2015年10月27日火曜日

アルゼンチン大統領は11月22日、初の決選実施へ

 10月25日実施の亜国大統領選挙は、予想通り、政権党候補ダニエル・シオーリBA州知事(58、中道、勝利のための戦線FPV)と、野党連合候補マウルシオ・マクリBA市長(56、右翼・中道右翼・保守、カンビエモス)が11月22日の決選に進出することとなった。

 決選はこの国の大統領選挙史上、初めて実施されることとなる。これまでは決選前に一方の候補が降りて、投票はなかった。

 開票率96%段階で、シオーリ36・83%、マクリ34・35%と、接戦だった。落選したのは3位で経済重視のペロン派反支流派(中道右翼)のセルヒオ・マッサ(47)21・34%、および他の3候補(合計得票率7・63%。

 決選は、マッサら落選4候補の合計票が誰に付くかで決まる。事実上、「決定権」を握ったマッサは「早急に政策提案をまとめる」と表明した。

 シオーリは、あわよくば決選なしで当選することを狙っていた。だが自ら知事を8年間務めてきた、有権者の37%が固まるBA州の知事選(同時選挙)で、政権党候補アニーバル・フェルナンデスがマクリ派の女性候補マリーア・ビダルに敗れる大番狂わせが起きるなど、ペロン派支持勢力の退潮が著しく、マクリの「大躍進」を許した。

 マクリは新自由主義を採る経済・財界優先派。経済再建を願う有権者の心情をとらえた。シオーリはクリスティーナ・フェルナデス現大統領ほど「左翼的」ではなく、社会政策維持を掲げつつ、経済再建重視策を打ち出していた。言わば、現大統領とマクリの間で政策的に「どっちつかず」と見なされ、票が伸びなかった。

 シオーリもマクリも勝つためには、マッサに譲歩し連携するしかない。その場合、「ペロン派同士」のシオーリか、中道右翼・保守路線で共通するマクリか、どちらにマッサがなびくかで当落が決まることになる。

 シオーリは元自動車レーサー。1989年に事故で右腕を切断、90年代にメネム政権下で政界入りした。一方マクリは実業家出身。BA市長として今月初め、政敵の元祖であるはずのペロン将軍の銅像除幕式を市内で盛大に催すなど、したたかさでのしてきた。