②国連と欧州連合の人権機関に対話参加を要請③米州諸国機構(OEA)事務局の介在④いかなる側からの暴力・脅迫も即時停止⑤双方による検証・治安委員会設置⑥いかなる監視活動も即時停止⑦道路交通を遮断している障害物の撤去⑧CEN調停案への政府回答めぐる討議実施ーで合意した。
CENは7日、ダニエル・オルテガ大統領に、①大統領選挙を含む総選挙を2019年3月29日実施。大統領を含む当選者は翌4月15日就任②憲法改正ーを提案した。
改憲は、選挙法改正、大統領再選禁止、最高裁判事任期延長に国会承認不可欠、などを定めるため。
大統領は「対話の場で話し合う」と回答した。その「対話の場」は16日以降になる。オルテガが、21年10月予定の次期大統領選挙を2年半繰り上げて来年実施するCEN案に同意するか否かが焦点。
同意する場合、向こう1年弱の間に生き残り戦略を探るはずだ。あるいは3月選挙案を数カ月遅らせる逆提案をする可能性もある。
反政府活動と、これに対する政府側の弾圧が始まってから18日で2か月。死者は200人に近づいている。対話は、選挙繰り上げ実施の可否をめぐり山場に差し掛かっている。
▼TV番組で解説
17日2100~2200のテレビ朝日「たけしTVタックル」の「軍事パレード」で、ペルーとコロンビアの特殊部隊などについて筆者は短く解説しました。その中で「(ペルー)アンデス地方の先住民族」とあるのは、「アンデス地方(の山岳高地でない低地の)先住民族」の意味です。ご参考まで。
2018年6月14日木曜日
オルテガ・ニカラグア大統領に大統領選挙の来年実施を提案▼反政府勢力は拒否、全国ストを呼び掛け▼ベネズエラが12月に市会議員選挙実施へ▼VEN原油生産が日量139万バレルに落ちる▼ハバナで7月、サンパウロフォーラム開催へ
ニカラグアの反政府勢力「正義と民主のための国民同盟」(ANJD)加盟の農民組織代表メダルド・マイレーナが6月13日明らかにしたところでは、ダニエル・オルテガ大統領に7日、2021年の次期大統領選挙を繰り上げ来年19年に実施するという提案が、仲介役の司教会議(CEN)からなされた。
この旨は、ローラ・ドグ駐ニカ米大使も逸早く日量把握していた。同大使は先週末、来訪していたカレブ・マカリー氏と会合している。マカリーは、ボブ・コーカー米上院外交委員長から派遣された。このことは、オルテガが米側と何らかの取引をした可能性を示唆する。
だが農民代表のマイレーナは13日、我々はオルテガ即時退陣を要求しており、「来年選挙」など受け入れられないと反発。ANJDは全国ストを14日に実施すべく呼び掛けている。
CENは13日、政府と反政府勢力の対話を15日再開すべく双方に通告した。
▼ベネズエラが市会議員選挙を12月実施へ
ニコラース・マドゥーロ大統領は6月12日、全国335市の市会議員選挙を12月に実施すると明らかにした。政権党PSUVは、候補者の半数を35歳以下の若者にする方針。
一方、OPEC(石油輸出国機構)は12日、べネズエラの5月の原油生産量は日量139万バレルだったと発表した。VENが盟主のカリブ石油連帯機構(ペトロカリーベ)への好条件原油輸出も大幅に減っている。
▼ハバナで7月半ば、サンパウロフォーラム(FSP)会合
キューバ共産党(PCC)のホセ=ラモーン・バラゲール国際局長は6月13日、ハバナで7月15~17日、第24回FSP年次会合を開く、と発表した。昨年のマナグア会合でハバナ開催が決まっていた。
FSPは、ラ米・カリブ(LAC)地域の左翼・進歩主義勢力の一大会合。政府、政権党、政党、労連、人権団体、農民、先住民組織の代表や、知識人、芸術家、NGOなどが参加、広範は顔ぶれとなる。
この旨は、ローラ・ドグ駐ニカ米大使も逸早く日量把握していた。同大使は先週末、来訪していたカレブ・マカリー氏と会合している。マカリーは、ボブ・コーカー米上院外交委員長から派遣された。このことは、オルテガが米側と何らかの取引をした可能性を示唆する。
だが農民代表のマイレーナは13日、我々はオルテガ即時退陣を要求しており、「来年選挙」など受け入れられないと反発。ANJDは全国ストを14日に実施すべく呼び掛けている。
CENは13日、政府と反政府勢力の対話を15日再開すべく双方に通告した。
▼ベネズエラが市会議員選挙を12月実施へ
ニコラース・マドゥーロ大統領は6月12日、全国335市の市会議員選挙を12月に実施すると明らかにした。政権党PSUVは、候補者の半数を35歳以下の若者にする方針。
一方、OPEC(石油輸出国機構)は12日、べネズエラの5月の原油生産量は日量139万バレルだったと発表した。VENが盟主のカリブ石油連帯機構(ペトロカリーベ)への好条件原油輸出も大幅に減っている。
▼ハバナで7月半ば、サンパウロフォーラム(FSP)会合
キューバ共産党(PCC)のホセ=ラモーン・バラゲール国際局長は6月13日、ハバナで7月15~17日、第24回FSP年次会合を開く、と発表した。昨年のマナグア会合でハバナ開催が決まっていた。
FSPは、ラ米・カリブ(LAC)地域の左翼・進歩主義勢力の一大会合。政府、政権党、政党、労連、人権団体、農民、先住民組織の代表や、知識人、芸術家、NGOなどが参加、広範は顔ぶれとなる。
2018年6月10日日曜日
ニカラグア司教会議がオルテガ政権に事態打開の回答迫る▼選挙法改正を政権が受け入れるか否かが鍵▼ブラジル労働者党がルーラ出馬を正式に表明▼ハバナ駐在の米外交官2人が帰国▼べネズエラ外相がチリ政府を非難
ニカラグア司教会議(CEN)は6月8日、「オルテガ政権に7日、調停案を提出した。16日までに文書回答がなければ、仲介を止める」と表明した。CENは4月から続く反政府勢力と政権との流血の対決を止めさせるべく対話仲介の労をとってきた。
対話は5月16日開始。期間1カ月のため、今月16日が期限となる。未確認情報によれば調停案は、死傷者多数が出ている今回の反政府行動と弾圧の真相解明や、選挙法改正を済ませたうえで、来年3月ごろ大統領選挙を実施、4月の政権交代を目指す。
選挙法改正で、正副大統領の任期制限や現職出馬制限が図られ、連続3期目にあるダニエル・オルテガ大統領、および1期目のロサリオ・ムリージョ副大統領(オルテガ夫人)は正副大統領選挙出馬を封じられる可能性があるという。
大統領は16日までに為すべきCENへの回答で、どう返答するのか、重大な局面が迫っている。回答が政権延命策になれば、反政府勢力の活動がさらに激化するのは疑いない。
▼ブラジル労働者党がルーラ出馬を発表
労働者党(PT)のクレイジ・ホフマン党首は6月8日、今年10月の大統領選挙にルーラ元大統領が出馬する、と正式に発表した。8月15日の公示日に登録することになる。
ルーラは現在、パラナー州都クリチーバ警察本部の拘置所に汚職罪で拘留されており、最高裁の最終判断を待っている。
▼在玖・米大使館員2人が新たに出国
米国務省は6月8日、ハバナ駐在外交官2人が帰国し、医療診断を受けていると明らかにした。正体不明の音響で体調を崩している、という。
昨年9月、同様の理由で米大使館員22人が引き揚げており、これで計24人となった。残る大使館員は16人程度となった。帰国した館員の多くはCIAの諜報員と見られている。「諜報対防諜」の戦いから派生した出来事との見方が為されている。
トランプ政権は、この「事件」をきっかけとして、対玖経済関係や、米玖両国人の相互訪問を大幅に規制した。同様の出来事は最近、中国でも起きたと伝えられる。
▼ベネズエラ外相がチリを非難
ホルヘ・アレアサ外相は6月7日、チリのラ・テルセーラ紙との電話会見で、「セバスティアン・ピニェーラ大統領は、チリ大統領選挙時から反ベネズエラ姿勢を露わにしていた。ピニェーラ氏がベネズエラとの関係を破壊した」と非難した。
ピニェーラ政権のロベルト・アンプエロ外相は4日のOEA外相会議でVENを激しく攻撃したが、アレアサ外相は「チリ外相は個人感情を剥き出しにした」と指摘した。
さらに、「ピニェーラ氏は、リマグループ代表のPPクチンスキ秘大統領が汚職で辞任したのを受けて、その後釜に座ったかのように対VEN攻撃に勤しんでいる」と皮肉った。
VEN外相は、「わが国には人道問題はない。あるのは外部からの経済的、政治的な攻撃とメディアによる攻撃だ」とし、「ラ米・カリブの友邦や中ロ印トルコなどの協力で、経済制裁を打ち破ってゆく」とも述べた。
また、「我々は1965年のRD(ドミニカ共和国)でも89年のパナマでもない。対話と政治で問題解決を図る。だが別の選択肢を強制されれば、対応するだけだ」と強調。過去に米軍に侵攻されたRDとパナマの例を挙げて、軍事攻撃の可能性に触れた。
対話は5月16日開始。期間1カ月のため、今月16日が期限となる。未確認情報によれば調停案は、死傷者多数が出ている今回の反政府行動と弾圧の真相解明や、選挙法改正を済ませたうえで、来年3月ごろ大統領選挙を実施、4月の政権交代を目指す。
選挙法改正で、正副大統領の任期制限や現職出馬制限が図られ、連続3期目にあるダニエル・オルテガ大統領、および1期目のロサリオ・ムリージョ副大統領(オルテガ夫人)は正副大統領選挙出馬を封じられる可能性があるという。
大統領は16日までに為すべきCENへの回答で、どう返答するのか、重大な局面が迫っている。回答が政権延命策になれば、反政府勢力の活動がさらに激化するのは疑いない。
▼ブラジル労働者党がルーラ出馬を発表
労働者党(PT)のクレイジ・ホフマン党首は6月8日、今年10月の大統領選挙にルーラ元大統領が出馬する、と正式に発表した。8月15日の公示日に登録することになる。
ルーラは現在、パラナー州都クリチーバ警察本部の拘置所に汚職罪で拘留されており、最高裁の最終判断を待っている。
▼在玖・米大使館員2人が新たに出国
米国務省は6月8日、ハバナ駐在外交官2人が帰国し、医療診断を受けていると明らかにした。正体不明の音響で体調を崩している、という。
昨年9月、同様の理由で米大使館員22人が引き揚げており、これで計24人となった。残る大使館員は16人程度となった。帰国した館員の多くはCIAの諜報員と見られている。「諜報対防諜」の戦いから派生した出来事との見方が為されている。
トランプ政権は、この「事件」をきっかけとして、対玖経済関係や、米玖両国人の相互訪問を大幅に規制した。同様の出来事は最近、中国でも起きたと伝えられる。
▼ベネズエラ外相がチリを非難
ホルヘ・アレアサ外相は6月7日、チリのラ・テルセーラ紙との電話会見で、「セバスティアン・ピニェーラ大統領は、チリ大統領選挙時から反ベネズエラ姿勢を露わにしていた。ピニェーラ氏がベネズエラとの関係を破壊した」と非難した。
ピニェーラ政権のロベルト・アンプエロ外相は4日のOEA外相会議でVENを激しく攻撃したが、アレアサ外相は「チリ外相は個人感情を剥き出しにした」と指摘した。
さらに、「ピニェーラ氏は、リマグループ代表のPPクチンスキ秘大統領が汚職で辞任したのを受けて、その後釜に座ったかのように対VEN攻撃に勤しんでいる」と皮肉った。
VEN外相は、「わが国には人道問題はない。あるのは外部からの経済的、政治的な攻撃とメディアによる攻撃だ」とし、「ラ米・カリブの友邦や中ロ印トルコなどの協力で、経済制裁を打ち破ってゆく」とも述べた。
また、「我々は1965年のRD(ドミニカ共和国)でも89年のパナマでもない。対話と政治で問題解決を図る。だが別の選択肢を強制されれば、対応するだけだ」と強調。過去に米軍に侵攻されたRDとパナマの例を挙げて、軍事攻撃の可能性に触れた。
2018年5月25日金曜日
ニカラグア「国民対話」が議題巡り中断▼反政府側は「自由選挙早期実施」を主張▼オルテガ政権は「政権交代意図したクーデター」と指摘、対話は座礁▼アラブ連盟がグアテマラと関係断つ
