【本ブログ10月29日付「ようやく真実委員会」を参照されたい。】
大統領は署名後、「我が国の歴史を汚した出来事が2度と再び繰り返されないために真実を知る必要がある」と述べた。また、南米南部軍政諸国間で、亡命していた政敵らを相互に逮捕し殺害した「コンドル作戦」の実態究明のため、アルゼンチンに協力を求めたいと述べた。
さらに、「委員会には、制服組に報復する意図はない。若者たちに近過去の出来事を知らせるのが主な狙いだ」と強調した。「ブラジルを一層公平、平等、民主的な国にするために必要な、真実と記憶の構築をする」とも語った。
大統領はまた、真実委員会が軍部や旧秘密警察の機密情報を調査できるようにするための「公的情報接近法」にも署名した。
この調査が進展すれば、軍政が1979年にお手盛りで成立させ発効させた「恩赦法」を無効化することも可能と、人道犯罪被害者、遺族、人権団体などは期待している。
ルセフ自身が、軍政時代にゲリラ活動をして逮捕され拷問されたが、性的暴行に遭った可能性があると指摘されている。
1964年以降の軍政時代にわかっているだけで500人が殺された。拷問に遭った市民は数え切れないという。
国連人権高等弁務官事務所は、ルセフの署名を歓迎し、礼讃した。
(2011年11月21日 伊高浩昭執筆)