☆★☆ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領は3月16日帰国した。腰部に再発した癌腫瘍の除去手術を受けるため2月24日キューバに行き、ハバナで手術を受けた。3週間ぶりの帰国。ハバナではフィデル・カストロ前議長に別れの挨拶をし、ハバナのホセ・マルティ空港ではラウール・カストロ議長に見送られた。
★チャベスは、カラカス郊外マイケティーアのシモン・ボリーバル空港で演説し、「祖国に帰着するたびに特別の感動を覚える。この新たな帰還! ニーチェのツァラトゥストラではないが、超自然的な生命力を感じる。生きよう、そして勝利しよう」と述べた。
☆チャベスは長期不在にも拘わらず、大統領権限を副大統領に委ねなかった。10月7日の大統領選挙を遠望しつつ、「1日たりとも政権を離れていない」ことを強調するためだった。
★野党連合は右翼エンリケ・カプリレス(ミランダ州知事)を統一候補に決め、財界の支援を受けて、激しい選挙戦を展開している。世論調査では、チャベスが50%台半ばで優勢を維持しているが、いつ癌が再発するかが不安材料になっている。
☆新聞は、チャベスが癌で出馬を取り下げる場合、実兄アダン・チャベス(バリーナス州知事)か、政権党ベネズエラ統一社会党(PSUV=ペエセウベ)のディオスダード・カベージョ副党首が代替候補になる公算が大きい、と報じている。
★チャベスが出馬できず、代替候補が擁立された場合、カプリレス当選の可能性が膨らむと見る向きが少なくない。アダンには弟ウーゴのようなカリスマがなく、カベージョは2008年のミランダ州知事選挙でカプリレスに敗れている。
☆カプリレスの弱みは、02年4月のチャベス打倒の軍民クーデタ-(失敗)時に、カラカスのキューバ大使館を襲撃し逮捕されるなど、極右まがいの言動が目立っていたこと。この点を含めて、チャベス陣営は攻撃している。