▼▽▼グアテマラで1月14日、オットー・ペレス=モリーナ退役将軍(61)が大統領に就任した。ぺレスは昨年9月11日の大統領選挙で得票率36%で1位となり、2位の実業家マヌエル・バルディソーン(23%)とともに11月6日の決選投票に進出した。決選では54%を得票し、当選した。愛国党(PP)に所属し、極右と目されている。
ペレスは就任演説で、「国は経済と道徳が破綻する瀬戸際の危機にある」と、受け継いだ国の状況を描き、「表明的でない構造的改革」遂行と「改革過程への人民参加」促進を強調した。また、マヤ民族のマヤ暦が定める「歴史の終焉サイクル」に触れて、「新しい変化の時代が始まる」と謳いあげた。
25万人が殺害された内戦(1960~96)に苦しんだ過去を振り返り、「和平合意が裏切られてきた」と指摘し、合意達成への意欲を示した。「自分の世代が内戦最後の世代で、最初の平和世代になるのを願う」と述べた。
最優先政策として、麻薬マフィアなどの組織犯罪が野放し状態の治安の回復を挙げた。この就任式前日の13日、首都グアテマラ市内で、国会議員1人が暗殺されたばかり。有権者は、内戦中に弾圧と殺戮を恣(ほしいまま)にした国軍高官だったペレスの「強権発動による治安確保」の公約を受け入れて、ぺレスを当選させた。
ペレスは、貧困・飢餓対策と、累積債務や財政赤字に苦しむ経済の再建も優先政策として掲げた。
この国初の女性副大統領に、ロサーナ・バルデッティ前下院議員が就任した。選挙戦中、彼女は、ぺレスの恐持ての印象を和らげるのに貢献した。
アルバロ・コロム前大統領は、「治安と貧困の問題を残して去るのが心残りだ」と語った。
就任式には、メキシコ、コロンビア、ニカラグア、エル・サルバドール、コスタ・リカ、ホンジュラス、スリナムの7カ国大統領が出席した。出欠が注目されていたイラン大統領は、結局出席しなかった。
ベリーズ首相、キューバ副議長、パナマ外相、スペイン皇太子、米平和部隊局長、台湾外交部長らも出席した。
新国会(定数158)では、政権党PPが58議席、前政権党「希望国民連合(UNE)」が48議席をそれぞれ占める。残る52議席は11会派が分け合っている。
【参考文献:月刊「LATINA」2012年2月号(1月20日発刊)掲載の伊高執筆「ラ米乱反射第72回」=「<血塗られた将軍>の極右政権が発足ーー和平合意15周年ーグアテマラの逆行」】