米テキサス州都オースティンにあるテキサス大学ハリー・ランサム人文学センター文書館で、コロンビア人作家、故ガブリエル・ガルシア=マルケス(愛称ガボ)の資料の分析が進んでいる。
10月24日公表されたところでは、1990年代初め来日した際に会った黒澤明監督との写真も見つかった。
同センターは昨年、メヒコ市に住むガボの遺族から220万ドルで段ボール78箱分の資料を買い取った。手紙2000通、写真アルバム43冊、手書きのノート22冊、小説作品10作分のタイプ記述などである。
アルバムには題名が付けられており、「ラ・アバーナ」(ハバナ)4冊には、革命軍最高司令官、共産党第1書記、国家評議会議長(元首)、首相を兼任していたころの元気なフィデル・カストロとのさまざまな写真が貼られている。
「フィデル、ビラーン」には1996年に、ガボがフィデルと共に訪れたフィデルの生地、オルギン州ビラーンの復元された生家での写真が収められている。
友人たちとの華やかな交流の記録でもある「アミーゴス」には、黒澤のほか、映画監督ルイス・ブニュエル、俳優ウッディー・アレン、作家グレアム・グリーン、同フリオ・コルタサル、同カルロス・フエンテス、詩人パブロ・ネルーダらが登場する。
「大統領たちと共に」には、ミハイル・ゴルバチョフ、ビル・クリントンらが出てくる。ガボは革命初期からCIAに眼をつけられ、米入国が禁止されていたが、90年代に、ガボの愛読者クリントン大統領が解禁。ガボは、クーバから米国への筏難民流入事件を解決するため、クリントンの密使としてハバナを訪れ、フィデルに米政府の意志を伝えたことがある。
ガボ゙夫妻は2008年、病気療養中だったフィデルをハバナの自邸に訪ね歓談したが、その時のことをフィデルは「楽しい時間だった」と記している。
同センターの今後の分析で、重要な資料や事実関係が明らかにされる可能性があり、センターの分析者は「驚きがあるはずだ」と言い、そのことを示唆している。