ニカラグアの「国民対話」は5月16日始まったが、1週間後の23日、暗礁に乗り上げた。オルテガ政権と反政府勢力との仲介役の司教会議(CEN)は同日、双方3人ずつ、計6人の「合同委員会」を設置、対話再開に向けて協議するよう求めた。
対話が途切れたのは、議事進行でもめたため。政府首席代表デニス・モンカーダ外相は、全国各地の自動車道に障害物を置いて通行を遮断している違法行為を止めるよう要求。これに対し、反政府側の「正義と民主のための市民同盟」は、優先すべきは民主的改革を話し合うことだと主張した。
その改革の柱は、欧米を含む国際監視団を受け入れ、自由選挙を早期実施すること。正副大統領、国会議員、市長、市会議員などすべての選挙をやり直すというものだ。それに伴う改憲と選挙法の修正も要求している。狙いはオルテガ体制切り崩しに他ならない。
政府側のモンカーダ代表は、「政権交代を意図した一種のクーデター方式ではないか」と指摘、断固応じない構えを示した。
ダニエル・オルテガ大統領は2016年11月の選挙で連続3選を果たし、17年1月から22年1月まで5年間の3期目任期中。3年半も任期が残っており、反政府側の要求を容れて退陣するなど考えられない。
司教会議仲介の下で合同委員会が事態打開に行き詰まれば、大学生や市民による抗議行動が再燃するのは目に見えている。施政連続12年目にあるオルテガ政権が重大な危機に直面したのは初めてだ。
▼アラブ連盟がグアテマラと関係断つ
アラブ連盟は5月23日、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移したグアテマラとの協力関係を断ち切ったと発表した。
同国に続いて大使館をエルサレムに移したパラグアイとの関係については触れていない。
対話が途切れたのは、議事進行でもめたため。政府首席代表デニス・モンカーダ外相は、全国各地の自動車道に障害物を置いて通行を遮断している違法行為を止めるよう要求。これに対し、反政府側の「正義と民主のための市民同盟」は、優先すべきは民主的改革を話し合うことだと主張した。
その改革の柱は、欧米を含む国際監視団を受け入れ、自由選挙を早期実施すること。正副大統領、国会議員、市長、市会議員などすべての選挙をやり直すというものだ。それに伴う改憲と選挙法の修正も要求している。狙いはオルテガ体制切り崩しに他ならない。
政府側のモンカーダ代表は、「政権交代を意図した一種のクーデター方式ではないか」と指摘、断固応じない構えを示した。
ダニエル・オルテガ大統領は2016年11月の選挙で連続3選を果たし、17年1月から22年1月まで5年間の3期目任期中。3年半も任期が残っており、反政府側の要求を容れて退陣するなど考えられない。
司教会議仲介の下で合同委員会が事態打開に行き詰まれば、大学生や市民による抗議行動が再燃するのは目に見えている。施政連続12年目にあるオルテガ政権が重大な危機に直面したのは初めてだ。
▼アラブ連盟がグアテマラと関係断つ
アラブ連盟は5月23日、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移したグアテマラとの協力関係を断ち切ったと発表した。
同国に続いて大使館をエルサレムに移したパラグアイとの関係については触れていない。
2018年5月23日水曜日
ニカラグア抗議行動の死者は76人、負傷者868人▼米州人権委員会が確認▼同委はオルテガ政権に15項目を勧告▼ベネズエラが米外交官2人に退去通告▼お知らせ「キューバ・ベネズエラ情勢勉強会」
ニカラグアで4月18日から5月上旬にかけて続いた反政府抗議行動にさなかに76人が死亡、868人が負傷していた。この事実が確認された。逮捕者は438人だった。
オルテガ政権と反政府市民勢力との間の「国民対話」に参加している米州諸国機構(OEA)機関「米州人権委員会(CIDH)」が5月21日、調査結果として発表した。
死傷者の圧倒的多数は、国家警察機動隊と私服の暴動鎮圧部隊による銃、ゴム弾、催涙ガス弾、棍棒などを用いての弾圧で命を落としたという。
対話に出席しているダニエル・オルテガ大統領は、「治安部隊は弾圧や発砲は命じられておらず、治安維持のため出動した」と釈明したが、納得は得られなかった。
抗議行動の主役だった大学生の代表は、大統領および、その夫人ロサリオ・ムリージョ副大統領の即時辞任を要求。学生連盟は、国内各地の道路封鎖を解いていない。
CIDHは政府に対し、15項目の勧告を提示した。「弾圧即時停止」、「死傷者への加害責任者の特定と処罰」など。また「国民対話」の場に15項目実施状況を検証する仕組みをつくることも含まれている。
▼ベネズエラが米外交官に国外退去通告
ニコラース・マドゥーロVEN大統領は5月22日、米大使館のトッド・ロビンソン臨時代理大使とブライアン・ナランホス参事官に対し、内政干渉を理由に48時間内に出国するよう通告した。
一方、国家選挙理事会(CNE)はマドゥーロを2019~25年の6年間政権を率いる次期大統領に認定した。
★お知らせ:「キューバ・ベネズエラ情勢勉強会」
本日5月23日(水)1900から、高田馬場のNGOピースボート本部地下で。会費500円。講師・伊高浩昭。申し込み先は、本ブログ表紙部分にあるピースボート作成の案内状参照。
オルテガ政権と反政府市民勢力との間の「国民対話」に参加している米州諸国機構(OEA)機関「米州人権委員会(CIDH)」が5月21日、調査結果として発表した。
死傷者の圧倒的多数は、国家警察機動隊と私服の暴動鎮圧部隊による銃、ゴム弾、催涙ガス弾、棍棒などを用いての弾圧で命を落としたという。
対話に出席しているダニエル・オルテガ大統領は、「治安部隊は弾圧や発砲は命じられておらず、治安維持のため出動した」と釈明したが、納得は得られなかった。
抗議行動の主役だった大学生の代表は、大統領および、その夫人ロサリオ・ムリージョ副大統領の即時辞任を要求。学生連盟は、国内各地の道路封鎖を解いていない。
CIDHは政府に対し、15項目の勧告を提示した。「弾圧即時停止」、「死傷者への加害責任者の特定と処罰」など。また「国民対話」の場に15項目実施状況を検証する仕組みをつくることも含まれている。
▼ベネズエラが米外交官に国外退去通告
ニコラース・マドゥーロVEN大統領は5月22日、米大使館のトッド・ロビンソン臨時代理大使とブライアン・ナランホス参事官に対し、内政干渉を理由に48時間内に出国するよう通告した。
一方、国家選挙理事会(CNE)はマドゥーロを2019~25年の6年間政権を率いる次期大統領に認定した。
★お知らせ:「キューバ・ベネズエラ情勢勉強会」
本日5月23日(水)1900から、高田馬場のNGOピースボート本部地下で。会費500円。講師・伊高浩昭。申し込み先は、本ブログ表紙部分にあるピースボート作成の案内状参照。
2018年5月16日水曜日
ニカラグア政府と反政府勢力が16日に「国民対話」開始▼カトリック司教会議の仲介が奏功▼オルテガ大統領退陣の要求が強く薄氷を踏む状態▼日本政府も「懸念と注視」を表明
ニカラグア司教会議(CEN)を率いるレオポルドオ・ブレネス枢機卿は5月14日、政府と反政府勢力が対話を16日開始する、と発表した。枢機卿は、対話(ニカラグア国民対話)の目的を「民主化過程を促進するため」と説明した。
ダニエル・オルテガ大統領が、CENが提示していた対話仲介4条件を呑んだため対話開始が決まったが、4条件のうち際立つのは、米州諸国機構(OEA)の機関である「米州人権委員会」(CIDH)の調査団受け入れ。
この調査団は、4月以来の一連の反政府抗議行動とそれに対する規制・弾圧で死者53人以上、行方不明者60人、負傷者400人強、および不当逮捕者多数が出、店舗などの略奪・放火が続いた事実を調査・検証し、加害者を特定するため近く派遣される。死者の半数は、首都マナグアで出ている。
全国の自動車道の13か所で14日も道路遮断が続いた。ニカラグア横断運河建設に反対する組織が中心となって、対政府抗議行動の一環として遮断作戦をとっている。
オルテガ大統領は4条件を受け入れた週末、「同胞の死と破壊に終止符を打つため呼びかけと約束をした。これ以上、流血がないことを」と述べている。
大統領は常日頃、演説で「愛、平和、慈悲」を必ず口にするが、小一カ月続く反政府行動への激しい弾圧を目の当たりにした人々は、大統領の言葉を「偽善」と捉えている。
メキシコ人女優ルセロ・ミジャンは14日、メキシコ市からマナグアの報道機関にメッセージを送り、「死の脅迫を受けたためニカラグアを離れた」と明らかにした。
ミジャンは、オルテガらのサンディニスタ革命が成功した1979年、ニカラグアに移住。劇団を結成し、演劇活動を30年近く続けていた。だが、「劇場を放火破壊する」との脅迫も受けていたという。
今回の反政府抗議行動が全国化した後、芸術家や知識人の協会は政府支持の署名運動を展開した。ミジャンはこれに参加していなかった。
ニカラグアで活動するさまざまなNGOは14日、オルテガ大統領退陣を要求した。だが、こうしたNGOには米国際開発局(USAID)から活動資金をもらっているものが少なくない。USAIDは2016年に3100万ドルをNGOを中心とする「市民社会」に提供している。
一方、日本外務省は14日、ニカラグアの状況を懸念し注視しているとする声明を発表した。声明は、ニカラグアの政府、民間、大学生、「市民社会」に事態打開のため努力するよう強く要請する、とも表明している。
今回のように反政府行動が燃え上がることを誰も予測していなかった。連続3期、11年余り続くオルテガ政権への不満がマグマのように鬱積していたのだ。「オルテガはゲリラの英雄から、腐敗した皇帝に成り下がった」とする厳しい指摘もある。
ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領も1990年から2期10年の任期を務めた段階で退陣すればよかったものを強引に3期目に入り、多くの不正事実が暴露され、日本に亡命し辞表を送ったが拒否され、国会に解任された。
ベネズエラのマドゥーロ政権が存続の危機に陥っているのも、1999年2月の故ウーゴ・チャベス大統領就任から数えて19年もチャベス派が続いていることへの飽き要求がや不満が根底にある。
ダニエル・オルテガ大統領が、CENが提示していた対話仲介4条件を呑んだため対話開始が決まったが、4条件のうち際立つのは、米州諸国機構(OEA)の機関である「米州人権委員会」(CIDH)の調査団受け入れ。
この調査団は、4月以来の一連の反政府抗議行動とそれに対する規制・弾圧で死者53人以上、行方不明者60人、負傷者400人強、および不当逮捕者多数が出、店舗などの略奪・放火が続いた事実を調査・検証し、加害者を特定するため近く派遣される。死者の半数は、首都マナグアで出ている。
全国の自動車道の13か所で14日も道路遮断が続いた。ニカラグア横断運河建設に反対する組織が中心となって、対政府抗議行動の一環として遮断作戦をとっている。
オルテガ大統領は4条件を受け入れた週末、「同胞の死と破壊に終止符を打つため呼びかけと約束をした。これ以上、流血がないことを」と述べている。
大統領は常日頃、演説で「愛、平和、慈悲」を必ず口にするが、小一カ月続く反政府行動への激しい弾圧を目の当たりにした人々は、大統領の言葉を「偽善」と捉えている。
メキシコ人女優ルセロ・ミジャンは14日、メキシコ市からマナグアの報道機関にメッセージを送り、「死の脅迫を受けたためニカラグアを離れた」と明らかにした。
ミジャンは、オルテガらのサンディニスタ革命が成功した1979年、ニカラグアに移住。劇団を結成し、演劇活動を30年近く続けていた。だが、「劇場を放火破壊する」との脅迫も受けていたという。
今回の反政府抗議行動が全国化した後、芸術家や知識人の協会は政府支持の署名運動を展開した。ミジャンはこれに参加していなかった。
