2016年3月9日水曜日

ベネズエラ野党連合が「大統領罷免戦略」を発表

 ベネスエラの保守・右翼野党連合MUDは3月8日、ニコラース・マドゥーロ大統領を任期途中の年内に辞任に追い込む戦略を発表した。「平和的な社会的圧力」、「憲法条項修正」、「大統領罷免国民投票」の3つの戦術を、同時に遂行できるものは同時に、段階的にすべきものは段階的に進める。

 「社会的圧力」は、全国的にMUD支持派(反政府派)を街頭動員し、大統領辞任を求める世論を盛り上げる狙い。12日から全国に動員拠点を組織していく。この戦術はMUD内の右翼・極右が主張した。

 政府と政権党PSUVは、3つの戦術が出たのは、MUD内部が一致できなかったのを示すと見ている。政権党は「社会的圧力」について、MUDは2014年前半の死者43人を出した街頭暴力戦術の復活を狙っている、と非難している。

 「憲法条項修正」は、大統領任期を現行の6年から4年に短縮し、同一大統領の連続再選を禁止する。国会が過半数で議決し、国民投票で承認する。これはヘンリー・ラモス国会議長らが主張している。

 マドゥーロ大統領は4月任期半ばを迎えるが、来年4月の任期4年満了以前に辞任に追い込まれた場合、執権副大統領が30日間、暫定大統領を務め、大統領選挙で新大統領を選ぶ。任期4年満了後の辞任ならば、残り任期は執権副大統領が昇格して務める。

 だが最高裁は、「憲法条項修正」を「改憲」と見なし、国会に3分の2の議決を求めるだろう。MUDは3議席足りず、議決できない。

 「罷免国民投票」は、有権者1%(20万人)の署名を添えて選管に申請。認められれば、その日から3日以内に有権者の20%(
400万人)の署名を集め、選管に提出。これが認められれば、国民投票が実施され、罷免派がマドゥーロ大統領当選時の得票750万票を上回れば、大統領は罷免される。この国民投票は、有権者の25%(500万人)の参加が必要。

 故ウーゴ・チャベス前大統領は任期中、罷免国民投票に一度遭ったが、これを凌いだ。今回、この国民投票の署名運動は、MUD内中道右翼のミランダ州知事エンリケ・カプリーレス(元MUD大統領候補)が推進している。

 一方、マドゥーロ大統領は8日、「国際女性日」に因んで、政府支持派の女性団体代表と会った際、「誰も私を辞めさせることはできない」と、テレビを通じて反駁した。

 大統領は、バラク・オバーマ米大統領がこのほど、「ベネスエラは米国の安全保障上の脅威であり、非常事態を宣言する」とした昨年3月の政令を1年間延長したことに関し、12日から4月14日まで全国で「邪悪な内政干渉」を糾弾し跳ね付けるための運動を展開すると発表した。

 12日はMUDの全国運動開始日であり、政府はそれに合わせて対抗運動を開始することにしたもよう。MUDが多数派の国会は8日、政権党が求めた、米大統領政令延長を糾弾する決議の採択を拒否している。

★マドゥーロ大統領は9日、駐米臨時代理大使マキシミリアーノ・サンチェス=アルベライスの召還を決めた。