2017年4月23日日曜日

 ベネズエラ政府が外国メディアに「虚偽報道」止めるよう要請。野党連合MUDは久々に別働隊加えず平和行進▼パナマ運河を米原潜が通航▼ニカラグアで運河建設反対派が規制さる▼キューバが37年ぶりにモロッコと復交

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は4月22日、「ベネスエラは平和のために行動している。ヴァティカンと国際社会と対話しつつ、テロリズムに訴えている犯罪組織を取締まっている」と述べた。

 また、「帝国主義に支援された国内右翼勢力による不安定化の企みを引き続き打ち破ってゆく。ファシズムと不寛容は革命と祖国愛のベネスエラでは立ち行かない」と強調した。

 エルネスト・ビジェーガス伝達・情報相とデルシー・ロドリゲス外相は、カラカスで外国メディア通信員を集めて記者会見し、メディアによる意図的誤報、虚偽報道などを厳しく批判、「伝達の専門職として責任を持ち、倫理的で公平な報道を心がけてほしい」と訴えた。

 ビジェーガスは、虚偽報道の一例として、カラカス市リベルタドール区エル・バージェの母子病院が野党勢力に雇われた暴徒に襲撃された際、あたかも治安当局に責任があるかのように報じたメディアがあった事実を指摘した。

 同区のホルヘ・ロドリゲス区長(外相の実兄)は、暴動・略奪の被害が大きかったエル・バージェ地区で貧しい住民9800家庭に食糧品を配布した。政府支持派は、23日、一帯で破壊の跡を清掃したり、街路樹の苗木を植えたりしている。

 ネストル・レベロール内相は、タチラ州サンクリストーバル市で若い女性が19日射殺された事件の容疑者の男を逮捕、取り調べ中と明らかにした。内相は、容疑者は保守・右翼野党連合(MUD)右翼のマリーア・マチャード元国会議員の政治組織「ベンテ・ベネスエラ」に所属していると明かした。

 コロンビア政府との和平実施過程にあるゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)の最高司令ティモチェンコ(ロドリーゴ・ロンドーニョ)は22日、「ベネスエラが誹謗中傷されているいま、黙ってはいられない」として、「ボリバリアーナ革命政権を支持する」と表明した。

 同司令は、「コロンビアのメディアは、ベネスエラにあるチャベスへの情熱や、マドゥーロ大統領支持派の存在などに触れず、一方的にベネスエラを暴力や殺人だけの社会のように報じているが、ベネスエラは新自由主義政策に代わりうる政経両面の政策を実施している、民主と寛容のある美しい国だ」と強調した。

 さらに、「米国は世界各地で原油を奪うため、ありえないようなことも含め何でもやる」と、米国を非難した。

 一方、MUDは22日、予定通り、カラカス市内をカトリック司教会議本部まで「沈黙の行進」を実行した。平和裏に行進したが、このことは、MUDが破壊活動やテロリスムを働く別働隊を介入させなければ、平和裡の抗議活動が可能なことを示した。

 ブラジルのミシェル・テメル大統領は、メディアに、ベネスエラは選挙を早期実施すべきだと語った。昨年、不当な弾劾でヂウマ・ルセーフ大統領の合憲政府を倒し、政権に就いたテメルであり、発言に重みはない。顰蹙さえ買っている。

 モロッコ政府もベネスエラを非難したが、ベネスエラ外務省は21日、「国連の植民地解体委員会で議題になっている西サハラ不法占領国(モロッコ)の振舞いはいただけない」と一蹴した。

 デルシー外相は21日、1年交代・輪番制の南米諸国連合(ウナスール)議長の座を、アルヘンティーナに渡した。

▼ラ米短信   ◎米原潜がパナマ運河通過し太平洋に展開

 米海軍の原潜1隻が17日パナマ運河をカリブ海から太平洋に向けて通航したことが確認されていたが、パナマ運河庁(ACP)は22日、通航したのはUSダラス(SSN-700)だと明らかにした。朝鮮半島に近い海域に向かうと見られている。

▼ラ米短信   ◎ニカラグア運河建設反対行動が規制さる

 建設中の「ニカラグア大運河」に反対する農民や住民らは4月22日、「地球の日」に合わせて、中部のフイハルパ市で反対行進を展開することにしていたが、警察に阻止され、参加者は市内に入れなかった。

 カリブ沿岸地方の先住民らの「土地・湖水・主権防衛会議」の面々や、首都マナグアからの「サンディニスタ刷新運動」(MRS)、「民主拡大戦線」(FAD)など野党の党員が阻止された。

 政府側は同市でこの日、運河建設に賛成する政府支持派を集め、「緑の行進」を実施した。

▼ラ米短信   ◎クーバがモロッコと国交再開

 クーバとモロッコは4月21日、国連本部で国交再開文書を交わした。クーバは、西サハラで1976年に独立を宣言した「サハラウイ・アラブ民主共和国」(RASD)を80年承認、西サハラを不法占領中のモロッコは断交した。

 モロッコのムハマド6世は今月初め、秘かにクーバの保養地を訪れていた。モロッコは今年1月末、西サハラ問題をめぐり脱退していたアフリカ連合(AU)に復帰した。今回の復交で、モロッコに対するクーバとベネスエラの立場の違いが鮮明になった。

 一方、ブルーノ・ロドリゲス外相は17~22日、スペイン、ポルトガル、ギリシャ3国を歴訪した。近い将来、スペインの国王と首相が訪玖する予定。