ニカラグアで活動するさまざまなNGOは14日、オルテガ大統領退陣を要求した。だが、こうしたNGOには米国際開発局(USAID)から活動資金をもらっているものが少なくない。USAIDは2016年に3100万ドルをNGOを中心とする「市民社会」に提供している。
一方、日本外務省は14日、ニカラグアの状況を懸念し注視しているとする声明を発表した。声明は、ニカラグアの政府、民間、大学生、「市民社会」に事態打開のため努力するよう強く要請する、とも表明している。
今回のように反政府行動が燃え上がることを誰も予測していなかった。連続3期、11年余り続くオルテガ政権への不満がマグマのように鬱積していたのだ。「オルテガはゲリラの英雄から、腐敗した皇帝に成り下がった」とする厳しい指摘もある。
ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領も1990年から2期10年の任期を務めた段階で退陣すればよかったものを強引に3期目に入り、多くの不正事実が暴露され、日本に亡命し辞表を送ったが拒否され、国会に解任された。
ベネズエラのマドゥーロ政権が存続の危機に陥っているのも、1999年2月の故ウーゴ・チャベス大統領就任から数えて19年もチャベス派が続いていることへの飽き要求がや不満が根底にある。
2018年5月12日土曜日
ニカラグアでオルテガ政権と反政府勢力が対話開始で合意▼政権がカトリック教会の仲介条件を呑む▼こじれれば反政府行動再燃か▼メキシコで候補19人殺害さる▼ベネズエラ大統領選挙は野党2候補の一本化が鍵
ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領と、その夫人ロサリオ・ムリージョ副大統領は5月11日、同国カトリック司教会議(CEN)が前日提示していた「対話開始のための4条件」を受諾した、と発表した。
先月から首都マナグアをはじめ全国各地で、大学生、市民団体などによる反政府行動が続いており、非公式集計で11日までに「49人以上63人以下」が死亡している。経団連(COSEP)は、連続3期の長期支配を続けるオルテガ政権に対する反対行動を支持している。
レオポルド・ブレネス枢機卿が率いるCENは10日、①米州諸国機構(OEA)の米州人権委員会(CIDH)による4月以来の一連の事件における死傷者・弾圧状況・直接加害者特定などの調査実施②政府系準軍部隊の解体③弾圧の即時停止④政府による人権尊重に基づく対話意志表明ーの4条件を提示。14日までに回答するよう求めていた。
政府の条件受諾を受けて、「4月19日学生運動」(M19A)、COSEP、市民団体などは11日、対話参加を表明した。
陸軍も11日「市民弾圧には関与しない」と、「中立的立場」を表明。「対話でしか問題は解決しない」として、政府と反政府勢力の対話を支持した。
だが同日、マサヤ県ラ・コンセプシオン市の市庁舎が放火・破壊され、政権党FSLNの会合所も略奪された。国立自治大学(UNAN)、ニカラグア工科大学(UPOLI)の学生ら計2人も銃撃されるなどして死亡し、不穏な空気が依然支配している。
オルテガ政権筋は、今回の反政府騒乱状況が昨年4~6月ベネズエラで続いた反政府街頭暴力運動に酷似しているとし、米国など外部勢力の関与の可能性を指摘している。
だが同政権が重大局面に直面しているのは事実。14日以降に始まる対話がこじれれば、騒乱状況が再燃するのは疑いない。内外の反政府勢力は現状を、オルテガ政権打倒の一大好機と捉えているからだ。
▼メキシコで候補者19人殺される
7月1日の大統領選挙、下院議員・市長選挙などを前に選挙戦が展開されているメキシコ・グアナフアト州アパセオエルアルト市で5月11日、野党「国家刷新運動」(ARENA)の市長候補ホセ・アギーレが遊説中、銃弾6発を撃ち込まれて即死した。
これで前哨戦が始まった昨年9月以来、出馬予定者および候補が計19人殺害されたことになる。内訳は政権党PRIと野党PRD各5人、MORENAと前政権党PAN各3人、緑の党など3会派各1人。
うちアギーレ候補を含む4人は、今月4日以降、メヒコ、チウアウア、ゲレロ、グアナフアトの各州で殺害された。
MORENAはPRDから分派した中道左翼および左翼勢力の政党で、大統領選挙の最有力候補AMLO(アムロ)が党首を務めている。
▼ベネズエラ大統領選挙は野党候補統一が鍵
5月20日実施の大統領選挙の最新の支持率調査では、政権党PSUVなどの「祖国拡大戦線」(FAP)候補ニコラース・マドゥーロ現大統領が48・4%で最有力。
2番手は33・3%の「進歩主義前哨」(AP)など野党3党候補ヘンリー・ファルコン前ララ州知事。
3位は、「変化への希望」候補のハビエル・ベルトゥッチ福音派牧師で11・7%。2、3位の両候補の支持率を合わせれば48%で、マドゥーロと拮抗する。このためファルコンは野党候補統一を呼び掛けているが、ベルトゥッチは11日現在拒否している。
別の調査では、マドゥーロ51%、ファルコン28%、ベルトゥッチ16%。これも野党両候補を一本化すれば51%対44%で、接戦になりうる。
親米派で保守性の強いベルトゥッチがファルコンを嫌うのは、同候補がかつてチャベス派で、マドゥーロ体制に対し是々非々主義を貫いていたことなどによる。
先月から首都マナグアをはじめ全国各地で、大学生、市民団体などによる反政府行動が続いており、非公式集計で11日までに「49人以上63人以下」が死亡している。経団連(COSEP)は、連続3期の長期支配を続けるオルテガ政権に対する反対行動を支持している。
レオポルド・ブレネス枢機卿が率いるCENは10日、①米州諸国機構(OEA)の米州人権委員会(CIDH)による4月以来の一連の事件における死傷者・弾圧状況・直接加害者特定などの調査実施②政府系準軍部隊の解体③弾圧の即時停止④政府による人権尊重に基づく対話意志表明ーの4条件を提示。14日までに回答するよう求めていた。
政府の条件受諾を受けて、「4月19日学生運動」(M19A)、COSEP、市民団体などは11日、対話参加を表明した。
陸軍も11日「市民弾圧には関与しない」と、「中立的立場」を表明。「対話でしか問題は解決しない」として、政府と反政府勢力の対話を支持した。
だが同日、マサヤ県ラ・コンセプシオン市の市庁舎が放火・破壊され、政権党FSLNの会合所も略奪された。国立自治大学(UNAN)、ニカラグア工科大学(UPOLI)の学生ら計2人も銃撃されるなどして死亡し、不穏な空気が依然支配している。
オルテガ政権筋は、今回の反政府騒乱状況が昨年4~6月ベネズエラで続いた反政府街頭暴力運動に酷似しているとし、米国など外部勢力の関与の可能性を指摘している。
だが同政権が重大局面に直面しているのは事実。14日以降に始まる対話がこじれれば、騒乱状況が再燃するのは疑いない。内外の反政府勢力は現状を、オルテガ政権打倒の一大好機と捉えているからだ。
▼メキシコで候補者19人殺される
7月1日の大統領選挙、下院議員・市長選挙などを前に選挙戦が展開されているメキシコ・グアナフアト州アパセオエルアルト市で5月11日、野党「国家刷新運動」(ARENA)の市長候補ホセ・アギーレが遊説中、銃弾6発を撃ち込まれて即死した。
これで前哨戦が始まった昨年9月以来、出馬予定者および候補が計19人殺害されたことになる。内訳は政権党PRIと野党PRD各5人、MORENAと前政権党PAN各3人、緑の党など3会派各1人。
うちアギーレ候補を含む4人は、今月4日以降、メヒコ、チウアウア、ゲレロ、グアナフアトの各州で殺害された。
MORENAはPRDから分派した中道左翼および左翼勢力の政党で、大統領選挙の最有力候補AMLO(アムロ)が党首を務めている。
▼ベネズエラ大統領選挙は野党候補統一が鍵
5月20日実施の大統領選挙の最新の支持率調査では、政権党PSUVなどの「祖国拡大戦線」(FAP)候補ニコラース・マドゥーロ現大統領が48・4%で最有力。
2番手は33・3%の「進歩主義前哨」(AP)など野党3党候補ヘンリー・ファルコン前ララ州知事。
3位は、「変化への希望」候補のハビエル・ベルトゥッチ福音派牧師で11・7%。2、3位の両候補の支持率を合わせれば48%で、マドゥーロと拮抗する。このためファルコンは野党候補統一を呼び掛けているが、ベルトゥッチは11日現在拒否している。
別の調査では、マドゥーロ51%、ファルコン28%、ベルトゥッチ16%。これも野党両候補を一本化すれば51%対44%で、接戦になりうる。
親米派で保守性の強いベルトゥッチがファルコンを嫌うのは、同候補がかつてチャベス派で、マドゥーロ体制に対し是々非々主義を貫いていたことなどによる。
2018年4月25日水曜日
ニカラグアの反政府抵抗行動下火に▼オルテガ夫妻政権に退陣求める声も▼カトリック教会が対話仲介へ▼学校教育も25日再開
ニカラグアでは先週半ばに始まった社会保障改革をめぐる反政府行動が全国的に拡大し、4月23日現在、公式発表で26人が死亡した。治安部隊の発砲、私刑などによる。
赤十字や人権団体の集計では死者28人、負傷者428人。逮捕者および所在不明者が約200人いるという。反政府行動は24日下火になった。
首都マナグア中心部では23日、数千人ないし1万人強の大規模な反政府デモ行進が展開された。エステリ、マタガルパ両市でもデモがあった。
参加者が「オルテガ退陣」を要求するのが目立った。その落書きが、あちこちの公共建築物などの壁面に殴り書きされている。
ダニエル・オルテガ大統領は21日、「反政府勢力がニカラグアを破壊するため不安定化を謀っている」と批判したが、22日改革を撤回。カトリック教会を仲介者として「国民対話」を呼び掛けた。これを受けてニカラグア司教会議は24日、仲介に同意した。
今回の反政府行動の主体である大学生らは、大統領および、その夫人でもあるロサリオ・ムリージョ副大統領の退陣を要求している。社会保障改革問題の解決とは別に、政権への不満が解消されるかどうかは不確かだ。不満がくすぶり続けるのは確かだ。
暴動状況で授業が休止されていた小学校から大学に至る教育機関は25日に授業を再開させる。特に大学では学生が集まれば、政治的行動が再発する可能性がある。
今回の出来事の中心にあった社会保障庁(INSS)は、赤字7600万ドルを抱える。このため政府は労使および年金生活者に負担増を求める改革を発動していた。これが総スカンを食らったわけだ。
専門家は、オルテガ政権が発足した2007年初め当時、INSSは3260万ドルの黒字だったと指摘する。政府の腐敗により赤字になった、との批判が出ている。
改革が官報に記載されるや、経団連(COSEP)が生産と経済成長を阻害すると反対。これを受けて、首都マナグアにあるイエズス会運営の中米大学(UCA)の学生十数人が抗議集会を開いた。
これが国立農大(UNA)、国立工学大(UNI)、バプティスト運営のニカラグア工科大(UPOLI)、トマ―ス・モア大(UTM)や、中等学校に波及した。
闘争の中核となったUPOLIには学生数百人が籠城。警察は22、23両日、同大学を捜索た。
野党、反政府メディア、学生を含む反政府市民は、今回の騒乱状況を11年以上も続いているオルテガ政権の打倒に繋げたいところと見られる。だが統合組織はなく、強力な指導者も見当たらない。学生らは、野党も経団連も自分たちの代表とは思えないと言う。
ある評論家は、オルテガ大統領の政治的出自である1979年のサンディニスタ革命を念頭に、そのかすかな延長線上にある現状を「蝕まれた革命」と評した。
今回の事態を「市民の蜂起」と捉え、その打開には出直し選挙しかないと見る向きもある。しかし、その前提として、選管要員の公正な選出が不可欠と指摘する。オルテガ夫妻のサンディニスタ政権が、3権と選管をすべて握っているためだ。
別の評論家は、ベネズエラで昨年4~6月起きたマドゥーロ政権打倒のための街頭暴動の焼き直しであり、背後に米政府があると見る。
