2012年4月15日日曜日

第6回米州首脳会議始まる

▼▽▼米州諸国機構(OEA=オエア)加盟の34カ国が参加資格を持つ米州首脳会議の第6回会議が4月14日、コロンビア・カリブ海岸のカルタヘーナで始まった。会議は15日までの2日間。

▽今会議の<陰の主役>は、1962年1月米国にOEAを追放され復帰していない社会主義キューバだ。キューバを含むラ米左翼陣営の政策協議・経済協力機関「米州ボリバリアーナ同盟(ALBA=アルバ)」は先に、第6回会議主催国コロンビアがキューバを招待しない場合は欠席するという案を話し合った。

▼これを提起したエクアド-ルのラファエル・コレア大統領は逸早く欠席を表明し、欠席した。ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領も欠席し、14日は首都マナグアの革命広場でキューバへの連帯集会を開いた。オルテガは自ら会議に出ないことによって、キューバに連帯したわけだ。

▽最大の不在は、癌再手術部位の放射線治療を優先させ、14日ハバナ入りしたベネズエラのウーゴ・チャベス大統領だ。生命に関わる治療に専念するのは当然だが、首脳会議に招かれなかったキューバに会議期間中滞在することで、不在を一層印象づけることになった。

▼ハイチのミシェル・マルテリ大統領も、「右肩手術後の経過観察のため」として欠席した。同大統領には<汚職疑惑>の噂が浮上しているが、同大統領打倒の陰謀が暴露されるという重大局面もあり、そのための欠席と見る向きが多い。

▽結局、出席した首脳は30人にとどまった。そのうちペルーのオヤンタ・ウマーラ大統領は、内政問題への対応を理由に14日、帰国の途に就いた。

▼開会式は、歌手シャキーラがコロンビア国家を独唱して始まった。会議議長のフアン=マヌエル・サントス同国大統領は開会演説で、「古いイデオロギー論争はやめよう。次回首脳会議からはキューバの不在は受け入れがたい」と、キューバ招待に反対した米国を特に牽制した。

▽だがサントスは同時に、「キューバの内政改革に無関心ではいられない。イデオロギー上の頑迷さが招いた麻痺状態を克服すべき時だ。キューバ人のために改革が良好な結果をもたらすため、合意を形成すべきだ」と述べた。これはキューバ指導部に本格的な改革を求めるとともに、キューバへの経済封鎖を半世紀以上もとり続けている米政府への政策転換を求めたものだ。

▼首脳会議開会に先立つ13日、カルタヘーナでは米州外相会議が開かれた。集結したALBA諸国外相は、「キューバが参加しない米州首脳会議には今後一切参加しない」との決意を表明した。

▽これは、外相会議で米加両国外相が、次回の第7回首脳会議(パナマ開催)からキューバを招くとのラ米側提案を葬ったことへの対抗措置だった。このため、15日に首脳会議の最終宣言が発表されるかどうかが危ぶまれている。会議は全会一致制であり、米加はキューバ招待案を潰すことができたわけだ。

▼会議に出席しているバラク・オバマ米大統領は、コロンビア紙エル・エスペクタドールに、「キューバの参加を阻んでいるのは、米国ではない。国際原則に反しているキューバ自身だ」と語っている。

▽会議の場外では醜聞事件が起きた。米大統領警護班(SS)要員11人と、これを支援する米南方軍派遣要員5人が、カルタヘーナで売春婦と過ごしたということで、尋問を受けるため帰国させられたのだ。