2017年4月4日火曜日

 エクアドルのレニーン・モレーノ次期大統領が貧困対策継続を強調。「ラ米は世界変革の前衛」などと各国首脳から祝電続く▼米州諸国機構(0EA)が反ベネズエラ決議を強引に採択▼メキシコ北部の調査報道紙が閉刊に追い込まれる

 エクアドール(赤道国)のレニーン・モレーノ次期大統領は4月3日、キト中心街のカロンデレー宮(大統領政庁)のバルコニーにラファエル・コレア大統領、ホルヘ・グラス次期大統領と並び立ち、眼下の「独立広場」一帯を埋め尽くした大群衆から祝福を受けた。

 前日の大統領選挙決選は開票率99・46%でモレーノ51・17%、ギジェルモ・ラッソ48・83%だった。ラッソは「開票に不正があった」と主張、モレーノ当選を認めず、開票作業のやり直しを求めている。

 モレーノは、「私は全赤道国人の大統領になる。とりわけ貧者のための大統領になり、貧困問題解決政策を継続する。支持者を決して裏切らない」と述べ、大群衆に抱擁を送った。

 コレア大統領は10年間「市民革命」を掲げ、改革政策を続けてきた。この日の勝利集会でみな、「市民革命」の讃歌「新しい人民」を合唱した。

 赤外務省によると、3日までにベネスエラ、ボリビア、クーバ、ニカラグア、エル・サルバドール、亜国、ブラジル、パラグアイ、コロンビア、メヒコ、チレ、ペルーなどの元首ないし政府から祝電が届いている。米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務総長、クリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル前亜国大統領からも祝賀の言葉が届いた。

 ラウール・カストロ玖国家評議会議長は、「市民革命の新しい過程が始まる。赤道国は<我らのアメリカ(ラ米・カリブ)>の統合と主権防衛に今後も貢献する」と祝電で述べた。

 ニコラース・マドゥーロVEN大統領は、「<大なる祖国(ラ米・カリブ)>の勝利だ」と祝福。同国外務省は声明で、「米国務省主導の政権奪取の画策が敗れた。ラ米進歩主義政権不安定化の企図はまたも敗れた」と強調した。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は咽頭の手術を受けたハバナから祝電を送った。大統領代行のアルバロ・ガルシア副大統領はラパスで、「ラ米解放過程の新しい始まりだ。この勝利は右翼・保守勢力を黙らせた。ラ米は再び世界の革命過程の前衛になった」と論評した。

 米国務省は、勝利を期待していたラッソが敗北を認めていないことから、モレーノ勝利について言及を避けている。

▼ラ米短信   ◎OEA大使会議が変則的にベネスエラ批判決議を可決

 米州諸国機構(OEA)は4月3日ワシントンの本部で緊急大使会議を開き、強引に反ベネスエラ決議を採択した。決議は「ベネスエラには憲政中断状況がある。最高裁が制度的に国会に介入している」として、マドゥーロ政権に選挙実施日程策定と<政治囚>釈放を求めている。

 この日、輪番制議長国(4~6月)のボリビアは同副議長国ハイチとともに、開会目的の異常性を指摘し閉会を主張。これにベネスエラ、ニカラグアなどが同調した。だが米国、カナダ、亜伯両国など保守・右翼を中心に21カ国が開会に賛成、オンドゥーラスを臨時議長に仕立てて議事を進行させた。

 決議は、ベネスエラ国内対話優先を訴えるエル・サルバドール、ドミニカ共和国、ベリーズ、バハマが棄権。17カ国の賛成で可決された。

 マドゥーロVEN大統領は決議を受けてカラカスで、「OEAは反ベネスエラの異端尋問所と化した感がある。右翼諸国は米国の圧力を受けて域内諸国と我が国の断交を謀っているが、そうはいかない」と糾弾した。

▼ラ米短   ◎記者を殺されたメキシコの新聞が閉刊

 メヒコ北部チウアウア州フアレス市のタブロイド紙「ノルテ・デ・シウダー・フアレス」(北部フアレス市)は4月2日、第1面に「アディオス!」の大見出しを付け、この日限りで閉刊すると発表した。

 同紙は1981年、フアレス市で「エル・ウニベルサル」として創刊。90年に現在の紙名となった。小さな地方紙ながら、麻薬取引、麻薬組織と政財界の癒着、女性殺しなどの果敢な調査報道で有名になった。

 それだけに当局や麻薬組織からの圧力や脅迫も多く、今年3月23日には、麻薬取引を暴く報道で名を挙げていたミロスラバ・ブリーチ記者が殺害された。

 オスカル・カントゥー社主は3日、「社員の安全が保障されなくなって久しい。政争、腐敗、麻薬組織の暗躍などで危険な環境となっている。チウアウア市には社会の木鐸として調査報道に重きを置く新聞を発行する条件がなくなった。閉刊は抗議のしるしでもある」と述べた。今後は電子版でニュースや論評を流す。