国際社会にも波紋が広がっており、国連、欧州連合、米州諸国機構(OEA)、米政府、ラ米諸国などから懸念の声が出ている。
地元中米では、コスタ・リカ外相が中米統合機構(SICA)加盟諸国に打診、ニカラグア問題をOEAなど国際機関に提起するかどうかを探っていた。
大統領再選を制限する憲法規定を最高裁判断で変え、再選を繰り返してきたオルテガ大統領は、2021年の次回大統領選挙では夫人ムリージョを大統領候補に擁立したい構だ。
だが、その長期的野望は今、挫折するかどうか先行きを占うべき微妙な局面に差し掛かっているかに見える。ただしオルテガ体制は強力で、簡単には揺るぎそうにないのも事実だ。貧困大衆の多くは政府を支持している。
赤十字や人権団体の集計では死者28人、負傷者428人。逮捕者および所在不明者が約200人いるという。反政府行動は24日下火になった。
首都マナグア中心部では23日、数千人ないし1万人強の大規模な反政府デモ行進が展開された。エステリ、マタガルパ両市でもデモがあった。
参加者が「オルテガ退陣」を要求するのが目立った。その落書きが、あちこちの公共建築物などの壁面に殴り書きされている。
ダニエル・オルテガ大統領は21日、「反政府勢力がニカラグアを破壊するため不安定化を謀っている」と批判したが、22日改革を撤回。カトリック教会を仲介者として「国民対話」を呼び掛けた。これを受けてニカラグア司教会議は24日、仲介に同意した。
今回の反政府行動の主体である大学生らは、大統領および、その夫人でもあるロサリオ・ムリージョ副大統領の退陣を要求している。社会保障改革問題の解決とは別に、政権への不満が解消されるかどうかは不確かだ。不満がくすぶり続けるのは確かだ。
暴動状況で授業が休止されていた小学校から大学に至る教育機関は25日に授業を再開させる。特に大学では学生が集まれば、政治的行動が再発する可能性がある。
今回の出来事の中心にあった社会保障庁(INSS)は、赤字7600万ドルを抱える。このため政府は労使および年金生活者に負担増を求める改革を発動していた。これが総スカンを食らったわけだ。
専門家は、オルテガ政権が発足した2007年初め当時、INSSは3260万ドルの黒字だったと指摘する。政府の腐敗により赤字になった、との批判が出ている。
改革が官報に記載されるや、経団連(COSEP)が生産と経済成長を阻害すると反対。これを受けて、首都マナグアにあるイエズス会運営の中米大学(UCA)の学生十数人が抗議集会を開いた。
これが国立農大(UNA)、国立工学大(UNI)、バプティスト運営のニカラグア工科大(UPOLI)、トマ―ス・モア大(UTM)や、中等学校に波及した。
闘争の中核となったUPOLIには学生数百人が籠城。警察は22、23両日、同大学を捜索た。
野党、反政府メディア、学生を含む反政府市民は、今回の騒乱状況を11年以上も続いているオルテガ政権の打倒に繋げたいところと見られる。だが統合組織はなく、強力な指導者も見当たらない。学生らは、野党も経団連も自分たちの代表とは思えないと言う。
ある評論家は、オルテガ大統領の政治的出自である1979年のサンディニスタ革命を念頭に、そのかすかな延長線上にある現状を「蝕まれた革命」と評した。
今回の事態を「市民の蜂起」と捉え、その打開には出直し選挙しかないと見る向きもある。しかし、その前提として、選管要員の公正な選出が不可欠と指摘する。オルテガ夫妻のサンディニスタ政権が、3権と選管をすべて握っているためだ。
別の評論家は、ベネズエラで昨年4~6月起きたマドゥーロ政権打倒のための街頭暴動の焼き直しであり、背後に米政府があると見る。
国際社会にも波紋が広がっており、国連、欧州連合、米州諸国機構(OEA)、米政府、ラ米諸国などから懸念の声が出ている。
地元中米では、コスタ・リカ外相が中米統合機構(SICA)加盟諸国に打診、ニカラグア問題をOEAなど国際機関に提起するかどうかを探っていた。
大統領再選を制限する憲法規定を最高裁判断で変え、再選を繰り返してきたオルテガ大統領は、2021年の次回大統領選挙では夫人ムリージョを大統領候補に擁立したい構だ。
だが、その長期的野望は今、挫折するかどうか先行きを占うべき微妙な局面に差し掛かっているかに見える。ただしオルテガ体制は強力で、簡単には揺るぎそうにないのも事実だ。貧困大衆の多くは政府を支持している。
2018年4月24日火曜日
ニカラグア人作家セルヒオ・ラミーレスがセルバンテス賞を受賞▼その賞を抗議行動で死んだ同胞若者らに捧げると強調
ニカラグアの作家セルヒオ・ラミーレス(75)が4月23日、スペイン語文学界の最高賞とされるセルバンテス賞(2017年度、賞金14万 8000ドル)を受賞した。
マドリード郊外のセルバンテスの故郷アルカラデエナーレスの同名の大学で授賞式が催され、ラミーレスは国王フェリーペ6世から賞を授けられた。
ラミーレスは小説、物語、論文など多作。『狼狽と迫害』(1971)、『神々しい罰』(1988)、『ある仮面舞踏会』(1998)などの小説が有名。
ラミーレスは受賞講演で、母国の詩人ルベーン・ダリーオに触れ、「中米の小国ニカラグアの国家基盤が、剣を天に向けてかざす将軍でなく一詩人によって築かれたのは興味深い」と述べた。
作家はまた、この賞を過去数日間に「正義のために闘って死んだニカラグア人に捧げる」と強調。「彼らはニカラグアを共和国に戻すために戦っている」と讃えた。
マドリード中心部のプエルタデルソル広場では22日、オルテガ・ニカラグア政権への抗議集会が開かれたが、ラミーレスは同伴した家族とともに参加した。
ラミーレスは1960年代から作家活動を始めていたが、70年代にソモサ独裁打倒を目指すサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)に参加。79年7月19日のサンディニスタ革命後、政府評議会のメンバーになった。
85~90年、ダニエル・オルテガ大統領の下で副大統領を務めた。90~95年は国会議員を務めたが、野に下っていたオルテガのFSLN から分派した「サンディニスタ刷新運動」(MRS)に参加。96年の大統領選挙にMRSから出馬、落選したが1万5000票を得た。
その後、作家活動中心の生活に戻った。一方、オルテガは21世紀に大統領選挙で返り咲き、現在連続3期目の政権にある。その政権が先週、社会保障改革に強引に踏み切ったことから抗議行動が全国に波及、首都マナグアなど数都市に軍隊が治安出動した。
一連の市民と治安部隊との衝突で25人以上が死亡したと伝えられる。その死者にラミーレスはセルバンテス賞を捧げたわけだ。
ラミーレスが「共和国に戻すため」と言ったのは、オルテガ夫妻の長期政権支配を「王政」のように捉えているからだ。
マドリード郊外のセルバンテスの故郷アルカラデエナーレスの同名の大学で授賞式が催され、ラミーレスは国王フェリーペ6世から賞を授けられた。
ラミーレスは小説、物語、論文など多作。『狼狽と迫害』(1971)、『神々しい罰』(1988)、『ある仮面舞踏会』(1998)などの小説が有名。
ラミーレスは受賞講演で、母国の詩人ルベーン・ダリーオに触れ、「中米の小国ニカラグアの国家基盤が、剣を天に向けてかざす将軍でなく一詩人によって築かれたのは興味深い」と述べた。
作家はまた、この賞を過去数日間に「正義のために闘って死んだニカラグア人に捧げる」と強調。「彼らはニカラグアを共和国に戻すために戦っている」と讃えた。
マドリード中心部のプエルタデルソル広場では22日、オルテガ・ニカラグア政権への抗議集会が開かれたが、ラミーレスは同伴した家族とともに参加した。
ラミーレスは1960年代から作家活動を始めていたが、70年代にソモサ独裁打倒を目指すサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)に参加。79年7月19日のサンディニスタ革命後、政府評議会のメンバーになった。
85~90年、ダニエル・オルテガ大統領の下で副大統領を務めた。90~95年は国会議員を務めたが、野に下っていたオルテガのFSLN から分派した「サンディニスタ刷新運動」(MRS)に参加。96年の大統領選挙にMRSから出馬、落選したが1万5000票を得た。
その後、作家活動中心の生活に戻った。一方、オルテガは21世紀に大統領選挙で返り咲き、現在連続3期目の政権にある。その政権が先週、社会保障改革に強引に踏み切ったことから抗議行動が全国に波及、首都マナグアなど数都市に軍隊が治安出動した。
一連の市民と治安部隊との衝突で25人以上が死亡したと伝えられる。その死者にラミーレスはセルバンテス賞を捧げたわけだ。
ラミーレスが「共和国に戻すため」と言ったのは、オルテガ夫妻の長期政権支配を「王政」のように捉えているからだ。
2018年4月22日日曜日
ニカラグアで社会保障分担金増額めぐり市民が抵抗、死傷者出る▼コロンビアELNゲリラの和平交渉が中断余儀なくさる▼ハバナでキューバとベネズエラが首脳会談
ニカラグアで4月18日からが反政府抵抗活動が続いている。死者は大学生ら少なくとも10人に達した。うち1人は警官。
事の起こりは、官報に17日記載された社会保障分担金改革。破産寸前と伝えられる社会保障庁(INSS)の窮状を和らげる措置だった。
分担金増額は7月1日から。労働者は現行の月給の6・25%から7%に引き上げられる。年金生活者は年金月額の5%を健保負担金として支払はねばならなくなる。
使用者は、現行の19%が21%に2ポイント増える。さらに2019年1月から1p増しの22%、20年1月から0・5p増しで22・5%になる。
私企業高等会議(COSEP、経団連)はすぐさま反対を表明。労働者、大学生、年金生活者らも街に繰り出した。
ダニエル・オルテガ大統領のサンディニスタ政権は警察機動隊に加え、棍棒などで実力行使する青年団を出動させ、バリケードや投石で抵抗する大学生らを制圧した。
オルテガは21日、COSEPに年金改革決定を修正するための話し合いを呼び掛けた。これに対しCOSEPは、まず弾圧を止め反対運動の自由を認めるべきだと応じ、これを対話受け入れの条件とした。
4日間続く若者ら市民の反政府行動には、オルテガと、その妻であるロサリオ・ムリージョ副統領の「夫妻強権政権」に対する反感の表れという側面がある。
▼ELN和平交渉が中断
コロンビアのゲリラ組織「民族解放軍」(ELN)の和平交渉代表パブロ・ベルトラーンは4月21日キトで、レニーン・モレーノ赤道国大統領の発言に「傷つけられた」と表明した。
同大統領は18日、ELNがテロ活動を止めなければ和平交渉の保障国であること、および和平交渉地(キト)提供を打ち切る、との声明を出した。
大統領はコロンビア国境地帯で最近起きたエクアドール人報道チーム3人のFARC残党集団による拉致殺害事件を受け、厳しい態度に出た。
ベルトラーンは、ELNはエクアドール国境地帯では活動していない、と反論している。
ベルトラーンとコロンビア政府和平交渉代表グスタボ・ベルはモレーノ大統領声明を受け20日、キトで共同声明を発表。赤道国の寄与に謝意を表すとともに、和平交渉第5回話し合いは停止せざるを得なくなったと明らかにした。
一方、コロンビアのJMサントス大統領は20日、チリ、ブラジル、キューバ、ノルウェー4カ国首脳から電話があり、代替交渉地を提供するとの申し出があったと述べた。同4カ国は交渉保証国。同じ立場にあるベネズエラは電話していないという。
この和平交渉は2017年2月キト郊外で開始、10月1日から18年1月9日までの停戦を実現させた。今月2日には、その停戦の検証が行われた。
▼ハバナで玖VEN首脳会談
ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は4月21日ハバナで、ミゲル・ディアスカネル玖国家評議会議長と会談した。キューバ元首の交代に伴い、協力関係の現状と今後の在り方を話し合うのが目的。
