2017年4月8日土曜日

 アルゼンチンで全国24時間ゼネスト成功。マクリ政権の新自由主義路線に反対。首都ブエノスアイレスでは世界経済フォーラム(WEF)ラ米版開会。労働者庶民と富裕経営者層の対比鮮やか

 アルヘンティ-ナで4月6日、マウリシオ・マクリ政権に反対する初の24時間全国ゼネストが実施された。「亜国労働者センター」(CTA)と「労働総同盟」(CGT)の2大労連が組織、「スト参加率は90%」と労連側は評価した。

 2015年12月発足したマクリ保守・右翼政権は、新自由主義による緊縮財政政策をとり、労働者解雇、停職、賃下げなどによるインフレ抑制に力を入れている。12年続いた、労働者重視のペロン派左翼政権が敷いた電気・ガス・電話・自動車道・公共玖通機関などの無料サービスを有料化するなどの対策を講じてきた。

 だが昨16年、インフレは年率40%。今年の目標は17%だが、既に28%に及ぶ兆候が表れている。労働者の購買力は減り、不満が日ごとに高まっている。去年の失業率は8・5%、25万人が職を失った。

 特に教員組合は賃上げを要求し続けてきたが、政府は無視。このほど法廷は、政府に回答するよう命じた。教員組合の闘争が今回のゼネストの引き金の一つとなった。

 交通機関、タクシー、航空、学校、銀行、商店、工場、ごみ収集、病院(最小限対応)などがストに応じ、首都ブエノスアイレスは閑散となった。若者や左翼はあちこちで自動車道を遮断した。

 これに対し政府は憲兵隊や機動隊を大量に投入、バリケードを除去、ピケラインを崩した。催涙ガスが発射され、数人が逮捕されたり負傷したりした。マクリ政権は昨年2月、法廷命令なしに道路封鎖やピケットを解除できる法令を定め、これを今回発動した。

 ストに参加した亜国労働党(POA)のホルヘ・アルタミーラ党首は、「インフレ抑制策と公定歩合引き上げで景気が後退した。インフレはかえって昂進している」と指摘した。

 一方、マクリ大統領はこの日、首都で開催中の「世界経済フォーラム」(WEF)ラ米版で演説。パラグアイのオラシオ・カルテス大統領を含むラ米政財界人1100人が参加している。

 労連は「ゼネストに参加していない全国で唯一の場はミニWEF会場だ」と皮肉った。外国からのフォーラム参加者は、遭遇したゼネストに亜国が直面する問題を垣間見た。

 それでもマクリの支持率は40~50%台。1日には首都でマクリ支持デモが展開された。