2016年3月31日木曜日

コロンビア政府とゲリラELNが和平交渉開始で合意

 半世紀余り内戦を戦ってきたコロンビア政府とゲリラ組織ELN(民族解放軍)は3月30日カラカスで、和平交渉を正式に開始することで合意した、と発表した。ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領が仲介した。

 双方は2014年初めから隣国エクアドールで極秘裡に予備交渉をしてきた。ELNより規模の大きいゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)は2012年から正式交渉を続け、近い将来、和平協定調印に漕ぎつける見通しとなっている。ELNは、FARCとの同時並行的な和平交渉を望んでいたが、政府と政府軍の内部に、ELNとは交渉せずに壊滅させるべきだという考えがあって、正式交渉開始が遅れていた。

 JMサントス大統領は30日、まずELNは拉致・誘拐した人質を解放すべきで、それなしに交渉は軌道に乗らない、と述べた。政府とELNの和平交渉は当面エクアドールで続けられるが、ラ米の他の国で行われることもありうるという。ベネスエラの他、クーバ、ブラジル、チレ、ノルウェーが交渉の「支援国」となっている。

 合意発表に立ち会ったマドゥーロ大統領は、2007年、当時のウリーベ・コロンビア大統領から故チャベス・VEN大統領が和平交渉仲介を委託された経緯を想起し、政府とELNを祝福した。

▼ラ米短信  国連「奴隷制度および太平洋越し奴隷貿易の犠牲者を記念する国際日」の3月30日、カリブ共同体(CARICOM)加盟諸国は、奴隷制度と先住民殺戮への謝罪と賠償を旧宗主国・英仏蘭に要求すると表明、クーバが支持を打ち出した。

 この国際日は2007年に制定された。

▼ラ米短信  チレ高裁は3月30日、ミチェル・バチェレー大統領の父親、故アルベルト・バチェレー空将を拷問した元軍政士官2人に禁錮4年の実刑を言い渡した。

 同空将は、1973年9月11日、ピノチェー陸将らによる軍事クーデターが起きる前、加担を拒否、アジェンデ合憲政権の要職を務めていた。このため政変直後に逮捕され、拷問が元で心筋梗塞になり、1974年4月死亡した。

 一方、最高裁は30日、軍政下で苦しんだ元政治囚649人に、一人当たり4400米ドルに支払うよう、政府に命じた。