VEN大統領にはJアレアサ外相、Eハウア教育相、マヌエル・ケベードPDVSA社長らが同行している。
マドゥーロ夫人シリア・フローレスと、ディアスカネル夫人リス・クエスタは「プリメラ・ダマ(ファーストレディー)」行事をこなした。キューバにとっては初めての首脳夫人同士の外交交流となった。
23日にはボリビアのエボ・モラレス大統領が来訪し、玖議長と会談する。
事の起こりは、官報に17日記載された社会保障分担金改革。破産寸前と伝えられる社会保障庁(INSS)の窮状を和らげる措置だった。
分担金増額は7月1日から。労働者は現行の月給の6・25%から7%に引き上げられる。年金生活者は年金月額の5%を健保負担金として支払はねばならなくなる。
使用者は、現行の19%が21%に2ポイント増える。さらに2019年1月から1p増しの22%、20年1月から0・5p増しで22・5%になる。
私企業高等会議(COSEP、経団連)はすぐさま反対を表明。労働者、大学生、年金生活者らも街に繰り出した。
ダニエル・オルテガ大統領のサンディニスタ政権は警察機動隊に加え、棍棒などで実力行使する青年団を出動させ、バリケードや投石で抵抗する大学生らを制圧した。
オルテガは21日、COSEPに年金改革決定を修正するための話し合いを呼び掛けた。これに対しCOSEPは、まず弾圧を止め反対運動の自由を認めるべきだと応じ、これを対話受け入れの条件とした。
4日間続く若者ら市民の反政府行動には、オルテガと、その妻であるロサリオ・ムリージョ副統領の「夫妻強権政権」に対する反感の表れという側面がある。
▼ELN和平交渉が中断
コロンビアのゲリラ組織「民族解放軍」(ELN)の和平交渉代表パブロ・ベルトラーンは4月21日キトで、レニーン・モレーノ赤道国大統領の発言に「傷つけられた」と表明した。
同大統領は18日、ELNがテロ活動を止めなければ和平交渉の保障国であること、および和平交渉地(キト)提供を打ち切る、との声明を出した。
大統領はコロンビア国境地帯で最近起きたエクアドール人報道チーム3人のFARC残党集団による拉致殺害事件を受け、厳しい態度に出た。
ベルトラーンは、ELNはエクアドール国境地帯では活動していない、と反論している。
ベルトラーンとコロンビア政府和平交渉代表グスタボ・ベルはモレーノ大統領声明を受け20日、キトで共同声明を発表。赤道国の寄与に謝意を表すとともに、和平交渉第5回話し合いは停止せざるを得なくなったと明らかにした。
一方、コロンビアのJMサントス大統領は20日、チリ、ブラジル、キューバ、ノルウェー4カ国首脳から電話があり、代替交渉地を提供するとの申し出があったと述べた。同4カ国は交渉保証国。同じ立場にあるベネズエラは電話していないという。
この和平交渉は2017年2月キト郊外で開始、10月1日から18年1月9日までの停戦を実現させた。今月2日には、その停戦の検証が行われた。
▼ハバナで玖VEN首脳会談
ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は4月21日ハバナで、ミゲル・ディアスカネル玖国家評議会議長と会談した。キューバ元首の交代に伴い、協力関係の現状と今後の在り方を話し合うのが目的。
VEN大統領にはJアレアサ外相、Eハウア教育相、マヌエル・ケベードPDVSA社長らが同行している。
マドゥーロ夫人シリア・フローレスと、ディアスカネル夫人リス・クエスタは「プリメラ・ダマ(ファーストレディー)」行事をこなした。キューバにとっては初めての首脳夫人同士の外交交流となった。
23日にはボリビアのエボ・モラレス大統領が来訪し、玖議長と会談する。
2017年7月20日木曜日
ニカラグアがサンディニスタ革命38周年祝う▼FSP(サンパウロフォーラム)参加者も式典参加▼東京でも記念行事、ニカラグア大使が講演▼ベネスエラ野党連合が「政権構想」発表
ニカラグアは7月19日、サンディニスタ革命38周年を迎え、首都マナグアで盛大な式典が催された。政権党「サンディニスタ民族解放戦線」(FSLN)党首を兼ねるダニエル・オルテガ大統領は記念演説で、「人口630万人のうち275万人(43%)が14~39歳の若い層であり、世代交代が進んでいるが、革命の志は引き継がれている」と強調した。
世界銀行統計では、11年目のオルテガ現政権下で貧困率は42・5%から29・6%に、極貧率は14・6%から8・3%に、それぞれ減った。無料の教育と医療保健が低所得層を特に助けている。
大統領はまた、「クーバは半世紀もの経済封鎖など米国の圧力を凌ぎ、対話により対米関係を再開させた」と前置きし、「ベネスエラ問題も圧力や脅迫でなく、対話によって解決すべきだ」と述べた。
来賓のボリビア大統領エボ・モラレスは、「資本主義は、自らの金融危機や社会正義の問題を解決する能力を備えておらず、失敗だ」と指摘。ラ米連帯を訴えた。
エル・サルバドール(ES)のサルバドール・サンチェス=セレ-ン大統領は、ニカラグアの英雄アウグスト・サンディーノとESの英雄ファラブンド・マルティが米侵略軍相手にニカラグアで共に戦った史実を踏まえて、両国の絆と共通性を説いた。
クーバの次期国家評議会議長候補ミゲル・ディアスカネル第1副議長は、「フィデルは無条件でニカラグア支持を打ち出した」と、玖革命政権とニカラグア革命政権の強固な関係を讃えた。
エクアドール(赤道国)からはマリーア・エスピノーサ外相が出席した。また18日までマナグアで開かれていたフォロ・デ・サンパウロ(FSP)の第23回年次会議参加の各国政党代表団も式典に参加した。
FSPは、マドゥーロ・ベネスエラ政権支持、コロンビア内戦和平過程防衛、迫害されているルーラ元伯大統領支持、米国の対玖経済封鎖撤廃要求、エボ・モラレスの2019年ボリビア大統領選挙出馬支持、亜国のマルビーナス諸島領有権支持などを決議した。
会議に参加した米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)のダビー・チョケウアンカ事務局長(前ボリビア外相)は、「母なる大地と社会正義を重んじる世界共通の開発モデルを構築する必要がある」と訴えた。
今FSP会議には、ラ米20カ国と、バルバドス、トゥリニダード&トバゴ(TT)のカリブ英連邦系両国および、米領プエルト・リコ、蘭領アルバ、同クラサオ(キュラソー)、仏領マルチニックから政党や政治運動の代表約300人が出席した。
次回会議は来年、クーバで開かれる。エボ・モラレスは19日マナグアからハバナ入りした。21日には亜国メンドサ市での、南部共同市場(メルコスール)首脳会議に出席する。
▼ラ米短信 ◎東京でもニカラグア革命記念日祝う
東京・高田馬場のNGOピースボート(PB)本部で7月19日、サンディニスタ・ニカラグア革命38周年記念の祝賀会合が開かれた。サウール・アラナ同国駐日大使が講演、1979年の革命に至るまでの、20世紀初頭からのニカラグア情勢を解説。「今も敵がいる」と指摘し、油断してはならないと警告した。
この会合にはベネスエラ、エクアドールの両国大使、クーバ、エル・サルバドール、ボリビア、グアテマラなどの外交官も出席した。吉岡達也PB共同代表、PB要員、ジャーナリスト、大学教授、歌手、PB世界周遊船乗船経験者、同乗船予定者ら、百数十人が参加した。
▼ラ米短信 ◎ベネスエラ情勢
ベネスエラの保守・右翼野党連合MUDは7月19日、「MUD政権構想」を打ち出した。ニコラース・マドゥーロ大統領に退陣を迫り、親米・新自由主義路線を復活させる構想で、従来のMUDの主張と変わらない。
米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務総長(前ウルグアイ外相)は19日、米上院ラ米小委員会で証言。マルコ・ルビオ委員長(共和党極右クーバ系議員)の質問に対し、「ベネスエラ民主は崩壊した。VEN政権には麻薬取引が構造的に組み込まれている」と述べた。
これを受けてルビオは、「ディオスダード・カベージョ(VEN政権党副党首)はベネスエラのパブロ・エスコバル(故人、かつてのコロンビア麻薬王)だ」と糾弾した。
米政府の言いなりのアルマグロと、ラ米介入主義者ルビオの発言は根拠が乏しく、ポスト真実期の典型的な虚偽情報だ。この種の非論理的発言が一方的に証言され、ラ米への内政介入を当然視する米政府の政策になる傾向がある。
ボリビアの政治首都ラパスでは19日、アルバロ・ガルシア副大統領が、元暫定大統領ホルヘ・キロガ(キリスト教民党首)を、「軽薄な挑発者で、押し付けがましい」と扱き下ろした。
キロガがこのほどカラカスに行き、MUDを支持しする内政干渉言動をした。ガルシアはこれを非難した。これに対しキロガは、「押しつけがましいのは汝(なんじ)だろう」と言い返した。
世界銀行統計では、11年目のオルテガ現政権下で貧困率は42・5%から29・6%に、極貧率は14・6%から8・3%に、それぞれ減った。無料の教育と医療保健が低所得層を特に助けている。
大統領はまた、「クーバは半世紀もの経済封鎖など米国の圧力を凌ぎ、対話により対米関係を再開させた」と前置きし、「ベネスエラ問題も圧力や脅迫でなく、対話によって解決すべきだ」と述べた。
来賓のボリビア大統領エボ・モラレスは、「資本主義は、自らの金融危機や社会正義の問題を解決する能力を備えておらず、失敗だ」と指摘。ラ米連帯を訴えた。
エル・サルバドール(ES)のサルバドール・サンチェス=セレ-ン大統領は、ニカラグアの英雄アウグスト・サンディーノとESの英雄ファラブンド・マルティが米侵略軍相手にニカラグアで共に戦った史実を踏まえて、両国の絆と共通性を説いた。
クーバの次期国家評議会議長候補ミゲル・ディアスカネル第1副議長は、「フィデルは無条件でニカラグア支持を打ち出した」と、玖革命政権とニカラグア革命政権の強固な関係を讃えた。
エクアドール(赤道国)からはマリーア・エスピノーサ外相が出席した。また18日までマナグアで開かれていたフォロ・デ・サンパウロ(FSP)の第23回年次会議参加の各国政党代表団も式典に参加した。
FSPは、マドゥーロ・ベネスエラ政権支持、コロンビア内戦和平過程防衛、迫害されているルーラ元伯大統領支持、米国の対玖経済封鎖撤廃要求、エボ・モラレスの2019年ボリビア大統領選挙出馬支持、亜国のマルビーナス諸島領有権支持などを決議した。
会議に参加した米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)のダビー・チョケウアンカ事務局長(前ボリビア外相)は、「母なる大地と社会正義を重んじる世界共通の開発モデルを構築する必要がある」と訴えた。
今FSP会議には、ラ米20カ国と、バルバドス、トゥリニダード&トバゴ(TT)のカリブ英連邦系両国および、米領プエルト・リコ、蘭領アルバ、同クラサオ(キュラソー)、仏領マルチニックから政党や政治運動の代表約300人が出席した。
次回会議は来年、クーバで開かれる。エボ・モラレスは19日マナグアからハバナ入りした。21日には亜国メンドサ市での、南部共同市場(メルコスール)首脳会議に出席する。
▼ラ米短信 ◎東京でもニカラグア革命記念日祝う
東京・高田馬場のNGOピースボート(PB)本部で7月19日、サンディニスタ・ニカラグア革命38周年記念の祝賀会合が開かれた。サウール・アラナ同国駐日大使が講演、1979年の革命に至るまでの、20世紀初頭からのニカラグア情勢を解説。「今も敵がいる」と指摘し、油断してはならないと警告した。
この会合にはベネスエラ、エクアドールの両国大使、クーバ、エル・サルバドール、ボリビア、グアテマラなどの外交官も出席した。吉岡達也PB共同代表、PB要員、ジャーナリスト、大学教授、歌手、PB世界周遊船乗船経験者、同乗船予定者ら、百数十人が参加した。
