グアテマラ検察庁は8月21日、オットー・ペレス=モリーナ大統領を、「ラ・リネア」と呼ばれる税関絡みの大規模汚職事件に関与したとして起訴、予審開廷を要請した。同日、同じ容疑で起訴されていたロサーナ・バルデッティ前副大統領も逮捕された。
事件は4月16日、当時の副大統領バルデッティの私設秘書フアン=カルロス・モンソンがまとめ役となって実行されていた税関脱税・贈収賄事件として発覚。モンソンは国外逃亡中。
ベルデッティは5月8日辞任、取り調べを受けてきた。事件の関連で高官、経営者ら28人も逮捕されてきた。
検察庁と、国連が支援する「グアテマラ反無処罰国際委員会」(CICIG)は、2014年5月から8万6000回の通話記録を分析。そこで交わされていた、贈賄先の優先順位を示す「エル・ウノ」(ナンバーワンの男)、「ラ・ドス」(ナンバートゥーの女)が大統領と前副大統領であるのを突き止めた。
事件に怒ったグアテマラ市民は4月25日以来、全国で事件解明と大統領辞任を要求するデモを展開。国会は8月13日、大統領の不逮捕特権剥奪の是非を問う採決をしたが否決され、大統領は辛くも捜査を免れた。
大統領は予審に備えての特権剥奪の国会採決に再び直面するが、辞任する選択肢もある。窮地に立たされた大統領は21日、訪問先の首都東方サカパ県で、「従来通り敢然と立ち向かう」と述べ、辞任する意志のないことを強調した。
大統領任期は来年1月14日であり、次期大統領選挙は9月6日に実施される。国内は選挙戦の真っ最中だが、一大汚職事件で選挙戦がかすんでしまっている。
CICIGは、遺憾ながら大統領と前副大統領が事件に中心的に関与したことが明らかになった、と表明した。前副大統領は21日、入院先の病院から刑務所に移され拘禁された。
陸軍退役将軍である大統領には、内戦中の虐殺関与の疑いも指摘されている。