2012年4月17日火曜日

アルゼンチンが<石油主権>回復

☆★☆アルゼンチンのクリスティーナ・フェルナデス=デ・キルチネル(CFK)大統領は4月16日、スペインのレプソール社が所有する元亜国営石油会社「YPF(イペエフェ=国庫油床)」の株51%強を取得するための「油床主権回復法」案を同日、国会に提出すると発表した。

★亜国では、パタゴニアのコモドロ・リバダビアで1907年に原油採掘が始まり、22年にYPFが設立された。だが70年後の92年、当時の新自由主義右翼カルロス・メネム大統領が民営化に着手し、99年それが完成した。最大株主のレプソールは57%を保有している。

☆CFKは、「YPF経営陣は石油価格の高騰や値上げで利益を挙げるだけで投資・増産を怠り、亜国は去年17年ぶりに石油・天然ガスの大幅輸入に追い込まれ、30億ドルも輸入しなければならなかった」と前置きし、「このままでは亜国は信頼されない国に堕してしまう」と述べた。

★同大統領は直ちに法案を国会に送るとともに、フリオ・デビード企画相とアシェル・キシロフ経済計画次官をYPF介入担当責任者に任命した。

☆レプソールは、51%の買収価格を80億ドル以上と計算しているが、亜国では60億ドル程度との見積もりがなされている。

★亜国が買収する51%のうち26ポイントは国、25%ポイントは産油10州がそれぞれ握ることになる。

☆スペインのマリアーノ・ラホーイ首相は緊急協議に入った。同国では、亜国の国営化政策を激しく非難する声が高まっている。ラホーイは17日メキシコを訪問し、太平洋岸のプエルト・バジャルタでの「世界経済フォーラム」会議に参加するが、フェリーペ・カルデロン大統領と亜国政策への対応を協議する。

★メキシコ石油公社(PEMEX=ペメックス)はレプソール株の10%を保有している。カルデロンは、亜国の決定について「極めて残念だ。考え直してほしい」と述べ、CFKの決断を暗に批判した。

☆亜国内では労連、市民・人権団体、左翼勢力などがCFKの決定に賛成している。