▼ラ米短信 ◎ベネスエラ情勢
ベネスエラの保守・右翼野党連合MUDは7月19日、「MUD政権構想」を打ち出した。ニコラース・マドゥーロ大統領に退陣を迫り、親米・新自由主義路線を復活させる構想で、従来のMUDの主張と変わらない。
米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務総長(前ウルグアイ外相)は19日、米上院ラ米小委員会で証言。マルコ・ルビオ委員長(共和党極右クーバ系議員)の質問に対し、「ベネスエラ民主は崩壊した。VEN政権には麻薬取引が構造的に組み込まれている」と述べた。
これを受けてルビオは、「ディオスダード・カベージョ(VEN政権党副党首)はベネスエラのパブロ・エスコバル(故人、かつてのコロンビア麻薬王)だ」と糾弾した。
米政府の言いなりのアルマグロと、ラ米介入主義者ルビオの発言は根拠が乏しく、ポスト真実期の典型的な虚偽情報だ。この種の非論理的発言が一方的に証言され、ラ米への内政介入を当然視する米政府の政策になる傾向がある。
ボリビアの政治首都ラパスでは19日、アルバロ・ガルシア副大統領が、元暫定大統領ホルヘ・キロガ(キリスト教民党首)を、「軽薄な挑発者で、押し付けがましい」と扱き下ろした。
キロガがこのほどカラカスに行き、MUDを支持しする内政干渉言動をした。ガルシアはこれを非難した。これに対しキロガは、「押しつけがましいのは汝(なんじ)だろう」と言い返した。
2017年6月10日土曜日
ニカラグアのミゲル・デスコト元外相(84)が死去▼メルケル独首相の批判をベネズエラが糾弾。検事総長は「制憲議会(ANC)無効」化を最高裁に訴える
ニカラグアのミゲル・デスコト元外相(84)が6月8日、首都マナグアの病院で死去した。ロサンジェルスに1933年生まれ、61年ニューヨークでカトリック司祭になり、「解放の神学」派に参加。75年、ソモサ独裁打倒のゲリラ戦を展開していたFSLN(サンディニスタ民族解放戦線)の支援団体に参加。79年7月19日のサンディニスタ革命勝利で、革命政権執行部に参加した。
英語力や在米経験を買われて外相に就任。81年に反革命非正規部隊(コントラ)を送りこんで軍事介入したレーガン米政権を相手に84~86年、国際司法裁判所で闘い、米側の侵略事実認定と賠償命令を勝ち取った。米政府は賠償していない。
サンディニスタ政権に入ったことで、ヴァティカンから司祭資格停止処分に遭った。だが、「私は常に神と共にある」と言い、意に介さなかった。
2007年、80年代にFSLN政権の大統領を務めたダニエル・オルテガが政権に返り咲くと、大統領の外交顧問に就任した。08~09年には、国連総会議長を務めた。
現在、連続3期目にあるオルテガ大統領は「偉大な盟友の死」を嘆いた。ラウール・カストロ玖国家評議会議長ら縁のあったラ米諸国要人らから、弔電や花輪が届いている。
【私ブログ子は、デスコトに長いインタビューをしたことがある。私が「パーデレ(司祭)」と呼ぶと、「(資格停止中だが)構わないさ」と言って、にやりと笑ったのを記憶している。】
◎ベネスエラ情勢
ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は6月9日、反政府勢力による一連の暴動で破壊・略奪された民営商店舗442軒への補償金として計2985億bf(約1億5000万ドル)を被害者に渡す、と発表した。
デルシー・ロドリゲス外相は9日、アンゲラ・メルケル独首相が8日、訪問先の亜国ブエノスアイレスで「ベネスエラ紛争の平和解決のため、連携して協力するようラ米諸国に呼び掛ける」と発言したことに対し、「内政干渉であり、反政府勢力の暴力を奨励するもの」と糾弾した。同首相は9日にはメヒコ市で、「ベネスエラのひどい状況を解決するのは容易でない」と発言している。
亜国サンタフェ州ロサリオ市では9~10両日、ノーベル平和賞受賞者5人が出席して平和会合が開かれている。亜国の左翼アドルフォ・ペレス=エスキベル(APE)は9日、ベネスエラ情勢に触れて、「人民は、人民意志を代表しない為政者に替えて、参加型政権を樹立する権利がある」と述べた。
さらに、「ベネスエラは、ラ米での覇権を失いたくない米国の策謀によるクーデターの危機に見舞われている」と指摘した。これに対し、保守のコスタ・リカ元大統領オスカル・アリアスは、「ベネスエラでは民主が失われて久しい」と言い、APEと対立した。グアテマラのリゴベルタ・メンチュー、ポーランドのレフ・ワレサ、イランのシリン・エバディも、それぞれ発言した。
ベネスエラ反政府勢力の中核である保守・右翼野党連合MUDは9日、カラカス22地区で「市民会議」を開催した。MUDによる暴動込みの街頭行動戦術は国際宣伝には効果を発揮したが、国内では批判にさらされている。このため、チャベス派に倣い、政策を直接伝えるため「人民集会戦術」を導入した。
一方、政府と対立しているルイサ・オルテガ検事総長は8日、マドゥーロ政権が推進している制憲議会(ANC)開設とそのための選挙を「人権、民主、投票権を侵害する」として無効とするよう最高裁に提訴した。MUDは検事総長を支持している。
カラカスでは、政府がクーデターの芽を摘むため国軍の「浄化作戦」を遂行中で、不満派の佐官・尉官ら現役士官14人が4月に逮捕され拘禁中、との情報が流れてる。
英語力や在米経験を買われて外相に就任。81年に反革命非正規部隊(コントラ)を送りこんで軍事介入したレーガン米政権を相手に84~86年、国際司法裁判所で闘い、米側の侵略事実認定と賠償命令を勝ち取った。米政府は賠償していない。
サンディニスタ政権に入ったことで、ヴァティカンから司祭資格停止処分に遭った。だが、「私は常に神と共にある」と言い、意に介さなかった。
2007年、80年代にFSLN政権の大統領を務めたダニエル・オルテガが政権に返り咲くと、大統領の外交顧問に就任した。08~09年には、国連総会議長を務めた。
現在、連続3期目にあるオルテガ大統領は「偉大な盟友の死」を嘆いた。ラウール・カストロ玖国家評議会議長ら縁のあったラ米諸国要人らから、弔電や花輪が届いている。
【私ブログ子は、デスコトに長いインタビューをしたことがある。私が「パーデレ(司祭)」と呼ぶと、「(資格停止中だが)構わないさ」と言って、にやりと笑ったのを記憶している。】
◎ベネスエラ情勢
ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は6月9日、反政府勢力による一連の暴動で破壊・略奪された民営商店舗442軒への補償金として計2985億bf(約1億5000万ドル)を被害者に渡す、と発表した。
デルシー・ロドリゲス外相は9日、アンゲラ・メルケル独首相が8日、訪問先の亜国ブエノスアイレスで「ベネスエラ紛争の平和解決のため、連携して協力するようラ米諸国に呼び掛ける」と発言したことに対し、「内政干渉であり、反政府勢力の暴力を奨励するもの」と糾弾した。同首相は9日にはメヒコ市で、「ベネスエラのひどい状況を解決するのは容易でない」と発言している。
亜国サンタフェ州ロサリオ市では9~10両日、ノーベル平和賞受賞者5人が出席して平和会合が開かれている。亜国の左翼アドルフォ・ペレス=エスキベル(APE)は9日、ベネスエラ情勢に触れて、「人民は、人民意志を代表しない為政者に替えて、参加型政権を樹立する権利がある」と述べた。
さらに、「ベネスエラは、ラ米での覇権を失いたくない米国の策謀によるクーデターの危機に見舞われている」と指摘した。これに対し、保守のコスタ・リカ元大統領オスカル・アリアスは、「ベネスエラでは民主が失われて久しい」と言い、APEと対立した。グアテマラのリゴベルタ・メンチュー、ポーランドのレフ・ワレサ、イランのシリン・エバディも、それぞれ発言した。
ベネスエラ反政府勢力の中核である保守・右翼野党連合MUDは9日、カラカス22地区で「市民会議」を開催した。MUDによる暴動込みの街頭行動戦術は国際宣伝には効果を発揮したが、国内では批判にさらされている。このため、チャベス派に倣い、政策を直接伝えるため「人民集会戦術」を導入した。
一方、政府と対立しているルイサ・オルテガ検事総長は8日、マドゥーロ政権が推進している制憲議会(ANC)開設とそのための選挙を「人権、民主、投票権を侵害する」として無効とするよう最高裁に提訴した。MUDは検事総長を支持している。
カラカスでは、政府がクーデターの芽を摘むため国軍の「浄化作戦」を遂行中で、不満派の佐官・尉官ら現役士官14人が4月に逮捕され拘禁中、との情報が流れてる。
2017年1月11日水曜日
オルテガ夫妻がニカラグアの正副大統領に就任
ニカラグア大統領ダニエル・オルテガ(71)と、新副大統領ロサリオ・ムリージョ(オルテガ夫人)が1月10日、就任した。任期は5年。オルテガは連続3期目。サンディニスタ革命政権期の1980年代を含めれば4期目となる。
就任式はマナグア中心部の革命広場で催された。ラ米からは、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ、ボリビアのエボ・モラレス、エル・サルバドールのサルバドール・サンチェス=セレーン、オンドゥーラスのフアン・エルナンデスの各大統領、クーバのミゲル・ディアスカネル第一副議長らが出席。ハイチのミシェル・マルテリー元大統領も式に出た。
台湾の蔡英文総統、北朝鮮高官、ロシア特使も出席、日本からは土屋品子特使(自民党衆議院議員、日ニカ友好議員連盟会員)と、NGOピースボート国際コーディネイター草深比呂至が出席した。
マドゥーロ大統領は、マナグア空港到着に際し、「10年前にウーゴ・チャベス大統領が来て、ニカラグアに新し時代が始まったと言った。チャベスが始めた<大なる祖国ラ米>政策がニカラグアの社会政策を支援した。オルテガ政権の成果は大なる祖国の勝利だ」と述べた。
現地では、知識人、市民団体などの組織「G27」(27人グループ)や、野党「民主拡大戦線」(FAD)など反オルテガ勢力が、反政権闘争を開始すると宣言した。
最大援助国ベネスエラの経済危機でニカラグアは資金難に陥っている。また米議会で現在、「政治民主化」を国際金融機関の対ニカラグア融資の条件とする「ニカ法」の審議が続いている。法案成立を阻止したいオルテガ政権は米企業を雇い、米議会内でロビー活動を展開中。
政権党サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)は一院制国会で91議席中、71議席を握っている。最高裁を始め司法機関も政権の影響下にある。
オルテガが初めて夫人を副大統領にしたことについて、「一族独裁支配の方向性が見えた」との批判が内外で強まっている。だがオルテガ以外にニカラグアの貧困問題を解決できる政治家が見当たらないのも事実。昨年11月の大統領選挙でオルテガは72・5%の得票を記録した。選管は投票率を62%と発表した。だが野党は30%と推定している。
貧困率はオルテガ政権下で42・5%から29・6%に、極貧率は14・6%から8・3%へ、それぞれ下がった。国民の7割が貧困でない経済状態にあるわけだが、貧困から非貧困層に上昇した「新非貧困者」の生活は依然厳しいと指摘されている。
◎ダニエル・オルテガ大統領就任演説
オルテガは就任演説で、まず「ニカラグアでもは女性に発言権がある」として、夫人で副大統領のロサリオ・ムリージョに発言を促した。ムリージョは「同胞女性たちよ、共に歩もう」と呼び掛けた。オルテガは次いでミゲル・オバンド枢機卿に、神の祝福を求め、それが済んでから演説を始めた。以下は、その要旨。
1980年代に米国が仕掛けた内戦のさなか、サンディニスタ政権は国際司法裁判所に米国を訴えた。同裁判所は、レーガン政権の米国に内戦介入を止め、賠償金を支払うよう命じた。その時点で被害額は170億ドルだった。米政府は判決に従わないまま今日に至るが、いつの日か米国が判決に応じるという希望を抱き続けている。
われわれ中米諸国首脳は米国の圧力に歯向かって、内戦和平を中米主導で進め、成果を挙げた。
1990年に発足したチャモロ政権は、われわれサンディニスタ政権の業績、痕跡をすべて消し去ろうと試みたが、叶わなかった。人民がそれを許さなかったからだ。
われわれには、街頭行動によってチャモロ、アレマン、ボラーニョ3代政権を倒す力があったが、政権奪取のための実力行使はしなかった。この国の民主がサンディニスタ革命によってもたらされたという事実にわれわれが深く関与していたからだ。
3代政権は和平合意と混合経済を伴っていた。内戦の廃墟の困難な状況の下で生まれた3代政権が民間企業の投資を再開させた業績は認めよう。
今日われわは、米拡張主義が押し付けた(ソモサ3代独裁のような)独裁の打倒ではなく、貧困と飢餓を無くすために団結して闘おう。平和と福利のために闘おう。
◎マナグアでFSP会合開く
大統領就任式に出席したラ米諸国の左翼政党、労連など40団体代表は1月11~12日、マナグアでフォロ・デ・サンパウロ(FSP=サンパウロフォーラム)会合を開く。議題は、ラ米、とりわけ南米諸国の右傾化、左翼勢力の巻き返し戦略など。
FSPは昨年12月17日ベルリンで、欧州左翼政党連合と初めて会合、協力関係の強化で一致した。同連合は2004年に発足、19政党が加盟している。双方は今年半ばマナグアで第2回会合を開く。
就任式はマナグア中心部の革命広場で催された。ラ米からは、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ、ボリビアのエボ・モラレス、エル・サルバドールのサルバドール・サンチェス=セレーン、オンドゥーラスのフアン・エルナンデスの各大統領、クーバのミゲル・ディアスカネル第一副議長らが出席。ハイチのミシェル・マルテリー元大統領も式に出た。
台湾の蔡英文総統、北朝鮮高官、ロシア特使も出席、日本からは土屋品子特使(自民党衆議院議員、日ニカ友好議員連盟会員)と、NGOピースボート国際コーディネイター草深比呂至が出席した。
マドゥーロ大統領は、マナグア空港到着に際し、「10年前にウーゴ・チャベス大統領が来て、ニカラグアに新し時代が始まったと言った。チャベスが始めた<大なる祖国ラ米>政策がニカラグアの社会政策を支援した。オルテガ政権の成果は大なる祖国の勝利だ」と述べた。
現地では、知識人、市民団体などの組織「G27」(27人グループ)や、野党「民主拡大戦線」(FAD)など反オルテガ勢力が、反政権闘争を開始すると宣言した。
最大援助国ベネスエラの経済危機でニカラグアは資金難に陥っている。また米議会で現在、「政治民主化」を国際金融機関の対ニカラグア融資の条件とする「ニカ法」の審議が続いている。法案成立を阻止したいオルテガ政権は米企業を雇い、米議会内でロビー活動を展開中。
政権党サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)は一院制国会で91議席中、71議席を握っている。最高裁を始め司法機関も政権の影響下にある。
オルテガが初めて夫人を副大統領にしたことについて、「一族独裁支配の方向性が見えた」との批判が内外で強まっている。だがオルテガ以外にニカラグアの貧困問題を解決できる政治家が見当たらないのも事実。昨年11月の大統領選挙でオルテガは72・5%の得票を記録した。選管は投票率を62%と発表した。だが野党は30%と推定している。
貧困率はオルテガ政権下で42・5%から29・6%に、極貧率は14・6%から8・3%へ、それぞれ下がった。国民の7割が貧困でない経済状態にあるわけだが、貧困から非貧困層に上昇した「新非貧困者」の生活は依然厳しいと指摘されている。
◎ダニエル・オルテガ大統領就任演説
オルテガは就任演説で、まず「ニカラグアでもは女性に発言権がある」として、夫人で副大統領のロサリオ・ムリージョに発言を促した。ムリージョは「同胞女性たちよ、共に歩もう」と呼び掛けた。オルテガは次いでミゲル・オバンド枢機卿に、神の祝福を求め、それが済んでから演説を始めた。以下は、その要旨。
1980年代に米国が仕掛けた内戦のさなか、サンディニスタ政権は国際司法裁判所に米国を訴えた。同裁判所は、レーガン政権の米国に内戦介入を止め、賠償金を支払うよう命じた。その時点で被害額は170億ドルだった。米政府は判決に従わないまま今日に至るが、いつの日か米国が判決に応じるという希望を抱き続けている。
われわれ中米諸国首脳は米国の圧力に歯向かって、内戦和平を中米主導で進め、成果を挙げた。
1990年に発足したチャモロ政権は、われわれサンディニスタ政権の業績、痕跡をすべて消し去ろうと試みたが、叶わなかった。人民がそれを許さなかったからだ。
われわれには、街頭行動によってチャモロ、アレマン、ボラーニョ3代政権を倒す力があったが、政権奪取のための実力行使はしなかった。この国の民主がサンディニスタ革命によってもたらされたという事実にわれわれが深く関与していたからだ。
3代政権は和平合意と混合経済を伴っていた。内戦の廃墟の困難な状況の下で生まれた3代政権が民間企業の投資を再開させた業績は認めよう。
今日われわは、米拡張主義が押し付けた(ソモサ3代独裁のような)独裁の打倒ではなく、貧困と飢餓を無くすために団結して闘おう。平和と福利のために闘おう。
◎マナグアでFSP会合開く
大統領就任式に出席したラ米諸国の左翼政党、労連など40団体代表は1月11~12日、マナグアでフォロ・デ・サンパウロ(FSP=サンパウロフォーラム)会合を開く。議題は、ラ米、とりわけ南米諸国の右傾化、左翼勢力の巻き返し戦略など。
FSPは昨年12月17日ベルリンで、欧州左翼政党連合と初めて会合、協力関係の強化で一致した。同連合は2004年に発足、19政党が加盟している。双方は今年半ばマナグアで第2回会合を開く。
2016年8月25日木曜日
イランがニカラグア運河建設事業への投資に関心示す
イランのムハマド・ザリフ外相は8月23日、ニカラグアのサムエル・サントス外相とマナグアで会談、建設工事中の「ニカラグア大運河」への投資にイランが関心を抱いていることを伝えた。
この運河工事は香港拠点の中国系企業が2014年12月22日開始したが、資金不足に陥っていると伝えられる。ザリフ外相はクーバ訪問後ニカラグアを訪れたもので、24日にはエクアドールを訪問する。
コスタ・リカ(CR)のルイス・ソリース大統領は22日ワシントンでバラク・オバーマ米大統領と会談。輸送機、船舶、埠頭、格納庫など、巨額の警備上の援助を得た。
大統領は、国境、沿岸、領空の警備と、組織犯罪に対処するためであり、ニカラグアを念頭に置いての「軍備強化」ではない、と強調した。ニカラグアはソ連援助により戦車など軍備を増強中。これに対する中米諸国の懸念が高まっていた。
ソリース大統領はジョー・バイデン米副大統領とも会談、クーバ人経済難民の出国を促している「クーバ調整法」を改廃するよう要請した。米領土に入れば自動的に居住権が得られる同法に引き付けられてCRにクーバ難民8000人が押し掛け、大騒動になった昨今の苦い経験がある。
クーバで和平交渉中のコロンビア政府とゲリラFARC(コロンビア革命軍)は23日、和平最終合意に達し、24日正式に発表する。交渉筋が23日明らかにした。
クーバ統計庁によると、今年上半期、外国人観光客214万人が来訪、前年同期比11・7%増し。数が多いのは、加英独西墨伊亜仏の順。クーバのホテルには計6万3000室があり、その7割は4~5星級。民宿も繁盛している。
★ラ米短信 ボリビア・コチャバンバのコカ葉栽培労連「熱帯農民労働者特別連盟」は8月21日、エボ・モラレス大統領を次期大統領候補に指名した。
モラレスは今年2月、大統領連続再選制限条項を廃止する改憲の是非を問う国民投票で、51・3%の反対で敗れた。現在の大統領支持率は52%で、大統領は国民投票のやり直しを企図している。
▼ラ米短信 ベネスエラのマルガリータ島で9月13~18日、非同盟諸国首脳会議が開かれ、同国のニコラース・マドゥーロ大統領が議長に就任する。任期は3年。
南部共同市場(メルコスール)の輪番制議長国にベネスエラが7月から就任するのを、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルの右翼・保守3国が阻んでいる。同3国と前議長国ウルグアイはモンテビデオで8月23日、事務方会合を開いて協議したが、3国のベネスエラ拒否姿勢は変わらなかった。
ベネスエラは24日モンテビデオで新たな事務方会合を提案したが、これにはウルグアイしか応じていない。
マドゥーロVEN大統領は23日、「3国の中心パラグアイはストロエスネル独裁の流れを汲む政権下にある」とカルテス政権を酷評。同政権はカラカス駐在大使を召還した。
デルシー・ロドリゲスVEN外相は23日、イラン、カタール、サウディアラビア、オマーン4カ国歴訪を報告。「これら産油諸国でのベネスエラの受けはとてもよかった」と述べた。
一方、カラカス首都圏ボリーバル区のホルヘ・ロドリゲス区長(政権党PSUV広報官)は22日、マドゥーロ大統領罷免国民投票実施賛成の署名をした国家・地方公務員は48時間以内に馘首される、と述べた。
この運河工事は香港拠点の中国系企業が2014年12月22日開始したが、資金不足に陥っていると伝えられる。ザリフ外相はクーバ訪問後ニカラグアを訪れたもので、24日にはエクアドールを訪問する。
コスタ・リカ(CR)のルイス・ソリース大統領は22日ワシントンでバラク・オバーマ米大統領と会談。輸送機、船舶、埠頭、格納庫など、巨額の警備上の援助を得た。
大統領は、国境、沿岸、領空の警備と、組織犯罪に対処するためであり、ニカラグアを念頭に置いての「軍備強化」ではない、と強調した。ニカラグアはソ連援助により戦車など軍備を増強中。これに対する中米諸国の懸念が高まっていた。
ソリース大統領はジョー・バイデン米副大統領とも会談、クーバ人経済難民の出国を促している「クーバ調整法」を改廃するよう要請した。米領土に入れば自動的に居住権が得られる同法に引き付けられてCRにクーバ難民8000人が押し掛け、大騒動になった昨今の苦い経験がある。
クーバで和平交渉中のコロンビア政府とゲリラFARC(コロンビア革命軍)は23日、和平最終合意に達し、24日正式に発表する。交渉筋が23日明らかにした。
クーバ統計庁によると、今年上半期、外国人観光客214万人が来訪、前年同期比11・7%増し。数が多いのは、加英独西墨伊亜仏の順。クーバのホテルには計6万3000室があり、その7割は4~5星級。民宿も繁盛している。
★ラ米短信 ボリビア・コチャバンバのコカ葉栽培労連「熱帯農民労働者特別連盟」は8月21日、エボ・モラレス大統領を次期大統領候補に指名した。
モラレスは今年2月、大統領連続再選制限条項を廃止する改憲の是非を問う国民投票で、51・3%の反対で敗れた。現在の大統領支持率は52%で、大統領は国民投票のやり直しを企図している。
▼ラ米短信 ベネスエラのマルガリータ島で9月13~18日、非同盟諸国首脳会議が開かれ、同国のニコラース・マドゥーロ大統領が議長に就任する。任期は3年。
南部共同市場(メルコスール)の輪番制議長国にベネスエラが7月から就任するのを、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルの右翼・保守3国が阻んでいる。同3国と前議長国ウルグアイはモンテビデオで8月23日、事務方会合を開いて協議したが、3国のベネスエラ拒否姿勢は変わらなかった。
ベネスエラは24日モンテビデオで新たな事務方会合を提案したが、これにはウルグアイしか応じていない。
マドゥーロVEN大統領は23日、「3国の中心パラグアイはストロエスネル独裁の流れを汲む政権下にある」とカルテス政権を酷評。同政権はカラカス駐在大使を召還した。
デルシー・ロドリゲスVEN外相は23日、イラン、カタール、サウディアラビア、オマーン4カ国歴訪を報告。「これら産油諸国でのベネスエラの受けはとてもよかった」と述べた。
一方、カラカス首都圏ボリーバル区のホルヘ・ロドリゲス区長(政権党PSUV広報官)は22日、マドゥーロ大統領罷免国民投票実施賛成の署名をした国家・地方公務員は48時間以内に馘首される、と述べた。
2016年8月5日金曜日
オルテガ・ニカラグア大統領の後継者は夫人ムリージョ
ニカラグアでは11月6日、次期大統領選挙が実施される。出馬登録は8月1~2日で、6人の出馬が決まったが、連続3選を狙うダニエル・オルテガ現大統領(70)が副大統領候補に据えたのは何と、妻ロサリオ・ムリージョ(65)だった。
他の5候補は泡沫的候補であり、オルテガ組の当選は固い。オルテガは1986~90年、サンディニスタ革命政権の大統領を務めたが、90年の選挙に敗れて野に下り、2006年の選挙で返り咲いた。
2007年1月から2期10年を務めつつあり、来年からは連続3期、通算4期目の任期に入る。オルテガが夫人を副大統領候補にしたのは、自らの健康不良によるところが大きい。当面の後継者を妻に決めたことになる。
ムリージョは異色の詩人で、1969年にサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)に参加。オルテガと再婚、2007年に大統領夫人となってから権力の半分を握ってきた。今回、「女性国民の代表として副大統領候補になる」と宣言した。
内外でたちまち批判非難が渦巻きだし、ビクトル・ティノコ元副外相は、「サンディニスタ革命が1979年に倒したソモサ家3代42年間の独裁の再来」と酷評している。
ティノコはFSLN分派の左翼党「サンディニスタ改進運動」(MRS)の国会議員だったが、7月29日、国会から追放された。
ラ米では、亜国の1973年大統領選挙でフアン・ペロンと夫人イサベルが正副大統領に当選、74年ペロンが死去しイサベルが大統領に昇格した。また21世紀になってからペロン派のネストル・キルチネル大統領に続いて、妻のクリスティーナ・フェルナンデスが2期大統領を務めた。
パナマでは、故アルヌルフォ・アリアス大統領の妻ミレイヤ・モスコーソが大統領になった例がある。グアテマラとオンドゥーラスでは大統領経験者の妻が大統領選挙に出馬し、落選している。
別件だが2日、ニカラグア湖を小舟で渡ろうとしていたアフリカ人不法移民8人が水死した。米国行きを目指し、コスタ・リカから密入国したアフリカ人一行に属していた。
▼ラ米短信 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月1日、最高裁に国会が非合法か否かの判断を求める、と明らかにした。野党連合MUDが多数派の国会は7月、選管から当選資格を剥奪された自派の3人を議員として認定、議場に入れた。
大統領はこれを違法行為と指摘、最高裁が非合法と判断すれば、国庫からの国会運営予算は打ち切る、と警告した。
一方、大統領罷免国民投票実施を求めているMUDは、大統領発言を「国民投票実施を避けるための時間稼ぎ」と非難している。
他の5候補は泡沫的候補であり、オルテガ組の当選は固い。オルテガは1986~90年、サンディニスタ革命政権の大統領を務めたが、90年の選挙に敗れて野に下り、2006年の選挙で返り咲いた。
2007年1月から2期10年を務めつつあり、来年からは連続3期、通算4期目の任期に入る。オルテガが夫人を副大統領候補にしたのは、自らの健康不良によるところが大きい。当面の後継者を妻に決めたことになる。
ムリージョは異色の詩人で、1969年にサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)に参加。オルテガと再婚、2007年に大統領夫人となってから権力の半分を握ってきた。今回、「女性国民の代表として副大統領候補になる」と宣言した。
内外でたちまち批判非難が渦巻きだし、ビクトル・ティノコ元副外相は、「サンディニスタ革命が1979年に倒したソモサ家3代42年間の独裁の再来」と酷評している。
ティノコはFSLN分派の左翼党「サンディニスタ改進運動」(MRS)の国会議員だったが、7月29日、国会から追放された。
ラ米では、亜国の1973年大統領選挙でフアン・ペロンと夫人イサベルが正副大統領に当選、74年ペロンが死去しイサベルが大統領に昇格した。また21世紀になってからペロン派のネストル・キルチネル大統領に続いて、妻のクリスティーナ・フェルナンデスが2期大統領を務めた。
パナマでは、故アルヌルフォ・アリアス大統領の妻ミレイヤ・モスコーソが大統領になった例がある。グアテマラとオンドゥーラスでは大統領経験者の妻が大統領選挙に出馬し、落選している。
別件だが2日、ニカラグア湖を小舟で渡ろうとしていたアフリカ人不法移民8人が水死した。米国行きを目指し、コスタ・リカから密入国したアフリカ人一行に属していた。
▼ラ米短信 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月1日、最高裁に国会が非合法か否かの判断を求める、と明らかにした。野党連合MUDが多数派の国会は7月、選管から当選資格を剥奪された自派の3人を議員として認定、議場に入れた。
大統領はこれを違法行為と指摘、最高裁が非合法と判断すれば、国庫からの国会運営予算は打ち切る、と警告した。
一方、大統領罷免国民投票実施を求めているMUDは、大統領発言を「国民投票実施を避けるための時間稼ぎ」と非難している。
2016年6月6日月曜日
ニカラグア次期大統領選に現職ダニエル・オルテガ出馬へ
ニカラグア大統領選挙(11月6日実施)の政権党候補にダニエル・オルテガ大統領(70)が6月4日決まった。サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)は同日マナグアで第6回党大会を開催、代議員1987人のうち出席した1910人全員がオルテガ擁立に賛成した。オルテガはFSLNの書記長でもある。
オルテガは、ゲリラ組織だったFSLNの司令の一人として革命戦争を指揮、1979年7月、ソモサ独裁を打倒し、革命に成功。85~90年、大統領を務めた。
90年代は、レーガン米政権が軍事介入し、ニカラグアは内戦の巷となった。89年の東西冷戦終結を経て90年、米国の圧力下で大統領選挙が実施され、保守勢力のビオレタ・チャモーロに敗れたオルテガは野に下った。
オルテガは2006年11月の大統領選挙に勝ち、07年1月10日、就任。以来、連続2期務めてきた。その間、改憲し、連続再選制限をなくした。夫人のロサリオ・ムリージョと2人で、ニカラグアをほぼ完全に支配している。
11月の選挙は総選挙と呼ばれ、正副大統領、国会議員90人、中米議会議員20人を選ぶ。政党支持率は、FSLN89%、立憲自由党2%、独立自由党1・5%。有権者は300万人。
連続3選、計4期目を目指すオルテガは4日、「国際監視団は招かない。ニカラグア人民には反帝国主義思想がある」と述べた。
オルテガは、ゲリラ組織だったFSLNの司令の一人として革命戦争を指揮、1979年7月、ソモサ独裁を打倒し、革命に成功。85~90年、大統領を務めた。
90年代は、レーガン米政権が軍事介入し、ニカラグアは内戦の巷となった。89年の東西冷戦終結を経て90年、米国の圧力下で大統領選挙が実施され、保守勢力のビオレタ・チャモーロに敗れたオルテガは野に下った。
オルテガは2006年11月の大統領選挙に勝ち、07年1月10日、就任。以来、連続2期務めてきた。その間、改憲し、連続再選制限をなくした。夫人のロサリオ・ムリージョと2人で、ニカラグアをほぼ完全に支配している。
11月の選挙は総選挙と呼ばれ、正副大統領、国会議員90人、中米議会議員20人を選ぶ。政党支持率は、FSLN89%、立憲自由党2%、独立自由党1・5%。有権者は300万人。
連続3選、計4期目を目指すオルテガは4日、「国際監視団は招かない。ニカラグア人民には反帝国主義思想がある」と述べた。
2016年2月22日月曜日
ニカラグアのフェルナンド・カルデナル師が死去
ニカラグアで貧者の教育に尽くしたイエズス会司祭フェルナンド・カルデナル(82)が2月20日、入院していたマナグアの病院で死去した。詩人エルネスト・カルデナル(91)は実兄。
1952年に見習い僧となり、やがて「解放の神学」を支持、ソモサ長期独裁に反対を唱え、サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)を支援した。
1979年7月、独裁打倒の革命が勝利すると、駐米大使就任を求められて断り、識字運動を引き受けた。翌80年、「識字十字軍」運動を展開、60%近かった非識字率を一気に15%程度に引き下げた。
1984年、サンディニスタ政権の教育相になるや、当時のローマ法王ヨハネ=パウロ2世の命令で、兄エルネスト、ミゲル・デスコトらとともに僧職を追われた。
大衆教育運動「ニカラグア信仰と喜び」を指導。1996年、62歳でイエズス会復帰が認められた。
葬儀は、イエズス会系の中米大学(UCA)で執り行われる。80年代のサンディニスタ革命を代表する人物がまた一人去った。
1952年に見習い僧となり、やがて「解放の神学」を支持、ソモサ長期独裁に反対を唱え、サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)を支援した。
1979年7月、独裁打倒の革命が勝利すると、駐米大使就任を求められて断り、識字運動を引き受けた。翌80年、「識字十字軍」運動を展開、60%近かった非識字率を一気に15%程度に引き下げた。
1984年、サンディニスタ政権の教育相になるや、当時のローマ法王ヨハネ=パウロ2世の命令で、兄エルネスト、ミゲル・デスコトらとともに僧職を追われた。
大衆教育運動「ニカラグア信仰と喜び」を指導。1996年、62歳でイエズス会復帰が認められた。
葬儀は、イエズス会系の中米大学(UCA)で執り行われる。80年代のサンディニスタ革命を代表する人物がまた一人去った。
2015年8月23日日曜日
ニカラグア運河工事での土砂浚渫はパナマ運河の22倍
パナマ運河庁(ACP)のホルヘ=ルイス・キハーノ長官は8月22日、昨年12月建設工事が始まったニカラグア運河について発言し、パナマ運河は1882年の工事開始から現在までに総計5億4900万m3の土砂を浚渫してきたが、ニカラグア運河建設には総計55億m3の土砂浚渫が必要になる、と指摘した。
ニカラグア運河の施工社HKNDは2019年の竣工を目指しているが、向こう5年弱の間にこれだけの量の浚渫をするには、一日当たり310万m3の浚渫が必要になり、それはパナマ運河の日量14万m3の22倍、と述べた。
ニカラグア運河は全長278km、幅230~520m、深さ30mを予定。HKNDは総工費400~500億ドルかかると推定しているが、キハーノ長官は700億ドルに達するのではないかと見ている。
ニカラグア運河の施工社HKNDは2019年の竣工を目指しているが、向こう5年弱の間にこれだけの量の浚渫をするには、一日当たり310万m3の浚渫が必要になり、それはパナマ運河の日量14万m3の22倍、と述べた。
ニカラグア運河は全長278km、幅230~520m、深さ30mを予定。HKNDは総工費400~500億ドルかかると推定しているが、キハーノ長官は700億ドルに達するのではないかと見ている。
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